JP4676185B2 - 電解水製造装置 - Google Patents
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Description
また、ナトリウム塩の含有量が少なく微酸性(pH4〜6)を呈する電解水として、希釈した塩酸水溶液の無隔膜電解槽内における電気分解により得られるものが知られている。この種の電解水は、例えば、水に次亜塩素酸ナトリウムを添加した場合に比して、低塩素濃度であっても殺菌や消毒等の効果が高く、また、毎回使用する度に細かい濃度調整を行なう必要がない点で優れている。
このような電力効率は、可及的に高いほうが好ましいことは言うまでもないが、一方、原料となる電解質の消費量についても、所定の塩素量を発生させるために必要な電解質の消費量は、可及的に少ないほうが運転の効率が良いということができる。
なお、以下の説明においては、このような電力効率の高低や原料となる電解質の消費量などをまとめて、「電気分解の効率」と表現する場合がある。
また、特許文献2には、供給配管を流れる水道水等の原水を電解殺菌する目的で、供給配管内に噴出嘴を設け、噴出嘴の上流側と下流側とを支流管で接続し、支流管の途中に拡散式食塩添加装置と無電解式電解槽とを設けた水電解消毒装置が記載されている。この水電解消毒装置は、供給配管を流れる原水の一部を支流管に自然分岐させるため、噴出嘴の前後に生じる圧力差を利用しており、支流管を流れる分岐原水に食塩を連続拡散させる定量ポンプ又は加圧ポンプ、及び/又は食塩水を無隔膜式電解槽に強制供給する定量ポンプ又は加圧ポンプ、等を一切使用しないことを特徴としている。
一方、従来の電解水製造装置では、運転を継続するうちに電解槽の温度が上昇することがある。電解槽の温度が上昇すると、電極等の経時的劣化により装置の寿命が短くなるという問題がある。また、電解槽の材質は、塩素等の腐食に耐える材質として塩化ビニル系の材料が使用されることが多いが、塩化ビニル系は電解槽の温度が上昇しすぎると耐熱性の関係で好ましくない。
本発明の電解水製造装置においては、前記電解槽の下流には前記電解槽から排出された電解水を希釈する希釈水の流路が合流しており、前記吸引手段は、前記希釈水流路との合流箇所に設けられて前記希釈水を駆動流体とするエジェクタであることが好ましい。
前記吸引手段の下流に混合器が設けられていることが好ましい。
前記電解槽の出口は、前記電解槽の上部に開口していることが好ましい。
前記電解槽内において電極は、該電極間に形成される流路が鉛直方向に連通するように設置されていることが好ましい。
本発明において、電解槽内で電気分解される原料水は、塩化水素や塩化ナトリウムなど、電離によって塩化物イオンを生じる電解質を含有するものが用いられる。このような原料水は、塩酸水溶液や食塩水等の電解質水溶液を希釈水で適当な濃度に希釈して用いることが好ましい。
原料水の希釈に用いられる希釈水は、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留水、精製水(RO水、膜処理水)、これらの混合水等であって、実質的に塩化ナトリウムを含有しない水が好ましい。ここで、「実質的に塩化ナトリウムを含有しない」とは、原水に人為的なナトリウムの添加等が無く、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下であることを意味している。
実質的にナトリウム塩を含有しない次亜塩素酸水は、必要に応じて電気分解後に希釈水で再度希釈することにより、微酸性(pH4〜6)を呈する微酸性次亜塩素酸水の調製に用いることができる。微酸性次亜塩素酸水は、有効塩素濃度が比較的低くても良好な殺菌や消毒の効果が得られること、微酸性であるため自然水により近い物性を有していることなどの点で優れている。従って、本発明においては、実質的に塩化ナトリウムを含有しない状態で塩酸水溶液を原料水として用いることが好ましい。
塩化ナトリウムが人為的に添加されていないということは、電解槽に通液される塩酸水溶液のナトリウムイオン濃度が、もとの希釈水又は塩酸に含有されていたナトリウムイオン濃度を超えることがないことを意味している。一般に、希釈水又は塩酸は、ナトリウムイオン濃度が200ppm以下であるから、希釈した塩酸水溶液も、ナトリウムイオン濃度は200ppm以下である。
希釈した塩酸水溶液の塩化水素濃度は、電解槽中で適切な反応を起させるためには0.01%(質量%。以下、特に断りのない限り同じ。)以上であることが望ましく、特に0.1%以上であることが推奨される。ただし、経済性や安定した反応の進行を追及する場合には、塩化水素濃度は1.0%以上21.0%以下であることが望ましい。
本発明において、電解槽としては、その内部に原料水が入口側から出口側へと流れを保ちながら通液される連続式電解槽が用いられる。また、電解槽の入口側(上流側)に定量送水手段を設けて原料水を一定の流量で電解槽に供給するとともに、電解槽の出口側(下流側)に吸引手段を設けて電解槽内の液を吸引する。
一般に、無隔膜電解槽の中で複数の電極を結線する方式としては、単極式と複極式の2種類がある。単極式とは、電極の全てが電源の正極又は負極に接続される方式であり、複極式とは、例えば、複数の電極を一定間隔で重ね合わせ、相互に絶縁した構造を有しており、電源の正極に接続された陽極(即ちアノード)と、電源の負極に接続された陰極(即ちカソード)との間に、いずれの極とも接続されない中間電極が少なくとも1枚存在する方式である。
一般に、電極1対あたりの電圧を上げていくと、1.3V以上で塩素が発生し始め、1.5V以上で最大の発生量に達する。従って、電極1対あたりの電圧は1.5V以上が望ましい。また、電圧が4.0Vを超えると、酸素が発生し始め、5.0Vを超えるとオゾンが発生し始める。オゾンの発生は望ましくないため、電圧は5.0V以下が望ましい。また、酸素の発生は電力の無駄になるため、電圧は4.0V以下が特に望ましい。なお、電圧は、経済上の観点からは、3.0V以下であることが好ましい。少なくとも、オゾンの発生は作業環境の面で好ましくないため、電圧は5.0V以下が望ましく、使用する電解水は特にオゾンのない電解水であることが好ましい。
本発明では、電解槽の出口側に吸引手段を設けて電解槽内の液を吸引することにより、電解槽の内圧が負圧となる状態に維持する。これにより、電解槽内の気相が電解槽外へ素早く排出されやすくなる。このとき、気相とともに液相も電解槽外へ排出されるが、定量送水手段により電解槽への原料水の供給流量を一定に維持するので、電解槽内の液相の量を維持することができ、電気分解の効率を向上することができる。
運転中、電解槽の内圧は、−0.04MPa未満に維持することが好ましく、この場合、電気分解を極めて効率良く進行させることができる。電解槽内で安定した気液混相流が得られ、気相の排出が促進されるものと考えられる。電解槽内圧が−0.0999MPa程度以下の高真空範囲であると、設備費が高価になるおそれがある。
特に好ましい電解槽内圧は−0.099MPa以上−0.05MPa以下であり、この範囲内であれば、電解効率の向上効果をより確実に得ることができる。
また、電解槽内において電極は、電極間に形成される流路が鉛直方向に連通するように設置することが好ましい。これにより、電解槽内での流体の流れを円滑にし、ガスが電極間の空間に滞留して流路を狭めることを抑制することができる。
前記定量送水手段としては、定量ポンプや加圧ポンプ等を用いることができる。塩酸水溶液等の電解質水溶液を希釈水で希釈したものを原料水として用いる場合、電解質水溶液を希釈水で希釈してなる原料水の流量を一定に維持する方法を用いることができるほか、
希釈水の流量に対して電解質水溶液の流量が充分に小さい場合は、希釈水の流量を定量送水によって一定に維持する方法を用いても同等の効果を得ることができる。
電解水の希釈に用いられる希釈水は、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留水、精製水(RO水、膜処理水)、これらの混合水等であって、実質的に塩化ナトリウムを含有しない水が好ましい。
なお、有効塩素濃度は、オルトトリジン法(日本薬学会編、「衛生試験法・注解1980」、第746頁、金原出版株式会社、1980年3月20日)又はヨウ素滴定法(社団法人日本水道協会、「上水試験方法・1993年版」、第218〜219頁、平成5年11月15日)によって測定することが可能である。
混合器としては、スタティックミキサーのような静的な混合器が好ましいが、撹拌子や撹拌羽根等を回転させるなどの動的な混合器であってもよい。また、吸引手段と混合器とが一体的に設けられた器具を採用することも可能である。
図1は、本発明の電解水製造装置の一形態例を示す概略構成図である。図1に示す電解水製造装置1は、希釈水入口11から流入した希釈水が通水される第1の希釈水流路10と、第1の希釈水流路10から分岐されて電解槽40に希釈水を供給する第2の希釈水流路20と、塩酸タンク31に貯留された塩酸水溶液が通液される塩酸流路30と、原料水を電気分解する電解槽40と、電解槽40から排出された電解水が通液される電解水排出路51とを有している。
開閉弁24の下流側には、希釈水を一定の流量で電解槽40に供給する定量送水手段25としての希釈水ポンプが設けられており、希釈水ポンプ25の下流側には、希釈水の逆流を阻止する逆止弁26が設けられている。
電解槽40の入口41は電解槽本体47の下部に、出口42は電解槽本体47の上部に設けられており、電極44,45,46は鉛直方向に立ち上がるように配設されている。
図1に示す形態例において吸引手段60は、電解水排出路51と第1の希釈水流路10との合流箇所に設けられたエジェクタであり、第1の希釈水流路10から供給される希釈水を駆動流体として電解水を吸引するとともに、電解水と希釈水とを混合して電解水を希釈するようになっている。
希釈水入口11から希釈水を流入させると、希釈水の一部は第2の希釈水流路20に分岐して希釈水タンク21に貯留される一方、希釈水の残部は第1の希釈水流路10を送水され、定流量弁16によって一定の流量に調整されてエジェクタ60の駆動流体入口61に流入する。エジェクタ60では希釈水の液流によって負圧が生じ、電解槽40の内部を負圧の状態に維持する。
また、塩酸タンク31に貯留された塩酸水溶液は、塩酸ポンプ34によって所定の流量で塩酸流路30を送液される。塩酸水溶液と希釈水は合流器48で混合され、塩化物イオン濃度が適切に調整された原料水とされた後に電解槽40に流入する。
吸引手段60の下流に混合器54が設けられているので、塩素の水への溶解や電解水と希釈水との混合を促進することができる。
電解槽40の各電極板44,45,46が鉛直方向に立ち上がるように配設されているので、電極44,45,46間の空間が上方に開放され、ガスが電極44,45,46間の空間に滞留することを抑制することができる。
電解槽40の入口41が陽極44側に、出口42が陰極45側に設けられているので、電解槽40内部での原料水の滞留時間を確保し、原料水に含有された塩化物イオンの電解酸化を効率よく進行させ、塩素や次亜塩素酸の収率を向上することができる。
電解槽の上流側で塩酸水溶液と混合される希釈水を希釈水タンクに一時的に貯留してから電解槽に送水することができるので、希釈水ポンプ25(定量送水手段)の上流側における希釈水の流れをより安定にすることができ、流量の制御をより確実に行うことができる、また、希釈水入口11からの希釈水の流量が一時的に減量することなどがあったとしても、第2の希釈水流路20側の希釈水の流量を確実に維持することができる。
図3に示す改変例に係る電解水製造装置1Aでは、第2の希釈水流路20は、第1の希釈水流路10の逆止弁18とドレン10aとの間から分岐されており、定量送水手段25としての希釈水ポンプと、その下流側に設けられた逆止弁26とを有する。
また、希釈水タンク等を省略して、電解水製造装置1Aの構成を簡略化することができるので、電解水製造装置1Aの設置スペース等を節約することができる。
まず、後述の各試験例において、原水および/または電解水の各種物性を測定する際に用いた測定方法を以下に示す。
横河電機株式会社製のpHメータ(型番PH81 No.62852)または株式会社堀場製作所製のpHメータ(型番B−211 No.8010214)を用いて測定した。
株式会社共立理化学研究所製のドロップテスト試薬(型番WAD−TH)を用いて全硬度を測定した。
(希釈水の流量の測定方法)
横河電気株式会社製電磁流量計(AXF050G、No.S5D603536 431)を用いて測定した。
(使用塩酸)
クリーン化学工業社製、ピュアスターメイト21(塩化水素21%)を使用した。
[試薬類]
・0.01mol/L滴定用チオ硫酸ナトリウム規定液溶液
・ヨウ化カリウム水溶液(小さじ2杯を水100mLに溶解し、褐色びんに保存したもの)
・酢酸水溶液(水で半分に希釈し、褐色びんに保存したもの)
・可溶性澱粉水溶液(大さじ1杯を湯100mLに溶解し、冷蔵したもの)
[器具類]
・ビュレット(簡易にはピペットまたはシリンジで代用可能)
・三角フラスコ(呼び容量300mLまたは500mL)
・スポイト3個(それぞれヨウ化カリウム水溶液専用、酢酸水溶液専用、可溶性澱粉水溶液専用とする。)
・メスシリンダー(200mLの計量が可能なもの)
[操作手順]
1.メスシリンダーを用いて電解水200mLを測りとる。
2.測りとった電解水を三角フラスコに移す。
3.スポイトを用いて電解水にヨウ化カリウム水溶液を1滴加えて撹拌する(混合後に黄色を呈すること)。
4.スポイトを用いて電解水に酢酸水溶液を1滴加えて撹拌する。
5.フラスコを回して混ぜる。
6.ビュレットにチオ硫酸ナトリウム規定液を入れて、液面の読みを記録する(このときの読みをa mLとする)。
7.ビュレットのコックを徐々に開き、三角フラスコを撹拌しながらチオ硫酸ナトリウム規定液を滴下する(液の黄色がだんだん薄くなる)。
8.液の黄色が薄くなったら、スポイトを用いて澱粉水溶液を1滴加えて撹拌する(混合後に紫色を呈すること)
9.液の紫色が消失するまでチオ硫酸ナトリウム規定液の滴下を続け、紫色が消失したときの液面の読みを記録する(このときの読みをb mLとする)。
10.有効塩素濃度[ppm]を計算式 (b−a)×1.77 により計算する。
図3の構成を有する電解水製造装置1Aを用い、希釈水入口から流入される希釈水の流量を1200L/hとし、電解槽の内圧が−0.05MPaに維持されるように調整して電解水の製造を行った。電気分解に先立ち、電解槽40の入口41付近に電解槽40の内圧を測定するための圧力計を設置した。用いる希釈水の硬度およびpHを測定したところ、硬度は90であり、pHは7.36であった。
電解電圧42V、電解電流1.6Aとして電解水製造装置を連続運転した。9:30から16:30までの7時間にわたり、電解水出口から吐出される電解水を30分おきに取得し、電解水の有効塩素濃度およびpHを測定した。
また、運転開始後と運転終了前に塩酸タンクのレベルを測定し、これに基づいて運転中に使用された塩酸の消費量を算出した。6時間23分の間に塩酸が0.69kg消費されており、塩酸タンク内の塩酸水溶液の消費量は1時間あたり0.108kgであった。
試験例1の結果を表1に示す。図4は、試験例1における電解水の有効塩素濃度およびpHの経時的変化をグラフに表したものである。
第1の希釈水流路と電解水排出路との合流箇所にエジェクタが設けられていない従来の電解水製造装置を用い、希釈水入口から流入される希釈水の流量を1200L/hとして電解水の製造を行った。用いる希釈水の硬度およびpHを測定したところ、硬度は80であり、pHは7.05であった。用いた塩酸水溶液の濃度は、試験例1と同じである。
電解電圧42V、電解電流1.7Aとして電解水製造装置を連続運転した。9:30から16:30までの7時間にわたり、電解水出口から吐出される電解水を30分おきに取得し、電解水の有効塩素濃度およびpHを測定した。
また、運転開始後と運転終了前に塩酸タンクのレベルを測定し、これに基づいて運転中に使用された塩酸の消費量を算出した。7時間30分の間に塩酸が1.59kg消費されており、塩酸タンク内の塩酸水溶液の消費量は1時間あたり0.212kgであった。
試験例2の結果を表2に示す。図5は、試験例2における電解水の有効塩素濃度およびpHの経時的変化をグラフに表したものである。
試験例1と試験例2の結果を比較すると、有効塩素濃度が約15ppmの電解水を製造するために必要な塩酸消費量は、試験例1は試験例2の約半分で済んでいることが分かる。このことから、エジェクタを備えた本発明の電解水製造装置は、従来の電解水製造装置に比べて電気分解の効率が極めて良いことが確認された。
図3の構成を有する電解水製造装置1Aを用い、希釈水入口から流入される希釈水の流量を1200L/hとし、電解槽の内圧が−0.05MPaに維持されるように調整して電解水の製造を行った。電気分解に先立ち、電解槽40の入口41付近に電解槽40の内圧を測定するための圧力計を設置した。用いる希釈水の硬度およびpHを測定したところ、硬度は85であり、pHは7.13であった。用いた塩酸水溶液の濃度は、試験例1と同じである。
電解電圧42V、電解電流2.6Aとして電解水製造装置を連続運転した。9:00から16:30までの7時間30分にわたり、電解水出口から吐出される電解水を30分おきに取得し、電解水の有効塩素濃度およびpHを測定した。
また、運転開始後と運転終了前に塩酸タンクのレベルを測定し、これに基づいて運転中に使用された塩酸の消費量を算出した。7時間45分の間に塩酸が1.42kg消費されており、塩酸タンク内の塩酸水溶液の消費量は1時間あたり0.183kgであった。
試験例3の結果を表3に示す。図6は、試験例3における電解水の有効塩素濃度およびpHの経時的変化をグラフに表したものである。
図3の構成を有する電解水製造装置1Aにおいて、希釈水入口から流入される希釈水の流量を1200L/hとして電解水の製造を6回行った(それぞれ試験番号4−1〜4−6と呼ぶことにする)。電気分解に先立ち、電解槽40の入口41付近に電解槽40の内圧を測定するための圧力計を設置した。
電解槽の内圧を測定しつつ、電解槽の内圧を種々変化させて運転し、電解水出口から吐出された電解水の有効塩素濃度およびpHを測定した。
なお、試験例4の運転を実施している間、希釈水の硬度は80〜85の範囲内であり、希釈水のpHは6.4〜7.2の範囲内であった。
試験例4の結果を表4および表5に示す。図7は、試験例4における電解槽の内圧と電解水の有効塩素濃度の関係をグラフに表したものである。図8は、試験例4における電解槽の内圧と電解水のpHの関係をグラフに表したものである。
図3の構成を有する電解水製造装置1Aにおいて、希釈水入口から流入される希釈水の流量を10000L/hとして電解水の製造を4回行った(それぞれ試験番号5−1〜5−4と呼ぶことにする)。電気分解に先立ち、電解槽40の入口41付近に電解槽40の内圧を測定するための圧力計を設置した。
電解槽の内圧を測定しつつ、電解槽の内圧を−0.03MPaと−0.09MPaの2通りに変化させて運転し、電解水出口から吐出された電解水の有効塩素濃度およびpHを測定した。
なお、試験例5の運転を実施している間、希釈水の硬度は85〜100の範囲内であり、希釈水のpHは6.5〜6.7の範囲内であった。
試験例5の結果を表6に示す。図9は、試験例5における電解槽の内圧と電解水の有効塩素濃度の関係をグラフに表したものである。
図3の構成を有する電解水製造装置1Aにおいて、希釈水入口から流入される希釈水の流量を10000L/hとして電解水を製造した。電気分解に先立ち、電解槽40の入口41付近に電解槽40の内圧を測定するための圧力計を設置し、電解槽40に陽極44および陰極45の温度を測定するための温度計を設置した。
なお、試験番号6−1の運転に際して、希釈水の硬度およびpHを測定したところ、希釈水の硬度は75であり、希釈水のpHは6.4であった。
試験番号6−1の結果を表7に示す。図10は、試験番号6−1における電解水の有効塩素濃度およびpHならびに電極の温度の経時的変化をグラフに表したものである。
なお、試験番号6−2の運転に際して、希釈水の硬度およびpHを測定したところ、希釈水の硬度は65であり、希釈水のpHは6.4であった。
試験番号6−2の結果を表8に示す。図11は、試験番号6−2における電解水の有効塩素濃度およびpHならびに電極の温度の経時的変化をグラフに表したものである。
また、電極の温度についてみれば、運転開始から1時間以上経過した段階で、内圧−0.03MPaの場合には55℃以上に上昇しているのに対し、内圧−0.09MPaの場合には32〜37℃程度までしか上昇していない。しかも内圧−0.09MPaで運転した場合には、9:55〜10:15の20分間に陽極温度は+3.0℃、陰極温度は+3.5℃上昇しているのに対し、10:15〜10:45の30分間では陽極温度は+0.6℃、陰極温度は+1.1℃しか上昇しておらず、運転を継続するにつれて温度の上昇が鈍化する傾向を示した。すなわち、本発明の電解水の製造方法を用いることにより、電解槽の温度上昇が抑制されることが明らかである。
従って、本発明によれば、温度の影響が大きいとされる電極の寿命が大幅に延びることになるため、メンテナンスの作業負担やコスト負担を低減することができる。
Claims (5)
- 原料水を電解槽内で電気分解して電解水を生成する電解水製造装置であって、
前記電解槽は、その内部に原料水が電解槽の入口から出口への流れを保ちながら通液される連続式電解槽であり、
前記電解槽の上流には前記原料水を一定の流量で前記電解槽に供給する定量送水手段が設けられており、
該電解槽の内圧を測定するための圧力計と、前記電解槽の下流において前記電解槽の内部を吸引し不溶性水素ガス及び未溶解塩素ガスを前記電解槽外に排出するとともに前記電解槽の内圧を−0.04MPa以下に制御する吸引手段とを備えていることを特徴とする電解水製造装置。 - 前記電解槽の下流には前記電解槽から排出された電解水を希釈する希釈水の流路が合流しており、前記吸引手段は、前記希釈水流路との合流箇所に設けられて前記希釈水を駆動流体とするエジェクタであることを特徴とする請求項1に記載の電解水製造装置。
- 前記吸引手段の下流に混合器が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電解水製造装置。
- 前記電解槽の出口は、前記電解槽の上部に開口していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電解水製造装置。
- 前記電解槽内において電極は、該電極間に形成される流路が鉛直方向に連通するように設置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電解水製造装置。
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