JP2004099984A - 熱延鋼帯の製造方法及び製造設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仕上圧延直後の鋼帯温度が該鋼帯の全長に亘りAr3変態点以上で略一定となるように仕上圧延を行い、その後直ちに前記鋼帯をAr1変態点以下の温度に冷却し、引き続きAc3変態点以上の温度に加熱してオーステナイトへの逆変態を誘起させ、直ちにAr1変態点以下の温度に冷却する。仕上圧延直後及び前記加熱の直後に行う鋼帯の冷却を、50℃/秒以上の冷却速度で行うことが好ましく、また、仕上圧延前の粗バー温度を全長に亘り略一定とし、且つ仕上圧延速度を全長に亘り略一定とすることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超微細フェライト組織を有する熱延鋼帯の製造方法及び製造設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の軽量化、建築物の高層化等のニーズに対応し鋼材の高強度化が求められている。一般的に鋼材の強度を上げると靭性が低下するが、結晶粒微細化による強化の場合、靭性を低下させずに強度を向上させることが可能であり、種々の結晶粒微細化技術が提案されている。
【0003】
従来の熱延ままで粒径3〜4μmの微細粒のフェライト結晶組織を有する延性に優れた細粒組織鋼材を製造する方法としては、Ac3変態点以上の温度域から冷却する過程において熱間加工を加え、その終段において(Ar1+50℃)〜(Ar3+100℃)の温度域で実質的に1秒以内の間に1回または2回以上の合計減面率が50%以上95%以下となる熱間加工を加え、該熱間加工終了後20℃/秒以上2000℃/秒以下の冷却速度で600℃以下の温度域まで冷却する方法がある(例えば、特許文献1または特許文献2参照。)。
【0004】
また、熱間仕上圧延を、被圧延材の温度が仕上圧延機列のいずれかの圧延スタンド通過の際、圧延加工に伴う発熱により逆変態させ、仕上圧延温度がAr3−50℃以上となるように終了し、550〜750℃の温度で巻き取っているものもある(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特公昭62−7247号公報(第2頁)
【0006】
【特許文献2】
特公昭62−39228号公報(第2頁)
【0007】
【特許文献3】
特開平10−8142号公報(第3頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1および特許文献2の方法は、仕上圧延機内のいずれかのスタンドにおいて、1パス大圧下を行うものである。しかし、熱延鋼帯の最終板厚は数mm程度であることから、仕上圧延機内のいずれかの圧延スタンドにて1パス大圧下を加えた場合、大圧延荷重により圧延ロールに大きな曲げたわみが発生する。その結果、圧延材の板厚プロフィルが板幅方向の中心部で厚く板幅端に向けて板厚が減少する凸型の断面形状、いわゆる板クラウンが非常に大きくなるとともに、耳波あるいは中伸びなどの板形状不良が発生しやすくなる。また、このような大圧下圧延を行うためには、駆動系を含め、大圧延荷重、大トルクに耐える強力な圧延機が必要であり、さらには、仕上温度の確保や生産性の維持のためには大容量モータによる高速圧延が必要となって、一般的な仕様の圧延設備での実現は非常に困難である。
【0009】
また、上記特許文献3の方法では、仕上圧延機内にて加工発熱を利用した逆変態を生じさせるためには、当該圧延機スタンドでの大加工仕事、すなわち大圧下且つ大加工速度の条件が必須であり、特許文献1および特許文献2の方法の場合と同様に、圧延機の能力とともに板厚プロフィル、板形状の悪化が大きな問題となる。
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、板厚プロフィルと板形状を悪化させることなく、コイルの全長に亘り超微細フェライト組織を有する熱延鋼帯を安定して製造することができる熱延鋼帯の製造方法および熱延鋼帯の製造設備を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、一般的な仕様の圧延設備にて板厚プロフィルと板形状を悪化させることなく、超微細フェライト組織を有する熱延鋼帯を安定して製造することができる熱延鋼帯の製造方法について検討を行った。
【0012】
一般に、鋼は加熱、冷却を施されることにより、オーステナイトからフェライト、あるいはフェライトからオーステナイトといった相変態を生じる。そして、加熱と冷却条件を適切に選択することにより、この相変態の際に結晶粒を細粒化できることが知られている。本発明者らは、超微細粒組織を有する高強度、高靭性熱延鋼帯の製造方法にこの特性を活用することを着想した。
【0013】
熱間加工終了直後の鋼板に急速冷却を施すと、急速冷却によりフェライトへの変態核生成速度が早くなること、粒成長速度を遅くする作用などにより、微細な組織が得られる。本発明者らは、冷却速度の影響を鋭意検討した結果、まず、仕上圧延の最終圧延パス終了後に50℃/秒以上の冷却速度でAr1変態点以下に冷却することにより、平均粒径が8μm以下の微細フェライト組織となることを見出した。また、この微細フェライト組織を有する熱延鋼帯に対し、引き続き100℃/秒以上の加熱速度でAc3変態点以上に急速加熱することにより、フェライトからオーステナイトへの逆変態を誘起させ、微細なオーステナイトを生成させることができる。そして、この微細なオーステナイト組織を有する熱延鋼帯に対し、前記急速加熱の直後に50℃/秒以上の冷却速度でAr1変態点以下に冷却して巻き取ることにより、熱延ままで平均粒径が3μm以下の超微細フェライト組織を有する熱延鋼を製造できることを見出した。
【0014】
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下の通りである。
【0015】
(1)熱延鋼帯の製造方法において、仕上圧延直後の鋼帯温度が該鋼帯の全長に亘りAr3変態点以上で略一定となるように仕上圧延を行い、その後直ちに前記鋼帯をAr1変態点以下の温度に冷却し、引き続きAc3変態点以上の温度に加熱してオーステナイトへの逆変態を誘起させ、直ちにAr1変態点以下の温度に冷却することを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
【0016】
(2)仕上圧延直後及びAc3変態点以上の温度に加熱した直後に行う鋼帯の冷却を、50℃/秒以上の冷却速度で行うことを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼帯の製造方法。
【0017】
(3)仕上圧延前の粗バー温度を全長に亘り略一定とし、且つ仕上圧延速度を全長に亘り略一定とすることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の熱延鋼帯の製造方法。
【0018】
(4)熱延鋼帯の製造設備であって、仕上圧延機とコイラーとの間の搬送テーブルに、仕上圧延後の鋼帯を冷却する第1の急速冷却装置と、急速冷却された鋼帯を加熱する急速加熱装置と、急速加熱された鋼帯を再び冷却する第2の急速冷却装置とを備えたことを特徴とする熱延鋼帯の製造設備。
【0019】
(5)急速加熱装置の加熱方式が誘導加熱式であることを特徴とする上記(4)に記載の熱延鋼帯の製造設備。
【0020】
(6)仕上圧延機の入側に、粗バー温度を全長に亘り略一定とする加熱装置及び/又は保温装置を備えたことを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の熱延鋼帯の製造設備。
【0021】
また、本願には、次の発明も含まれる。
【0022】
(7)Ar1変態点以下の温度からAc3変態点以上の温度への鋼帯の加熱を、100℃/秒以上の加熱速度で行うことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の熱延鋼帯の製造方法。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る熱延鋼帯の製造設備の一例を示す構成図である。
【0025】
図2に示す熱延鋼帯の製造設備は、加熱炉1にて再加熱されたスラブ2を所定の厚さの粗バーに減厚するための粗圧延機3と、粗バーを所定の厚さの熱延鋼帯に減厚する仕上圧延機5とを備えている。さらにその下流側の搬送テーブルには、仕上圧延機5の出側直近に位置し、熱延鋼帯を急速冷却するための第1の急速冷却装置6と、鋼帯表面の冷却水を除去するための冷却水除去装置7と、急速冷却後の熱延鋼帯を急速加熱するための急速加熱装置8と、急速加熱された熱延鋼帯を急速冷却するための第2の急速冷却装置9とを備え、さらにこの熱延鋼帯を巻取るための巻取り機10を備えている。
【0026】
前記第1の急速冷却装置6は、熱間加工終了直後の鋼帯に急速冷却を施すことにより、粒成長速度を遅くするとともにフェライトへの変態核生成速度を速め、より微細な組織を得るための冷却装置である。したがって、仕上圧延直後での急速冷却を可能とするため、第1の急速冷却装置6は極力仕上圧延機5の出側直近に配置することが望ましく、また、仕上圧延後の鋼帯をAr1変態点以下の温度まで50℃/秒以上の冷却速度で冷却する能力を備えることが好ましい。
【0027】
前記冷却水除去装置7は、第1の急速冷却装置6を通過した鋼帯表面に残存する冷却水を除去するためのものであり、後続する急速加熱装置8の装置保全のため、急速加熱装置8の入側に設けることが好ましい。特に、急速加熱装置8が誘導加熱装置の場合には、鋼帯上に乗っている冷却水が誘導加熱装置内に飛散して漏電を起こし易いため、このような装置が必要となる。なお、本実施形態では、エアーパージ装置を鋼帯の上下両面に対向して設けているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば水切りロールのようなものであってもよい。
【0028】
前記急速加熱装置8は、急速冷却されたAr1変態点以下の温度の鋼帯を、Ac3変態点以上の温度へ急速加熱して逆変態を誘起させ、微細なオーステナイト組織を得るための装置である。その際の加熱速度が遅いと、必要な昇熱量を与えるための加熱装置長さが長大化してしまい、また加熱中に粒成長が生じるために微細な組織が得られにくいため、急速加熱装置8としては、加熱効率が高く温度制御性のよい誘導加熱装置を用いるのが好ましい。誘導加熱装置であれば、100℃/秒以上の加熱速度で鋼帯を急速加熱することができるので、急速加熱装置8をコンパクトにでき、また粒成長を伴わずに鋼帯を加熱することができ、望ましい。
【0029】
前記第2の急速冷却装置9は、オーステナイトへの逆変態を生じた直後の鋼帯に急速冷却を施すことにより、粒成長速度を遅くするとともにフェライトへの変態核生成速度を速め、超微細な組織を得るための冷却装置である。したがって、逆変態が生じた直後での急速冷却を可能とするため、第2の急速冷却装置9は極力急速加熱装置8の出側直近に配置することが望ましく、また、逆変態を生じたAc3変態点以上の温度の鋼帯をAr1変態点以下の温度まで50℃/秒以上の冷却速度で冷却する能力を備えることが好ましい。
【0030】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る熱延鋼帯の製造設備による熱延鋼帯の製造方法について、図1の圧延材温度推移を示す説明図とともに説明する。
【0031】
スラブ2は、通常、約200〜300mmの板厚であり、図2に示す本実施形態では、連続鋳造装置から直送された又は加熱炉1にて再加熱された、Ac3変態点以上の温度(通常は1100〜1250℃)のスラブを用いる。そして、スラブ2は、Ar3変態点以上の温度において、粗圧延機3により所定の厚さ(通常は30〜50mm程度)に減厚されて粗バーへ加工される。なお、粗圧延におけるパス数や粗圧延機3の設置台数は、所定の粗バー厚が得られるように、適宜決定される。
【0032】
前記粗バーは、引き続き仕上圧延機5により、Ar3変態点以上の温度において所定の熱延鋼帯板厚まで減厚される。ここで、本実施形態では、粗バー先端部が仕上圧延機5に通板されてから尾端部が通板されるまでの間の温度低下分を補償し、熱延鋼帯の全長に亘り仕上圧延直後の温度を略一定とするため、加速圧延を行う。すなわち、あらかじめ鋼帯全長に亘り仕上圧延直後の温度が略一定となるよう、圧延材の温度計算を含めた設定計算を行い、粗バー先端部のスレッディング速度、加速率等の圧延条件を決定して、仕上圧延を行う。なお、仕上圧延直後の温度が「略一定」とは、目標仕上温度に対して±10℃程度の範囲を意味しているが、板幅端部付近は板幅中心付近にくらべて温度低下が大きいため、仕上圧延機5の上流側にエッジヒ−ター(図示せず)を備え、板幅端部付近の温度補償をすることが好ましい。
【0033】
仕上圧延された熱延鋼帯は、その後、第1の急速冷却装置6により、仕上圧延の最終圧延パス終了直後に50℃/秒以上の冷却速度でAr3変態点以上の温度からAr1変態点以下の温度に急速冷却される。そして、冷却水除去装置7により第1の急速冷却装置6にて噴射された鋼帯表面の残存冷却水が除去され、急速加熱装置8により100℃/秒以上の加熱速度でAc3変態点以上の温度まで急速加熱された後、直ちに第2の急速冷却装置9により50℃/秒以上の冷却速度でAr1変態点以下の温度に急速冷却されて、巻取り機10に巻き取られる。
【0034】
また、材質調整の観点からは、巻取り機10に巻取られる際の温度も重要であり、本実施形態では巻取り温度を600℃程度としている。
【0035】
なお、本実施形態では、コイル先端部から後端部にかけてランナウト上での熱延鋼帯の通板速度が変化する。したがって、第1の急速冷却装置6、急速加熱装置8、第2の急速冷却装置9の各々の入側や出側に複数の温度計を設置し、これらの温度測定結果や最終仕上圧延機での圧延速度の情報により、冷却水量、加熱出力等を制御して、熱延鋼帯の全長に亘り図1に示した温度パターンを実現している。
【0036】
このように、本実施形態によれば、仕上圧延直後の熱延鋼帯をAr1変態点以下に急速冷却して微細フェライト組織とし、さらにAc3変態点以上に加熱して逆変態を誘起させた後、再びAr1変態点以下に急速冷却することにより、超微細フェライト組織を有する熱延鋼帯を得ることができる。さらに、仕上圧延において加速圧延を実施することにより、仕上圧延直後の温度を鋼帯の全長に亘り略一定とするので、全長にほぼ均一な超微細フェライト組織を得ることができる。
【0037】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る熱延鋼帯の製造設備の一例を示す構成図である。図2と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
図3に示す熱延鋼帯の製造設備は、粗バーを巻き取って保温するためのコイルボックス4を備える他は、第1の実施形態と同様に構成されている。
【0039】
前記コイルボックス4は、粗バーを巻取って保温することにより、仕上圧延機5の入側における粗バーの温度を全長に亘り略一定にするために設けられる。
【0040】
第1の実施形態で説明した加速圧延では、仕上圧延直後の鋼帯温度を全長に亘り略一定とすることはできるが、時間の要素まで含めた熱履歴は異なってしまうことが不可避である。しかし、材質の均一性のためには、この熱履歴までも鋼帯全長に亘って一定とすることが望ましい。
【0041】
そこで本実施形態では、材質の均一化、ランナウト上での急速冷却及び急速加熱の制御性の観点から、粗バーの尾端部の温度降下を補償し、仕上圧延機6入側における粗バー温度を全長に亘り略一定とするためにコイルボックス4を設ける。そして、仕上圧延を一定速度で行うことで、仕上圧延機6出側における熱延鋼帯温度を全長に亘り略一定とする。なお、この温度降下を補償する手段は、コイルボックス4に限定されるものではなく、粗バー温度を全長に亘り略一定とする加熱装置や保熱装置であればよい。例えば、トンネル炉、誘導加熱装置などを配置しても良い。
【0042】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る熱延鋼帯の製造設備による熱延鋼帯の製造方法について、図1の圧延材温度推移を示す説明図とともに説明する。なお、第1の実施形態と同一部分については、その詳細説明を省略する。
【0043】
第1の実施形態と同様、スラブ2は、Ar3変態点以上の温度において、粗圧延機3により所定の厚さに減厚されて粗バーへ加工される。次に、粗バーはコイルボックス4で一旦巻き取られ、全長に亘り略一定温度に保温される。
【0044】
コイルボックス4に巻き取られた粗バーは、その後コイルボックス4から払い出され、引き続き仕上圧延機5により、Ar3変態点以上の温度において所定の熱延鋼帯板厚まで減厚される。ここで、本実施形態では、仕上圧延を一定圧延速度にて行う。すなわち、コイルボックス4で保温されることにより全長に亘り略一定温度の粗バーに対し、一定圧延速度で仕上圧延を行うことにより、仕上圧延直後の熱延鋼帯温度を全長に亘り略一定とすることができる。なお、粗バー温度が全長に亘り「略一定」とは、目標粗バー温度±10℃程度の範囲を意味しているが、コイルボックスに巻き取られた粗バーの最内周と最外周の部分は、コイル状に巻き取られても大気に暴露されていることより、多少の温度低下が不可避である。また、第1の実施形態と同様に、板幅端部付近においても多少の温度低下が不可避である。したがって、コイルボックス4と仕上圧延機5の間に、粗バー加熱装置及びエッジヒーター(ともに図示せず)を設置し、これら非定常部の温度補償をすることが好ましい。
【0045】
仕上圧延された熱延鋼帯は、第1の実施形態と同様に、その後、第1の急速冷却装置6により、仕上圧延の最終圧延パス終了直後に50℃/秒以上の冷却速度でAr3変態点以上の温度からAr1変態点以下の温度に急速冷却される。そして、冷却水除去装置7により第1の急速冷却装置6にて噴射された鋼帯表面の残存冷却水が除去され、急速加熱装置8により100℃/秒以上の加熱速度でAc3変態点以上の温度まで急速加熱された後、直ちに第2の急速冷却装置9により50℃/秒以上の冷却速度でAr1変態点以下の温度に急速冷却されて、巻取り機10に巻き取られる。
【0046】
また、別の実施形態として、コイルボックス4と仕上圧延機6の間にて、先行する粗バーの尾端部と、後行の粗バーの先端部とを溶接あるいは圧接して行う連続熱間圧延の形態においても本発明は適用可能である。特に、例えば2.0mm以下の仕上板厚が薄い場合において、連続熱間圧延による高速一定速度圧延が効果的となる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、仕上圧延直後の熱延鋼帯をAr1変態点以下に急速冷却して微細フェライト組織とし、さらにAc3変態点以上に加熱して逆変態を誘起させた後、再びAr1変態点以下に急速冷却することにより、超微細フェライト組織を有する熱延鋼帯を得ることができる。さらに、仕上圧延において仕上圧延機入側温度を略一定とし、さらに一定速度圧延を実施するので、仕上圧延時の熱履歴が鋼帯の全長に亘り略一定となり、材質の均一性に優れる熱延鋼帯を得ることができる。
【0048】
なお、以上説明した2つの実施形態では、粗圧延工程を一般的な方法により行う例について説明した。しかし、超微細フェライト組織を有する熱延鋼帯を得るためには、仕上圧延入側での初期オーステナイト粒径が小さいほどよく、本発明を実施する効果は大きくなる。したがって、本発明を実施するに際しては、仕上圧延入側でのオーステナイト粒径を極力小さくしておくことが望ましい。
【0049】
【実施例】
図3に示す熱延鋼帯の製造設備列を用いて、上記で説明した本発明の第2の実施形態により熱延鋼帯を製造した。使用した鋼のAr3、Ac3、Ar1の各変態点温度は、それぞれ850℃、860℃、720℃であった。
【0050】
初期板厚が250mmの低炭素鋼スラブを加熱炉1にて約1200℃に加熱後、このスラブを粗圧延機3での7パス圧延にて30mmまで減厚し粗バーとした。この粗バーをコイルボックス4に巻取り、略一定温度に保温した後、順次巻きほぐしながら先端から尾端にかけて一定圧延速度にて仕上圧延機5により7パスの仕上圧延を行った。なお、仕上板厚は2mm、仕上圧延速度は700mpm、目標仕上温度は850℃である。引き続き、最終仕上圧延機出側直近の位置に設置された第1の急速冷却装置6によって200℃/秒の冷却速度にて鋼帯を720℃程度まで冷却し、エアーパージ装置7により鋼帯上に残存している冷却水を除去した後、誘導加熱式の急速加熱装置8を用いて150℃/秒の昇温速度にて870℃程度の温度まで昇温した。その直後、第2の急速冷却装置9を用いて200℃/秒の冷却速度にて600℃程度まで冷却し、巻き取り機10に巻き取った。
【0051】
これに対し、従来方法による熱延鋼帯の製造方法での結晶粒径についての調査も行った。すなわち、初期板厚が250mmの低炭素鋼スラブを加熱炉にて約1200℃に加熱後、このスラブを粗圧延機での7パス圧延にて30mmまで減厚し粗バーとした。この粗バーを、先端部の圧延速度700mpm、尾端部での圧延速度が1000mpmとなる7パスの加速仕上圧延を行った。仕上板厚は2mm、目標仕上温度は850℃である。引き続き40℃/秒の冷却速度にて600℃程度まで冷却し、巻き取り機に巻き取った。
【0052】
本発明と従来方法の両者において、巻取り後、空冷にて室温まで冷却した後に熱延鋼帯の組織を調べたところ、従来方法では平均粒径が約8〜12μmと、コイル先端部から尾端部にかけてばらつきの大きなフェライト結晶組織となっていたのに対し、本発明による方法では、コイル全長に亘り平均粒径が2μm程度で均一な超微細フェライト結晶組織を有していることが判り、本発明法の確認ができた。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、粒径3μm以下の超微細なフェライト組織を有する熱延鋼帯を安定して製造することができ、高強度・高靭性を有する鋼帯の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱延鋼帯の製造方法における圧延材温度推移を示す説明図
【図2】本発明の第1の実施形態係る熱延鋼帯の製造設備の一例を示す構成図
【図3】本発明の第2の実施形態係る熱延鋼帯の製造設備の一例を示す構成図
【符号の説明】
1 加熱炉
2 スラブ
3 粗圧延機
4 コイルボックス
5 仕上圧延機
6 第1の急速冷却装置
7 水分除去装置(エアーパージ装置)
8 急速加熱装置
9 第2の急速冷却装置
10 巻取り機
Claims (6)
- 熱延鋼帯の製造方法において、仕上圧延直後の鋼帯温度が該鋼帯の全長に亘りAr3変態点以上で略一定となるように仕上圧延を行い、その後直ちに前記鋼帯をAr1変態点以下の温度に冷却し、引き続きAc3変態点以上の温度に加熱してオーステナイトへの逆変態を誘起させ、直ちにAr1変態点以下の温度に冷却することを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
- 仕上圧延直後及びAc3変態点以上の温度に加熱した直後に行う鋼帯の冷却を、50℃/秒以上の冷却速度で行うことを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の製造方法。
- 仕上圧延前の粗バー温度を全長に亘り略一定とし、且つ仕上圧延速度を全長に亘り略一定とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱延鋼帯の製造方法。
- 熱延鋼帯の製造設備であって、仕上圧延機とコイラーとの間の搬送テーブルに、仕上圧延後の鋼帯を冷却する第1の急速冷却装置と、急速冷却された鋼帯を加熱する急速加熱装置と、急速加熱された鋼帯を再び冷却する第2の急速冷却装置とを備えたことを特徴とする熱延鋼帯の製造設備。
- 急速加熱装置の加熱方式が誘導加熱式であることを特徴とする請求項4に記載の熱延鋼帯の製造設備。
- 仕上圧延機の入側に、粗バー温度を全長に亘り略一定とする加熱装置及び/又は保温装置を備えたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の熱延鋼帯の製造設備。
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