JP4677146B2 - 被覆型徐放性粒剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品・医薬品・農薬などの分野において、水溶解度の大きく異なる生理活性物質を2種類あるいはそれ以上含有してなる徐放性粒剤に関するものであり、さらにそれぞれの生理活性物質の溶出速度を別々に制御可能な徐放性粒剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、食品・医薬品・農薬などの薬物徐放化に関する検討が数多く行われている。特に、農業分野においては、施薬回数を減らすことによる省力化、必要以上の農薬活性成分流失を防止する目的で、徐放性製剤の役割は重要であり、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、肥料などさまざまな薬剤で徐放性製剤が開発されている。また、近年、省力化の目的で、複数の薬剤を同時に施薬できる徐放性混合製剤の開発が盛んである。水稲においては田植えの際、あるいは、畑作においては種まきの際に施薬するだけで、種々の農薬活性成分が徐放化され、あらゆる病害虫・雑草の防除でき、植物成長に必要な肥料成分を供給することができれば、非常に省力化が可能であり、そのような技術開発が進められている。複数の農薬活性成分を含有した農業用製剤の例としては、肥料成分と農薬成分を同一剤中に配合した徐放性農薬肥料、殺虫成分と殺菌成分を同時に施薬できる徐放性殺虫殺菌剤、などが挙げられる。
【0003】
このような2種以上の農薬活性成分を徐放化する例として特開2000−44404号公報には、徐放化の必要な生理活性物質を内核に含有し、その表面を樹脂で被覆した後、別の生理活性物質を被覆した混合製剤が開示されている。ここに記載されていることで重要な点は、内核および外層部に含有される農薬活性成分は比較的水溶解度差の小さいものを対照としていることである。当該公報の試験例1(溶出試験)の表4からは、被覆樹脂の有無による内核に含有されている農薬活性成分の溶出速度の差はわずかであり、該発明の被覆樹脂の内核に含有される農薬活性成分に対する溶出抑制効果は比較的小さい。よって、この方法では、水溶解度差が大きく乖離する農薬活性成分の溶出制御は困難である。
【0004】
また、特開2000−186004号公報には、過溶出性質を有する農薬活性成分(A)の溶出を抑制して、水溶解度の低い農薬活性成分(B)の溶出を促進する二重被覆型農薬粒剤が開示されている。ここに記載されている溶出制御の機構は、ポリ酢酸ビニルエマルジョンで被覆することにより第一層目の農薬活性成分(A)の過溶出を抑制し、ベントナイトの水膨潤性を利用して農薬活性成分(B)を含む層を崩壊させることにより農薬活性成分(B)の溶出を促進させるというものである。実施例の第1表の溶出試験から、ポリ酢酸ビニルエマルジョンの有無による両農薬活性成分の溶出速度差を読み取ったところ、それらの差はあまり大きくなかった。さらに、ポリ酢酸ビニルエマルジョンは、農薬活性成分(A)を被覆する際のバインダーとして使用されるため、無制限に増加させるわけにはいかず、実質的には5重量%以下で用いざる得ない。また、同様に実施例の第1表の溶出試験から、ベントナイトの有無による両農薬活性成分の溶出速度差を読み取ったところ、それらの差もあまり大きくなかった。よって、ポリ酢酸ビニルエマルジョンの農薬活性成分(A)に対する溶出抑制効果と、ベントナイトの農薬活性成分(B)に対する溶出抑制効果を組み合わせても、水溶解度差が大きくかい離する農薬活性成分の溶出制御は困難である。また、実施例に示された製剤例の有効期間は長く見積もっても1ヶ月程度で、現場で求められている2〜3ヶ月間にわたる長期持続型製剤を供することはできない。
【0005】
特開平10−1405号公報には、農薬活性成分と水膨潤性物質を含有する農薬粒剤の表面を、熱可塑性樹脂を主成分とする皮膜材料で被覆することにより、一定期間農薬活性成分の溶出を抑制する機能を有する被覆農薬粒剤であって、該粒剤が異なる溶出抑制期間を有する被覆農薬粒剤の混合物が記載されている。この方法では、水膨潤性物質の効果により粒剤が崩壊するため、水溶解度の高い農薬活性成分では崩壊直後に高濃度の農薬活性成分が溶出し薬害を起こす恐れがあり、また持続性も期待できない。
【0006】
特開平9−236475号公報には、粒状肥料表面を、農薬を含有した熱可塑性樹脂により被覆した、肥料成分と農薬成分の溶出挙動を制御した農薬含有の緩効性被覆肥料が記載されている。この方法において、熱可塑性樹脂皮膜層の役割は、皮膜内部の肥料成分に対する溶出制御と、皮膜に含有される農薬成分に対する溶出制御の2つの役割を兼ねている。このため、肥料成分と農薬成分の溶出制御を別々に行うことはできず、適用できる農薬の水溶解度の範囲は非常に狭い。つまり、低い水溶解度の農薬成分を用いる場合は、農薬成分の溶出を促進する目的で疎な皮膜を配するため、肥料成分の溶出は極端に速くなり肥料の緩効性が乏しくなり、また、高い水溶解度の農薬成分を用いる場合は、農薬成分の溶出を抑制する目的密な皮膜を配するため、肥料成分の溶出は極端に遅くなり肥料効果が低くなるため、農薬成分と肥料成分が適度な溶出制御ができる農薬水溶解度範囲は非常に狭いと言わざる得ない。また、同じ理由で、現場から要求される農薬成分と肥料成分の木目細やかな溶出制御も困難である。
【0007】
一方、特開2000−26206号公報に示されるように、水溶解度の高い生理活性物質の徐放化にワックスを使用することは既に知られている。しかしながら、本法で2種以上の生理活性物質、特に水に対する溶解度が極端に異なるものを同時に徐放化しようとした場合、一方の生理活性物質の放出速度が極端に速くなるかまたは極端に遅くなるなどの課題を有していた。即ち、水溶解度が極端に異なる2種以上の生理活性物質を同時に徐放化した農薬製剤として好適なものは知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水溶解度の大きく異なる2種類以上の生理活性物質の溶出速度をそれぞれ制御可能な徐放性粒剤を提供することにある。
【0009】
以上に述べたように、二種以上の生理活性物質を含有し、少なくともその一方の生理活性物質に関して、徐放化された製剤は提案されているものの、水溶解度が極端に異なる生理活性物質を少なくとも二種含有する製剤において、その双方とも、それぞれ所望の溶解速度で放出されるように同時に徐放化できる製剤の提案は、これまで、見当たらない。
【0010】
本発明は、前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、一つの製剤中に、異なる二種類またそれ以上の、水溶解度が極端に異なる生理活性物質を含有し、この水溶解度が極端に異なる生理活性物質の個々について、それぞれ所望の溶出速度で放出されるように同時に徐放化がなされた新規な剤型の徐放性粒剤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく生理活性物質の粒剤中での存在箇所、粒剤の構造、粒剤構造体の崩壊性等に留意して鋭意検討した結果、本発明を完成した。つまり、少なくとも一種の水溶解度が高い生理活性物質は造粒物に含有させてこれを内核とし、その表面を粉末担体とワックスを用いて中間層を形成することで、内核に含まれる生理活性物質の溶出を抑制させ、一方、水溶解度の低い生理活性物質は、ワックスと崩壊剤と共に混合し中層部の表面に被覆して外層部とすることにより、三層構造の粒剤とすることを考えた。
本発明者らは、かかる構成を採用することにより、内核中の水溶解度の高い生理活性物質と、外層中の水溶解度の低い生理活性物質の双方ともに、徐放化されることを見出した。
【0012】
本発明者らの検討によれば、本発明の粒剤においては、以上のように調製される三層構造を採用することで、内核に含有される生理活性物質は、その水溶解度が高いにも係わらず、中層部の拡散抑制作用により十分な徐放化が達成され、一方、外層部に含有される他の難水溶性生理活性物質は、元来水への溶解速度は遅く、水媒体との接触面積を減少させるだけで、十分に徐放化させることが可能であり、本発明においては、ワックスマトリックス中に難水溶性生理活性物質を分散させることで水媒体との接触面積を減少させた上、その外層部を崩壊剤を用いて崩壊・細分化させることで、外層部の難水溶性生理活性物質の水媒体との接触面積を調整し、適当な溶出速度とし、また、外層部が崩壊するため内核に含有された生理活性物質の溶出をほとんど妨げないため、結局、一つの粒剤中で二種類あるいはそれ以上の水溶解度が異なる生理活性物質がそれぞれ適正に溶出制御され得ることが判明した。本発明者らは、これらの研究・検討により自ら取得した知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の徐放性粒剤は以下のと
おりである。
[1] 内側から内核、中層部及び外層部の順に三層構造を有する被覆型徐放性粒剤であって、
内核は20℃における水溶解度が1000ppm以上10%以下である少なくとも一種類の生理活性物質(第一の生理活性物質)と、結着剤としてのシュガーケンワックス、モンタン酸ワックス及びモンタン酸エステルワックスの少なくとも1種を含有する造粒物であり、その表面を中層部で被覆されており、
中層部は粉末担体と、パラフィンワックスを含有し、その表面を外層部で被覆されており、
外層部は、20℃における水溶解度が0.1ppm〜500ppmである少なくとも一種類の生理活性物質(第二の生理活性物質)と、崩壊剤と、パラフィンワックスを含有する
ことを特徴とする徐放性粒剤。
[2] 外層部に含有される崩壊剤が、水膨潤性物質であることを特徴とする[1]記載の徐放性粒剤。
[3] 水膨潤性物質が、水溶性天然高分子、水溶性半合成高分子または水溶性合成高分子であることを特徴とする[2]記載の徐放性粒剤。
[4] 内核に含まれる第一の生理活性物質、および、外層部に含まれる第二の生理活性物質のうち、少なくともいずれか一方が農薬活性成分であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の徐放性粒剤。
[5] 内核に含まれる農薬活性成分が(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジンであることを特徴とする[4]に記載の徐放性粒剤。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の徐放性粒剤についてより詳しく説明する。
本発明の農薬粒剤はより具体的に以下のようにして作成される。
【0015】
まず、少なくとも一種以上の水溶解度の高い生理活性物質を、含有させた造粒物を調製する。次いで、粉末担体と、水に難溶である熱可塑性材料とを、混合して得られる各成分が均一に分散した混合物を、前記内核となる造粒物の表面に被覆して中層部とする。最後に、少なくとも一種以上の水溶解度の低い生理活性物質、崩壊剤及び水に難溶である熱可塑性材料を、混合して得られる各成分が均一に分散した混合物を、前記造粒物の中層部表面に被覆後冷却して、本発明の三層構造の粒剤を作成する。
【0016】
本発明の徐放性粒剤は、少なくとも二種の作用を有する生理活性物質を一つの粒剤中に含有する混合製剤とする際に、好適に利用できる剤型である。すなわち、施薬した後、お互いに異なった期間を徐々に溶出させ、所望の濃度を維持することを必要とする二種以上の、その作用が異なる生理活性物質の供給を行う際、三層構造を有する本発明の徐放性粒剤を利用することで、外層部からは一定期間一方の生理活性物質の放出を持続させ、内核からは他の生理活性物質を長期にわたり放出を持続させることが可能となる。従って、本発明の徐放性粒剤で達成される溶出制御とは、それぞれ外層部および内核に含有される異なる種類の生理活性物質が、同時に且つ徐々に溶出することを示すものである。
【0017】
本発明の徐放性粒剤においては、内核と中層部と外層部とで構成される三層構造をとり、そこに、二種類またはそれ以上の、水溶解度が極端に異なる生理活性物質を含有させるが、内核には、水溶解度の高い生理活性物質を、外層部には、水溶解度の低い生理活性物質を含有させ、生理活性物質の水溶解度の高低に従って、全体の粒剤中での存在個所を区別している。具体的には、第一及び第二の生理活性物質の水溶解度が顕著に異なる組み合わせとしている。
【0018】
その際、内核に含有される、格段に水溶解度の高い生理活性物質(第一の整理活性物質)について、その溶解放出速度を制御し、十分な徐放性を付与するために、内核の表面に、粉末担体と水に難溶性である熱可塑性材料からなる中層部を形成することにより、溶出抑制層として機能する結果、内核に含有される生理活性物質を徐放させることができる。また、中層部の粉末担体と熱可塑性材料の配合組成を変えることで、内核の生理活性物質の中層部での拡散速度を制御することが可能である。一方、外層部に含有される、水溶解度の低い生理活性物質については、その溶解放出速度を制御するためには、ワックスマトリックス中に分散した形態とし、その外層部ワックスマトリックスの崩壊度合いを制御するが、そのマトリックス用ワックス成分として、水に難溶性である熱可塑性材料を、崩壊度合いの制御に、崩壊剤を利用する。水溶解度の低い成分は、元来溶解速度が遅く、水媒体との接触面積変えることで、容易に溶出を制御することができる。よって、外層部に含有される水溶解度の低い生理活性物質は、外層部の崩壊度合いの違いで溶出制御可能である。つまり、崩壊度合いを高くし、外層部をより細分化させるに従い、外層部の表面積が増大し、外層部に含有される生理活性物質の溶出速度を大きくすることができる。外層部は崩壊するため、外層部による内核に含有する生理活性物質の溶出を抑制する効果は、比較的小さい。また、外層部による、内核からの生理活性物質の溶出抑制効果を考慮して、内核および中層部の組成を設計することで、内核含有の生理活性物質の溶出を所望の速度に制御することが可能である。
【0019】
このように、本発明の徐放性粒剤においては、含有する2種以上の生理活性物質について、その水溶解度に応じて、内核と中層部と外層部とで構成される三層構造における存在個所が選択されし、加えて、その水溶解度に合わせて、溶出を抑制する中間層を付与し、あるいは崩壊剤を添加することで崩壊度合いを制御することができ、二種類以上の生理活性物質の溶出速度をそれぞれ独立して制御可能な機構によって、それぞれ所望の溶出速度に制御することができる。
なお、本発明の徐放性粒剤における三層構造においては、内核という用語を、粒剤の内側の中心部の農薬核となる部分の意味に用い、中層部という用語を、前記内核の外周を覆う部分に用い、外層部という用語を、粒剤表面、前記中層部の外周を覆う部分の意味に用いる。
【0020】
以下に本発明の粒剤の構成を各層毎に順を追って説明する。
まず初めに、内核について説明する。
【0021】
本発明の内核に含まれる第一の生理活性物質は、殺虫活性、殺菌活性、肥効、解毒、治療などの生理活性効果を有しており、比較的水溶解度の高い物質が好ましい。具体的には、20℃における水溶解度は1000ppm以上10%以下、好ましくは5000ppm以上10%以下、より好ましくは10000ppm以上10%以下である。
これらの条件を満たす生理活性物質として具体的には次のようなものがある。例えば殺虫剤では、20℃における水溶解度がそれぞれ括弧内に示す値を有する、チオシクラム(約8%)、アセタミプリド(4200ppm)、チアメトキサム(4100ppm)、あるいは特開平7−179448号に示された化合物(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(54000ppm)を例示することができ、また、殺菌剤としては、ピロキロン(4000ppm)、ブラストサイジンS(3%)などが挙げられる。中でも(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジンを、内核に含有した本発明の被覆型徐放性粒剤は好適である。本発明の内核に適用できる第一の生理活性物質は、ここに挙げたものに限定されることはなく、性質が合致すれば使用できる。また、混合して問題なければ2種類以上の生理活性物質を同時に使用することができる。
【0022】
本発明で使用される内核は、保存中や施薬後に、膨張し中層部を破壊したりして、生理活性物質の徐放化機能を喪失してしまうものでなければ、生理活性物質を担持できいずれの粒状物であればよく、また材質も限定されない。例えば、発多孔性セルロース、多孔性スチレン樹脂、多孔性ウレタン、多孔性シリカ、多孔性活性炭、発泡ガラス等の多孔性物質に担持させてもよく、また水に難溶性の熱可塑性材料を結着剤として調整したマトリックス体の中に含有させてもよく、また水溶性高分子を結着剤として調整したマトリックス体の中に含有させてもよい。なかでも、内核に含有される生理活性物質は、比較的水溶解度の高いものであり、その溶出速度を抑制する観点から、難水溶性の熱可塑性材料を結着剤として調整したマトリックス体が好ましい。ここでいう熱可塑性樹脂とは、常温で固体状の有機物であり、融点が70℃〜110℃、好ましくは72℃〜100℃、より好ましくは74℃〜98℃の範囲のものをいう。また、内核の生理活性物質の溶出抑制効果を発揮するために、20℃における水溶解度が0.5重量%未満の、水に不溶または難溶性であるほうが好ましい。こうした特徴を有する熱可塑性樹脂の例としては、キャンデリラワックス、カルナバロウワックス、シュガーケンワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、モンタン酸ワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成炭化水素、モンタン酸ワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油誘導体の水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸、酸アミド、エステル、ケトン等が挙げられる。中でも、シュガーケンワックス(融点;75℃)やモンタン酸ワックス(BASF社製、商品名Luwax S、融点;75℃)、モンタン酸エステルワックス(BASF社製、商品名Luwax E、融点;76℃)などは徐放性を付与しながらも製剤中の生理活性物質を100%近く放出でき、好適である。尚、これらのワックスは、二種以上を使用してもよく、その使用量は、本発明の内核組成物全重量に対して通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上であるが、内核の生理活性物質の水溶解度、希釈担体の物性によって決めることができる。好ましくは、経済的な面から添加量の上限は20重量%である。
【0023】
内核に熱可塑性樹脂を結着剤とするマトリックス体を用いる場合には、生理活性物質の含有量や溶出速度の調整のため、同時に希釈担体を使用してもよく、これらは特に限定されるものではなく、例えば、クレー、珪石、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、ゼオライト、酸性白土、活性白土、アタパルガスクレー、軽石、ケイソウ土、バーミキュライト、パーライト、アタパルジャイトなどの鉱物系希釈担体や、ホワイトカーボン、二酸化チタンなどの合成鉱物系希釈担体や、木粉、トウモロコシ穂軸、クルミ殻、粉末セルロース、でんぷん、デキストリンなどが挙げられ、通常農薬粉剤や粒剤に利用される、いわゆる増量剤や担体が1種またはそれ以上を併用できる。希釈担体の組成や使用量は、希釈担体の吸油能や熱可塑性樹脂の性質、要求される内核の生理活性物質の溶出速度から決めることができる。
【0024】
次に中層部について説明する。
本発明の粒剤の中層部は、内核を被覆する層であり、粉末担体と水に難溶性である熱可塑性材料を含有する層である。中層部の存在により内核に含有される水溶解度の高い生理活性物質の溶出が制御される。そのため、中層部には保存中や施薬後に、溶解・溶融・崩壊したりして、内核の生理活性物質の溶出を、全く抑制できなくなるような材料を使用すべきではない。
【0025】
中層部に含有される粉末担体としては、内核でマトリックス体を用いる場合に例示した希釈担体とほぼ同等の材料が使用でき、二種以上を混合して使用してもよい。使用する粉末担体の量や比率は、粉末担体の吸油能や熱可塑性樹脂の性質、要求される内核の生理活性物質の溶出速度から決めることができる。
【0026】
中層部に含有される難水溶性の熱可塑性材料はその融点が内核の形状維持に関わっている構造材料の融点より低いものが好ましい。中層部に使用される難水溶性の熱可塑性材料の融点が、内核の構造材料の融点より高い場合は、内核に中層部を被覆する際、内核構造材料の軟化・溶融による内核粒同士の付着・融着、更には、混合層内壁への内核の付着・圧着したりして、被覆できなくなるからである。例えば、内核に熱可塑性樹脂を結着剤の主成分として使用する場合、中層部の難水溶性の熱可塑性材料の融点は、内核に含まれる熱可塑性材料よりも融点が低いほうが好ましい。具体的には40℃〜70℃、好ましくは50℃〜69℃、より好ましくは60℃〜68℃の範囲であり、さらに溶融粘度が低いものであれば、被覆時の粒同士の付着なども少なく好適である。
【0027】
かかる中層部に含有される難水溶性の熱可塑性材料としては具体例に、キャンデリラワックス、木ロウ等の植物系ワックス、蜜ロウ、ラウリン、鯨ロウ、牛脂等の動物系ワックス、パラフィンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成炭化水素、パラフィンワックス誘導体等の変性ワックス等が挙げられる。この中でも特にパラフィンワックス(日本精蝋(株)製、商品名パラフィンワックス140、融点;61℃や、商品名SP−0145、融点;62℃、パラフィンワックス150、融点;66℃)が好ましい。
【0028】
その使用量は、添加される生理活性物質の量、粉末担体の物性によって決まるが、本発明の組成物全重量に対して通常1重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜15重量%である。添加量は中層部の組成物の総給油能以下に設定される。また、中層部の難水溶性の熱可塑性材料は、二種以上を混合して使用してもよい。
中層部の製剤全体に占める割合は、1〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がさらに好ましい。中層部の製剤全体に占める割合が、1重量%未満では内核含有の生理活性物質の溶出抑制効果が十分でなく、51重量%以上では生理活性物質を担持できる部分の比率が低くなり生理活性物質を必要量担持させることが困難になるためである。
尚、本発明で使用される中層部は、内核からの生理活性物質の溶出抑制機能を損なわない範囲において生理活性物質を含有させてもよい。
【0029】
更に、外層部について説明する。
本発明の粒剤の外層部に含まれる第二の生理活性物質は、殺虫活性、殺菌活性、肥効、解毒、治療などの生理活性効果を有しており、水に難溶性の物質が好ましい。具体的には、20℃における水溶解度が0.01〜500ppm、好ましくは0.1〜300ppm、より好ましくは0.5〜200ppm、さらに好ましくは0.5〜100ppmである。この条件を満たす生理活性物質として具体的には次のようなものがある。例えば殺虫剤では、20℃における水溶解度とがそれぞれ括弧内に示す値を有する、NAC(水溶解度約100ppm)、ベンダイオカルブ(40ppm)、クロチアニジン(270ppm)、ピメトロジン(270ppm)、フィプロニル(1.9ppm)、ブプロフェジン(0.9ppm)、テブフェノジド(0.83ppm)、また殺菌剤としてはチウラム(30ppm)、イプロジオン(13ppm)、フルトラニル(9.6ppm)、チフルザミド(1.59ppm)、カルプロパミド(3.6ppm)、アゾキシストロビン(10ppm)、ジクロシメット(5ppm)、オキソリニック酸(3.2ppm)、テクロフタラム(14ppm)、フェリムゾン(162ppm)、ジクロメジン(0.74ppm)、キャプタン(3.3ppm)などが挙げられる。
【0030】
本発明の外層部に適用できる第二の生理活性物質は、ここに挙げたものに限定されることはなく、性質が合致すれば使用できる。また、混合して問題なければ2種類以上の生理活性物質を同時に使用することができる。
【0031】
外層部は崩壊剤を含有することが必須である。崩壊状態とは、ひび割れが生じた状態から、細分化され本体から脱落した状態をいう。外層部に含有される第二の生理活性成分は、水溶解度が低い物質であるため、本発明のようにワックスマトリックス中に分散させた状態では、ワックスの溶出抑制効果のため、溶出が遅く、また、完全に溶出されないことが多い。しかしながら、水溶解度が低い生理活性成分を、ワックスマトリックス中に分散させた状態であっても、ワックスマトリックスを崩壊させ細分化することで、水媒体との接触する面積が増大し、生理活性成分の溶出を促進させ、かつ、完全に溶出させることが可能となる。崩壊剤による崩壊機構としては、さまざまなものが考えられるがいずれの機構でも構わない。例えば、水膨潤性物質を添加し、水分を吸収させその膨潤圧力を利用して崩壊させる膨潤型崩壊機構、生分解性樹脂を構成材料に用い、微生物の分解により崩壊する生分解型崩壊機構、水溶解性物質を結着剤として用いて、水中で溶解させることにより崩壊させる溶解型崩壊機構、炭酸水素ナトリウムなどと酸性物質を添加し、水との反応で発泡することにより崩壊する発泡型崩壊機構などが挙げられる。なかでも、崩壊速度が容易に制御可能な点、崩壊速度が適当な点、製造が容易な点、保存性が良好な点などから、水膨潤性物質を添加した膨潤型崩壊機構が好ましい。
【0032】
本発明の粒剤の外層部に含有される崩壊剤としては、水膨潤物質が使用できる。水膨潤物質とは、実質的に水を吸収し膨張する物質で、その膨張により外層部を崩壊させる物質のことである。水膨潤物質としては、水溶性天然高分子、水溶性半合成高分子、水溶性合成高分子を挙げることができる。水溶性天然高分子としては、デンプン、可溶性デンプン、デキストリン、αデンプン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、ゼラチン、トラガントガム、ローカストビーンガム、カゼイン、キサンタンガム、ペクチン、プルラン、グアーガム、カラギーナン、コラーゲンなどが挙げられる。水溶性半合成高分子としては、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチル化デンプンナトリウム塩、ヒドロキシルエチル化デンプン、デンプンリン酸エステルナトリウム塩などが挙げられる。水溶性合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、部分ケン化酢酸ビニルとビニルエーテルの共重合体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びそのエステル又は塩の重合体又は共重合体などが挙げられる。
【0033】
外層部に含まれる崩壊剤は、一般にその使用比率を増加させるに従い、崩壊度合いが高まり、外層部がより細分化される。該崩壊剤の外層部分に対する使用率は、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜15%がさらに好ましい。0.1%以下では、崩壊度合いが低く溶出促進効果が発現しがたく、また、20%以上では、一般に水膨潤性物質は高価なものが多いため、経済的理由から好ましくない。また、該崩壊剤は、必要に応じて、二種以上を混合して使用してもよい。
【0034】
外層部には結着剤を含有してもよく、そのようなものとしては、水に難溶性の熱可塑性材料が使用でき、中層部で例示したものと同じ種類の熱可塑性樹脂を使用することができる。
【0035】
外層部の材料を被覆する際の加熱・被覆工程中、中層部の熱可塑性材料の軟化・溶融による粒剤同士の付着・融着、更には、混合層内壁への内核の付着・圧着を回避するため、外層部で使用する熱可塑性材料の融点は、中層部の熱可塑性樹脂の融点と同じかそれ以下の融点を有する熱可塑性樹脂が好ましい。外層部に使用できる熱可塑性樹脂としては、本発明で使用される外層部の製剤全体に占める割合は、5〜80重量%が好ましく、20〜50重量%がさらに好ましい。中間層の製剤全体に占める割合が、5重量%以下では外層部に担持できる生理活性物質の量が十分でなく、80重量%以上では内核に担持できる生理活性物質の量が十分でなくなるためである。
また本発明の被覆型徐放性粒剤の中層部および外層部被覆の際、熱可塑性材料を溶融・冷却することで結着させるので、特開2000−44404号公報記載の方法では必要である乾燥工程を省くことが出来るため、製造コストを低く抑えることができるメリットもある。
また、本発明に使用される外層部には、本発明の目的と効果を損なわない範囲で、界面活性剤及び補助剤を含有させることもできる。
【0036】
本発明に使用される外層部の界面活性剤としては、農薬製剤に通常使用される非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。例えば、アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポチオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等の非イオン性界面活性剤、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート等の陰イオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩アルキルベタイン、アミンオキサイド等の陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種でもよいが、同種のものあるいは異種のものを併用してもよい。
【0037】
界面活性剤以外の補助剤としては、芳香族カルボン酸、多価カルボン酸、糖誘導型カルボン酸等の固体状の有機酸や水溶性高分子などが挙げられる。具体的に有機酸としては蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸等の二塩基酸、あるいはリンゴ酸、酒石酸等のヒドロキシ置換二塩基酸、アスコルビン酸、クエン酸等の糖誘導型カルボン酸が挙げられる。また、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ペクチン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。界面活性剤及び補助剤の添加量は組成物全重量に対して、通常0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.01重量%〜10重量%である。
かくして、異なる2種類またはそれ以上の、特に水溶解度が極端に異なる生理活性物質を個々の溶出速度で放出されるように徐放化することができる水稲の混合被覆粒剤を得ることができる。
本発明の外層部は、必ずしも均一である必要はなく、崩壊剤の種類や含有量が異なる層を積層しても良く、異なる種類の第二の生理活性物質を含む層を2層以上被覆してもよい。この場合は、外側に位置する層の崩壊度合いは、内側のそれより同じか高くなるよう積層するほうが好ましい。
【0038】
本発明の混合被覆粒剤において、その内核と中層部と外層部の組成比は特に限定されるものではなく、外層部および内核の生理活性物質の溶出速度、拡散速度、新陳代謝速度および対象物内への吸収速度、生理活性物質の防除効果発現濃度および濃度維持すべき期間等を考慮して決めればよい。この場合、一般には、生理活性物質の重量比で内核:外層部=1:15〜15:1の範囲である。また、本発明でいう混合被覆粒剤は、固形であれば剤形を限定されず、通常の粒剤タイプ、丸薬タイプ、錠剤タイプなど、いかなる形状でもよく、その大きさも直径または長さが0.1〜30mmの範囲内であれば特に限定されない。
【0039】
また、本発明の徐放性粒剤には、本発明の目的と効果を損なわない範囲で、酸化防止剤や紫外線吸収剤、帯電防止剤などの各種添加剤を用いて粒剤とすることもできる。該酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤や、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤などが挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、二酸化チタンなどの無機化合物系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾールやベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエート、サリシレートなどの有機化合物系紫外線吸収剤などが挙げられ、これら酸化防止剤や紫外線吸収剤は生理活性物質の物理化学的性質によって選択すればよく、またその効果が認められる量を配合すればよい。
【0040】
該帯電防止剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの無機化合物、リン酸カルシウム系化合物などが挙げられる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのリン酸エステル系界面活性剤も帯電防止剤として使用することができる。尚、該帯電防止剤は必要に応じて使用すればよく、その配合量も本発明の目的と効果を損なわない範囲で、帯電防止効果が認められる量とすればよい。
【0041】
最後に本発明の混合被覆粒剤の具体的な製造例を示すと、以下のようになる。尚、これは、一製造例であり、これに限定されるものでない。
【0042】
工程▲1▼ まず生理活性物質、熱可塑性材料および無機系希釈担体を加熱装置を装着した混合機(例えば、フローティングミキサー)等により加熱混合する。この時の加熱温度は熱可塑性材料の溶融温度以上で且つ生理活性物質の融点未満である。
【0043】
工程▲2▼ 加熱混合の後、得られた混合物を加熱装置を装着した造粒機にて造粒する。具体的には、円柱状の成型物を得る場合は目的の粒径に合ったスクリーンを備えた押し出し造粒機、球状の成形物を得る場合は転動造粒機等が例示される。造粒する温度は、用いる熱可塑性材料が溶融する温度以上で且つ生理活性物質の融点未満が好ましい。
【0044】
工程▲3▼ 得られた造粒物を解砕し、必要により篩で分画して目的とする徐放化農薬粒剤(内核)とする。
【0045】
工程▲4▼ 得られた造粒物の表面に内核に含有される熱可塑性材料とは異なりかつ該熱可塑性材料よりも融点が低い、難水溶性の熱可塑性材料および無機系希釈担体の混合物を一緒に混合機(例えば、フローティングミキサー)等で混合し、中層部原料粉末を得る。
【0046】
工程▲5▼ 内核に含まれるものとは異なる生理活性物質、内核に含有される熱可塑性材料とは異なりかつ該熱可塑性材料よりも融点が低い、難水溶性の熱可塑性材料および崩壊剤を一緒に混合機(例えば、フローティングミキサー)等で混合し、外層部原料粉末を得る。
【0047】
工程▲6▼ 加熱装置を装着した混合機(例えば、フローティングミキサー、転動造粒機、クーラーミキサー、ドラムミキサー、マルメライザー等)に内核を入れ、加熱させながら混合し、工程▲4▼で準備した中層部原料粉末を定量的に投入し、さらに工程▲5▼で準備した外層部原料粉末を定量的に投入し、目標の粒度分布をもつ粒子となるように被覆させることにより、本発明の混合被覆粒剤を得る。
【0048】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、徐放性粒剤の調製方法および製剤処方はこれら例に何ら限定されるものではない。例えば、内核の生理活性物質として例示した(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン、外層部の生理活性物質として例示したジクロシメットを前記した各種の生理活性物質に代えて、あるいは例示した熱可塑性材料、無機系希釈担体を前記した他のものに代えるなどして、本発明の徐放性粒剤を得ることができる。
尚ここで示す配合割合はすべて重量%とする。
【0049】
参考例1
第1表(表1)に示す配合割合で、以下に示す方法で参考例1の内核を得た。生理活性物質として特開平7−179448号記載の方法に従って合成された(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(以下「化合物1」と略称する)、熱可塑性材料としてモンタン酸ワックス(BASF社製、商品名Luwax S、融点;75℃)、及び/またはモンタン酸エステルワックス(BASF社製、商品名Luwax E、融点;76℃)、無機系希釈担体としてホワイトカーボン、タルク、炭酸カルシウムを一括して加熱装置を装着したフローティングミキサーに入れ、83℃または90℃まで加熱し混合した。この混合物を加熱装置により90℃に保持した横形押出し造粒機(目開き0.8mmのスクリーン)を用いて押出し造粒した。得られた造粒物を解砕後、篩別し、参考例1の内核を得た。
【0050】
【表1】
Figure 0004677146
【0051】
試験例1(内核の溶出試験)
参考例1で得られた内核から放出される生理活性物質(化合物1)の溶出率を以下に示す方法で測定した。
即ち、標準3度硬水25mlを入れた50mlの密栓付きサンプル管に、参考例1〜6で得られた内核をそれぞれ生理活性物質として920ppm相当の量を投入して水中に沈め、25℃下所定時間静置後、全量を濾別し、濾液中の生理活性物質量をHPLCにて測定した。測定より下記式に基づき溶出率を計算し、結果を第2表(表2)にまとめた。
溶出率=(濾液中の生理活性物質量/粒剤中の生理活性物質量)×100
第2表より明らかなように、本発明の内核は生理活性物質を、ほぼ完全に放出させることが可能である。
【0052】
【表2】
Figure 0004677146
【0053】
実施例1〜7
第3表(表3)に示す配合割合で、以下に示す方法により実施例1〜7の徐放性粒剤を得た。
まず中層部の原料粉末として、炭酸カルシウム、クレー、パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、商品名パラフィンワックス150、融点66℃)を一括してフローティングミキサーに入れ混合した。
次に、外層部の原料粉末として、ジクロシメット原体、パラフィンワックス、クレー、ならびに水溶性天然高分子としてキサンタンガムを一括してフローティングミキサーに入れ混合した。
参考例1にて得られた内核を、加熱装置を装着したフローティングミキサーの中に入れ70℃まで加熱しながら混合し、まず先の中層部原料粉末を定量的に添加していき、次に先の外層部原料粉末を定量的に添加していき、目標の粒度分布をもつ粒子となるように被覆して、実施例1〜7の徐放性粒剤を得た。
【0054】
【表3】
Figure 0004677146
【0055】
比較例1
殺虫活性成分(化合物1)を内核に含み、殺菌成分(ジクロシメット)を外層部に含み、中層部で被覆されていない粒剤を得るために、第3表(表3)に示す配合割合で実施例1〜7と同様の方法で比較例1の粒剤を得た。
【0056】
比較例2
殺虫活性成分(化合物1)を内核に含み、殺菌成分(ジクロシメット)を外層部に含み、外層部に崩壊剤を未添加かつ中層部で被覆されていない粒剤を得るために、第3表(表3)に示す配合割合で実施例1〜3と同様の方法で比較例1の粒剤を得た。
【0057】
試験例2(徐放性粒剤の溶出試験)
実施例および比較例で得られた粒剤から放出される生理活性物質の溶出率を測定した。
(1)殺虫活性成分(化合物1)の溶出率
実施例および比較例で得られた粒剤から放出される生理活性物質のうち、殺虫活性成分(化合物1)の溶出率を以下に示す方法で測定した。
即ち、標準3度硬水25mlを入れた50mlの密栓付きサンプル管に、実施例および比較例で得られた粒剤をそれぞれ殺虫活性成分として920ppm相当の量を投入して水中に沈め、25℃下所定時間静置後、全量を濾別し、濾液中の溶出活性成分をHPLCにて測定した。測定より下記式に基づき溶出率を計算し、結果を第4表(表4)にまとめた。
溶出率=(濾液中の活性成分量/粒剤中の活性成分量)×100
【0058】
【表4】
Figure 0004677146
【0059】
(2)殺菌活性成分(ジクロシメット)の溶出率
実施例および比較例で得られた粒剤から放出される生理活性物質のうち、殺菌活性成分(ジクロシメット)の溶出率を以下に示す方法で測定した。
即ち、イオン交換水1000mlを入れた1000mlの密栓付き三角フラスコに、実施例および比較例で得られた粒剤をそれぞれ殺菌活性成分として3ppm相当の量を投入して水中に沈め、25℃下静置した。次いで所定時間毎に水深5cmの深さより採水し、その採水中の殺菌活性成分濃度をHPLCにて測定した。供試粒剤中の殺菌活性成分全量が三角フラスコ中の水1000mlに溶出したときの濃度は理論上3ppmであるから、その測定値より溶出率を算出し、結果を第4表(表4)にまとめた。
第4表(表4)より明らかなように、実施例1の粒剤は約3ヶ月間、実施例2の粒剤は約2ヶ月間、実施例3の粒剤は約1ヶ月間、各生理活性物質をほぼ同一速度で持続して放出させることできが、しかもほぼ完全に放出された。実施例3,4,5は中間層の組成を同じにして、外層部のキサンタンガムの量を変えた例である。キサンタンガムの量が増えるに従い、ジクロシメットの溶出速度が速まっているが、化合物1の溶出速度はほぼ変わらない。実施例2,6,7は外層部の組成を同じにして、中層部の組成を変えた例である。クレーの量が増えるに従い、化合物1の溶出速度が速まっているが、ジクロシメットの溶出速度はほぼ変わらない。以上の結果より、内核に含まれる化合物1と、外層部に含まれるジクロシメットの溶出速度を、それぞれ制御することが示された。
これに対して中間層を持たない比較例1は、化合物1を徐放化することができず2週間ほどで溶出した。また、外層部への崩壊剤未添加かつ中間層をもたない比較例2は、ジシクロメットの溶出が遅く完全に溶出するのに6ヶ月を要した。
【0060】
試験例3(徐放性粒剤の殺虫・殺菌効果試験)
実施例および比較例で得られた粒剤の殺虫・殺菌効果を試験した。
(1)ウンカ類に対する殺虫効果試験
実施例及び比較例で調製した粒剤を水稲(品種:コシヒカリ)の育苗箱(30×60cm、全面積0.18m2)に各50gずつ施用し、翌日に1/5000aポットに2.5葉期の稚苗5株を定植した。定植後ガラス温室内に置き、20、40、60日後に金網円筒で稲体を覆い、これにセジロウンカあるいはトビイロウンカ雄成虫10頭を放飼した。放飼48時間後に死虫数を計測し、死虫率(%)を求め、結果を第5表(表5)にまとめた。
(2)イネいもち病防除効果試験
実施例及び比較例で調製した粒剤を水稲(品種:コシヒカリ)の育苗箱(30×60cm、全面積0.18m2)に各50gずつ施用し、翌日に1/5000aポットに2.5葉期の稚苗5株を定植した。定植後ガラス温室内に置き、20、40、60日後にイネいもち病菌(Pyricularia oryzae)の胞子懸濁液(胞子数106ヶ/ml)を1ポット当り5〜10mlとなる量を噴霧接種した。接種後加湿条件(25℃、95%RH)の人工気象室に7日間置き、ポット当りの病斑数を数え、次式より防除価(%)を算出した。試験はすべて3反復制とし、結果を平均し第5表(表5)にまとめた。
防除価=(1−処理区の病斑数/無処理区の病斑数)×100
【0061】
【表5】
Figure 0004677146
【0062】
【発明の効果】
本発明により、水溶解度が低い生理活性物質の溶出速度を、1〜3ヶ月の長期にわたりそれぞれ任意の溶出速度に徐放化することができる徐放性粒剤が得られる。また本発明の徐放性粒剤は、含有する生理活性物質をほぼ完全に放出することができるため、粒剤中に残留する恐れがない。
本発明の被覆型粒剤は、前記内核に含まれる生理活性物質と外層部に含まれる生理活性物質とがそれぞれ別個に徐放性溶出制御されることを特徴とする。そのため、水媒体へ生理活性物質を持続的に溶出供給するために好適に利用される、

Claims (5)

  1. 内側から内核、中層部及び外層部の順に三層構造を有する被覆型徐放性粒剤であって、
    内核は20℃における水溶解度が1000ppm以上10%以下である少なくとも一種類の生理活性物質(第一の生理活性物質)と、結着剤としてのシュガーケンワックス、モンタン酸ワックス及びモンタン酸エステルワックスの少なくとも1種を含有する造粒物であり、その表面を中層部で被覆されており、
    中層部は粉末担体と、パラフィンワックスを含有し、その表面を外層部で被覆されており、
    外層部は、20℃における水溶解度が0.1ppm〜500ppmである少なくとも一種類の生理活性物質(第二の生理活性物質)と、崩壊剤と、パラフィンワックスを含有する
    ことを特徴とする徐放性粒剤。
  2. 外層部に含有される崩壊剤が、水膨潤性物質であることを特徴とする請求項1記載の徐放性粒剤。
  3. 水膨潤性物質が、水溶性天然高分子、水溶性半合成高分子または水溶性合成高分子であることを特徴とする請求項2記載の徐放性粒剤。
  4. 内核に含まれる第一の生理活性物質、および、外層部に含まれる第二の生理活性物質のうち、少なくともいずれか一方が農薬活性成分であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の徐放性粒剤。
  5. 内核に含まれる農薬活性成分が(RS)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジンであることを特徴とする請求項に記載の徐放性粒剤。
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