JP4678003B2 - 磁石の製造方法及び磁性粒子を成型するための成型装置 - Google Patents

磁石の製造方法及び磁性粒子を成型するための成型装置 Download PDF

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本発明は、磁石の製造方法及び磁性粒子を成型するための成型装置に関する。
従来、磁性粉末を焼結して得られる焼結磁石の製造方法としては、磁石の原料となる磁性粉末を油等の溶媒と混合して得られたスラリーを金型内で圧縮成型した後、焼結するという湿式成型のプロセスを経る方法が知られている(特許文献1)。
特開平9−289127号公報
しかし、上記特許文献1のように、スラリーを金型内で圧縮成型すると、脱気しながら溶媒の濾過を行うので、得られた成型体が金型の内壁に密着する。このため、成型体を金型、特に下パンチの成型面(パンチ面)から離型させ難いという問題があった。この問題のために、成型体を金型から離型させた際の成型体が破損する頻度が高く、歩留まり低下や生産効率低下の一因となっていた。
そこで、本発明は、湿式成型による磁石の製造において、圧縮成型後の成型体の離型性を向上させることを目的とする。
一つの側面において、本発明は磁石の製造方法に関する。本発明に係る磁石の製造方法は、磁性粒子と溶媒とを含むスラリーを型に充填する工程と、粗面化領域を含む面を有するパンチにより該粗面化領域を含む面でスラリーを型の内部で加圧しながら溶媒を排出することによってスラリーを圧縮成型して、磁性粒子の成型体を形成する工程と、前記成型体を焼成して磁石を形成する工程と、を備える。
なお、上記本発明において、「粗面化」とは、ブラスト処理などを行うことによって中心線平均粗さRaが0.02μm以上となるように表面が加工されていることを意味する。
上記本発明においては、パンチの粗面化領域がスラリーに接触するようにパンチを型に押し込んでスラリーを圧縮する。よって、成型体は、パンチの粗面化領域を含む面と密着した状態で形成される。粗面化領域を含む面と成型体との密着性は、従来のような平坦面と成型体との密着性よりも低くなり、そのために圧縮成型後の成型体の離型性が従来に比べて向上する。
上記粗面化領域の中心線平均粗さRaは0.11〜2.32μmである。
粗面化領域のRaを上記範囲内とすることによって、成型体の離型性を更に向上させることができる。粗面化領域のRaが小さいと、成型体の離型性向上の効果が小さくなる傾向がある。一方、粗面化領域のRaが大きいと、粗面化領域の窪みに成型体の一部が入り込み、成型体の離型性向上効果が小さくなる傾向がある。
上記記粗面化領域の十点平均粗さRzは2.42〜22.3μmである。
粗面化領域のRzを上記範囲内とすることによって、成型体の離型性を更に向上させることができる。粗面化領域のRzが小さいと、成型体の離型性向上の効果が小さくなる傾向がある。一方、粗面化領域のRzが大きいと、粗面化領域の窪みに成型体の一部が入り込み、成型体の離型性向上の効果が小さくなる傾向がある。また、粗面化領域のRzが大き過ぎると、粗面化領域の突出部が成型体に食い込み、成型時に成型体にクラックが発生したり、粗面化領域の突出部が成型体に食い込んでアンカーとして作用し、成型体の離型性向上効果が小さくなったりする傾向がある。さらに、粗面化領域のRzが大きくなると、粗面化領域と接する成型体表面の表面粗さが大きくなり、これから得られる磁石の表面粗さも大きくなる。磁石の表面粗さが大きいと、磁石表面を研削、研磨等により整形加工して平坦化するために除去される部分の磁石の量が大きくなる。すなわち、用いた原料に対する製品の材料歩留が低下する。特に希土類磁石のような比較的高価な材料を用いる場合、製品の材料歩留を少しでも高めることが強く求められる。
圧縮成型の際、溶媒の含有量が成型体全体に対して4.2〜14.9質量%となるまでスラリーから溶媒を除去する。
成型体全体に対する溶媒の含有量を上記範囲内とすることによって、成型体の強度が向上するとともに、成型体の密度バラツキが生じにくくなり焼結時の変形を防止できる。更に、磁性特性が特に優れた磁石を形成することができる。
上記磁性粒子の平均粒径は2〜7μmである。
磁性粒子の平均粒径が上記範囲内であるとき、成型体の離型性向上の効果がより一層顕著に奏される。
別の側面において、本発明は磁性粒子を成型するための成型装置に関する。本発明に係る成型装置は、パンチと型とを有し当該パンチを当該型に押し込むことにより圧縮成型する圧縮成型部と、当該圧縮成型部に磁場を印加する磁場発生部とを備え、パンチが、粗面化領域を含む面を有し、当該粗面化領域を含む面が圧縮成型の際に当該型の内部側に向けられる面であり、型において当該型の内部から外部へ導通する排液路が形成されており、粗面化領域の中心線平均粗さRaが0.11〜2.32μmであり、粗面化領域の十点平均粗さRzが2.42〜22.3μmである。
上記本発明に係る成型装置は、上述の本発明に係る製造方法において成型体を得るために好適に用いることができる。本発明に係る成型装置を用いることにより、湿式成型による磁石の製造において、圧縮成型後の成型体の離型性を向上させることが可能である。
本発明に係る磁石の製造方法および成型装置によれば、湿式成型による磁石の製造において、圧縮成型後の成型体の離型性を向上させることが可能である。その結果、圧縮成型後に成型体を型及びパンチから離型させる際の成型体の破損の頻度が低下する。これにより歩留まりが向上すると共に、破損した成型体を型から除去するために製造ラインを停止させる頻度が低下して生産効率の向上が図られる。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の好適な一実施形態である、湿式成型による希土類磁石の製造方法ついて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る製造方法は、磁性粒子と溶媒とを含むスラリーを準備する工程と、型の内部に充填されたスラリーを、パンチを型に押し込むことにより溶媒を除去しながら圧縮成型して、磁性粒子の成型体を形成する工程と、成型体に残存した溶媒を除去する工程と、成型体を焼成して磁石を形成する工程とを備える。
スラリーに用いる磁性粒子は、例えば、所望の組成を有する希土類磁石が得られるような合金を粉砕する方法により得られる。合金は、例えば、希土類磁石の組成に対応する元素を含む金属や化合物等を、真空又はアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で溶解した後、これを用いて鋳造法やストリップキャスト法等の合金製造プロセスを行うことによって作製する。
希土類磁石の種類は特に限定されないが、例えば、希土類元素として主にNdやSmを含むものが挙げられる。希土類元素と、希土類元素以外の遷移元素とを組み合わせた組成を有するものが好適である。具体的には、希土類元素(「R」で表す)として、Nd、Pr及びDyのうちの少なくとも1種を含み、Bを必須元素として1〜12原子%含み、且つ残部がFeであるR−Fe−B系磁石が例示される。このような希土類磁石は、必要に応じて、Co、Ni、Mn、Al、Nb、Zr、Ti、W、Mo、V、Ga、Zn及びSi等の元素を更に含有してもよい。R−Fe−B系磁石以外の希土類磁石としては、R−Co系磁石(RはSm等)が例示される。
合金を粗粉砕して、数百μm程度の粒径を有する磁性粗粉を形成し、更に磁性粗粉を微粉砕して、磁性粒子を形成する。
希土類磁石を用いる場合、微粉砕後に得られる磁性粒子の平均粒径は2〜7μmである。磁性粒子の平均粒径を上記範囲内とすることによって、成型体の離型性向上効果が特に顕著に得られる傾向がある。
合金を粗粉砕する方法としては、例えば、ジョークラッシャー、ブラウンミル、スタンプミル等の粗粉砕機を用いる方法、または、合金に水素を吸蔵させた後、異なる相間の水素吸蔵量の相違に基づく自己崩壊的な粉砕を生じさせる方法(水素吸蔵粉砕法)が挙げられる。磁性粗粉を微粉砕する方法としては、例えば、磁性粗粉を、粉砕時間等の条件を適宜調整しながら、ジェットミル、ボールミル、振動ミル、湿式アトライター等の微粉砕機を用いて粉砕する方法が挙げられる。
スラリーは、磁性粒子と溶媒とを混合した混合物を混練し、必要により更に分散処理を施して調製される。混錬は、例えば、加圧ニーダ、オープンニーダ、2軸押出機、プラネタリーミキサー等の方法によって行うことができる。溶媒としては、磁石の湿式成型に常用される溶媒であれば特に限定されず、例えば、鉱物油、合成油、植物油等の油や、アセトン、アルコールといった有機溶媒が挙げられる。スラリー中での磁性粒子の分散性を良好に保つ観点からは、溶媒としては油を用いることが好ましく、鉱物油を用いることがより好ましい。また、実質的に有機溶媒を含まない油を用いることが更に好ましい。
磁性粒子と溶媒との混合においては、溶媒以外に、所望の特性が得られる他の添加剤を更に加えることもできる。添加剤としては、例えば、磁性粒子の分散を促進することができる分散剤が挙げられる。
スラリーの分散処理は、ボールミル、超音波拡散、ホモジナイザー、アルティマイザー等を用いることによって行うことができる。
図1〜6は、スラリーを圧縮成型する工程の一実施形態を示す模式図である。本実施形態では、図1に示す成型装置を用いて、上述のようにして得られたスラリーを圧縮成型し、磁性粒子の成型体を形成する。
図1に示す成型装置2は、主として、圧縮成型部4と、磁場発生部6とから構成される。圧縮成型部4は、主として、下パンチ8と、筒状の臼14及びこれの一端面に対して固定可能な上型12を有する型10とから構成される。型10の内部には、臼14と上型12に囲まれた室16が形成されている。室16は成型体の形状に対応した形状を有する。上型12においては、型10の内部(室16)から外部へ導通する排液路18が形成されている。下パンチ8は臼14に嵌まる形状を有しており、臼14内を上下自在に摺動させることができる。また、上型12も臼14に対して離接自在に上下移動させることができる。
磁場発生部6は臼14の周囲に配置され、圧縮成型部4に磁場を印加することができる。磁場発生部6としては、磁性粒子の成型において、必要とされる磁場の強度等に応じて適宜磁界を発生するものである。
下パンチ8は、粗面化領域を含む面(以下「パンチ面」という)8aを有する。圧縮成型の際、下パンチ8は、パンチ面8aを型10の内部側に向けた向きで型10の内部(室16)に押し込まれる。粗面化領域は、パンチ面8aの全体に形成されていてもよく、パンチ面8aの一部に形成されていてもよい。成型体の離型性向上の観点から、パンチ面8a全体の面積のうち、50%以上が粗面化領域であることが好ましい。
粗面化領域は、非周期的な凹凸形状を有していることが好ましい。これにより、成型体をパンチ面8aから引き剥がす際の離型性が、引き剥がす力を加える方向に依存することなく高められるため、引き剥がしに伴う成型体破損の頻度が特に小さくなる。パンチ面8aにおける粗面化領域は、中心線平均粗さRaが、0.11〜2.32μm、より好ましくは0.11〜1.3μmとなるように粗面化されている。
また、パンチ面8aにおける粗面化領域は、十点平均粗さRzが、2.42〜22.3μmとなるように粗面化されている。
粗面化領域を粗面化する方法としては、特に限定されないが、好適な方法として研磨材(メディア)を圧縮ガスにより吹き付けるブラスト処理、または、ダイヤモンドやセラミックなどの研磨材を固着した電着砥石、レジンボンド砥石等を用いた研磨処理によれば、非周期的な凹凸形状が均一に分布した粗面化領域が形成される。
図2、3はスラリーを型の内部に充填する工程を示す。まず、図2に示すように、上型12を、臼14の上方に移動させると共に、搬送装置22によって、スラリー充填装置24を臼14の上方へ移動、配置させる。次いで、図3に示すように、スラリー充填装置24から上述のスラリー26を下パンチ8と臼14とで囲まれた空間(室16)へ所定量供給し、室16にスラリー26を充填する。
スラリー充填装置24を臼14の上方から移動させた後、図4に示すように、上型12を下降させて臼14の上部に固定する。これにより型10の内部にスラリー26が充填された状態となる。続いて磁場発生部6によって、圧縮成型部4の内部に位置するスラリー26に磁場Mを印加する。その結果、スラリー26に含まれる磁性粒子が磁場配向する。磁場Mの方向は、後述する圧縮成型時の加圧方向に対して垂直であり、これにより優れた磁気特性を有する磁石が得られる。また、磁場Mの強度は、特に限定されないが、通常10〜20kOe(約790〜約1580kA/m)程度である。
スラリー26に磁場Mを印加した状態で、図5に示すように、粗面化領域を含むパンチ面8aをスラリー26に接触させながら下パンチ8を上型12に向かって移動させる。このように、臼14の内部に押し込まれた下パンチ8によって、スラリー26を圧縮成型する。圧縮成型の結果、スラリー26から排液路18を通して溶媒が除去されると共に、スラリー26の全体が圧縮され、所定の配向度を有する磁性粒子の成型体が形成される。
圧縮成型後、図6に示すように、上型12を臼14から上方へ向かって移動させ、下パンチ8を臼14の上部に更に移動させることによって、得られた成型体28は下パンチ8のパンチ面8aに密着した状態で臼14の外部へ取り出される。成型体28は図示しない成型体移送装置によってパンチ面8aから引き剥がされて次の工程に供される。パンチ面8aが粗面化領域を有していることにより、成型体28のパンチ面8aからの離型性が良好であり、剥離の際に破損した成型体28の一部がパンチ面8a側に密着したまま残ってしまうといったトラブルが発生する頻度は十分に低い。
成型体28の形状は、特に限定されず、柱状、平板状、瓦状、リング状等、所望とする希土類磁石の形状に応じて変更することができる。
圧縮成型においてスラリー26(成型体28)に加わる圧力は、特に限定されないが、通常、約29.4〜約294MPa程度である。また、圧縮成型の所要時間は、数秒〜数十秒とすることが好ましい。このような条件下で圧縮成型を行うことにより、良好な磁気特性を有する希土類磁石が得られる。
圧縮成型では、溶媒の含有量が、得られる成型体28全体に対して4.2〜14.9質量%となるまで、スラリー26から溶媒を除去する。成型体28全体に対する溶媒の含有量を上記範囲内とすることによって、成型体28の強度が向上し、また、成型体の密度バラツキが生じにくくなり焼結時の変形を防止できる。更に、成型体28に含まれる磁性粒子の磁場配向性も向上する。その結果、良好な機械強度を有するとともに、高い残留磁束密度Brを有する磁石を形成することができる。
圧縮成型時にスラリー26から除去された溶媒は、排液路18を通って、型10の内部から外部へ排出される。また、型10の内部(室16)から外部へ磁性粒子が流出することを防止するために、上型の内面12aに布製、紙製等のフィルターを配置するか、或いは、上型の一部(内面12a)の材質を多孔質とすることが好ましい。
得られた成型体28に対し、例えば真空加熱を行うことにより、成型体28に残存した溶媒や添加剤が除去される(脱バインダー処理)。なお、脱バインダー処理では、通常は成型体28の焼結は進行しないが、焼結が部分的に進行してもよい。
脱バインダー処理後の成型体28を焼成して、焼結体である希土類磁石を得る。焼成は、例えば、真空中又は不活性ガスの雰囲気下、成型体28を、1000〜1200℃で、1〜10時間加熱した後、急冷することによって行うことができる。
得られた焼結体は、好ましくは、その磁気特性を向上させるために焼成時よりも低い温度で加熱する時効処理が施される。時効処理は、例えば、700〜900℃で1〜3時間、更に500〜700℃で1〜3時間加熱する2段階加熱や、600℃付近で1〜3時間加熱する1段階加熱によって行う。
時効処理後の焼結体(希土類磁石)は、通常、表面(下パンチ8との接触面等)を平滑化する処理が施される。また、焼結体を所望のサイズに切断してもよい、得られた希土類磁石の表面に防錆するための保護層を更に形成させてもよい。
以上、本発明に係る磁石の製造方法の好適な実施形態として、希土類磁石の製造方法について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、磁性粒子としてフェライト磁石等を用いてもよい。この場合も上述の実施形態と同様に、成型体28の離型性が向上する。具体的なフェライト磁石としては、特に限定されないが、SrO・6Fe23(M型フェライト)、SrO・2(FeO)・n(Fe23)(W型フェライト)等が例示される。なお、磁性粒子がフェライト磁石である場合、得られる磁性粒子の平均粒径が0.6〜2μmとなるように、微粉砕処理を行うことが好ましい。磁性粒子の平均粒径を上記範囲内とすることによって、成型体の離型性が、更に向上する。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
希土類磁石の作製
(試料1)
Nd:30質量%,Dy:1.8質量%,Al:0.2質量%,Co:0.5質量%,Fe:67.5質量%からなるインゴットを粗粉砕した後、ジェットミルを用いて窒素雰囲気下で微粉砕し、平均粒径Dが4μmである磁性粒子を得た。得られた磁性粒子を、分散剤、及び、溶媒として分留点が200〜250℃である合成油と混合し、得られた混合物を、磁性粒子濃度91%でプラネタリーディスパー(浅田鐵工製)を用いて混練し、スラリーを作製した。この際、混練時間は60分とした。混練後、合成油を加えて更に希釈し、スラリーの最終的な磁性粒子濃度を70質量%に調整した。
得られたスラリーを、図1〜6に示す成型装置2を用いて圧縮成型し、成型体を形成した。下パンチ8として、中心線平均粗さRaが0.58μm、十点平均粗さRzが7.05μmとなるようにサンドブラストによってパンチ面8a全体が粗面化されたものを用いた。また、圧縮成型直後(脱バインダー前)の成型体に含まれる溶媒の含有量aが、成型体全体に対して7質量%となるまで、スラリーから溶媒を除去した。圧縮成型の際、スラリー(成型体)に15kOe(約1185kA/m)の配向磁場を印加した。圧縮成型中に型10の内部から流出した溶媒が排液路18を通じて型10の外部に良好に排出されるように、上型12の内面12aに予め濾紙を設置した。
得られた成型体を真空中で150℃に加熱して、成型体に含まれる溶媒を除去した。次に、成型体を、真空中で1100℃、5時間で焼成した。得られた焼結体に対して、500℃、1時間で時効処理を施した。このようにして、試料1の希土類磁石を得た。上述の方法で試料1の希土類磁石を100個作製した。
(試料2〜39)
粗面化領域の中心線平均粗さRaおよび十点平均粗さRz、成型体に含まれる溶媒の含有量a、成型体の形成に用いた磁性粒子の粒径Dを、それぞれ表1に示す値としたこと以外は、試料1と同様の方法で試料2〜39の希土類磁石をそれぞれ100個作製した。なお、試料2、8、15、22、29では、下パンチ8としてパンチ面8aが粗面化されていないものを用いた。粗面化されていないパンチ面の中心線平均粗さRaは0.01μmであり、十点平均粗さRzは0.54μmであった。
Figure 0004678003
離型不良率の測定
試料1〜39それぞれの作製過程において、成型体を成型装置2の下パンチ8(パンチ面8a)から剥離する際に、成型体の一部が剥がれてパンチ面8aに付着したもの、成型体が割れたもの、成型体の一部が欠けたもの、および、焼成後に焼結体で割れ、欠けが検出されたものの数(以下、離型不良品数)を計量した。試料1〜39それぞれについて、全試料数100個に対する離型不良品数の割合(離型不良率、単位%)を求めた。結果を表1に示す。なお、表1において、離型不良率が100%の試料は、×と判定した。また、離型不良率が100%未満の試料は、△と判定した。また、離型不良率が1%以下の試料は、○と判定した。離型不良率が0%の試料は、◎と判定した。離型不良率は小さいほど好ましい。
表1に示されるように、試料1〜7を比較すると、パンチ面8aが粗面化されている成型装置2を用いてプレス成型した試料1,3〜7は、パンチ面8aが粗面化されていない成型装置を用いて圧縮成型した試料2に比べて、離型不良率が小さいことが確認された。
パンチ面8aのRaが0.11〜2.32μmである試料1、4〜6は、試料3、7に比べて、離型不良率が更に小さいことが確認された。Raが0.11〜1.21μmである試料1、4、5は、試料6に比べて、離型不良率が更に小さいことが確認された。
また、Rzが2.42〜22.3μmである試料1、4〜6は、試料3、7に比べて、離型不良率が更に小さいことが確認された。また、Rzが2.42〜7.05μmである試料1、4、5は、試料6に比べて、離型不良率が更に小さいことが確認された。
試料8〜14の比較、試料15〜21の比較、試料22〜28の比較、試料29〜35の比較においても、試料1〜7を比較した場合と同様の結果が確認された。
図1は、成型装置の一実施形態を示す概略図である。 図2は、磁性粒子の成型体を形成する工程の一部を示す概略図である。 図3は、磁性粒子の成型体を形成する工程の一部を示す概略図である。 図4は、磁性粒子の成型体を形成する工程の一部を示す概略図である。 図5は、磁性粒子の成型体を形成する工程の一部を示す概略図である。 図6は、磁性粒子の成型体を形成する工程の一部を示す概略図である。
符号の説明
2…磁性粒子の成型装置、4…圧縮成型部、6…磁場発生部、8…下パンチ、8a…パンチ面、10…型、12…上型、14…臼、18…排液路、26…スラリー、28…成型体。

Claims (2)

  1. 磁性粒子と溶媒とを含むスラリーを型に充填する工程と、
    粗面化領域を含む面を有するパンチにより該粗面化領域を含む面で前記スラリーを前記型の内部で加圧しながら前記溶媒を排出することによって前記スラリーを圧縮成型して、前記磁性粒子の成型体を形成する工程と、
    前記成型体を焼成して磁石を形成する工程と、を備え、
    前記粗面化領域の中心線平均粗さRaが0.11〜2.32μmであり、
    前記粗面化領域の十点平均粗さRzが2.42〜22.3μmであり、
    前記磁性粒子の平均粒径が2〜7μmであり、
    前記溶媒の含有量が前記成型体全体に対して4.2〜14.9質量%となるまで前記スラリーから前記溶媒を除去する、
    磁石の製造方法。
  2. パンチと型とを有し当該パンチを当該型に押し込むことにより圧縮成型する圧縮成型部と、
    前記圧縮成型部に磁場を印加する磁場発生部と、を備え、
    前記パンチが、粗面化領域を含む面を有し、当該粗面化領域を含む面が圧縮成型の際に当該型の内部側に向けられる面であり、
    前記型において当該型の内部から外部へ導通する排液路が形成されており、
    前記粗面化領域の中心線平均粗さRaが0.11〜2.32μmであり、
    前記粗面化領域の十点平均粗さRzが2.42〜22.3μmである、
    磁性粒子を成型するための成型装置。
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