JP4685645B2 - エンジン駆動式作業機 - Google Patents
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Description
(1)作業者が、歩行型芝刈機の走行操作と、芝刈り作業操作(芝刈り用カッタを回転させる操作)の、どちらをも行っていないときには、エンジンの回転数をアイドリング状態の回転数となるように制御する。
(2)作業者が走行操作だけを行ったときには、歩行型芝刈機の急発進を防止するために、エンジンの回転数を徐々に増大させるように制御する。
(3)作業者が芝刈り作業操作を行ったときには、走行操作の有無にかかわらず、エンジンの回転数を芝刈り時における一定の回転数まで一気に増大させた後に、その状態を維持するように制御する。
一般的なエンジンの特性は、回転数の増加に応じて出力が高まるとともに、最大出力を発生可能な回転数よりも低速回転数において最大トルクを発生する特性であることが、知られている。請求項3に係る発明では、目標中速回転数は、エンジンが最大トルクを発生可能な回転数又はその回転数に近い値に設定される。目標高速回転数は、エンジンが最大出力を発生可能な回転数又はその回転数に近い値に設定される。
このように、エンジン駆動式作業機の作業途中にエンジンの負荷が大きく変動した場合に、作業者は負荷に応じて、エンジンの回転数を中速と高速との2段階に簡便に設定することができる。しかも、目標回転数変更操作部の操作によって変更する速度設定は2段階だけであるから、極めて容易に変更操作できる。
以下、本実施の形態においては、エンジン駆動式作業機の一例として歩行型芝刈機を挙げて説明する。但し、エンジン駆動式作業機は歩行型芝刈機に限定されるものではない。
歩行型芝刈機10は、下面を開放したハウジング11の前後端にそれぞれ左右の前輪12および左右の後輪13(駆動輪13)を備え、ハウジング11の上部にエンジン14を搭載し、ハウジング11の内部にカッタ15を備え、ハウジング11の刈芝排出口11aに芝収容バッグ16を備え、ハウジング11から後上方に向けてハンドル17を延ばし、ハンドル17の後端部に操作部18を備えたものである。
さらに、エンジン14は、出力軸19を伝動機構22を介して油圧無段変速装置25(以下、単に「変速装置25」と言う。)の入力側に連結したものである。変速装置25の出力軸は車軸26を介して後輪13に連結されている。
すなわち、変速装置25は、後輪13の回転数を零(停止)から高速回転域まで無段階に変速するものである。このように変速装置25は、エンジン14から後輪13へ伝達する出力の遮断・結合を行う(つまり、遮断することで後輪13を停止させ、結合することで後輪13を回転させる)という、いわゆるクラッチ機能を有している。
ハンドル17は、ハウジング11から後上方に延びる左右のハンドルバー31,32と、左右のハンドルバー31,32に架け渡したグリップ部33とからなる。
左右のハンドルバー31,32は、後端部31a,32aに左右の取付ブラケット38,39を備え、これらの取付ブラケット38,39に作業用クラッチレバー41および走行レバー42を前後へ揺動自在に取り付けた構成である。
左ハンドルバー31は、後端部31aに操作部18およびカバー71を備えたものである。
先に、操作部18について説明する。操作部18は、目標回転数変更操作部60、変速レバー62、メインスイッチ64、回転モード切替スイッチ65および作業用クラッチ操作検出センサ68を備える。
走行レバー42を操作したときに、変速装置25は変速レバー62の変速操作位置に応じた速度で後輪13を回転させる。その後、走行レバー42を元に戻すと、変速装置25の出力回転は零になり、後輪13を停止させる。
ブーストレバー67は、操作する手をレバーから離したときに自動的に元の位置に復帰する自動復帰式操作部材である。回転数変更スイッチ66は、ブーストレバー67の操作に応じてスイッチ動作をするものである。例えば、回転数変更スイッチ66は、ブーストレバー67を操作したときにオン作動し、ブーストレバー67を元に戻したときにオフ作動する。
エンジン14はリコイルスタータ81、点火装置82、スロットル弁用制御モータ83、モータ用ドライバ84、スロットル開度センサ85、エンジン回転センサ86、発電機87、電源回路88および制御部89を備える。なお、エンジン14はバッテリを備えていない。
発電機87は、エンジン14の出力の一部によって交流電力を発電するオルタネータであり、例えばフライホイールに設けたものである。電源回路88は、発電機87で発電された交流電力を整流して直流電力に変換した上で、点火装置82や制御部89等の電装品に供給するものである。
第1の回転制御モードは、アイドリング状態のエンジン回転数に制御する「アイドルモード」である。第2の回転制御モードは、エンジン14で発するトルクが最大又は概ね最大のときのエンジン回転数に制御する「静音モード」である。第3の回転制御モードは、エンジン14で発する出力が最大又は概ね最大のときのエンジン回転数に制御する「パワーモード」である。
一般的なエンジン14の特性は、回転数の増加に応じて出力が高まるとともに、最大出力を発生可能な回転数よりも低速回転数において最大トルクを発生する特性であることが、知られている。
図3は本発明に係る歩行型芝刈機のハンドルの後部周りを右前上方から見た斜視図であり、作業用クラッチレバー41および走行レバー42を握った状態を表したものである。
図4は図3の4矢視図であり、作業用クラッチレバー41および走行レバー42を握った状態を表したものである。
図5は図3の5矢視図であり、作業用クラッチレバー41および走行レバー42から手を離した状態を表したものである。
図5に示すように、この作業用クラッチレバー41は、押し下げ操作するためのロック解除ノブ113と、ロック解除ノブ113の降下に連動して降下する操作ロッド114と、操作ロッド114に連動して後方へ揺動する係合部材115と、揺動した係合部材115に係合するクラッチアーム121と、クラッチアーム121に一端を連結したクラッチ用ケーブル122とを備える。
一方、作業者は右手58で、グリップ水平バー36と、作業用クラッチレバー41の水平バー46と、走行レバー42の水平バー55とを、いっしょに握ることができる。
ディスク部94は側部に変速レバーアーム63を重ね合わせた状態で、共に支持ピン96を介して左のハンドルバー31へ前後に揺動可能に取り付けた構成である。変速レバーアーム63は下方へ延びた細長い部材であり、ディスク部94に対して相対的に前後に揺動可能である。
変速用ケーブル27は、インナケーブル27aの一端に備えた連結ピン101を第1のガイド孔98および第2のガイド孔99に嵌合したものである。
支持アーム102は、左ハンドルバー31に備えた固定部材である。第1引張りばね103は、変速レバーアーム63を図3および図5に示す走行停止位置へ自動復帰させるための、リターンスプリングである。走行アーム105は、走行レバー42に備えたスイング部材であり、走行レバー42と共に前後に揺動可能である。
ST01;作業者がメインスイッチ64をオン操作する。
ST02;メインスイッチ64のオン状態において、作業者がリコイルスタータ81のノブ81aを引張ることで、リコイルスタータ81を始動操作する。
ST03;リコイルスタータ81の始動操作により、エンジン14が始動する。
ST04;エンジン14の始動に伴い、発電機87が発電を開始する。
ST05;発電機87の出力電圧が一定以上の安定した電圧になることで、発電機87から供給される電力によって制御部89が自動的に起動する。
ST06;制御部89は所定の制御を開始する前の、初期設定の処理を実行する。
ST07;この時点から、制御部89はエンジン回転数制御処理を自動的に実行する。このエンジン回転数制御処理を具体的に実行するための具体的な制御フローについては、次の図7に示す。
ST12;作業用クラッチレバー41がオフ位置にあるか否かを調べ、YESなら「アイドルモード」であると判断してST13に進み、NOならST14に進む。図5に示すように、作業者が作業用クラッチレバー41から手を離しているときの位置が、オフ位置である。作業用クラッチレバー41の位置については、作業用クラッチ操作検出センサ68(図2参照)の検出信号によって判断する。
ST14;エンジン14の回転制御モードが「静音モード」であるか否かを調べ、YESならST15に進み、NOなら「パワーモード」であると判断してST16に進む。このST14では、回転モード切替スイッチ65がオンであるときにYESの判断になり、回転モード切替スイッチ65がオフであるときにNOの判断になる。
ST16;エンジン14の回転制御モードが「パワーモード」に移行したので、エンジン14の目標回転数Ntを目標高速回転数NHの値に設定する。目標高速回転数NHは、予め設定されている一定の回転数であり、エンジン14で発する出力が最大又は概ね最大のときのエンジン回転数に相当する。
ST18;エンジン14の実際の回転数Nr(以下「実回転数Nr」と言う。)を計測する。実回転数Nrについては、エンジン回転センサ86で計測すればよい。
ST19;実回転数Nrが目標回転数Ntを下回っているか否かを調べ、YESならST20に進み、NOならST21に進む。
ST21;制御モータ83を逆転駆動させることにより、スロットル弁92を閉駆動する。この結果、実回転数Nrは減少する。
ST22;メインスイッチ64のスイッチ信号を読み込む。
ST23;メインスイッチ64がオンであるか否かを調べ、YESならエンジン14の作動を続行すると判断してST11に戻り、NOならエンジン14の停止指令があったと判断してST24に進む。
ST24;エンジン14を停止させた後に、この制御フローによる制御を終了する。
ST104;エンジン14の目標回転数Ntを目標高速回転数NHの値に設定した後に、図7に示すST17に戻る。
図9は本発明に係る歩行型芝刈機の作用説明図であり、横軸を時間としたタイムチャートで各部の作用を示す。
このように、エンジン14の回転制御モードが「静音モード」であるという条件が満たされているときだけ、ブーストレバー67を操作している時間にわたって「パワーモード」に変わる。
制御部89は、エンジン駆動式作業機10が作動中であるという条件を満たしているときにのみ、目標回転数変更操作部60の変更指令に応じて目標回転数Ntを変更するとともに、この変更された目標回転数Ntに実際の回転数Nrが合うようにスロットル弁85を開閉制御する構成であることを特徴とする。
しかも、歩行型芝刈機10による作業状況に応じて、作業者がエンジン14の目標回転数Ntを任意に且つ一時的に変更することができるので、芝刈り作業後の芝の仕上がり性など、各種作業後の仕上がり性を高めることができる。
一般的なエンジン14の特性は、回転数の増加に応じて出力が高まるとともに、最大出力を発生可能な回転数よりも低速回転数において最大トルクを発生する特性であることが、知られている。本発明では、目標中速回転数NMは、エンジン14が最大トルクを発生可能な回転数又はその回転数に近い値に設定される。目標高速回転数NHは、エンジン14が最大出力を発生可能な回転数又はその回転数に近い値に設定される。
さらには、目標回転数Ntの値を目標中速回転数NMに切り替えることにより、実回転数Nrを下げて、エンジン騒音を低減させることができる。
「静音モード」または「パワーモード」で、比較的長時間にわたって作業をする場合には、目標回転数切替操作部65を適宜切り替えて、回転制御モードを一定に保つことが好ましい。
一方、「静音モード」で作業をしているときに、負荷が一時的に増大したときだけ、一時的に「パワーモード」に切り替えて作業をし、速やかに元の「静音モード」に戻して作業を続ける場合には、目標回転数変更操作部60を適宜切り替えることが好ましい。
このように、作業状況に合わせて目標回転数切替操作部65と目標回転数変更操作部60とを選択し、回転制御モードを変更することができる。この結果、エンジン駆動式作業機10の操作性を一層高めるとともに、作業効率を一層高めることができる。
図10は本発明に係る制御部の変形例の制御フローチャート(サブルーチン)であり、上記図7のステップST17に示すエンジン14の回転数の一時的な変更処理を実行するための、変形例のサブルーチンを示す。
ST202;エンジン14の回転制御モードが「静音モード」であるか否かを調べ、YESならST203に進み、NOなら「パワーモード」であると判断してST211に進む。このST202では、回転モード切替スイッチ65がオンであるときにYESの判断になり、回転モード切替スイッチ65がオフであるときにNOの判断になる。
ST204;制御部89に内蔵されているタイマによって、回転数変更スイッチ66がオンである時間Tc、すなわち経過時間Tcをカウントする。なお、カウントを開始した時点の経過時間Tcの値、つまり初期値は0である。
ST210;過大な目標回転数Ntの値を、上限である目標高速回転数NHの値に設定しなおした後に、図7に示すST17に戻る。
ST212;増加回転数Nuを0の値にリセットした後に、図7に示すST17に戻る。
ST213;エンジン14の回転制御モードが「アイドルモード」なので、エンジン14の目標回転数Ntを目標低速回転数NLの値に設定する。
ST214;増加回転数Nuを0の値にリセットする。
ST215;タイマでカウントされた経過時間Tcを0の値にリセットした後に、図7に示すST17に戻る。
図11は本発明に係るエンジン駆動式作業機の変形例の作用説明図であり、横軸を時間としたタイムチャートで各部の作動を示す。
このように、エンジン14の回転制御モードが「静音モード」であるという条件が満たされているきだけ、ブーストレバー67を操作している時間にわたってエンジン14の目標回転数Ntを増すことができる。
なお、「パワーモード」の状態では、増加回転数Nuは0の値にリセットされる(図10のST212)。
時点t17において、ブーストレバー67の操作を止めると、増加回転数Nuはこの時点t17における値を保持する(図10のST207)。このため、エンジン14の目標回転数Ntも時点t17における値を保持する(図10のST208)。
なお、作業用クラッチレバー41がオフ位置にある状態では、増加回転数Nuおよび経過時間Tcは0の値にリセットされる(図10のST214〜ST215)。
すなわち、変形例の目標回転数変更操作部60は、人為的に操作されているときにのみ連続して変更指令を発するように構成し、変形例の制御部89は、変更指令が発せられている時間Tcに応じて目標回転数Ntを増大させるように構成したことを特徴とする。
変形例の歩行型芝刈機10Aは、上記図1〜図11に示す歩行型芝刈機10と基本的に同じ構成および作用であり、同一符号を付しその説明を省略する。この変形例の歩行型芝刈機10Aは、操作部18に走行レバー操作検出センサ201を備えたことを特徴とする。
この変形例のメインルーチンは、ステップST12Aを追加したことを特徴とする。ST12で作業用クラッチレバー41がオフ位置にあるか否かを調べ、NOならカッタ15を作動させたと判断してST12Aに進む。
この変形例のサブルーチンは、ステップST101Aを追加したことを特徴とする。ST101で作業用クラッチレバー41がオン位置にあるか否かを調べ、YESならカッタ15を作動させたと判断してST101Aに進む。
ST101Aでは、走行レバー42がオン位置にあるか否かを調べ、YESなら歩行型芝刈機10を走行させたと判断してST102に進み、NOなら図7に示すST17に戻る。
この一部を変更したサブルーチンは、ステップST201Aを追加したことを特徴とする。ST201で作業用クラッチレバー41がオン位置にあるか否かを調べ、YESならカッタ15を作動させたと判断してST201Aに進む。
ST201Aでは、走行レバー42がオン位置にあるか否かを調べ、YESなら歩行型芝刈機10を走行させたと判断してST202に進み、NOならST213に進む。
図16は図13に示すメインルーチンの一部を変更した制御フローチャートである。図16に示すメインルーチンは、ST12で作業用クラッチレバー41がオフ位置にあるか否かを調べ、YESならST12Aに進み、NOならカッタ15を作動させたと判断してST14に進む。
ST12Aでは、走行レバー42がオフ位置にあるか否かを調べ、YESならST13に進み、NOなら歩行型芝刈機10を走行させたと判断してST14に進む。
ST101Aでは、走行レバー42がオン位置にあるか否かを調べ、YESなら歩行型芝刈機10を走行させたと判断してST102に進み、NOなら図7に示すST17に戻る。
ST201Aでは、走行レバー42がオン位置にあるか否かを調べ、YESなら歩行型芝刈機10を走行させたと判断してST202に進み、NOならST213に進む。
すなわち、本発明では、カッタ15(作業部15)を作動させたときや、歩行型芝刈機10を走行させたときに、歩行型芝刈機10が作動中であると制御部89が判断するようにしたので、カッタ15自体の作業負荷の変動や歩行型芝刈機10の走行負荷の変動に応じて、より極め細かく目標回転数Ntを段階的に変更することができる。この結果、歩行型芝刈機10による作業効率を、より高めることができる。
Claims (4)
- 作業部を駆動するエンジンの実際の回転数を目標回転数に合わせるようにスロットル弁を電気的に開閉制御するエンジン駆動式作業機において、
このエンジン駆動式作業機は、目標回転数変更操作部と制御部とを備え、
前記目標回転数変更操作部は、手を離したときに自動的に元の位置へ復帰する自動復帰式操作部材であって、人為的な操作をされている期間だけ変更するように変更指令を発するように構成し、
前記制御部は、前記エンジン駆動式作業機が作動中であるという条件を満たしているときにのみ、前記目標回転数変更操作部から前記変更指令が発せられている期間だけ前記目標回転数を変更し、前記変更指令が発せられなくなったときには目標回転数を変更前の回転数に戻すことで、前記目標回転数を段階的に且つ一時的に変更するとともに、前記変更された目標回転数に前記実際の回転数が合うように前記スロットル弁を開閉制御するように構成したことを特徴とするエンジン駆動式作業機。 - 前記制御部は、前記作業部を作動させているという条件と、前記エンジン駆動式作業機を走行させているという条件との、少なくとも一方を満たしているときにのみ、前記エンジン駆動式作業機が作動中であるという条件が満たされていると判断するように構成したことを特徴とする請求項1記載のエンジン駆動式作業機。
- 前記制御部によって段階的に変更される前記目標回転数は、前記エンジンが最大トルクを発生可能な回転数又はその回転数に近い目標中速回転数と、この目標中速回転数よりも高速で前記エンジンが最大出力を発生可能な回転数又はその回転数に近い目標高速回転数との、2段階であり、
前記制御部は、前記目標回転数変更操作部の変更指令に応じて、前記目標中速回転数と前記目標高速回転数とに変更するように構成したことを特徴とした請求項1又は請求項2記載のエンジン駆動式作業機。 - 前記制御部は、前記目標回転数変更操作部から前記変更指令が発せられている期間に応じて前記目標回転数を増大させるように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエンジン駆動式作業機。
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