本発明の一実施形態について図に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、以下では、本発明の一実施形態として、ミリ波帯における無線通信機能を有する無線通信装置、無線受信装置、無線通信システム、および電子機器について説明するが、ミリ波帯に限らない。なお、ここで示すミリ波帯とは、マイクロ波帯を含む周波数帯域を示す。その周波数は、略3GHz〜300GHzの範囲である。
〔実施の形態1〕
本実施の形態では、ミリ波帯無線送信装置の一例として、無線送信装置100について説明する。
図1は、本実施の形態の無線送信装置100の一構成例を示す模式図である。
本実施の形態の無線送信装置100は、図1に示すように、入力部101、中間周波数(以下、IFを記す)アップコンバート部200(第1アップコンバート手段)、ミリ波周波数アップコンバート部300(第2アップコンバート手段)、および送信アンテナ400を備えている。すなわち、無線送信装置100は、入力部101から入力された信号が、IFアップコンバート部200にて第1の周波数変換され、ミリ波周波数アップコンバート部300にて第2の周波数変換され、送信アンテナ400から出力される構成となっている。
入力部101は、無線送信装置100に入力される変調波信号を入力させる入力端子である。入力部101に入力された信号は、IFアップコンバート部200にそのまま入力される。なお、入力部101に入力される信号については、詳細に後述する。また、無線送信装置100では、一系列の信号を入力させる構成として1つの入力部101を設けているが、これに限らず、二系列の信号を入力させる構成として、入力端子を2つ設けてもよい。
IFアップコンバート部200は、入力された変調波信号を、変調波信号の周波数帯からIF信号の周波数帯へ周波数アップコンバートする部分である。また、IFアップコンバート部200は、分波器210、IFアップコンバータ220(第3アップコンバート手段)、IFアップコンバータ230(第3アップコンバート手段)、基準信号付加部240、および電力合成器250(多重信号生成手段)を備えている。
ここで、IFアップコンバート部200において、IF信号の周波数帯へ周波数アップコンバートするとは、入力された信号の周波数よりも大きく、かつ、送信するミリ波帯周波数よりも小さい周波数に、入力された変調波信号の周波数を引き上げることを意味している。すなわち、IFの変調波信号が入力される場合であってもよく、この場合は、入力された変調波信号のIFよりも高いIFに、アップコンバートされることになる。
分波器210は、入力部101を介して入力された変調波信号を、周波数帯域に応じて分波する。例えば、放送電波が必要な放送ごとに分けて取り出される。分波器210は、分波した信号を、IFアップコンバータ220およびIFアップコンバータ230にそれぞれ出力する。
IFアップコンバータ220は、可変増幅器221(入力信号レベル調整手段)、ミキサ222、バンドパスフィルタ223、および増幅器224を備えている。
可変増幅器221は、分波器210から出力された変調波信号を入力し、該信号を増幅して、ミキサ222に出力する。また、可変増幅器221は、利得可変機能、またはセルフバイアス機能を有している。それゆえ、可変増幅器221は、変調波信号を増幅する際に、該信号のレベルを調整することも可能となっている。
ミキサ222は、可変増幅器221から出力された信号と、後述する基準信号源241から出力される基準信号とを乗積することにより、IFへ周波数アップコンバートさせたIF信号を生成する。また、ミキサ222は、周波数アップコンバートさせたIF信号をバンドパスフィルタ223に出力する。
バンドパスフィルタ223は、ミキサ222から出力された信号のうち、不要波を抑圧し、所望の周波数を有する信号のみを通過させる。所望の周波数は、IFとして利用する周波数を設計に応じて決定すればよい。
増幅器224は、バンドパスフィルタ223を通過することによって、小さくなった信号を増幅して、電力合成器250に出力する。
IFアップコンバータ230は、IFアップコンバータ220に入力される信号とは異なる周波数帯の変調波信号を入力する。また、IFアップコンバータ230は、可変増幅器231(入力信号レベル調整手段)、ミキサ232、バンドパスフィルタ233、および増幅器234を備えており、各機能は、可変増幅器221、ミキサ222、バンドパスフィルタ223、および増幅器224とそれぞれ同様である。
基準信号付加部240は、基準信号源241、可変増幅器242、および出力部243を備えている。
基準信号源241は、所定の周波数(fLO1とする)により基準信号を発振し、発振した基準信号をミキサ222およびミキサ232に出力する。すなわち、ミキサ222およびミキサ232は、基準信号源241を共用しており、同じ基準信号を用いている。また、基準信号源241は、基準信号を可変増幅器242にも出力する。
可変増幅器242は、基準信号源241から出力された信号を入力し、該信号を増幅して、出力部243に出力する。また、可変増幅器242は、利得可変機能またはセルフバイアス機能を有している。それゆえ、可変増幅器242は、基準信号を増幅する際に、該信号のレベルを調整することも可能となっている。
出力部243は、可変増幅器242から出力された信号を、IFアップコンバータ230から出力された信号と共に、電力合成器250に出力する。また、出力部243は、可変増幅器242から出力された信号のみを、局部発振器304にも出力する。
電力合成器250は、IFアップコンバータ220、IFアップコンバータ230、および基準信号付加部240から出力される信号を合成する。詳細には、電力合成器250は、増幅器224・234で、増幅・レベル調整された信号を、可変増幅器242でレベル調整された基準信号とともに合成する。これにより、電力合成器250は、各信号が合成された一系列のIF多重信号を生成し、該IF多重信号をミリ波周波数アップコンバート部300に出力する。
ミリ波周波数アップコンバート部300は、IFアップコンバート部200にてIFへ周波数アップコンバートされたIF多重信号を、IF周波数帯からミリ波周波数帯へ周波数アップコンバートする部分である。ミリ波周波数アップコンバート部300は、ミキサ301、バンドパスフィルタ302、増幅器303、および局部発振器304を備えている。
ミキサ301は、電力合成器250から出力された信号と、局部発振器304から出力される局部発振信号とを乗積することにより、ミリ波周波数へアップコンバートさせた無線多重信号を生成する。また、ミキサ301は、周波数アップコンバートさせた無線多重信号をバンドパスフィルタ302に出力する。
バンドパスフィルタ302は、ミキサ301から出力された信号のうち、不要波を抑圧し、所望の周波数を有する信号のみを通過させる。所望の周波数は、ミリ波帯の無線通信で利用する周波数を設計に応じて決定すればよい。
増幅器303は、バンドパスフィルタ302を通過することによって、小さくなった信号を増幅して、送信アンテナ400に出力する。
局部発振器304は、所定の周波数(fLO2とする)により局部発振信号を発振し、発振した局部発振信号をミキサ301に出力する。また、局部発振器304は、周波数マルチプライアで構成されることが好ましい。これにより、基準信号3bを周波数逓倍した局部発振信号を出力することも可能となる。
すなわち、局部発振器304は、基準信号源241から発振された基準信号を入力することによって駆動される。そのため、局部発振器304において、ミリ波発振信号を直接生成する必要が無い。それゆえ、低い周波数で安定発振可能な発振器を用いることが可能となり、安定で信頼度の高い無線送信装置100を構成することが可能となる。
送信アンテナ400は、増幅器303から出力された信号、すなわちミリ波帯へ周波数変換された無線多重信号を送信する。これにより、無線送信装置100から、ミリ波帯の無線通信に適した信号となって、送信信号が出力される。、
次に、図1〜3を参照しながら、無線送信装置100において、変調波信号が入力されてから、信号が周波数変換されて、送信されるまでの信号の変移について説明する。
まず、図1を参照しながら、無線送信装置100に入力される変調波信号を受信するアンテナ配線の構成について説明する。
アンテナ配線は、地上波放送用の放送信号を受信する地上波放送用アンテナ51、衛星放送用の放送信号を受信する衛星放送用アンテナ52、増幅器53、増幅器54、および電力合成器55から構成されている。これにより、無線送信装置100には、地上波放送用の変調波信号と衛星放送用の変調波信号とが入力される。
ここで、地上波放送用アンテナ51に変調波信号A(周波数をfIF1aとする)が受信され、衛星放送用アンテナ52に変調波信号B(周波数をfIF1bとする)が受信されるとする。また、地上波放送の周波数帯は、略470MHz〜770MHzであり、衛星放送のIF周波数帯は、略1.0GHz〜2.1GHzである。
なお、各アンテナでの受信信号は、それぞれ、複数チャンネルの信号(例えば、信号成分をf1、f2・・とする)である。なお、上記変調波信号Aは、地上波放送に限らず、他の放送、例えば、ケーブルTVなどの信号波であっても構わない。
地上波放送用アンテナ51からの変調波信号Aおよび衛星放送用アンテナ52からの変調波信号Bは、増幅器53,54で、それぞれ電力レベルが調整される。
その後、増幅器53,54から出力された信号は、電力合成器55で合成され、一系列の変調波信号C(fIF1a、fIF1a)が生成される。そして、変調波信号Cは無線送信装置100に出力される。
ここで、地上波放送の周波数帯と衛星放送のIF周波数帯とでは、各周波数帯が異なっているため、変調波信号Aおよび変調波信号Bは、そのまま電力合成器55で合成される。また、例えば、変調波信号Aおよび変調波信号Bが、複数の衛星放送波の信号であれば、片方の信号を異なった周波数帯に変換させる。その後、電力合成器55で電力合成し、一系列の信号として、無線送信装置100に出力させてもよい。
以上、上記アンテナ配線の構成により、無線送信装置100に一系列の変調波信号Cが入力される。なお、上記アンテナ配線の構成は、従来既存のアンテナ配線の構成である。それゆえ、上記変調波信号Aおよび変調波信号Bの信号レベルは、後述するようにマイクロ波・ミリ波帯無線系にとって最適レベルに調整されていない。
次いで、無線送信装置100における信号の変移について説明する。
無線送信装置100に入力された変調波信号Cは、まず、分波器210に入力される。分波器210では、変調波信号C(fIF1a、fIF1a)は、2系列の変調波信号1a(fIF1a)および変調波信号2a(fIF1b)に再度分波される。
このときの、変調波信号1aおよび変調波信号2aを周波数軸上に示した周波数配置を図2(a)に示す。図2(a)では、軸に沿って右にいくほど、周波数が大きいことを示している。また、変調波信号1aおよび変調波信号2aに示された矢印は、その信号の配列方向を示している。さらに、変調波信号1aと変調波信号2aとの幅に沿って、縦に3本引かれている点線は、変調波信号1aの周波数fIF1aと、変調波信号2aの周波数fIF1bとが重ならないことを示している。
変調波信号1aは、IFアップコンバータ220に出力される。一方、変調波信号2aは、IFアップコンバータ230に出力される。次いで、変調波信号1aおよび変調波信号2aは、IFアップコンバータ220およびIFアップコンバータ230にて、それぞれ、無線伝送系にとって最適レベルに調整されることになる。
IFアップコンバータ220では、入力された変調波信号1aは、信号レベルが、所定のレベルになるように、可変増幅器221によりレベル調整される。例えば、地上波放送の信号レベルが極端に大きいときは、増幅レベルを下げ、衛星放送波の信号レベルと略同等の信号レベルになるように、レベル調整することが可能となる。
さらには、変調波信号1a・2aの各チャンネルの帯域幅と変調方式とにより、受信後、復調する際の最適所要CN(キャリア対雑音)比が存在するため、変調波信号1a・2aの信号レベルが調整される必要があることも含まれている。
その後、ミキサ222において、変調波信号1aは、基準信号3a(fLO1)と乗積されて、IFへ周波数アップコンバートされる。そして、周波数アップコンバートされたIF信号は、バンドパスフィルタ223にて、不要波が抑圧される。
このときの、ミキサ222で周波数アップコンバートされ、バンドパスフィルタ223で所望信号のみを濾波したときのIF信号1bを周波数軸上に示した周波数配置と、バンドパスフィルタ223の周波数特性とを図2(b)に示す。本実施形態においては、上記IFへ周波数アップコンバートされたIF信号は、基準信号3aに対して、下側波帯の信号が選択されるため、IF信号1bの周波数は以下に示すように構成される。
IF信号1b : fLO1−fIF1a
その後、バンドパスフィルタ223から出力されたIF信号1bは、増幅器224にて増幅され、電力合成器250に出力される。
一方、IFアップコンバータ230においても、入力された変調波信号2aは、信号レベルが、所定のレベルになるように、可変増幅器231によりレベル調整される。その後、ミキサ232において、変調波信号2aは、基準信号3aと乗積されて、IFへ周波数アップコンバートされる。そして、周波数アップコンバートされたIF信号は、バンドパスフィルタ233にて、不要波が抑圧される。
このときの、ミキサ232で周波数アップコンバートされ、バンドパスフィルタ233で所望信号のみを濾波したときのIF信号2bを周波数軸上に示した周波数配置と、バンドパスフィルタ233の周波数特性とを図2(b)に示す。本実施形態においては、上記IFへ周波数アップコンバートされたIF信号は、基準信号3aに対して、下側波帯の信号が選択されるため、IF信号2bの周波数は以下に示すように構成される。
IF信号2b : fLO1−fIF1b
その後、バンドパスフィルタ233から出力されたIF信号2bは、増幅器234にて増幅され、電力合成器250に出力される。
また、基準信号付加部240から出力される基準信号3a(fLO1)は、4GHz〜10数GHzの周波数帯に設定することが好ましい。これにより、変調波信号1a(fIF1a)および変調波信号2a(fIF1b)の周波数領域が、0.2GHz〜2.5GHzの広帯域信号を用いることが可能となる。
基準信号付加部240では、基準信号源241から発振された基準信号3aが、可変増幅器242にも出力されている。基準信号3aは、必要に応じて可変増幅器242でレベル調整され、基準信号3bとして電力合成器250に出力される。
電力合成器250では、IF信号1b、IF信号2b、および基準信号3aが合成されて、一系列のIF多重信号4aが構成される。IF多重信号4aを周波数軸上に示した周波数配置を図3(a)に示す。IF多重信号4aは、ミリ波周波数アップコンバート部300に出力される。
ミリ波周波数アップコンバート部300では、IF多重信号4aは、ミリ波帯へ周波数アップコンバートされる。詳細には、IF多重信号4aのミリ波帯へのアップコンバートは、局部発振器304から発振される局部発振信号(fLO2)が用いられて、ミキサ301で周波数アップコンバートされる。
そして、周波数アップコンバートされた無線多重信号は、バンドパスフィルタ302にて、不要波が抑圧される。その後、バンドパスフィルタ302から出力された無線多重信号5aは、増幅器303にて増幅され、送信アンテナ400に出力される。
このときの、送信アンテナ400に出力された無線多重信号5aを周波数軸上に示した周波数配置を図3(b)に示す。本実施形態においては、ミリ波への周波数アップコンバート時に、バンドパスフィルタ302では上側波帯を通過させ、無線多重信号5aを構成させている。
無線多重信号5aは、以下に示す無線信号1c、無線信号2c、および無線基準信号3cにより構成される。無線信号1c、無線信号2c、および無線基準信号3cは、IF信号1b、IF信号2b、および基準信号3bをミリ波帯へ周波数アップコンバートさせたときの信号である。
無線信号1c : (fLO1+fLO2)−fIF1a
無線信号2c : (fLO1+fLO2)−fIF1b
無線基準信号3c: fLO1+fLO2
その後、無線多重信号5aは送信アンテナ400から放射される。
以上により、無線送信装置100から、ミリ波帯の無線通信に適するように周波数変換された無線多重信号5aが送信される。
本実施の形態の無線送信装置100では、変調波信号Cが、受信環境に応じた様々な信号レベルで構成された信号として入力されてくるが、可変増幅器221・231を備えることにより、分配された変調波信号1aおよび変調波信号2aの信号レベルを、所定のレベルになるようにそれぞれ調整することが可能となる。
詳細には、変調波信号1aおよび変調波信号2aは、変調波信号Aを地上波放送用アンテナ51や、変調波信号Bを衛星放送用アンテナ52で受信した信号であるため、変調波信号1aの信号レベルと変調波信号2aの信号レベルとは、受信環境に応じて様々な信号レベルとなっている。そのため、可変増幅器221・231を備えることにより、変調波信号1aと変調波信号2aとのそれぞれの信号レベルを調整し、信号レベル比を最適な比率に調整することが可能となる。
また、変調波信号1aおよび変調波信号2aはIFアップコンバート後、電力合成器250にて、可変増幅器242で調整された基準信号3bが付加され、IF多重信号4aとして、ミリ波周波数アップコンバート部300に出力される。その後、IF多重信号4aは、無線多重信号5aにアップコンバートされ、送信される。
ここで、無線送信装置100の無線多重信号5aには、電波法により上限がある。そのため、限られた送信信号出力レベルにおいて、基準信号と伝送信号との電力比率に最適比率が存在する。したがって、伝送信号(すなわち、IF信号1bおよびIF信号2b)と基準信号3bとの電力比率を、可変増幅器242により基準信号3aのレベルを調整することによって、最適電力比率にもってくることが可能となる。
例えば、本実施の形態の無線送信装置100では、変調波信号1aおよび変調波信号2aが含まれるIF多重信号4aが生成されているが、変調波信号1a、または、変調波信号2aのどちらかの片方伝送の場合もある。
そこで、可変増幅器242を備えることにより、入力される信号波の総帯域幅(例えば、fIF1a+fIF1bや、fIF1aのみの場合)に応じて、基準信号3aのレベルを調整することが可能となる。
これにより、最適にIF多重信号4aを生成することが可能となる。それゆえ、最適に調整されたIF多重信号4aをミリ波無線周波数帯に周波数変換することが可能となるので、入力された変調波信号Cを、ミリ波帯で無線送信する送信信号として適した無線多重信号5aに、良好に周波数変換することが可能となる。
また、本実施の形態の無線送信装置100では、変調波信号Aおよび変調波信号Bが、それぞれ、放送波信号の総和で数100MHz〜1GHzにおよぶ広帯域信号である。このため、一度に周波数変換せず、2つの周波数帯の信号(変調波信号1aおよび変調波信号2a)に分割して、IFアップコンバータ220のミキサ222と、IFアップコンバータ230のミキサ232とにおいてそれぞれアップコンバートしている。
それゆえ、一系列の変調波信号Cをまとめて中間周波数へアップコンバートする場合に、出力信号に生じる2次歪みなどを抑制して、入力される変調波信号1aおよび変調波信号2aの、例えば、f1、f2・・成分などの2次歪み特性、例えば、2xf1,2×f2、3xf1,3×f2の高調波特性や、f1−f2,f1+f2の歪成分を低減することが可能となり、良好な伝送特性を確保することが可能となる。
なお、上記無線送信装置100では、一系列の変調波信号Cに変調波信号1aおよび変調波信号2aが含まれる場合について説明したが、これに限らず、上記変調波信号Cは複数の変調波信号を含んでもよい。この場合は、例えば、IFアップコンバータ230と同様の構成を追加し、分波器210から分波された変調波信号を入力させ、アップコンバートしたIF信号を電力合成器250に出力させればよい。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、ミリ波帯無線受信装置の一例として、無線受信装置500について説明する。
図4は、本実施の形態の無線受信装置500の一構成例を示す模式図である。
本実施の形態の無線受信装置500は、図4に示すように、受信アンテナ600、IFダウンコンバート部700(第1ダウンコンバート手段)、変調信号周波数ダウンコンバート部800(第2ダウンコンバート手段)、出力部501、および出力部502を備えている。すなわち、無線受信装置500は、受信アンテナ600から入力された信号が、IFダウンコンバート部700にて第1の周波数変換され、変調信号周波数ダウンコンバート部800にて第2の周波数変換され、出力部501および出力部502から出力される構成となっている。
受信アンテナ600は、ミリ波帯における無線通信機能を有する何れかの無線送信装置から送信された基準信号を含む無線多重信号を受信し、IFダウンコンバート部700に出力する。
IFダウンコンバート部700は、受信した無線多重信号を、ミリ波周波数帯からIF周波数帯へ周波数ダウンコンバートする部分である。IFダウンコンバート部700は、増幅器701、バンドパスフィルタ702、周波数ミキサ703、および局部発振器704を備えている。
増幅器701は、受信アンテナ600から出力された信号を増幅し、バンドパスフィルタ702に出力する。
バンドパスフィルタ702は、通信などにより付加された不要なノイズを取り除いて、所望の信号のみを濾波し、周波数ミキサ703に出力する。
周波数ミキサ703は、バンドパスフィルタ702から出力された信号と、局部発振器704から発振される局部発振信号とを乗積することにより、IFへダウンコンバートさせたIF多重信号を生成する。また、周波数ミキサ703は、生成したIF多重信号を変調信号周波数ダウンコンバート部800に出力する。
ここで、一実施例として、周波数ミキサ703は、偶高調波ミキサなどのN次高調波ミキサ(Nは2の自然数)を用いることが望ましい。これにより、局部発振器704の局部発振周波数を1/Nとすることができる。
具体的には、周波数ミキサ703を2次の高調波ミキサとすることによって、局部発振器704の局部発振周波数を1/2とすることができる。それゆえ、周波数安定度の高い無線受信装置500を、ワイヤボンディングなどの容易な実装で簡易に製作することが可能となる。
局部発振器704は、所定の周波数(fLO3とする)により局部発振信号を発振し、周波数ミキサ703に出力する。
変調信号周波数ダウンコンバート部800は、IFダウンコンバート部700にてIFダウンコンバートされたIF多重信号を、IF周波数帯から、無線送信装置での元の変調波信号の周波数帯へ周波数ダウンコンバートする部分である。これにより、受信した無線多重信号は、無線送信装置へ入力された元の各変調波信号へと戻される。以下、上記戻された変調波信号を復調信号と記す。
変調信号周波数ダウンコンバート部800は、図4に示すように、第1のフィルタ801、可変増幅器802(第1増幅手段)、第1の電力分配器803(第1分配手段)、第2のフィルタ804(第1抽出手段)、第3のフィルタ805(第3抽出手段)、第2の電力分配器806(第2分配手段)、第4のフィルタ807(第2抽出手段)、増幅器808、電力結合器809(電力結合手段)、周波数ミキサ810(第3ダウンコンバート手段)、低周波フィルタ811、周波数ミキサ812(第4ダウンコンバート手段)、および低周波フィルタ813を備えている。
第1のフィルタ801は、IFダウンコンバート部700、詳細には周波数ミキサ703から出力された信号を入力し、不要波を抑圧し、所望の周波数を有する信号のみを通過させる。所望の周波数は、ダウンコンバートさせて復調信号を生成するIFの周波数と、基準信号の周波数とを含む周波数に応じて決定される。
可変増幅器802は、第1のフィルタ801を通過することによって、小さくなった信号を増幅して、第1の電力分配器803に出力する。また、可変増幅器802は、オートゲインコントロール回路またはセルフバイアス回路により構成されている。それゆえ、可変増幅器802は、IF多重信号を増幅する際に、該信号の信号レベルを調整することも可能となっている。
第1の電力分配器803は、入力した信号を2つの経路に分配する。すなわち、第2のフィルタ804、および第3のフィルタ805に分配した信号をそれぞれ出力する。
第2のフィルタ804は、第1の電力分配器803から出力された信号を入力し、不要波を抑圧し、所望の周波数を有する信号のみを通過させる。所望の周波数は、ダウンコンバートさせて1つの復調信号を生成するために基になる1つのIF信号の周波数と、基準信号の周波数とを含む周波数に応じて決定される。
第3のフィルタ805は、第1の電力分配器803から出力された信号を入力し、不要波を抑圧し、所望の周波数を有する信号のみを通過させる。所望の周波数は、第2のフィルタ804で通過させるIF信号とは異なる周波数のIF信号であって、ダウンコンバートさせて他の復調信号を生成する基になる1つIF信号の周波数に応じて決定される。
第2の電力分配器806は、入力した信号を2つの経路に分配する。すなわち、周波数ミキサ810、および第4のフィルタ807に分配した信号をそれぞれ出力する。
第4のフィルタ807は、第2の電力分配器806から出力された信号を入力し、不要波を抑圧し、基準信号の周波数を有する信号のみを通過させる。また、第4のフィルタ807は、基準信号のみを通過させるために、狭帯域な特性となっている。
増幅器808は、第4のフィルタ807を通過することによって、小さくなった信号を増幅して、電力結合器809へと出力する。
電力結合器809は、入力された2つの信号を結合する。すなわち、第3のフィルタ805から出力された信号と、増幅器808から出力された信号とを結合する。電力結合器809は、結合した信号を周波数ミキサ812に出力する。
周波数ミキサ810は、第2の電力分配器806から出力された信号を、IF周波数帯から送信装置へ入力された元の周波数帯にダウンコンバートさせた復調信号を生成する。詳細には、第2の電力分配器806から出力された信号には、後述するようにIF信号と基準信号とが含まれている。これにより、周波数ミキサ810は、IF信号と基準信号とを乗積することにより、上記元の周波数帯へダウンコンバートさせた復調信号を生成する。また、周波数ミキサ810は、周波数ダウンコンバートさせた復調信号を低周波フィルタ811に出力する。
低周波フィルタ811は、周波数ミキサ810から出力された信号のうち、不要波を抑圧し、所望の周波数を有する信号のみを通過させ、通過させた信号を出力部501に出力する。所望の周波数は、取り出す信号の周波数に基づいて決定すればよい。
周波数ミキサ812は、電力結合器809から出力された信号を、IF周波数帯から送信装置へ入力された元の周波数帯にダウンコンバートさせた復調信号を生成する。詳細には、電力結合器809から出力された信号には、後述するようにIF信号と基準信号とが含まれている。これにより、周波数ミキサ812は、IF信号と基準信号とを乗積することにより、上記元の周波数帯へダウンコンバートさせた復調信号を生成する。また、周波数ミキサ812は、周波数ダウンコンバートさせた信号を低周波フィルタ813に出力する。
低周波フィルタ813は、周波数ミキサ812から出力された信号のうち、不要波を抑圧し、所望の周波数を有する信号のみを通過させ、通過させた信号を出力部502に出力する。所望の周波数は、取り出す信号の周波数に基づいて決定すればよい。
出力部501は、低周波フィルタ811から出力された復調信号を、無線受信装置500の外へ送出するための出力端子である。出力部501は、分波器などを介して、衛星放送用・地上波放送用チューナ71を備えたTV受像機72と、衛星放送用・地上波放送用チューナ73を備えたビデオレコーダ74とに接続されている。
出力部502は、低周波フィルタ813から出力された復調信号を、無線受信装置500の外へ送出するための出力端子である。また、出力部502も、分波器などを介して、衛星放送用・地上波放送用チューナ71を備えたTV受像機72と、衛星放送用・地上波放送用チューナ73を備えたビデオレコーダ74とに接続されている。
これにより、出力部501および出力部502から出力された各復調信号は、適切なチューナに出力されることになる。
次に、図4〜7を参照しながら、無線受信装置500において、信号が受信されてから、信号が元の信号に復調されるまでの信号の変移について説明する。なお、無線受信装置500が受信する信号は、前記実施の形態1の無線送信装置100から送信された無線多重信号5aとする。
まず、無線受信装置500が受信アンテナ600にて無線多重信号5aを受信すると、無線多重信号5aが、IFダウンコンバート部700に出力される。
IFダウンコンバート部700では、無線多重信号5aは、増幅器701にて増幅され、バンドパスフィルタ702にて不要波が抑圧され、周波数ミキサ703に入力される。
周波数ミキサ703では、無線多重信号5aは、局部発振器704から発振される局部発振信号(fLO3)によって、周波数をミリ波帯からIF帯に周波数ダウンコンバートされる。例えば、本実施例では、60GHz帯から、4GHz〜2GHz帯へと周波数ダウンコンバートされる。
このときの、周波数変換される前の無線多重信号5aを周波数軸上に示した周波数配置を図5(a)に示し、周波数変換されたIF多重信号6aを周波数軸上に示した周波数配置と、フィルタ801の周波数特性とを図5(b)に示す。また、IF多重信号6aは、以下に示すIF信号1d、IF信号2d、およびIF基準信号3dにより構成される。すなわち、IF信号1d、IF信号2d、およびIF基準信号3dは、無線信号1c、無線信号2c、および無線基準信号3cをIF帯に周波数ダウンコンバートさせたときの信号である。
IF信号1d : fIF2a=(fLO1+fLO2−fLO3)−fIF1a
IF信号2d : fIF2b=(fLO1+fLO2−fLO3)−fIF1b
IF基準信号3d: fLO4=fLO1+fLO2−fLO3
その後、IF多重信号6aは、変調信号周波数ダウンコンバート部800に出力される。
変調信号周波数ダウンコンバート部800では、まず、IF多重信号6aは、第1のフィルタ801で、IFダウンコンバート部700にて生じた不要波が抑圧され、可変増幅器802で増幅・レベル調整される。
その後、IF多重信号6aは、第1の電力分配器803によって、第2のフィルタ804が備えられている側の経路と第3のフィルタ805が備えられている側の経路とにそれぞれ分配される。
また、第2のフィルタ804が備えられている側の経路を第1の経路(第1経路)とし、第3のフィルタ805が備えられている側の経路を第2の経路とする。さらに、第1の経路に分配された信号をIF信号7aとし、第2の経路に分配された信号をIF信号8aとする。なお、IF信号7aおよびIF信号8aは、単に分配されただけの信号であるので、信号構成はIF多重信号6aと同じである。
第1の経路では、IF信号7aは、第2のフィルタ804によって、IF信号1dおよびIF基準信号3dのみが取り出される。すなわち、第2のフィルタ804は、IF信号1dおよびIF基準信号3dのみを取り出すように帯域設定されている。
その後、IF信号1dおよびIF基準信号3dを含んだIF信号7bは、第2の電力分配器806によって、周波数ミキサ810が備えられている側の経路と第4のフィルタ807が備えられている側の経路とにそれぞれ分配される。
また、周波数ミキサ810が備えられている側の経路を第3の経路(第2経路)とし、第4のフィルタ807が備えられている側の経路を第4の経路(第3経路)とする。さらに、第3の経路に分配された信号をIF信号7cとし、第4の経路に分配された信号をIF信号9aとする。なお、IF信号7cおよびIF信号9aは、単に分配されただけの信号であるので、信号構成はIF信号7bと同じである。
第3の経路では、IF信号7cは、IF帯から復調する元の周波数帯にダウンコンバートされる。ここで、図6(a)に、第3の経路における、周波数ダウンコンバート直前のIF信号7cの周波数配置と、第2のフィルタ804および第4のフィルタ807の周波数特性とを示す。第2のフィルタ804の通過特性は、IF信号1dおよびIF基準信号3dを通過させる広帯域特性となる。
IF信号7cは、IF基準信号3dを用いて、周波数ミキサ810により周波数ダウンコンバートされる。その後、周波数ダウンコンバートされた信号は、低周波フィルタ811により不要波が取り除かれ、復調信号7dとして出力される。図7(a)に、第3の経路における、周波数ダウンコンバート後の復調信号7dの周波数配置と低周波フィルタ811の周波数特性とを示す。低周波フィルタ811には、図7(a)に示すように、復調信号7dを通過させるような通過特性が設定される。
ここで、第3の経路における周波数ダウンコンバートのプロセスをまとめると、下記のようになる。
復調信号7d:
fLO4−fIF2a=(fLO1+fLO2−fLO3)
−[(fLO1+fLO2−fLO3)−fIF1a]
=fIF1a
その後、復調信号7dは出力部501から外部に送出される。なお、この復調信号7dは、無線送信装置100で入力された変調波信号1a(fIF1a)と同様の信号であることがわかる。
一方、第4の経路では、第2の電力分配器806により分配されたIF信号9aが、第4のフィルタ807に入力される。第4のフィルタ807では、IF信号9aからIF基準信号3dのみが抽出される。抽出されたIF基準信号3dは、増幅器808で増幅され、電力結合器809に出力される。
また、第2の経路では、第1の電力分配器803により分配されたIF信号8aが、第3のフィルタ805によって、IF信号2dのみが取り出され、電力結合器809に出力される。すなわち、第3のフィルタ805は、IF信号2dのみを取り出すように帯域設定されている。
これにより、第2の経路と第4の経路とが合流する地点に設けられた電力結合器809では、IF信号2dとIF基準信号3dとが結合される。そして、一系列のIF信号10aとなって、周波数ミキサ812に出力される。ここで、電力結合器809から周波数ミキサ812に向かう経路を第5の経路とする。
図6(b)に、第5の経路における、周波数ダウンコンバート直前のIF信号10aの周波数配置と、第2のフィルタ804、第3のフィルタ805、および第4のフィルタ807の周波数特性とを示す。第3のフィルタ805の通過特性は、IF信号2dを通過させる狭帯域特性となる。
IF信号10aは、IF基準信号3dを用いて、周波数ミキサ812により周波数ダウンコンバートされる。その後、周波数ダウンコンバートされた信号は、低周波フィルタ813により不要波が取り除かれ、復調信号10bとして出力される。図7(b)に、第5の経路における、周波数ダウンコンバート後の復調信号10bの周波数配置と低周波フィルタ813の周波数特性とを示す。低周波フィルタ813には、図7(a)に示すように、復調信号10bを通過させるような通過特性が設定される。
ここで、第5の経路における周波数ダウンコンバートのプロセスをまとめると、下記のようになる。
復調信号10b:
fLO4−fIF2b=(fLO1+fLO2−fLO3)
−[(fLO1+fLO2−fLO3)−fIF1b]
=fIF1b
その後、復調信号10bは出力部502から外部に送出される。なお、この復調信号10bは、無線送信装置100で入力された変調波信号2a(fIF1b)と同様の信号であることがわかる。
以上により、無線受信装置500から、復調信号7dおよび復調信号10bが、出力部501および出力部502を介して、TV受像機72の衛星放送用・地上波放送用チューナ71や、ビデオレコーダ74の衛星放送用・地上波放送用チューナ73に出力される。
ここで、第3の経路では、第2のフィルタ804によって帯域分割された、IF信号1dおよびIF基準信号3dを同時に含んだIF信号7bが、周波数ミキサ810に入力されている。そして、周波数ミキサ810にて、IF基準信号3dが局部発振信号となって、周波数ダウンコンバートが直接行われている。
それゆえ、第3の経路では、IF信号1dとIF基準信号3dとを分離する必要がないため、復調したいIF信号1dの周波数とIF基準信号3dの周波数とが近接していても、良好な周波数ダウンコンバートが可能となる。その結果、復調信号7dとして、変調波信号1aの一例である地上波放送の信号が取り出されている。
また、第4の経路では、第4のフィルタ807により抽出されたIF基準信号3dは、広帯域な第2のフィルタ804と、狭帯域な第4のフィルタ807とを通過してきている。それゆえ、広帯域にわたり不要波成分が抑圧されるだけでなく、狭帯域にIF基準信号3d周囲の近傍雑音が除去されるため、純度の高いIF基準信号3dを抽出することが可能となる。
さらに、抽出されたIF基準信号3dは、増幅器808で増幅された後、IF信号2dとともに周波数ミキサ812に出力される。しかも、第2の経路において、第3のフィルタ805により分離されたIF信号2dは、図6(b)に示すように、IF基準信号3dとは、周波数が離れている。
それゆえ、抽出・増幅されたIF基準信号3dが、周波数ミキサ812の局部発振信号となることによって、第5の経路では、良好な周波数ダウンコンバートを行うことが可能となる。その結果、復調信号10bとして、変調波信号2aの一例である衛星放送波の信号が取り出されている。
さらには、上記第3のフィルタ805により、IF信号2dは狭帯域化されているため、IF信号1dを含むことがない。それゆえ、周波数ミキサ812にて、出力信号に2次歪みの少ない、良質な周波数ダウンコンバートが可能となる。
また、IF多重信号6aをダウンコンバートする際、比帯域幅(伝送帯域幅/伝送周波数)が大きいと、ダウンコンバートに伴って、周波数ミキサの出力信号に2次歪み特性が生じてしまう。
これに対して、変調信号周波数ダウンコンバート部800では、分配されたIF信号7aおよびIF信号8aに応じて、IF基準信号3dを局部発振信号として、復調信号7dおよび復調信号10bを生成するダウンコンバートが行われる。
これにより、変調信号周波数ダウンコンバート部800では、周波数ミキサ810および周波数ミキサ812をそれぞれ設け、少なくとも2つの帯域に分けてダウンコンバートすることによって、各ミキサの出力信号の2次歪み特性を低減することが可能となる。それゆえ、無線受信装置500において、良好な伝送特性を確保することが可能となる。なお、2次歪み特性は、例えば、fIF2a−fIF2bや、2x(fIF2a−fIF2b)などの歪成分である。
また、第4の経路では、1個の狭帯域フィルタ(第4のフィルタ807)と、1個の増幅器808とから構成されることにより、小型で簡易な構成で、IF基準信号3dを抽出することが可能となっている。
さらに、上記2つの周波数ミキサ810、812から第1の復調信号7dと復調信号10bとを、同時にとり出す(ダウンコンバートする)ことが可能となる。
また、変調信号周波数ダウンコンバート部800では、第4の経路は、第2の電力分配器806を介して周波数ミキサ810と、電力結合器809を介して周波数ミキサ812とに接続されている。このため、2つの局部発振端子間である第2の電力分配器806および電力結合器809は、繋がってしまう。
しかしながら、局部発振端子間をつなぐ第4の経路におけるIF基準信号3dの流路は、分割されることなく一線路で構成され、かつ、第4のフィルタ807と増幅器808とにより構成されているので、一方向化と狭帯域化とを同時に達成することが可能となる。
その結果、互いのミキサ(周波数ミキサ810および周波数ミキサ812)への局部発振端子間の入力信号の漏れを小さくすることが可能となる。また、IF基準信号3dの抽出・増幅は、1個の増幅器808で構成できるため、消費電力を小さくすることが可能となる。
したがって、本実施の形態の無線受信装置500では、3つのフィルタ(第2のフィルタ804、第3のフィルタ805、および第4のフィルタ807)を効果的に配置し不要波の抑圧度を向上させることにより、不要波成分が少ない純度の高い基準信号を抽出し、かつ、複数の復調信号を生成するダウンコンバートを行う際、局部発振端子間の信号の漏れを低減し、かつ、増幅器の数を少なくしているため消費電力の低減を実現することが可能となる。
また、変調信号周波数ダウンコンバート部800では、図4に示すように、第1の電力分配器803、第2のフィルタ804、第2の電力分配器806、第4のフィルタ807、増幅器808、電力結合器809、および第3のフィルタ805によって、線路ループLが形成される。
そこで、第1の電力分配器803および電力結合器809は、それぞれの分配ポート821間および結合ポート822間で、それぞれアイソレーションを有していることにより、線路ループLに1個の増幅器が追加されたとしても、追加された増幅器の利得が、第1の電力分配器803の利得と電力結合器809の利得との総和よりも小さければ、線路ループLは、負帰還ループとすることが可能となる。それゆえ、不要・寄生発振を防止することが可能となる。
例えば、受信系統の中間周波数帯域内において、追加される増幅器の20dBの利得が、第1の電力分配器のアイソレーション13dBと電力結合器809のアイソレーション13dBとの総和(26dB)よりも小さければ、線路ループLは、負帰還ループとすることが可能となり、不要・寄生発振を防止することが可能となる。
また、第1の電力分配器803および電力結合器809を、それぞれ、ウイルキンソン型電力分配器およびウイルキンソン型電力結合器とすることにより、ウイルキンソン型電力結合器およびウイルキンソン型電力分配器のもつ吸収抵抗によって、アイソレーションをもたせることが可能となる。
それゆえ、より広帯域に、かつ、集中定数線路で、線路ループLを構成することが容易となり、小型化すなわち線路ループLのサイズをより小さくすることが可能となる。これにより、線路ループLが形成された際、線路ループLと増幅器808とにおける潜在する発振周波数領域をより高くすることが可能となる。
また、この発振周波数が高くなるため、増幅器808の利得は周波数の増加に伴って小さくなることから、線路ループLと増幅器808とで形成されるループ利得も小さくすることが可能となる。しかも、第1の電力分配器803および電力結合器809が、広帯域にわたってアイソレーションをもつため、潜在ループ利得の領域をさらに小さくすることが可能となる。
また、無線受信装置500は、IFダウンコンバート部700の後段、詳細には第1の電力分配器803の前段に、可変増幅器802を設けている。可変増幅器802は、IFダウンコンバート部700での周波数変換に伴う周波数変換利得を増強し、後段からの雑音の影響を抑圧し、さらに入出力インピーダンスの周波数不整合の影響を低減するだけではなく、以下のような効果をもたらす。
つまりは、変調信号周波数ダウンコンバート部800は、本来、無線伝送されてきた無線信号1c、無線信号2c、および無線基準信号3cとから、無線基準信号3cを用いて、信号波を周波数変換する構成である。このため、伝送距離が大きくなり伝送信号も弱くなると、無線伝送されてきた無線信号1c、無線信号2c、および無線基準信号3cがともに減衰する。
上記減衰する現象において、通常のヘテロダイン受信装置では、伝送距離が2倍になると、伝送されてきた信号は6dB低下することがわかっている。これに対し、本実施の形態の無線受信装置500には、基準信号も伝送されてくる。このため、無線受信装置500は、伝送距離が遠くなり基準信号が減衰することによって、周波数ミキサ810・812の局部発振信号(基準信号)が十分振り込まれなくなると、伝送距離に対して12dB減衰する特性を有している。
それゆえ、急激な変換損失が大きくなる。このため、周波数ミキサ810・812以後につながる後段の回路や、無線受信装置500に接続されるTV受像機72やビデオレコーダ74中のチューナ部において、雑音の影響を著しく受けやすくなる。
そこで、IFダウンコンバート部700の後段に、可変増幅器802を備えることにより、可変増幅器802は、変調信号周波数ダウンコンバート部800の急激な変換損失の影響を軽減するので、感度特性に優れた特性を実現することが可能となる。すなわち、可変増幅器802から後段の周波数変換に伴う、周波数変換損失の急激な増加を抑制することが可能となる。
また、本実施の形態の無線受信装置500において、無線伝送距離が小さいところでは、変調信号周波数ダウンコンバート部800の可変増幅器802や、増幅器808、周波数ミキサ810・812の出力信号が、過入力で歪みやすくなることがある。一方で、伝送距離が大きくなると、伝送信号である基準信号、無線信号が、ともに減衰し、急激にレベル低下してしまうことがある。
そこで、可変増幅器802が、オートゲインコントロール回路またはセルフバイアス回路を備えていることにより、伝送距離に対して伝送品質をより一定に保つことが可能になる。さらには、無線受信装置500としてのダイナミックレンジを広くすることが可能となる。
具体的に、例えば、可変増幅器802や、周波数ミキサ810・812が、セルフバイアスで駆動されるマイクロ波トランジスタで構成されるとする。
そこで、可変増幅器802・周波数ミキサ810・812を、コレクタ(ドレイン)電流を略一定にするようなセルフバイアス回路で構成することによって、可変増幅器802および周波数ミキサ810・812の出力レベルの急激な増加や急激な低下を抑えることが可能となる。
図8は、セルフバイアス回路の、(a)は一構成例を示し、(b)は他の構成例を示す回路図である。
図8(a)では、セルフバイアス回路は、バイアス回路を含んだ入力整合回路部910、マイクロ波トランジスタ920、および出力整合回路部930により構成されている。マイクロ波トランジスタ920は、FETやバイポーラトランジスタを用いればよく、ベース(ゲート)端子が入力整合回路部910に接続され、コレクタ(ドレイン)端子が出力整合回路部930に接続され、エミッタ(ソース)端子が接地されている。入力整合回路部910には、バイアス回路において電源の接続端子に直列に、例えば、略20kΩ程度の高い抵抗911が挿入される。
この場合、高いレベルの入力信号においては、コレクタ電流が増加し、べース電流も増加する。そこで、抵抗911により、マイクロ波トランジスタ920のベース・エミッタ間電圧に起電圧を発生させ、実質的にマイクロ波トランジスタ920に印加されるベース・エミッタ間電圧を低下させる。
これにより、マイクロ波トランジスタ920のベース電流を小さくし、コレクタ電流の増加を防ぐことが可能となる。さらに、マイクロ波トランジスタ920の増幅度や変換利得を低下させることも可能となり、出力信号レベルの増加を抑制することが可能となる。
図8(b)では、セルフバイアス回路は、図8(a)の構成に加えて、マイクロ波トランジスタ920のエミッタ端子が、抵抗921を介して接地され、かつ、容量922を介して接地されている。出力整合回路部930から出力される高周波信号は容量922により、略インピーダンス略0Ωで接地される。また、抵抗921は略数Ωから数10Ωまでの抵抗値を有する。
この場合、マイクロ波トランジスタ920のコレクタ電流に、高周波信号の大信号が入力された場合、エミッタ端子に接続された抵抗921によって起電圧が発生し、マイクロ波トランジスタ920に実質的に印加されるべース・エミッタ間電圧を低下させるため、コレクタ電流を低下させることが可能となる。
それゆえ、可変増幅器802および周波数ミキサ810・812では、増幅度や変換利得を低下させ、出力信号レベルの急激な増加を抑えることが可能となる。
したがって、可変増幅器802および周波数ミキサ810・812を、セルフバイアス回路とすることにより、無線伝送距離の短い区間から長い区間まで、無線伝送距離に対して伝送品質をより一定に保ったダイナミックレンジの広い無線受信装置500を実現することが可能となる。
とりわけ、可変増幅器802と周波数ミキサ810・812とを同時にセルフバイアス(またはオートゲインコントロール)回路構成することにより、無線受信装置500としてのダイナミックレンジをより一層広くすることが可能となる。それゆえ、伝送距離に対しての伝送信号品質をより一定にすることが可能となる。
また、周波数ミキサ810・812が、図8(a)(b)に示すように構成される場合、アクティブミキサとして構成されている。
アクティブミキサは、トランジスタやFETなどの能動素子を用いたミキサ回路であり、それぞれの半導体素子が持つ非線形特性を利用して周波数変換が行われる。アクティブミキサは能動素子を用いるので、周波数変換を行うのと同時に、増幅を行うことができる。また、アクティブミキサでは、変換利得(Conversion Gain)を得ることができる。さらに、アクティブミキサは、ダイオードを用いた受動ミキサのように、局部発振信号電力によって駆動する構成ではないので、一般に、局部発振信号電力は小さくて済む。
周波数ミキサ810・812をアクティブミキサとして、ベース注入ミキサ(FETの場合、ゲート注入ミキサ)で構成することによって、アクティブミキサが有する利得により、上記伝送されてきたより小さい基準信号でも、周波数ミキサ810・812の局部発振信号として用いて駆動することが可能となる。それゆえ、通常のダイオードミキサなどの受動ミキサと比較しても、より線形性が高く、かつ、変換損の小さい周波数ミキサ810・812を構成することが可能となる。
すなわち、前記実施の形態1の無線送信装置100からは、基準信号も無線信号に含めて無線伝送されるため、伝送距離が遠くなると、周波数ミキサ810・812の局部発振信号となる基準信号も弱くなってしまう。
そこで、マイクロ波トランジスタを用いたアクティブミキサにより、周波数ミキサ810・812を構成することによって、局部発振信号となる基準信号を、より低レベル(例えば、−10dBm程度〜0dBm)で入力させても、入力・出力の関係に、略線形領域の動作をさせることが可能となる。それゆえ、上述した伝送距離に対して12dB減衰する特性を極力避けることが可能となる。
ここで、前記実施の形態1の無線送信装置100、および、本実施の形態2の無線受信装置500を構成することにより、マイクロ波・ミリ波領域において広帯域無線伝送を行うことができる無線通信システムを形成することが可能となる。
上記無線送信装置100は、基準信号源241から出力された基準信号3aの信号レベルを調整する可変増幅器242を備えている。これにより、可変増幅器242にてレベル調整された基準信号3bを、無線多重信号5aに付加することが可能となる。それゆえ、無線送信装置100を構成する回路のバラツキを、可変増幅器242にて基準信号の信号レベルを調整することによって補正し、送信出力を一定にすることが可能となる。
しかも、無線受信装置500は、より一定の信号を受信することが可能となり、歩留まり特性に優れた無線送信装置100および無線受信装置500を構成することが可能となる。それゆえ、より安定した伝送特性を有する無線通信システムを構成することが可能となる。
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1,2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1,2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態では、前記実施の形態2の無線受信装置500、または前記実施の形態1の無線送信装置100と上記無線受信装置500とで構成される無線通信システムを備えた電子機器について説明する。
本実施の形態の電子機器は、上記無線受信装置500、または上記通信システムを備えている。それゆえ、上記無線送信装置100および上記無線受信装置500は、マイクロ波・ミリ波領域による広帯域無線伝送を行うことが可能となる。
また、本実施の形態の電子機器では、無線受信装置500、または無線通信システム中の無線受信装置が、周波数ダウンコンバートして生成する復調信号を、記録、出力、または、記録および出力の両方を行う。ここで、上記出力とは、映像の表示や、音声の出力などを含み、上記電子機器とは録音、録画、映像の表示、および/または音声の出力などを行う機器のことである。
例えば、電子機器が図4に示されるTV受像機72である場合、TV受像機72内に、無線受信装置500が含まれる構成としてもよい。この場合、無線受信装置500が、周波数ダウンコンバートして生成した復調信号、すなわち映像信号・音声信号などを、TV受像機72の表示画面に表示したり、音声出力を行う。
また、電子機器が図4に示されるビデオレコーダ74である場合、ビデオレコーダ74内に、無線受信装置500が含まれる構成としてもよい。この場合、無線受信装置500が、周波数ダウンコンバートして生成した復調信号、すなわち放送信号などを、ビデオレコーダ74の記録部に記録や、録音、録画を行う。
さらに、電子機器が上記無線通信システムを備える場合、例えば、無線送信装置100を備えるアンテナ受信機と、無線受信装置500を備える映像再生記録装置などとをセットにした電子機器が構成される。
本無線通信システムは、マイクロ波・ミリ波領域による広帯域無線伝送のため、無線通信システムおよび無線受信装置500自体には、圧縮・伸張などのデジタル信号処理を備えさせる必要は無い。
しかも、本無線通信システムは、1つの基準信号に基づいて、アップコンバートおよびダウンコンバートを行うシステムのために、無線送信装置100および無線受信装置500で構成される無線通信システムにおいては、各局部発振器の周波数変動に伴う周波数の変動を調整するAFC(自動周波数制御)部を必要としない。それゆえ、電子機器の小型化および低コスト化が可能となる。
さらに、上記構成の電子機器は、ワイヤレスで映像信号などを出力、または記録できるため、アンテナのケーブル配線が簡易になる。また、例えば、映像信号が放送信号の多チャンネル放送であれば、多チャンネルの放送信号を一度に無線伝送することが可能となる。このため、複数の電子機器、例えば、TV受像機72やビデオレコーダ74には、異なったチャンネルを独立して同時に表示し、記録することが可能となる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。