JP4684003B2 - 耐水素脆化特性及び加工性に優れた超高強度薄鋼板 - Google Patents

耐水素脆化特性及び加工性に優れた超高強度薄鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、耐水素脆化特性(特に成形加工後の耐水素脆化特性)及び加工性に優れた超高強度薄鋼板に関するものであり、殊に、引張強度:1180MPa以上の鋼板で問題となる置き割れ、遅れ破壊といった水素脆化に起因する破壊が抑制され、かつ加工性に優れた超高強度薄鋼板に関するものである。
自動車や産業用機械等を構成する高強度部品をプレス成形加工や曲げ加工して得るにあたり、該加工に供される鋼板は、優れた強度と延性を兼ね備えていることが求められている。近年では、自動車の更なる軽量化等に伴い1180MPa以上の超高強度鋼板に対するニーズが高まっており、この様なニーズに応える鋼板として、特にTRIP(TRansformation Induced Plasticity;変態誘起塑性)鋼板が注目されている。
TRIP鋼板は、オーステナイト組織が残留しており、マルテンサイト変態開始温度(Ms点)以上の温度で加工変形させると、応力によって残留オーステナイト(残留γ)がマルテンサイトに誘起変態して大きな伸びが得られる鋼板である。その種類として幾つか挙げられ、例えば、ポリゴナルフェライトを母相とし、残留オーステナイトを含むTRIP型複合組織鋼(TPF鋼);焼戻マルテンサイトを母相とし、残留オーステナイトを含むTRIP型焼戻マルテンサイト鋼(TAM鋼);ベイニティックフェライトを母相とし、残留オーステナイトを含むTRIP型ベイナイト鋼(TBF鋼)等が知られている。このうちTBF鋼は古くから知られており(例えば非特許文献1等)、硬質のベイニティックフェライトによって高強度が得られ易く、また当該組織中には、ラス状のベイニティックフェライトの境界に微細な残留オーステナイトが生成し易く、この様な組織形態が非常に優れた伸びをもたらすといった特徴を有している。更にTBF鋼は、1回の熱処理(連続焼鈍工程またはめっき工程)によって容易に製造できるという製造上のメリットもある。
ところが1180MPa級以上の超高強度域では、他の高強度鋼材と同様にTRIP鋼板においても、水素脆化による遅れ破壊という弊害が新たに生じることが知られている。遅れ破壊は、高強度鋼において、腐食環境または雰囲気から発生した水素が、転位、空孔、粒界などの欠陥部へ拡散して材料を脆化させ、応力が付与された状態で破壊を生じる現象のことであり、その結果、金属材料の延性や靭性が低下する等の弊害をもたらす。
従来よりボルト、PC鋼線やラインパイプといった用途に多く用いられる高強度鋼では、引張強度が980MPa以上になると、鋼中への水素の侵入により水素脆化(酸洗脆性、めっき脆性、遅れ破壊など)が発生することが広く知られている。従って、耐水素脆化特性を向上させる技術のほとんどは、上記ボルト等用の鋼材を対象とするものである。例えば非特許文献2には、金属組織を焼戻しマルテンサイト主体とし、Cr、Mo、Vといった焼戻し軟化抵抗性を示す元素を添加すれば、耐遅れ破壊性の向上に有効である旨報告されている。これは、合金炭化物を析出させて水素のトラップサイトとして活用することで、遅れ破壊形態を粒界から粒内破壊へ移行させ破壊を抑制する技術である。
ところで薄鋼板の場合、従来では、加工性や溶接性の観点から780MPa以上の鋼板があまり利用されず、また板厚が薄く水素が侵入しても短時間で放出されるため水素脆化がほとんど問題視されなかったこと等を理由に、水素脆化に対する積極的な対策がなされていなかった。しかし最近では、上述の通り自動車の軽量化や衝突安全性向上の必要性から、バンパー、インパクトビーム等の補強材やシートレール等に更なる高強度化が求められている。更には、プレス成形や曲げ加工などを施したピラーなどの部品にも高強度化が求められている。よって、これらの部品を得るべく980MPa以上の超高強度鋼板の需要が高まっており、それに伴い該超高強度鋼板における耐水素脆化特性を確実に高める必要に迫られている。
超高強度鋼板の耐水素脆化特性向上を図るにあたり、上記ボルト用鋼等に関する技術を転用することも考えられるが、例えば上記非特許文献2の場合、C量が0.4%以上でありかつ合金元素も多量に含んでいることから、該文献の技術を薄鋼板に適用しようとすれば、薄鋼板に要求される加工性を確保できなくなる。また、合金炭化物の析出に数時間以上もの析出熱処理を要するため、製造性にも問題がある。従って、薄鋼板の耐水素脆化特性を高めるには独自の技術を確立する必要がある。
また一般に、高強度鋼材として従来より採用されている焼入れ(焼き戻し)マルテンサイト鋼の場合、比較的容易に高強度を達成できるが、加工性をばらつきなく高めるには、焼戻し工程を設けることが必須であり、かつ該工程における温度と時間を厳密に調整しなければならない。更に、焼戻し脆性を生じる危険性も高く、加工性を確実に高めることは難しい。延性を高めたものとしてマルテンサイトとフェライトの複合組織鋼等も挙げられるが、この鋼では硬質相と軟質相が混在するため切り欠き感受性が強く、耐水素脆化特性を十分に高めることは難しい。
また、これらマルテンサイトを含む鋼の場合、水素起因の遅れ破壊は、旧オーステナイト粒界等に水素が集積してボイド等が形成され、該部分が起点となって生じるものと考えられており、遅れ破壊の感受性を下げるには、水素のトラップサイトとして炭化物等を均等かつ微細に分散させ、拡散性水素濃度を下げることが一般的な解決手段として採用されてきた。しかしこの様に炭化物等を水素のトラップサイトとして多数分散させても、トラップ能力に限界があるため、水素を起因とする遅れ破壊を十分に抑制することができない。
これまでに、鋼板の耐水素脆化特性を高める技術として、特許文献1には、Ti、Mgを主体とする酸化物を存在させれば水素性欠陥を抑制できる旨提案されている。しかし該技術は、厚鋼板を対象とするものであり、大入熱溶接後の遅れ破壊については考慮されているが、薄鋼板を用いて製造された自動車部品等における使用環境(例えば腐食環境等)を十分考慮したものではない。また加工性を十分考慮したものでもない。
特許文献2には、Mgの酸化物、硫化物、複合晶出物または複合析出物の分散形態(平均粒子径からの標準偏差や平均粒子径)、残留オーステナイトの体積率および鋼板強度の相互関係を制御すれば、延性と成形加工後の耐遅れ破壊特性を同時に向上できる旨示されている。しかし、鋼板の腐食により水素が発生するような環境下での耐水素脆化特性を、析出物の形態制御によるトラップ効果のみで高めることは難しい。
ところで従来、残留オーステナイトは、耐水素脆化特性に悪影響を及ぼすとして低減される傾向にあったが、近年では、残留オーステナイトが耐水素脆化特性の向上に寄与するとして、残留オーステナイトを有するTRIP鋼に注目が集まりつつある。
例えば非特許文献3及び非特許文献4には、TRIP鋼の耐水素脆化特性について検討されており、その中で、とりわけTBF鋼の水素吸蔵量が多く、TBF鋼の破面を観察すると、水素吸蔵による擬へき開破壊が抑えられていると開示されている。しかしながら、該文献に報告されたTBF鋼の遅れ破壊特性は、陰極チャージ試験による割れ発生までの時間でせいぜい1000秒程度であり、自動車用部品等の様な長時間にわたる過酷な使用環境を十分考慮しているとは言い難い。また、上記文献の熱処理条件は、加熱温度を高く設定している為、実機の生産効率等が悪い等の不具合も有しており、生産効率にも優れた新規なTBF鋼の開発が切望されている。更に、プレス成形等を行うことによって、耐水素脆化特性が低下するといった問題点もある。
特開平11−293383号 特開2003−166035号 NISSHIN STEEL TECHNICAL REPORT(日新製鋼技報)、No. 43、Dec. 1980、p.1-10 「遅れ破壊解明の新展開」(日本鉄鋼協会、1997年1月発行)p.111〜120 北條智彦、外5名,「超高強度低合金TRIP鋼の水素脆性(第1報 水素吸蔵特性と延性)」,日本材料学会第51期 学術講演会講演論文集,2002年,第8巻,p.17-18 北條智彦、外5名,「超高強度低合金TRIP鋼の水素脆性に及ぼすオーステンパ処理温度の影響」,CAMP−ISIJ,2003年,第16巻,p.568
上記の通り、残留オーステナイトを含有するTRIP鋼板について、部品成形時に優れた加工性を発揮すると共に、自動車用部品の様に成形後の長時間にわたる過酷な使用環境を十分考慮して、成形加工後の水素脆化に対する対策を講じた開発事例はほとんどない。
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、鋼板を部品に成形後、長時間にわたる過酷な使用環境下で優れた耐水素脆化特性を発揮すると共に、加工性の一層高められた引張強度が1180MPa以上の超高強度薄鋼板を提供することにある。
本発明に係る耐水素脆化特性に優れた超高強度薄鋼板は、C:0.25超〜0.60%(質量%の意味、成分組成について以下同じ)、Si:1.0〜3.0%、Mn:1.0〜3.5%、P:0.15%以下、S:0.02%以下、Al:1.5%以下(0%を含まない)を満たし、残部が鉄及び不可避不純物からなるものであって、
加工率3%の引張加工後の金属組織が、
全組織に対する面積率で、残留オーステナイトを1%以上有し、
該残留オーステナイト結晶粒の平均軸比(長軸/短軸)が5以上であると共に、
該残留オーステナイト結晶粒の平均短軸長さが1μm以下で、かつ
該残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離が1μm以下であり、
更に引張強度が1180MPa以上であるところに特徴がある(以下「本発明鋼板1」ということがある)。
本発明に係る耐水素脆化特性に優れた別の超高強度薄鋼板は、C:0.25超〜0.60%、Si:1.0〜3.0%、Mn:1.0〜3.5%、P:0.15%以下、S:0.02%以下、Al:0.5%以下(0%を含まない)を満たし、残部が鉄及び不可避不純物からなるものであって、
加工率3%の引張加工後の金属組織が、
全組織に対する面積率で、残留オーステナイトを1%以上有し、
該残留オーステナイト結晶粒の平均軸比(長軸/短軸)が5以上であると共に、
該残留オーステナイト結晶粒の平均短軸長さが1μm以下で、かつ
該残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離が1μm以下であり、
更に引張強度が1180MPa以上であるところに特徴がある(以下「本発明鋼板2」ということがある)。
本発明の超高強度薄鋼板は、全組織に対する面積率で、
ベイニティックフェライト及びマルテンサイトが合計で80%以上であり、
フェライト及びパーライトが合計で9%以下(0%を含む)を満たすものがよい。
また本発明の超高強度薄鋼板は、更に、Cu:0.003〜0.5%及び/又はNi:0.003〜1.0%、Ti及び/又はVを合計で0.003〜1.0%、Mo:1.0%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、B:0.0002〜0.01%、更にはCa:0.0005〜0.005%、Mg:0.0005〜0.01%、及びREM:0.0005〜0.01%よりなる群から選択される1種以上を含んでいてもよい。
本発明によれば、部品に成形後も外部から侵入する水素を無害化して優れた耐水素脆化特性を維持し、かつ成形時には優れた加工性を発揮する引張強度:1180MPa以上の超高強度薄鋼板を、生産性よく製造することができ、遅れ破壊等の極めて生じ難い超高強度部品として、例えばバンパー、インパクトビーム等の補強材やシートレール、ピラー、レインフォース、メンバー等の自動車部品を提供することができる。
本発明者らは、成形加工後にも優れた耐水素脆化特性を示すと共に、成形加工時にはTRIP鋼板の特徴である優れた加工性を十分発揮する鋼板を得るべく鋭意研究を行なった。その結果、成形加工後の優れた耐水素脆化特性を確保するには、成形加工後の組織を制御することが極めて重要であり、具体的には、
成形加工後の組織が、
・残留オーステナイト:1%以上、
・該残留オーステナイト結晶粒の平均軸比(長軸/短軸):5以上、
・該残留オーステナイト結晶粒の平均短軸長さ:1μm以下、及び
・該残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離:1μm以下
を全て満たすことが重要であることを見出した。この様に組織を制御すれば、合金元素を過剰に添加しなくとも、超高強度鋼板における耐水素脆化特性を十分に高めることもできる。
尚、上記「成形加工後」とは、加工率3%の引張加工後をいい、該引張加工の具体的条件は、室温の単軸引張で3%の歪(工学)を付与したものである(以下、この加工率3%の引張加工を単に「加工」ということがある)。この様に加工率3%の引張加工後の組織を規定したのは、実際の部品の加工状況を想定して種々の実験を行った結果、加工率3%で引張加工した場合に、ラボ試験と実際の部品割れとの相関が最も良好だったからである。
以下、本発明における残留オーステナイトの上記規定について詳述する。
<残留オーステナイト:1%以上>
<残留オーステナイト結晶粒の平均軸比(長軸/短軸):5以上>
部品成形後の長時間にわたる過酷な使用環境下でも、優れた耐水素脆化特性を発揮させるには、まず加工後の金属組織に占める残留オーステナイトを1%以上とする必要がある。残留オーステナイトは、上述の通り耐水素脆化特性の向上にも大きく寄与するのみならず、一般に知られている通り全伸びの向上にも有用であり、好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上存在させるのがよい。一方、残留オーステナイトが多量に存在すると、所望の超高強度を確保できなくなる為、その上限を15%(より好ましくは10%)とすることが推奨される。
そして、加工後の残留オーステナイトがラス状であれば、水素トラップ能力が炭化物よりも圧倒的に大きくなる。図1は、後述する方法で測定した残留オーステナイト結晶粒の平均軸比と、耐水素脆化特性の指標である水素脆化危険度指数(後述する実施例に示す方法で測定したものであり、数値が低いほど耐水素脆化特性に優れることを意味する)の関係を示すグラフであるが、この図1から、特に残留オーステナイト結晶粒の平均軸比(長軸/短軸)が5以上となれば水素脆化危険度指数が急激に低減することがわかる。これは、残留オーステナイト結晶粒の平均軸比が5以上と高くなることで、残留オーステナイトが本来有する水素吸蔵能が十分に発揮され、水素トラップ能力が炭化物よりも圧倒的に大きくなり、いわゆる大気腐食で侵入する水素を実質無害化して、耐水素脆化特性の顕著な向上効果を奏するためと考えられる。上記残留オーステナイトの平均軸比は、好ましくは10以上、より好ましくは15以上である。
<残留オーステナイト結晶粒の平均短軸長さ:1μm以下>
また本発明では、上記ラス状の残留オーステナイトが微細に分散していることが耐水素脆化特性の向上に有効であり、具体的には、上記ラス状の残留オーステナイト結晶粒として1μm以下(サブミクロンオーダー)のものを分散させれば、確実に耐水素脆化特性を高め得ることを見出した。これは、平均短軸長さの短い微細な残留オーステナイト結晶粒が多数分散している方が、残留オーステナイト結晶粒の表面積(界面)が大きくなり、水素トラップ能が増大するためと考えられる。該残留オーステナイト結晶粒の平均短軸長さは、好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.25μm以下である。
本発明では、上記の通り残留オーステナイト結晶粒の平均軸比と共にこの平均短軸長さを制御することによって、同じ体積割合の残留オーステナイトを存在させる場合であっても、本発明の微細ラス状オーステナイトの水素トラップ能力を、炭化物を分散させる場合よりも圧倒的に大きくすることができ、大気腐食で侵入する水素を実質無害化することができる。
<残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離:1μm以下>
本発明では、併せて残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離も制御すれば、より一層耐水素脆化特性を向上できることがわかった。具体的には、上記残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離が1μm以下であれば、確実に耐水素脆化特性を高め得ることを見出した。これは、上記微細なラス状の残留オーステナイトが近接して多数分散している状態を形成することで、破壊(クラック)の伝播が抑制されて、破壊に対して高い抵抗力を有する組織が得られるためと考えられる。残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離は、好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
上記残留オーステナイトは、後述するFE−SEM/EBSP法により、FCC相(面心立方格子)として観察される領域を意味する。EBSPによる測定の一具体例として、板厚1/4の位置で圧延面と平行な面における任意の測定領域(約50×50μm、測定間隔は0.1μm)を測定対象とすることが挙げられる。尚、当該測定面まで研磨する際には、残留オーステナイトの変態を防ぐため電解研磨を行う。次に、「EBSP検出器を備えたFE−SEM」(詳細については後述する)を用い、SEMの鏡筒内にセットした試料に電子線を照射する。スクリーン上に投影されるEBSP画像を高感度カメラ(Dage-MTI Inc.製 VE-1000-SIT)で撮影し、コンピューターに画像として取込む。そしてコンピューターで画像解析を行い、既知の結晶系[残留オーステナイトの場合はFCC相(面心立方格子)]を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって決定したFCC相をカラーマップする。この様にしてマッピングされた領域の面積率を求め、これを「残留オーステナイトの面積率」と定める。尚、上記解析に係るハードウェア及びソフトとして、TexSEM Laboratories Inc.のOIM(Orientation Imaging MicroscopyTM)システムを用いた。
また上記残留オーステナイト結晶粒の平均軸比、平均短軸長さ、及び残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離は、次の様にして求めた。まず残留オーステナイト結晶粒の平均軸比は、TEM(Transmission Electron Microscope)で観察し(倍率1.5万倍)、任意に選択した3視野において、存在する残留オーステナイト結晶粒の長軸と短軸を測定して軸比を求め、その平均値を算出して平均軸比とした。残留オーステナイト結晶粒の平均短軸長さは、上記の通り測定した短軸の平均値を算出して求めた。また残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離は、TEMで観察し(倍率1.5万倍)、任意に選択した3視野において、図2中に(a)として示す通り、長軸方向に揃った[よって図2中(b)の様な距離は最隣接距離としない]残留オーステナイト結晶粒の最隣接距離を測定し、3視野の最隣接距離を平均して求めた。
鋼中における粒界破壊の起点を減少させて、拡散性水素濃度を無害化レベルまで確実に下げると共に超高強度を容易に確保するには、加工後における金属組織の母相を、高強度鋼材に一般的に採用されているマルテンサイト単相組織とするのではなく、ベイニティックフェライトが主体の「ベイニティックフェライトとマルテンサイトの二相組織」とするのがよい。
上記マルテンサイト単相組織の場合には、粒界に炭化物(例えばフィルム状セメンタイト等)が析出して粒界破壊が生じやすいのに対し、ベイニティックフェライトが主体の「ベイニティックフェライトとマルテンサイトの二相組織」とすれば、該ベイニティックフェライトが硬質であることから、マルテンサイト単相の場合と同様に組織全体の強度を容易に高めることができ、更に、この転位上に水素が多数トラップされるため、耐水素脆化特性を高めることもできる。また、該ベイニティックフェライトと後述する残留オーステナイトを存在させることで、粒界破壊の起点となる炭化物の生成を防止できるといったメリットや、ラス状のベイニティックフェライトの境界に上記ラス状の残留オーステナイトが生成し易いといったメリットもある。
そこで本発明では、加工率3%の引張加工後においても、該ベイニティックフェライトとマルテンサイトの二相組織が80%以上確保されていることを要件とした。好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上とする。尚、その上限は、他の組織(残留オーステナイト)とのバランスによって決定され得、上記残留オーステナイト以外の組織(フェライト等)を含有しない場合には、その上限が99%に制御される。
本発明でいうベイニティックフェライトとは、板状のフェライトであって、転位密度が高い下部組織を意味しており、転位がないか又は極めて少ない下部組織を有するポリゴナルフェライトとは、SEM観察によって以下の通り、明瞭に区別される。
ベイニティックフェライト組織の面積率は次の様にして求める。即ち、鋼材をナイタールで腐食し、製品板厚1/4の位置で圧延面と平行な面における任意の測定領域(約50×50μm)をSEM(Scanning Electron Microscope,走査型電子顕微鏡)観察(倍率:1500倍)することにより算出される。
ベイニティックフェライトはSEM写真では濃灰色を示す(SEMの場合、ベイニティックフェライトと残留オーステナイトやマルテンサイトとを分離区別できない場合もある)が、ポリゴナルフェライトはSEM写真において黒色であり、多角形の形状で内部に残留オーステナイトやマルテンサイトを含まない。
本発明で使用するSEMは、「EBSP(Electron Back Scatter diffraction Pattern)検出器を備えた高分解能型FE−SEM(Field Emission type Scanning Electron Microscope ,Philips社製、XL30S−FEG)」であり、SEM観察した領域をその場で同時に、EBSP検出器によって解析することができるというメリットがある。ここでEBSP法について簡単に説明すると、EBSPは、試料表面に電子線を入射させ、このときに発生する反射電子から得られた菊池パターンを解析することにより、電子線入射位置の結晶方位を決定するものであり、電子線を試料表面に2次元で走査させ、所定のピッチごとに結晶方位を測定すれば、試料表面の方位分布を測定することができる。このEBSP観察によれば、通常の顕微鏡観察では同一と判断される組織であって結晶方位差の異なる板厚方向の組織を、色調差によって識別できるという利点がある。
加工後の金属組織は、上記組織のみ(即ち、ベイニティックフェライト+マルテンサイトと残留オーステナイトとの混合組織)から構成されていても良いが、本発明の作用を損なわない範囲で、他の組織としてフェライト(尚、ここでいう「フェライト」とは、ポリゴナルフェライト、即ち、転位密度がないか或いは極めて少ないフェライトを意味する)やパーライトを有していても良い。これらは、本発明の製造過程で必然的に残存し得る組織であるが、少なければ少ない程好ましく、本発明では9%以下に抑える。好ましくは5%未満、更に好ましくは3%未満である。
この様に、成形加工後においても優れた耐水素脆化特性を確保するには、例えば、成形加工前の鋼板に占める残留オーステナイトを5%以上と多量に存在させることや、残留オーステナイトを多量かつ微細分散に存在させることが挙げられる。また、残留オーステナイトが変態し難いように成形加工時の条件をコントロールする(例えば、曲げ成形で加工したり、成形温度や歪速度をコントロールする)こと等が挙げられるが、その中でも、加工前後の残留オーステナイトを適量範囲内でほぼ一定とし、その他の特性(高強度等)を確保しつつ、加工性と成形後の耐水素脆化特性を同時に向上させるには、具体的手段として特に下記(A)(B)を満足させることが推奨される。
(A)化学成分を高C系にして残留オーステナイト中のC濃度を高める。
残留オーステナイトは、鋼板の変形(加工)によりマルテンサイトに変態するが、残留オーステナイト中のC量が高ければ安定となり必要以上に変態し難い。その結果、成形加工後に残留オーステナイトを確保でき、優れた耐水素脆化特性を維持できる。
本発明ではこの様な作用効果を得るためCを0.25%超含有させる。Cは、1180MPa以上の高強度確保に必要な元素でもある。好ましくは0.27%以上、より好ましくは0.30%以上である。但し、耐食性を確保する観点から本発明ではC量を0.60%以下に抑える。好ましくは0.55%以下、より好ましくは0.50%以下である。
この様に鋼板中のC含有量を高めて、残留オーステナイト中のC濃度(CγR)を0.8%以上とすることが推奨される。CγRを0.8%以上に制御すれば伸びを有効に高めることもできる。好ましくは1.0%以上であり、より好ましくは1.2%以上である。尚、上記CγRは高い程好ましいが、実操業上、調整可能な上限は概ね1.6%であると考えられる。
(B)残留オーステナイトの形状を微細かつラス状とする。
残留オーステナイトの形状を微細かつラス状とすれば、加工時に必要以上に変態しないので、残留オーステナイトを確保することができる。
従来のTRIP鋼では、残留オーステナイトが十分存在しているにもかかわらず、耐水素脆化特性の好ましくない場合があるが、その理由として、従来のTRIP鋼に存在する残留オーステナイトは、一般にミクロンオーダーの塊状であるため、応力負荷時に容易にマルテンサイトに変態し、その形状ゆえ機械的な破壊の起点にもなりやすいことが挙げられる。本発明者らが検討したところ、残留オーステナイトをラス状とすれば、同じ変形量であっても、従来の塊状の残留オーステナイトよりもマルテンサイトに変態し難く安定することがわかった。該現象のメカニズムとして、形状作用による応力のかかり具合や空間拘束の差によることが推察されるが、完全には解明されていない。尚、加工時の残留オーステナイトの安定化は、TRIP鋼板の誘起変態加工性の低下に影響を及ぼすものでない。本発明では、上記の通り残留オーステナイトをラス状としかつ微細化すれば、残留オーステナイトをほとんど減少させることなく、誘起変態が効率よく行なわれて優れた加工性を示す。
具体的には、残留オーステナイト結晶粒の平均軸比(長軸/短軸)が5以上(好ましくは10以上、より好ましくは15以上)であるラス状の残留オーステナイトとすれば、加工時に残留オーステナイトの減少が少なく、かつ加工後においても、残留オーステナイト結晶粒の平均軸比(長軸/短軸):5以上を容易に達成でき、残留オーステナイトの本来有する水素吸蔵能が存分に発揮されて、耐水素脆化特性を大幅に向上できる。一方、上記平均軸比の上限は、耐水素脆化特性を高める観点から特に規定されないが、加工時にTRIP効果を有効に発揮させるには、残留オーステナイトの厚さがある程度必要であり、この点を考慮すれば、その上限を30とするのが好ましく、より好ましくは20以下である。
また、加工前の鋼板における残留オーステナイト結晶粒の平均短軸長さが1μm以下(好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.25μm以下)、残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離が1μm以下(好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.5μm以下)を満たせば、残留オーステナイト結晶粒の微細に分散した状態を形成でき、加工前においても耐水素脆化特性に優れており、かつ本発明で規定する組織が得られやすいので好ましい。
更に、加工前の鋼板の上記残留オーステナイト以外の組織が、ベイニティックフェライト及びマルテンサイト:合計で80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上)、フェライト及びパーライト:合計で9%以下(好ましくは5%未満、より好ましくは3%未満であり、0%を含む)であることが推奨される。この様な組織とすることで加工前においても優れた耐水素脆化特性を確保でき、また規定する強度を容易に達成できるからである。
本発明は、上記の通り加工後の金属組織を制御する点に特徴があるが、該金属組織を容易に形成して耐水素脆化特性と強度を効率よく高め、更に薄鋼板に必要な延性を確保するには、その他の成分を下記の通り制御する必要がある。
<Si:1.0〜3.0%>
Siは、残留オーステナイトが分解して炭化物が生成するのを有効に抑える重要な元素である。また、材質を十分に硬質化させるのに有効な置換型固溶体強化元素でもある。この様な作用を有効に発現させるには、1.0%以上含有させることが必要である。好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.5%以上である。但し、Si量が過剰であると、熱間圧延でのスケール形成が顕著になり、またキズの除去にコストがかかり経済的に好ましくないため、3.0%以下に抑える。好ましくは2.5%以下、より好ましくは2.0%以下である。
<Mn:1.0〜3.5%>
Mnは、オーステナイトを安定化させ、所望の残留オーステナイトを得るのに必要な元素である。この様な作用を有効に発揮させるには1.0%以上含有させる必要がある。好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.5%以上である。一方、Mn量が過剰になると偏析が顕著となり、加工性が劣化する場合があるので3.5%を上限とする。好ましくは3.0%以下である。
<P:0.15%以下(0%含まない)>
Pは、粒界偏析による粒界破壊を助長する元素であるため、低い方が望ましく、その上限を0.15%とする。好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下に抑える。
<S:0.02%以下(0%含まない)>
Sは、腐食環境下で鋼板の水素吸収を助長する元素であるため、低い方が望ましく、その上限を0.02%とする。
<Al:1.5%以下(0%含まない)>(本発明鋼板1の場合)
<Al:0.5%以下(0%含まない)>(本発明鋼板2の場合)
Alは脱酸のために0.01%以上を添加してもよい。またAlは、脱酸作用のみならず、耐食性向上作用と耐水素脆化特性向上作用を有する元素でもある。
上記耐食性向上作用の機構としては、具体的に、母材そのものの耐食性向上と大気腐食により生じた生成さびによる効果が考えられるが、特に後者の生成さびによる効果が大きいものと推定される。その理由として、上記生成さびが通常の鉄さびより緻密で保護性に優れているため、大気腐食が抑制され、結果として該大気腐食で発生する水素量が低減されて、水素脆化、即ち、遅れ破壊が有効に抑制されるものと考えられる。
また、Alの耐水素脆化特性向上作用の機構について、詳細は不明であるが、鋼板表面にAlが濃化することで鋼中への水素侵入が困難になることや、鋼中での水素の拡散速度が低下して水素の移動が困難となり、水素脆性が起こり難くなっているものと推定される。更に、Al添加によりラス状残留オーステナイトの安定性が増すことも、耐水素脆化特性向上に寄与していると考えられる。
この様なAlの耐食性向上作用と耐水素脆化特性向上作用を有効に発揮させるには、Al量を0.02%以上、好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.5%以上とするのがよい。
しかし、アルミナ等の介在物の増加・巨大化を抑制して加工性を確保すると共に、微細な残留オーステナイトの生成確保、更にはAl含有介在物を起点とする腐食の抑制や、製造上のコスト増大の抑制を図るには、Al量を1.5%以下に抑える必要がある。製造上の観点からは、A点が1000℃以下になるよう調整することが好ましい。
一方、上述の通りAl含有量が増加すると、アルミナ等の介在物が増加して加工性が劣化するため、上記アルミナ等の介在物を十分抑制し、加工性のより優れた鋼板を得るには、Al量を0.5%以下に抑える。好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.1%以下である。
本発明で規定する含有元素(C、Si、Mn、P、S、Al)は上記の通りであり、残部成分は実質的にFeであるが、鋼中に、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物として、0.001%以下のN(窒素)等が含まれることが許容されるのは勿論のこと、前記本発明の作用に悪影響を与えない範囲で、下記の如く、更に他の元素を積極的に含有させることも可能である。
<Cu:0.003〜0.5%、及び/又は
Ni:0.003〜1.0%>
Cu及び/又はNiを含有させることによって、水素脆化の原因となる水素の発生を十分に抑制すると共に、発生した水素の鋼板への侵入を抑制することができる。その結果、上記組織制御による鋼板の水素トラップ能力向上との相乗効果により、鋼板中の拡散性水素濃度を無害化レベルまで十分に低減することができる。
具体的にCu、Niは、鋼材自体の耐食性を向上させて、鋼板の腐食による水素発生を十分に抑制させる効果を有する。またこれらの元素は、大気中で生成するさびの中でも熱力学的に安定で保護性があるといわれている酸化鉄:α−FeOOHの生成を促進させる効果も有しており、該さびの生成促進を図ることで、発生した水素の鋼板への侵入を抑制でき、過酷な腐食環境下において耐水素脆化特性を十分に高めることができる。該効果は、特にCuとNiを共存させることによって発現し易い。
上記効果を発揮させるには、Cuを含有させる場合、0.003%以上とする必要がある。好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。またNiを含有させる場合には、0.003%以上とする必要がある。好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。
尚、どちらの元素も過剰に含有させると加工性が低下するため、Cuの場合は0.5%以下、Niの場合は1.0%以下に抑える。
<Ti及び/又はV:合計で0.003〜1.0%>
Tiは、上記Cu、Niと同様に保護性さびの生成促進効果を有する。該保護性さびは、特に塩化物環境下で生成して耐食性(結果として耐水素脆化特性)に悪影響を及ぼすβ−FeOOHの生成を抑制するといった非常に有益な作用を有している。この様な保護性さびの形成は、特にTiとV(またはZr)とを複合添加することで促進される。Tiは、非常に優れた耐食性を付与する元素でもあり、鋼を清浄化する利点も併せ持つ。
またVは、上述の通りTiと共存して耐水素脆化特性を向上させる効果を有する他、鋼板の強度上昇、細粒化にも有効な元素である。
上記Ti及び/又はVの効果を十分に発揮させるには、合計で0.003%以上(より好ましくは0.01%以上)含有させることが好ましい。特に耐水素脆化特性を向上させる観点からは、Tiを0.03%超添加させるのが好ましく、より好ましくはTiを0.05%以上添加する。一方、Tiを過剰に添加しても、効果が飽和状態となるので経済的に好ましくなく、またVを過剰に添加すると、炭窒化物の析出が多くなり加工性および耐水素脆化特性の低下を招く。よってTi及び/又はVは、合計1.0%以下の範囲内で添加することが好ましい。より好ましくは0.5%以下である。
<Zr:0.003〜1.0%>
Zrは、鋼板の強度上昇、細粒化に有効な元素であり、Tiと共存し、耐水素脆化特性を向上させる効果がある。この様な効果を有効に発揮させるには、Zrを0.003%以上含有させることが好ましい。一方、Zrが過剰に含まれると、炭窒化物の析出が多くなり加工性や耐水素脆化特性が低下するため、1.0%以下の範囲内で添加することが好ましい。
<Mo:1.0%以下(0%を含まない)>
Moは、オーステナイトを安定化させて残留オーステナイトを確保し、水素侵入を抑制して耐水素脆化特性を向上させる効果がある。また鋼板の焼入れ性を高めるのにも有効な元素である。加えて粒界を強化し、水素脆化の抑制にも効果がある。この様な作用を有効に発揮させるには、Moを0.005%以上含有させることが推奨される。より好ましくは0.1%以上である。但し、Mo量が1.0%を超えても上記効果が飽和してしまい経済的に無駄である。好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下とする。
<Nb:0.1%以下(0%を含まない)>
Nbは、鋼板の強度上昇及び組織の細粒化に非常に有効な元素であり、特にMoとの複合添加により該効果が十分に発揮される。この様な効果を発揮させるには0.005%以上含有させることが推奨される。より好ましくは0.01%以上である。但し、Nbを過剰に含有させても、これらの効果が飽和して経済的に無駄であるため0.1%以下に抑える。好ましくは0.08%以下である。
<B:0.0002〜0.01%>
Bは、鋼板の強度上昇に有効な元素であり、該効果を発揮させるには0.0002%以上(より好ましくは0.0005%以上)含有させることが好ましい。一方、Bが過剰に含まれていると熱間加工性が劣化するため、0.01%以下(より好ましくは0.005%以下)の範囲で含有させることが好ましい。
<Ca:0.0005〜0.005%、
Mg:0.0005〜0.01%、及び
REM:0.0005〜0.01%
よりなる群から選択される1種以上>
Ca、Mg、REM(希土類元素)は、鋼板表面の腐食に伴う界面雰囲気の水素イオン濃度の上昇を抑制、即ちpHの低下を抑制して鋼板の耐食性を高めるのに有効な元素である。また、鋼中硫化物の形態を制御して、加工性を高めるのにも有効であり、該効果を十分に発揮させるには、Ca、Mg、REMのいずれの場合も0.0005%以上含有させることが好ましい。一方、過剰に含まれていると加工性が劣化するため、Caは0.005%以下、Mg、REMはそれぞれ0.01%以下に抑えることが好ましい。
本発明は、製造条件まで規定するものではないが、上記成分組成を満たす鋼材を用いて、容易に加工できると共に加工後においても超高強度かつ優れた耐水素脆化特性を発揮する上記組織を形成するには、熱間圧延時の仕上げ圧延を、フェライトの生成しない過冷却オーステナイト域温度であって極力低温で行うことが推奨される。該温度で仕上げ圧延を行うことによって、熱延鋼板のオーステナイトを微細化することができ、結果として最終製品の組織が微細となるからである。
また、熱間圧延後またはその後に行う冷間圧延の後に、下記要領で熱処理を行うことが推奨される。即ち、前述した成分組成を満足する鋼をA点〜(A点+50℃)の温度(T1)で10〜1800秒間(t1)加熱保持後、3℃/s以上の平均冷却速度で(Ms点−100℃)〜Bs点の温度(T2)まで冷却し、該温度域で60〜1800秒間(t2)加熱保持することが推奨される。
上記T1が(A点+50℃)を超えるか、t1が1800秒を超えると、オーステナイトの粒成長を招き、加工性(伸びフランジ性)が悪化するので好ましくない。一方、上記T1がA点の温度より低くなると、所定のベイニティックフェライト組織が得られない。また、上記t1が10秒未満の場合には、オーステナイト化が充分行われず、セメンタイトやその他の合金炭化物が残存してしまうので好ましくない。上記t1は、好ましくは30秒以上600秒以下、より好ましくは60秒以上400秒以下である。
次いで上記鋼板を冷却するが、3℃/s以上の平均冷却速度で冷却するのは、パーライト変態領域を避けてパーライト組織の生成を防止する為である。この平均冷却速度は大きい程よく、好ましくは5℃/s以上、より好ましくは10℃/s以上とすることが推奨される。
次に、(Ms点−100℃)〜Bs点まで上記速度で冷却した後、恒温変態させることによって所定の組織を導入することができる。ここでの加熱保持温度(T2)がBs点を超えると、本発明にとって好ましくないパーライトが多量に生成し、ベイニティックフェライト組織を十分に確保することができない。一方、上記T2が(Ms点−100℃)を下回ると残留オーステナイトが減少するので好ましくない。
また、加熱保持時間(t2)が1800秒を超えるとベイニティックフェライトの転位密度が小さくなり水素のトラップ量が少なくなる他、所定の残留オーステナイトが得られない。一方、上記t2が60秒未満でも、所定のベイニティックフェライト組織が得られない。好ましくは上記t2を90秒以上1200秒以下、より好ましくは120秒以上600秒以下とする。加熱保持後の冷却方法については特に限定されず、空冷、急冷、気水冷却等を行なうことができる。
実操業を考慮すると、上記焼鈍処理は、連続焼鈍設備またはバッチ式焼鈍設備を用いて行うのが簡便である。また冷間圧延板にめっきを施して溶融亜鉛めっきとする場合には、めっき条件が上記熱処理条件を満足するように設定し、該めっき工程で上記熱処理を行ってもよい。
また、前述した連続焼鈍処理する前の熱延工程(必要に応じて冷延工程)は、特に限定されず、通常、実施される条件を適宜選択して採用することができる。具体的に上記熱延工程としては、例えばAr点以上で熱延終了後、平均冷却速度約30℃/sで冷却し、約500〜600℃の温度で巻取る等の条件を採用することができる。また、熱延後の形状が悪い場合には、形状修正の目的で冷間圧延を行ってもよい。ここで、冷延率は1〜70%とすることが推奨される。冷延率70%を超える冷間圧延は、圧延荷重が増大して圧延が困難となるからである。
本発明は、薄鋼板を対象とするものであるが、製品形態は特に限定されず、熱間圧延して得られた鋼板や更に冷間圧延して得られた鋼板の他、熱間圧延または冷間圧延を行った後に焼鈍を施し、その後に化成処理を施したり、溶融めっき、電気めっき、蒸着等によるめっきや、各種塗装、塗装下地処理、有機皮膜処理等を施してもよい。
上記めっきの種類としては、一般的な亜鉛めっき、アルミめっき等のいずれでもかまわない。まためっきの方法は、溶融めっき及び電気めっきのいずれでもよく、更にめっき後に合金化熱処理を施してもよく、複層めっきを施してもよい。また、非めっき鋼板上やめっき鋼板上にフィルムラミネート処理を施してもよい。
上記塗装を行なう場合には、各種用途に応じてリン酸塩処理などの化成処理を施したり、電着塗装を施してもよい。塗料は公知の樹脂が使用可能であり、エポキシ樹脂、フッ素含有樹脂、シリコンアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂などを公知の硬化剤と共に使用することが可能である。特に耐食性の観点からはエポキシ樹脂、フッ素含有樹脂、シリコンアクリル樹脂の使用が推奨される。その他、塗料に添加される公知の添加剤、例えば着色用顔料、カップリング剤、レベリング剤、増感剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、難燃剤などを添加してもよい。
また塗料の形態も特に限定されず、溶剤系塗料、粉体塗料、水系塗料、水分散型塗料、電着塗料など用途に応じて適宜選択することができる。上記塗料を用い、所望の被覆層を鋼材に形成させるには、ディッピング法、ロールコーター法、スプレー法、カーテンフローコーター法などの公知の方法を用いればよい。被覆層の厚みは用途に応じて公知の適切な値を採用すればよい。
本発明の超高強度鋼板は、バンパーやドアインパクトビーム、ピラー、レインフォース、メンバー等の自動車の補強部材等の自動車用強度部品の他、シートレール等の室内部品等にも適用することができる。この様に形成加工して得られる部品においても、十分な材質特性(強度)を有しかつ優れた耐水素脆化特性を発揮する。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1に記載の成分組成からなる供試鋼No.A〜Qを真空溶製し、実験用スラブとした後、下記工程(熱延→冷延→連続焼鈍)に従って、板厚3.2mmの熱延鋼板を得てから酸洗により表面スケールを除去し、その後1.2mm厚となるまで冷間圧延した。
<熱延工程>開始温度(SRT):1150〜1250℃で30分間保持
仕上温度(FDT):850℃
冷却速度:40℃/s
巻取温度:550℃
<冷延工程>冷延率:50%
<連続焼鈍工程>各供試鋼について、A点+30℃で120秒間保持した後、平均冷却速度20℃/sで表2中のTo℃まで急速冷却し(空冷)、該To℃で240秒間保持した。その後は室温まで気水冷却した。
尚、表2のNo.11では、比較例として従来の高強度鋼であるマルテンサイト鋼を作製するため、冷間圧延後の鋼板を830℃まで加熱し5分間保持した後に水焼入れし、300℃で10分間焼き戻した。またNo.12では、冷間圧延後の鋼板を800℃まで加熱し120秒間保持した後、平均冷却速度20℃/sで350℃まで冷却し、該温度で240秒間保持した。
この様にして得られた鋼板から、JIS5号試験片を採取し、実際に行なわれる加工を模して加工率3%の引張加工を施し、加工前後の各試料の金属組織、加工前の引張強度(TS)と伸び[全伸びのこと(El)]、及び加工後の耐水素脆化特性(水素脆化危険度指数)を下記要領で夫々調べた。
[金属組織の観察]
上記加工前後の試験片を用いて、下記の通り金属組織の観察を行った。即ち、製品板厚1/4の位置で圧延面と平行な面における任意の測定領域(約50μm×50μm、測定間隔は0.1μm)を対象に観察・撮影し、ベイニティックフェライト(BF)及びマルテンサイト(M)の面積率、残留オーステナイト(残留γ)の面積率を前述した方法に従って測定した。そして任意に選択した2視野において同様に測定し、平均値を求めた。またその他の組織(フェライトやパーライト等)を、全組織(100%)から上記組織の占める面積率を差し引いて求めた。
更に加工前後の鋼板における残留オーステナイト結晶粒の平均軸比、平均短軸長さ及び残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離を、前述の方法に従って測定した。上記平均軸比は、5以上のものを本発明の要件を満たす(○)とし、5未満のものを本発明の要件を満たさない(×)と評価した。
[引張強度(TS)及び伸び(El)の測定]
引張試験は、加工前のJIS5号試験片を用いて行い、引張強度(TS)と伸び(El)を測定した。尚、引張試験の歪速度は1mm/secとした。そして本発明では、上記方法によって測定される引張強度が1180MPa以上の鋼板を対象に、伸びが10%以上のものを「伸びに優れる」と評価した。
[耐水素脆化特性の評価]
板厚1.2mmの平板試験片を用いて、歪み速度が1×10−4/secの低歪み速度引張試験法(SSRT)を行い、下記式にて定義される水素脆化危険度指数(%)を求めて耐水素脆化特性を評価した。
水素脆化危険度指数(%)=100×(1−E1/E0)
ここで、E0は、実質的に鋼中に水素を含まない状態の試験片の破断時の伸びを示し、E1は、硫酸中で電気化学的に水素をチャージさせた鋼材(試験片)の破断時の伸びを示している。尚、上記水素チャージは、鋼材(試験片)をHSO(0.5mol/L)とKSCN(0.01mol/L)の混合溶液中に浸漬し、室温かつ定電流(100A/m)の条件で行った。
上記水素脆化危険度指数は、50%を超えると使用中に水素脆化を起こす危険があるので、本発明では、50%以下を耐水素脆化特性に優れると評価した。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0004684003
Figure 0004684003
表1,2から次の様に考察することができる(尚、下記No.は、表2中の実験No.を示す)。
本発明で規定する要件を満たすNo.1〜9、13〜17は、1180MPa以上の超高強度を示すと共に加工後における過酷な環境下での耐水素脆化特性にも優れている。またTRIP鋼板として具備すべき伸びも良好であり、大気腐食雰囲気に曝される自動車の補強部品等として最適な鋼板が得られている。
これに対し、本発明の規定を満足しないNo.10〜12、18は、夫々、以下の不具合を有している。
即ち、No.10は、C量が過剰である鋼種Jを用いた例であるが、炭化物が析出し、また残留オーステナイトの平均短軸長さが長いため、成形性および加工後の耐水素脆化特性のどちらも劣っている。
No.11は、Si量の不足している鋼種Kを用いて従来の高強度鋼であるマルテンサイト鋼を得た例であるが、残留オーステナイトがほとんど存在していないため、耐水素脆化特性に劣っている。また、薄鋼板に要求される伸びも確保できていない。
No.12は、本発明で規定する成分組成を満たす鋼材を用いているが、推奨される条件で製造しなかったため、得られた鋼板は従来のTRIP鋼板となった。その結果、残留オーステナイトは、加工後に著しく減少し、また本発明で規定する平均軸比、平均短軸長さを満たさず、母相もベイニティックフェライトとマルテンサイトの二相組織とならなかったため、強度が低くかつ耐水素脆化特性にも劣っている。
No.18は、本発明鋼板1として規定するAl量を上回っているため、所定量の残留オーステナイトは確保できているが、該残留オーステナイトが本発明で規定する平均軸比を満たさず、更にはAlN等の介在物も生成したため耐水素脆化特性に劣っている。
次に、上記表1の鋼種記号A、Gの鋼板と比較鋼板(従来品である590MPa級の高張力鋼板)を用いて部品を成形し、下記の通り、耐圧壊性試験及び耐衝撃特性試験を行って、成形品としての性能(耐圧壊性及び耐衝撃特性)を調べた。
[耐圧壊性試験]
まず、表1の鋼種記号A、Gの鋼板と比較鋼板を用いてそれぞれ図3に示す様な部品(試験体,ハットチャンネル部品)1を作成し、次の様にして圧壊性試験を行なった。即ち、図3に示す部品のスポット溶接位置2に、先端径6mmの電極から、チリ発生電流よりも0.5kA低い電流を流して、図3に示す通り35mmピッチでスポット溶接を行った。そして図4に示す様に、部品1の長手方向中央部の上方から金型3を押し付けて最大荷重を求めた。また荷重−変位線図の面積から吸収エネルギーを求めた。その結果を表3に示す。
Figure 0004684003
表3より、本発明の鋼板を用いて作成した部品(試験体)は、強度の低い従来の鋼板を用いた場合より高い荷重を示し、また吸収エネルギーも高くなっていることから、優れた耐圧壊性を有していることがわかる。
[耐衝撃特性試験]
表1の鋼種記号A、Gの鋼板と比較鋼板を用いてそれぞれ図5に示す様な部品(試験体,ハットチャンネル部品)4を作成し、次の様にして耐衝撃特性試験を行なった。尚、図6は、前記図5における部品4のA−A断面図を示している。耐衝撃特性試験は、上記耐圧壊性試験の場合と同様に部品4のスポット溶接位置5にスポット溶接を行った後、図7に模式的に示す通り部品4を土台7にセットし、該部品4の上方から、落錘(質量:110kg)6を高さ11mの位置から落下させて、部品4が40mm変形(高さ方向が収縮)するまでの吸収エネルギーを求めた。その結果を表4に示す。
Figure 0004684003
表4より、本発明の鋼板を用いて作成した部品(試験体)は、強度の低い従来の鋼板を用いた場合より高い吸収エネルギーを示し、優れた耐衝撃特性を有していることがわかる。
参考までに、本実施例で得られた試験片のTEM観察写真を示す。図8は、本発明例であるNo.1のTEM観察写真例(倍率15,000倍)であり、図9は前記図8の写真の一部を拡大したTEM観察写真例(倍率60,000倍)であるが、この図8,9から、本発明の超高強度鋼板の金属組織は、残留オーステナイト(図8,9中、棒線状の黒色部分)が微細分散した状態であり、該残留オーステナイトの形状は、本発明で規定する要件を満たすラス状であることがわかる。一方、図10は比較例であるNo.13のTEM観察写真例であるが、この図10から、No.13の超高強度鋼板には残留オーステナイト(図10中のやや丸い黒色部分)が存在しているが、本発明の規定を満たさない塊状の残留オーステナイトであることがわかる。
残留オーステナイト結晶粒の平均軸比と水素脆化危険度指数の関係を示すグラフである。 残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離を模式的に示した図である。 実施例における耐圧壊性試験に用いた部品の概観斜視図である。 実施例における耐圧壊性試験の様子を模式的に示した側面図である。 実施例における耐衝撃特性試験に用いた部品の概観斜視図である。 上記図5におけるA−A断面図である。 実施例における耐衝撃特性試験の様子を模式的に示した側面図である。 実施例のNo.1(本発明例)におけるTEM観察写真例(倍率:15,000倍)である。 実施例のNo.1(本発明例)におけるTEM観察写真例(倍率:60,000倍)である。 実施例のNo.13(比較例)におけるTEM観察写真例(倍率:15,000倍)である。
符号の説明
1 耐圧壊性試験用部品(試験体)
2,5 スポット溶接位置
3 金型
4 耐衝撃特性試験用部品(試験体)
6 落錘
7 (耐衝撃特性試験用)土台

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C :0.25超〜0.60%、
    Si:1.0〜3.0%、
    Mn:1.0〜3.5%、
    P :0.15%以下、
    S :0.02%以下、
    Al:1.5%以下(0%を含まない)
    を満たし、残部が鉄及び不可避不純物からなるものであって、
    加工率3%の引張加工後の金属組織が、
    全組織に対する面積率で、ベイニティックフェライト及びマルテンサイトの両方を含み、合計で80%以上であり、フェライト及びパーライトは合計で9%以下(0%を含む)を満足すると共に、
    残留オーステナイト:全組織に対する面積率で%以上、
    該残留オーステナイト結晶粒の平均軸比(長軸/短軸):5以上、
    該残留オーステナイト結晶粒の平均短軸長さ:1μm以下で、かつ
    該残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離:1μm以下を満たし、
    引張強度が1180MPa以上であることを特徴とする耐水素脆化特性及び加工性に優れた超高強度薄鋼板。
  2. 質量%で、
    C :0.25超〜0.60%、
    Si:1.0〜3.0%、
    Mn:1.0〜3.5%、
    P :0.15%以下、
    S :0.02%以下、
    Al:0.5%以下(0%を含まない)
    を満たし、残部が鉄及び不可避不純物からなるものであって、
    加工率3%の引張加工後の金属組織が、
    全組織に対する面積率で、ベイニティックフェライト及びマルテンサイトの両方を含み、合計で80%以上であり、フェライト及びパーライトは合計で9%以下(0%を含む)を満足すると共に、
    残留オーステナイト:全組織に対する面積率で%以上、
    該残留オーステナイト結晶粒の平均軸比(長軸/短軸):5以上、
    該残留オーステナイト結晶粒の平均短軸長さ:1μm以下で、かつ
    該残留オーステナイト結晶粒間の最隣接距離:1μm以下を満たし、
    引張強度が1180MPa以上であることを特徴とする耐水素脆化特性及び加工性に優れた超高強度薄鋼板。
  3. 更に、質量%で、
    Cu:0.003〜0.5%、及び/又は
    Ni:0.003〜1.0%
    を含む請求項1または2に記載の超高強度薄鋼板。
  4. 更に、質量%で、
    Ti及び/又はVを合計で0.003〜1.0%含む請求項1〜のいずれかに記載の超高強度薄鋼板。
  5. 更に、質量%で、
    Mo:1.0%以下(0%を含まない)、
    Nb:0.1%以下(0%を含まない)
    を含む請求項1〜のいずれかに記載の超高強度薄鋼板。
  6. 更に、質量%で、
    B:0.0002〜0.01%を含む請求項1〜のいずれかに記載の超高強度薄鋼板。
  7. 更に、質量%で、
    Ca:0.0005〜0.005%、
    Mg:0.0005〜0.01%、及び
    REM:0.0005〜0.01%
    よりなる群から選択される1種以上を含む請求項1〜のいずれかに記載の超高強度薄鋼板。
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