JP4696493B2 - 液晶表示素子用光学補償フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示素子の光学補償フィルムに関するものであり、特に耐熱性に優れ、フィルム面内の位相差量が小さく、フィルム面外の位相差量の大きい液晶表示素子用光学補償フィルムに関するものである。
従来、液晶表示素子としてツイストネマチック型液晶(以下、TN−LCDと称する。)、スーパーツイストネマチック型液晶(以下、STN−LCDと称する。)、薄膜トランジスタ(以下、TFTと称する。)を利用したツイストネマチック型液晶(以下、TFTTN−LCDと称する。)などが開発され、液晶表示素子の普及に伴い、画質面での要求が強くなっている。
例えばSTN−LCDを用いる表示素子においては当初、単色表示を狙ったものであり、その複屈折に起因した色相の変化がさほど重要視されなかったが、カラー化されると色の再現性、視野角の広さなどが重要となり、光学的に液晶表示補償の必要性が出てきた。
そして、高分子液晶のメソゲン(分子構造中の液晶性を発現させる中核的単位)を基板垂直方向に配向させて固定化する方法が提案されている(例えば特許文献1参照。)。しかし、特許文献1に提案された方法は、製造コストがかかる他、メソゲンを安定的に垂直配向させることが難しいなどの課題があり、この点を解決するべく、高分子液晶に代わり積層位相差フィルムを用いることにより、フィルム面内位相差量よりフィルム面外位相差量の大きな視野角補償フィルムとすることが提案されている(例えば特許文献2参照。)。しかし、特許文献2に提案された視野角補償フィルムは正の複屈折性を示す材料を用いているために単なる一軸延伸フィルムではなく、フィルム厚み方向への配向度を上げた延伸技術が必要となり、延伸加工コストがかかる他、安定的にフィルム厚み方向へ配向させることが難しいなどの課題があった。さらに、特許文献2に提案された視野角補償フィルムに負の複屈折性を示す材料を用いる際には、負の複屈折性を示す材料としてはポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと称する。)やポリスチレン(以下、PSと称する。)などのガラス転移温度が100℃前後の材料が挙げられており、該材料は耐熱性が低く、液晶表示素子の補償を目的とするには十分とは言えず実用には供することができていないのが現状である。
なお、ここでいう正の複屈折性とは、延伸フィルムを構成する成分であるポリマー分子鎖が延伸により分子配向した際に、延伸方向と同方向の屈折率が大きくなるような屈折率異方性を発現することを指す。一方、負の複屈折性とは、フィルムを構成する成分であるポリマー分子鎖が延伸により分子配向した際に、延伸方向と同方向の屈折率が小さくなり、また同時に直交する方向の屈折率が大きくなるような屈折率異方性を発現することを指す。さらに、液晶表示素子の視野角とは液晶表示素子の視認できる領域を指すものであり、図1に示すように液晶表示素子面の法線方向を基準として仰角を設定し、液晶表示素子面を斜め方向から見る場合において、その表示性能を仰角によって説明することができる。また、光学補償フィルムの延伸方向を基準とした方位角によっても説明することができる。例えば液晶表示素子を仰角0°即ち正面から見ると、問題なく表示するが、任意の仰角として例えば45°から見るとコントラスト比が低下したり、色相が変化したりすることから、表示性能を維持できる仰角、方位角の範囲内にて視野角を説明することができる。なお、図1中の(a)は液晶表示素子面、光学補償フィルム面に対する法線方向、(b)は光学補償フィルムの延伸方向、(c)は液晶表示素子面、光学補償フィルム面に対する仰角、(d)は液晶表示素子面、光学補償フィルム面に対する方位角のそれぞれを示す。
特開平07−230086号公報 特開2003−043253号公報
本発明は上記事実に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、耐熱性に優れ、負の複屈折性を示す光学異方性材料からなり、フィルム面内の位相差量が小さく、フィルム面外の位相差量の大きい液晶表示素子用光学補償フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討した結果、特定の負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムどうしを特定の条件で積層することにより、耐熱性に優れ、フィルム面内の位相差量が小さく、フィルム面外の位相差量の大きい液晶表示素子用光学補償フィルムとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の式(i)で表されるオレフィン残基単位と下記の式(ii)で表されるN−フェニル置換マレイミド残基単位からなり、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量5×10以上5×10以下である共重合体(a)40〜50重量%、及び、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位=20:80〜35:65(重量比)であり、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量5×10以上5×10以下であるアクリロニトリル−スチレン共重合体(b)60〜50重量%からなる負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルム2枚を、一方のフィルム面内の遅相軸ともう一方のフィルム面内の進相軸により形成される狭角が0゜±10゜の範囲内となるように積層してなることを特徴とする液晶表示素子用光学補償フィルムに関するものである。
Figure 0004696493
(ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
Figure 0004696493
(ここで、R4、R5はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、R6、R7、R8、R9、R10はそれぞれ独立して水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキル基である。)
以下に、本発明に関し詳細に説明する。
本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムを構成する負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムは、共重合体(a)40〜95重量%及びアクリロニトリル−スチレン共重合体(b)60〜5重量%からなるものであり、特に耐熱性に優れる液晶表示素子用光学補償フィルムとなることからガラス転移温度が130℃以上のものであることが好ましい。
ここで、共重合体(a)とは、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量5×10以上5×10以下であり、上記式(i)で示されるオレフィン残基単位と上記式(ii)で表されるN−フェニル置換マレイミド残基単位からなる共重合体であり、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPCと称する。)による共重合体の溶出曲線を標準ポリスチレン換算値として測定することができる。そして、共重合体(a)のポリスチレン換算の重量平均分子量が5×10未満である場合、得られる樹脂組成物を光学フィルムとして成形加工する際の成形加工が困難となると共に、得られる負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルム、液晶表示素子用光学補償フィルムは脆いものとなる。一方、重量平均分子量5×10を越える場合、得られる樹脂組成物を光学異方性一軸延伸フィルムとして成形加工する際の成形加工が困難となる。
上記式(i)で示されるオレフィン残基単位におけるR1、R2、R3は、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基等を挙げることができる。ここで、R1、R2、R3が炭素数6を越えるアルキル置換基である場合、共重合体のガラス転移温度が著しく低下する、共重合体が結晶性となり透明性を損なうなどの問題がある。そして、式(i)で示されるオレフィン残基単位を誘導する具体的な化合物としては、例えばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、1−イソオクテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘキセン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどが挙げられ、その中でも1,2−ジ置換オレフィン類に属するオレフィンが好ましく、特に耐熱性、透明性、力学特性に優れる共重合体(a)が得られることからイソブテンであることが好ましい。また、オレフィン残基単位は1種又は2種以上組み合わされたものでもよく、その比率は特に制限はない。
上記式(ii)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位におけるR4、R5は、それぞれ独立して水素又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、2−オクチル基、3−オクチル基等を挙げることができる。また、R6、R7、R8、R9、R10はそれぞれ独立して水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、ハロゲン系元素としは、例えばフッ素、臭素、塩素、沃素等を挙げることができ、カルボン酸エステルとしては、例えばメチルカルボン酸エステル、エチルカルボン酸エステル等を挙げることができ、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、2−オクチル基、3−オクチル基等を挙げることができる。ここで、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10が炭素数8を越えるアルキル置換基の場合、共重合体のガラス転移温度が著しく低下する、共重合体が結晶性となり透明性を損なうなどの問題がある。
そして、式(ii)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位を誘導する化合物としては、例えばマレイミド化合物のN置換基として無置換フェニル基又は置換フェニル基を導入したマレイミド化合物を挙げることができ、具体的にはN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−n−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−n−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−sec−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−tert−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−n−ペンチルフェニル)マレイミド、N−(2−tert−ペンチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジ−n−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル,6−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル,6−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(2−ブロモフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジクロロフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジブロモフェニル)マレイミド、N−2−ビフェニルマレイミド、N−2−ジフェニルエーテルマレイミド、N−(2−シアノフェニル)マレイミド、N−(2−ニトロフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(2,4−ジメチルフェニル)マレイミド、N−パーブロモフェニルマレイミド、N−(2−メチル,4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチル,4−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどが挙げられ、その中でもN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−n−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−n−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−sec−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−tert−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−n−ペンチルフェニル)マレイミド、N−(2−tert−ペンチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジ−n−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル,6−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル,6−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(2−ブロモフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジクロロフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジブロモフェニル)マレイミド、N−2−ビフェニルマレイミド、N−2−ジフェニルエーテルマレイミド、N−(2−シアノフェニル)マレイミド、N−(2−ニトロフェニル)マレイミドが好ましく、特に耐熱性、透明性、力学特性にも優れる共重合体(a)が得られることからN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミドであることが好ましい。また、N−フェニル置換マレイミド残基単位は1種又は2種以上組み合わされたものでもよく、その比率は特に制限はない。
該共重合体(a)は、上記した式(i)で示されるオレフィン残基単位を誘導する化合物及び式(ii)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位を誘導する化合物を公知の重合法を利用することにより得ることができる。公知の重合法としては、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などを挙げることができる。また、別法として、上記した式(i)で示されるオレフィン残基単位を誘導する化合物と無水マレイン酸とを共重合することにより得られた共重合体に、さらに例えばアニリン、2〜6位に置換基を導入したアニリンを反応し、脱水閉環イミド化反応を行うことにより得ることもできる。
共重合体(a)としては、上記した式(i)で示されるオレフィン残基単位及び式(ii)で示されるN−フェニル置換マレイミド残基単位からなる共重合体であり、例えばN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体、N−フェニルマレイミド・エチレン共重合体、N−フェニルマレイミド・2−メチル−1−ブテン共重合体、N−(2−メチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体、N−(2−メチルフェニル)マレイミド・エチレン共重合体、N−(2−メチルフェニル)マレイミド・2−メチル−1−ブテン共重合体、N−(2−エチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体、N−(2−エチルフェニル)マレイミド・エチレン共重合体、N−(2−エチルフェニル)マレイミド・2−メチル−1−ブテン共重合体等が挙げられ、その中でも特に耐熱性、透明性、力学特性にも優れるものとなることから、N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体、N−(2−メチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体が好ましい。
また、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(b)は、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位=20:80〜35:65(重量比)であり、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量5×10以上5×10以下であるアクリロニトリル−スチレン系共重合体に属するものであり、例えばアクリロニトリル−スチレン共重合体及び/又はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体を挙げることができる。ここで、重量平均分子量は、GPCによる共重合体の溶出曲線を標準ポリスチレン換算値として測定することができる。そして、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(b)のポリスチレン換算の重量平均分子量が5×10未満である場合、得られる樹脂組成物をフィルムとして成形加工する際の成形加工が困難となると共に、得られる光学異方性一軸延伸フィルム、液晶表示素子用光学補償フィルムは脆いものとなる。一方、重量平均分子量5×10を越える場合、得られる樹脂組成物をフィルムとして成形加工する際の成形加工が困難となる。また、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(b)において、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位=20:80を下回る場合、共重合体(a)との樹脂組成物における力学特性が低下し、非常に脆くなるなどの問題を有する。一方、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位=35:65を上回る場合、アクリロニトリルの変質が生じ易く、得られる樹脂組成物の色相が悪化したり、吸湿性が悪化するなどの問題がある。
本発明に用いられるアクリロニトリル−スチレン系共重合体(b)の合成方法としては、公知の重合法が利用でき、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などにより製造することが可能である。また、市販品として入手したものであってもよい。
本発明に用いられる負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムは、共重合体(a)40〜95重量%及びアクリロニトリル−スチレン系共重合体(b)60〜5重量%からなり、特に耐熱性と力学特性のバランスに優れた光学異方性一軸延伸フィルムとなることから共重合体(a)40〜90重量%及びアクリロニトリル−スチレン系共重合体(b)60〜10重量%からなることが好ましい。ここで、共重合体(a)が40重量%未満である場合、得られる光学異方性一軸延伸フィルム、液晶表示素子用光学補償フィルムの耐熱性が低下する。一方、共重合体(a)が95重量%を越える場合、得られる光学異方性一軸延伸フィルム、液晶表示素子用光学補償フィルムは非常に脆いものとなり、力学特性の低いものとなる。
本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムを構成する負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムを調製する際には、例えば上記した樹脂組成物をフィルム化した後、該フィルムを一軸延伸配向に供することにより調製することが可能である。その際のフィルム化方法としては、例えば押出成形法、溶液キャスト法(溶液流延法と称する場合もある。)などの成形法によりフィルム化することができる。
以下に、押出成形法によるフィルム化に関し詳細に説明する。
上記した樹脂組成物を例えばT型ダイスと称されるような薄いダイスを装着した一軸押し出し機、二軸押し出し機等の押し出し機に供し、加熱溶融を行いながら該ダイスの隙間を通して押し出し、得られるフィルムの引き取りを行うことにより任意の厚みを有するフィルムとすることができる。この際、フィルム成形に際しては、成形時のガス発泡などによる外観不良を抑制するために、樹脂組成物を予め80〜130℃の温度範囲にて加熱乾燥を行うことが望ましい。また、所望のフィルム厚みと光学純度に応じて異物を濾過するためのフィルターを設置し、押出成形を行うことが望ましい。さらに、溶融状態のフィルムを効率よく冷却固化し、外観に優れるフィルムを効率よく製造するために低温度金属ロールやスチールベルトなどを設置し、押出成形を行うことが望ましい。
押出成形条件としては、加熱、剪断応力によって樹脂組成物が溶融流動するTgよりも十分に高い温度にて剪断速度1,000sec−1未満の条件で押出成形を行うことが望ましい。
また、フィルムを押出成形する際には、得られたフィルムを延伸加工に供し光学フィルムとする際に3次元屈折率の関係が安定した光学フィルムが効率よく得られることから、フィルムの流動方向、幅方向及び厚み方向の分子鎖配向度ができるだけ一様となる条件制御を行うことが好ましく、そのような方法としては、広く知られる成形加工技術を用いることができる。例えばダイスから吐出する樹脂組成物を位置によって均一にする方法、吐出後のフィルム冷却工程を均一にする方法及びこれに関する装置などを用いることができる。
以下に、溶液キャスト法によるフィルム化に関し詳細に説明する。
上述の樹脂、樹脂組成物に対し可溶性を示す溶剤に該樹脂、樹脂組成物を溶解し溶液とし、該溶液を流延した後、溶剤を除去することによりフィルムとすることができる。
その際の溶剤としては、樹脂、樹脂組成物が可溶性を示す溶剤であれば如何なるものでもよく、その中から必要に応じて1種又は2種以上を混合して用いることができ、例えば塩化メチレン、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、その混合物などを挙げることができる。さらに、流延後の溶剤除去の際の溶剤揮発速度を制御する目的から可溶性を示す溶剤(例えば塩化メチレン、クロロホルムなど)と貧溶剤(例えばメタノール、エタノール等のアルコール類)を組み合わせて用いることもできる。
溶液キャスト法による基材の乾燥においては、加熱条件の設定により、フィルム内に気泡又は内部空隙を形成しないように行うことが重要であり、後に続く2次成形加工である延伸加工操作時点にて残留溶剤濃度が2wt%以下にあることが望ましい。また、延伸加工後に得られるフィルムに均一な複屈折性を発現させるためには、1次成形加工により得られたフィルムに不均一な配向や残留歪みがなく、光学的に等方性であることが望ましく、そのような方法として溶液キャスト法が好ましい。
そして、溶融押出法、溶液キャスト法等の成形法により得られたフィルムを一軸延伸加工に供することにより該樹脂中の分子鎖を配向させることにより、負の複屈折性を発現させるものである。ここで、一軸方向に分子鎖を配向させる方法としては、分子鎖の配向が可能であれば如何なる方法を用いることも可能であり、例えば延伸、圧延、引き取り等の各種方法を用いることができ、その中でも、特に生産効率よく、負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムを生産することが可能となることから、延伸により製造することが好ましい。ここで、延伸を行うことの出来る方法としては、例えば自由幅一軸延伸、定幅一軸延伸等の一軸延伸を用いることが可能である。このほか圧延などを行う装置としては、例えばロール延伸機などが知られている。このほかにもテンター型延伸機、小型の実験用延伸装置として引張試験機、一軸延伸機、逐次二軸延伸機、同時二軸延伸機のいずれもが可能な装置である。ただし、二軸延伸機を用いる場合は一軸延伸と二軸延伸が共に可能であるが、ここでは一軸延伸のために用いる。
また、延伸の際の延伸操作である延伸温度、フィルムを延伸させる際の歪み速度、変形率などは本発明の目的を達成できる限りにおいて適宜選択を行えばよく、その際には、松本喜代一著、「高分子加工 One Point 2(フィルムをつくる)」高分子学会編集、共立出版、1993年2月15日発行などを参考にすればよい。そして、本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムを構成する負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムは、その光学特性、それを調製する際の生産効率に優れることからNz=(nx−nz)/(nx−ny)で示される配向パラメータ(Nz値)が0±0.2の範囲内であることが好ましい。
本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムは、該負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムどうしを、一方のフィルム面内の遅相軸ともう一方のフィルム面内の進相軸により形成される狭角が0゜±10゜の範囲内となるように積層することにより、得られる液晶表示素子用光学補償フィルムの面内位相差量は、減算された値となりフィルム面内の位相差量が小さく、フィルム面外の位相差量の大きい液晶表示素子用光学補償フィルムとなる。ここで、一方のフィルム面内の遅相軸ともう一方のフィルム面内の進相軸により形成される狭角が0°±10°を越えて積層した場合、液晶表示素子の視野角及び方位角によって面内位相差量が大きく変化することにより、画像品質が低下し光学補償フィルムとしては好ましくないものとなる。また、負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムどうしを積層し、本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムとする際には、これら光学異方性一軸延伸フィルムを重ね合わせても、接着剤、接着層を介して張り合わせてもよい。本発明における遅相軸とは、フィルム面内の屈折率の異方性が高い軸方向を指し、例えば正の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムにおいては、その延伸方向が遅相軸であり、負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムにおいては、延伸配向方向と直交する方向が遅相軸となる。
本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムは、図2に示すように遅相軸方向をフィルム面内のx軸、該x軸と直交するフィルム面内方向をy軸、該x軸と直交するフィルム面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率の関係が図4に示すようにnz>nx≧nyとなるものであることが好ましく、該液晶表示素子用光学補償フィルムを構成する負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムは、3次元屈折率の関係が図3に示すようにnx≧nz>nyまたはnz≧nx>nyであることが好ましい。
なお、本発明の液晶表示素子用光学補償フィルム、これを構成する光学異方性一軸延伸フィルムにおいては、位相差量を用いることにより複屈折特性を把握することが可能である。ここでいう位相差量の定義は、上記したx軸、y軸、z軸方向の3次元屈折率であるnx、ny、nzの差分にフィルム厚み(d)を乗した値として表すことができる。この場合、屈折率の差分として、具体的にはフィルム面内の屈折率の差分;|nx−ny|、フィルム面外の屈折率の差分;|nx−nz|、|ny−nz|を挙げることができ、フィルム面内位相差量;Re或はRexy=|(nx−ny)|・d、フィルム面外位相差量;ReまたはRexz=|(nx−nz)|・d、ReまたはReyz=|(ny−nz)|・d、ReまたはRez=|((nx+ny)/2−nz)|・d等として表すことも有効である。そして、本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムにおいて、位相差量は適用する液晶セルに対して最適となるように適宜設定すれば良く、その中でもRexy=|(nx−ny)|・dで示されるフィルム面内位相差量が20nm以下であり、かつRez=|((nx+ny)/2−nz)|・dで示されるフィルム面外位相差量が20〜1000nmであることが好ましい。
本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムは、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて必要に応じて熱安定剤、紫外線安定剤などの添加剤や可塑剤を配合されたものであってもよく、これら可塑剤や添加剤としては樹脂材料用として公知のものを使用することができる。また、該光学補償フィルムの表面を保護することを目的としてハードコートなどを施していてもよく、ハードコート剤として公知のものを用いることができる。
本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムは、LCDなどの光学デバイス製造上及び光学デバイスとしての実用耐熱性の面から130℃以上の耐熱性を有するものであることが好ましく、その際にはガラス転移温度130℃以上を有する負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムを用いればよい。
本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムは、この積層体のみとして光学補償の目的に使用する以外に、同種光学材料及び/又は異種光学材料と更に積層して用いることもできる。この際に積層される光学材料としては、ポリビニルアルコール/色素/アセチルセルロースなどの組み合わせからなる偏光板、ポリカーボネート製延伸配向フィルム、透明環状ポリオレフィン製フィルム、ガラス基板などを挙げられるがこれに制限されるものではない。
本発明の液晶表示素子用光学補償フィルムは、液晶表示素子用の光学補償部材として好適に用いられる。そのようなものとしては、例えばSTN−LCD、TFTTN−LCD、OCB型LCD、VA型LCD、IPS型LCDなどのLCD用の位相差フィルム;1/2波長板;1/4波長板;逆波長分散特性フィルム;光学補償フィルム;カラーフィルター;偏光板との積層フィルム;偏光板光学補償フィルムなどが挙げられる。また、本発明の応用としての用途はこれに制限されるものではなく、視野角の拡大や色相の改良などの画質向上を目的として液晶表示素子の光学補償に利用する場合には広く利用できる。
本発明は耐熱性に優れ、液晶表示素子の視野角や色相などの画質を改良することのできる液晶表示素子用光学補償フィルムを提供するものである。
以下に、本発明を実施例にて具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。各物性値の測定方法を以下に示す。
〜重量平均分子量及び数平均分子量の測定〜
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、商品名HLC−802A)を用い測定した溶出曲線により、標準ポリスチレン換算値として重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びその比である分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
〜ガラス転移温度の測定〜
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度にて測定した。
〜光線透過率の測定〜
透明性の一評価として、JIS K 7361−1(1997年版)に準拠して光線透過率の測定を行った。
〜ヘーズの測定〜
透明性の一評価として、JIS K 7136(2000年版)に準拠してヘーズの測定を行った。
〜屈折率の測定〜
JIS K 7142(1981年版)に準拠して測定した。
〜ガラス転移温度の測定〜
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度にて測定した。
〜複屈折性の正負判定〜
高分子素材の偏光顕微鏡入門(粟屋裕著,アグネ技術センター版,第5章,pp78〜82,(2001))に記載の偏光顕微鏡を用いたλ/4板による加色判定法により複屈折性の正負判定を行った。
〜位相差量の測定〜
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用いて位相差量を測定した。
合成例1
1リッターオートクレーブ中に重合溶媒としてトルエン400ml、重合開始剤としてパーブチルネオデカノエート0.001モル、N−フェニルマレイミド0.42モル、イソブテン4.05モルとを仕込み、重合温度60℃、重合時間5時間の重合条件にて重合反応を行い、N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体(重量平均分子量(Mw)=162,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で示される分子量分布(Mw/Mn)=2.6)を得た。
フィルム作成例1
合成例1で得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体50重量%及びアクリロニトリル−スチレン共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN080、重量平均分子量(Mw)=130000、アクリロニトリル単位:スチレン単位(重量比)=24.5:75.5)50重量%からなるブレンド物を調整し、該ブレンド物の濃度が25重量%となるように塩化メチレン溶液を調整し、該塩化メチレン溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと略記する。)上に流延し、溶剤を揮発させて固化、剥離させることによりフィルムを得た。得られた剥離後のフィルムを更に100℃にて4時間、110℃から130℃にかけて10℃間隔にてそれぞれ1時間乾燥し、その後、真空乾燥機にて120℃で4時間乾燥して約140μmの厚みを有するフィルム(以下、フィルム(1)と称す。)を得た。
得られたフィルム(1)は、光線透過率92%、ヘーズ0.3%、屈折率1.5726、ガラス転移温度(Tg)150℃であった。
実施例1
フィルム作成例1で得られたフィルム(1)から5cm×5cmの小片を切り出し、二軸延伸装置(井元製作所製)を用いて、温度140℃、延伸速度100mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+50%延伸することにより光学異方性一軸延伸フィルム(以下、延伸フィルム(1a)と称する。)を得た。
得られた延伸フィルム(1a)は、負の複屈折性を示し、3次元屈折率はnx=1.57336、ny=1.5711、nz=1.57334であり、配向パラメータ(Nz=(nx−nz)/(nx−ny))は0.01であり、フィルム面内位相差量(Rexy=|(nx−ny)|・d)は204nmであった。ただし、ここでdはフィルム厚みである。
この延伸フィルム(1a)どうしを一方のフィルム面内の遅相軸ともう一方のフィルム面内の進相軸の侠角が0°となるように積層し、液晶表示素子用光学補償フィルムとした。
得られた液晶表示素子用光学補償フィルムの3次元屈折率はnx=1.57221、ny=1.57216、nz=1.57343であり、フィルム面内位相差量(Rexy)は9.5nm、フィルム面外位相差量(Rez=|((nx+ny)/2−nz)|・d)は222nmであった。得られた液晶表示素子用光学補償フィルムは、耐熱性に優れ、フィルム面内位相差量が小さく、フィルム面外位相差量は大きく、液晶表示素子用光学補償フィルムとして適したものであった。
実施例2
フィルム作成例1で得られたフィルムから5cm×5cmの小片を切り出し、二軸延伸装置(井元製作所製)を用いて、温度145℃、延伸速度80mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+100%延伸することにより光学異方性一軸延伸フィルム(以下、延伸フィルム(1b)と称する。)を得た。
得られた延伸フィルム(1b)は、負の複屈折性を示し、3次元屈折率はnx=1.57364、ny=1.57046、nz=1.57371であり、配向パラメータNz値は−0.02、フィルム面内位相差量Rexyは242nmであった。
この延伸フィルム(1b)どうしを一方のフィルム面内の遅相軸ともう一方のフィルム面内の進相軸の狭角が0°となるように重ねて、積層し液晶表示素子用光学補償フィルムとした。
得られた液晶表示素子用光学補償フィルムの3次元屈折率はnx=1.57197、ny=1.57193、nz=1.57391であり、フィルム面内位相差量Rexyは6.3nm、フィルム面外位相差量Rezは298nmであった。得られた液晶表示素子用光学補償フィルムは、耐熱性に優れ、フィルム面内位相差量が小さく、フィルム面外位相差量は大きく、液晶表示素子用光学補償フィルムとして適したものであった。
実施例3
フィルム作成例1で得られたフィルムから5cm×5cmの小片を切り出し、二軸延伸装置(井元製作所製)を用いて、温度155℃、延伸速度10mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+100%延伸することにより光学異方性一軸延伸フィルム(以下、延伸フィルム(1c)と称する。)を得た。
得られた延伸フィルム(1c)は、負の複屈折性を示し、3次元屈折率はnx=1.57294、ny=1.57188、nz=1.57298であり、配向パラメータNz値は−0.03、フィルム面内位相差量Rexyは79nmであった。
この延伸フィルム(1c)どうしを一方のフィルム面内の遅相軸ともう一方のフィルム面内の進相軸の狭角が0°となるように積層し、液晶表示素子用光学補償フィルムとした。
得られた液晶表示素子用光学補償フィルムの3次元屈折率はnx=1.57244、ny=1.57243、nz=1.57294nx=1.57294であり、フィルム面内位相差量Rexyは1.3nm、フィルム面外位相差量Rezは73nmであった。得られた液晶表示素子用光学補償フィルムは、耐熱性に優れ、フィルム面内位相差量が小さく、フィルム面外位相差量は大きく、液晶表示素子用光学補償フィルムとして適したものであった。
実施例4
フィルム作成例1で得られたフィルムから5cm×5cmの小片を切り出し、二軸延伸装置(井元製作所製)を用いて、温度142℃、延伸速度120mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+100%延伸することにより光学異方性一軸延伸フィルム(以下、延伸フィルム(1d)と称する。)を得た。
得られた延伸フィルム(1d)は、負の複屈折性を示し、3次元屈折率はnx=1.57397、ny=1.56984、nz=1.57399であり、配向パラメータNz値は0、フィルム面内位相差量Rexyは323nmであった。
この延伸フィルム(1d)どうしを一方のフィルム面内の遅相軸ともう一方のフィルム面内の進相軸の狭角が0°となるように積層し、液晶表示素子用光学補償フィルムとした。
得られた液晶表示素子用光学補償フィルムの3次元屈折率はnx=1.57189、ny=1.57188、nz=1.57403であり、フィルム面内位相差量Rexyは1.9nm、フィルム面外位相差量Rezは336nmであった。得られた液晶表示素子用光学補償フィルムは、耐熱性に優れ、フィルム面内位相差量が小さく、フィルム面外位相差量は大きく、液晶表示素子用光学補償フィルムとして適したものであった。
実施例5
フィルム作成例1で得られたフィルムから5cm×5cmの小片を切り出し、二軸延伸装置(井元製作所製)を用いて、温度140℃、延伸速度100mm/min.の条件にて自由幅一軸延伸を施し+50%延伸することにより光学異方性一軸延伸フィルム(以下、延伸フィルム(1e)と称する。)を得た。
得られた延伸フィルム(1e)は、負の複屈折性を示し、3次元屈折率はnx=1.57336、ny=1.5711、nz=1.57334であり、配向パラメータNz値は0.01、フィルム面内位相差量Rexyは204nmであった。
この延伸フィルム(1e)どうしを一方のフィルム面内の遅相軸ともう一方のフィルム面内の進相軸の狭角が10°となるように積層し、液晶表示素子用光学補償フィルムとした。
得られた液晶表示素子用光学補償フィルムの3次元屈折率はnx=1.57223、ny=1.57214、nz=1.57343であり、フィルム面内位相差量Rexyは16nm、フィルム面外位相差量Rezは221nmであった。得られた液晶表示素子用光学補償フィルムは、耐熱性に優れ、フィルム面内位相差量が小さく、フィルム面外位相差量は大きく、液晶表示素子用光学補償フィルムとして適したものであった。
比較例1
延伸フィルム(1a)どうしを一方のフィルム面内の遅相軸ともう一方のフィルム面内の進相軸の侠角が0°の代わりに、侠角を20°として積層した以外は、実施例1と同様の方法により積層フィルムの調製を行った。
得られた積層フィルムの3次元屈折率はnx=1.57336、ny=1.5711、nz=1.57334であり、フィルム面内位相差量Rexyは27.8nm、フィルム面外位相差量Rezは195nmであった。これらの結果より、得られた積層フィルムは、液晶表示素子用光学補償フィルムとして適しないものであった。
比較例2
実施例1により得られた延伸フィルム(1a)単品により評価を行った。
延伸フィルム(1a)は、負の複屈折性を示し、3次元屈折率はnx=1.57336、ny=1.5711、nz=1.57334であり、フィルム面内位相差量Rexyは204nm、フィルム面外位相差量Rezは100nmであった。これらの結果より、得られた積層フィルムは、フィルム面内位相差量が大きく、フィルム面外位相差量は小さく、液晶表示素子用光学補償フィルムとして適しないものであった。
液晶表示素子、液晶表示素子に用いる光学補償フィルム面の視野角を表すための仰角、方位角を示す図である。 フィルムの3次元屈折率の軸方向を示す図である。 負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムの3次元屈折率の関係を示す図である。 負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムを積層してなる液晶表示素子用光学補償フィルムの3次元屈折率の関係を示す図である。
符号の説明
(a);液晶表示素子面、光学補償フィルム面に対する法線方向
(b);光学補償フィルムの延伸方向
(c);液晶表示素子面、光学補償フィルム面に対する仰角
(d);液晶表示素子面、光学補償フィルム面に対する方位角

Claims (5)

  1. 下記の式(i)で表されるオレフィン残基単位と下記の式(ii)で表されるN−フェニル置換マレイミド残基単位からなり、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量5×10以上5×10以下である共重合体(a)40〜50重量%、及び、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位=20:80〜35:65(重量比)であり、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量5×10以上5×10以下であるアクリロニトリル−スチレン共重合体(b)60〜50重量%からなる負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルム2枚を、一方のフィルム面内の遅相軸ともう一方のフィルム面内の進相軸により形成される狭角が0゜±10゜の範囲内となるように積層してなることを特徴とする液晶表示素子用光学補償フィルム。
    Figure 0004696493
    (ここで、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
    Figure 0004696493
    (ここで、R4、R5はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であり、R6、R7、R8、R9、R10はそれぞれ独立して水素、ハロゲン系元素、カルボン酸、カルボン酸エステル、水酸基、シアノ基、ニトロ基又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキル基である。)
  2. 共重合体(a)がN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体及び/又はN−(2−メチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子用光学補償フィルム。
  3. それぞれの負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムが、フィルム遅相軸方向をフィルム面内のx軸、該x軸に対し直交するフィルム面内方向をy軸、該x軸に対し直交するフィルム面外方向をz軸とし、該x軸方向の屈折率をnx、該y軸方向の屈折率をny、該z軸方向の屈折率をnzとした際に、3次元屈折率の関係nx≧nz>nyまたはnz≧nx>nyにあり、積層体のフィルム遅相軸方向をフィルム面内のx軸、該x軸に対し直交するフィルム面内方向をy軸、該x軸に対し直交するフィルム面外方向をz軸とし、該x軸方向の屈折率をnx、該y軸方向の屈折率をny、該z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率の関係がnz>nx≧nyであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の液晶表示素子用光学補償フィルム。
  4. 下記式(1)で示される配向パラメータ(Nz値)が0±0.2の範囲内であるそれぞれの負の複屈折性を示す光学異方性一軸延伸フィルムよりなることを特徴とする請求項1〜3に記載の液晶表示素子用光学補償フィルム。
    Nz=(nx−nz)/(nx−ny) (1)
  5. 下記式(2)で示されるフィルム面内位相差量(Rexy)が20nm以下であり、かつ下記式(3)で示されるフィルム面外位相差量(Rez)が20〜1000nmであることを特徴とする請求項1〜4に記載の液晶表示素子用光学補償フィルム。
    Rexy=|(nx−ny)|・d (2)
    Rez=|((nx+ny)/2−nz)|・d (3)
    (ここで、dはフィルム厚みを示す。)
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