JP2002053657A - ポリカーボネートの製法 - Google Patents

ポリカーボネートの製法

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JP2002053657A JP2000236878A JP2000236878A JP2002053657A JP 2002053657 A JP2002053657 A JP 2002053657A JP 2000236878 A JP2000236878 A JP 2000236878A JP 2000236878 A JP2000236878 A JP 2000236878A JP 2002053657 A JP2002053657 A JP 2002053657A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シュウ酸ジアリールの脱CO反応で得られた
炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物との重縮合反応
によって、優れた性能のポリカーボネートを再現性よく
製造できる方法を提供する。 【解決手段】 フラン系不純物を1ppm以上含有する
ことのない高純度の炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化
合物とを重縮合反応させることを特徴とするポリカーボ
ネートの製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シュウ酸ジアリー
ルの脱CO反応(脱カルボニル反応)で得られた炭酸ジ
アリールと多価ヒドロキシ化合物とを重縮合反応(溶融
重合反応)させ、着色のないポリカーボネートを製造す
る方法に係る。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、機械的強度、透明
性、電気特性、光学的特性等において優れているので、
コンパクトディスクなどの電気・電子材料製品の材料、
あるいは有機ガラス、光学レンズなどの工業材料製品と
して極めて重要なポリマーである。
【0003】従来、ポリカーボネートの製造法として
は、種々の公知の方法で得られたジフェニルカーボネー
ト(DPC)等の炭酸ジアリールとビスフェノール系化
合物等の多価ヒドロキシ化合物とを、触媒の存在下に重
縮合(溶融重合)することによって製造する方法がよく
知られている。
【0004】ジフェニルカーボネート(DPC)等の炭
酸ジアリールの製造法としては、炭酸ジアルキルからエ
ステル交換反応により製造する方法や、ホスゲンとフェ
ノール化合物とから炭酸ジアリールを直接生成させる方
法や、その他の種々の製造法が提案されていたが、それ
らの方法は、炭酸ジアリール中に種々の不純物を含有し
ていたり、生産性が充分でなかったり、製造及び/又は
精製工程が複雑であったりすることなどから、必ずしも
工業的に満足すべき製法ではないと共に、得られた炭酸
ジアリールが種々の不純物を含有していてポリカーボネ
ート製造用のモノマー原料として適当ではなかった。
【0005】即ち、特公昭58−50977号公報に記
載されている代表的なホスゲン法による炭酸ジアリール
の製造法では、猛毒のホスゲンを使用するのでその毒性
が極めて問題であった。また、得られる炭酸ジアリール
中にハロゲン化合物の不純物がかなりの含有量比で混入
しており、炭酸ジアリールからそのハロゲン化合物の不
純物を除去することが極めて困難なことがあり、ポリカ
ーボネートの製造に使用した場合に重合度、透明度等に
おいて問題が生じることがあった。
【0006】非ホスゲン法として代表的な公知の炭酸ジ
フェニルの製法としては、炭酸ジアルキルとフェノール
化合物をエステル交換反応させて炭酸ジアリールを得る
方法(特開平3−291257号公報及び特開平4−2
11038号公報を参照)、或いは、アルキルアリール
カーボネートの不均化反応により炭酸ジアリールと炭酸
ジアルキルを製造する方法(特開平4−9358号公報
を参照)などが知られていた。
【0007】しかし、ジアルキルカーボネートのエステ
ル交換による製法では、エステル交換反応が中間体とし
てアルキルアリールカーボネートを経由する2段階の平
衡反応であり、そして、炭酸ジアリールが生成する反応
の速度が遅いという問題がある。これらの点を改良する
ために、種々の特殊な触媒や複雑な製造工程及び製造装
置が種々提案されており(特開平4−235951、特
開平4−224547を参照)、工業的な生産方法とし
て問題であった。
【0008】最近、シュウ酸ジアリール(例えば、シュ
ウ酸ジフェニル)を脱CO反応させて得られた炭酸ジア
リール(例えば、炭酸ジフェニル)と、多価ヒドロキシ
化合物(例えば、二価ヒドロキシ芳香族化合物)と共に
原料モノマーとして使用し、両者の重縮合反応によって
ポリカーボネートを製造することができることが、特開
平10−152552号公報、特開平10−15255
3号公報、WO98/54240公報などに開示されて
いる。
【0009】前述のシュウ酸ジアリールの脱CO反応
は、『有機合成化学、5、報47(1948)』におけ
る「ジカルボン酸ジフェニルエステルの熱分解について
(第2報)」において、ジフェニルオキサレートを高温
で熱分解して炭酸ジフェニルを得たとの報告がある。そ
して、アメリカ特許第4544507号明細書には、オ
キサレートを溶媒中でアルコラート触媒の存在下に50
〜150℃の温度に加熱することによってカーボネート
を製造する方法が開示されているが、前記のオキサレー
トとしてシュウ酸ジフェニルを用いた場合に主生成物が
シュウ酸ジフェニルであった(炭酸ジフェニルが生成し
たとの記載は無い)との実施態様が示されているだけの
状況であった。
【0010】炭酸ジアリールの製法については、前述の
ような先行技術の状況であったが、本出願人は、シュウ
酸ジアリールを脱CO反応させて高い収率で炭酸ジアリ
ール(例えば、炭酸ジフェニル)を再現性よく得ること
ができる炭酸ジアリールの製造法(特開平8−3333
07)を特許出願し、前述のように、非ホスゲン法であ
る脱CO反応で得られた炭酸ジアリールをモノマー原料
として使用しポリカーボネートを製造する方法(特開平
10−152552)を特許出願している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、非ホスゲ
ン法であるシュウ酸ジアリールの脱CO反応で得られた
炭酸ジアリールであっても、ポリカーボネート製造用の
モノマー原料として重縮合に使用する場合に、ポリカー
ボネート製造における重縮合反応に影響したり、得られ
るポリカーボネートが着色したりという問題が生じるこ
とがあることを見出した。
【0012】従って、本発明の目的は、シュウ酸ジアリ
ールの脱CO反応で得られた炭酸ジアリールを用いてポ
リカーボネートを製造する場合における問題の原因を明
らかにし、その問題を解決し、脱CO反応で得られた炭
酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物との重縮合反応に
よって、優れた性能のポリカーボネートを再現性よく製
造できる方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、フラン系不純
物を1ppm以上含有することのない高純度の炭酸ジア
リールと多価ヒドロキシ化合物とを重縮合反応させるこ
とを特徴とするポリカーボネートの製法にある。本発明
は特に、シュウ酸ジアリールの脱CO反応で得られた炭
酸ジアリールであって、シュウ酸ジアリールに由来する
フラン系不純物の含有率が0.8ppmを超えることの
ない高純度の炭酸ジアリールを用いて、これを多価ヒド
ロキシ化合物と重縮合反応させるポリカーボネートの製
法を提供する。
【0014】本発明はまた、(i)脱CO反応工程でシ
ュウ酸ジアリールを脱CO触媒の存在下に脱CO反応さ
せて炭酸ジアリールを生成させ、次いで、(ii)分離・
精製工程で、前記脱CO反応工程から得られた脱CO反
応液から、炭酸ジアリールを含む蒸発成分を回収して、
フラン系不純物の含有率が1ppm以下であり、炭酸ジ
アリールの含有率が95重量%以上の高純度の炭酸ジア
リール含有製品を得て、続いて、(iii)重縮合工程
で、その高純度の炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合
物とを重縮合反応させてポリカーボネートを製造するこ
とを特徴とするポリカーボネートの製法にある。
【0015】本発明のポリカーボネートの製法によれ
ば、シュウ酸ジアリールなどに由来するフラン系不純物
(着色性不純物)を殆ど含有せず、しかも、着色がほと
んどない高純度の炭酸ジアリールを用いて、重縮合反応
によってポリカーボネートを製造するので、着色がない
ポリカーボネートを工業的に再現性よく得ることができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明について、図面を参照しな
がら、さらに詳しく説明する。図1は、高純度の炭酸ジ
アリールの製造工程を例示するフロー図であり、図2
は、高純度の炭酸ジアリールの製造において、フラン系
不純物の除去を、粗留分の蒸留操作(蒸留−除去法)で
行う場合の一例を示すプロセス図である。
【0017】本発明における縮重合反応に使用される高
純度の炭酸ジアリールは、フラン系不純物を1ppm以
上含有することのない、高純度の炭酸ジアリールであ
り、例えば、シュウ酸ジアリールの脱CO反応によって
得られたものであると共に、フラン系不純物の含有率が
0.8ppm以下である高純度の炭酸ジアリールである
ことが好ましい。
【0018】炭酸ジアリールの製法は、例えば、特開平
8−333307号公報に記載されているように、脱C
O触媒の存在下に次の反応式(1)に従って行われるこ
とが好ましい。なお、下記の反応式(1)において、A
r1及びAr2は、同じ置換基であっても、それぞれ異なっ
ていてもよく、例えば、置換基を有していてもよいアリ
ール基であり、特に、アリール基(ベンゼン環)、アラ
ルキル基などの炭化水素基であればよい。
【0019】
【化1】
【0020】シュウ酸ジアリールの脱CO反応は、ホス
ホニウム塩触媒などの有機リン化合物触媒(脱CO触
媒)の存在下に液相で行われ、反応式(1)に示したよ
うにシュウ酸ジアリールから炭酸ジアリールと一酸化炭
素(気体)とが併産される。なお、脱CO反応で生成し
た一酸化炭素は気体となって反応系外へ排出され、必要
であれば精製して、CO原料として再び利用することが
できる。
【0021】シュウ酸ジアリールとしては、反応式
(1)中のシュウ酸ジアリールにおける置換基Ar1及び
Ar2が、(a)フェニル基、(b)メチル、エチル、プ
ロピルなどの炭素原子数1〜12のアルキル基、エトキ
シ、メトキシ、プロポキシなどの炭素原子数1〜12の
アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原
子、又はニトロ基などの置換基を有する置換フェニル基
(それらの異性体の置換フェニル基も含む)であるもの
を挙げることができるが、その置換基Ar1及びAr2が、
いずれも置換基を有していてもよいフェニル基であるシ
ュウ酸ジフェニル類、特に、その置換基Ar1及びAr2
いずれもフェニル基であるシュウ酸ジフェニルであるこ
とが好ましい。
【0022】シュウ酸ジアリールの脱CO反応に使用さ
れる脱CO触媒は、例えば、特開平8−333307に
記載されているように、リン原子の原子価が3価又は5
価の有機リン化合物が挙げられ、リン原子の原子価が3
価又は5価である有機リン化合物では、少なくとも1個
の炭素−リン(C−P)結合を有する有機リン化合物で
あることが好ましいが、中でも3個以上の炭素−リン
(C−P)結合を有する有機リン化合物が好ましい。
【0023】有機リン化合物としては、例えば、ホスホ
ニウム塩系有機リン化合物(以下、ホスホニウム塩とも
いう)、ホスフィン系有機リン化合物、ホスフィンジハ
ライド系有機リン化合物、及びホスフィンオキサイド系
有機リン化合物が挙げられ、脱CO触媒としては特にホ
スホニウム塩系有機リン化合物が好ましく、例えば、次
ぎに示すような一般式(A)で表されるホスホニウム塩
を主成分とするもの(特に、ホスホニウム塩を60モル
%〜100モル%の含有率、更に80モル%〜100モ
ル%の含有率で含有するもの)が好適である。
【0024】
【化2】
【0025】一般式(A)において、R1、R2、R3
びR4は、アリール基、アルキル基、アラルキル基、複
素環基及びアリールオキシ基からなる群から選ばれた置
換基であり、Xは、ホスホニウム塩の対イオンを形成し
うる原子又は原子団を表す。
【0026】一般式(A)のR1、R2、R3及びR4は、
アリール基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原
子数7〜22のアラルキル基、炭素原子数4〜16の複
素環基、およびアリールオキシ基からなる群から選ばれ
た置換基であることが好ましい。また、一般式(A)の
1とR2、R2とR3、R3とR4又はR1とR4の間で架橋
されてリン原子を含む環を形成しているホスホニウム塩
であっても差し支えない。
【0027】一般式(A)の対イオンX-としては、塩
素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどのハロゲンイ
オンや、ハイドロジェンジクロライドイオン、ハイドロ
ジェンジブロマイドイオン、ハイドロジェンジヨーダイ
ドイオン、ハイドロジェンブロマイドクロライドイオン
などのハイドロジェンハライドイオンなどが挙げられ
る。
【0028】一般式(A)で示されるホスホニウム塩と
しては、のR1、R2、R3及びR4が全てアリール基であ
って、対イオンX-がハロゲンイオンであるテトラアリ
ールホスホニウムハライド又は対イオンX-がハイドロ
ジェンジハロゲンイオンであるテトラアリールホスホニ
ウムハイドロジェンジハライドが好ましい。
【0029】テトラアリールホスニウムハライドとして
は、例えばテトラフェニルホスホニウムクロライド、テ
トラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラキス(p
−クロロフェニル)ホスホニウムクロライド、テトラキ
ス(p−フルオロフェニル)ホスホニウムクロライド、
テトラキス(p−トリル)ホスホニウムクロライド、p
−クロロフェニル(トリフェニル)ホスホニウムクロラ
イド、p−トリル(トリフェニル)ホスホニウムクロラ
イド、m−トリフルオロメチルフェニル(トリフェニ
ル)ホスホニウムクロライド、p−ビフェニル(トリフ
ェニル)ホスホニウムクロライド、p−メトキシフェニ
ル(トリフェニル)ホスホニウムクロライド、p−エト
キシカルボニルフェニル(トリフェニル)ホスホニウム
クロライドなどを挙げることができる。
【0030】テトラアリールホスホニウムハイドロジェ
ンジハライドとしては、例えば、テトラフェニルホスホ
ニウムハイドロジェンジクロライド、テトラフェニルホ
スホニウムハイドロジェンジブロマイド、テトラフェニ
ルホスホニウムハイドロジェンジヨーダイド、テトラフ
ェニルホスホニウムハイドロジェンブロマイドクロライ
ドなどを挙げることができる。
【0031】脱CO反応に用いるホスホニウム塩触媒と
しては、テトラアリールホスホニウムハライド類及び/
又はテトラアリールホスホニウムハイドロジェンジハラ
イド類を主成分として(特に脱CO触媒のホスホニウム
塩成分の全量に対して80モル%〜100モル%の含有
率で)含有するものが最も好ましい。
【0032】脱CO反応において使用されるホスホニウ
ム塩触媒は、一般式(A)で示されるホスホニウム塩の
いずれかの単独であってもよく、あるいは二種以上の混
合物であってもよい。その脱CO触媒はこの脱CO反応
液中に均一に溶解しており、一部懸濁されていてもよ
い。一般式(A)で示されるホスホニウム塩の使用量
(脱CO反応系に供給される量)は、この反応系に供給
されるシュウ酸ジエステルに対して0.001〜50モ
ル%(特に0.01〜20モル%)であることが好まし
い。
【0033】脱CO反応では、シュウ酸ジアリールと、
有機リン系化合物を主成分とする脱CO触媒とを脱CO
反応装置に供給し、反応温度100〜450℃、特に1
60〜400℃、更には180〜350℃で、発生する
一酸化炭素気体(COガス)を除去しながら、ジアリー
ルオキサレートを脱CO反応させることによって炭酸ジ
アリールを生成させることが好ましい。この場合、反応
圧力は減圧、常圧又は加圧下のいずれであってもよく特
に制限されないが、例えば、10mmHg〜10kg/
cm2の範囲であればよい。前記の脱CO反応は液相反
応で行うことが好ましく、又、その脱CO反応において
は特別の溶媒を必要としないが、必要に応じて非プロト
ン性の極性溶媒を併用してもよい。
【0034】本発明において重縮合に使用される高純度
の炭酸ジアリール中に混在しているフラン系不純物とし
ては、例えば、下記に示す反応式(2)に従って、シュ
ウ酸ジフェニル類のフリース転位によって生成するベン
ゾフラン−2,3−ジオン類(フェノール類も併産す
る)などのフラン系化合物を挙げることができる。反応
式(2)における置換基Rは、反応式(1)中のシュウ
酸ジアリールの置換基Ar1及びAr2における置換フェニ
ル基の置換基として例示したものを挙げることができ、
例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基などの
炭素原子数1〜12の炭化水素系置換基、酸素、窒素原
子、イオウ原子などを有する置換基(例えば、酸素原
子、窒素、イオウなどと炭素原子とで骨格を形成してい
る置換基)、ハロゲン原子などのその他の置換基を挙げ
ることができる。
【0035】
【化3】
【0036】高純度の炭酸ジアリールは、例えば、フラ
ン系不純物が約1ppm以下、好ましくは0.8ppm
以下、特に1ppb〜0.5ppm(更に1ppb〜
0.3ppm程度)の極めて低い含有率で含まれている
だけであり、そして、炭酸ジアリールが約95重量%以
上、好ましくは96重量%以上、特に99.0〜99.
99重量%(更に好ましくは99.30〜99.99重
量%)の高い含有率であることが、縮重合反応で得られ
るポリカーボネートが実質的に着色しないので好まし
い。
【0037】本発明で縮重合反応に用いる炭酸ジアリー
ルは、シュウ酸ジアリールの含有率が0.01ppm〜
5000ppm、特に0.05ppm〜2000pp
m、シュウ酸ジアリールに由来するフラン系不純物の含
有率が1ppm以下、好ましくは0.8ppm以下、そ
して、加水分解性ハロゲン化合物(クロルギ酸フェニル
等の加水分解性有機ハロゲン化合物、塩酸等の加水分解
性無機ハロゲン化合物)の含有率がクロル分として0.
2ppm以下、特に0.1ppm以下、更に好ましくは
1ppb〜0.05ppmであると共に、パラクロロ安
息香酸フェニルなどの有機ハロゲン化物(加水分解性ハ
ロゲン化合物を除く)の含有量が10ppm以下、特に
5ppm以下、更に好ましくは50ppb〜5ppm程
度であることが、ポリカーボネート製造用のモノマー原
料として最も好ましい。
【0038】本発明では、前述の脱CO反応で得られた
高純度の炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物とを重
縮合反応させてポリカーボネートを製造する。多価ヒド
ロキシ化合物は、芳香族系化合物の芳香環に複数(特に
2個)のヒドロキシ基が直接に結合している芳香族系多
価ヒドロキシ化合物を主成分とするものである。特に、
多価ヒドロキシ化合物が全て芳香族2価ヒドロキシ化合
物であるものか、多価ヒドロキシ化合物の全使用量に対
して60モル%以上、特に80〜100モル%の芳香族
2価ヒドロキシ化合物が配合されているものであっても
よい。このような多価ヒドロキシ化合物としては、例え
ば、多価ヒドロキシ化合物の全量が、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパンであるか、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが80〜100
モル%、好ましくは90〜100モル%の割合で配合さ
れている多価ヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0039】多価ヒドロキシ化合物としては、ヒドロキ
シ基を2個以上有する脂肪族炭化水素系多価ヒドロキシ
化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどの脂肪
族ジオール化合物)を前述の芳香族系多価ヒドロキシ化
合物と共に一部併用してもよい。
【0040】芳香族系多価ヒドロキシ化合物として、具
体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)プロパン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシ−2−t−ブチルフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフ
ェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)ア
ルカン類や〔以上の化合物をビスフェノール系化合物と
も言う〕、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類
や、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニ
ルスルフィドなどのジヒドロキシアリールスルフィド類
や、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニ
ルスルホキシドなどのジヒドロキシアリールスルホキシ
ド類や、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニ
ルスルホンなどのジヒドロキシアリールスルホン類など
が挙げられる。
【0041】ポリカーボネートの製造に際し、高純度の
炭酸ジアリールは、多価ヒドロキシ化合物(2価ヒドロ
キシ化合物、特に芳香族系2価ヒドロキシ化合物)1モ
ルに対して、1.001〜1.5モル、特に1.01〜
1.3モルの量で用いられることが好ましい。また、高
純度の炭酸ジアリールと多価ヒドキシ化合物の他に、適
当な重合調節剤、末端変性剤、モノフェノール類等を併
用してもよい。
【0042】ポリカーボネートの製造に際し、高純度の
炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物とを、適当な塩
基性触媒(例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属
の有機酸塩、無機酸塩、水酸化物、水素化物、アルコラ
ート、或いは、含窒素塩基性化合物など)の存在下に、
約100〜330℃の温度で、副生するフェノール化合
物を蒸発させて除去しながら、そして、次第に重合温度
を上昇させ減圧度を高めながら、1段又は2段以上で溶
融重合してポリカーボネートを製造することが好まし
い。
【0043】塩基性触媒としては、例えば、(1)アル
キル、アリール、アラルキル基などを有するアンモニウ
ムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチ
ルベンジルアンモニウムヒドロキシド等)、三級アミン
類(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジ
メチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等)、二級
アミン類、一級アミン類、テトラメチルアンモニウムボ
ロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイド
ライドなどの含窒素塩基性化合物、(2)水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ
金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二
水素カリウム、リン酸二水素リチウム、亜リン酸二水素
カリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナ
トリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウ
ムなどのアルカリ金属の無機酸塩、酢酸ナトリウム、酢
酸カリウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、
安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属の有機酸塩、水
酸化ホウ素ナトリウムなどのアルカリ金属の水素化物、
フェノールのナトリウム塩などのアルカリ金属のアルコ
ラート、(3)水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水
酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、
炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグ
ネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネ
シウムなどのアルカリ土類金属の無機酸塩、酢酸カルシ
ウム、酢酸バリウム、ステアリン酸バリウム、ステアリ
ン酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属の有機酸塩な
どの単独又は複数を組み合わせた触媒を挙げることがで
きる。
【0044】ポリカーボネートの製造において、塩基性
触媒の使用量は、重縮合反応に使用する多価ヒドロキシ
化合物(特に芳香族系2価ヒドロキシ化合物)1モルに
対して10-8〜10-1モル、特に10-7〜10-2モルで
あることが好ましい。
【0045】ポリカーボネートの製造における重縮合反
応は、従来知られているポリカーボネートの製造方法に
おける重縮合反応条件と同様な条件下で行うことがで
き、特に、第1段目で、多価ヒドロキシ化合物(特に芳
香族系2価ヒドロキシ化合物)とジアリールカーボネー
トとの重縮合反応を、80〜250℃、特に100〜2
30℃、更には150〜200℃の温度で、0.01〜
5時間、特に0.0〜4時間、更には0.25〜3時
間、常圧付近または減圧下で行ない、次いで、第2段目
の重縮合反応を、第1段目より反応温度及び減圧度をさ
らに高めて行い、最終的には1mmHg以下の減圧下、
240〜320℃の温度で行なうことが好ましい。
【0046】重縮合反応は連続式で行ってもよく、また
バッチ式で行ってもよい。また、上記の重縮合反応にお
いて用いられる反応装置は、槽型反応装置であっても、
管状反応装置(特に第2段目の縮重合ではセルフクリー
ニング型反応装置がよい)であっても、塔型反応装置で
あってもよい。そして、本発明の第2工程では、前述の
重縮合反応において副生するフェノール化合物を蒸発さ
せて分離し、その分離されたフェノール化合物を精製装
置(例えば、蒸発装置、蒸留装置など)によって精製し
て、精製フェノール化合物を得ることができる。
【0047】本発明において、脱CO反応で得られた高
純度の炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物とを縮重
合して得られるポリカーボネートは、公知の溶融重合法
で得られた一般的なポリカーボネートと同様の高い分子
量(10000〜80000)を達成することができる
と共に、その他のポリマー物性についても一般的なポリ
カーボネートと同様の高いレベルを達成することができ
る。また、本発明で得られたポリカーボネートは、着色
が殆どなく、工業的に利用価値が高い。
【0048】本発明において、(i)脱CO反応工程で
シュウ酸ジアリールを脱CO触媒の存在下に脱CO反応
させて炭酸ジアリールを生成させ、次いで(ii)分離・
精製工程で、前記脱CO反応工程から得られた脱CO反
応液を用いて、炭酸ジアリールを分離・精製し、フラン
系不純物の含有率が1ppm以下であり、炭酸ジアリー
ルの含有率が95重量%以上である高純度の炭酸ジアリ
ールを得て、続いて(iii)その高純度の炭酸ジアリー
ルと多価ヒドロキシ化合物とを重縮合反応させてポリカ
ーボネートを製造する。
【0049】本発明においては、例えば、図1に示すよ
うに、まず、前述のようなシュウ酸ジアリールの脱CO
反応による炭酸ジアリール製造にて得られた脱CO反応
液を蒸発操作することによって、脱CO触媒に由来する
触媒成分及び高沸点物質を主として含有する未蒸発成分
と、炭酸ジアリールを含む蒸発成分とに分離して、脱C
O触媒成分を実質的に含有していない蒸発成分(混合蒸
気)を回収し、その蒸発成分を蒸留工程(第1蒸留精製
工程という)へ供給する。
【0050】脱CO反応液は、原料のシュウ酸ジアリー
ル、有機リン化合物からなる脱CO触媒に由来する触媒
成分(後述のハロゲン化合物のような助剤も添加されて
いることもある)、目的生成物の炭酸ジアリール(この
炭酸ジアリールの含有率が好ましくは50〜95重量%
である)、副生物(高沸点物質、その他の低沸点の不純
物)などを含有しており、又、副生物の一酸化炭素(気
体)は、自然に脱CO反応液と気液分離して脱CO反応
液から排出されているので、脱CO反応液中に実質的に
含有されていない。
【0051】脱CO反応液の蒸発操作は、脱CO反応に
おける目的生成物である炭酸ジアリール(蒸発成分中の
主な成分の一つ)と、有機リン化合物からなる脱CO触
媒に由来する脱CO触媒成分(未蒸発成分中の主要な成
分の一つ)とを蒸発操作によって分離して、脱CO触媒
成分を含有してない炭酸ジアリールを主成分とする蒸発
成分(蒸気)を得ることを主な目的とするものであり、
上記の目的を達成することができればその蒸発方法及び
/又は蒸発手段(蒸発装置)について特に限定されるこ
とはない。本発明における前記の蒸発操作は、例えば、
流下膜式蒸発器、薄膜式蒸発器などの蒸発装置(蒸発
器)を用いて行うことが好ましい。
【0052】蒸発操作では、まず、目的生成物である炭
酸ジアリール、この炭酸ジアリールと共に蒸発するその
他の成分(シュウ酸ジアリールなど)、それらの転位、
分解等による低い沸点を有する低沸点副生物(低沸点不
純物)などを含有する蒸発成分(混合蒸気)を、脱CO
反応における反応温度よりも低い温度(特に、約100
〜250℃、更に130〜200℃)、減圧下(特に、
約0.1〜50kPaA、更に約0.2〜20kPaA
程度)の蒸発条件で蒸発させることによって、脱CO反
応液から蒸発させ回収するのであり、その蒸発操作で得
られた蒸発成分(混合蒸気)は次の蒸留精製に付され
る。
【0053】前記の蒸発成分は、例えば、炭酸ジアリー
ルの含有率が約70〜95重量%あって、しかも、シュ
ウ酸ジアリールの含有率が5〜25重量%であってもよ
く、更に、炭酸ジアリールとシュウ酸ジアリールの合計
含有率が80〜99.9重量%、特に85〜99.0重
量%程度であることが好ましく、また、その残部は、炭
酸ジアリールより低い沸点を有する低沸点物質(例え
ば、フェノール類、フラン系不純物などの低沸点不純物
など)及び炭酸ジアリールより高い沸点を有する高沸点
副生物(高沸点不純物)などからなっていて、その残部
の含有率が約0.1〜5重量%程度であり、更に、蒸発
成分中の脱CO触媒成分(有機リン化合物に由来する触
媒成分)は極めて微量であるか又は実質的に存在しな
い。
【0054】蒸発操作では、蒸発成分(混合蒸気)の蒸
発・回収しながら、他方で脱CO触媒に由来する触媒成
分(例えば、ホスホニウム塩類に由来するホスホニウム
塩成分など)と共に、目的生成物の炭酸ジアリール、未
反応のシュウ酸ジアリール、及び高沸点物質(炭酸ジア
リールより高い沸点を有する高沸点副生物など)を主と
して含有する未蒸発成分からなる脱CO反応液の残留液
を回収して、必要であれば、脱CO触媒成分を含有する
残留液を蒸発装置の底部から抜き出し脱CO反応系へ循
環して該残留液中の脱CO触媒成分を再利用することが
できる。
【0055】本発明では、蒸発操作によって得られた蒸
発成分(混合蒸気)を蒸留操作すること(以下、第1蒸
留精製ということもある)によって、例えば、フェノー
ル、クレゾ−ルなどのフェノール系化合物などの低沸点
物質(低沸点不純物)、及び、例えば、シュウ酸ジアリ
ール、シュウ酸メチルフェニルフェニルなどの脱CO反
応の原料、その原料中に混入してくる高沸点物質、脱C
O反応やその反応液の蒸発及び蒸発成分の蒸留精製にお
いて副生するその他の高沸点不純物(例えば、p−クロ
ロ安息香酸フェニル、サルチル酸フェニルなど高沸点副
生物)などの高沸点物質を順次除去して、少なくともシ
ュウ酸ジアリールをほとんど含有しておらず、しかもシ
ュウ酸ジアリールに由来するフラン系不純物を微量含有
している高い濃度の炭酸ジアリールからなる粗留分を得
る。
【0056】前記の第1蒸留精製においては、前記の蒸
発成分の蒸留操作によって低沸点物質及び高沸点物質を
順次蒸発成分から除去して高い濃度の炭酸ジアリールか
らなる粗留分を得るのであるが、例えば、まず、前記の
蒸発成分の最初の蒸留操作によって、フェノール系化合
物などの低沸点物質を含有する炭酸ジアリールからなる
軽質留分(最初の蒸留操作の留分)を抜き出し除去し
て、そして、その最初の蒸留操作で得られた、低沸点物
質がほとんど除かれ、高沸点物質を含有する高い濃度の
炭酸ジアリールからなる残留分(最初の蒸留操作の残留
分)を抜き出し、次いで、その高沸点物質を含有する高
い濃度の炭酸ジアリールからなる残留分について2番目
の蒸留操作をすることによって、炭酸ジアリールの含有
率が96〜99.9重量%(特に98.0〜99.9重
量%程度)である組成の粗留分を得て、一方、蒸留塔ボ
トム液(シュウ酸ジアリール、炭酸ジアリール、高沸点
副生物等を含む)はパージまたは脱CO反応器にリサイ
クルすることが好ましい。
【0057】粗留分は、例えば、シュウ酸ジアリールの
含有率が約1ppm〜1重量%(特に10ppm〜20
00ppm程度)で、ベンゾフラン−2,3−ジオン
(YFと略記することもある)などのフラン系不純物の
含有率が0.1ppm〜2000ppm(wt)(特に
2ppm〜2000ppm程度)であって、更に、炭酸
ジアリールの含有率が96〜99.9重量%程度である
ことが好ましい。
【0058】本発明における高純度の炭酸ジアリールの
製造では、前記の蒸発成分の蒸留操作(第1蒸留精製)
において得られた粗留分について、フラン系不純物を除
去するための種々の除去手段を施すことによって、粗留
分から前記のフラン系不純物を実質的に除去する。な
お、フラン系不純物の除去が、後で詳しく説明する蒸留
−除去法である場合には、必要であれば、そのフラン系
不純物が蒸留操作によって除去された高い濃度の炭酸ジ
アリールからなる留分(フラン系不純物除去のための蒸
留操作による残留分)を更に蒸留精製して、高い純度の
炭酸ジアリールからなる留分(製品)を得ることが好ま
しい。
【0059】本発明の高純度の炭酸ジアリールは、フラ
ン系不純物が約1ppm以下、好ましくは0.8ppm
以下、特に1ppb〜0.5ppm(更に1ppb〜
0.3ppm程度)の極めて低い含有率で含まれている
だけであり、そして、炭酸ジアリールが約99.00重
量%以上(特に好ましくは99.30〜99.99重量
%、更に好ましくは99.50〜99.99重量%)の
高い含有率で含有されているのである。
【0060】前記の粗留分からフラン系不純物を除去す
る手段は、例えば、(a)該粗留分の蒸留操作(蒸留−
除去法)、(b)前記の粗留分の熱処理及びその熱処理
された粗留分の蒸留操作(熱分解−除去法)、(c)前
記の粗留分の水添処理及びその水添された粗留分の蒸留
操作(水添−除去法)、並びに、(d)フラン系不純物
の吸着操作(吸着−除去法)からなる群から選ばれた少
なくとも一つの除去手段で行われることが好ましい。
【0061】本発明におけるフラン系不純物の除去は、
前記の蒸発成分の蒸留操作(第1蒸留精製)における2
番目の蒸留操作によって得られた高い濃度の炭酸ジアリ
ールからなる粗留分からフラン系不純物を除去するため
に、その粗留分の蒸留操作することによって、少なくと
もシュウ酸ジアリールに由来する前記フラン系不純物が
1ppm〜5重量%、特に2ppm〜5000ppm程
度の含有率で含有されている、かなり高い濃度の炭酸ジ
アリール(炭酸ジアリールの含有率約95〜99.99
重量%)からなる留分を不純物留分として取り出し除去
し、一方、フラン系不純物が1ppm以下、好ましくは
0.8ppm以下(特に好ましくは5ppb〜0.5p
pm、更に10ppb〜0.3ppm程度)の低い含有
率である高い濃度の炭酸ジアリール(炭酸ジアリールの
含有率が99.20重量%以上、特に99.50〜9
9.99重量%程度である)からなる残留分を得るとい
う蒸留操作のみによるフラン系不純物の除去手段(蒸留
−除去法)を用いて行われることが特に好ましい。
【0062】さらに、この高い濃度の炭酸ジアリール中
には、第一蒸留精製の高沸点不純物分離で分離しきれな
かった高沸点物質(例えば、パラクロロ安息香酸フェニ
ルなど)をわずかであるが含有しているので、その高沸
点物質を第2蒸留精製を行うことにより除去することに
よって、パラクロロ安息香酸フェニルなどの有機ハロゲ
ン化物(加水分解性ハロゲン化合物を除く)の含有量が
10ppm以下、好ましくは5ppm以下、特に10p
pb〜5ppmとし、加水分解性ハロゲン化合物(クロ
ルギ酸フェニル等の加水分解性有機ハロゲン化合物、塩
酸等の加水分解性無機ハロゲン化合物)の含有率がクロ
ル分として0.2ppm以下、好ましくは1ppm以下
(特に好ましくは2ppb〜0.1ppm、更に5〜5
0ppb程度)である高純度の炭酸ジアリールとするこ
とが好ましい。
【0063】本発明においては、前記フラン系不純物の
除去が、蒸発成分の蒸留操作によって得られた、フラン
系不純物を含有する高い濃度の炭酸ジアリールからなる
粗留分を熱処理して、前記フラン系不純物を熱分解、縮
合及び/又は熱的変性させ、続いて、熱処理された粗留
分から蒸留操作で前記フラン系不純物の熱分解物質など
を除去することからなる熱処理(熱処理温度が、150
〜300℃、特に180〜250℃、更に200〜23
0℃であって、熱処理時間が0.05〜10時間、特に
0.1〜5時間である)、あるいは蒸留操作からなる除
去手段(熱処理−除去法)を用いて行うこともできる。
【0064】本発明では、図1に示すように、第1工程
(脱CO反応工程)において、シュウ酸ジアリールを液
相で脱CO反応させて、炭酸ジアリールを生成し、第2
工程(蒸発工程)において、その第1工程で得られた脱
CO反応液を蒸発操作することによって炭酸ジアリール
を含む蒸発成分を分離・回収し、第3工程(第1蒸留精
製工程)において、第2工程で得られた蒸発成分を第1
蒸留精製することによって低沸点物質を含有する低沸点
留分及び高沸点物質を含有する高沸点残留分を順次除去
して、シュウ酸ジアリールをほとんど含有せず、シュウ
酸ジアリールに由来するフラン系不純物を微量含有して
いる高い濃度の炭酸ジアリールからなる粗留分を得て、
その後、第4工程(不純物除去工程)において、第3工
程で得られた該粗留分から前記フラン系不純物を除去す
ることによって高い濃度の炭酸ジアリール(フラン系不
純物が除去された粗留分)を得る。
【0065】フラン系不純物が除去された粗留分(例え
ば、前記の蒸留−除去法においてフラン系不純物が除去
された粗留分など)は、図1に示すように、更に、第5
工程(第2蒸留精製工程)において、高沸点不純物(炭
酸ジアリールより高い沸点を有する不純物)を除去して
更に不純物の含有率の少ない高い純度の炭酸ジアリール
を得るために、その蒸留精製(第2蒸留精製)を行うこ
とが好ましい。
【0066】本発明の実施態様において、不純物の除去
手段が蒸留−除去法である場合としては、例えば、図2
に示すように、第1工程(脱CO反応工程)において、
有機リン化合物からなる脱CO触媒をその触媒の供給ラ
イン(1)から脱CO反応器(3)へ供給すると共に、
シュウ酸ジフェニル等のシュウ酸ジアリールをその供給
ライン(2)から脱CO反応器(3)へ供給して、その
反応器(3)においてシュウ酸ジアリールの脱CO反応
を、反応温度100〜450℃(特に160〜400
℃、更に好ましくは180〜350℃)、反応圧10m
mHg〜10kg/cm2(特に常圧附近の圧力下)、
及び、反応時間約0.5〜20時間(特に1〜10時
間)の反応条件で液相で行い、その反応副生物である一
酸化炭素(CO)をCO排出ライン(8)から反応系外
へ排出しながら、脱CO反応液を反応器(3)から抜き
出して、反応液ライン(4)経由で次の第2工程の蒸発
工程へ供給する。
【0067】前述の脱CO反応においては、必要であれ
ば、図2に示すように、脱CO反応液の蒸発操作を行う
蒸発器(5)から抜き出された脱CO反応液の残留液
(リン化合物触媒に由来する脱CO触媒成分を含有して
いる)を残留液ライン(6)経由で反応器(3)へ供給
することが好ましく、また、その際に、前記のシュウ酸
ジアリール、脱CO触媒及び前記の残留液と共に、ハロ
ゲン化合物をその供給ライン(10)経由で反応器
(3)へ供給することが、脱CO触媒活性の維持におい
て好ましい。
【0068】本発明の実施態様(蒸留−除去法の場合)
では、第2工程(蒸発工程)において、例えば、図2に
示すように、反応液ライン(4)経由で供給された脱C
O反応液を、蒸発器(5)で減圧下に加熱して、炭酸ジ
アリール、シュウ酸ジアリールなどを蒸発させて、その
蒸発成分を蒸発成分ライン(9)経由で第3工程の第1
蒸留精製工程へ供給する。
【0069】前記の第2工程においては、前記の蒸発器
(5)で蒸発しなかった脱CO反応液の未蒸発成分を残
留液として蒸発器(5)から抜き出し、必要であれば、
触媒成分を含有する残留液の大部分(蒸発器から抜き出
した残留液の90〜99.99重量%)を残留液ライン
(6)経由で前述の第1工程(脱CO反応工程)におけ
る反応器(3)へリサイクルすることが、脱CO触媒成
分を再利用できることから、特に好ましい。
【0070】本発明における実施態様(蒸留−除去法の
場合)では、第3工程(第1蒸留精製工程)において、
例えば図2に示すように、前記蒸発器(5)から蒸発成
分ライン(9)経由で供給された蒸発成分を第1蒸留搭
(11)へ供給し蒸留精製して、蒸発成分に含まれてい
た低沸点物質を含有する不純物留分をその塔頂部から抜
き出しながら、その塔底部から残留分(缶液)を抜出し
て次の第2蒸留搭(12)へ供給して更に蒸留精製し
て、その塔底部から高沸点物質を含有する残留分を高沸
点物質ライン(17)から抜き出しながら、一方でその
塔頂部に連結している粗留分ライン(19)から、低沸
点物質及び高沸点物質が除去された高い濃度の炭酸ジア
リールからなる粗留分を抜き出して、次の第4工程(不
純物除去工程)へ供給する。
【0071】前記の第4工程(不純物除去工程)へ供給
される粗留分は、シュウ酸ジアリールをほとんど含有し
ておらず(好ましくはその含有率が10ppm〜1重量
%である)しかもフラン系不純物を微量(好ましくはそ
のフラン系不純物の含有率が1ppm〜2000ppm
である)含有し、高い濃度の炭酸ジアリール(好ましく
は炭酸ジアリールの濃度が99.0〜99.9重量%)
からなる粗留分であることが好ましい。
【0072】本発明の実施態様(蒸留−除去法の場合)
では、第4工程(不純物除去工程)において、例えば図
2に示すように、前記の粗留分をフラン系不純物除去塔
(13:F除去塔ともいう)へ供給し、その蒸留操作す
ることによって、フラン系不純物を含有する留分(不純
物留分)をそのF除去塔(13)の塔頂部に連結された
不純物留分ライン(15)から除去する。一方、前記の
F除去塔における蒸留操作においては、その塔底部か
ら、フラン系不純物が実質的に除去された高い濃度の炭
酸ジアリールからなる残留分(缶液)をライン(20)
経由で抜き出し、更に、必要であれば、その高い濃度の
炭酸ジアリールを第5工程(第2蒸留精製工程)へ供給
する。
【0073】前記の第5工程(第2蒸留精製工程)で
は、例えば、図2に示すように、F除去塔(13)の塔
底部からライン(20)経由で供給された高い濃度の炭
酸ジアリールを炭酸ジフェニル(DPC)などの炭酸ジ
アリール精製塔(14:DPC精製塔ともいう)へ供給
して、その塔頂部から高沸点不純物などの不純物が更に
高いレベルで除去された高純度DPCなどの高純度の炭
酸ジアリールからなる留分(製品)をライン(16)経
由で得ることが好ましい。一方、前記のDPC精製塔
(14)における蒸留操作において、その塔底部から、
高沸点不純物を含有する残留分(缶液)を高沸点物質ラ
イン(18)経由で抜き出す。
【0074】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示す。実施例及び
比較例において、各反応液などの組成分析は液クロマト
グラフィーによって行なった。この分析法はその測定限
界が化合物によってことなるが、測定限界が約0.1〜
1ppmである。
【0075】[実施例1] 〔炭酸ジフェニルの製造〕図1に概略プロセスを示すよ
うな連続製造装置において、内容積250リットルのグ
ラスライニング製攪拌槽(該攪拌槽の2槽連結タイプで
あり、1槽目から2槽目へはオーバーフロー管で連結し
ている)からなる脱CO反応器に、シュウ酸ジフェニル
及びテトラフェニルホスホニウムクロリド(シュウ酸ジ
フェニルに対して1.5重量%)を仕込み、脱CO反応
器のジャケットに熱媒を通して加熱し、攪拌下に脱CO
反応させた。1槽目の反応槽の転化率が約60%、2槽
目の転化率が約80%になったところで、シュウ酸ジフ
ェニルおよびテトラフェニルホスホニウムクロリド(シ
ュウ酸ジフェニルに対し1.5重量%)を1槽目の反応
器に連続フィードを開始した。上記の脱CO反応におい
て、脱CO反応器内の温度(反応温度)は各槽ともに2
25℃に調整して維持した。
【0076】〔脱CO反応液の蒸発〕脱CO反応器から
抜き出された脱CO反応液は、内容積100リットルの
グラスライニング製の蒸発槽(蒸発器)にフィードし、
その蒸発器のジャケットにスチームを通じながら6kP
aAの減圧で炭酸ジフェニルなどを蒸発させて蒸発成分
を抜き出しながら、脱CO反応液の蒸発と濃縮を行っ
た。脱CO反応液の蒸発によって得られた蒸発成分は、
炭酸ジフェニルが88.54重量%、シュウ酸ジフェニ
ルが9.71重量%、その他の不純物1.75重量%
で、約50kg/時で得られた。一方、脱CO触媒に由
来するホスホニウム塩成分を含む残留液は、その一部
を、後で示すような残留液の組成になるようにパージ量
を調整しながら、反応系外にパージし、残部を全て前記
の脱CO反応器へリサイクルし、脱CO反応を連続で行
った。なお、残留液を脱CO反応器へリサイクルする時
に、クロロホルム(残留液中の触媒成分に対して約10
モル%に相当する量)を連続で添加した。
【0077】〔第1蒸留精製(粗留分の回収〕上記の蒸
発成分は、冷却して液化して受液槽に受け入れて、その
受液槽から、塔径100A、高さ7mの充填塔(第1蒸
留搭:充填物メラパック500Y;住友重機械株式会社
製、充填長さ5m、以下、低沸塔ともいう)へフィード
し、その塔のトップ(塔頂部)を6kPaAの減圧と
し、フェノールを含む低沸点物質をそのトップから除去
し、低沸点物質が除かれた残留液(缶液)をボトム(塔
底)から抜き出した。この残留液(缶液)の組成は、炭
酸ジフェニルが88.61重量%、シュウ酸ジフェニル
が9.71重量%、その他不純物1.67重量%で、約
50kg/時で得られた。
【0078】更に、この残留液(第1蒸留搭の缶液)
を、塔径250A、長さ8mの充填塔(第2蒸留搭:充
填物メラパック500Y;住友重機械株式会社製、充填
長さ6m、以下、シュウ酸ジフェニル回収塔ともいう)
へフィードし、その塔のトップ(塔頂部)を2.2kP
aAの減圧とし、蒸留を行い、シュウ酸ジフェニルを含
有する残留液(缶液)を塔底から抜き出しながら、その
塔頂部から、純度99.9重量%である炭酸ジフェニル
からなる粗留分を約43kg/時の流量で抜き出した。
【0079】前記の高い濃度の炭酸ジフェニルからなる
粗留分は、微量不純物としてシュウ酸ジフェニルが20
ppm、パラクロロ安息香酸フェニルが150ppm含
まれているほかは、ベンゾフラン−2,3−ジオンが2
ppmが含有されていた。なお、粗留分のハーゼンを測
定したところ10〜20であった。一方、前記の残留液
(第2蒸留搭の缶液)は、炭酸ジフェニル46.74重
量%、シュウ酸ジフェニル48.46重量%、その他の
不純物4.63重量%の組成であり、約7kg/時の流
速で第2蒸留搭の塔底部から抜き出した。
【0080】〔粗留分の不純物除去(蒸留−除去法)〕
前記の粗留分を、塔径200A、長さ8mの充填塔(F
除去塔:充填物メラパック500Y;住友重機械株式会
社製、充填長さ5m、以下、脱色塔ともいう)へフィー
ドし、この塔のトップ2kPaA、還流比20で連続的
に蒸留して、その塔のトップから、ベンゾフラン−2,
3−ジオンが約0.02重量%の含有率で含有されてい
る比較的高濃度の炭酸ジフェニルからなる不純物留分を
0.4kg/時の流量で抜き出し、一方、前記のF除去
塔の塔底部からは、ベンゾフェノン−2,3−ジオンが
0.2ppm以下の含有率となっている高い濃度の炭酸
ジフェニルからなる残留液を約43kg/時の流量で抜
き出した。この残留液はハーゼンを測定したところ5以
下であった。
【0081】〔第2蒸留精製〕前記の残留液(F除去塔
の缶液)を、塔径250A、長さ10m(DPC精製
塔:充填物メラパック500Y;住友重機械株式会社
製、充填長さ8m)へフィードし、その塔のトップ(塔
頂部)4kPaAの減圧で連続的に蒸留精製を行ない、
その塔のトップ(塔頂部)から純度が99.95重量%
以上の炭酸ジフェニルからなるDPC留分を約42kg
/時で得た。そのDPC留分は、ベンゾフラン−2,3
−ジオンの含有率が0.2ppm以下であり、液クロマ
トグラフィー分析におけるパラクロロ安息香酸フェニル
及びシュウ酸ジフェニルの各分析ピークがいずれも検出
されず、ハーゼンを測定したところ5以下であった。ま
た、そのDPC留分は燃焼法にて全クロル含量を測定し
たところ、0.3ppm以下であった。その測定は、塩
素分析装置〔三菱化学(株)製 TOX−10Σ〕に依
った。更に、そのDPC留分は、加水分解性ハロゲン化
合物等に由来するクロルイオンの含有率をイオンクロマ
トグラフィーにより測定した結果、10ppbであっ
た。
【0082】〔ポリカーボネートの製法〕実施例1にお
いて得られた高純度の炭酸ジフェニルからなるDPC留
分を用いて、以下のようにしてポリカーボネートの製造
を行った。なお、使用したDPC留分は、水分30pp
m、フェノール70ppmのほか、安息香酸フェニルが
50ppm、ベンゾフラン−2,3−ジオンが0.2p
pm以下であった。ビスフェノールA 400gをトル
エン800ミリリットル及びエタノール36ミリリット
ル(容量比が22:1)の混合液から再結晶して、ビス
フェノールAの精製品を得た。
【0083】市販のビスフェノールA(新日鐡化学
(株)製)をトルエンとエタノールとの混合液(容量比
22:1)から再結晶して、ビスフェノールAの精製品
を得た。攪拌機および蒸留塔を備えたステンレス製(S
US316L)の反応器に、前記の精製ビスフェノール
A22.8重量部、炭酸ジフェニル(DPC留分)2
2.7重量部、及び触媒として水酸化ナトリウムをビス
フェノールA1モルに対して2×10-6モルとテトラメ
チルアンモニウムヒドロキシド1×10-4モルとを加え
て、室温で真空脱気を0.5時間行ない、次いで、重合
反応器を加熱して重合反応を行なわせ、230℃、10
0mmHgでフェノールの留出が始まって1時間、次い
で240℃、100mmHgで0.5時間、更に、25
5℃で100mmHgで10分間、そして15分で10
0mmHgから50mmHgまで減圧して、その状態で
15分間維持し、重縮合反応させ、更に270℃まで昇
温させ、圧力も50mmHgから30分で1mmHgま
で減圧して、この状態で1時間重縮合反応を継続させ
て、安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テトラブ
チルホスホニウム塩をナトリウム触媒に対して2倍モル
加えて混練した。得られたポリカーボネートは、粘度平
均分子量15000で、色相(col b値)0.6の
ものであった。
【0084】なお、上記物性は以下のようにして測定し
た。 (1) 粘度平均分子量 0.7g/dl の塩化メチレン溶液をウベローデ粘度
計を用いて粘度を測定し、次式で粘度平均分子量を求め
た。[η]=1.23×10-40.83 (2) 色調(b値) ポリカーボネートのペレット(短径×長径×長さ=2.
5mm×3.3mm×3.0mm)のLab値を日本電
色工業(株)製ND−1001DPを用い反射法で測定
し着色度(黄色)の程度としてb値を用いた。
【0085】[比較例1]実施例1において第1精製蒸
留で得られた粗留分(第2蒸留搭の塔頂部から得られた
粗留分)を、実施例1において蒸留操作されたF除去塔
へフィードすることなく、直接に第2蒸留精製において
使用されるDPC精製塔へフィードしたほかは、実施例
1と同様にして、炭酸ジフェニルの製造、脱CO反応液
の蒸発、蒸発成分の第1蒸留精製及び第2蒸留精製を行
った。その結果、DPC精製塔のトップから、純度9
9.95重量%以上の炭酸ジフェニルを約42kg/時
の流量で得た。この高い濃度の炭酸ジフェニルは、ベン
ゾフラン−2,3−ジオンの含有率が2ppmであり、
そしてハーゼンを測定したところ、10〜20であっ
た。前述のようにして得られた炭酸ジフェニルを用い
て、実施例1と同様に重縮合を行なったが、得られたポ
リカーボネートが淡黄色に着色していた。
【0086】
【発明の効果】本発明は、シュウ酸ジアリールの脱CO
反応によって得られたフラン系不純物を含有していない
高純度の炭酸ジアリールを使用して、多価ヒドロキシ化
合物との重縮合反応を行ない、着色のないポリカーボネ
ートを工業的に容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高純度の炭酸ジアリールの製造工程の
例を示すフロー図である。
【図2】本発明において、フラン系不純物の除去を粗留
分の蒸留操作(蒸留−除去法)で行う場合の一例を示す
プロセス図である。
【符号の説明】
1 触媒の供給ライン 2 シュウ酸ジエステル(DPO等)の供給ライン 3 脱CO反応器(反応器) 4 反応液ライン 5 蒸発器 6 残留液ライン 7 パージ液ライン 8 CO排出ライン 9 蒸発成分ライン 11 第1蒸留搭 13 F除去塔(不純物除去塔) 14 DPC精製塔(炭酸ジアリール) 16 DPC留分(製品)ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 秀二 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部 興産株式会社宇部ケミカル工場内 (72)発明者 浅田 裕 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部 興産株式会社宇部ケミカル工場内 (72)発明者 宮本 一夫 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部 興産株式会社宇部ケミカル工場内 (72)発明者 井伊 宏文 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部 興産株式会社宇部ケミカル工場内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 AD11 BA53 BJ50 KA63 4H039 CA66 CG30 4J029 AA09 AB04 AB05 AC01 AD10 AE01 BB12A BB12B BB13A BB13B BF14A BF14B BH02 DB07 DB08 DB11 DB13 HC04A HC05A JA091 JA121 JA261 JB171 JB201 JC031 JC091 JF021 JF031 JF041 JF131 JF141 JF161 KA03 KA04

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラン系不純物を1ppm以上含有する
    ことのない高純度の炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化
    合物とを重縮合反応させることを特徴とするポリカーボ
    ネートの製法。
  2. 【請求項2】 炭酸ジアリールが、シュウ酸ジアリール
    の脱CO反応で得られた、フラン系不純物を0.8pp
    m以上含むことのない高純度の炭酸ジアリールである請
    求項1に記載のポリカーボネートの製法。
  3. 【請求項3】 フラン系不純物が、シュウ酸ジアリール
    に由来するフラン系化合物からなる不純物である請求項
    2に記載のポリカーボネートの製法。
  4. 【請求項4】 炭酸ジアリールが、シュウ酸ジアリール
    を5000ppm以上含有することのない炭酸ジアリー
    ルである請求項1に記載のポリカーボネートの製法。
  5. 【請求項5】 炭酸ジアリールが、加水分解性ハロゲン
    化合物をクロル分として0.2ppm以上含有すること
    のない炭酸ジアリールである請求項1に記載のポリカー
    ボネートの製法。
  6. 【請求項6】 炭酸ジアリールが、有機ハロゲン化物
    (加水分解性ハロゲン化合物を除く)を10ppm以上
    含有することのない炭酸ジアリールである請求項1に記
    載のポリカーボネートの製法。
  7. 【請求項7】 炭酸ジアリールが、シュウ酸ジアリール
    の脱CO反応で得られた、純度98.0重量%以上の炭
    酸ジアリールである請求項1に記載のポリカーボネート
    の製法。
  8. 【請求項8】 炭酸ジアリールが、シュウ酸ジアリール
    を2000ppm以上含有することなく、フラン系不純
    物を0.8ppm以上含有することなく、加水分解性ハ
    ロゲン化合物の含有率をクロル分として0.2ppm以
    上含有することなく、そして有機ハロゲン化物(加水分
    解性ハロゲン化合物を除く)を10ppm以上含有する
    ことがない請求項1に記載のポリカーボネートの製法。
  9. 【請求項9】 フラン系不純物が、ベンゾフラン−2,
    3−ジオンもしくはその誘導体である請求項1に記載の
    ポリカーボネートの製法。
  10. 【請求項10】 有機ハロゲン化物が、パラクロロ安息
    香酸フェニルである請求項6に記載のポリカーボネート
    の製法。
  11. 【請求項11】 (i)脱CO反応工程でシュウ酸ジア
    リールを脱CO触媒の存在下に脱CO反応させて炭酸ジ
    アリールを生成させ、次いで、(ii)分離・精製工程
    で、前記脱CO反応工程から得られた脱CO反応液か
    ら、炭酸ジアリールを含む蒸発成分を回収して、フラン
    系不純物の含有率が1ppm以下であり、炭酸ジアリー
    ルの含有率が95重量%以上の高純度の炭酸ジアリール
    含有製品を得て、続いて、(iii)重縮合工程で、その
    高純度の炭酸ジアリールと多価ヒドロキシ化合物とを重
    縮合反応させてポリカーボネートを製造することを特徴
    とするポリカーボネートの製法。
  12. 【請求項12】 分離・精製工程では、前記脱CO反応
    工程から得られた脱CO反応液を蒸発操作することによ
    って炭酸ジアリールを含む蒸発成分を分離・回収し、そ
    の蒸発成分を蒸留操作することによって低沸点物質を主
    成分とする軽質留分及び高沸点物質を順次除去して、シ
    ュウ酸ジアリールをほとんど含有しておらずしかもフラ
    ン系不純物を微量含有する高濃度の炭酸ジアリールから
    なる粗留分を得て、該粗留分から前記フラン系不純物を
    蒸留操作によって除去して高純度の炭酸ジアリールを得
    る請求項11に記載のポリカーボネートの製法。
  13. 【請求項13】 シュウ酸ジアリールの脱CO反応を、
    有機リン化合物触媒の存在下、液相で行なう請求項11
    に記載のポリカーボネートの製法。
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