JP4686269B2 - 超音波治療装置 - Google Patents

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本発明は、血管に超音波を照射し、血流を減弱あるいは途絶させ、腫瘍の成長抑制などの医学的な治療効果を得ることを目的とする超音波血管照射装置に関する。
超音波は、短波長において生体深部まで伝播し、任意の場所に収束させることができるという、レーザ光やマイクロ波等の電磁波にはない特徴を有している。この特徴を生かした超音波治療の研究開発が進められている。治療に生かすことのできる超音波の生体作用は、加熱作用と音響化学作用に大別される。前者の加熱作用は、組織が超音波を吸収して熱を発生することに起因している。この加熱作用を医学応用した療法は、患部を40°C〜50°C程度に持続加温することにより腫瘍等を治療する「温熱療法」と、強力な収束超音波(High Intensity Focused Ultrasound,HIFU)を用い患部の微少領域を短時間に70°C〜100°Cといった組織変性を来す温度まで上げる「加熱凝固療法」に大別できる。
腫瘍に対する「温熱療法」は、腫瘍細胞が正常細胞に比べて、持続的な高温(43°C程度)に弱い性質を利用した治療法であるが、腫瘍の成長を鈍化させることは可能であるが直接的に腫瘍細胞を急激に壊死させる能力は低く、また患部の温度上昇は周辺組織の血流と熱伝導に支配されるため治療に必要な温度を保つことが容易ではないこと、及び温度上昇領域の限局性が十分でないため、治療効果と生体へのストレス(副作用)とのバランスが良くないといった点から満足できるレベルにはいたっておらず、実際の臨床の場では放射線療法との併用療法として使われることが多い。
一方、HIFUを用いた加熱凝固治療では、ミリメートル単位の微小な領域に強力超音波を集め、瞬時に組織変性を来す温度に上昇させる。HIFUを用いた加熱凝固治療は、上述の温熱療法とは治療対象部位で上昇する温度及びそれに起因する組織の変化が異なる。組織に生じた熱は、熱伝導と血流により運び去られるが、加熱凝固療法の場合は、これらの熱輸送と超音波による発熱とが平衡状態に達するのに要する時間(約1分程度)よりはるかに短時間のうちに、大強度の超音波により焦域の温度を蛋白凝固温度以上に上げ、凝固させる。焦点以外の部位では超音波密度が低いため、熱変性の温度には到達せず、焦点付近のみが組織変性する。現在、HIFUによる治療は、前立腺肥大、前立腺癌、子宮筋腫の治療へ応用されている。
従来技術の加熱凝固治療において、収束超音波の照射により不可逆的な組織の熱変性を生じる領域は、焦点付近の非常に小さい体積である。一回で治療できる領域が少ないため腫瘍全体を治療する場合に焦点を移動させて照射を繰り返す必要がある。
更に、複数回の照射を行う場合、前回の照射により上昇した治療対象以外の組織の温度が血流等の冷却作用により十分下がってから次回の照射を行わねばならず、照射間に待ち時間が必要となる。
従って、数センチの大きさの腫瘍を治療する場合、治療時間が数時間におよぶことがある。このように、現在の加熱凝固治療には、治療時間が長くなるという大きな課題がある。現状では、例えば、子宮筋腫の様に特に体積の大きな腫瘍に対する治療効率は著しく低いという問題がある。
子宮筋腫や肝臓癌等の治療方法として、動脈塞栓治療が最近試みられてきている。この治療方法では、腫瘍の栄養血管にまでカテーテルを挿入し塞栓物質を血管内に注入する。導入された塞栓物質が腫瘍を還流する栄養血管に詰まり、血流を遮断することで腫瘍への栄養補給を絶ち、腫瘍治療の目的を達するという方法である。一般に、子宮筋腫のような、血流に乏しい腫瘍であればあるほど、血流遮断による腫瘍退縮効果が強く見られることが知られている。しかし、この治療法では、局所的あるいは全身麻酔下において、患者の大腿付け根等の大きな動脈からカテーテルを挿入し、X線透視下で、目的領域の血管まで、カテーテルを導く操作が必要で、患者に対する被爆及びカテーテル挿入による苦痛が少なくない。
ここで、このような腫瘍に対する治療方法の一つとして、体外から腫瘍に栄養を供給する血管を狙って収束超音波を照射することにより、血管を梗塞させ、非観血的かつ低侵襲に腫瘍への栄養供給を遮断する治療方法が考えられる。前述の血流遮断により治療効果が認められる子宮筋腫等の腫瘍に対しては、腫瘍全体をカバーするように集束超音波によって治療することに比べて、はるかに短時間の照射で、腫瘍治療の目的が達成できると考えられる。
また、強力な超音波を治療目的で、血管などに照射する方法に関する従来提案がなされている(たとえば、特許文献1、2を参照)。
特開2000-037393
特開2003-199760
しかし、HIFUにより形成される焦点領域は、針のように細長い形状をしており、特に中心部の音圧が高強度である。そのため血管の中心部に高強度な超音波焦点が位置する場合、血管壁がその衝撃を受け、破綻あるいは破裂して、出血を惹起する危険がある。また、高齢者や疾病患者などの血管は健常者より脆弱化を来たしている可能性があり、さらに腫瘍成長に伴い形成された栄養血管は、正常組織の血管より脆弱である。すなわち、高齢者や腫瘍患者に対して血管中心部にお強力なHIFU照射を行うことは、血管破綻の可能性がある。
本発明の目的は、血管の破綻による出血リスクを低減しながら、血管を変性させ、従来より高確率で血流を途絶させることのできる超音波血管照射装置を提供することにある。
本発明の超音波血管照射装置は、上記の課題を解決するため、被検体患部の超音波断層像の撮像を行なう撮像用超音波探触子と、前記超音波断層像を表示する表示手段と、前記撮像用超音波探触子で得られた前記患部の情報から血管位置を検出する血管位置検出手段と、収束された治療用超音波を照射する一または複数の治療用超音波発生器と、前記治療用超音波発生器から照射された前記治療用超音波を前記血管の血管壁近傍に収束させる治療用超音波制御手段を具備する。
本発明の超音波血管照射装置では、対象血管の位置を検知し、血管中心部を避け、血管壁周辺へ1つ以上の治療用超音波焦点を形成させることで、血管の中心部に強力な音圧変動を与えることによる血管壁破綻に起因する出血を抑え、血管壁の組織あるいはその周辺組織をも変性させ、血管機能を低下させ、血流を減弱あるいは途絶させることが可能となる。
以下、本発明の超音波治療装置の実施形態について、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施例の超音波治療装置の概略構成を示す図である。
治療用アプリケータ1は、治療用強力超音波を照射する1つ又は複数の球面状の治療用超音波素子4により構成された治療用超音波トランスデューサ2と、強力超音波を患者の皮膚へ導く媒体5と、媒体をアプリケータに密着保持する水袋6と、患部を超音波観察するための撮像用探触子3により構成される。
ここで、媒体5は、生体と超音波振動子との整合性を良好にするため音響インピーダンスが生体に近い物質として通常は水が使用され、強力超音波の照射により水中で気泡が生成し超音波の伝達を阻害しないように脱気されている。
治療用超音波トランスデューサ2は、超音波素子駆動部23により、強力超音波を照射できるように駆動制御され、圧電素子等の複数の超音波振動子から構成されている治療用超音波用トランスデューサ2の各素子に印加する高周波電力の振幅と位相は素子毎に独立に制御される。
入力部21の操作により、あるいはシステムコントロール部19から、超音波照射に関する情報が治療用超音波制御ユニット22に入力され、それに基づき、選択された周波数に応じた照射音場それぞれの焦点位置及び音圧分布形状を規定する照射コード信号が、超音波素子駆動部23へ与えられる。それによって、超音波素子駆動部23は、治療用超音波用トランスデューサ2の各素子を駆動して強力超音波を照射し、焦点と一致した部位を加熱凝固させ、血管を狭窄又は梗塞させる。
撮像用探触子3により生体内から受信された超音波の受信信号は、送信・受信ユニット14にて、増幅および位相を調整し、生体内の任意の部位からの受信信号を強調した信号に変換される。その受信信号に基づいて、信号処理部15で超音波断層像が生成され、メモリ17に記憶され、ディスプレ20に表示される。
そして、血管位置検出部16により血管位置を抽出することで術者は、表示された画像を見ることにより、患部9の血管10の観察ができ、治療計画を立案できる。
血管位置の検出方法の例を以下に示す。通常、血管壁は血液が充満した血管内腔と違い、高強度の受信信号を反射する。血管周辺の軟組織に比べても、血管壁は反射強度が高い。すなわち、治療血管10を含む関心域11内において、あらかじめ設定した強度以上の受信信号を有する構造体を血管位置検出部16にて血管壁として検出して、ディスプレ20に表示できる。ここで、血管壁の超音波反射強度の設定は、あらかじめ典型的な血管壁構造を示す反射強度を指標に装置側に設定したものを使うことができる。あるいは、術者は、入力部21からの指令により、断層像の任意点の受信信号強度をメモリに残しディスプレ20に表示させることができる。これにより、血管壁以外の標準的な組織(たとえば、肝臓実質や筋肉組織)の超音波反射強度を計測できる。術者が、治療直前に、たとえば肝臓実質組織や筋肉組織の超音波反射輝度を測定して、その輝度を基準に血管壁として検出反射強度の閾値を設定することもできる。すなわち、患者の個体差により、肝臓組織や筋肉組織の超音波反射強度は異なる場合でも、治療対象の患者の組織を基準に血管壁検出の閾値を設定できることになる。ここで、血管壁の検出にあたって、特に、血管壁の外膜の輝度最大値の点より内側の内膜の輝度極大点を認識するようにしてもよい。
また、血管壁の認識にあたって、反射輝度を基準とするのでなく、あらかじめ例えば血管形状(円形など)のパターンをメモリーに認識させておき、撮像結果とこれの近似度、相関などを判定することにより、血管壁を認識してもよい。
また血管位置の検出方法として、造影剤を用いた方法も挙げられる。以下にその方法を示す。超音波造影剤とは、直径数ミクロンの微小気泡を主成分とした薬剤であり、近年臨床に使われるようになってきたものである。ガスの種類としては、以前は空気、二酸化炭素、窒素が使われてきたが、最近は、水に難溶性であるフルオロカーボンなどのガスが使われるようになってきた。さらに、人や動物の毛細血管内を通過できるために、主要な気泡直径を1から数ミクロンに制御するためにガスをリン脂質や蛋白質などで安定化させている。この超音波造影剤を通常は、超音波で患部を観察する直前に静脈内から投与する。微小気泡を主成分とする造影剤は、通常では人や動物の血管内にとどまるため、患部の血液の流れ、すなわち血流そのものを見ることができる。
たとえば、患者の静脈から造影剤を投与して、患部9の超音波観察を行う。造影剤は、前述のように血管の内部にとどまることから、患部9の血管10には、造影剤投与後数秒後には造影剤が流入する。
気泡を主成分とする造影剤は、送信超音波に対して強力な反射体になるため、撮像用探触子3から得た、超音波受信信号強度は強くなる。すなわち、造影剤投与により、エコー強度が低い血管内部から高エコーを受信できる。
さらに、気泡は非線形振動をする性質があることから、送信超音波に対するたとえば2倍の高調波などの成分を気泡からの受信信号の一部として、撮像用探触子3にて受信できる。受信した高調波成分は、信号処理部15にて、たとえば送信周波数の2倍の周波数成分の信号のみをメモリ17に記憶させ、ディスプレ20に表示させることができる。あるいは、前期の超音波断層像上に、重畳することもできる。
このように、送信周波数の2倍の周波数信号が検出される部位は、造影剤が存在する場所、すなわち血管内部からであり、造影剤の存在しない組織からは高調波成分はほとんど検知しないため、高精度に、血管の位置を描画させることが可能となる。
血管位置の検出の仕方として、例えば以下のような方法を用いることで、より高精度で血管位置を検出することもできる。撮像用探触子3から得た、超音波の受信信号のうち、生体内の血流から反射してくる周波数偏位した信号は、信号処理部15で処理された後、血流速度演算解析部18で周波数分析され血流速度が算出される。算出された血流速度をメモリ17に記憶する。ここで、前記の患部の超音波断層像に、算出された血流速度に応じた情報を、たとえばカラー表示して、前記の超音波断層像上に、ディスプレ20に重畳表示することで、血流が検出できた血管部位を術者に明示することができる。即ち、メモリ17に記憶された撮像画像データ及び血流速度データを読み出して、患部9の断層像と、速度に応じてカラー表示される血流とを重畳して、ディスプレ20に表示できる。
治療用超音波制御ユニット22は、システムコントロール部19の指令により制御される。システムコントロール部19は、例えば、コンピュータにより形成される。また、術者が、入力部21からシステムコントロール部19に実行命令を入力することにより、任意に患部の超音波撮像条件及び治療条件を設定できるよう構成されている。
上記のように構成される超音波治療装置を用いて、腫瘍等の血管を梗塞させ、腫瘍の治療を行う場合について、以下説明する。
本実施例の超音波治療装置は、例えば、治療を行うために、生体内の患部を撮像して、患部の断層像を取得する撮像モードと、この撮像モードで取得された断層画像の患部に治療用超音波を照射して、治療を行う治療モードを有している。
例えば、医師等の術者は、まず、撮像モードにより、患者8の患部9を観察する。例えば子宮筋腫等の腹部内腫瘍を治療する場合は、アプリケータ1を患者体表面7に乗せ、超音波ゼリー等を用いて患者体表面7と水袋6とを密着させる。次に、術者は、患者体表面7に密着させたアプリケータ1を手動あるいは器械補助にて、患者体表面7との密着度を維持しながら移動させ、術者は、アプリケータ1に一体して内蔵される撮像用探触子3による患者体内の超音波断層の観察を行なう。
術者が、入力部21により撮像開始の実行命令を入力すると、これに応答してシステムコントロール部19は、送信・受信ユニット14に指令を出力する。これにより、撮像用探触子3から患部へ撮像用超音波ビームが送信される。この撮像用超音波ビームは、撮像用探触子3の配列方向に沿って走査され、患部の扇形の断層面に沿った領域に撮像用超音波ビーム13が照射される。
撮像用超音波が照射された領域から反射される撮像用超音波の反射エコーは、撮像用探触子3により受信信号として受信される。受信信号は、送信・受信ユニット14で撮像用超音波ビーム毎に整相処理され、信号処理部(デジタルスキャンコンバータを含む)15により、断層面の2次元超音波画像が生成される。断層画像は、メモリ17に記憶され、ディスプレ20に表示される。また、術者は、入力部21からの指令により、断層像の任意点の受信信号強度をメモリに残しディスプレ20に表示させることができる。これにより、血管壁以外の標準的な組織(たとえば、肝臓実質や筋肉組織)の超音波反射強度を計測できる。
そして、血管位置検出部により血管位置を検出し、治療計画を立案することができる。
図2は、本発明の実施例において、治療用超音波を照射する前にディスプレイに表示される画像の模式図である。図2は、アプリケータが備える撮像用探触子3を用いて得られた患部9を含む断層像を示す。術者は、ディスプレ20に表示される画像を見ながら、入力部21を操作できる。すなわち、図2のように、患部内に存在する、血管10および血管13といった複数の血管を観察でき、治療方針を立てることができる。ここで、術者は、当面の治療対象の血管10を含み、当面の治療対象でない血管13を含まない関心域11を設定することができる。
血管壁に治療用収束超音波の焦点25が重なるように照射を行うことで、血管壁を加熱凝固させることが可能となる。血管壁を変性させることで、血管の機能が減退し、血管は狭窄し血流減少が期待できる。
ここで、血管壁に対する収束超音波焦点の位置関係が重要となる。図3に、動物実験結果を参考にその重要性を説明する。麻酔下のラットを開腹手術し、腹腔内底部に位置する下大静脈を露出させて、脱気生理食塩水を満たした水槽内にラットを固定した。下大静脈の近傍にHIFU用トランスデューサを設置し、静脈壁に強力収束超音波の焦点が照準されるように微調整した。図3の血管10がラット下大静脈の断面を示している。焦点25は通常、細長いラグビーボール様の楕円形状をしている。ここで、焦点の長軸線と、焦点と血管壁の交点から血管の中心への線のなす角度を0、30、45、60、90°になるようにラット下大静脈と焦点位置を微調整して実験した。適用したHIFUの周波数は、3.25MHzであり、焦点のピーク強度は、3.0kW/cmで、5秒間の連続照射をした。前記の角度になるような血管と焦点の位置関係で、ラット下大静脈へHIFU照射を行った。各角度5例づつ実験を行い、照射後の血管破綻あるいは破裂の有無を検討した。その結果、角度0°の場合は、5例中5例が血管壁破綻を示したのに対して、角度30°では、1例のみの破綻であった。45°以上では、血管の破綻は認められなかった。静脈壁は動脈壁より薄いため強力なHIFUにより破綻することがあるが、上記のように血管壁に対する収束超音波の入射角度を選択することで破綻を回避できることを示している。一方で、動脈の壁は、静脈のそれと比べ、弾性繊維などが豊富で丈夫な構造体であるが、腫瘍周辺の動脈や、あるいは動脈に疾患を有する患者のそれは、健常者の動脈に比べて脆弱である可能性がある。このような脆弱動脈にHIFUを照射して血管を変性させる場合には、前記のラットの大静脈での検討結果のように、血管壁に対する収束超音波の入射角度を選択することで破綻の危険性を回避し、かつ動脈壁周辺にHIFUのエネルギーを投入でき、結果として、血管壁組織あるいは、それと隣接する周辺組織を加熱変性させ、血管の機能を減退させることが可能となる。
図4は、治療対象血管の断面を示している。前述のように、通常、動脈の壁は、内部の血液成分や周囲の軟部組織に比べて、エコー上高輝度に描出される。しかしながら、血管10の断面すべてが同程度のエコー輝度として描画できない場合もある。その場合、対象としている血管は通常の超音波Bモード像では、図4のAのように、血管断面全体が描画されず、その血管の一部が高輝度域24として描画されることがある。このような場合は、ディスプレ20上にて、術者が、図4のBのように高輝度域に沿って軸線26を記述することが可能である。メモリ17に取り込まれた軸線26と、あらかじめ設定してある、治療用超音波ビームの軸線27とのなす角度α28がシステムコントロール部19にて計測され、図4のCのようにその角度が例えば45°以上の場合は、治療可能である血管壁部分を術者が選択していることを、ディスプレ20上に表示することができる。したがって、術者は、治療可能である血管壁部分に収束超音波の焦点25を図4のDのように設定することができる。
次に、本発明の第2の実施例について、図5を参照して説明する。本構成では、治療用トランスデューサを2つ有している。図1で説明した1つの焦点を血管壁に照射するのと同様のプロセスにて、探触子3にて受信した信号を元に、描画した血管10に対して、その血管の両対側の血管壁に2つの治療用トランスデューサ2の焦点25を2つ同時に照準することが本構成では、可能となる。治療用トランスデューサ2の各々は、機械的に変位することで、幾何学的焦点の位置を変えることも可能となる。
図6は、生体組織に収束超音波を照射した際の焦点短軸面上での、温度上昇をシミュレーションした結果(相対温度上昇を等高線にして表示)である。3MHzの収束超音波を焦点1個の状態で照射した場合、照射1秒後(図6中29)には小さな温度上昇点であったものが、照射5秒後(図6中30)には、周辺部にも温度上昇が波及しているのがわかる。一方、同時に焦点2つをちょうど直径1mmの血管の対側に照準して、同時に照射した場合を想定した温度上昇結果では、1秒後(図6中31)には、1mm間隔を置いた2点から温度上昇が始まっているのがわかる。5秒後(図6中32)には、広範囲に温度上昇域が広がり、2点の間も熱伝導により温度上昇が見られることがわかる。すなわち、2点同時照射により、血管壁周辺組織を広範囲に加熱することができる。さらに、血管周囲に3つ以上の焦点を同時に形成することで、このような加熱効果はさらに強まる。この様に複数焦点を形成することにより、1焦点と比べて、血管破綻リスクを低減しつつ、血流遮断を促進できるという効果がある。
強力な圧力変動が生じる超音波焦点は、血管壁に照準されていることから、血管中央部には、強力な音圧変動は及ばない。したがって、万が一の血管破綻は回避できる。一方で、複数焦点を血管壁に同時に照射することで、血管壁周辺組織は加熱することが可能となり、血管壁およびその周辺組織を変性させ、血管機能を減退させることができる。
図7は、本発明の実施例において、ラット大腿動脈に対して、HIFUを照射した際の、血流速度計測結果を示す図である。図7の横軸は、HIFUの照射回数36を示し、図7の縦軸は、照射直後の収縮期血流速度( cm/sec )35を示す。使用したHIFUトランスデューサの周波数は、3MHzであり、一回の照射時間は5秒間であった。ラットの大腿動脈に対して、血管中央に1つの焦点を照準して照射した直後の血流速度を白丸34に示した。一方、大腿動脈の血管直径を計測し、その血管の両対側の血管壁に2つの焦点を照準して、同時に照射した直後の血流速度を黒丸33として示した。1焦点、2焦点とも、焦点のピーク強度は、およそ3.0kW/cmであった。
図7中の白丸34のラットの例では、収束超音波照射前の血流速度は約20cm/秒であり、1回目の照射により、血流速度は約30cm/秒に上昇し血管狭窄が生じていることがわかる。2、3、4、5回の照射により、血流速度は、それぞれ約40、50、60、85cm/秒と上昇していき、血管狭窄が進行していると考えられる。さらに6回目の照射を行うと、血流速度計測結果は、0cm/秒であり、血流が途絶したことがわかる。すなわち、焦点1個にてラット大腿動脈を照射した場合は、6回照射を繰り返すことで、血流が途絶した。
同様に、黒丸33のラットの例についいて説明する。1回目の照射により、血流速度は、20cm/秒から、約40cm/秒に上昇し、2回目の照射により、約40cm/秒に上昇し、3回目の照射により、約100cm/秒に上昇した。そして、4回目の照射により、血流速度は0cm/秒となり、血流が途絶したことがわかる。
血管中央部に1つの焦点を照準する場合は、適応する強度を強くすることで、血流遮断に必要な回数は減らせる可能性はあるが、血管遮断のリスクも高くなる。血管の対側の血管壁に2つの焦点を照準して同時に照射することで、血管破綻リスクを低減しつつ、血流遮断を促進できる。
なお、複数焦点を照準する場合でも、1つの焦点を照準するときと同様、血管壁に対する収束超音波の入射角度を選択(例えば、焦点の長軸線と、焦点と血管壁の交点から血管の中心への線のなす角度が45°以上)することが望ましい。
本発明の実施例の超音波血管照射装置の構成を示す図。 本発明の実施例において、治療用超音波を照射する前にディスプレイに表示される画像の模式図。 本発明の実施例において、ラットの腹部大静脈への照射した収束超音波の焦点位置を示す模式図。 本発明の実施例において、描画された血管の一部である高輝度領域への焦点照準手順を示す模式図。 本発明の実施例の超音波治療用トランスデューサの構成を示す図。 本発明の実施例の組織内温度上昇シミュレーション結果。 本発明の実施例において、収束超音波照射前後のラット大腿動脈の血流速度計測結果を示す図。
符号の説明
1…治療用アプリケータ、2…治療用超音波トランスデューサ、3…撮像用探触子、4…治療用超音波素子、5…媒体、6…水袋、7…患者体表面、8…患者、9…患部、10…血管、11…関心域、12…治療用超音波ビーム、13…撮像用超音波ビーム、14…送信・受信ユニット、15…信号処理部、16…血管位置検出部、17…メモリ、18…血流速度演算解析部、19…システムコントロール部、20…ディスプレ、21…入力部、22…治療用超音波席制御ユニット、23…超音波素子駆動部、24…高輝度域、25…焦点、26…軸線、27…治療用超音波ビームの軸線、28…対血管角度、29…1焦点照射1秒後の温度上昇、30…1焦点照射4秒後の温度上昇、31…2焦点照射1秒後の温度上昇、32…2焦点照射4秒後の温度上昇、33…2焦点にて照射したラットの血流速度を示す黒丸、34…1焦点にて照射したラットの血流速度を示す白丸、35…照射直後の収縮期血流速度、36…HIFU照射回数。

Claims (5)

  1. 被検体患部の超音波断層像の撮像を行なう撮像用超音波探触子と、
    前記超音波断層像を表示する表示手段と、
    前記撮像用超音波探触子で得られた前記患部の情報から血管位置を検出する血管位置検出手段と、
    収束された治療用超音波を照射する第1の治療用超音波発生器と、収束された治療用超音波を照射する第2の治療用超音波発生器と、
    前記第1の治療用超音波発生器と前記第2の治療用超音波発生器から照射された前記治療用超音波を前記血管の血管壁の両側に同時に収束させる治療用超音波制御手段とを有することを特徴とする超音波治療装置。
  2. 前記治療用超音波制御手段は、前記血管壁に対する前記治療用超音波の入射角を制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波治療装置。
  3. 前記治療用超音波が収束する焦点は楕円形状であり、
    前記治療用超音波制御手段は、前記楕円の長軸線と、前記焦点と前記血管壁の交点から前記血管の中心へ引いた線とがなす角度が所定の角度となるように制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波治療装置。
  4. 前記血管位置検出手段は、前記撮像用超音波探触子により検出された信号強度が所定値以上である位置を血管位置として検出することを特徴とする請求項1に記載の超音波治療装置。
  5. 前記撮像用超音波探触子により検出された信号から血流速度を演算する血流速度演算手段を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波治療装置。
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