JP4697399B2 - 化学機械研磨パッド及び化学機械研磨方法 - Google Patents

化学機械研磨パッド及び化学機械研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、化学機械研磨パッド及び化学機械研磨方法に関する。
半導体装置の製造において、優れた平坦性を有する表面を形成することができる研磨方法として、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing=“CMP”)が注目されている。化学機械研磨は研磨パッドと被研磨体の被研磨面とを摺動させながら、パッド表面に、化学機械研磨用水系分散体(砥粒が分散された水系分散体)を流下させて被研磨体の研磨を行う技術である。この化学機械研磨においては、研磨パッドの性状及び特性等により研磨結果が大きく左右されることが知られている。
従来、化学機械研磨では微細な気泡を含有するポリウレタンフォームを研磨パッドとして用い、この樹脂の表面に開口する穴(以下、「ポア」という)にスラリーを保持させて研磨が行われている。このとき、化学機械研磨パッドの表面(研磨面)に溝を設けることにより研磨速度及び研磨結果を向上することが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
しかし、化学機械研磨パッドの材料としてポリウレタンフォームを用いると、発泡を自在に制御することは困難であるため、パッドの品質がばらつき、研磨速度及び加工状態がばらつくことが問題となっている。特に、引っ掻き傷状の表面欠陥(以下、「スクラッチ」という。)が発生する場合があり、改善が望まれている。また、ポリウレタンは一般に耐水性に劣るため、パッドの寿命の点で問題点を有している。
近年、発泡体を用いずにポアを形成できる化学機械研磨パッドとして、研磨パッドを構成する非水溶性樹脂中に水溶性粒子を分散させた研磨パッドが開示されている(例えば、特許文献4〜7参照)。この技術は、樹脂中に分散された水溶性粒子が、研磨時に化学機械研磨用水系分散体または水に接触して溶解することにより、ポアを形成するものである。この技術によると、ポアの分散状態を任意に制御できる利点があり、被研磨面の表面状態の改善はかなりの程度実現されて来つつある。また、研磨パッドを構成する非水溶性樹脂として耐水性に優れるエラストマーを使用することにより、パッドの寿命向上の効果も得られることが知られている。
ところで、半導体装置の容量向上のために、従来から配線を多層化することが行われている。
配線を多層化した半導体基板においては、各層間の絶縁をとるために、各層間に絶縁層がおかれる。このような多層化半導体基板は、一層目の配線を形成した後、その上に絶縁層を形成し、化学機械研磨工程によって絶縁層の表面を平坦化し、更に二層目の配線を形成し、これを繰り返すことにより多層化基板が製造されている。
ここで、各層間の絶縁膜の平坦化工程(化学機械研磨工程)においては、上層の配線を容易かつ精密に形成するために、高度の平坦性が要求される。この要求を満たすために化学機械研磨工程に使用する化学機械研磨パッドについて種々の検討が行われている。
しかし、従来知られている研磨パッドでは、層間絶縁膜の化学機械研磨工程において、十分な平坦性を示すものは知られていない。
また、近年、半導体装置の微細化を目的として、微細素子分離(Shallow Trench Isolation)、いわゆるSTI技術が検討されている。この技術は、シリコン基板に溝を形成した後、絶縁膜材料を堆積し、化学機械研磨工程により余剰の絶縁膜を除去するものである。STI技術では、化学機械研磨工程において研磨対象となるものが主として絶縁膜である。STIにおいては、主たる砥粒として酸化セリウムを含有する化学機械研磨用水系分散体を用いて化学機械研磨を行うことにより、表面欠陥の少ない被研磨面を高速に得られることが報告されている。(例えば、特許文献8、9参照。)。しかし、主たる砥粒として酸化セリウムを含有する化学機械研磨用水系分散体を用いて絶縁膜を研磨する際に、長寿命である利点を有する、マトリクス樹脂中に水溶性ポリマーを分散させた研磨パッドを使用すると、研磨速度が十分ではない場合があり、問題となっている。
特開平11−70463号公報 特開平8−216029号公報 特開平8−39423号公報 特表平8−500622号公報 特開2000−34416号公報 特開2000−33552号公報 特開平2001−334455号公報 特開2003−209076号公報 特開2002−190458号公報
本発明は、特に多層化配線基板の層間絶縁膜の化学機械研磨及びSTI技術に好適に適用でき、平坦な被研磨面が得られるとともに、高い研磨速度を与えることができる化学機械研磨パッド、及びその化学機械研磨パッドを用いる化学機械研磨方法を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、第一に、非水溶性部を有する化学機械研磨パッドであって、該非水溶性部が下記(A)成分及び(B)成分を含有し、ただし(B)成分の含有量が(A)成分と(B)成分の合計量に対して40質量%を超え70質量%以下であり、かつ平均ドメインサイズ0.1〜30μmの海島構造をなしていることを特徴とする化学機械研磨パッドによって達成される。
(A)(a1)ポリスチレン及び(a2)酸無水物構造を有する重合体、
(B)ジエン系(共)重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)。
本発明の上記目的は、第二に、上記の化学機械研磨パッドを用いて被研磨体を研磨することを特徴とする化学機械研磨方法によって達成される。
本発明によれば、平坦な被研磨面が得られるとともに、高い研磨速度を与えることができる化学機械研磨パッド、及びその化学機械研磨用パッドを用いて良好な表面状態の被研磨面を高い研磨速度で得られる化学機械研磨方法が提供される。
本発明の化学機械研磨パッドは、下記(A)成分及び(B)成分を含有し、ただし(B)成分の含有量が(A)成分と(B)成分の合計量に対して40質量%を超え70質量%以下であり、かつ平均ドメインサイズ0.1〜30μmの海島構造をなしている非水溶性部を有する。
(A)(a1)ポリスチレン及び(a2)酸無水物構造を有する重合体、
(B)ジエン系(共)重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)。
以下、本発明の化学機械研磨パッドの非水溶性部を構成する各成分について詳述する。
(A)(a1)ポリスチレン及び(a2)酸無水物構造を有する重合
本発明の化学機械研磨用パッドの非水溶性部は、(a1)ポリスチレン及び(a2)酸無水物構造を有する重合体を含有する。
(a1)ポリスチレ
ポリスチレンのメルトフローレート(ISO1133に準拠、200℃、5kgf)は好ましくは10〜20(g/10min)であり、更に好ましくは12〜18(g/10min)である。この範囲のメルトフローレートを示すポリスチレンを用いることにより、良好な研磨性能を示す化学機械研磨パッドを得ることができる。
(a2)酸無水物構造を有する重合体
上記(a2)酸無水物構造を有する重合体は、下記式(1)で表される酸無水物構造を有する重合体である。
Figure 0004697399
(a2)酸無水物構造を有する重合体は、上記式(1)で表される構造を有する限り特に制限はないが、例えば、(1)主鎖に酸無水物構造を有する重合体、(2)主鎖に酸無水物構造を有さず側鎖にのみ酸無水物構造を有する重合体、(3)主鎖及び側鎖の双方に酸無水物構造を有する重合体のいずれであっても良い。
上記(1)主鎖に酸無水物構造を有する重合体は、例えば、酸無水物構造を有する単量体の重合体又は酸無水物構造を有する単量体と酸無水物構造を有しない単量体との共重合体として得ることができる。
上記酸無水物構造を有する単量体としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等を上げることができる。上記酸無水物構造を有しない単量体としては、例えば共役ジエン化合物、芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル化合物等を挙げることができる。
共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン等;
芳香族系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等;
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等をそれぞれ挙げることができる。
上記(2)主鎖に酸無水物構造を有さず側鎖にのみ酸無水物構造を有する重合体は、主鎖に酸無水物構造を有さない重合体を、酸無水物構造を有する単量体で変性することにより得ることができる。ここで「変性」とは、例えば、主鎖に酸無水物構造を有さない重合体を、酸無水物基を有する単量体と過酸化物(過酸化水素、有機過酸化物等)の存在下で加熱し、主鎖に酸無水物構造を有さない重合体に酸無水物構造を有する側鎖を付加する方法、主鎖に酸無水物構造を有しない重合体を、分子内に少なくとも2つの酸無水物構造を有する化合物及び/又は分子内に酸無水物構造とカルボキシル基を有する化合物並びに触媒(酸、アルカリ又は金属触媒)の存在下で加熱し、主鎖に酸無水物構造を有さない重合体に酸無水物構造を有する側鎖を付加する方法等によって得ることができる。
ここで、上記主鎖に酸無水物構造を有さない重合体としては、例えばポリオレフィン、ジエン系(共)重合体、ジエン系(共)重合体の水素添加物、(メタ)アクリル酸エステル系重合体等を挙げることができる。
上記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体等;
上記ジエン系(共)重合体としては、例えば、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、イソプレンゴム等をそれぞれ挙げることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体を挙げることができる。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、γ−オキシプロピルトリメトキシ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、上記酸無水物構造を有する単量体としては、上記した(1)主鎖に酸無水物構造を有する重合体を合成するために用いる酸無水物基を有する単量体として例示したものを挙げることができる。
上記分子内に少なくとも2つの酸無水物構造を有する化合物としては、例えば無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等;
分子内に酸無水物構造とカルボキシル基を有する化合物としては、例えば無水トリメリット酸等をそれぞれ挙げることができる。
上記(3)主鎖及び側鎖の双方に酸無水物構造を有する重合体は、上記(1)主鎖に酸無水物構造を有する重合体を、酸無水物構造を有する単量体で変性することにより得ることができる。この場合の「変性」は上記(2)における変性と同様に行うことができる。
これらのうち、(2)主鎖に酸無水物構造を有さず側鎖にのみ酸無水物構造を有する重合体を使用することが好ましく、ポリオレフィン又はジエン系(共)重合体の水素添加物を、炭素−炭素二重結合を有するジカルボン酸無水物で変性したものを使用することが更に好ましく、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性スチレン/ブタジエン共重合体が特に好ましい。
本発明の化学機械研磨用パッドに使用することのできる(a2)酸無水物構造を有する重合体の好ましい酸価(重合体1gに含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量)は、0.1〜500mg−KOH/gであるのが好ましく、更に好ましくは0.5〜400mg−KOH/g、特に好ましくは1〜300mg−KOH/gである。この範囲の酸価を示す(a2)酸無水物構造を有する重合体を使用することにより、研磨速度と耐湿性のバランスに優れた研磨パッドを得ることができる。
なお、この酸価は、酸無水物構造もこの酸価の測定条件においては開環して、酸として計量されることになる。
(B)ジエン系(共)重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)。
本発明の化学機械研磨パッドの非水溶性部は、(B)ジエン系(共)重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)を含有する。
上記ジエン系(共)重合体としては、1,3−ブタジエン系重合体、イソプレン系重合体等を挙げることができる。
上記1,3−ブタジエン系重合体は、1,3−ブタジエンの単独重合体又は1,3−ブタジエン共重合体であり、ここで1,3−ブタジエン共重合体とは、1,3−ブタジエン及び1,3−ブタジエンと共重合可能な他の単量体との共重合体を意味する。1,3−ブタジエンと共重合させることができる他の単量体としては、例えば不飽和カルボン酸エステル化合物、シアン化ビニル化合物、等を挙げることができる。
上記不飽和カルボン酸エステル化合物及びシアン化ビニル化合物としては、スチレンと共重合可能な他の単量体として前述した不飽和カルボン酸エステル化合物及びシアン化ビニル化合物を同様のものを挙げることができる。
上記不飽和カルボン酸エステル化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等;
上記シアン化ビニル化合物としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等を挙げることができる。
上記1,3−ブタジエンの単独重合体の具体例としては、例えばブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン等を挙げることができる。
上記1,3−ブタジエン系共重合体の具体例としては、例えば、ブタジエン・アクリロニトリルゴム、ブタジエン・メチルメタクリレートゴム等を挙げることができる。
上記イソプレン系重合体としては例えばイソプレンゴム、天然ゴム等を挙げることができる。
本発明に使用する(B)ジエン系(共)重合体としては、1,3−ブタジエン系重合体であることが好ましく、1,2−ポリブタジエンであることが更に好ましい。なお、1,2−ポリブタジエン中の1,2−結合含量は、適宜の値のものを使用することができるが、化学機械研磨用パッドを製造する際の加工性と、得られる化学機械研磨パッドに適当な硬度を付与する観点から、好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上であり、特に90〜95%であることが好ましい。
本発明に使用する(B)ジエン系(共)重合体は、未架橋の状態で用いてもよいが、架橋して用いることが好ましい。
(A)成分として(a1)成分及び(a2)成分を双方とも使用する場合、これらの合計の使用量は、(A)成分と(B)成分の合計量に対して40質量%を超え70質量%以下である。
本発明の化学機械研磨パッドの非水溶性部は、上記(A)成分及び(B)成分を含有するものであるが、そのうちの少なくとも一つの成分が連続相(いわゆる「海」)を形成し、他の成分が平均ドメインサイズ0.1〜30μmの「島」として分散する海島構造をなしているものである。この平均ドメインサイズは、好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは0.2〜10μmである。なお、この平均ドメインサイズは連続相中において「島」を形成するドメインの最大長さの平均値をいう。非水溶性部を、上記範囲の平均ドメインサイズの海島構造とすることにより、研磨速度や強度、耐久性に優れ、かつ平坦性に優れた被研磨面を与える化学機械研磨パッドとすることができる。
ドメインの形状は問わないが、球形、ラグビーボール形等であることが好ましい。また、これらが複数接着した形状のものであってもよい。
この平均ドメインサイズは透過型電子顕微鏡等により測定することができる。具体的には、研磨パッドをミクロトーム等で薄片化し、その薄片を透過型電子顕微鏡で観察し、視野内に存在する各ドメインの最大長さの平均値を算出することにより知ることができる。ここで、薄片の厚さとしては好ましくは50〜200nm程度、より好ましくは100nm程度とすることができ、電子顕微鏡の倍率としては1500〜10000倍であることが好ましく、1500〜5000倍で観察することがより好ましい。
なお、(B)成分の含有量が(A)成分と(B)成分の合計量に対して40質量%を超える場合には、(B)成分が連続を形成しやすい傾向にあり、この場合には(a1)成分及び(a2)成分が島を形成する。一方、(B)成分の含有量が(A)成分と(B)成分の合計量に対して30質量%未満である場合には、(a1)成分が連続を形成しやすい傾向にあり(B)成分及び(a2)成分が島を形成することとなる。また、(B)成分の含有量が(A)成分と(B)成分の合計量に対して30〜40質量%である場合には、使用する(a1)成分及び(B)成分の種類により、どちらが連続相となるかが定まることになる。
なお、(a2)成分は、上記した推奨使用量の範囲では、連続相を形成せずに島となりやすい傾向にある。
本発明の化学機械研磨パッドは、上記した (A)(a1)ポリスチレン及び(a2)酸無水物構造を有する重合体、並びに(B)ジエン系(共)重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)を必須とするものであるが、必要に応じて(C)水溶性粒子、(D)その他の配合剤を原料として使用することができる。
(C)水溶性粒子
(C)水溶性粒子は、化学機械研磨パッド中において化学機械用水系分散体と接触することにより化学機械研磨パッドから離脱し、パッドの表面近傍にポアを形成する機能を有する粒子である。この離脱は、水系分散体中に含有される水等との接触により溶解することで生じてもよく、この水等を含有して膨潤し、ゲル状となることで生じるものであってもよい。更に、この溶解又は膨潤は水によるものばかりでなく、メタノール等のアルコール系溶剤を含有する水系混合媒体との接触によるものであってもよい。
水溶性粒子は、ポアを形成する効果以外にも、化学機械研磨用パッドとしたときのパッドの押し込み硬さを大きくする効果を有する。このことにより、被研磨体に負荷できる圧力を大きくでき、これに伴い研磨速度を向上させることができる。更に加えて、高い研磨平坦性が得られる。従って、この水溶性粒子は、研磨パッドにおいて十分な押し込み硬さを確保できる中実体であることが特に好ましい。
(C)水溶性粒子を構成する材料は特に限定されないが、例えば、有機系水溶性粒子及び無機系水溶性粒子が挙げられる。有機系水溶性粒子としては、デキストリン、シクロデキストリン、マンニット、糖類(乳糖等)、セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等)、でんぷん、蛋白質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性の感光性樹脂、スルフォン化ポリイソプレン、スルフォン化ポリイソプレン共重合体等から形成されたものが挙げられる。更に、無機系水溶性粒子としては、酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、リン酸カリウム、硝酸マグネシウム等から形成されたものが挙げられる。
これらのうち、有機系水溶性粒子を用いることが好ましく、特にシクロデキストリンを好ましく用いることができる。
これらの水溶性粒子は、上記各材料を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、所定の材料からなる1種の水溶性粒子であってもよく、異なる材料からなる2種以上の水溶性粒子であってもよい。
(C)水溶性粒子の平均粒径は0.1〜500μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜100μmである。この範囲の粒径の水溶性粒子を使用することにより、パッド表面近傍に形成されるポアの化学機械研磨用水系分散体の保持能力と、パッドの機械的強度のバランスに優れた化学機械研磨用パッドとすることができる。
(C)水溶性粒子の使用量は、(A)成分及び(B)成分の使用量の合計を100質量部とした場合に50質量部以下であることが好ましく、より好ましくは40質量部以下であり、さらに好ましくは0.5〜40質量部であり、特に5〜30質量部であることが好ましい。
また、(C)水溶性粒子の含有量は、本発明の化学機械研磨パッド全体の体積の90体積%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜90体積%であり、さらに好ましくは0.1〜60体積%であり、特に0.5〜40体積%であることが好ましい。
この範囲内の使用量、含有量とすることにより、良好な研磨性能を示す化学機械研磨用パッドを得ることができる。
(C)水溶性粒子は、研磨パッドの表面に露出したもののみが水溶し、研磨パッド内部では水溶、吸湿若しくは膨潤しないものとすることが好ましい。このため、水溶性粒子は最外部の少なくとも一部に吸湿を抑制する外殻を備えることができる。この外殻は水溶性粒子に物理的に吸着していても、水溶性粒子と化学結合していても、更にはこの両方により水溶性粒子に接していてもよい。このような外殻を形成する材料としては、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリシリケート等を挙げることができる。なお、この外殻は水溶性粒子の一部のみに形成されていても十分に上記効果を得ることができる。
(D)その他の配合剤
その他、本発明の化学機械研磨用パッドを製造するにあたっては、充填剤、軟化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤等の各種の添加剤を含有することができる。
化学機械研磨パッドの製法及び化学機械研磨パッド
本発明の化学機械研磨パッドの製造方法は特に限定されないが、例えば予め化学機械研磨パッドとなるべきパッド用組成物を調製し、この組成物を所望の概形に成形して行うことができる。
この場合、パッド用組成物を調製する方法は特に限定されないが、例えば、所定の有機材料等の必要な材料を混練機等により混練して調製することができる。混練機としては公知のものを用いることができる。例えば、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機(単軸、多軸)等の混練機を挙げることができる。
なお、(C)水溶性粒子を含有する研磨パッドを製造する場合の研磨パッド用組成物には、当該水溶性粒子が含まれることとなる。組成物の混練時には加工し易いように加熱して混練されるところ、混練時の温度において水溶性粒子は固体であることが好ましい。固体の状態を維持しつつ混練することにより、水溶性粒子を前記の好ましい平均粒径のままで分散させることができる。
従って、使用する非水溶性マトリックス材の加工温度により、水溶性粒子の種類を選択することが好ましい。
また、この混練時及び/又は成型時に、適当な架橋剤を共存させることにより、(B)ジエン系(共)重合体の架橋反応を同時に行ってもよい。
架橋の方法は問わないが、例えば有機過酸化物、過酸化水素、硫黄等の架橋剤を添加して加熱する方法によることができる。架橋剤としては、ハンドリング性及び化学機械研磨工程における汚染性がないことの観点から有機過酸化物を用いることが好ましい。このような有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、ジアシルパーオキシド等を挙げることができる。
架橋剤の使用量としては、(B)ジエン系(共)重合体100質量部に対して好ましくは0.01〜3.0質量部、更に好ましくは0.2〜3.0質量部、特に0.5〜2.0質量部であることが好ましい。架橋反応を行う温度としては好ましくは80〜200℃である。架橋反応を行う時間としては好ましくは3〜60分、更に好ましくは5〜60分である。
ここで、(B)ジエン系(共)重合体の架橋反応を予め行ってから化学機械研磨パッドを製造してもよく、本発明の化学機械研磨パッドの原料となるべき成分を混合した後、パッドを製造しつつ架橋反応を行ってもよい。更に、(B)ジエン系(共)重合体の架橋反応の一部を予め行った後、化学機械研磨用パッドの原料となるべき成分を混合し、パッドを製造しつつ残りの架橋反応を行うことも可能である。
なお、最後に記した架橋反応を採用する場合には、上記した架橋反応の推奨時間は、前半の時間の合計時間を表すものと理解されるべきである。
本発明の化学機械研磨パッドは必要に応じて研磨面に任意の形状の溝や凹部等を備えることができる。溝の形状としては例えば、同心円形状、格子溝、螺旋溝、放射状の溝等を挙げることができる。凹部としては、円形や多角形状の凹部を研磨面上に多数設ける場合を挙げることができる。
本発明の化学機械研磨パッドの形状は特に限定されないが、例えば、円盤状、多角柱状等とすることができる。また、化学機械研磨パッドの大きさも特に限定されないが、円盤状のパッドでは、例えば、直径150〜1200mm、特に500〜800mm、厚さ1.0〜5.0mm、特に厚さ1.5〜3.0mmとすることができる。これらは、本発明の化学機械研磨パッドを装着して使用する研磨装置に応じて適宜選択することができる。
なお、本発明の化学機械研磨パッドが溝や凹部等を備えるものである場合、当該溝や凹部等はパッドを所望の概形に成形した後、切削加工等により形成してもよいし、溝や凹部等の形状を有する金型を用いてパッド用組成物を金型成形することにより、パッドの概形とともに溝や凹部等の形状を同時に形成することができる。
本発明の化学機械研磨用パッドのショアーD硬度は、好ましくは35〜100であり、より好ましくは50〜90であり、更に好ましくは55〜85である。このような硬さとすることで、十分な研磨速度と良好な表面状態の被研磨面を与える化学機械研磨用パッドとすることができる。
本発明の化学機械研磨パッドは、上記のようなパッドの非研磨面側に支持層を備える多層型パッドであることもできる。
上記支持層は、化学機械研磨用パッドを研磨面の裏面側で支える層である。この支持層の特性は特に限定されないが、パッド本体に比べてより軟質であることが好ましい。より軟質な支持層を備えることにより、パッド本体の厚さが薄い場合(例えば、1.0mm以下。)であっても、研磨時にパッド本体が浮き上がることや、研磨層の表面が湾曲すること等を防止でき、安定して研磨を行うことができる。この支持層の硬度は、ショアーD硬度としてパッド本体の硬度の90%以下が好ましく、更に好ましくは50〜90%であり、特に好ましくは50〜80%であり、就中50〜70%が好ましい。
また、支持層は、多孔質体(発泡体)であっても、非多孔質体であってもよいが、多孔質体であることが好ましい。更に、その平面形状は特に限定されず、研磨層と同じであっても異なっていてもよい。この支持層の平面形状としては、例えば、円形、多角形(四角形等)などとすることができる。また、その厚さも特に限定されないが、例えば、0.1〜5mmが好ましく、更に好ましくは0.5〜2mmとすることができる。
支持層を構成する材料も特に限定されないが、所定の形状及び性状への成形が容易であり、適度な弾性等を付与できることなどから有機材料を用いることが好ましい。有機材料としては、前記化学機械研磨パッドにおける(A)ポリスチレン若しくは(B)ジエン系(共)重合体、又はスチレン共重合体を適用することができる。
上記スチレン共重合体としては、スチレン及びスチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体であることができる。スチレンと共重合させることができる他の単量体としては、例えば脂肪族共役ジエン化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物、シアン化ビニル化合物等を挙げることができる。
上記脂肪族共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等;
上記不飽和カルボン酸エステル化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等;
上記シアン化ビニル化合物としては、例えば(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等を挙げることができる。
スチレン共重合体の具体例としては、例えばスチレン/1,3−ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/メチルメタクリレート共重合体、スチレン/1,3−ブタジエン/アクリロニトリル共重合体等を挙げることができる。これらはランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体である場合には、A−Bタイプ、A−B−Aタイプ、マルチブロックタイプ等のどのようなものであってもよい。また、共重合体に、水素添加可能な炭素−炭素二重結合が含まれる場合には、これらの全部又は一部が水素添加されているものであってもよい。
スチレン共重合体中に含有されるスチレンの含有量としては、好ましくは10質量%以上であり、更に好ましくは20質量%以上である。
スチレン共重合体のメルトフローレート(ISO1133に準拠、200℃、5kgf)は好ましくは10〜20(g/10min)であり、更に好ましくは12〜18(g/10min)である。
化学機械研磨方法
上記したような本発明の化学機械研磨パッドは、平坦な被研磨面が得られるとともに、高い研磨速度を与えることができ、かつ十分な寿命を有するものである。
本発明の化学機械研磨パッドは、市販の研磨装置に装着し、公知の方法により化学機械研磨に使用することができる。
その場合の被研磨体、使用する化学機械研磨用水系分散体の種類は問わないが、特に酸化セリウム(セリア)又は酸化ケイ素(シリカ)を主砥粒として含有する化学機械研磨用水系分散体を用いて、STI工程において絶縁膜を研磨する場合又は多層化配線基板の層間絶縁膜を研磨する場合に好適に使用することができる。
上記STI工程の被研磨面たる絶縁膜及び多層化配線基板の絶縁膜を構成する材料としては、例えば熱酸化膜、PETEOS膜(Plasma Enhanced−TEOS膜)、HDP膜(High Density Plasma Enhanced−TEOS膜)、熱CVD法により得られる酸化シリコン膜、ホウ素シリケート膜(BPSG膜)及びFSG膜並びに低誘電率の絶縁膜等が挙げられる。
上記熱酸化膜は、高温にしたシリコンを酸化性雰囲気に晒し、シリコンと酸素あるいはシリコンと水分を化学反応させることにより形成されたものである。
上記PETEOS膜は、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件としてプラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
上記HDP膜はテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を原料として、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
上記熱CVD法により得られる酸化シリコン膜は、常圧CVD法(AP−CVD法)又は減圧CVD法(LP−CVD法)により形成されたものである。
上記ホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)は、常圧CVD法(AP−CVD法)又は減圧CVD法(LP−CVD法)により形成されたものである。
また、上記FSGと呼ばれる絶縁膜は、促進条件として高密度プラズマを利用して化学気相成長で形成されたものである。
上記誘電率の低い絶縁膜材料は、例えば有機SOG(比誘電率:2.0〜2.6程度)、水素含有SOG(比誘電率:2.8〜3.0程度)、有機高分子からなる低誘電率材料(比誘電率:2.2〜3.6程度)、SiOF系低誘電率材料(比誘電率:3.3〜3.6程度)、SiOC系低誘電率材料(比誘電率:2.0〜3.0程度)等を挙げることができる。ここで、「SOG」とは“Spin On Glass”の略であり、基体上に前駆体を塗布し、次いで熱処理等により成膜した絶縁膜材料の意味である。
上記有機SOGとしては、例えばメチル基等の有機基を含有するケイ素酸化物から構成されるものであり、基体上に例えばテトラエトキシシランとメチルトリメトキシシランの混合物等を含有する前駆体を塗布し、次いで熱処理等をすることにより得ることができる。
上記水素含有SOGとしては、ケイ素−水素結合を含有するケイ素酸化物から構成されるものであり、基体上に例えばトリエトキシシラン等を含有する前駆体を塗布し、次いで熱処理等をすることにより得ることができる。
上記有機高分子からなる低誘電率材料としては、例えばポリアリーレン、ポリイミド、ポリベンゾシクロブテン、ポリフッ化エチレン等を主成分とする低誘電率材料を挙げることができる。
上記SiOF系低誘電率材料は、フッ素原子を含有するケイ素酸化物から構成されるものであり、例えば化学気相蒸着法により得た酸化ケイ素にフッ素を添加(ドープ)することにより得ることができる。
上記SiOC系低誘電率材料は、炭素原子を含有するケイ素酸化物から構成されるものであり、例えば四塩化ケイ素と一酸化炭素との混合物を原料とする化学気相蒸着法により得ることができる。
上記したもののうち、有機SOG、水素含有SOG及び有機高分子からなる低誘電率材料は、形成された膜中に微細な空孔(ポア)を有するものであってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
[1]化学機械用研磨パッドの製造
(a1)成分としてポリスチレン(PSジャパン(株)製、商品名「HF55」)20質量部、(a2)成分として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製、商品名「ユーメックス1010」、酸価;52mg−KOH/g)10質量部、(B)成分として1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、商品名「JSR RB830」)70質量部及び(C)成分としてβ−シクロデキストリン((株)横浜国際バイオ研究所製、商品名「デキシーパールβ−100」)16.6質量部を、120℃に加熱された押出機にて150℃、120rpmで混練した。その後、ジクミルパーオキシド(日本油脂(株)製、商品名「パークミルD40」、ジクミルパーオキサイドを40質量%含有する)を0.8質量部(ジクミルパーオキサイドに換算して、0.32質量部に相当する)添加し、更に120℃、60rpmで混練した後、金型内にて170℃で18分間加熱して成形し、直径60cm、厚さ2.8mmの成形体を得た。次いでこの成型体の一面に、切削加工機(加藤機械(株)製)を用いて、溝幅0.5mm、ピッチ2mm、溝深さ1.4mmの同心円状の溝を形成し、化学機械研磨パッドを製造した。ここで製造した化学機械研磨用パッドに含有される(a1)成分及び(a2)成分は(B)成分中に分散した状態で存在しており、(a1)成分の平均ドメインサイズは0.9μm、(a2)成分の平均ドメインサイズは0.3μmであった。また、ここで製造した化学機械研磨用パッドに含有される(C)β−シクロデキストリンの平均粒径は15μmであり、パッド全体に占めるβ−シクロデキストリンの体積率は、10体積%であった。なお上記平均ドメインサイズは、研磨パッドをミクロトームによって厚さ100nmの薄片とし、その透過型電子顕微鏡写真を撮影した後、各ドメインの最大長さの平均値を測定したものである。
[2]化学機械研磨性能の評価
(1)セリアを主砥粒として含む水系分散体を用いた絶縁膜研磨の評価
(i)研磨速度の評価
上記のように製造した化学機械研磨パッドを化学機械研磨装置(型式「LAPMASTER LGP510」、SFT社製)に装着し、8インチPETEOS膜付きウェハを被研磨材として以下の条件にて化学機械研磨した。
化学機械研磨用水系分散体:セリアおよびポリアクリル酸アンモニウムをそれぞれ1質量%ずつ含む水系分散体。

化学機械研磨用水系分散体供給量:100mL/分
ヘッド押し付け圧:400g/cm
定盤回転数:50rpm
ヘッド回転数:70rpm
研磨時間:60秒

被研磨物である8インチPETEOS膜付きウェハについて、外周5mmを除いて直径方向に均等に21点とり、これら特定点について、研磨前後のPETEOS膜の厚さの差と研磨時間から各点における研磨速度を算出し、その平均値をもって研磨速度とした。この結果を表3に示す。
(ii)研磨量の面内均一性の評価
上記21点の特定点における研磨前後の研磨前後の厚さの差(この値を「研磨量」とする。)について下記の計算式により研磨量の面内均一性を算出した。これらの結果を表3に示す。なお、各点におけるPETEOS膜の厚さは、光学式膜厚計によって測定した。

研磨量の面内均一性=(研磨量の標準偏差 ÷ 研磨量の平均値)×100 (%)
(iii)化学機械研磨用パッドの寿命の評価
上記した研磨条件のもとで、8インチPETEOS膜付きウェハを連続して化学機械研磨した。ここで、ウェハを1枚研磨するごとに、イオン交換水を100mL/分の速度で供給しつつ、100メッシュダイヤモンドを使用したドレッサーにより、10秒間インターバル・ドレッシングを行った。
研磨したウェハ50枚ごとに研磨速度を算出し、前回までの研磨速度の平均値から15%以上減じた研磨速度を2回連続して記録した時点を、化学機械用研磨パッドの寿命とした。結果を表3に示す。
(2)シリカを主砥粒として含む化学機械用水系分散体を用いた層間絶縁膜研磨の評価
(i)研磨速度の評価
上記のように製造した化学機械研磨パッドを化学機械研磨装置(型式「EPO112」、(株)荏原製作所製)に装着し、8インチPETEOS膜付きウェハを被研磨体として、以下の条件で研磨した。

スラリー供給量:150ml/分
ヘッド押し付け圧:400g/cm
定盤回転数:50rpm
ヘッド回転数:80rpm

研磨後の被研磨体について、上記「セリアを主砥粒として含む水系分散体を用いた絶縁膜研磨の評価」と同様にして研磨速度の平均値を算出した。この結果を表3に示す。
(ii)ディッシングの評価
上記のように製造した化学機械研磨パッドを化学機械研磨装置(型式「EPO112」、(株)荏原製作所製)に装着し、パターン付き8インチPETEOS膜ウェハ「SKW 7−2」(SKW社製、シリコンウェハに各種の線幅の溝(深さ0.8μm)を形成し、その上にPETEOSを厚さ2.0μmで堆積させたテスト用ウェハ。PETEOSの表面には、シリコンウェハに形成された溝に対応する幅及び深さの溝が形成されている。)を被研磨材として以下の条件にて化学機械研磨した。
化学機械研磨用水系分散体:「CMS1101」(砥粒としてシリカを含むJSR(株)製の化学機械用水系分散体である。)及び脱イオン水を、体積比1:2で混合したもの
スラリー供給量:150ml/分
ヘッド押し付け圧:400g/cm
定盤回転数:50rpm
ヘッド回転数:80rpm

上記条件にて、PETEOS膜を0.8μm研磨・除去した後のSKW 7−2につき、微細形状測定装置(KLA-Tencor社製、型式「P−10」)を用いて、ライン・アンド・スペース=250μm/250μmの部分における、シリコンウェハに形成された溝部以外に相当する部分から測定した溝中央部に相当する部分の窪み量を測定し、この量をディッシングとした。結果を表3に示す。
実施例2〜、比較例1〜10
実施例1において、各成分の種類及び使用量、並びにジクミルパーオキシドの使用量を表1の通りに変更した他は、実施例1と同様にして化学機械研磨パッドを製造し、評価した。パッド全体に占める(C)水溶性粒子の体積率を表1に、非水溶性部の状態を表2に、評価結果を表3にそれぞれ示す。
比較例11
原料として1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、商品名「JSR RB830」)70質量部、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂((株)日本触媒製、商品名「エポスターS」)30質量部及びβ−シクロデキストリン((株)横浜国際バイオ研究所製、商品名「デキシーパールβ−100」)6.3質量部を用い、ジクミルパーオキシドの使用量を0.3質量部とした他は実施例1と同様にして化学機械研磨パッドを製造し、評価した。非水溶性部の状態を表2に、評価結果を表3にそれぞれ示す。
比較例1213
研磨パッドとして、ロデール社製、形式「IC1000」(比較例12)、ロデール社製、形式「Politex」(比較例13)を使用した他は、実施例1と同様にして評価した。非水溶性部の状態を表2に、評価結果を表3にそれぞれ示す。
Figure 0004697399
Figure 0004697399
Figure 0004697399
なお、表1中、各成分の種類欄に記した略称は、それぞれ下記のものを意味する。
(a1)成分
GPPS:ポリスチレン(PSジャパン(株)製、商品名「HF55」)
AS:アクリロニトリル−スチレン共重合体(テクノポリマー(株)製、商品名「920FF」、スチレン含量:75質量%)
HIPS:スチレン−ブタジエン共重合体(PSジャパン(株)製、商品名「AG102」、スチレン含量:75質量%)
TR:スチレン−ブタジエン共重合体(ジェイエスアールクレイトンエラストマー(株)製、商品名「TR2827」、スチレン含量:24質量%)
SEBS:スチレン−(エチレン/ブチレン)−スチレンブロック共重合体(旭化成(株)製、商品名「タフテックH1052」、スチレン含有量:20質量%)

(a2)成分
ユーメックス1010:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製、酸価:52mg−KOH/g)
ユーメックス1001:無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製、酸価:26mg−KOH/g)

その他の重合体
(B)成分
RB:1,2−ポリブタジエン(JSR(株)製、商品名「JSR RB830」)

また、表中の「−」は、該当欄に相当する成分を使用しなかったことを意味する。

Claims (3)

  1. 非水溶性部を有する化学機械研磨パッドであって、該非水溶性部が下記(A)成分及び(B)成分を含有し、ただし(B)成分の含有量が(A)成分と(B)成分の合計量に対して40質量%を超え70質量%以下であり、かつ平均ドメインサイズ0.1〜30μmの海島構造をなしていることを特徴とする、化学機械研磨パッド。
    (A)(a1)ポリスチレン及び(a2)酸無水物構造を有する重合体、
    (B)ジエン系(共)重合体(ただし、(A)成分に該当するものを除く。)。
  2. 更に(C)水溶性粒子を含有する請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
  3. 請求項1又は2に記載の化学機械研磨パッドを用いて被研磨体を研磨することを特徴とする、化学機械研磨方法。
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