JP4697950B2 - 近赤外線吸収フィルタ及びこれを用いた光学フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は光学用の用途に用いられるフィルタに関する。更に詳しくは、本発明は近赤外線吸収能を有する近赤外線吸収フィルタ及びこれを用いたプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)の視認側に設置するに有用な光学フィルタに関する。
近赤外線は電気機器類を遠隔操作するときのビームとして使用されるため、近赤外線を放出する機器類は周辺に設置されている電気機器類を誤動作させてしまう恐れがあり、そのような機器類の前面には近赤外線を遮蔽する機能を有するフィルタを設置する必要がある。
PDPの原理は2枚の板状ガラスで挟まれたセルに封入した希ガス(ネオン、キセノン等)に電圧をかけ、そのときに生じる紫外線をセル壁面に処理された発光体に当てることで映像に必要な可視光線を発生させるものであるが、可視光線と同時に近赤外線、人体に有害な電磁波、ネオンガスに起因し、赤色光の純度を下げる橙色光線(以下、ネオン光と記す)等の有害な電磁波も一緒に放出されるため、PDPでは有益な可視光線は透過させるが、近赤外線をはじめとする有害な電磁波は遮蔽する必要があり、そのための光学フィルタが必要とされる。
光学フィルタに使用される近赤外線吸収フィルタは近赤外線を遮蔽するために使用され、これには近赤外線を吸収する化合物を透明支持体の表面や、人体に有害とされる電磁波を遮蔽するフィルム(以下、電磁波遮蔽フィルムと記す)等の透明機能性フィルムの表面に高分子樹脂をバインダーにして被覆する方法がある。ここで使用される近赤外線吸収化合物としては、いくつかの種類があるが、通常、近赤外線吸収に必要とされる波長域をカバーすべく、その吸収波長域が広いジイモニウム塩化合物をベースとして、他の数種類の化合物が組み合わされて使用される。しかし、ジイモニウム塩化合物としては、六フッ化アンチモン酸イオンのジイモニウム塩化合物が主に使用されているが、この化合物は、劇物に該当すること、環境問題に端を発する重金属等の規制が厳しくなりつつあることなどから、より安全で近赤外線の吸収波長域の広いジイモニウム塩化合物が望まれていた。これを解決する手段として、ナフタレンジスルホン酸等の有機対イオンを使用した化合物(特許文献1)やトリフルオロメタンスルホン酸イオン等を用いた化合物(特許文献2)が開示されているが、ジイモニウム塩化合物は一般的に耐熱安定性や、耐湿熱安定性が不十分であるという特性は、これらの化合物においても依然として改善されていない。
ジイモニウム塩化合物の安定化技術としては、特許文献3に高分子樹脂膜層に残存する溶剤量を一定割合以下に制御した状態でジイモニウム塩化合物を含有させることにより安定化できることが開示されているが、残存溶剤量をコントロールする手間が必要であり、より一般的な被覆方法、乾燥方法で耐熱性、耐湿熱性の良いジイモニウム塩化合物を含有する高分子樹脂膜層を得る方法が望まれていた。又、特許文献4にはトリ(フルオロメタンスルホニル)イミドアニオンとトリ(フルオロメタンスルホニル)カルボアニオンとのジイモニウム塩化合物が透明高分子樹脂の被膜層に含有された近赤外線吸収能を有する光学フィルタが開示され、トリ(フルオロメタンスルホニル)イミドアニオンのジイモニウム塩化合物については具体的な化合物例により耐熱性、耐湿熱性が良好であることが開示されている。但し、トリ(フルオロアルキルスルホニル)カルボアニオンのジイモニウム塩化合物に関しては、その具体的な化合物名や製法若しくは物性又は使用例についての記述は見られない。
また、近赤外線吸収化合物を保持させる方法として、高分子樹脂膜層以外に粘着層に含有させる方法があり、この方法では光学フィルタを構成する反射防止フィルムや電磁波遮蔽フィルム等の機能性フィルムの粘着層に含有させることができるため、近赤外線吸収化合物を含有する層を別途設ける方法に比べ、塗工工程が1工程省けるのでコストメリット等が大きいが、高分子樹脂膜層に含有させる場合に比べ、一段と耐熱性、耐湿熱性が劣るようになるため、技術的ハードルが高いとされてきた。特許文献4にはトリ(フルオロメタンスルホニル)カルボアニオンのジイモニウム塩化合物は言うに及ばず、トリ(フルオロメタンスルホニル)イミドアニオンのジイモニウム塩化合物についても、これを粘着層に含有させて安定化する方法に関する記載はされておらず、粘着層に近赤外線吸収能を有する化合物を含有させて安定な近赤外線吸収フィルムを得る技術の開発が望まれていた。
特開平10−316633号公報(第5頁) 特公平7−51555号公報(第2頁) 特開2000−227515号公報 特開2005−49848号公報(第2−12頁) 特公昭43−25335号公報(第7−14頁) 特開2004−182936号公報(第3−11頁) 特開2004−309655号公報
近赤外線における吸収波長域が比較的広いジイモニウム塩化合物で、これを粘着層に含有させても優れた耐熱性、耐湿熱性を保持できる化合物を見出し、これを粘着層に含有させた近赤外線吸収フィルタ、更にはこれを利用した光学フィルタを開発することが本発明の課題である。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の陰イオンを有するジイモニウム塩化合物を含有する粘着層を設けた近赤外線吸収フィルタ及びこれを利用した光学フィルタが上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は
(1)式(1)で示されるジイモニウム塩化合物を含有する粘着層を透明支持体上に有することを特徴とする近赤外線吸収フィルタ、
Figure 0004697950
(式(1)中、R1乃至R8はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R9乃至R11はそれぞれ独立にハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基をそれぞれ表す。)、
(2)式(1)のR1乃至R8の少なくとも1つが分岐鎖アルキル基である(1)記載の近赤外線吸収フィルタ、
(3)式(1)のR1乃至R8のすべてが分岐鎖アルキル基である(2)記載の近赤外線吸収フィルタ、
(4)分岐鎖アルキル基のすべてが末端が分岐したC3〜C5のアルキル基である(3)記載の近赤外線吸収フィルタ、
(5)式(1)のR9乃至R11のすべてが含フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基である(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ、
(6)含フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基のすべてがトリフルオロメチル基である(5)記載の近赤外線吸収フィルタ、
(7)式(1)のR1乃至R8のすべてがiso−ブチル基である(6)記載の近赤外線吸収フィルタ、
(8)近赤外線吸収性能を有するフタロシアニン系化合物が式(1)で示されるジイモニウム塩化合物と共に粘着層に含有されている(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ、
(9)粘着層に防錆剤が含有されている(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ、
(10)防錆剤が1H−ベンゾトリアゾールである(9)記載の近赤外線吸収フィルタ、
(11)粘着層に含有される有機酸の量が0.5重量%以下である(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ、
(12)波長550〜620nmに極大吸収を有する化合物が式(1)のジイモニウム塩化合物と共に粘着層に含有されることを特徴とする(1)乃至(11)のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ、
(13)(1)乃至(12)のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ及び電磁波遮蔽層を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ、
に関する。
本発明に使用する近赤外線吸収能を有する前記式(1)のジイモニウム塩化合物は、アンチモン等の重金属を含まないため、劇物に該当せず、これを使用した近赤外線吸収フィルタは700〜1100nmの波長域の近赤外線を良好に吸収し、さらにこれを粘着層に含有させた場合にも優れた耐熱性、耐湿熱性を示し、近赤外線吸収能の劣化、層の変色および面質の劣化などを起こさず、この近赤外線吸収フィルタと他の機能性フィルムと複合したPDP用光学フィルタは優れた性能を示し、前記課題に充分対応出来るものである。
本発明の近赤外線吸収フィルタは近赤外線吸収能を有するジイモニウムカチオンと2個のトリアルキルスルホニルカルボアニオンとから得られる式(1)で表されるジイモニウム塩化合物を透明支持体上に設けられる粘着層に含有させることを特徴としたフィルム状を呈した光学用フィルタであり、700〜1100nmの波長域の近赤外線を良好に吸収する。
式(1)においてR9乃至R11は互いに独立にハロゲン原子を有していても良い脂肪族炭化水素基を表す。脂肪族炭化水素基としては飽和及び不飽和の直鎖及び分岐鎖のアルキル基が挙げられ、炭素数は1乃至10が好ましく、さらに好ましくは1乃至5が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素又は臭素が好ましく、フッ素原子が最も好ましい。R9乃至R11の具体例としては、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジフルオロクロロメチル基、エチル基、ペンタフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ジフルオロエチル基、モノフルオロエチル基、ヘキサフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基又はペルフルオロブチル基などの飽和の直鎖アルキル基、アリル基、テトラフルオロアリル基、トリフルオロエチレン基又はペルフルオロブチルエチレン基などの不飽和アルキル基、イソプロピル基、ペンタフルオロイソプロピル基又はペルフルオロ−3−メチルブチル基などの分岐鎖アルキル基などが挙げられ、R9乃至R11のすべてが同じ基であるものが好ましい。
また、これらのうち、R9乃至R11のすべてがフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であるものが好ましく、殊にR9乃至R11のすべてがトリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基又はパーフルオロブチル基であるものが好ましく、さらにはトリフルオロメチル基が好ましい。上記の各アルキル基は特に断りのない限り直鎖状を意味する。
1乃至R8は互いに独立に水素原子又は置換基を有していても良い脂肪族炭化水素基を表し、炭素数として好ましくは1乃至10、さらに好ましくは2乃至5である。尚、脂肪族炭化水素基とは飽和及び不飽和の直鎖、分岐鎖の脂肪族炭化水素から水素原子1個を除いた基を意味する。
置換基を有しない脂肪族炭化水素基の具体例としてはメチル基、エチル基,n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、ter−ペンチル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基又はペンチニル基等の直鎖、分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素基又は不飽和の脂肪族の炭化水素基で、置換基を有した脂肪族炭化水素基の具体例としては2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基、3−メトキシプロピル基又は4−メトキシブチル基などの脂肪族炭化水素基等が挙げられるが、R1乃至R8の内、少なくとも1つが分岐鎖のアルキル基、とりわけすべてが末端で分岐しているアルキル基であるものが好ましく、更には末端が分岐したC3〜C5のアルキル基がより好ましく、R1乃至R8のすべてがiso−ブチル基であるものが特に好ましい。
本発明において式(1)で表されるジイモニウム塩化合物は、たとえば特許文献5に記載された方法に準じて得ることができる。即ち、p−フェニレンジアミンと1−クロロ−4−ニトロベンゼンをウルマン反応させて得られた生成物を還元することにより得られる下記式(2)
Figure 0004697950
で表される化合物を有機溶媒中、好ましくはDMF(ジメチルホルムアミド)、DMI(ジメチルイミダゾリジノン)、又はNMP(N−メチルピロリドン)等の水溶性極性溶媒中、50〜140℃で、所望のR1〜R8に対応するハロゲン化化合物(例えば、R1〜R8がiso−ブチル基の場合はiso−C49Br)と反応させて全ての置換基が同一である化合物(式(3))を得ることができる。また、R1乃至R8の置換基が異なる場合、たとえば4つがn−ブチル基で残り4つがiso−ブチル基の場合には、式(2)の化合物1モルに対して所定のモル数の試薬、この場合は4モルのn−C49Brと反応させて4つのアミノ基にn−ブチル基を導入した後、残りの置換基を導入するのに必要なモル数の試薬、この場合は4モルのiso−C49Brと反応させることによって、4つがn−ブチル基で残り4つがiso−ブチル基である式(3)の化合物を製造することができる。
Figure 0004697950
(式(3)において、R1〜R8は式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
上記で合成した式(3)の化合物を、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン又はN−メチルピロリドン等の有機溶媒中、0〜100℃、好ましくは5〜70℃で下記式(4)に対応する酸化剤(例えば銀塩)を2当量添加して酸化反応を行う。また上記で合成した式(3)の化合物を硝酸銀、過塩素酸銀、塩化第二銅の酸化剤で酸化した後、その反応液に式(4)のアニオンの酸又は塩を添加し、反応することによっても式(1)で表されるジイモニウム塩化合物を合成することができる。
Figure 0004697950
次に本発明の近赤外線吸収フィルタに使用しうる式(1)で示されるジイモニウム塩化合物の具体例を挙げるが、これらに限定される訳ではない。
Figure 0004697950
表1において、(R1〜R8)の欄において( )中に記載の基は窒素原子に結合した基(n−はノルマルを、i−はイソをそれぞれ意味する)を、「4」は4個の窒素原子が( )中に記載の基で置換されていることをそれぞれ意味する。又、R9、R10及びR11において炭素数3以上のアルキレン部はいずれもノルマルである。
本発明で使用される前記式(1)で示されるジイモニウム塩は単独で粘着層に含有させても良いが、要望される近赤外線の吸収波長域や吸収割合、或いは価格などの兼ね合いで他の1種類以上の近赤外線吸収化合物と併用しても良く、他の近赤外線吸収化合物の例としては、本ジイモニウム塩化合物以外のジイモニウム塩化合物、ニトロソ化合物及びその金属塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、ナフトキノン系化合物又はアントラキノン系化合物などが挙げられるが、溶剤溶解性や粘着層に含有された状態での耐熱性、耐光性等の耐久性に優れたものが選択される必要がある。なかでも安定性等の点でフタロシアニン系化合物が好適であり、具体的には特許文献6や特許文献7に記載の化合物がこれに該当し、市場から容易に得られるものとしては日本触媒社製の「イーエクスカラー」シリーズ、山本化成社製「YKR」シリーズ等が挙げられる。
本発明の近赤外線吸収フィルタは、式(1)のジイモニウム塩化合物(以下、「本ジイモニウム塩化合物」と記す)単独で、あるいはこれと他の近赤外線吸収化合物と併用して(以下、式(1)のジイモニウム塩化合物と他の近赤外線吸収化合物を併せて使用する場合は、「本近赤外線吸収化合物」と記す)もよく、透明支持体上の粘着層に保持されていることを特徴としている。本ジイモニウム化合物は吸収波長域の広さ、取り扱いやすさ等から、単独で、又は本近赤外線吸収化合物のベースとして使用され、その使用量は特に限定されるわけではないが、本近赤外線吸収化合物中に40〜100重量%含有される。
以下本発明の近赤外線吸収フィルタの製法について詳細に説明する。
本発明に使用される透明支持体は透明性が高く、傷などがなく、光学フィルムとしての使用に耐えられるものであれば特に種類や厚さは限定されないが、ポリエステル系(以下、PETと記す)、ポリカーボネート系、トリアセテート系、ノルボルネン系、アクリル系、セルロース系、ポリオレフィン系又はウレタン系等の高分子樹脂フィルムがその具体例として挙げられ、外部からの紫外線を吸収してフィルム等の内部部材の機能の安定化をはかるための紫外線吸収物質が含有されている透明支持体を使用することもできる。その表面には塗工剤との密着性を上げるためにコロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理やアンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施しても良い。また、透明支持体が、例えば減反射性、防眩・減反射性、帯電防止性、防汚性、ネオン光吸収性、電磁波遮蔽性又は色調調整などの機能を単独あるいは複数有するフィルムやシートであれば更に好ましく、これらの上に近赤外線吸収能を有する粘着層を設けた場合は、透明支持体に付与されている機能と近赤外線吸収性能を同時に保有できる光学フィルタが得られるようになるので、そのような態様は合理的であり優れた形態のフィルタとなる。
次に、前記したような機能性を保持させた透明支持体(フィルム)の例について以下に説明するが、これらに限定されるものではない。
減反射フィルムはPETなどの透明支持体の表面に、低屈折率剤を高分子樹脂バインダー及びその他の添加剤と共にコーティングして外部からの光の反射を抑えたフィルム又は透明支持体と低屈折率層との間にハードコート層、高屈折率層を施し、各層による反射光を打ち消すようにコントロールして視認性を良くしたフィルムであり、防眩・減反射フィルムは減反射フィルムの高屈折率層やその他の層に微細粒子を含有させて外部からの光を乱反射させて更に視認性を良くしたフィルムで、アークトップシリーズ(旭硝子製)、カヤコートARSシリーズ(日本化薬製)、カヤコートAGRSシリーズ(日本化薬製)、リアルックシリーズ(日本油脂製)等として未粘着加工の減反射性フィルムが透明支持体として利用できるが、これらは市場から入手することが可能である。
電磁波を遮蔽する方法には銅などの金属の極細線を網目のような幾何学模様に透明支持体に保持させたメッシュタイプと、光透過性を有する範囲で極薄膜を透明支持体に保持させた薄膜タイプがあり、薄膜タイプは一般的に近赤外線を反射し透過させないので、特に近赤外線吸収フィルタを必要としないため、本発明においてはメッシュタイプの電磁波遮蔽フィルムが透明支持体として使用される。
本発明に使用される、その他の機能性を有する透明支持体としては、ネオン光吸収性、紫外線吸収性、帯電防止性、防汚性、色調調整等の、機能を単独あるいは複数同時に保持させたフィルムがあるが、これらはそれらの性能を有する化合物を含有する樹脂組成物から成形する方法などによりそれ自体公知の方法に準じて調製することが出来る。
本ジイモニウム塩化合物又は本近赤外線吸収化合物はこれらを、
(1) 透明支持体の表面(透明支持体が上記機能を有する場合は、その機能を阻害しない側の表面)に、粘着層を塗工する際に、本ジイモニウム塩化合物又は本近赤外線吸収化合物を粘着剤に含有させて粘着層を形成し保持させる方法、
(2) 透明支持体の表面に高分子樹脂をバインダーとして本ジイモニウム塩化合物又は本近赤外線吸収化合物を含有する高分子樹脂膜層(オ−バ−コ−ト層)として保持させる方法、等により光学フィルタ中に保持することが可能であるが、高分子樹脂膜層を設ける方法(2)に比べ粘着層に含有させる方法(1)は前述したように塗工工程が1工程省けるのでコストメリットを考慮して本発明においては(1)の方法を採用する。
本ジイモニウム塩化合物又は本近赤外線吸収化合物を透明支持体上に設けられる粘着層に含有させる方法について説明する。
粘着層の主体となるバインダー樹脂は本ジイモニウム塩化合物又は本近赤外線吸収化合物を均一に分散でき、透明支持体の表面に透明に密着でき、フィルタの機能を損なわないものであれば特に限定されないが、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、ゴム系又はシリコン系樹脂等の粘着材が挙げられ、透明性、接着性、耐熱性等に優れている点でアクリル系樹脂粘着材が好適である。アクリル系樹脂粘着材は、官能基を持たないアクリル酸系アルキルエステルを主成分として、これに官能基を有するアクリル酸系アルキルエステルやアクリル酸系アルキルエステル以外の他の単量体成分を共重合させたものである。その官能基を有するアクリル酸系アルキルエステルやアクリル酸系アルキルエステル以外の他の単量体成分の共重合割合は、官能基を持たないアクリル酸系アルキルエステル成分100重量部あたり0.1〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
官能基を持たないアクリル酸系アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル又は(メタ)アクリル酸ドデシルなどの、アルキル基の炭素数が1〜12であるアクリル酸アルキルエステル乃至メタアクリル酸アルキルエステルが挙げられるが、これらは必要に応じ2種類以上を併用しても良い。
官能基を有するアクリル酸系アルキルエステル又はアクリル酸系アルキルエステル以外の単量体としては、後記する架橋剤との架橋点などとして機能するものが用いられ、その種類について特に限定はないが、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ter−ブチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸系単量体、又はアクリル酸、マレイン酸などが挙げられ、これらは必要に応じて2種類以上を併用しても良い。
粘着剤は架橋剤を配合することにより前記アクリル酸系樹脂等を架橋しうる組成で用いるのが好ましい。架橋剤としては前記の単量体の種類に応じて適宜用いられ、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物などの脂肪族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート又はトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物等の芳香族ジイソシアネートの如きポリイソシアネート化合物、ブチルエーテル化スチロールメラミン、トリメチロールメラミンの如きメラミン化合物、ヘキサメチレンジアミン又はトリエチルジアミン等のジアミン化合物、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン等のエポキシ樹脂系化合物、尿素樹脂系化合物、塩化アルミニウム、塩化第二鉄又は硫酸アルミニウム等の金属塩等が用いられ、その配合量は、通例、アクリル樹脂100重量部あたり0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部程度である。
粘着力、凝集力に優れると共に、ポリマー中に不飽和結合がないため光や酸素に対する安定性が高く、また、モノマーの種類や分子量の選択の自由度が高いという理由からアクリル樹脂系粘着剤を使用するのが好ましい。粘着剤は透明支持体への密着性を保持するために分子量(重合度)の高いもの、即ち、主ポリマーの重量平均分子量(Mw)は60万〜200万程度が好ましく、より好ましくは80万〜180万程度である。
PDPにおいて、加電圧時に発生するNeガス等に由来する波長550〜620nmの橙色のネオン光は、赤色光の色純度を下げるためディスプレー前面である程度カットする必要があるので、ネオン光吸収化合物を透明支持体に保持させたネオン光吸収フィルタが通常使用されるが、本発明の近赤外線吸収能を有する粘着層にネオン光吸収能を有する化合物を含有させことにより、近赤外線とネオン光を同時に吸収できる粘着層を得ることができる。尚、ネオン光吸収化合物としては、例えばアザポルフィリン系、シアニン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系又はアゾ系等の化合物が挙げられるが、粘着層に含有させる場合には耐熱性、耐湿熱性等の点からテトラアザポルフィリン系化合物がより好ましい。
PDPの表面からは人体の健康に良くないとされる電磁波も発生するため、ディスプレイの前面に電磁波遮蔽フィルタも必要とされ、タイプの異なった電磁波遮蔽フィルタが使用されているが、電磁波遮蔽能力が優れているため、メッシュタイプの電磁波遮蔽フィルタが多く使用されている。このフィルタは銅等の金属を透明支持体に網目(メッシュ)等の幾何学模様を極細線状に保持させたものであり、PDPの前面に設置して有害電磁波を捕捉し、アースすることによって逃がし、視認側に出ないようにするものであるが、その製造方法や形態によっては銅等の金属メッシュ面が表面に、空気に触れる状態で施されているため、その面に粘着層を施したり、他の機能性フィルムに粘着層を施し、その粘着層を介してその面に貼合したりすると、銅等の金属の酸化が主原因となる粘着層の変色が起こり、耐久性に問題が生じることがある。この問題を解決するには、
(1) あらかじめ粘着層に変色を防止するための防錆剤を含有させる、
(2) 粘着層の有機酸の量を極力少なくする、
方法が有効であることが判った。
また、メッシュタイプの電磁波遮蔽フィルムは、銅等の金属箔を密着性良く貼り付けるために、銅箔表面を粗面にしておき、接着剤で透明支持体に貼り合せた後、エッチングによって格子線だけ残してそれ以外の部分を溶解除去する方法などによって製造されるため、銅箔の粗面が透明支持体上の固化した接着剤面に転写されてフィルムの透明性が欠けることになる。そのため、その上から高分子樹脂を処理して平滑面にして透明化を図ったりするが、透明化処理はコストアップの原因ともなるので省略したいところである。本発明の防錆剤を含有させた粘着層は銅等の金属格子面(以下、メッシュ面と記す)が表面に出ているメッシュタイプの電磁波遮蔽フィルム、つまり、この透明化処理されていない電磁波遮蔽フィルムに適用するものであり、メッシュ面にこの粘着層を施すか、この粘着層が施された機能性フィルムを粘着層を介して電磁波遮蔽フィルムのメッシュ面に加圧貼合することにより、接着剤面の粗面が解消され透明化できることが分かり、より合理的な方法が可能になった。尚、粘着層の屈折率は粗面接着剤層の屈折率に近いほうが透明性が向上するので、粘着剤の処方にはそのような配慮も必要である。
(1)の方法で使用する防錆剤としては金属の錆発生を防止するものであれば得に限定はされないが、2−アミノピリジン、2−アミノピリミジン、2−アミノキノリン、アミノトリアジン又はアミノトリアゾール及びこれらの置換誘導体、ベンゾトリアゾール系化合物、フェニルテトラゾール、2−アミノトリチアゾール等が挙げられ、中でもベンゾトリアゾール系化合物が好ましく、取り扱いやすさの面から1H−ベンゾトリアゾールがより好ましい。その使用量は粘着塗工後の粘着層に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。(2)の方法については、粘着剤に使用されるアクリル酸やマレイン酸等のカルボキシル基含有モノマー等の有機酸物質の使用量を極力抑えたり、必要により精製工程を加えることにより、粘着層におけるそれらの有機酸単量体の含有量が0.5重量%以下になるようにすることによって目的を達成できる。
本ジイモニウム塩化合物又は本近赤外線吸収化合物を、粘着剤の主成分である粘着材、重合開始剤、架橋剤、紫外線吸収剤、色調調整色素及びその他必要とされる添加剤と共にメチルエチルケトン(MEK)等の溶剤に十分に溶解又は分散させて粘着液剤とし、透明支持体の表面に、乾燥後の層厚が5〜100μm、好ましくは10〜50μmになるように塗工する。その塗工方法は特に限定されず、バーコーター、リバースコーター、コンマコーター又はグラビアコーター等によって塗布し、乾燥して粘着層を密着させる方法や、離型フィルムに粘着液剤をバーコーター、リバースコーター、コンマコーター、グラビアコーター等によって透明支持体上に塗布し、乾燥した後、粘着層を透明支持体に転写する方法等が挙げられ、本発明の近赤外線吸収フィルタは、波長700〜1100nmの近赤外線の透過率が10%以下になるよう設計されるのが好ましく、本ジイモニウム塩化合物又は本近赤外線吸収化合物もそれに合わせた量を使用すれば良く、粘着層に対して大体1〜20重量%になるように粘着液剤中に含有させればよい。
次に、本発明の光学フィルタは、透明支持体上に本ジイモニウム塩化合物又は本近赤外線吸収化合物を含有した粘着層が設けられている本発明の近赤外線吸収フィルムを最低の構成要素としてこれと下記するようなその他の機能を有する透明支持体(フィルム)とを、積層して得られる。本発明の光学フィルタはあらかじめ透明のガラス板やプラスチック板に貼合してPDPの前面に取り付けても、PDPの前面に直接貼合して使用してもよい。
下記の機能性を有する透明支持体例において、NIRは近赤外線を、Neはネオン光を表し、カッコで括った部分は本発明の近赤外線吸収フィルタを示すが、これらの構成例から明らかなように、減反射性透明支持体のような機能性を有する透明支持体の粘着層に本ジイモニウム塩化合物又は本近赤外線吸収化合物やネオン光吸収化合物を含有せしめることが好都合であることが分かる。
(1) (減反射性透明支持体/NIR・Ne吸収・色調整粘着層)/電磁波遮蔽フィルム、
(2) (減反射性透明支持体/NIR・色調整吸収粘着層)/電磁波遮蔽フィルム/粘着層/Ne吸収フィルム、
(3) 減反射フィルム/(NIR・Ne吸収粘着層/電磁波遮蔽透明支持体)、
(4) (防眩・減反射透明支持体/NIR・Ne吸収高分子樹脂膜層)/電磁波遮蔽フィルム、
(5) 減反射フィルム/(NIR・Ne吸収・色調整粘着層/PET透明支持体)/粘着層/電磁波遮蔽フィルム、
(6) 減反射フィルム/(NIR吸収粘着層/Ne吸収透明支持体)/電磁波遮蔽フィルム、
(7) 減反射フィルム/粘着層/電磁波遮蔽フィルム/(NIR吸収・色調整粘着層/Ne吸収透明支持体)、
(8) 減反射フィルム/粘着層/電磁波遮蔽フィルム/(NIR・Ne吸収粘着層/PET透明支持体)
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、実施例において部は重量部を、%は重量%をそれぞれ意味する。
実施例1
(ジイモニウム塩化合物の合成例1)
DMF20部中にN,N,N’,N’−テトラキス(p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル)−p−フェニレンジアミン4部を加え、60℃に加熱溶解した後、トリ(トリフルオロメタンスルホニル)カルボニウム酸58.4%水溶液(スリーエム社製)8部を加える。引き続いてDMF23.5部に溶解した硝酸銀1.6部を加え、30分間加熱撹拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水、メタノールを加え、析出した結晶をろ過、メタノール洗浄、水洗、乾燥し、式(1)のR1〜R8のすべてがiso−ブチル基である前記表1における化合物番号2の化合物7部を得た。
λmax;1109nm(ジクロロメタン)、モル吸光係数(ε);107000
下記表2に示す粘着剤用各原料を均一になるよう混合溶解した塗工液を、厚さ75μmの離型PETフィルム(商品名MRF−75;三菱化学ポリエステルフィルム製)上にコンマコーターで0.8m/分、乾燥温度110℃により、粘着層の厚さが18μmになるように塗工して乾燥し、近赤外線とネオン光を吸収するフィルムを得た。このフィルムを減反射フィルムであるカヤコートARS−D250−125(日本化薬製)を透明支持体として、減反射コート層の反対面に貼り合わせて35℃で2日間静置してエージングし、減反射性と粘着層に近赤外線吸収性及びネオン光吸収性を有し、色調調整された本発明の近赤外線吸収フィルタを得た。更にこのフィルタの離型フィルムを剥離し、粘着層を介して下記電磁波遮蔽フィルム1に貼合し、(減反射性透明支持体/NIR・Ne吸収・色調整粘着層)/電磁波遮蔽フィルムの構成の製造が簡便で光学性能に優れたPDP用の光学フィルタを得た。
表2
材 料 使用量
化合物番号2のジイモニウム塩化合物 1.0部
ネオン光吸収剤(商品名TAP−2;山田化学工業製) 0.096部
紫外線吸収剤(商品名チヌビン109;チバガイギー製) 1.2部
黄色色素(商品名KAKASET Yellow GN) 0.006部
青色色素(商品名KAYASET Blue N) 0.0072部
アクリル系樹脂(商品名PTR−2500T;日本化薬製) 120.0部
硬化剤(商品名M12ATY;日本化薬製) 0.324部
硬化剤(商品名L45EY;日本化薬製) 0.444部
硬化剤(商品名C−50;綜研化学製) 0.142部
メチルエチルケトン 84.0部
(註)商品名TAP−2;テトラアザポルフィリン化合物、商品名チヌビン109;ベンゾトリアゾール系化合物、黄色色素(color index);ソルベント イエロー93、青色色素(color index);ソルベントブルー35、商品名M12ATY;金属キレート化合物、商品名L45EY;イソシアネート化合物、商品名C−50;シランカップリング剤
(電磁波遮蔽フィルム1の作製)
厚さ50μmのPETフィルム(商品名コスモシャインA−4100;東洋紡績製)を用い、その上に接着層となるエポキシ系接着シート(ニカフレックスSAF;ニッカン工業製、厚さ20μm)を介して導電性材料である厚さ18μmで粗面を有す電解銅箔を、その粗面がエポキシ系接着シート側になるようにして、180℃、30kgf/cm2の条件で加熱ラミネートして接着させた。得られた銅箔付PETフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼合−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅25μm、ライン間隔500μmの銅格子パターンをPETフィルム上に形成し、銅格子パターン面に透明化処理として、表3の接着剤組成物を均一に混合した接着剤を乾燥塗布厚が約40μmになるように塗布、乾燥して透明性を有する電磁波遮蔽フィルム1を得た。
表3
材 料 使用量
TBA−HME(高分子エポキシ樹脂;日立化成工業社製) 100部
YD−8125(ビスフェノールA型エポキシ樹脂;東都化成社製) 25部
IPDI(マスクイソシアネート;日立化成工業社製)) 12.5部
2−エチルー4−メチルイミダゾール 0.3部
MEK 300部
シクロヘキサノン 15部
実施例2
表2に示す粘着剤原料に防錆剤1H−ベンゾトリアゾール0.067部を加えてよく混合溶解した塗工液を使用する以外は、実施例1と同様の方法で減反射性と粘着層に近赤外線吸収性及びネオン光吸収性を有し、防錆剤を含有する本発明の近赤外線吸収フィルタを得た。更にこのフィルタの離型フィルムを剥離し、粘着層を介して下記の電磁波遮蔽フィルム2のメッシュ面に貼合し、(減反射性透明支持体/NIR・Ne吸収・色調整粘着層)/電磁波遮蔽フィルム2の構成の製造が簡便で、透明性も良い光学性能に優れたPDP用の光学フィルタを得た。
(電磁波遮蔽フィルム2の作製)
厚さ100μmのPETフィルム(商品名コスモシャインA−4100;東洋紡績製)を用い、その上に接着層となるエポキシ系接着シート(ニカフレックスSAF;ニッカン工業製、厚さ20μm)を介して導電性材料である厚さ18μmで粗面を有す電解銅箔を、その粗面がエポキシ系接着シート側になるようにして、180℃、30kgf/cm2の条件で加熱ラミネートして接着させた。得られた銅箔付PETフィルムにフォトリソ工程(レジストフィルム貼合−露光−現像−ケミカルエッチング−レジストフィルム剥離)を経て、ライン幅25μm、ライン間隔500μmの銅格子パターンをPETフィルム上に形成して透明性が若干欠ける電磁波遮蔽フィルム2を得た。
実施例3
前記表2に示す粘着剤原料のアクリル系樹脂(商品名PTR−2500T;日本化薬製)に代えて有機酸無添加のアクリル酸樹脂(商品名PTR−5500;日本化薬製)を使用する以外は、実施例1と同様の方法で減反射性と粘着層に有機酸無添加の近赤外線吸収性及びネオン光吸収性を有する本発明の近赤外線吸収フィルタを得た。更にこのフィルタの離型フィルムを剥離し、粘着層を介して前記電磁波遮蔽フィルム2のメッシュ面に貼合し、(減反射性透明支持体/NIR・Ne吸収・色調整粘着層)/電磁波遮蔽フィルム2の構成の製造が簡便で光学性能に優れたPDP用の光学フィルタを得た。
実施例4
表2に示す材料に近赤外線吸収性を有すフタロシアニン系化合物であるイーエクスカラー HA−1(日本触媒社製)を0.1部加えてよく混合溶解した塗工液を使用する以外は、実施例1と同様の方法で減反射性と粘着層に近赤外線吸収性及びネオン光吸収性を有し、色調調整された本発明の近赤外線吸収フィルタを得た。更にこのフィルタの離型フィルムを剥離し、粘着層を介して電磁波遮蔽フィルム1に貼合し、(減反射性透明支持体/NIR・Ne吸収・色調整粘着層)/電磁波遮蔽フィルムの構成の、製造が簡便で実施例1より近赤外線吸収能を更に強化したPDP用光学フィルタを得た。
実施例5
前記表2に示す粘着剤用各原料において、ネオン光吸収剤、黄色色素及び青色色素を用いない他は同表におけるのと同じ原材料を使用し、又透明支持体のカヤコートARS−D250−125(日本化薬製)の代わりに厚さ100μmのPETフィルム(商品名コスモシャインA4300;東洋紡製)を使用する以外は実施例1と同様の方法でPETフィルムを透明支持体とし、粘着層に近赤外線吸収性を有する本発明の近赤外線吸収フィルタを得た。
実施例6
(ジイモニウム塩化合物の合成例2)
合成例1においてN,N,N’,N’−テトラキス(p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル)−p−フェニレンジアミンの代わりにN,N,N’,N’−テトラキス(p−ジ(n−ブチル)アミノフェニル)−p−フェニレンジアミンを使用する以外は合成例1と同様の方法で、式(1)のR1〜R8のすべてがn−ブチル基で、アニオンがトリ(フルオロメタン)カルボアニオンである前記表1における化合物番号1のジイモニウム塩化合物7部を得た。
λmax;1101nm(ジクロロメタン)、モル吸光係数(ε);107000
合成例1の化合物の代わりに合成例2のジイモニウム塩化合物を使用する以外は実施例4と同様の方法でPETフィルムが透明支持体で粘着層に近赤外線吸収性を有する近赤外線吸収フィルタを得た。
対照例1
前記表1における化合物番号1のジイモニウム塩化合物の代わりに、下記式(5)のジイモニウム塩化合物を使用する以外は実施例4と同様の方法でPETフィルムが透明支持体で、粘着層に近赤外線吸収性を有する比較用近赤外線吸収フィルタを得た。
Figure 0004697950
対照例2
前記表1における化合物番号1のジイモニウム塩化合物の代わりに、下記式(6)のジイモニウム塩化合物を使用する以外は実施例4と同様の方法でPETが透明支持体で、粘着層に近赤外線吸収性を有する比較用近赤外線吸収フィルタを得た。
Figure 0004697950
対照例3
前記表1における化合物番号1のジイモニウム塩化合物の代わりに、下記式(7)のジイモニウム塩化合物を使用する以外は実施例4と同様な方法でPETが透明支持体で、粘着層に近赤外線吸収性を有する比較用近赤外線吸収フィルタを得た。
Figure 0004697950
(性能試験)
PETフィルムを透明支持体にした実施例4乃至実施例5と対照例1乃至対照例3の各近赤外線吸収フィルタについて耐熱性及び耐湿熱性を試験した。
ジイモニウム塩化合物の耐熱性、耐湿熱性の低下の特徴は波長400〜480nmの可視部光線及び近赤外線(波長700〜1100nm)における吸収能の変化として現れるため、この波長領域(3波長を選択)における吸収能の変化を測定した。即ち、実施例及び対照例の各験験片を粘着層を介して厚さ1mmのフロートガラスに貼合し、耐熱性試験では80℃、耐湿熱性試験では60℃、相対湿度90%の恒温・恒湿槽内に94時間それぞれ静置した後、試験前後の3波長(430nm、880nm、980nm)における光線透過率の測定及び粘着層の外観の観察を行った。
表4及び表5には、外観観察結果及び各波長における透過率の変化(各波長における試験後透過率(%)−試験前透過率(%))を示した。
表4及び表5の結果から分かるように、耐熱性、耐湿熱性とも、実施例4及び実施例5の試験片は対照例2及び対照例3の試験片に比べて粘着層のムラの発生がなく、波長430nmにおける変化も対照例2、対照例3より少なくそれが外観変化が良好な原因になっている。これに対して、対照例1の試験片は近赤外線吸収率が著しく低下した。実施例4の化合物番号2のジイモニウム塩化合物は実施例5の化合物番号1のジイモニウム塩化合物より各波長における透過率変化が少なく、外観変化もなく、特に優れていた。
表4
試験例1(耐熱性)
Figure 0004697950
表5
試験例2(耐湿熱性)
Figure 0004697950

Claims (12)

  1. 近赤外線吸収性能を有するフタロシアニン系化合物と式(1)で示されるジイモニウム塩化合物共に含有する粘着層を透明支持体上に有することを特徴とする近赤外線吸収フィルタ。
    Figure 0004697950

    (式(1)中、R1乃至R8はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を、R9乃至R11はそれぞれ独立にハロゲン原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基をそれぞれ表す。)
  2. 式(1)のR1乃至R8の少なくとも1つが分岐鎖アルキル基である請求項1記載の近赤外線吸収フィルタ。
  3. 式(1)のR1乃至R8のすべてが分岐鎖アルキル基である請求項2記載の近赤外線吸収フィルタ。
  4. 分岐鎖アルキル基のすべてが末端が分岐したC3〜C5のアルキル基である請求項3記載の近赤外線吸収フィルタ。
  5. 式(1)のR9乃至R11のすべてが含フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基である請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ。
  6. 含フッ素原子を有する脂肪族炭化水素基のすべてがトリフルオロメチル基である請求項5記載の近赤外線吸収フィルタ。
  7. 式(1)のR1乃至R8のすべてがiso−ブチル基である請求項6記載の近赤外線吸収フィルタ。
  8. 粘着層に防錆剤が含有されている請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ。
  9. 防錆剤が1H−ベンゾトリアゾールである請求項記載の近赤外線吸収フィルタ。
  10. 粘着層に含有される有機酸の量が0.5重量%以下である請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ。
  11. 波長550〜620nmに極大吸収を有する化合物が式(1)のジイモニウム塩化合物と共に粘着層に含有されることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルタ及び電磁波遮蔽層を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
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