JP4682822B2 - 高強度熱延鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、主として自動車の超高強度車体構造部品等の使途に供して好適な強度−延性バランスに優れ、かつ溶接熱影響部の軟化が小さい高強度熱延鋼板に関するものである。
本発明において、「強度−延性バランスに優れた」とは、引張強さTSと全伸びElの積であるTS×Elが12000MPa・%以上であり、また「溶接熱影響部の軟化が小さい」とは、母材の平均ビッカース硬度と熱影響部の最低ビッカース硬度との差ΔHvが50以下であることを意味する。なお、本発明における鋼板とは、鋼帯を含むものとする。
近年、地球環境の保全という観点から、自動車の燃費改善が要求され、また車両衝突時に乗員を保護する観点から、自動車車体の安全性向上も要求されている。このため、自動車車体の軽量化および強化の双方を図るための検討が積極的に進められている。
自動車車体の軽量化と強化を同時に達成するには、部品素材を高強度化することが効果的であると言われており、最近では引張強さ(TS)が 980 MPa以上の高張力薄鋼板が、ドアインパクトビームやセンターピラー、バンパー等の自動車構造部品に積極的に使用されている。すなわち、高張力薄鋼板を適用して、使用する鋼板の薄肉化を図り、これにより自動車車体の軽量化と強化を同時に達成するものである。
高張力薄鋼板を加工、成形した自動車用部材には、自動車衝突時にその部材が破壊することなく、変形することで、衝突時の衝撃エネルギーを吸収することが要求される。この点、強度−延性バランスが低い部材や溶接時の熱影響部の軟化が顕著な部材では、衝突時の破断に伴い衝撃吸収エネルギー量が著しく低下する。
このため、これを防止するために、高い強度−延性バランスと共に、溶接時における熱影響部の軟化抑制が求められている。
しかしながら、強度−延性バランスについては、薄鋼板を素材とする自動車の車体用構造部品の多くがプレス加工により成形されることから、引張り強さ:980MPa以上の高張力薄鋼板では、母材の延性が低いため必然的にプレス加工後の延性が低くなる。すなわち、鋼板を高強度化すると、伸びが低下してプレス成形性が劣化し、プレス成形後の部材の強度−延性バランスも低くなるという問題があった。
また、引張り強さ:980MPa以上の高張力薄鋼板では、所定の強度を達成するために、鋼組織にマルテンサイトやベイナイトなどの硬質相を含有させた組織強化を利用することが一般的であるが、かような硬質相を含有させた組織では、レーザー等の溶接時に熱影響部が軟化し、衝撃吸収エネルギーの低下や疲労特性の低下を招くという問題があった。
上記の現状に鑑み、強度が980MPa以上の熱延鋼板について、延性と溶接性を改善する技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、C:0.05〜0.15%、Si:1.5%以下、Mn:0.7〜2.5%、Ni:0.25〜1.5%、Ti:0.12〜0.3%、B:0.0005〜0.0030%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Al:0.010〜0.10%およびN:0.0050%以下を含み、かつC,Si,Mn,Ni,Bを所定の関係式を満足する範囲に規制し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼素材を、熱間圧延後、一定量の加工歪みを付与したのち、再加熱することからなる、加工性と溶接性の良い高強度熱延鋼板の製造方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、熱延鋼板のTSは980MPa級とはいえ、TS×Elバランスは、板厚が7〜9mmで高々16000MPa・%程度であり、本発明で対象としている自動車の構造部品に適用するには、母材である鋼板の延性が十分とは言い難かった。すなわち、本発明で対象とする構造部品は板厚が2mm前後と、延性的にはより不利な条件であるため、本発明で対象とする構造部品の用途に対しては、当該技術の適用は困難である。また、Ti,Niを多量に含有させているため、素材コストが上昇するだけでなく、1250℃以上のスラブ加熱が不可欠であるため、製造コストおよび安定製造(スケールロス)の面でも問題があった。なお、同文献には、TSが1180MPa級以上の強度レベルに達する材料についての開示は無い。
また、特許文献2には、C:0.05〜0.20%、Si:0.005〜1.3%、Mn:1.0〜3.2%、P:0.001〜0.05%、S:0.0001〜0.01%以下、N:0.0005〜0.01%、Al:0.001〜0.1%、Mo:0.05〜0.5%を含み、かつNb:0.005〜0.05%、Ti:0.001〜0.05%のうちから選んだ1 種または2種を含み、さらにC,Mn,Si,Mo量およびC,Mn,Si,Mo,Nb,Ti量を所定の関係式を満足する範囲に規定し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になると共に、マルテンサイトが5〜40%で、残部がフェライト、残留オーステナイト、ベイナイトおよび焼戻しマルテンサイトのいずれか一種からなる組織を有する、溶接後の成形性と溶接熱影響部の耐軟化性が良好な熱延鋼板が提案されている。
しかしながら、特許文献2に開示の技術では、溶接熱影響部の軟化については考慮されているものの、成形性については溶接による成形性低下の割合を抑制するという技術にすぎず、熱延鋼板の絶対的な延性を改善させるものではない。すなわち、熱延鋼板の延性については開示されてもなく、技術的には鋼中の転位密度を高くすることを要件としていることから、熱延鋼板は硬質となり、延性は必然的に低くなるものと考えられる。
特開平7−138638号公報 特開2003−231941号公報
従来、焼入れ法により製造された自動車用構造部材において、引張強さ:980MPa以上とするためには、ミクロ組織の主相をマルテンサイトとする必要があるため、上記したように自動車構造部材として必要な強度−延性バランスと溶接熱影響部の軟化抵抗性を同時に得ることは困難とされてきた。
この理由は、主相をマルテンサイトとした場合には高延性が得にくく、また焼戻しにより延性を向上させようとしてもFe3C等の粗大化により強度は低下するものの延性はそれほど向上しないためである。また、マルテンサイト主体のミクロ組織では、レーザー溶接等を行った場合、熱影響部で著しい軟化が生じ、大幅な溶接部の強度低下や疲労特性の劣化を招く不利もある。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、引張り強さが980MPa以上という高強度鋼において、強度−延性バランスに優れ、かつ溶接熱影響部の軟化が小さい熱延鋼板を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、鋼中にVを含む炭化物を微細に析出させることにより、具体的には、粒径が20nm以下のVを含む炭化物を単位体積1μm3当たり1000個以上析出させ、かつ粒径が20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径を10nm以下に制御することにより、所期した目的が有利に達成されることの知見を得た。
また、製造工程的には、熱間圧延工程において、仕上げ圧延後の冷却および巻取温度を適正に制御し、必要に応じて400℃以上、Ac1変態点以下の温度域で焼戻しを施すことが効果的であることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)質量%で
C:0.10〜0.25%、
Si:1.5 %以下、
Mn:1.0〜3.0 %、
P:0.10%以下、
S:0.005 %以下、
Al:0.01〜0.5 %、
N:0.010 %以下および
V:0.10〜1.0 %
を含み、かつ(10Mn+V)/C≧50を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、焼戻しマルテンサイト相の体積率が80%以上で、粒径:20nm以下のVを含む炭化物が1000個/μm3以上析出し、かつ該粒径:20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径が10nm以下であり、さらに引張強さが980MPa以上であることを特徴とする高強度熱延鋼板。
(2)上記(1)において、鋼板がさらに、質量%で
Nb:0.1 %以下、
Ti:0.1 %以下および
B:0.0050%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする高強度熱延鋼板。
(3)上記(1)または(2)において、鋼板がさらに、質量%で
Cr:0.005〜1.0 %および
Mo:0.005〜0.5 %
のうちから選んだ1種または2種を、(2Cr+Mo)/2V≦2.0 を満足する範囲で含有することを特徴とする高強度熱延鋼板。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、鋼板がさらに、質量%で
Cu:0.5〜5.0 %
を含有する組成になることを特徴とする高強度熱延鋼板。
(5)上記(4)において、鋼板がさらに、質量%で
Ni:0.1〜2.0 %
を含有する組成になることを特徴とする高強度熱延鋼板。
本発明によれば、自動車構造部材用薄鋼板の高性能化には従来あまり積極的に利用されることがなかったVを活用することにより、強度−延性バランスに優れ、かつ溶接熱影響部の軟化が小さい、引張強さ:980MPa以上の高強度熱延鋼板を得ることができる。
以下、本発明を由来するに至った実験結果について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
Si:0.01%、P:0.009%、S:0.002%、Al:0.03%およびN:0.0025%を基本組成とし、これにC,Mn,Vをそれぞれ、C:0.11〜0.25%、Mn:1.00〜1.55%、V:0.15〜0.82%の範囲で種々に変化させて含有させ、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるシートバーを、1250℃に加熱・均熱後、仕上圧延終了温度が900 ℃となるように3パスの圧延を行った。ついで、仕上圧延終了後には、次に述べる二通りの処理工程を経て、板厚:2.0 mmの熱延鋼板とした。
(a)仕上げ圧延完了の3秒後に、冷却速度が30℃/sの水冷却を550℃まで施し、引き続きコイル巻取り相当処理として、550℃×1hの熱処理を施した。
(b)仕上げ圧延完了の3秒後に、冷却速度が30℃/sの水冷却を250℃まで施し、引き続きコイル巻取り相当処理として、250℃×1hの熱処理を施したのち、550℃で10minの焼戻し処理を施した。
かくして得られた熱延鋼板の引張特性(降伏強さYS、引張強さTS、伸びEl)を求めた。なお、引張特性は、長軸を圧延方向に直交する方向とする、JIS5号引張試験片を用い、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験により求めた。
また、得られた熱延鋼板の溶接熱影響部の軟化抵抗性(以下、耐溶接熱影響部軟化特性という)についても調査した。なお、耐溶接熱影響部軟化特性の評価は、CO2レーザー溶接により、レーザー出力:3kW、溶接速度:4m/min、レーザー焦点位置:薄鋼板表面、シールドガス:Arの条件で溶接し、溶接の影響を受けない母材部および溶接溶融部から熱影響部にかけての板厚断面における板厚1/4位置でのビッカース硬度を荷重:200gの条件で0.1mm 間隔で測定し、母材部の平均ビッカース硬度と熱影響部の最大ビッカース硬度との差ΔHvを求めることにより行った。
かくして得られた引張特性および耐溶接熱影響部軟化特性と成分組成特にC,Mn,V量との関係について検討したところ、これらの特性は(10Mn+V)/Cをパラメータとすることにより、的確に評価できることが判明した。
なお、(10Mn+V)/Cは、上記検討にて得た回帰式であり、該式中のMn,V,Cは各々の元素の含有量(質量%)である。
また、上記の特性が(10Mn+V)/Cをパラメータとすることにより的確に評価できる理由は、Cの拡散を抑制して析出物を微細分散させる効果のあるMn,VをC量に応じて添加すると共に、析出核の生成を促進するMnと炭化物形成元素のVを適正にバランスさせることで、Vを含む炭化物のサイズと個数を適正化できるためと考えられる。
図1に、TS×Elに及ぼすC,Mn,V量の影響について調べた結果を、(10Mn+V)/Cの関係で示す。
また、図2には、耐溶接熱影響部軟化特性(ΔHv)に及ぼすC,Mn,V量の影響について調べた結果を、(10Mn+V)/Cの関係で示す。
図1、図2から、(10Mn+V)/C≧50とすれば、TS×El:12000MPa・%以上の優れた強度−延性バランスが得られるだけでなく、ΔHv:50以下という優れた耐溶接熱影響部軟化特性が得られることが分かる。
さらに、熱延鋼板の組織および析出物についても調査したところ、良好な引張特性および耐溶接熱影響部軟化特性が得られた鋼材は、焼戻しマルテンサイト相の体積率が80%以上で、粒径:20nm以下のVを含む炭化物が単位体積:1μm3当たり1000個以上析出し、しかもかかる粒径:20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径が10nm以下であることが判明した。
なお、Vを含む炭化物とは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)でのエネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)により、VとCの双方を検出した析出物と定義する。
また、このVを含む炭化物の析出数、粒径は、透過型電子顕微鏡による観察結果を基に画像処理することにより求めた。
上記したように、鋼成分、鋼組織および析出物を制御することによって、優れた強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性が得られるメカニズムの詳細については、まだ明確に解明されたわけではないが、次のように考えられる。
従来の引張強さが980MPa以上の高強度鋼板では、マルテンサイトやベイナイトを主体とする組織を有しているため、強度−延性バランスが低く、また溶接時においても熱影響部においてはこの硬質相が焼戻されて顕著に軟化する。
この点、本発明では、熱延鋼板の高強度化を、組織強化のみに依るのではなく、コイル自己焼鈍や焼戻しにより強度−延性バランスが改善された硬質相による組織強化と、FeやVを含む炭化物を微細均一に分散させた析出強化を複合的に利用しているので、強度−延性バランスおよび溶接性が併せて改善されたものと考えられる。
特に、(10Mn+V)/C≧50とすることにより、熱間圧延後の巻取りおよびその後の徐冷過程で、あるいは急冷、低温巻取りに引き続く焼戻し過程で、容易にFeやVを含む炭化物を微細均一に分散させることができ、その結果、強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性の向上を図ることができる。
まず、強度−延性バランスの向上については、
(1) 仕上げ圧延後の過冷度を高めることによる巻取り後徐冷中の炭化物生成の促進、または仕上げ圧延後の急冷および低温巻取りによる転位密度の増加に伴う焼き戻し処理時の炭化物生成サイトの増加により、FeやVを含む炭化物の微細均一化、
(2) 固溶V,MnによるC拡散速度の低下に伴う、巻取り後徐冷中または焼戻し処理により生じるFeやVを含む炭化物の微細均一化、
(3) Mn,VとCの相互作用による焼戻し軟化抵抗の増大によるTS低下抑制とElの確保などによるものと考えられ、特にVを含む炭化物の粒径を制御すると共に、上記の効果が顕著な(10Mn+V)/C≧50の成分範囲に調整することで、上記(2), (3)で述べた事項が有効に作用するものと考えられる。
また、耐溶接熱影響部軟化特性の向上については、特にVの作用が顕著と考えられ、本発明範囲のVの含有により、溶接時の熱影響部近傍でのマルテンサイトの軟化抑制を図ることができる。これは、上記(1)〜(3)と同様の理由で、溶接時の熱影響部近傍でのFeやVを含む炭化物の微細均一化、FeやVを含む炭化物の粗大化抑制により、マルテンサイトを主体とするTS:980MPa超級の熱影響部の軟化抑制効果が顕著になるためと考えられる。
次に、本発明において、鋼板の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.10〜0.25%
Cは、鋼板の強度増加や炭化物生成の観点から重要な元素であり、本発明では熱間圧延後の巻取りおよびその後の徐冷過程、または急冷、低温巻取りに引き続く焼戻し過程で目的とする強度と所望の炭化物量を確保するために、0.10%以上のCを含有させるものとした。一方、0.25%を超える含有は、溶接性を著しく劣化させる。このため、C量は0.10〜0.25%の範囲に限定した。より好ましくは0.10〜0.20%の範囲である。
Si:1.5 %以下
Siは、鋼の延性を顕著に低下させることなく、鋼板を高強度化させることができる有用元素である。しかしながら、特に、高い表面美麗性や耐食性を要求される自動車用鋼板の場合、1.5 %を超えてSiを含有させると、表面性状や化成処理性等に悪影響を与える上、これらの悪影響を排除するために必要な鋼板表面の酸洗処理の長時間化等により、コストアップが避けられない。従って、Siは1.5 %以下に制限とした。なお、より優れた表面美麗性および耐食性が求められる用途では0.5 %以下とするのが好ましい。また、さらに優れた表面美麗性および耐食性を得るためには0.25%以下とすることが好ましい。
従来、Siの増加により、強度−伸びバランスを向上させる技術が開示されているが、本発明では、上述したように優れた表面美麗性、耐食性を求めるためSi量を0.01%程度の少量としても炭化物の微細均一化により良好な強度−伸びバランスを得ることができる。
Mn:1.0〜3.0 %以下
Mnは、焼入れ性を向上させる元素であり、さらに上述したように強度−延性バランスの向上や焼戻し軟化の抑制に有効に寄与する。特に熱間圧延後の巻取りおよびその後の徐冷過程、または急冷、低温巻取りに引き続く焼戻し過程でこのような高性能薄鋼板を得るには、Mnの添加により、仕上げ圧延後の冷却における過冷度を高めたり、析出核生成サイトの増加のために焼戻し前の転位密度を増加させることが必要である。また、Mnは、Sによる熱間割れを防止する上でも有効な元素である。
上記の効果は、Mn量が1.0%以上の範囲で認められるが、3.0%を超えて含有させると上記の効果が飽和するだけでなく、組織強化の寄与が多大となり、鋼板強度が顕著に増大して成形性の劣化を招く。
このため、Mnは、 1.0〜3.0 %の範囲に限定した。なお、より優れた成形性が要求される場合には 1.0〜1.8 %とすることが望ましい。
P:0.10%以下
Pは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必要量を含有させることができ、0.005%以上含有していることが好ましいが、P量が0.10%を超えると溶接性が劣化する。このため、P量は0.10%以下に限定した。なお、より優れた溶接性が要求される場合には、P量は0.05%以下とすることが好ましい。
S:0.005 %以下
Sは、鋼板中では介在物として存在し、溶接性の劣化を招くだけでなく、Sを含む粗大介在物は自動車衝突時に鋼板の破壊の起点となり、衝突の衝撃を十分に吸収することなく鋼板が破断するおそれがあるため、Sの混入はできるだけ低減するのが好ましい。S量が0.005 %以下であればこれらの悪影響が無視できることから、本発明ではS量は 0.005%を上限として許容するものとした。なお、より優れた溶接性や衝撃吸収特性を要求される場合には、S量は 0.003%以下とすることが好ましい。
Al:0.01〜0.5 %
Alは、鋼の脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上させるのに有用な元素であり、鋼の組織微細化のためにも添加が望ましい元素である。また、適正範囲のAlを添加したアルミキルド鋼の方が、Alを添加しない従来のリムド鋼に比べて、機械的性質に優れている。さらに、Siと同様、強度−延性バランスを向上させる効果も有している。このため、Alは0.01%以上含有させるものとした。一方、Al量が多くなると表面性状の悪化につながるため上限は0.5 %とした。
N:0.010 %以下
Nは、固溶強化で鋼板の強度を増加させる元素であり、0.001 %以上含有させることが好ましい。しかしながら、焼入れ性向上を目的としてBを添加する場合、NはBと結合して焼入れ性の向上に有効な鋼中のフリーB量を減少させるため、この点では少ない方が好ましく、N量が0.010 %を超えると焼入れ性が劣化するため上限を 0.010%とした。特に優れた焼入れ性が要求される場合、例えば焼入れ時の冷却速度が遅い場合等には、0.008 %以下とするのがさらに好適である。
V:0.10〜1.0 %
Vは、本発明において最も重要な元素であり、熱間圧延後の巻取りおよびその後の徐冷過程、または急冷、低温巻取りに引き続く焼戻し過程で極微細炭化物として析出することにより、延性を損なうことなく強度を確保することができる。
すなわち、本発明では、熱間圧延後の巻取りおよびその後の徐冷過程、または急冷、低温巻取りに引き続く焼戻し過程において硬質なマルテンサイト相を焼戻して延性の向上を図ると共に、Vを含む微細炭化物を析出させて強度を確保している。焼戻し時に析出し、析出強化に寄与する元素としては、Ti,Nb,V,Mo,Cr等が知られているが、Ti,Nb等の炭化物を利用して焼戻し時に十分な析出強化を図るためには1100℃を超える高温に加熱する必要があり、不適切である。また、Mo,Cr等の炭化物はVの炭化物よりも溶解し易いが、焼戻し時に十分な析出強化量を得るためには数%を超えて含有させる必要があり、コストアップにつながる。このような理由から、熱間圧延後の巻取りおよびその後の徐冷過程、または急冷、低温巻取りに引き続く焼戻し過程で微細炭化物を析出させ強度を得る本発明の場合、比較的低温・短時間で析出し、かつ多量に添加する必要なく、焼戻し時に著しい強度上昇を示すVが最も適している。また、Vを含む極微細炭化物により析出強化された組織は、溶接時に熱影響部の軟化が極めて小さい他、Vは焼入れ性を向上する効果も有する。
このような効果は、0.10%以上で顕著となるが、1.0 %を超える過剰な添加はコストアップや成形時の加工性の劣化をもたらす。従って、V量は0.10〜1.0 %の範囲に限定した。なお、上記したVの効果を最大限に発揮させるためには、V量の下限は0.15%とすることが好ましく、より好ましくは0.20%である。
さらに、本発明で目的とする強度−延性バランス、溶接熱影響部の軟化抵抗を得るためには、上記した好適成分組成の範囲に調整した上で、特にC,Mn,V量について(10Mn+V)/C≧50の条件を満足させることが肝要である。
すなわち、鋼組成中、特にC,Mn,V量を(10Mn+V)/C≧50の範囲に調整することにより、前掲図1,2に示したように、優れた強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性を得ることができる。
この理由の詳細については不明であるが、(10×Mn+V)/Cを50以上とすることによって、FeやVを含む炭化物を微細均一に分散させることが可能となるためと考えられる。
なお、該式中のMn,V,Cは各々の元素の含有量(質量%)である。
以上、基本成分について説明したが、本発明ではその他にも、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Nb:0.1 %以下
Nbは、NbNを形成してオーステナイトの粗大化を抑制する効果があり、必要に応じて添加することができる。このような粗大化抑制効果は0.005%以上で顕著となるが、0.1%を超える添加は過剰なNbCの析出をも促し、固溶Cを減少させるため、焼戻し時にVを含む炭化物の体積率が減少する。従って、Nbは0.1%以下で含有させるものとした。なお、より優れた成形性を得るには、Nbは0.05%以下で含有させることが好ましい。また、上記の効果を得るためには、Nbは0.005%以上含有させることが好ましい。
Ti:0.1% 以下
Tiは、TiNを形成してオーステナイトの粗大化を抑制する効果を有する。また、Nと優先的に結合することにより、焼入れ性向上のためにBを添加する場合には、BのNとの結合を抑制する効果がある。このような効果は0.005 %以上で顕著となるが、0.1 %を超える添加は過剰なTiCの析出をも促し、固溶Cを減少させるため、焼戻し時にVを含む炭化物の体積率が減少する。従って、Tiは0.1%以下で含有させるものとした。なお、より優れた成形性を得るには、Tiは0.05%以下で含有させることが好ましい。また、上記の効果を得るためには、Tiは0.005%以上含有させることが好ましい。さらに、焼入れ性向上のためにBを添加する場合には、Nの含有量に応じてTiを添加することが好ましい。
B:0.0050%以下
Bは、焼入れ性を著しく高め、仕上げ圧延後の冷却時に転位密度の高いマルテンサイト相を安定化する効果があり、その後の巻取り処理もしくは焼戻し時に炭化物の微細均一化を図る上で有用な元素である。転位密度の高いマルテンサイト相を得るのに十分な速度で冷却できる場合には、Bの添加は必要ないが、冷却速度が十分に大きくない場合には添加することが好ましい。このような効果を発揮させるには、Bを0.0003%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.0005%以上である。しかしながら、含有量が0.0050%を超えると、上記効果が飽和し、むしろ熱間圧延抵抗の増大、加工性の低下を招くため、B量の上限は0.0050%とした。
Cr:0.005〜1.0%、Mo:0.005〜1.0%のうちから選んだ1種または2種
(2Cr+Mo)/2V≦2.0
Cr,Moは、焼入れ性を向上させ、熱間圧延後の巻取りおよびその後の徐冷過程、または急冷、低温巻取りに引き続く焼戻し過程において、極微細炭化物の生成を促進する効果を有する。これらの元素は単独で添加しても焼戻し時に添加量に見合う強度上昇を得ることができないが、Vと複合して添加することにより、焼戻し後の強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性をさらに向上させることができることが明らかとなった。また、このような効果は、Cr,Moをそれぞれ0.005%以上添加したときに顕著になり、さらに(2Cr+Mo)/2V≦2.0 の範囲で含有させることが極めて有効であることが明らかとなった。
なお、該式中のCr,Mo,Vは各々の元素の含有量(質量%)である。
焼戻し後のTS×Elや耐溶接熱影響部軟化特性(ΔHv)とVの析出に関係すると考えられるCr,Mo,V含有量との関係を検討したところ、(2Cr+Mo)/2Vをパラメータすることにより、これらの関係が的確に評価できることが判明した。なお、(2Cr+Mo)/2Vは、実験を行い検討して得た回帰式であり、該式中のCr,Mo,Vは各々の元素の含有量(質量%)である。
図3に、TS×Elに及ぼすCr,Mo量の影響について調べた結果を、(2Cr+Mo)/2Vの関係で示す。
また、図4には、耐溶接熱影響部軟化特性(ΔHv)に及ぼすCr,Mo量の影響について調べた結果を、(2Cr+Mo)/2Vの関係で示す。
図3,図4から明らかなように、Crおよび/またはMoを(2Cr+Mo)/2V≦2.0を満足する範囲で含有させることによって、優れた強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性が得られることが分かる。
なお、良好な引張特性および耐溶接熱影響部軟化特性が得られた鋼板は、TSが1180〜1530MPaの範囲であり、その組織は焼戻しマルテンサイト相の体積率で80%以上で、粒径:20nm以下のVを含む炭化物が単位体積:1μm3当たり1000個以上析出し、しかもかかる粒径:20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径が10nm以下であった。
Crおよび/またはMoを(2Cr+Mo)/2V≦2.0を満足する範囲で含有させることによって優れた特性が得られる理由については明らかでないが、(2Cr+Mo)/2Vが2.0を超えるとVを含む炭化物の組成がMo、Crリッチになり、その結果、析出物が粗大化し易くなり、強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性が低下するものと、本発明者らは考えている。
なお、Cc、Moは、それぞれ1.0%を超える過剰な添加はコストアップや加工性の劣化を招く。それ故、Cr,Moの好適範囲はそれぞれ0.005〜1.0%とした。
Cu:0.5〜5.0 %
Cuは、熱間圧延後の巻取りおよびその後の徐冷過程、または急冷、低温巻取りに引き続く焼戻し過程において、単独で析出し、強度上昇に有効に寄与する。また、FeやVを含む極微細炭化物の生成を促進し、かつFeやVを含む極微細炭化物を一層均一微細にして、添加量に対する強化能を上昇させる効果を有しており、特にVと複合して含有させることにより、強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性をさらに向上させることができる。
このような効果が得られる理由は、必ずしも明確ではないが、FeやVを含む炭化物に先んじて極微細なCuが析出することにより、この極微細CuがFeやVを含む微細炭化物の核生成サイトとして作用することによるものと考えられる。
上記の効果は、Cu量が0.5%以上の範囲で認められるが、5.0%を超えて含有させると上記の効果が飽和するだけでなく、鋼板強度が顕著に増大して成形性の劣化を招く。
このため、Cu量は0.5〜5.0%の範囲に限定した。なお、上記効果はCu量が1.0%以上で特に顕著となるため、1.0%以上添加することが好ましい。さらに、より優れた成形性が要求される場合には4.0%以下とすることが望ましい。
Ni:0.1〜2.0 %
Niは、Cu添加時に鋼板表面に発生する表面欠陥の防止に有効であり、Cuを添加する場合に必要に応じて含有させることができる。その場合に、Ni含有量はCu含有量に依存し、およそCu含有量の半分程度、すなわちCu含有量の30〜80%程度とすることが好ましい。しかしながら、Ni含有量が2.0%を超えると効果は飽和し、含有量の増大に見合う効果が期待できなくなって経済的に不利となるだけでなく、鋼板強度が顕著に増大して成形性の劣化を招く。このため、Ni量は0.1〜2.0%の範囲に限定した。
なお、本発明では、上記した成分以外については、特に限定していないが、Ca,Zr,REM 等を通常の鋼組成の範囲内であれば含有させても何ら問題はない。
上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、例えばSb,Sn,Zn,Co等が挙げられ、これらの含有量の許容範囲については、Sb:0.01%以下、Sn:0.1 %以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1 %以下の範囲である。
次に、本発明鋼板のミクロ組織について説明する。
焼戻しマルテンサイト相の体積率:80%以上
本発明では、Vを添加した鋼素材を、熱間圧延後に急冷、巻取り、ついで徐冷するか、または急冷、低温巻取りに引き続き焼戻し処理を施すことによって、FeやVを含む炭化物を均一微細に析出させることにより、強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性に優れる引張強さ:980MPa以上の熱延鋼板が得られる。FeやVを含む炭化物を均一微細に析出させるためには、熱間圧延後の急冷後、または急冷、低温巻取り後の組織を高転位密度のマルテンサイト相主体とすることが必要であり、できるだけ低合金で目的の強度を達するためには、この段階でのマルテンサイト相を80%以上とすることが重要である。
そこで、本発明では、巻取り、徐冷後または焼戻し後の焼戻しマルテンサイト相を80%以上に限定した。より好ましくは90%以上である。なお、残部の組織は、フェライト相、ベイナイト相、残留オーステナイト相、パーライト相などいずれでもよく、特に限定されない。
なお、本発明において、焼戻しマルテンサイト相は、マルテンサイト相の特徴であるラス構造を有しながら、Vを含む炭化物等の炭化物が析出した相と定義する。
そして、かかる焼戻しマルテンサイト相は、走査型電子顕微鏡を用いて結晶粒単位で同定し、その組織分率を測定することによって定量することができる。
粒径:20nm以下のVを含む炭化物が1000個/μm3以上析出し、かつ該粒径:20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径が10nm以下
焼戻し後に観察されるVを含む炭化物のサイズおよび分布は、粒径:20nm以下のVを含む炭化物が単位体積:1μm3当たり1000個以上析出し、かつ該粒径:20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径が10nm以下の組織とする。
本発明では、仕上げ圧延後の急冷、巻取りおよびその後の徐冷後、または急冷、低温巻取りに引き続く焼戻し処理後に、Vを含む微細炭化物を析出させることにより、強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性に優れる引張強さが980MPa以上の熱延鋼板が得られる。しかしながら、粒径:20nm以下のVを含む炭化物の析出個数が単位体積:1μm3当たり1000個未満であったり、粒径:20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径が10nmを超えた場合には、V添加量に対して強度上昇が十分でなく、良好な強度−延性バランスが得られない。また、良好な耐溶接熱影響部軟化特性も得られない。より好ましくは、粒径:20nm以下のVを含む炭化物:2000個/μm3以上、また粒径:20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径:5nm以下である。
ここで、上記のように規定するVを含む炭化物の粒径を20mm以下としたのは、20mmを超える粒径の炭化物は強度への影響が認められないためである。
なおVを含む炭化物の平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて倍率:20万倍で10視野以上観察し、EDX (エネルギー分散型X線分光法)による元素分析でVおよびCが検出される析出物について、画像解析装置を用いて各析出物の面積を求め、円相当直径に換算し、焼入れ時に溶け残ったと考えられる、直径が20nmを超えるのものを除外し、20nm以下の析出物について平均し、平均粒径とした。
また、Vを含む炭化物の密度は、上記と同様の方法により粒径が20nm以下のVを含む炭化物を選別して個数を数え、観察視野の総体積(面積×薄膜の厚み)で割って、析出物の密度とした。なお、透過電子顕微鏡の薄膜の厚みはEELS(電子エネルギー損失分光法)により測定した。
次に、本発明の熱延鋼板の好適製造条件について説明する。
前記の好適成分組成範囲に調整した鋼スラブを素材とし、該素材を粗圧延によりシートバーとし、ついで仕上げ圧延を行う熱間圧延を施して、所定板厚の熱延鋼板とする。使用する鋼スラブは、成分のマクロ偏析を防止すべく連続鋳造法で製造することが好ましいが、造塊法、薄スラブ鋳造法によっても製造可能である。また、スラブを製造したのち、一旦室温まで冷却し、その後再度加熱する従来法に加え、冷却しないで、温片のままで加熱炉に挿入する、あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに圧延に供する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用できる。
熱延条件については、以下のように規定される。
スラブ加熱温度:1000℃以上
スラブ加熱温度は、未固溶のNbやTi析出物を溶解させることにより、熱延時の熱間変形抵抗を低減させ、生産性を安定させるために高い方が望ましい。しかしがら、加熱温度が1000℃未満では、圧延荷重が増大し、熱間圧延時のトラブル発生の危険が増大する。
従って、スラブ加熱温度は1000℃以上とするが、加熱温度があまりに高くなると酸化重量の増加に伴うスケールロスの増大につながるので、スラブ加熱温度は1300℃以下とすることが望ましい。
また、スラブ加熱温度を低くし、かつ熱間圧延時のトラブルを防止するといった観点からは、シートバーを加熱する、いわゆるシートバーヒーターを活用することが有効であることは言うまでもない。
仕上げ圧延出側温度:800 ℃以上
仕上げ圧延出側温度(以下、仕上げ圧延温度ともいう)を800 ℃以上とすることで、均一な熱延母板組織を得ることができ、用途上、問題なく使用することができる。しかしながら、仕上げ圧延温度が800 ℃を下回ると、鋼板の組織が不均一になり、延性が低下すると共に成形時に種々の不具合を発生する危険性が増大する。また、これより低い圧延温度の場合に加工組織の残留を回避すべく高い巻取り温度を採用しても、この場合は粗大粒の発生に伴う同様の不具合を生じる。
従って、仕上げ圧延温度は800 ℃以上とした。なお、加熱温度の上限は特に規制されないが、過度に高い温度で圧延した場合はスケール疵などの原因となるので、1000℃以下程度とするのが好適である。
上記の仕上げ圧延後の冷却以降の工程には、以下の2通りの方法がある。
すなわち、仕上げ圧延後、比較的高い温度で巻取り、引き続き徐冷する方法、または仕上げ圧延後、比較的低温まで急冷して巻取り、その後焼戻し処理を施す方法である。
まず、仕上げ圧延後、比較的高い温度で巻取り、引き続き徐冷する方法について説明する。この方法の処理条件は次のとおりである。
仕上げ圧延完了後、冷却開始までの時間:3秒以内
巻取り温度までの平均冷却速度:20℃/s以上
巻取り温度:400〜600℃で、かつ次式(1)式を満足する温度Ta℃範囲
11000−3000[%V]≦24×Ta≦15000−1000[%V] ・・・ (1)
ここで、[%V]はVの含有量(質量%)
この方法では、基本的に巻取り後の徐冷過程において焼戻しを施し、軟質な焼戻しマルテンサイト組織中にVを含む炭化物を微細均一分散させることにより、巻取り時点で分率が80%以上のマルテンサイト組織とする必要がある。これを達成するには、仕上げ圧延後の早い段階から速い冷却速度で冷却することが重要であるが、本発明では、C,Mn,V添加量の制御およびBの添加により、比較的遅い冷却速度でも巻取り段階でマルテンサイトを主体とする組織を得ることができる。
仕上げ圧延後の冷却開始時間については3秒以内とすればよい。仕上げ圧延後の冷却開始時間が3秒を上回るか、または冷却速度が20℃/sを下回ると、Vを含む炭化物が粗大に析出し、所望のサイズ、量を得るのが困難となるので、巻取り温度までの平均冷却速度は20℃/s以上に限定した。より安定して製造するためには冷却速度は30℃/s以上とすることが好ましい。
なお、冷却方法については、特にこれを限定しないが、ラミナー冷却、スプレー冷却などの水冷却が工業生産上好ましい。
また、冷却開始までの時間は短ければ短いほど良く、現状の設備では、その下限は概ね0.1秒程度である。
冷却後は、400〜600℃で、かつ上掲(1)式を満足する温度Ta℃で巻取る。巻取り温度の制御は、本発明で目標とするVを含む炭化物を均一微細に析出させる上で極めて重要である。本発明で、炭化物粒径に及ほすVの含有量と巻取り温度の影響を調査した結果、上記した冷却速度で、400〜600℃で、かつ上掲(1)式を満足する温度Ta℃まで冷却して巻取ることにより、粒径が20nm以下のVを含む炭化物が1000個/μm3以上析出し、かつ該粒径が20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径を10nm以下に制御できることが明らかとなった。
Taが400℃を下回るか、または(24×Ta)が11000−3000[%V]未満では、Vを含む炭化物が十分な量析出せず、一方Taが600℃を上回るか、または(24×Ta)が15000−1000[%V]を超えた場合には、Vを含む炭化物の平均粒径が10nmを超えて粗大化してしまい、目的とする強度−延性バランスおよび耐溶接熱影響部軟化特性を得ることができない。
次に、仕上げ圧延後、比較的低温まで急冷して巻取り、その後焼戻し処理を施す方法について説明する。
仕上げ圧延完了後、冷却開始までの時間:3秒以内
巻取り温度までの平均冷却速度:20℃/s以上
巻取り温度:400℃未満
焼戻し温度:400℃以上、Ac1変態点以下で、かつ次式(2)式を満足する範囲
11000−3000[%V]≦Tb(20+logt)≦15000−1000[%V] ・・・ (2)
ここで、Tbは焼戻し温度(℃)
tは保持時間(s)
[%V]はVの含有量(質量%)
この方法においても、仕上げ圧延完了後、冷却開始までの時間を3秒以内とする理由および巻取り温度までの平均冷却速度を20℃/s以上とする理由は、上述したところと同じである。
この方法では、冷却後は400℃未満の温度で巻取る。というのは、巻取り温度が400℃以上の場合には、引き続く焼戻し過程において、Vを含む炭化物の平均粒径が10nmを超えて粗大化してしまい、目的とする強度−延性バランスに優れ、かつ溶接熱影響部の軟化が小さい熱延鋼板を得ることができない。なお、巻取り温度の下限については、特に限定されることはないが、通板安定性や形状均一性の観点から200℃以上とするのが好ましい。
ついで、焼戻し処理を施すが、焼戻し温度Tbが400℃に満たなかったり、Tb(20+logt)が11000−3000[%V]を下回った場合には、Vを含む炭化物が十分な量析出せず、一方焼戻し温度TbがAc1変態点を超えたり、Tb(20+logt)が15000−1000[%V]を上回った場合には、析出物が再固溶したり、析出物が粗大になるなどの問題が生じる。
なお、焼戻し後の冷却方法についても制限はなく、水冷、ミスト冷却、ガス冷却、空冷等の方法を利用することができる。
なお、本発明の熱延鋼板の製造に際しては、熱間圧延時に圧延荷重を低減するために仕上げ圧延の一部または全部を潤滑圧延としてもよい。潤滑圧延を行うことは、鋼板形状の均一化、材質の均一化の観点からも有効である。なお、潤滑圧延の際の摩耗係数は0.25〜0.10の範囲とすることが好ましい。また、相前後するシートバー同士を接合し、連続的に仕上圧延する連続圧延プロセスとすることも有利である。かかる連続圧延プロセスを適用することは、熱間圧延の操業安定性の観点からも望ましい。
さらに、熱間圧延後、形状矯正、表面粗度等の調整のために、10%以下の調質圧延を施してもよい。
また、本発明の熱延鋼板は、表面処理を行うこともできる。表面処理としては、亜鉛めっき(合金系を含む)、すずめっき、ほうろう等がある。また、本発明の熱延鋼板には、焼鈍または亜鉛めっき後、特殊な処理を施して、化成処理性、溶接性、プレス成形性および耐食性等の改善を行ってもよい。
表1に示す成分組成になる溶鋼を、転炉で溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした。なお、Ac1変態点については、熱膨張の測定により求めた。
ついで、これらの鋼スラブを、表2に示す条件で板厚:2.0 mmの熱延鋼板とした。また一部については、表2に示す条件で焼戻し処理を施した。ついで、酸洗後、伸び率:1.0 %の調質圧延を施した。
かくして得られた冷延鋼板から試験片を採取し、組織観察を行った。また、引張試験を実施して、引張特性について調べた。さらに、耐溶接熱影響部軟化特性についても調査した。
得られた結果を表3に示す。
なお、試験方法の詳細は次のとおりである。
(1) 組織観察
得られた熱延鋼板から試験片を採取し、圧延方向に直交する断面(C断面)について、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、画像解析装置を用いて焼戻しマルテンサイト相等の組織の種類の同定を行い、それらの組織分率(面積率)を求め体積率とした。
なお、Vを含む炭化物の平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用いて倍率20万倍で10視野以上観察し、EDX (エネルギー分散型X線分光法)による元素分析でVとCが検出される析出物について画像解析装置を用いて各析出物の面積を求め、円相当直径に換算し、直径:20nm以下の析出物について平均粒径を求めた。
また、Vを含む炭化物の密度は、上記と同様の方法により、平均粒径:20nm以下のVを含む炭化物を選別して個数を数え、観察視野の総体積(面積×薄膜の厚み)で割って、析出物の密度とした。なお、透過電子顕微鏡の薄膜の厚みはEELS(電子エネルギー損失分光法)により測定した。
(2) 引張試験
得られた熱延鋼板から長軸を圧延方向に直交する方向としたJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を行い、引張特性(降伏応力(YS)、引張強さ(TS)、伸び(EI)、降伏比(YR))を求めた。
(3) 耐溶接熱影響部軟化特性
耐溶接熱影響部軟化特性は、CO2レーザー溶接により、レーザー出力:3kW、溶接速度:4m/min、レーザー焦点位置:薄鋼板表面、シールドガス:Arの条件で溶接し、溶接の影響を受けない母材部および溶接溶融部から熱影響部にかけての板厚断面における板厚1/4位置でのビッカース硬度を荷重:200gの条件で0.1mm 間隔で測定し、母材部の平均ビッカース硬度と熱影響部の最大ビッカース硬度との差ΔHvで評価した。
Figure 0004682822
Figure 0004682822
Figure 0004682822
表3から明らかなように、発明例はいずれも、(TS×El)が12000 MPa・%以上という優れた強度−延性バランスと共に、母材の平均ビッカース硬度と熱影響部の最低ビッカース硬度との差ΔHvが50以下という優れた耐溶接熱影響部軟化特性が併せて得られている。また、引張り強さ(TS)は980MPa以上の高張力が得られている。
これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、強度−延性バランス(TS×El)が12000 MPa・%未満、あるいは母材の平均ビッカース硬度と熱影響部の最低ビッカース硬度との差ΔHvが50を超える値となっていた。
TS×Elに及ぼすC,Mn,V量の影響を、(10Mn+V)/Cの関係で示した図である。 溶接熱影響部軟化特性(ΔHv)に及ぼすC,Mn,V量の影響を、(10Mn+V)/Cの関係で示した図である。 TS×Elに及ぼすCr,Mo量の影響を、(2Cr+Mo)/2Vの関係で示した図である。 溶接熱影響部軟化特性(ΔHv)に及ぼすCr,Mo量の影響を、(2Cr+Mo)/2Vの関係で示した図である 。

Claims (5)

  1. 質量%で
    C:0.10〜0.25%、
    Si:1.5 %以下、
    Mn:1.0〜3.0 %、
    P:0.10%以下、
    S:0.005 %以下、
    Al:0.01〜0.5 %、
    N:0.010 %以下および
    V:0.10〜1.0 %
    を含み、かつ(10Mn+V)/C≧50を満足し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、焼戻しマルテンサイト相の体積率が80%以上で、粒径:20nm以下のVを含む炭化物が1000個/μm3以上析出し、かつ該粒径:20nm以下のVを含む炭化物の平均粒径が10nm以下であり、さらに引張強さが980MPa以上であることを特徴とする高強度熱延鋼板。
  2. 請求項1において、鋼板がさらに、質量%で
    Nb:0.1 %以下、
    Ti:0.1 %以下および
    B:0.0050%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする高強度熱延鋼板。
  3. 請求項1または2において、鋼板がさらに、質量%で
    Cr:0.005〜1.0 %および
    Mo:0.005〜0.5 %
    のうちから選んだ1種または2種を、(2Cr+Mo)/2V≦2.0 を満足する範囲で含有することを特徴とする高強度熱延鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、鋼板がさらに、質量%で
    Cu:0.5〜5.0 %
    を含有する組成になることを特徴とする高強度熱延鋼板。
  5. 請求項4において、鋼板がさらに、質量%で
    Ni:0.1〜2.0 %
    を含有する組成になることを特徴とする高強度熱延鋼板。
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