JP4686826B2 - ポリカーボネートの製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シュウ酸ジアリールの脱CO反応(脱カルボニル反応)で得られた炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物とを重縮合反応(溶融重合反応)させ、着色のないポリカーボネートを製造する方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは、機械的強度、透明性、電気特性、光学的特性等において優れているので、コンパクトディスクなどの電気・電子材料製品の材料、あるいは有機ガラス、光学レンズなどの工業材料製品として極めて重要なポリマーである。
【0003】
従来、ポリカーボネートの製造法としては、種々の公知の方法で得られたジフェニルカーボネート(DPC)等の炭酸ジアリールとビスフェノール系化合物等の多価ヒドロキシ化合物とを、触媒の存在下に重縮合(溶融重合)することによって製造する方法がよく知られている。
【0004】
ジフェニルカーボネート(DPC)等の炭酸ジアリールの製造法としては、炭酸ジアルキルからエステル交換反応により製造する方法や、ホスゲンとフェノール化合物とから炭酸ジアリールを直接生成させる方法や、その他の種々の製造法が提案されていたが、それらの方法は、炭酸ジアリール中に種々の不純物を含有していたり、生産性が充分でなかったり、製造及び/又は精製工程が複雑であったりすることなどから、必ずしも工業的に満足すべき製法ではないと共に、得られた炭酸ジアリールが種々の不純物を含有していてポリカーボネート製造用のモノマー原料として適当ではなかった。
【0005】
即ち、特公昭58−50977号公報に記載されている代表的なホスゲン法による炭酸ジアリールの製造法では、猛毒のホスゲンを使用するのでその毒性が極めて問題であった。また、得られる炭酸ジアリール中にハロゲン化合物の不純物がかなりの含有量比で混入しており、炭酸ジアリールからそのハロゲン化合物の不純物を除去することが極めて困難なことがあり、ポリカーボネートの製造に使用した場合に重合度、透明度等において問題が生じることがあった。
【0006】
非ホスゲン法として代表的な公知の炭酸ジフェニルの製法としては、炭酸ジアルキルとフェノール化合物をエステル交換反応させて炭酸ジアリールを得る方法(特開平3−291257号公報及び特開平4−211038号公報を参照)、或いは、アルキルアリールカーボネートの不均化反応により炭酸ジアリールと炭酸ジアルキルを製造する方法(特開平4−9358号公報を参照)などが知られていた。
【0007】
しかし、ジアルキルカーボネートのエステル交換による製法では、エステル交換反応が中間体としてアルキルアリールカーボネートを経由する2段階の平衡反応であり、そして、炭酸ジアリールが生成する反応の速度が遅いという問題がある。これらの点を改良するために、種々の特殊な触媒や複雑な製造工程及び製造装置が種々提案されており(特開平4−235951、特開平4−224547を参照)、工業的な生産方法として問題であった。
【0008】
最近、シュウ酸ジアリール(例えば、シュウ酸ジフェニル)を脱CO反応させて得られた炭酸ジアリール(例えば、炭酸ジフェニル)と、多価ヒドロキシ化合物(例えば、二価ヒドロキシ芳香族化合物)と共に原料モノマーとして使用し、両者の重縮合反応によってポリカーボネートを製造することができることが、特開平10−152552号公報、特開平10−152553号公報、WO98/54240公報などに開示されている。
【0009】
前述のシュウ酸ジアリールの脱CO反応は、『有機合成化学、5、報47(1948)』における「ジカルボン酸ジフェニルエステルの熱分解について(第2報)」において、ジフェニルオキサレートを高温で熱分解して炭酸ジフェニルを得たとの報告がある。そして、アメリカ特許第4544507号明細書には、オキサレートを溶媒中でアルコラート触媒の存在下に50〜150℃の温度に加熱することによってカーボネートを製造する方法が開示されているが、前記のオキサレートとしてシュウ酸ジフェニルを用いた場合に主生成物がシュウ酸ジフェニルであった(炭酸ジフェニルが生成したとの記載は無い)との実施態様が示されているだけの状況であった。
【0010】
炭酸ジアリールの製法については、前述のような先行技術の状況であったが、本出願人は、シュウ酸ジアリールを脱CO反応させて高い収率で炭酸ジアリール(例えば、炭酸ジフェニル)を再現性よく得ることができる炭酸ジアリールの製造法(特開平8−333307)を特許出願し、前述のように、非ホスゲン法である脱CO反応で得られた炭酸ジアリールをモノマー原料として使用しポリカーボネートを製造する方法(特開平10−152552)を特許出願している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、非ホスゲン法であるシュウ酸ジアリールの脱CO反応で得られた炭酸ジアリールであっても、ポリカーボネート製造用のモノマー原料として重縮合に使用する場合に、ポリカーボネート製造における重縮合反応に影響したり、得られるポリカーボネートが着色したりという問題が生じることがあることを見出した。
【0012】
従って、本発明の目的は、シュウ酸ジアリールの脱CO反応で得られた炭酸ジアリールを用いてポリカーボネートを製造する場合における問題の原因を明らかにし、その問題を解決し、脱CO反応で得られた炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物との重縮合反応によって、優れた性能のポリカーボネートを再現性よく製造できる方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シュウ酸ジアリールの有機リン化合物触媒の存在下での脱CO反応の反応生成物を精製処理して得られた、炭酸ジアリールを95重量%以上含み、かつ下記式で表わされるベンゾフラン−2,3−ジオン類を1ppm以上含有することのない精製処理物と多価ヒドロキシ化合物とを重縮合反応させることからなるポリカーボネートの製造方法を提供する。
【化3】
Figure 0004686826
[但し、Rは、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、もしくはニトロ基である]。
【0014】
本発明はまた、シュウ酸ジアリールの有機リン化合物触媒の存在下での脱CO反応により炭酸ジアリールを主成分とする反応液を得る工程、該反応液を精製処理して、炭酸ジアリールを95重量%以上含み、かつ上記式で表わされるベンゾフラン−2,3−ジオン類を1ppm以上含有することのない精製処理物を得る工程、そして該精製処理物と多価ヒドロキシ化合物とを重縮合反応させることからなるポリカーボネートの製造方法を提供する。
【0015】
本発明のポリカーボネートの製法によれば、シュウ酸ジアリールなどに由来するフラン系不純物(着色性不純物)を殆ど含有せず、しかも、着色がほとんどない高純度の炭酸ジアリールを用いて、重縮合反応によってポリカーボネートを製造するので、着色がないポリカーボネートを工業的に再現性よく得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明について、図面を参照しながら、さらに詳しく説明する。図1は、高純度の炭酸ジアリールの製造工程を例示するフロー図であり、図2は、高純度の炭酸ジアリールの製造において、フラン系不純物の除去を、粗留分の蒸留操作(蒸留−除去法)で行う場合の一例を示すプロセス図である。
【0017】
本発明における縮重合反応に使用される高純度の炭酸ジアリールは、フラン系不純物(すなわち、ベンゾフラン−2,3−ジオン類)を1ppm以上含有することのない、高純度の炭酸ジアリールであり、シュウ酸ジアリールの脱CO反応によって得られたものであると共に、フラン系不純物の含有率が0.8ppm未満である高純度の炭酸ジアリールであることが好ましい。
【0018】
炭酸ジアリールの製法は、例えば、特開平8−333307号公報に記載されているように、脱CO触媒の存在下に次の反応式(1)に従って行われることが好ましい。なお、下記の反応式(1)において、Ar1及びAr2は、同じ置換基であっても、それぞれ異なっていてもよく、例えば、置換基を有していてもよいアリール基であり、特に、アリール基(ベンゼン環)、アラルキル基などの炭化水素基であればよい。
【0019】
【化4】
Figure 0004686826
【0020】
シュウ酸ジアリールの脱CO反応は、ホスホニウム塩触媒などの有機リン化合物触媒(脱CO触媒)の存在下に液相で行われ、反応式(1)に示したようにシュウ酸ジアリールから炭酸ジアリールと一酸化炭素(気体)とが併産される。なお、脱CO反応で生成した一酸化炭素は気体となって反応系外へ排出され、必要であれば精製して、CO原料として再び利用することができる。
【0021】
シュウ酸ジアリールとしては、反応式(1)中のシュウ酸ジアリールにおける置換基Ar1及びAr2が、(a)フェニル基、(b)メチル、エチル、プロピルなどの炭素原子数1〜12のアルキル基、エトキシ、メトキシ、プロポキシなどの炭素原子数1〜12のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子、又はニトロ基などの置換基を有する置換フェニル基(それらの異性体の置換フェニル基も含む)であるものを挙げることができるが、その置換基Ar1及びAr2が、いずれも置換基を有していてもよいフェニル基であるシュウ酸ジフェニル類、特に、その置換基Ar1及びAr2がいずれもフェニル基であるシュウ酸ジフェニルであることが好ましい。
【0022】
シュウ酸ジアリールの脱CO反応に使用される有機リン化合物触媒は、例えば、特開平8−333307号に記載されているように、リン原子の原子価が3価又は5価の有機リン化合物が挙げられ、リン原子の原子価が3価又は5価である有機リン化合物では、少なくとも1個の炭素−リン(C−P)結合を有する有機リン化合物であることが好ましいが、中でも3個以上の炭素−リン(C−P)結合を有する有機リン化合物が好ましい。
【0023】
有機リン化合物としては、例えば、ホスホニウム塩系有機リン化合物(以下、ホスホニウム塩ともいう)、ホスフィン系有機リン化合物、ホスフィンジハライド系有機リン化合物、及びホスフィンオキサイド系有機リン化合物が挙げられ、脱CO触媒としては特にホスホニウム塩系有機リン化合物が好ましく、例えば、次ぎに示すような一般式(A)で表されるホスホニウム塩を主成分とするもの(特に、ホスホニウム塩を60モル%〜100モル%の含有率、更に80モル%〜100モル%の含有率で含有するもの)が好適である。
【0024】
【化5】
Figure 0004686826
【0025】
一般式(A)において、R1、R2、R3及びR4は、アリール基、アルキル基、アラルキル基、複素環基及びアリールオキシ基からなる群から選ばれた置換基であり、Xは、ホスホニウム塩の対イオンを形成しうる原子又は原子団を表す。
【0026】
一般式(A)のR1、R2、R3及びR4は、アリール基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数7〜22のアラルキル基、炭素原子数4〜16の複素環基、およびアリールオキシ基からなる群から選ばれた置換基であることが好ましい。また、一般式(A)のR1とR2、R2とR3、R3とR4又はR1とR4の間で架橋されてリン原子を含む環を形成しているホスホニウム塩であっても差し支えない。
【0027】
一般式(A)の対イオンX-としては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイオンや、ハイドロジェンジクロライドイオン、ハイドロジェンジブロマイドイオン、ハイドロジェンジヨーダイドイオン、ハイドロジェンブロマイドクロライドイオンなどのハイドロジェンハライドイオンなどが挙げられる。
【0028】
一般式(A)で示されるホスホニウム塩としては、のR1、R2、R3及びR4が全てアリール基であって、対イオンX-がハロゲンイオンであるテトラアリールホスホニウムハライド又は対イオンX-がハイドロジェンジハロゲンイオンであるテトラアリールホスホニウムハイドロジェンジハライドが好ましい。
【0029】
テトラアリールホスニウムハライドとしては、例えばテトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラキス(p−クロロフェニル)ホスホニウムクロライド、テトラキス(p−フルオロフェニル)ホスホニウムクロライド、テトラキス(p−トリル)ホスホニウムクロライド、p−クロロフェニル(トリフェニル)ホスホニウムクロライド、p−トリル(トリフェニル)ホスホニウムクロライド、m−トリフルオロメチルフェニル(トリフェニル)ホスホニウムクロライド、p−ビフェニル(トリフェニル)ホスホニウムクロライド、p−メトキシフェニル(トリフェニル)ホスホニウムクロライド、p−エトキシカルボニルフェニル(トリフェニル)ホスホニウムクロライドなどを挙げることができる。
【0030】
テトラアリールホスホニウムハイドロジェンジハライドとしては、例えば、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライド、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジブロマイド、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジヨーダイド、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンブロマイドクロライドなどを挙げることができる。
【0031】
脱CO反応に用いるホスホニウム塩触媒としては、テトラアリールホスホニウムハライド類及び/又はテトラアリールホスホニウムハイドロジェンジハライド類を主成分として(特に脱CO触媒のホスホニウム塩成分の全量に対して80モル%〜100モル%の含有率で)含有するものが最も好ましい。
【0032】
脱CO反応において使用されるホスホニウム塩触媒は、一般式(A)で示されるホスホニウム塩のいずれかの単独であってもよく、あるいは二種以上の混合物であってもよい。その脱CO触媒はこの脱CO反応液中に均一に溶解しており、一部懸濁されていてもよい。一般式(A)で示されるホスホニウム塩の使用量(脱CO反応系に供給される量)は、この反応系に供給されるシュウ酸ジエステルに対して0.001〜50モル%(特に0.01〜20モル%)であることが好ましい。
【0033】
脱CO反応では、シュウ酸ジアリールと、有機リン系化合物を主成分とする脱CO触媒とを脱CO反応装置に供給し、反応温度100〜450℃、特に160〜400℃、更には180〜350℃で、発生する一酸化炭素気体(COガス)を除去しながら、ジアリールオキサレートを脱CO反応させることによって炭酸ジアリールを生成させることが好ましい。この場合、反応圧力は減圧、常圧又は加圧下のいずれであってもよく特に制限されないが、例えば、10mmHg〜10kg/cm2の範囲であればよい。前記の脱CO反応は液相反応で行うことが好ましく、又、その脱CO反応においては特別の溶媒を必要としないが、必要に応じて非プロトン性の極性溶媒を併用してもよい。
【0034】
本発明において重縮合に使用される高純度の炭酸ジアリール中に混在しているフラン系不純物としては、例えば、下記に示す反応式(2)に従って、シュウ酸ジフェニル類のフリース転位によって生成するベンゾフラン−2,3−ジオン類(フェノール類も併産する)などのフラン系化合物を挙げることができる。
反応式(2)における置換基Rは、反応式(1)中のシュウ酸ジアリールの置換基Ar1及びAr2における置換フェニル基の置換基として例示したものを挙げることができ、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基などの炭素原子数1〜12の炭化水素系置換基、酸素、窒素原子、イオウ原子などを有する置換基(例えば、酸素原子、窒素、イオウなどと炭素原子とで骨格を形成している置換基)、ハロゲン原子などのその他の置換基を挙げることができる。
【0035】
【化6】
Figure 0004686826
【0036】
高純度の炭酸ジアリールは、例えば、フラン系不純物が1ppm未満、好ましくは0.8ppm未満、特に1ppb〜0.5ppm(更に1ppb〜0.3ppm程度)の極めて低い含有率で含まれているだけであり、そして、炭酸ジアリールが約95重量%以上、好ましくは96重量%以上、特に99.0〜99.99重量%(更に好ましくは99.30〜99.99重量%)の高い含有率であることが、縮重合反応で得られるポリカーボネートが実質的に着色しないので好ましい。
【0037】
本発明で縮重合反応に用いる炭酸ジアリールは、シュウ酸ジアリールの含有率が0.01ppm〜5000ppm、特に0.05ppm〜2000ppm、シュウ酸ジアリールに由来するフラン系不純物の含有率が1ppm以下、好ましくは0.8ppm以下、そして、加水分解性ハロゲン化合物(クロルギ酸フェニル等の加水分解性有機ハロゲン化合物、塩酸等の加水分解性無機ハロゲン化合物)の含有率がクロル分として0.2ppm以下、特に0.1ppm以下、更に好ましくは1ppb〜0.05ppmであると共に、パラクロロ安息香酸フェニルなどの有機ハロゲン化物(加水分解性ハロゲン化合物を除く)の含有量が10ppm以下、特に5ppm以下、更に好ましくは50ppb〜5ppm程度であることが、ポリカーボネート製造用のモノマー原料として最も好ましい。
【0038】
本発明では、前述の脱CO反応で得られた高純度の炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物とを重縮合反応させてポリカーボネートを製造する。
多価ヒドロキシ化合物は、芳香族系化合物の芳香環に複数(特に2個)のヒドロキシ基が直接に結合している芳香族系多価ヒドロキシ化合物を主成分とするものである。特に、多価ヒドロキシ化合物が全て芳香族2価ヒドロキシ化合物であるものか、多価ヒドロキシ化合物の全使用量に対して60モル%以上、特に80〜100モル%の芳香族2価ヒドロキシ化合物が配合されているものであってもよい。このような多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、多価ヒドロキシ化合物の全量が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンであるか、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが80〜100モル%、好ましくは90〜100モル%の割合で配合されている多価ヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0039】
多価ヒドロキシ化合物としては、ヒドロキシ基を2個以上有する脂肪族炭化水素系多価ヒドロキシ化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール化合物)を前述の芳香族系多価ヒドロキシ化合物と共に一部併用してもよい。
【0040】
芳香族系多価ヒドロキシ化合物として、具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類や〔以上の化合物をビスフェノール系化合物とも言う〕、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類や、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィドなどのジヒドロキシアリールスルフィド類や、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシアリールスルホキシド類や、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンなどのジヒドロキシアリールスルホン類などが挙げられる。
【0041】
ポリカーボネートの製造に際し、高純度の炭酸ジアリールは、多価ヒドロキシ化合物(2価ヒドロキシ化合物、特に芳香族系2価ヒドロキシ化合物)1モルに対して、1.001〜1.5モル、特に1.01〜1.3モルの量で用いられることが好ましい。また、高純度の炭酸ジアリールと多価ヒドキシ化合物の他に、適当な重合調節剤、末端変性剤、モノフェノール類等を併用してもよい。
【0042】
ポリカーボネートの製造に際し、高純度の炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物とを、適当な塩基性触媒(例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の有機酸塩、無機酸塩、水酸化物、水素化物、アルコラート、或いは、含窒素塩基性化合物など)の存在下に、約100〜330℃の温度で、副生するフェノール化合物を蒸発させて除去しながら、そして、次第に重合温度を上昇させ減圧度を高めながら、1段又は2段以上で溶融重合してポリカーボネートを製造することが好ましい。
【0043】
塩基性触媒としては、例えば、(1)アルキル、アリール、アラルキル基などを有するアンモニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等)、三級アミン類(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等)、二級アミン類、一級アミン類、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライドなどの含窒素塩基性化合物、(2)水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素リチウム、亜リン酸二水素カリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウムなどのアルカリ金属の無機酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属の有機酸塩、水酸化ホウ素ナトリウムなどのアルカリ金属の水素化物、フェノールのナトリウム塩などのアルカリ金属のアルコラート、(3)水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の無機酸塩、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の有機酸塩などの単独又は複数を組み合わせた触媒を挙げることができる。
【0044】
ポリカーボネートの製造において、塩基性触媒の使用量は、重縮合反応に使用する多価ヒドロキシ化合物(特に芳香族系2価ヒドロキシ化合物)1モルに対して10-8〜10-1モル、特に10-7〜10-2モルであることが好ましい。
【0045】
ポリカーボネートの製造における重縮合反応は、従来知られているポリカーボネートの製造方法における重縮合反応条件と同様な条件下で行うことができ、特に、第1段目で、多価ヒドロキシ化合物(特に芳香族系2価ヒドロキシ化合物)とジアリールカーボネートとの重縮合反応を、80〜250℃、特に100〜230℃、更には150〜200℃の温度で、0.01〜5時間、特に0.0〜4時間、更には0.25〜3時間、常圧付近または減圧下で行ない、次いで、第2段目の重縮合反応を、第1段目より反応温度及び減圧度をさらに高めて行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、240〜320℃の温度で行なうことが好ましい。
【0046】
重縮合反応は連続式で行ってもよく、またバッチ式で行ってもよい。また、上記の重縮合反応において用いられる反応装置は、槽型反応装置であっても、管状反応装置(特に第2段目の縮重合ではセルフクリーニング型反応装置がよい)であっても、塔型反応装置であってもよい。そして、本発明の第2工程では、前述の重縮合反応において副生するフェノール化合物を蒸発させて分離し、その分離されたフェノール化合物を精製装置(例えば、蒸発装置、蒸留装置など)によって精製して、精製フェノール化合物を得ることができる。
【0047】
本発明において、脱CO反応で得られた高純度の炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物とを縮重合して得られるポリカーボネートは、公知の溶融重合法で得られた一般的なポリカーボネートと同様の高い分子量(10000〜80000)を達成することができると共に、その他のポリマー物性についても一般的なポリカーボネートと同様の高いレベルを達成することができる。また、本発明で得られたポリカーボネートは、着色が殆どなく、工業的に利用価値が高い。
【0048】
本発明において、(i)脱CO反応工程でシュウ酸ジアリールを脱CO触媒の存在下に脱CO反応させて炭酸ジアリールを生成させ、次いで(ii)分離・精製工程で、前記脱CO反応工程から得られた脱CO反応液を用いて、炭酸ジアリールを分離・精製し、フラン系不純物の含有率が1ppm未満であり、炭酸ジアリールの含有率が95重量%以上である高純度の炭酸ジアリールを得て、続いて(iii)その高純度の炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物とを重縮合反応させてポリカーボネートを製造する。
【0049】
本発明においては、例えば、図1に示すように、まず、前述のようなシュウ酸ジアリールの脱CO反応による炭酸ジアリール製造にて得られた脱CO反応液を蒸発操作することによって、脱CO触媒に由来する触媒成分及び高沸点物質を主として含有する未蒸発成分と、炭酸ジアリールを含む蒸発成分とに分離して、脱CO触媒成分を実質的に含有していない蒸発成分(混合蒸気)を回収し、その蒸発成分を蒸留工程(第1蒸留精製工程という)へ供給する。
【0050】
脱CO反応液は、原料のシュウ酸ジアリール、有機リン化合物からなる脱CO触媒に由来する触媒成分(後述のハロゲン化合物のような助剤も添加されていることもある)、目的生成物の炭酸ジアリール(この炭酸ジアリールの含有率が好ましくは50〜95重量%である)、副生物(高沸点物質、その他の低沸点の不純物)などを含有しており、又、副生物の一酸化炭素(気体)は、自然に脱CO反応液と気液分離して脱CO反応液から排出されているので、脱CO反応液中に実質的に含有されていない。
【0051】
脱CO反応液の蒸発操作は、脱CO反応における目的生成物である炭酸ジアリール(蒸発成分中の主な成分の一つ)と、有機リン化合物からなる脱CO触媒に由来する脱CO触媒成分(未蒸発成分中の主要な成分の一つ)とを蒸発操作によって分離して、脱CO触媒成分を含有してない炭酸ジアリールを主成分とする蒸発成分(蒸気)を得ることを主な目的とするものであり、上記の目的を達成することができればその蒸発方法及び/又は蒸発手段(蒸発装置)について特に限定されることはない。本発明における前記の蒸発操作は、例えば、流下膜式蒸発器、薄膜式蒸発器などの蒸発装置(蒸発器)を用いて行うことが好ましい。
【0052】
蒸発操作では、まず、目的生成物である炭酸ジアリール、この炭酸ジアリールと共に蒸発するその他の成分(シュウ酸ジアリールなど)、それらの転位、分解等による低い沸点を有する低沸点副生物(低沸点不純物)などを含有する蒸発成分(混合蒸気)を、脱CO反応における反応温度よりも低い温度(特に、約100〜250℃、更に130〜200℃)、減圧下(特に、約0.1〜50kPaA、更に約0.2〜20kPaA程度)の蒸発条件で蒸発させることによって、脱CO反応液から蒸発させ回収するのであり、その蒸発操作で得られた蒸発成分(混合蒸気)は次の蒸留精製に付される。
【0053】
前記の蒸発成分は、例えば、炭酸ジアリールの含有率が約70〜95重量%あって、しかも、シュウ酸ジアリールの含有率が5〜25重量%であってもよく、更に、炭酸ジアリールとシュウ酸ジアリールの合計含有率が80〜99.9重量%、特に85〜99.0重量%程度であることが好ましく、また、その残部は、炭酸ジアリールより低い沸点を有する低沸点物質(例えば、フェノール類、フラン系不純物などの低沸点不純物など)及び炭酸ジアリールより高い沸点を有する高沸点副生物(高沸点不純物)などからなっていて、その残部の含有率が約0.1〜5重量%程度であり、更に、蒸発成分中の脱CO触媒成分(有機リン化合物に由来する触媒成分)は極めて微量であるか又は実質的に存在しない。
【0054】
蒸発操作では、蒸発成分(混合蒸気)の蒸発・回収しながら、他方で脱CO触媒に由来する触媒成分(例えば、ホスホニウム塩類に由来するホスホニウム塩成分など)と共に、目的生成物の炭酸ジアリール、未反応のシュウ酸ジアリール、及び高沸点物質(炭酸ジアリールより高い沸点を有する高沸点副生物など)を主として含有する未蒸発成分からなる脱CO反応液の残留液を回収して、必要であれば、脱CO触媒成分を含有する残留液を蒸発装置の底部から抜き出し脱CO反応系へ循環して該残留液中の脱CO触媒成分を再利用することができる。
【0055】
本発明では、蒸発操作によって得られた蒸発成分(混合蒸気)を蒸留操作すること(以下、第1蒸留精製ということもある)によって、例えば、フェノール、クレゾ−ルなどのフェノール系化合物などの低沸点物質(低沸点不純物)、及び、例えば、シュウ酸ジアリール、シュウ酸メチルフェニルフェニルなどの脱CO反応の原料、その原料中に混入してくる高沸点物質、脱CO反応やその反応液の蒸発及び蒸発成分の蒸留精製において副生するその他の高沸点不純物(例えば、p−クロロ安息香酸フェニル、サルチル酸フェニルなど高沸点副生物)などの高沸点物質を順次除去して、少なくともシュウ酸ジアリールをほとんど含有しておらず、しかもシュウ酸ジアリールに由来するフラン系不純物を微量含有している高い濃度の炭酸ジアリールからなる粗留分を得る。
【0056】
前記の第1蒸留精製においては、前記の蒸発成分の蒸留操作によって低沸点物質及び高沸点物質を順次蒸発成分から除去して高い濃度の炭酸ジアリールからなる粗留分を得るのであるが、例えば、まず、前記の蒸発成分の最初の蒸留操作によって、フェノール系化合物などの低沸点物質を含有する炭酸ジアリールからなる軽質留分(最初の蒸留操作の留分)を抜き出し除去して、そして、その最初の蒸留操作で得られた、低沸点物質がほとんど除かれ、高沸点物質を含有する高い濃度の炭酸ジアリールからなる残留分(最初の蒸留操作の残留分)を抜き出し、次いで、その高沸点物質を含有する高い濃度の炭酸ジアリールからなる残留分について2番目の蒸留操作をすることによって、炭酸ジアリールの含有率が96〜99.9重量%(特に98.0〜99.9重量%程度)である組成の粗留分を得て、一方、蒸留塔ボトム液(シュウ酸ジアリール、炭酸ジアリール、高沸点副生物等を含む)はパージまたは脱CO反応器にリサイクルすることが好ましい。
【0057】
粗留分は、例えば、シュウ酸ジアリールの含有率が約1ppm〜1重量%(特に10ppm〜2000ppm程度)で、ベンゾフラン−2,3−ジオン(YFと略記することもある)などのフラン系不純物の含有率が0.1ppm〜2000ppm(wt)(特に2ppm〜2000ppm程度)であって、更に、炭酸ジアリールの含有率が96〜99.9重量%程度であることが好ましい。
【0058】
本発明における高純度の炭酸ジアリールの製造では、前記の蒸発成分の蒸留操作(第1蒸留精製)において得られた粗留分について、フラン系不純物を除去するための種々の除去手段を施すことによって、粗留分から前記のフラン系不純物を実質的に除去する。
なお、フラン系不純物の除去が、後で詳しく説明する蒸留−除去法である場合には、必要であれば、そのフラン系不純物が蒸留操作によって除去された高い濃度の炭酸ジアリールからなる留分(フラン系不純物除去のための蒸留操作による残留分)を更に蒸留精製して、高い純度の炭酸ジアリールからなる留分(製品)を得ることが好ましい。
【0059】
本発明の高純度の炭酸ジアリールは、フラン系不純物が1ppm未満、好ましくは0.8ppm未満、特に1ppb〜0.5ppm(更に1ppb〜0.3ppm程度)の極めて低い含有率で含まれているだけであり、そして、炭酸ジアリールが95重量%以上(特に好ましくは99.30〜99.99重量%、更に好ましくは99.50〜99.99重量%)の高い含有率で含有されているのである。
【0060】
前記の粗留分からフラン系不純物を除去する手段は、例えば、(a)該粗留分の蒸留操作(蒸留−除去法)、(b)前記の粗留分の熱処理及びその熱処理された粗留分の蒸留操作(熱分解−除去法)、(c)前記の粗留分の水添処理及びその水添された粗留分の蒸留操作(水添−除去法)、並びに、(d)フラン系不純物の吸着操作(吸着−除去法)からなる群から選ばれた少なくとも一つの除去手段で行われることが好ましい。
【0061】
本発明におけるフラン系不純物の除去は、前記の蒸発成分の蒸留操作(第1蒸留精製)における2番目の蒸留操作によって得られた高い濃度の炭酸ジアリールからなる粗留分からフラン系不純物を除去するために、その粗留分の蒸留操作することによって、少なくともシュウ酸ジアリールに由来する前記フラン系不純物が1ppm〜5重量%、特に2ppm〜5000ppm程度の含有率で含有されている、かなり高い濃度の炭酸ジアリール(炭酸ジアリールの含有率約95〜99.99重量%)からなる留分を不純物留分として取り出し除去し、一方、フラン系不純物が1ppm未満、好ましくは0.8ppm未満(特に好ましくは5ppb〜0.5ppm、更に10ppb〜0.3ppm程度)の低い含有率である高い濃度の炭酸ジアリール(炭酸ジアリールの含有率が99.20重量%以上、特に99.50〜99.99重量%程度である)からなる残留分を得るという蒸留操作のみによるフラン系不純物の除去手段(蒸留−除去法)を用いて行われることが特に好ましい。
【0062】
さらに、この高い濃度の炭酸ジアリール中には、第一蒸留精製の高沸点不純物分離で分離しきれなかった高沸点物質(例えば、パラクロロ安息香酸フェニルなど)をわずかであるが含有しているので、その高沸点物質を第2蒸留精製を行うことにより除去することによって、パラクロロ安息香酸フェニルなどの有機ハロゲン化物(加水分解性ハロゲン化合物を除く)の含有量が10ppm以下、好ましくは5ppm以下、特に10ppb〜5ppmとし、加水分解性ハロゲン化合物(クロルギ酸フェニル等の加水分解性有機ハロゲン化合物、塩酸等の加水分解性無機ハロゲン化合物)の含有率がクロル分として0.2ppm以下、好ましくは1ppm以下(特に好ましくは2ppb〜0.1ppm、更に5〜50ppb程度)である高純度の炭酸ジアリールとすることが好ましい。
【0063】
本発明においては、前記フラン系不純物の除去が、蒸発成分の蒸留操作によって得られた、フラン系不純物を含有する高い濃度の炭酸ジアリールからなる粗留分を熱処理して、前記フラン系不純物を熱分解、縮合及び/又は熱的変性させ、続いて、熱処理された粗留分から蒸留操作で前記フラン系不純物の熱分解物質などを除去することからなる熱処理(熱処理温度が、150〜300℃、特に180〜250℃、更に200〜230℃であって、熱処理時間が0.05〜10時間、特に0.1〜5時間である)、あるいは蒸留操作からなる除去手段(熱処理−除去法)を用いて行うこともできる。
【0064】
本発明では、図1に示すように、第1工程(脱CO反応工程)において、シュウ酸ジアリールを液相で脱CO反応させて、炭酸ジアリールを生成し、第2工程(蒸発工程)において、その第1工程で得られた脱CO反応液を蒸発操作することによって炭酸ジアリールを含む蒸発成分を分離・回収し、第3工程(第1蒸留精製工程)において、第2工程で得られた蒸発成分を第1蒸留精製することによって低沸点物質を含有する低沸点留分及び高沸点物質を含有する高沸点残留分を順次除去して、シュウ酸ジアリールをほとんど含有せず、シュウ酸ジアリールに由来するフラン系不純物を微量含有している高い濃度の炭酸ジアリールからなる粗留分を得て、その後、第4工程(不純物除去工程)において、第3工程で得られた該粗留分から前記フラン系不純物を除去することによって高い濃度の炭酸ジアリール(フラン系不純物が除去された粗留分)を得る。
【0065】
フラン系不純物が除去された粗留分(例えば、前記の蒸留−除去法においてフラン系不純物が除去された粗留分など)は、図1に示すように、更に、第5工程(第2蒸留精製工程)において、高沸点不純物(炭酸ジアリールより高い沸点を有する不純物)を除去して更に不純物の含有率の少ない高い純度の炭酸ジアリールを得るために、その蒸留精製(第2蒸留精製)を行うことが好ましい。
【0066】
本発明の実施態様において、不純物の除去手段が蒸留−除去法である場合としては、例えば、図2に示すように、第1工程(脱CO反応工程)において、有機リン化合物からなる脱CO触媒をその触媒の供給ライン(1)から脱CO反応器(3)へ供給すると共に、シュウ酸ジフェニル等のシュウ酸ジアリールをその供給ライン(2)から脱CO反応器(3)へ供給して、その反応器(3)においてシュウ酸ジアリールの脱CO反応を、反応温度100〜450℃(特に160〜400℃、更に好ましくは180〜350℃)、反応圧10mmHg〜10kg/cm2(特に常圧附近の圧力下)、及び、反応時間約0.5〜20時間(特に1〜10時間)の反応条件で液相で行い、その反応副生物である一酸化炭素(CO)をCO排出ライン(8)から反応系外へ排出しながら、脱CO反応液を反応器(3)から抜き出して、反応液ライン(4)経由で次の第2工程の蒸発工程へ供給する。
【0067】
前述の脱CO反応においては、必要であれば、図2に示すように、脱CO反応液の蒸発操作を行う蒸発器(5)から抜き出された脱CO反応液の残留液(リン化合物触媒に由来する脱CO触媒成分を含有している)を残留液ライン(6)経由で反応器(3)へ供給することが好ましく、また、その際に、前記のシュウ酸ジアリール、脱CO触媒及び前記の残留液と共に、ハロゲン化合物をその供給ライン(10)経由で反応器(3)へ供給することが、脱CO触媒活性の維持において好ましい。
【0068】
本発明の実施態様(蒸留−除去法の場合)では、第2工程(蒸発工程)において、例えば、図2に示すように、反応液ライン(4)経由で供給された脱CO反応液を、蒸発器(5)で減圧下に加熱して、炭酸ジアリール、シュウ酸ジアリールなどを蒸発させて、その蒸発成分を蒸発成分ライン(9)経由で第3工程の第1蒸留精製工程へ供給する。
【0069】
前記の第2工程においては、前記の蒸発器(5)で蒸発しなかった脱CO反応液の未蒸発成分を残留液として蒸発器(5)から抜き出し、必要であれば、触媒成分を含有する残留液の大部分(蒸発器から抜き出した残留液の90〜99.99重量%)を残留液ライン(6)経由で前述の第1工程(脱CO反応工程)における反応器(3)へリサイクルすることが、脱CO触媒成分を再利用できることから、特に好ましい。
【0070】
本発明における実施態様(蒸留−除去法の場合)では、第3工程(第1蒸留精製工程)において、例えば図2に示すように、前記蒸発器(5)から蒸発成分ライン(9)経由で供給された蒸発成分を第1蒸留搭(11)へ供給し蒸留精製して、蒸発成分に含まれていた低沸点物質を含有する不純物留分をその塔頂部から抜き出しながら、その塔底部から残留分(缶液)を抜出して次の第2蒸留搭(12)へ供給して更に蒸留精製して、その塔底部から高沸点物質を含有する残留分を高沸点物質ライン(17)から抜き出しながら、一方でその塔頂部に連結している粗留分ライン(19)から、低沸点物質及び高沸点物質が除去された高い濃度の炭酸ジアリールからなる粗留分を抜き出して、次の第4工程(不純物除去工程)へ供給する。
【0071】
前記の第4工程(不純物除去工程)へ供給される粗留分は、シュウ酸ジアリールをほとんど含有しておらず(好ましくはその含有率が10ppm〜1重量%である)しかもフラン系不純物を微量(好ましくはそのフラン系不純物の含有率が1ppm〜2000ppmである)含有し、高い濃度の炭酸ジアリール(好ましくは炭酸ジアリールの濃度が99.0〜99.9重量%)からなる粗留分であることが好ましい。
【0072】
本発明の実施態様(蒸留−除去法の場合)では、第4工程(不純物除去工程)において、例えば図2に示すように、前記の粗留分をフラン系不純物除去塔(13:F除去塔ともいう)へ供給し、その蒸留操作することによって、フラン系不純物を含有する留分(不純物留分)をそのF除去塔(13)の塔頂部に連結された不純物留分ライン(15)から除去する。
一方、前記のF除去塔における蒸留操作においては、その塔底部から、フラン系不純物が実質的に除去された高い濃度の炭酸ジアリールからなる残留分(缶液)をライン(20)経由で抜き出し、更に、必要であれば、その高い濃度の炭酸ジアリールを第5工程(第2蒸留精製工程)へ供給する。
【0073】
前記の第5工程(第2蒸留精製工程)では、例えば、図2に示すように、F除去塔(13)の塔底部からライン(20)経由で供給された高い濃度の炭酸ジアリールを炭酸ジフェニル(DPC)などの炭酸ジアリール精製塔(14:DPC精製塔ともいう)へ供給して、その塔頂部から高沸点不純物などの不純物が更に高いレベルで除去された高純度DPCなどの高純度の炭酸ジアリールからなる留分(製品)をライン(16)経由で得ることが好ましい。
一方、前記のDPC精製塔(14)における蒸留操作において、その塔底部から、高沸点不純物を含有する残留分(缶液)を高沸点物質ライン(18)経由で抜き出す。
【0074】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示す。実施例及び比較例において、各反応液などの組成分析は液クロマトグラフィーによって行なった。この分析法はその測定限界が化合物によってことなるが、測定限界が約0.1〜1ppmである。
【0075】
[実施例1]
〔炭酸ジフェニルの製造〕
図1に概略プロセスを示すような連続製造装置において、内容積250リットルのグラスライニング製攪拌槽(該攪拌槽の2槽連結タイプであり、1槽目から2槽目へはオーバーフロー管で連結している)からなる脱CO反応器に、シュウ酸ジフェニル及びテトラフェニルホスホニウムクロリド(シュウ酸ジフェニルに対して1.5重量%)を仕込み、脱CO反応器のジャケットに熱媒を通して加熱し、攪拌下に脱CO反応させた。1槽目の反応槽の転化率が約60%、2槽目の転化率が約80%になったところで、シュウ酸ジフェニルおよびテトラフェニルホスホニウムクロリド(シュウ酸ジフェニルに対し1.5重量%)を1槽目の反応器に連続フィードを開始した。上記の脱CO反応において、脱CO反応器内の温度(反応温度)は各槽ともに225℃に調整して維持した。
【0076】
〔脱CO反応液の蒸発〕
脱CO反応器から抜き出された脱CO反応液は、内容積100リットルのグラスライニング製の蒸発槽(蒸発器)にフィードし、その蒸発器のジャケットにスチームを通じながら6kPaAの減圧で炭酸ジフェニルなどを蒸発させて蒸発成分を抜き出しながら、脱CO反応液の蒸発と濃縮を行った。脱CO反応液の蒸発によって得られた蒸発成分は、炭酸ジフェニルが88.54重量%、シュウ酸ジフェニルが9.71重量%、その他の不純物1.75重量%で、約50kg/時で得られた。
一方、脱CO触媒に由来するホスホニウム塩成分を含む残留液は、その一部を、後で示すような残留液の組成になるようにパージ量を調整しながら、反応系外にパージし、残部を全て前記の脱CO反応器へリサイクルし、脱CO反応を連続で行った。なお、残留液を脱CO反応器へリサイクルする時に、クロロホルム(残留液中の触媒成分に対して約10モル%に相当する量)を連続で添加した。
【0077】
〔第1蒸留精製(粗留分の回収〕
上記の蒸発成分は、冷却して液化して受液槽に受け入れて、その受液槽から、塔径100A、高さ7mの充填塔(第1蒸留搭:充填物メラパック500Y;住友重機械株式会社製、充填長さ5m、以下、低沸塔ともいう)へフィードし、その塔のトップ(塔頂部)を6kPaAの減圧とし、フェノールを含む低沸点物質をそのトップから除去し、低沸点物質が除かれた残留液(缶液)をボトム(塔底)から抜き出した。この残留液(缶液)の組成は、炭酸ジフェニルが88.61重量%、シュウ酸ジフェニルが9.71重量%、その他不純物1.67重量%で、約50kg/時で得られた。
【0078】
更に、この残留液(第1蒸留搭の缶液)を、塔径250A、長さ8mの充填塔(第2蒸留搭:充填物メラパック500Y;住友重機械株式会社製、充填長さ6m、以下、シュウ酸ジフェニル回収塔ともいう)へフィードし、その塔のトップ(塔頂部)を2.2kPaAの減圧とし、蒸留を行い、シュウ酸ジフェニルを含有する残留液(缶液)を塔底から抜き出しながら、その塔頂部から、純度99.9重量%である炭酸ジフェニルからなる粗留分を約43kg/時の流量で抜き出した。
【0079】
前記の高い濃度の炭酸ジフェニルからなる粗留分は、微量不純物としてシュウ酸ジフェニルが20ppm、パラクロロ安息香酸フェニルが150ppm含まれているほかは、ベンゾフラン−2,3−ジオンが2ppmが含有されていた。なお、粗留分のハーゼンを測定したところ10〜20であった。
一方、前記の残留液(第2蒸留搭の缶液)は、炭酸ジフェニル46.74重量%、シュウ酸ジフェニル48.46重量%、その他の不純物4.63重量%の組成であり、約7kg/時の流速で第2蒸留搭の塔底部から抜き出した。
【0080】
〔粗留分の不純物除去(蒸留−除去法)〕
前記の粗留分を、塔径200A、長さ8mの充填塔(F除去塔:充填物メラパック500Y;住友重機械株式会社製、充填長さ5m、以下、脱色塔ともいう)へフィードし、この塔のトップ2kPaA、還流比20で連続的に蒸留して、その塔のトップから、ベンゾフラン−2,3−ジオンが約0.02重量%の含有率で含有されている比較的高濃度の炭酸ジフェニルからなる不純物留分を0.4kg/時の流量で抜き出し、一方、前記のF除去塔の塔底部からは、ベンゾフェノン−2,3−ジオンが0.2ppm以下の含有率となっている高い濃度の炭酸ジフェニルからなる残留液を約43kg/時の流量で抜き出した。この残留液はハーゼンを測定したところ5以下であった。
【0081】
〔第2蒸留精製〕
前記の残留液(F除去塔の缶液)を、塔径250A、長さ10m(DPC精製塔:充填物メラパック500Y;住友重機械株式会社製、充填長さ8m)へフィードし、その塔のトップ(塔頂部)4kPaAの減圧で連続的に蒸留精製を行ない、その塔のトップ(塔頂部)から純度が99.95重量%以上の炭酸ジフェニルからなるDPC留分を約42kg/時で得た。そのDPC留分は、ベンゾフラン−2,3−ジオンの含有率が0.2ppm以下であり、液クロマトグラフィー分析におけるパラクロロ安息香酸フェニル及びシュウ酸ジフェニルの各分析ピークがいずれも検出されず、ハーゼンを測定したところ5以下であった。
また、そのDPC留分は燃焼法にて全クロル含量を測定したところ、0.3ppm以下であった。その測定は、塩素分析装置〔三菱化学(株)製 TOX−10Σ〕に依った。更に、そのDPC留分は、加水分解性ハロゲン化合物等に由来するクロルイオンの含有率をイオンクロマトグラフィーにより測定した結果、10ppbであった。
【0082】
〔ポリカーボネートの製法〕
実施例1において得られた高純度の炭酸ジフェニルからなるDPC留分を用いて、以下のようにしてポリカーボネートの製造を行った。なお、使用したDPC留分は、水分30ppm、フェノール70ppmのほか、安息香酸フェニルが50ppm、ベンゾフラン−2,3−ジオンが0.2ppm以下であった。ビスフェノールA 400gをトルエン800ミリリットル及びエタノール36ミリリットル(容量比が22:1)の混合液から再結晶して、ビスフェノールAの精製品を得た。
【0083】
市販のビスフェノールA(新日鐡化学(株)製)をトルエンとエタノールとの混合液(容量比22:1)から再結晶して、ビスフェノールAの精製品を得た。攪拌機および蒸留塔を備えたステンレス製(SUS316L)の反応器に、前記の精製ビスフェノールA22.8重量部、炭酸ジフェニル(DPC留分)22.7重量部、及び触媒として水酸化ナトリウムをビスフェノールA1モルに対して2×10-6モルとテトラメチルアンモニウムヒドロキシド1×10-4モルとを加えて、室温で真空脱気を0.5時間行ない、次いで、重合反応器を加熱して重合反応を行なわせ、230℃、100mmHgでフェノールの留出が始まって1時間、次いで240℃、100mmHgで0.5時間、更に、255℃で100mmHgで10分間、そして15分で100mmHgから50mmHgまで減圧して、その状態で15分間維持し、重縮合反応させ、更に270℃まで昇温させ、圧力も50mmHgから30分で1mmHgまで減圧して、この状態で1時間重縮合反応を継続させて、安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩をナトリウム触媒に対して2倍モル加えて混練した。
得られたポリカーボネートは、粘度平均分子量15000で、色相(col b値)0.6のものであった。
【0084】
なお、上記物性は以下のようにして測定した。
(1) 粘度平均分子量
0.7g/dl の塩化メチレン溶液をウベローデ粘度計を用いて粘度を測定し、次式で粘度平均分子量を求めた。[η]=1.23×10-40.83
(2) 色調(b値)
ポリカーボネートのペレット(短径×長径×長さ=2.5mm×3.3mm×3.0mm)のLab値を日本電色工業(株)製ND−1001DPを用い反射法で測定し着色度(黄色)の程度としてb値を用いた。
【0085】
[比較例1]
実施例1において第1精製蒸留で得られた粗留分(第2蒸留搭の塔頂部から得られた粗留分)を、実施例1において蒸留操作されたF除去塔へフィードすることなく、直接に第2蒸留精製において使用されるDPC精製塔へフィードしたほかは、実施例1と同様にして、炭酸ジフェニルの製造、脱CO反応液の蒸発、蒸発成分の第1蒸留精製及び第2蒸留精製を行った。その結果、DPC精製塔のトップから、純度99.95重量%以上の炭酸ジフェニルを約42kg/時の流量で得た。
この高い濃度の炭酸ジフェニルは、ベンゾフラン−2,3−ジオンの含有率が2ppmであり、そしてハーゼンを測定したところ、10〜20であった。
前述のようにして得られた炭酸ジフェニルを用いて、実施例1と同様に重縮合を行なったが、得られたポリカーボネートが淡黄色に着色していた。
【0086】
【発明の効果】
本発明は、シュウ酸ジアリールの脱CO反応によって得られたフラン系不純物を含有していない高純度の炭酸ジアリールを使用して、多価ヒドロキシ化合物との重縮合反応を行ない、着色のないポリカーボネートを工業的に容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高純度の炭酸ジアリールの製造工程の例を示すフロー図である。
【図2】本発明において、フラン系不純物の除去を粗留分の蒸留操作(蒸留−除去法)で行う場合の一例を示すプロセス図である。
【符号の説明】
1 触媒の供給ライン
2 シュウ酸ジエステル(DPO等)の供給ライン
3 脱CO反応器(反応器)
4 反応液ライン
5 蒸発器
6 残留液ライン
7 パージ液ライン
8 CO排出ライン
9 蒸発成分ライン
11 第1蒸留搭
13 F除去塔(不純物除去塔)
14 DPC精製塔(炭酸ジアリール)
16 DPC留分(製品)ライン

Claims (10)

  1. シュウ酸ジアリールの有機リン化合物触媒の存在下での脱CO反応の反応生成物を精製処理して得られた、炭酸ジアリールを95重量%以上含み、かつ下記式で表わされるベンゾフラン−2,3−ジオン類を1ppm以上含有することのない精製処理物と多価ヒドロキシ化合物とを重縮合反応させることからなるポリカーボネートの製造方法:
    Figure 0004686826
    但し、Rは、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、もしくはニトロ基である。
  2. 上記精製処理物が上記ベンゾフラン−2,3−ジオン類を0.8ppm以上含有することがない請求項1に記載のポリカーボネートの製造方法。
  3. 上記精製処理物が炭酸ジアリールを98.0重量%以上含む請求項1もしくは2に記載のポリカーボネートの製造方法。
  4. 上記精製処理物がシュウ酸ジアリールを5000ppm以上含有することがない請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載のポリカーボネートの製造方法。
  5. シュウ酸ジアリールがシュウ酸ジフェニルで、炭酸ジアリールが炭酸ジフェニルであり、上記ベンゾフラン−2,3−ジオン類がベンゾフラン−2,3−ジオンである請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載のポリカーボネートの製造方法。
  6. シュウ酸ジアリールの有機リン化合物触媒の存在下での脱CO反応により炭酸ジアリールを主成分とする反応液を得る工程、該反応液を精製処理して、炭酸ジアリールを95重量%以上含み、かつ下記式で表わされるベンゾフラン−2,3−ジオン類を1ppm以上含有することのない精製処理物を得る工程、そして該精製処理物と多価ヒドロキシ化合物とを重縮合反応させることからなるポリカーボネートの製造方法:
    Figure 0004686826
    但し、Rは、水素、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、もしくはニトロ基である。
  7. 上記反応液を上記ベンゾフラン−2,3−ジオン類を0.8ppm以上含有することがないように精製処理して上記精製処理物を得る請求項6に記載のポリカーボネートの製造方法。
  8. 炭酸ジアリールを98.0重量%以上含むように精製処理して上記精製処理物を得る請求項6もしくは7に記載のポリカーボネートの製造方法。
  9. 上記反応液をシュウ酸ジアリールを5000ppm以上含有することがないように精製処理して上記精製処理物を得る請求項6乃至8のうちのいずれかの項に記載のポリカーボネートの製造方法。
  10. シュウ酸ジアリールがシュウ酸ジフェニルで、炭酸ジアリールが炭酸ジフェニルであり、上記ベンゾフラン−2,3−ジオン類がベンゾフラン−2,3−ジオンである請求項6乃至9のうちのいずれかの項に記載のポリカーボネートの製造方法。
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