JP4686064B2 - 場所打ち杭工法及びその構造 - Google Patents

場所打ち杭工法及びその構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設構造物基礎の耐力及び地震時の変形性能を向上させるための、既設構造物直下に築造する場所打ち杭工法及びその構造に関し、特に、施工時間に制限がある場合の場所打ち杭工法及びその構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
既設構造物基礎の補強方法としては、既設構造物基礎部分に貫通孔を開削し、既設構造物基礎部直下の地盤を削孔した後、モルタルやコンクリート等の自硬性流体を流し込むことが行われている。また、既設構造物の周囲の地盤に同様の方法で場所打ち杭を造成し、杭と既設構造物を一体化させることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記方法においては、施工後、自硬性流体が固まるまで時間がかかるという問題がある。例えば、滑走路の補強工事では、最終便の離陸から始発までの数時間で工事を行わなければならず、更に路盤復旧作業も考えると、工事を行うことができる時間は3〜4時間である。
【0004】
速硬性の自硬性流体を使用することも可能だが、調合後直ちに使用しないと自硬性流体は硬化してしまうので、何らかの原因で自硬性流体の注入が遅れた場合には、注入前に自硬性流体が硬化してしまうという問題がある。また、速効性の自硬性流体を用いる場合、コストが高いという問題がある。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、通常の自硬性流体を用いて、極めて短時間で既設構造物基礎の耐力及び地震時の変形性能の向上が可能である場所打ち杭工法及びその構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の請求項1に記載の場所打ち杭工法は、既設構造物を開削した後地盤を削孔する工程1と、削孔した孔内に筒状に製織された袋体を挿入する工程2と、前記袋体に自硬性流体を注入し前記孔の壁に密着させる工程3と、を含む場所打ち杭工法において、前記工程2で用いられる前記袋体が自硬性流体の余剰水を流出させる目の粗さを有し、且つ、水膨潤性繊維を使用したものであり、前記工程3で注入される自硬性流体はその注入当初は余剰水が排出され、前記余剰水の排出が進むに従って前記水膨潤性繊維が膨潤することによって前記袋体における水分の通過が遮断されるようにしたものである。
【0007】
上記の構成によると、袋体が自硬性流体の余剰水を流出させる目の粗さを有しており、袋体への進入時から余剰水が排出されるため、通常の自硬性流体を用いても、袋体内の自硬性流体は注入時から緻密なものとなる。また、予め余剰水が流出するので、注入停止後に袋体が収縮することがない。そのため、自硬性流体注入直後から十分な強度を有する場所打ち杭とすることができる。更に、自硬性流体硬化後の最終強度も高くなり、既設構造物基礎の耐力及び地震時の変形性能の向上が可能である。その上、袋体は筒状の織物なので強度があり、地震で万一自硬性流体にクラックが入っても、杭の形状が保持され、上載荷重を支持地へ効率よく伝えることができる。
また、袋体が水膨潤性繊維を使用した糸で構成されているため、自硬性流体注入当初は、袋体の織目部分の孔や繊維間から自硬性流体の余剰水が流出し、袋体内には自硬性流体に必要な水しか残らないため、袋体内部の自硬性流体は緻密なものとなる。更に、その後、次第に水膨潤性繊維が水を吸収し、袋体の織目部分の孔や繊維間が詰まり、水が流出しなくなるため、注入を停止しても袋体は収縮することがない。
さらに、自硬性流体の硬化後、地震等でクラックが入っても、水膨潤繊維は膨潤したままであるため、袋体内部に水が浸入することはない。そのため、杭体に鋼材を補強材として使用していても、鋼材が錆びて杭体の強度が下がるということがない。
【0008】
請求項2に記載の場所打ち杭工法は、請求項1において、前記孔の径と前記袋体の膨張径が、略同じである。
【0009】
上記の構成によると、袋体の膨張径が、孔の径と略同じであるため、袋体の目が粗くなるような膨張が起こらず、自硬性流体が流出しないとともに、効率よく自硬性流体を注入することができる。
【0010】
請求項3に記載の場所打ち杭工法は、請求項1又は2において、前記孔の径が、100φ〜400φである。
【0011】
上記の構成によると、袋体表面から200mm程度までは脱水したケーキ状物ができるため、袋体の中心まで脱水される。そのため、通常の自硬性流体を用いても、自硬性流体は緻密になり、施工後直ちに十分な強度を発揮することができる。また、硬化後の自硬性流体の強度も向上する。更に、袋体の中心まで十分に脱水されるため、注入停止後の袋体の収縮が少なく、袋体は孔に密着する。
【0012】
また、好ましくは、孔の径がφ300mm以下であると、小型のボーリングマシンが使用できるので、大掛りな機械を用いる必要がなく、施工空間に制限のある場合でも施工が可能となる。
【0016】
請求項に記載の既設構造物直下の構造は、既設構造物が開削された後、前記既設構造物直下に削孔された孔と、前記孔内に配置された鋼製の補強材と、前記孔の壁に密着し、内部に硬化した自硬性流体が満たされている、筒状に製織された袋体とを備え、前記袋体は水膨潤性繊維を使用したものであり、前記自硬性流体注入後に前記水膨潤性繊維が膨潤することによって前記袋体における水分の通過が遮断される。
【0017】
上記の構成によると、既設構造物直下の孔内に、鋼材が配置された自硬性流体の硬化体の杭が設置されているため、既設構造物を補強することができる。また、鋼製の補強材を使用しているので、杭体の強度が向上し、補強材を構造物に連結すれば、簡単に杭体と構造物を一体化させることが可能である。
また、自硬性流体の硬化後、地震等でクラックが入っても、水膨潤繊維は膨潤したままであるため、袋体内部に水が浸入することはない。そのため、杭体に鋼材を補強材として使用していても、鋼材が錆びて杭体の強度が下がるということがない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態例を説明する。図1は、本実施形態に用いられる袋体取付け構造1の図である。
【0019】
袋体取付け構造1は、下端に縫製部2aを有する袋体2と、施工後場所内杭上部に突出するネジ鉄筋3aと袋体2内に挿入されたネジ鉄筋3bとを備えるネジ鉄筋3と、一端の開口部が袋体内に設けられており、他端の開口部はボールバルブ7を介してホース6に接続されたパイプ4(注入手段)と、略孔径を有し、ネジ鉄筋3とパイプ4とを支持する金具5(固定手段)とを備えている。
【0020】
袋体2は、ネジ鉄筋3bの外周を覆うように被せられており、筒状の下端は縫製部2aにより閉じてシールされ、上端は金具5の周囲に被せられ、金具等により固定される。
【0021】
袋体2は、水膨潤性繊維を浸漬加工した繊維を混合した糸を用いて筒状に織製される。また、織物の状態で水膨潤性樹脂を塗布加工や浸漬加工したものや、溶媒を吸収し、ゼリー状になった水膨潤性繊維を塗布し、乾燥したものであってもよい。或いは、水膨潤性繊維を混合した織物を内側に入れた袋体でもよい。袋体2の筒状織物をなす糸としては、ポリエステル、ナイロンやビニロン等の汎用繊維、アラミド等の高強度繊維を用いることができる。
【0022】
ここで、水膨潤性繊維としては、天然高分子類のでんぷん類、セルロース系、合成高分子類のポリビニルアルコール系、アクリル系、ポリエーテル系、縮合ポリマー等があげられる。繊維への加工の際、これらの樹脂の付着量等を調整することにより、所望の流体不透過性を有した袋体とすることができる。
【0023】
袋体2は、加圧注入により膨張して織目が粗くなり、自硬性流体が漏れるので、袋体2の径は孔径と同じかそれ以上が好ましい。また、織密度は、自硬性流体が漏れない程度であればよい。
【0024】
ネジ鉄筋3は、施工後場所打ち杭上部に突出するネジ鉄筋3aと、袋体2内に挿入されたネジ鉄筋3bとを備える。ネジ鉄筋3aは金具5の上部に、ネジ鉄筋3bは金具5の下部に、それぞれ固定されている。ネジ鉄筋3aは、構造物に連結すれば、杭体と構造物を一体化させることが可能である。また、ネジ鉄筋3bは、杭体の引張り材となり、場所打ち杭の強度を向上させる。なお、用途によっては、ネジ鉄筋3を用いない場合もある。
【0025】
パイプ4は、一端の開口部が袋体内に設けられ、他端の開口部はボールバルブ7を介してホース6に接続される。自硬性流体はホースから注入され、パイプ4から袋体2内に注入される。注入される自硬性流体は、ボールバルブ7で量を調節し、所定の圧力に調整される。自硬性流体を注入し、袋体2内が所定圧力に達したら、自硬性流体の注入を停止する。
【0026】
金具5は、鋼製で、略孔径を有する円柱形状のものである。金具5には、予めパイプ4が貫通して挿入されており、上面と下面とに、ネジ鉄筋3a及びネジ鉄筋3bを挿入するためのネジ穴が設けられている。
【0027】
袋体取付け構造1は、まず、金具5のネジ穴にネジ鉄筋3a及びネジ鉄筋3bが設置される。そして、ネジ鉄筋3bが袋体2の奥まで挿入され、袋体2の開放側は金具5の周囲に被せられ、金属バンド等で固定される。袋体2は、孔に挿入しやすくするため、ネジ鉄筋3bの周囲にまとめられ、袋体2はまとめられたままテープが巻回されて仮固定される。巻回されるテープの強度は、注入される自硬性流体の自重で破断するか又は剥がれる程度となっている。
【0028】
次に、図2(a)〜(c)で、本実施形態例の場所打ち杭工法の工程を説明する。
【0029】
図2(a)は、本実施形態例の場所打ち杭工法の工程1を示す断面図である。
図2(a)で、既設構造物21は開削されて開削部21aが設けられ、開削部21aから地盤Gに孔22が削孔される。
【0030】
図2(b)は、工程2を示す断面図である。孔22内に、袋体取付け構造1が挿入される。袋体取付け構造1の金具5が孔22の開口部に固定されると、直ちに自硬性流体が袋体2内に注入されることが可能である。
【0031】
図2(c)は、工程3の初期段階を示す断面図である。袋体取付け構造1の袋体2内に、ボールバルブ7に調整されながら、所定圧力で自硬性流体が注入される。自硬性流体が注入されるに従い、袋体2の下部から自硬性流体が満たされていき、巻回されたテープがはがれて、袋体2は孔22の壁に押し付けられ、密着する。自硬性流体を注入していき、袋体2内が所定圧力に達すると、自硬性流体の注入を停止する。
【0032】
袋体2に自硬性流体が注入される過程で、自硬性流体内の流体が袋体2の目の間から流出する。袋体2の径は孔の径と略同じであるため、目が広がりすぎることはなく、自硬性流体内の余剰水だけが流出し、袋体2内の自硬性流体は緻密なものとなる。
【0033】
なお、水膨潤性繊維を用いていない袋体を使用した場合には、注入停止後に圧力が低下した場合には、袋体表面からの脱水により径が小さくなっている可能性があるので、確実にケーキ層を作るために、再注入しておくことが望ましい。
【0034】
図3に、本実施形態例による場所打ち杭の断面図を示す。
【0035】
場所打ち杭31は、本実施形態例によるものである。自硬性流体注入後、鉄筋3aに支圧板31bが取付けられ、場所打ち杭31上部の既設構造物21の開削部21aには、増し打ち部31aが設けられる。これにより、場所打ち杭31は、既設構造物21の基礎の補強として完成する。3〜4時間で使用可能な強度の基礎になることを証明する。
【0036】
場所打ち杭31と同様にして、支圧板32b及び33bが取付けられ、増し打ち部32a及び33aが設けられた、場所打ち杭32、場所打ち杭33が設置されている。このように、複数の場所打ち杭が設けられることで、既設構造物21はより補強され、既設構造物基礎の耐力及び地震時の変形性能の向上が可能である。また、既設構造物21の周辺の地盤に場所打ち杭34を設け、増し打ち部21bを設けることで、既設構造物21を補強することも可能である。
【0037】
また、場所打ち杭の孔の形状として、孔の下端に広がり部を設けたり、孔の途中に数段階にわたって広がり部を設けたりすることが可能である。これにより、場所打ち杭の強度を更に向上させる。
【0038】
また、工程3でスライム排出管を設け、孔底のスライムを自硬性流体の注入圧力で排出するようにすると、より杭の強度を向上させることができる。
【0039】
また、図3において、杭頭の処理として、ネジ鉄筋に支圧板が取付られ、増し打ちにより既設構造物と一体化させているが、更に強度が必要な場合は、既設構造物中の鉄筋と袋体取付け構造のネジ鉄筋とを溶接等により一体化させて、強度を更に向上させることが可能である。
【0040】
また、補強材として、ネジ鉄筋を用いたが、鉄筋籠、鋼管、H鋼等の鋼材を用いてもよい。その場合は、注入金具をそれに合った構造に変えればよい。
【0041】
また、崩壊性の地山等では、ケーシング掘削し、そのケーシングパイプ内に袋体取付け構造を挿入し、その後ケーシングパイプのみを引き抜くことによる施工方法が可能である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0043】
(実施例1)
本実施形態例の袋体取付け構造1において、袋体2は、ポリエステル繊維に水膨潤性繊維を混合した糸を使用し、全長3000mm、直径φ105mmの筒状織物とした。織組織は、縦糸に1100T/2、横糸に1100T/9を用いた1/1の平織物とした。平織物の密度を測定したところ、縦糸7.6本/cm、横糸4.4本/cmであった。ネジ鉄筋3a及びネジ鉄筋3bはφ19mmのネジ鉄筋を用いた。パイプ4はφ40mmとし、金具5はφ80mmとした。
【0044】
工程1として、φ100mmのコア抜機で既設構造物を開削し、φ100mmのオーガで、既設構造物直下3000mmまで堀下げ、削孔した。
【0045】
工程2として、袋体取付け構造を孔内に挿入した。工程3として、ホースからセメントミルクを注入し、ボールバルブで調節しながら、パイプを介して袋体内に注入した。所定の圧力で注入し、所定の注入圧力に達した後、注入を停止した。
【0046】
実施例1において、施工後、杭体を掘り出すことにより確認作業を行ったところ、セメントミルクは袋体中心部まで緻密なケーキ状物となっていた。また、袋体は孔内で、地盤に密着していた。
【0047】
実施例1による場所打ち杭の結果を表1に示す。硬化後のセメントミルクの強度は高かった。しかし、杭1本当たりの強度はあまり得られず、工事本数は多く必要となった。しかし、杭1本当たりの施工単価が非常に安価であるため、トータルコストは下げられた。また、施工機械は小型のものが使用できるため、杭1本当たりの施工性は非常に良かった。以上の結果により総合評価すると、良好な場所打ち杭であると言える。
【0048】
(実施例2)
φ200mmのオーガで削孔したことと、φ210mmの袋体を使用したことと、φ180mmの金具を使用したことと、φ51mmのネジ鉄筋を用いたこと以外は、実施例1と同じ工程を行った。
【0049】
実施例2において、施工後、杭体を掘り出すことにより確認作業を行ったところ、セメントミルクは袋体中心部まで緻密なケーキ状物となっていた。また、袋体は孔内で、地盤に密着していた。
【0050】
実施例2による場所打ち杭の結果を表1に示す。硬化後のセメントミルクの強度は高かった。しかも、杭1本当たりの強度も得られ、工事本数は適当な数で十分であった。また、杭1本当たりの施工単価が安価であるため、トータルコストは非常に下げられた。更に、施工機械は小型のものが使用できるため、杭1本当たりの施工性は良かった。以上の結果により総合評価すると、非常に良好な場所打ち杭であると言える。
【0051】
(実施例3)
φ300mmのオーガで削孔したことと、φ315mmの袋体を使用したことと、φ280mmの金具を使用したことと、φ51mmのネジ鉄筋を用いたこと以外は、実施例1と同じ工程を行った。
【0052】
実施例3において、施工後、杭体を掘り出すことにより確認作業を行ったところ、セメントミルクは袋体中心部まで緻密なケーキ状物となっていた。また、袋体は孔内で、地盤に密着していた。
【0053】
実施例3による場所打ち杭の結果を表1に示す。硬化後のセメントミルクの強度は高かった。しかも、杭1本当たりの強度も得られ、工事本数は適当な数で十分であった。しかも、杭1本当たりの施工単価が安価であるため、トータルコストは非常に下げられた。更に、施工機械は小型のものが使用できるため、杭1本当たりの施工性は良かった。以上の結果により総合評価すると、非常に良好な場所打ち杭であると言える。
【0054】
(実施例4)
φ400mmのオーガで削孔したことと、φ420mmの袋体を使用したことと、φ380mmの金具を使用したことと、φ51mmのネジ鉄筋を用いたこと以外は、実施例1と同じ工程を行った。
【0055】
実施例4において、施工後、杭体を掘り出すことにより確認作業を行ったところ、セメントミルクは、中央部は脱水され流動性はないものの、ケーキ状物は柔らかかった。また、袋体は孔内で、地盤に密着していた。
【0056】
実施例4による場所打ち杭の結果を表1に示す。硬化後のセメントミルクの強度はやや高かった。しかも、杭1本当たりの強度も得られ、工事本数は適当な数で十分であった。杭1本当たりの施工単価はやや高価であるが、総じてトータルコストは下げられた。また、施工機械はボーリング用の小型のものを使用することはできないが、大型の機械を搬入することができる場所であれば、杭1本当たりの施工性は良いといえる。以上の結果により総合評価すると、良好な場所打ち杭であると言える。
【0057】
(参考例1)
φ50mmのオーガで削孔したことと、φ52.5mmの袋体を使用したことと、φ40mmの金具を使用したことと、φ10mmのネジ鉄筋を用いたことと、パイプをφ15mmとしたこと以外は、実施例1と同じ工程を行った。
【0058】
参考例1において、施工後、杭体を掘り出すことにより確認作業を行ったところ、セメントミルクは袋体中心部まで緻密なケーキ状物となっていた。また、袋体は孔内で、地盤に密着していた。
【0059】
参考例1による場所打ち杭の結果を表1に示す。硬化後のセメントミルクの強度は高かった。しかし、杭1本当たりの強度はあまり得ることができず、工事本数は多数必要であった。杭1本当たりの施工単価は非常に安価であったが、多数の工事本数を要するため、トータルコストはあまり下げることができなかった。また、施工機械はボーリング用の小型のものを使用することができるため、杭1本当たりの施工性は良かった。以上の結果により総合評価すると、良好な場所打ち杭ということはできない。
【0060】
(参考例2)
φ500mmのオーガで削孔したことと、φ525mmの袋体を使用したことと、φ480mmの金具を使用したこと以外は、実施例1と同じ工程を行った。
【0061】
参考例2において、施工後、杭体を掘り出すことにより確認作業を行ったところ、セメントミルクは袋体中心から半径50mm位に略円形状に脱水不足で流動性を有している部分があった。
【0062】
参考例2による場所打ち杭の結果を表1に示す。硬化後のセメントミルクの強度は低かった。しかし、杭1本当たりの強度は非常に得られ、工事本数はあまり必要とされなかった。杭1本当たりの施工単価は非常に高価であり、工事本数はあまり必要とされないが、トータルコストはあまり下げることができなかった。また、施工機械は大型のものとなってしまい、杭1本当たりの施工性は良いとはいえなかった。以上の結果により総合評価すると、良好な場所打ち杭ということはできない。
【0063】
【表1】
Figure 0004686064
【0064】
以上の結果から以下のことが言える。
大型機の搬入が可能であり、なお且つ施工時間に制限のある場合、例えば、線路脇、飛行場の滑走路での工事には、φ300mm〜φ400mmの場所打ち杭が、本数を減らせるため、適している。
【0065】
また、トンネル工事の先受工事や、斜面の補強工事等の水平に近い角度で施工する場合には、φ300mm以上では施工が行いにくく、孔の形状を保持するのも困難であるため、φ100mm〜φ200mm程度のものが適している。
【0066】
【発明の効果】
請求項1の構成によると、通常の自硬性流体を用いても、袋体内の自硬性流体は注入時から緻密なものとなる。また、予め余剰水が流出するので、注入停止後に袋体が収縮することがない。そのため、自硬性流体注入直後から十分な強度を有する場所打ち杭とすることができる。更に、自硬性流体硬化後の最終強度も高くなり、既設構造物基礎の耐力及び地震時の変形性能の向上が可能である。その上、袋体は筒状の織物なので強度があり、地震で万一自硬性流体にクラックが入っても、杭の形状が保持され、上載荷重を支持地へ効率よく伝えることができる。
また、袋体が水膨潤性繊維を使用した糸で構成されているため、自硬性流体注入当初は、袋体の織目部分の孔や繊維間から自硬性流体の余剰水が流出し、袋体内には自硬性流体に必要な水しか残らないため、袋体内部の自硬性流体は緻密なものとなる。更に、その後、次第に水膨潤性繊維が水を吸収し、袋体の織目部分の孔や繊維間が詰まり、水が流出しなくなるため、注入を停止しても袋体は収縮することがない。
さらに、自硬性流体の硬化後、地震等でクラックが入っても、水膨潤繊維は膨潤したままであるため、袋体内部に水が浸入することはない。そのため、杭体に鋼材を補強材として使用していても、鋼材が錆びて杭体の強度が下がるということがない。
【0067】
請求項2の構成によると、袋体の膨張径が、孔の径と略同じであるため、効率よく自硬性流体を注入することができる。
【0068】
請求項3の構成によると、袋体表面から200mm程度までは脱水したケーキ状物ができるため、袋体の中心まで脱水される。そのため、通常の自硬性流体を用いても、自硬性流体は緻密になり、施工後直ちに十分な強度を発揮する。また、硬化後の自硬性流体の強度も向上する。更に、袋体の中心まで十分に脱水されるため、注入停止後の袋体の収縮が少なく、袋体は孔に密着する。
【0069】
また、孔の径がφ300mm以下であると、小型のボーリングマシンが使用できるので、大掛りな機械を用いる必要がなく、施工空間に制限のある場合でも施工が可能となる。
【0072】
請求項の構成によると、既設構造物直下の孔内に、鋼材が配置された自硬性流体の硬化体の杭が設置されているため、既設構造物を補強することができる。また、自硬性流体の硬化後、地震等でクラックが入っても、水膨潤繊維は膨潤したままであるため、袋体内部に水が浸入することはない。そのため、杭体に鋼材を補強材として使用していても、鋼材が錆びて杭体の強度が下がるということがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に用いる袋体取付け構造の図である。
【図2】本発明の実施形態例の、工程の断面図である。
【図3】本発明の実施形態例の場所打ち杭、及び他の実施形態例の、場所打ち杭の断面図である。
【符号の説明】
1 袋体取付け構造
2 袋体
2a 縫製部
3 ネジ鉄筋
3a ネジ鉄筋
3b ネジ鉄筋
4 パイプ(注入手段)
5 金具(固定手段)
6 ホース
7 ボールバルブ
21 既設構造物
21a 開削部
22 孔

Claims (4)

  1. 既設構造物を開削した後地盤を削孔する工程1と、削孔した孔内に筒状に製織された袋体を挿入する工程2と、前記袋体に自硬性流体を注入し前記孔の壁に密着させる工程3とを含む場所打ち杭工法において、
    前記工程2で用いられる前記袋体が自硬性流体の余剰水を流出させる目の粗さを有し、且つ、水膨潤性繊維を使用したものであり、前記工程3で注入される自硬性流体はその注入当初は余剰水が排出され、前記余剰水の排出が進むに従って前記水膨潤性繊維が膨潤することによって前記袋体における水分の通過が遮断されることを特徴とする場所打ち杭工法。
  2. 前記孔の径と前記袋体の膨張径が、略同じであることを特徴とする請求項1に記載の場所打ち杭工法。
  3. 前記孔の径が、100φ〜400φであることを特徴とする請求項1又は2に記載の場所打ち杭工法。
  4. 既設構造物が開削された後、前記既設構造物直下に削孔された孔と、
    前記孔内に配置された鋼製の補強材と、
    前記孔の壁に密着し、内部に硬化した自硬性流体が満たされている、筒状に製織された袋体とを備え
    前記袋体は水膨潤性繊維を使用したものであり、前記自硬性流体注入後に前記水膨潤性繊維が膨潤することによって前記袋体における水分の通過が遮断されることを特徴とする既設構造物直下の構造。
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