JP4677702B2 - 熱間圧延方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度の金属板を製造するための熱間圧延方法及び熱間圧延ラインに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属ストリップは、仕上圧延機を配置した熱間圧延ラインにおいて圧延されて製造される。
例えば、鋼ストリップを製造する熱間圧延ラインにおいては、図6に模式的に示すように、加熱されたスラブと呼ばれる金属片Sを粗圧延機2で粗圧延し、次いで仕上圧延機3で圧延を施して金属ストリップ1とし、冷却装置4で所定の冷却を行ない、符号5a、5bのいずれか一方のコイラに巻き取られて、金属ストリップ製品とされる。
【0003】
なお、スラブは、図示しない加熱炉で加熱されて抽出される場合や加熱炉を経ずに上工程から高温状態で直送される場合もある。また、鋼ストリップ製品は、場合により、シートーバーが仕上圧延機に直接供給されて粗圧延を省略して製造されることもある。図6中符号5c、5dはマンドレルであり、それぞれコイラ5a、5bに付設され図示しない制御装置により回転速度を制御されて、冷却装置4で冷却された金属ストリップ1を巻き付けて、コイル状の金属ストリップ製品とすることができるように構成されている。
【0004】
この金属ストリップ製品の高強度化のため、従来から、結晶粒の微細化を図る鋼の熱間圧延方法が種々検討されてきている。
その代表的なものとして、特開昭63-223124 号公報等に開示されているいわゆる制御圧延法がある。
制御圧延法の原理は、オーステナイトγ→フェライトα変態時のフェライトα(以下、単にαと記す)核の生成場所となる、γ(以下、単にγと記す)粒界を増やすこと及び転位などの格子欠陥をより多量に導入することにより、γ→α変態時にα粒を数多く生成して、結晶粒の微細化を実現しようとするものであるが、金属片(仕上圧延前)の板厚と金属ストリップ製品(仕上圧延後)の板厚が決まっているために、γ→α変態時までに導入できる歪み量には制約があり、一般に、制御圧延法では平均結晶粒径5μmが限界であると言われている。
【0005】
そこで、本発明者らは、先に、特願2001−116897号において、この限界を打破して、従来以上に高強度製品とするための熱間圧延方法および熱間圧延ラインを提案した。本発明者らの方法は、仕上圧延を施された金属ストリップに繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却する熱間圧延方法であり、金属片(仕上圧延前)および金属ストリップ製品(仕上圧延後)の板厚を同じとした場合でも、金属ストリップ製品の組織の結晶粒を微細化することができるという新技術である。
【0006】
だが、上記の熱間圧延方法においても、仕上圧延を施された金属ストリップにレベラにより繰り返し曲げ加工を施すので、有限回数の曲げにより金属板1に付与できる歪み量には限界が有り、より結晶粒を微細化させる改善余地があった。
一方、特開2001−140016号公報には、鋼を加熱してオーステナイト化した後に温度が所定の範囲にあるうちに、圧延を上下ワークロールのロール軸が平面図的に見てクロス角度1°以上に交差した状態で行う微細組織鋼の製造方法が示されている。
【0007】
しかしながら、特開2001−140016号公報に開示されている実施例は、クロス角度を 1.5°とかなり大きくすることにしており、1.5 °というような実用上頻繁に用いるクロス角度のレベルを超えて、ロール軸を大きな角度で交差させた状態で圧延を行った場合において、ようやく結晶粒径が微細化されることを示しており、それよりクロス角度を小さくした場合においては、結晶粒を微細化させる効果があるものかどうかは明らかではなかった。加えて、クロス角度を大きくすると、後述のように、絞り込みなどの通板上の支障が生じる可能性も高くなってくるという問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、本発明者らが先に提案した、仕上圧延を施された金属ストリップに繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却する熱間圧延方法に係る技術を改善することにあり、実際的なレベラ条件(押し込み量、段数)の範囲内で、結晶粒を一段と微細化することができる熱間圧延方法および熱間圧延ラインを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、金属板の結晶粒を微細化する方法を鋭意検討し、クロス圧延機中最終スタンドの上下ワークロールのロール軸が平面位置でクロス角度1°未満に交差した状態で圧延を行った場合であっても、仕上圧延でのせん断歪みとレベラでのレベラ付加歪みとの複合効果により、金属ストリップ製品の結晶粒を一段と微細化することができるという知見を得て、本発明を完成させた。ここで、クロス角度とは、仕上圧延機群のうちのさらにクロス圧延機中の最終スタンドのクロス角度とする。
【0010】
本発明は、金属片に熱間で仕上圧延を含む圧延を施す熱間圧延方法において、前記仕上圧延では、クロス圧延機中最終スタンドの上下ワークロールがクロス角度0.5 °以上1°未満で交差している状態で前記金属片に圧延を施して金属ストリップとし、さらに該仕上圧延後の金属ストリップに繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却することを特徴とする熱間圧延方法である。その際、前記仕上圧延後の金属ストリップに繰り返し曲げ加工を施す前に前記仕上圧延後の金属ストリップを冷却することが好ましい。
【0013】
尚、本発明にいう金属ストリップは、金属板をも含む意味とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る熱間圧延ラインについて、図1(a)、(b)を用いて説明する。なお、本発明に係る熱間圧延ラインにおいて、粗圧延機2、第1の冷却設備4及びマンドレル5c、5dをそれぞれ有するコイラ5a、5bは、従来の熱間圧延ライン(図6参照)に設置されているものと同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0015】
図1(a)は、第1の実施の形態に係る熱間圧延ラインであり、仕上圧延機3の最終圧延スタンドの下流にレベラ6と、冷却設備4とが上流から下流に向かってこの順に配置されている。以下、冷却設備4を第1の冷却設備4ともいう。また、図1(b)は、第2の実施の形態に係る熱間圧延ラインであり、図1(a)に示す熱間圧延ラインの設備に加えて、仕上圧延機3の最終圧延スタンドとレベラ6間に第2の冷却設備7が配置されている。
【0016】
ここで、仕上圧延機3は、基本的には従来の仕上圧延機と同じであるが、後述する、上下ワークロール3aのロール軸を所定のクロス角度で交差している状態で圧延を可能とするロールクロス機構が少なくとも1つの圧延スタンドに備えてある。
また、仕上圧延機3の最終圧延スタンドの下流に配置されるレベラ6は、上下に千鳥状に配列された3本以上のワークロール6aで構成されている。これらのワークロール6aはそれぞれ駆動式とするのが望ましい。また、上下に千鳥状に配列されたワークロールの数は、30本を超えると、金属ストリップ1の温度が低下して、所望の曲げ歪みを付与しようとした場合、金属ストリップ1からの反力がかなり大きくなるので、30本以下とするのが望ましい。
【0017】
本発明の熱間圧延方法においては、上述した熱間圧延ラインにおいて、仕上圧延時、上下ワークロールがクロス角度0.5 °以上1°未満で交差している状態で金属片Sに圧延を施して金属ストリップ1とし、仕上圧延後の金属ストリップ1に繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却するようにしている。そこで、仕上圧延でのせん断歪とレベラでのレベラ付加歪みとの複合効果により、金属ストリップ製品の結晶粒をさらに微細化することができる。
【0018】
上下ワークロールがクロス角度1°未満で交差している状態で圧延を行う理由は、仕上圧延時、クロス角度を1°以上とすると、金属ストリップ1の絞り込みが発生しやすく、安定して仕上圧延を行うことができなくなるからである。
なお、図1(b)に示すように、第1の冷却設備4に加えて、第2の冷却設備7が配置されている熱間圧延ラインの方が、仕上圧延後の金属ストリップ1に繰り返し曲げ加工を施す前に、仕上圧延後の金属ストリップ1を所望の温度に冷却することができて、金属ストリップ製品の結晶粒を一段と微細化することができて好適である。鋼ストリップ1に繰り返し曲げ加工を施す直前の金属ストリップ1の温度は、金属ストリップ1の種類にもよるが、鋼の場合、 900〜 750℃とするのが望ましい。
【0019】
第2の冷却設備7は、従来の第1の冷却設備4と同様に構成することができる。例えば、金属ストリップ1の表裏面に冷却水を噴出する冷却ノズル、その冷却水の噴出を制御する制御装置、金属ストリップ1の表面の温度を測定する放射温度計等で構成する。
ここで、上述したレベラ6における一回当たりの曲げ歪みεは、例えば、図2(a)に示すように、下ワークロール6a同士の中心軸間隔を2Lとし、ロール押し込み量をδ(上下ワークロール間に金属板を挟んだ状態(板変形なし)をδ=0とし、この状態からワークロールを押し込んだ距離を+で表す)とすると、金属ストリップ1の表面でδ/L2 に比例する。そこで、レベラ6における一回当たりの曲げ歪みεを大きくして、レベラ6による複数回の曲げ加工で金属ストリップ1の表面により多くのひずみを付与するには、上下それぞれにおいて隣接するワークロール6a同士の中心軸間隔2Lを小さくし、ロール押し込み量δを大きくすることが有効である。
【0020】
但し、レベラ6による複数回の曲げ加工で金属ストリップ1の表面により多くのひずみを付与する場合、ロール押し込み量δが過大になると、図2(b)に示すように、金属ストリップ1の先端がレベラ内を正常に通過できなくなる場合が生じる。これを防止するためには、レベラ6のロール押し込み量δを+30mmに制限するのが望ましい。
【0021】
また、レベラ6による複数回の曲げ加工で金属ストリップ1の表面により多くのひずみを付与する場合、ワークロール6aの半径rを小さくして、隣接するワークロール6a同士の中心軸間隔2Lを狭め、かつロール押し込み量δを維持しようとすると、ワークロール6aが細くなり、ロール押し込みに伴う金属板1からの反力に対抗できなくなってしまう場合がある。このような場合、レベラ6にワークロール6aを補強するバックアップロールを配設するのが望ましい。
【0022】
ここで、レベラ6では、ロール押し込み量δをマイナスとしたとき、レベラにより繰り返し曲げ加工を施すことができなくなるので、レベラ6により繰り返し曲げ加工を施すには、ロール押し込み量δをプラスとし、上側ワークロールと下側ワークロールとの間隙を金属ストリップ1の厚みより小さくする。
このように本発明においては、レベラ6により、上下に千鳥状に配列されたn(n≧3)本のワークロール6aで(n−2)回の繰り返し曲げ加工を仕上圧延後の金属ストリップ1に施し、その後冷却するようにして、製品の結晶粒を微細化するが、レベラ6には、上述したような好適な条件的制約があるため、この範囲内で金属ストリップ1に付与できるレベラ付加歪みには限度がある。
【0023】
本発明では、レベラ付加歪みに加えて、仕上圧延でせん断歪みを金属ストリップ1に付加するようにしたのである。
ここで、仕上圧延でせん断歪みを金属ストリップ1に付加するには、既に実用化されているロールクロス機構を少なくとも1つのスタンドに備えた仕上圧延機を用い、仕上圧延を、図3(a)、(b)に示すように、上下ワークロール3aのロール軸31、32が平面図的に見て所定のクロス角度θ1 、θ2 だけ交差している状態で行うようにする。クロス角度θ1 、θ2 とは、上下ワークロール3aが交差していない状態のロール軸30と、上下ワークロール3aを交差させた後のロール軸31、32とがそれぞれなす角度である。
【0024】
仕上圧延機3の少なくとも1つの圧延スタンドに備えるクロス機構としては特に限定しないが、上下にバックアップロール3bを備えた4段形式の圧延機の場合には、ワークロール3aとバックアップロール3bを上下でそれぞれペアとし、上下でペアとされたロール3a、3bを水平面内で互い回動方向を反対としてそれぞれ回動するロールクロス機構とすることができる。
【0025】
なお、図3(a)中Pはワークロールの回転中心であり、図3(a)では、クロス角度θ1 、θ2 を大きくして、上下ワークロール3aのロール軸31を交差させた場合を示している。実用的な仕上圧延のクロス角度θ1 、θ2 はそれぞれ1°未満であり、普通、θ1 、θ2 は同じ角度となるように設定される。
図3(b)中Eはせん断変形量であって、図3(b)は、図3(a)に示すように、上下ワークロール3aのロール軸31、32が平面位置で所定のクロス角度θ1 、θ2 だけ交差している状態で仕上圧延を行うようにした、ある1つのスタンドでの金属ストリップ1のせん断変形量を模式的に示した説明図である。
【0026】
以上説明した第1、第2の実施の形態に係る熱間圧延ラインは、金属片を仕上圧延前に接合するようにされていないが、第3の実施の形態に係る熱間圧延ラインには、図4に示すように、金属片Sを仕上圧延前に接合する公知の接合設備10及び連続している金属ストリップ1を切断する切断設備16が配置されている。
図4中の接合設備10は、主としてコイルボックス11、クロップシャ9a、接合装置(誘導加熱やレーザなどによる接合方式)12の一群の装置から構成されるが、さらに点線で示すバリ取り装置13、接合部冷却装置14、シートバー加熱装置15などがこれに加わってもよい。また、第2の冷却設備7は配置するのが望ましい。
【0027】
第3の実施の形態に係る熱間圧延ラインでは、接合設備10により先行金属片の尾端と後行金属片の先端とを接合した後、接合部でつながった金属片を仕上圧延して金属ストリップとし、仕上圧延後の金属ストリップにレベラにより繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却する。その際、レベラ内でのスリップ事故や図2(b)に示すレベラ6内での通板トラブルを防止しつつ、レベラにより繰り返し曲げ加工を施すことができる。
【0028】
このため、第3の実施の形態に係る熱間圧延ラインは、高強度金属ストリップの歩留まりが大幅に向上でき、1本ずつ金属片Sを圧延するように構成された第1、第2の実施の形態に係る熱間圧延ラインより好ましい。
【0029】
【実施例】
(実施例1) ワークロールのロール軸が交差している状態で圧延を可能とするロールクロス機構が7つの圧延スタンドに備えてある仕上圧延機と、仕上圧延機の下流にレベラと、第1の冷却設備とが上流から下流に向かってこの順に配列してある図1(a)に示す熱間圧延ラインにおいて、熱間で鋼片に圧延を施し、厚み4mmに仕上げ、得られた熱間圧延鋼ストリップ製品のフェライトの結晶粒径を調べた。結晶粒径については、鋼ストリップ製品の長手方向の中央部分から測定用サンプルを切り出し、JIS G 0552に準拠して結晶粒の平均断面積を求め、それを円形と仮定して平均粒径を算出したものとした。
【0030】
なお、鋼ストリップは、表1に示す成分のTi添加鋼とし、仕上圧延機最終圧延スタンド出側温度を 900℃、仕上圧延機最終圧延スタンド出側の鋼ストリップ速度を720m/分、レベラ入側温度をAr3点+20〜Ar3点+40℃、コイラ巻取温度を 570〜 600℃とした。
その際、発明例では、仕上圧延において、ワークロールのロール軸のなすクロス角度を所定として圧延を施し、次いで仕上圧延を施された鋼ストリップに繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却した。
【0031】
繰り返し曲げ加工は、ワークロール本数が23、ワークロール直径が 190mmであるレベラを用い、レベラ付加歪み(表面に与えられる長手方向歪)が0.25、0.4 となるように、ワークロールの中心軸間隔(上側同士、下側同士の間隔)を 200mm、ロール押し込み量を15mm、24mmの二水準に変化させて行った。繰り返し曲げ加工によるレベラ付加歪みは0.25、0.4 に相当する。図5に示すレベラ付加歪みは、2hδ/L2 に曲げ回数を乗じて求めた量である。ここでhは鋼ストリップの板厚、δはワークロール押し込み量、2Lはワークロールの中心軸間隔である。この場合、レベラは、仕上圧延機最終圧延スタンド中心から下流に 30mの位置に設置した。
【0032】
一方、従来例としては、図1(a)に示す熱間圧延ラインにおいて、レベラを設置する以前に、上記発明例と同じ成分の鋼片を用い、仕上圧延でワークロールのクロス角度を0〜1°未満として圧延を行い、その後冷却した。
なお、鋼ストリップの成分、仕上圧延機最終圧延スタンド出側温度、仕上圧延機最終圧延スタンド出側の鋼ストリップ速度およびレベラ入側温度並びにコイラ巻取温度は、上記発明例と同じとした。
【0033】
【表1】
【0034】
得られた発明例および従来例の熱間圧延鋼ストリップ製品のフェライトの平均結晶粒径を図5に示す。
図5に示す結果から、レベラ付加歪みが0である従来例においては、仕上圧延でワークロールのクロス角度を1°未満に交差させて圧延を行っても鋼ストリップ製品の結晶粒は、クロス角度を0°とした場合に比べてあまり微細化されていないことがわかる。
【0035】
一方、発明例においては、レベラ付加歪みが0である従来例よりも結晶粒が一段と微細化されていると共に、仕上圧延でのせん断歪とレベラでのレベラ付加歪みとの複合効果により、クロス角度を1°未満の範囲内で大きくする程鋼ストリップ製品の結晶粒が微細化されていることがわかる。発明例では、γ粒が微細化し、導入された転移がα粒の核生成サイトになり、鋼ストリップ製品のα粒が微細化したためと推定される。
(実施例2) ワークロールのロール軸が交差している状態で圧延を可能とするロールクロス機構が7つの圧延スタンドに備えてある仕上圧延機と、さらに、仕上圧延機の下流にレベラと、第1の冷却設備とが上流から下流に向かってこの順に配列してある熱間圧延ラインにおいて、熱間で鋼片に圧延を施し、厚み 4mmに仕上げ、得られた熱間圧延鋼板製品のフェライト粒径を実施例1と同様な方法で調べた。また、得られた熱間圧延鋼ストリップ製品の引張強度は、鋼ストリップ製品の長手方向の中央部分から測定用サンプルを切り出し、JIS Z 2201に準拠して5号試験片を作製し、引張試験を行って調べた。
【0036】
なお、鋼ストリップは、表1に示す成分のTi添加鋼とし、仕上圧延機最終圧延スタンド出側温度を 900℃、仕上圧延機最終圧延スタンド出側の鋼ストリップ速度を720m/分、コイラ巻取温度を 600℃とした。
その際、発明例1では、仕上圧延において、表2に示すように、ワークロールのロール軸のなすクロス角度を所定として仕上圧延を施し、次いで仕上圧延を施された鋼ストリップに繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却した。
【0037】
繰り返し曲げ加工は、ワークロール段数が23、ワークロール直径が 190mmであるレベラを用い、ワークロール中心軸間隔(上側同士、下側同士の間隔)を20mm、ロール押し込み量を24mmとして行った。この場合、レベラは、仕上圧延機最終圧延スタンド中心から下流に240mの位置にレベラ最上流ロール中心が一致するように設置した。繰り返し曲げ加工によるレベラ付加歪みは 0.4に相当する。
【0038】
発明例2では、発明例1の第1の冷却設備に加えて、仕上圧延機最終圧延スタンドとレベラ間に第2の冷却設備を配置し、第2の冷却設備で冷却を行って、レベラ入側での鋼ストリップ温度がAr3 点+20〜Ar3 点+30℃となるようにし、その他の条件は上記発明例1と同じとした。
ここで、第2の冷却設備は、仕上圧延機最終スタンドとレベラの間、30m の範囲内に複数バンク設置し、その冷却水流量は鋼ストリップ単位表面積あたり最大で上下(表裏相当)毎分3200l/m2 と設計しておいて、仕上圧延後の鋼ストリップに対し、冷却水を噴射するバンク数を上下両面とも、鋼ストリップの走行に追随して局部的な長手方向の温度ムラを解消していくようにした。
【0039】
比較例1では、仕上圧延機の全ての圧延スタンドにおいて、クロス角度を0°とし、その他の条件は発明例1と同じとした。
比較例2では、仕上圧延機の全ての圧延スタンドにおいて、クロス角度を0°とし、その他の条件は発明例2と同じとした。
従来例1、2は、仕上圧延機の下流にはレベラが設置されていない場合であり、仕上圧延機の圧延スタンドにおいて、ワークロールのロール軸のなすクロス角度を従来例1では表4に示すようにし、とくにクロス圧延機中最終スタンドである第7スタンドのクロス角度を 1.1°とした。従来例2では、仕上圧延機の全ての圧延スタンドにおいて、クロス角度を0°として仕上圧延を施し、その後第1の冷却設備により冷却してコイラ巻取温度を 600℃とした。その他の条件は発明例1と同じとした。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
その結果、発明例1、2共に従来例2より鋼ストリップの結晶粒をより微細とすることができ、さらに、発明例1では比較例1と比べて、発明例2では比較例2と比べて、クロス角度を1°未満として仕上圧延を行うことにより、鋼ストリップの結晶粒をより微細とすることができている。
また、鋼ストリップ製品の引張強度は、結晶粒に対応して、微細なものほど高強度となっている。
【0044】
なお、従来例1では、仕上圧延時に、平均クロス角度を1°以上としたので、鋼ストリップの腹伸びが大となって絞りが発生し、圧延を中止せざるを得なかったため、鋼ストリップ製品の結晶粒及び機械的性質は調査していない。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、実際的なレベラ条件の範囲内で、結晶粒をより微細化することができ、一段と高強度な製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る一例の熱間圧延ラインの配置図であり、(b)は好適な熱間圧延ラインの配置図である。
【図2】本発明に用いるレベラの作用を説明する説明図である。
【図3】(a)は本発明に用いる仕上圧延機のワークロールの交差状態を示す平面図であり、(b)は金属ストリップのせん断変形量を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明に係る他の好適な熱間圧延ラインの配置図である。
【図5】本発明における仕上圧延でのクロス圧延機中最終スタンドのクロス角度とレベラ付加歪みとの複合効果を示す一例のグラフである。
【図6】従来の鋼ストリップを製造する熱間圧延ラインの配置図である。
【符号の説明】
1 金属ストリップ(鋼ストリップ)
S 金属片(スラブまたはシートバー)
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
3a ワークロール
3b バックアップロール
30、31、32 ロール軸
θ1 、θ2 クロス角度
P 回転中心
E せん断変形量
4、7 冷却装置(冷却設備)
5a、5b コイラ
5c、5d マンドレル
6 レベラ
6a レベラのワークロール
9a、9b クロップシャ
10 接合設備
11 コイルボックス
12 接合装置
13 バリ取り装置
14 接合部冷却装置
15 シートバー加熱装置
16 切断設備
Claims (2)
- 金属片に熱間で仕上圧延を含む圧延を施す熱間圧延方法において、
前記仕上圧延では、クロス圧延機中最終スタンドの上下ワークロールがクロス角度0.5 °以上1°未満で交差している状態で前記金属片に圧延を施して金属ストリップとし、さらに該仕上圧延後の金属ストリップに繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却することを特徴とする熱間圧延方法。 - 請求項1記載の熱間圧延方法において、前記仕上圧延後の金属ストリップに繰り返し曲げ加工を施す前に前記仕上圧延後の金属ストリップを冷却することを特徴とする熱間圧延方法。
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