JP4675428B1 - 水素添加油脂の製造方法 - Google Patents

水素添加油脂の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4675428B1
JP4675428B1 JP2010030285A JP2010030285A JP4675428B1 JP 4675428 B1 JP4675428 B1 JP 4675428B1 JP 2010030285 A JP2010030285 A JP 2010030285A JP 2010030285 A JP2010030285 A JP 2010030285A JP 4675428 B1 JP4675428 B1 JP 4675428B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oils
oil
reaction
temperature
hydrogenation reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010030285A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011162744A (ja
Inventor
義一 辻脇
浩志 山本
峰男 田原
敦則 熊西
真和 島田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ueda Oils and Fats Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Ueda Oils and Fats Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ueda Oils and Fats Manufacturing Co Ltd filed Critical Ueda Oils and Fats Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2010030285A priority Critical patent/JP4675428B1/ja
Priority to PCT/JP2011/051091 priority patent/WO2011099345A1/ja
Priority to CN201180009485.5A priority patent/CN102770521B/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP4675428B1 publication Critical patent/JP4675428B1/ja
Publication of JP2011162744A publication Critical patent/JP2011162744A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11CFATTY ACIDS FROM FATS, OILS OR WAXES; CANDLES; FATS, OILS OR FATTY ACIDS BY CHEMICAL MODIFICATION OF FATS, OILS, OR FATTY ACIDS OBTAINED THEREFROM
    • C11C3/00Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom
    • C11C3/12Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom by hydrogenation
    • C11C3/123Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom by hydrogenation using catalysts based principally on nickel or derivates
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23DEDIBLE OILS OR FATS, e.g. MARGARINES, SHORTENINGS, COOKING OILS
    • A23D9/00Other edible oils or fats, e.g. shortenings, cooking oils
    • A23D9/02Other edible oils or fats, e.g. shortenings, cooking oils characterised by the production or working-up
    • A23D9/04Working-up

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

【課題】トランス酸を極力発生させない水素添加油脂の製造方法を提供する。
【解決手段】多価不飽和脂肪酸を含む油脂に対し、ニッケル触媒の存在下で水素添加反応を行なう水素添加油脂の製造方法とし、水素添加反応の温度が60〜75℃でありかつ水素添加反応系に対する冷却熱量もしくは水素供給量または両方を調整し、水素添加反応で低下したヨウ素価の1単位当りにおけるトランス酸の発生量が0.25重量%以下にする。前記調整を行なうには、反応容器7内の温度を感知する温度センサー9および水素の供給路6に接続された圧力センサー10を設け、これらの温度情報および圧力情報に基づいて制御信号を発信する電子コントローラ11を設け、この電子コントローラ11により循環ポンプ17の動作および流量調整弁15の動作を制御して反応系Aに対する冷却熱量および水素供給量を調整可能とした水素添加油脂の製造装置とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、トランス異性体(トランス酸)の生成を抑制した水素添加油脂の製造方法およびその製造装置に関するものである。
通常、油脂をマーガリンやショートニングに使用する際に、固形脂を原料の一部または大部分に用いる必要がある。固形脂は、パーム油、牛脂、ラード等の天然で固形の油脂の他に、液体の油脂に水素を添加(以下、水添と略す場合がある。)することにより固形状化した、いわゆる硬化油やエステル交換油を用いることが多い。
また、トランス酸は、健康上に問題のあることが喧伝され、消費者はその使用を敬遠する傾向がある。
マーガリン、ショートニング以外にも、例えばフライ油等に対して、その酸化安定性を向上させるために水添する場合があり、この水素添加反応でもトランス酸が生成することを懸念する消費者はそのような油脂の使用を敬遠する傾向があり、特にトランス酸の含量表示がなされる海外では、その傾向は著しい。
従来の水添工程では、耐圧容器に仕込んだ原料油脂にニッケル触媒0.05〜0.5重量%を加え、上層部の空気を水素に置換し、120℃程度に加熱すると、その後は水素添加の反応熱によって150〜200℃程度まで触媒含有の油脂温度は上昇し反応が継続する。
このような水素添加反応の発熱反応では、特に冷却操作をしない限り、ヨウ素価の1単位を低下させる毎に温度は1.6〜1.7℃上昇する。また、油脂1トン当たりヨウ素価の1単位を低下させるためには水素は約1m3必要とされる。水添工程では、吸収された水素量で希望の硬さになったかどうかを判断し、反応を停止して触媒を除去し、必要に応じて脱臭等の操作をして製品とし、これを工業用またはマーガリンやショートニングの原料またはフライ油等の食品に使用している。
因みに、同じ油脂を同じヨウ素価まで水添するとき、選択的に水添した方が一般的に融点は低くなる。また、二重結合に水素の付加する速度の比について、二重結合を2個以上持ついわゆるポリエン酸と1個のモノエン酸との反応速度の差が大きいことを「選択的」な水添反応といい、その差が少ないものを「非選択的」な水添反応という。「選択的」または「非選択的」の違いは相対的なものであり、通常、いずれの水添反応でもトランス化が起こっているが非選択的に水添する方が生成するトランス酸は少ない。
また、実際に食用油の水添による硬化油の製造は、オートクレーブと呼ばれる耐圧容器を用いてバッチ式に製造される場合が多く、耐圧容器は5〜20トン容量で気密性も保温性も高いものであり、水素圧は常圧〜0.5MPa程度で反応させている。
トランス脂肪酸含量の低い水素添加油脂の製造方法としては、酸化チタンを担体とするニッケル触媒を用いて工夫した方法が知られている(特許文献1)。
また、圧力を相当に150psig(重量ポンド毎平方インチ)(=1.03MPa)以上に高くし、温度を120〜240℃程度にする方法(特許文献2)、また、ニッケル触媒を用いて反応温度を80〜130℃で行う方法(特許文献3)が知られている。
また、周知のニッケル触媒について、活性の高い所定特性であるものを選別して用いることにより、水素添加反応を20℃以上80℃未満で行なう硬化油脂の製造方法が開示されている(特許文献4)。同引用文献には、低温での水素添加反応では乳化剤を使用して油脂の融点以下で水素添加を行なうことも開示される。
なお、白金等のレアメタルを触媒として、高圧で反応させると高コストになり実用性が低い。近年硬化油の製造が減少する中で、触媒の供給量も減少しているのが現状である。
特開昭 53−090189号公報 特表平 07−509746号公報 特開2006−320275号公報 特開2010−001366号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載される方法では、水素添加反応が80℃以上の高温で行なわれ、その場合に水素添加反応は選択的なものになりやすいため、トランス化の低減を充分にまたは確実に行なうことは容易なことではなかった。
また、特許文献4に記載される水素添加油脂の製造方法では、特定の活性を有するニッケル触媒を採用するにすぎないので、水素添加反応の速度を充分に制御できるものではなく、水素添加反応中に異性化を招く過剰な熱量を供給してしまう可能性がある。また、乳化剤を使用すると、対象の油種が大豆類や菜種油のような中性油に限定され、充分な効果も得られ難い。
このように油脂のマーガリン、ショートニングなどを原料として、固形油脂や酸化安定性を高めることの可能な水素添加技術は、充分に欠点のないものに改良されたものとはなっていない。
すなわち、油脂の水素添加技術は、不安定な油脂の二重結合を部分的に減少させてその可塑性を改良する事や酸化安定性を向上させるという大きな利点があり、さらに所定範囲の融点の調整を可能にするため、マーガリンやショートニングの製造には欠かせない技術であるにもかかわらず、トランス脂肪酸の増加を伴う工程を経るため、水素添加油脂の使用が消費者に敬遠される傾向にある。
前述のトランス脂肪酸が高くなるという欠点さえ克服すれば、水素添加油脂の製造は、天然油脂が持つ特異的なトリアシルグリセロール構造の脂肪酸結合位置を変えることなく、その構成する脂肪酸の二重結合を減少させることで油脂の融点や硬度を任意に変化させることによって、エステル交換油にはない物性が得られるため、利点が大きく極めて有効な技術である。
また、前記したように水素添加油脂は、オートクレーブと呼ばれる耐圧容器を用いて大容量でバッチ式に製造されることが多いが、通常のニッケル触媒を用いて水添が開始されると急激に反応系の温度が上昇するため、通常は180℃付近を越えると冷却水で温度上昇を抑えて水素添加反応を継続させている。
しかし、加速度的に上昇する反応温度を一定の範囲内に制御することは、非常に困難であり、いわゆる通常のニッケル触媒を用いた水素添加油脂の水素添加反応を80℃未満の低温で行なうことは、実際に工業的に行なうことはできなかった。
この発明の課題は、上記した従来の水素添加技術における問題点を解決して、油脂の可塑性や酸化安定性を高めるために多価不飽和脂肪酸を含む様々な油脂に対して水素添加を行なう際に、トランス酸を極力発生させない水素添加油脂の製造方法とすることであり、しかも実用性の高い製造方法または水素添加油脂の製造装置とすることである。
本願の発明者らは、硬化油の製造条件を低温でありかつ従来の予想を超える厳密にコントロールされた条件下で行なうことにより、そしてそれを可能とする装置構造を工夫することによってトランス酸の生成が極めて少ない硬化油の製造方法および装置に係る発明を完成させたものである。
すなわち、前記の課題を解決するために、この発明では、多価不飽和脂肪酸を含む油脂に対し、ニッケル触媒(触媒がニッケル(Ni)であるものをいう。以下同じ)の存在下で水素添加反応を行なう水素添加油脂の製造方法において、前記水素添加反応で低下するヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率が0.5以下であり、かつ前記水素添加反応の温度が60〜75℃であるように、水素添加反応系に対する冷却熱量もしくは水素供給量または両方を調整する水素添加油脂の製造方法としたのである。
上記した工程からなるこの発明の水素添加油脂の製造方法では、油脂温度の上昇率を可及的に押さえて所定値以下、すなわち0〜0.5になるように水素添加反応の速度を制御し、そのために従来の水添処理温度よりも低温の所定温度の範囲内に制御された条件下で水素添加反応することにより、その反応を非選択的なものとしてトランス化を極めて少なくできる。
このように水素添加反応の速度を充分厳密に制御するには、所定温度条件下で反応させるように、主として水素添加反応系に対する冷却熱量を調整し、それでもなお不十分な場合は冷却熱量の調整と共に、水素供給量の水素供給圧力を0.5Mp(ゲージ圧)以下に調整することが好ましい。
水素添加反応系の冷却熱量の制御または水素供給量の制御によってヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率を0.5以下にし、または前記一方の制御では反応速度の制御が不足する場合は、水素供給量と両方で調整して前記油脂温度上昇率および水素添加反応の所定温度範囲に制御することができる。特に、冷却熱量を調整し、それでもなお不十分な場合は、冷却熱量の調整と水素供給量の調整との両方で調整し、前記油脂温度上昇率および水素添加反応の所定温度範囲に制御することが好ましい。
この発明に適用される多価不飽和脂肪酸を含む油脂の例としては、牛脂、ラード(豚脂)、鶏脂、魚油、鯨油、パーム油、分別パーム油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、サフラワー油、綿実油およびコーン油から選ばれる1種以上の油脂である。
この発明に適用される多価不飽和脂肪酸を含む油脂としては、上記した油脂の例において、さらに全脂肪酸100重量%に多価不飽和酸量を30重量%以下含有する油脂を採用する。
このような油脂に対して水素添加を行なう際、この水素添加反応系に対する冷却熱量の調整もしくは水素供給量の調整または両調整を行なうことにより、上記したトランス酸を極力発生させない水素添加油脂の製造方法の特徴が充分に発揮される。このような調整は、製造された水素添加油脂が、反応中に低下したヨウ素価の1単位当りにおけるトランス酸の発生量が0.25重量%以下になるように調整されることである。すなわち水添反応中に異性化に必要な過剰な熱量を供給させないで脂肪酸の異性化を極力抑えるものである。
また、上記したような製造方法に用いることのできる水素添加油脂の製造装置は、多価不飽和脂肪酸を含む油脂の供給路および触媒の供給量を調整可能な供給路が接続された耐圧性の反応容器を設け、この反応容器に攪拌装置を付設して攪拌しながら水素添加反応を連続的に行なわせる水素添加油脂の製造装置とし、この製造装置に前記反応容器内の温度を感知する温度センサーおよびこれに接続された電子制御手段を設け、この電子制御手段により冷却器の水量などの冷媒流量を制御して反応容器からの冷却熱量を調整可能とした水素添加油脂の製造装置を採用することができる。
反応容器内の温度を感知する温度センサーからの温度情報を電子制御手段に入力し、これから発信される温度制御情報を冷却器の循環ポンプに入力してその動作を制御するので、反応容器内の温度に応じて、予め決められた適切な反応容器の冷却熱量に調整可能であり、これにより水素添加反応の温度を、例えば60〜75℃とし、かつ低下するヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率が0.5以下、すなわち0〜0.5である特定の条件に調整できる。
またこのような水素添加油脂の製造装置において、前記電子制御手段を反応容器への水素供給装置に接続し、前記電子制御手段で冷却器の冷媒流量を制御する主調整に加えて前記水素供給装置の水素供給量を制御する補助調整を可能とすることもできる。
このように電子制御手段で冷却器の冷媒流量および水素供給装置を制御すれば、反応容器内の温度および水素圧を精密に制御することが可能となり、トランス酸を極力発生させないで水素添加油脂を製造することができる。
この発明は、水素添加反応の温度が所定範囲でありかつ前記水素添加反応で低下するヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率を所定値以下であるように、冷却熱量およびそれでもなお不十分な場合は水素供給量と両方で調整して水素添加油脂を製造するので、多価不飽和脂肪酸を含む様々な油脂に対して、トランス酸を極力発生させない水素添加油脂の製造方法となり、しかも実用性の高い製造方法となるという利点がある。
また、水素添加油脂の製造装置において、前記電子制御手段を反応容器への水素供給装置に接続し、前記電子制御手段で冷却器の水量などの冷媒流量および水素供給装置を制御して冷却熱量を調整し、不十分な場合は冷却器の冷媒流量と水素供給量との両方で調整可能としたので、反応容器内の温度に応じて、予め決められた適切な反応容器の冷却熱量に調整可能であり、またヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率であるように、水素添加反応の温度を、例えば60〜75℃であり、かつヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率が0.5以下であるように特定の厳密な反応条件に調整でき、これによりトランス酸を極力発生させないで水素添加油脂を製造できる利点がある。
水素添加油脂の製造装置の概略構成を示す説明図
この発明の水素添加油脂の製造方法およびそれを実施するために使用可能な水素添加油脂の製造装置を以下に、図面を参照しながら説明する。
先ず、多価不飽和脂肪酸を含む油脂に対し、触媒の存在下で水素添加反応を行なう水素添加油脂の製造方法においては、前記水素添加反応の温度が60〜75℃でありかつ前記水素添加反応で低下するヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率が0.5以下であるように、冷却熱量およびそれでもなお不十分な場合は水素供給量と両方で調整する。
ここで、この発明に用いる多価不飽和脂肪酸を含む油脂としては、特に限定せずに採用できる周知の食用油脂であり、前記したように牛脂、ラード、鶏脂、魚油、鯨油等の動物油脂、パーム油、分別パーム油、大豆油、菜種油、ヒマワリ油、サフラワー油、綿実油、コーン油などであり、またはこれらから選ばれる1種以上の油脂も採用できる。
また、この発明では、上記の多価不飽和脂肪酸を含む油脂において、全脂肪酸100重量%に多価不飽和酸(以下、ポリエン酸と称する場合がある。)量を30重量%以下含有する油脂であることが好ましく、より好ましくは多価不飽和酸量を25重量%以下含有する油脂である。代表的なものとしてはパーム油、分別されたパーム油、ラード、牛脂、ハイオレインの菜種油、ヒマワリ油などがあるがこれらに限定されるものではない。
また、この発明に用いる触媒は、硬化油の製造に使用可能な周知なものであってもよい。但し、我国の食品衛生法で認可されている食用油脂の硬化触媒としてニッケル触媒があり、ニッケルのフレーク状のものや安定化ニッケルが使用され、市販品としては、堺化学社製のフレーク状ニッケル触媒のSOシリーズ(SO−750、SO−450など)などが挙げられる。
この発明の水素添加油脂の製造方法においては、前記水素添加反応の温度を60〜75℃に所定の方法で調整する。なぜなら、60℃未満の反応温度では、反応速度が極端に遅くなり実用的ではない。75℃を越える高温ではトランス異性体の増加が大きくなりすぎ、かつまた反応速度が温度に比例して速くなり温度コントロールが困難になって所期の目的を達せられないからである。
また、この発明では、水素添加反応で低下するヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率が0.5以下であるように所定の方法で調整する。なぜなら、ヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率が0.5を超える状態では、トランス異性体の増加が大きくなりこの発明の所期の目的を達せられないからである。
また、この発明では、水素添加反応系に対する冷却熱量もしくは水素供給量または両方を調整する。
冷却熱量を調整するには、具体的には反応装置の反応容器中の油温を検出し、それに対応して冷却器の水流量を制御する。その制御能力が限界に近くなる場合は供給する水素を停止して反応自体を制御する。
反応装置を用いて水素供給量を調整するには、反応容器内に通じる管路の水素供給圧力、すなわち反応容器内の水素圧を0.5Mp(ゲージ圧)以下とし、反応温度を60〜75℃、好ましくは65〜75℃に調整する。
ここで、水素添加油脂の製造装置の構成およびその使用について説明する。
図1に示すように、水素添加油脂の製造装置は、多価不飽和脂肪酸を含む油脂の供給路1および触媒の供給路2が接続され、かつ熱交換器のコイル状に配管された冷却コイル3およびチリングユニット4を有する冷却器5が付設され、かつ時間当たりの水素供給量を調整可能な水素の供給路6が付設された耐圧性の反応容器7を設け、この反応容器7に攪拌機8を設けて反応系(原料油脂と触媒等の混合物)Aを攪拌しながら水素添加反応を連続的に行なわせる水素添加油脂の製造装置である。
そして、この製造装置には、反応容器7内の温度を感知する温度センサー9および水素の供給路6に接続された圧力センサー10を設け、これらの温度情報および圧力情報に基づいて制御信号を発信する電子コントローラ11(横河電気社製:デジタル指示調節計)を設け、この電子コントローラ11により循環ポンプ17の動作および流量調整弁15の動作を制御して反応系Aに対する冷却熱量および水素供給量を調整可能とした水素添加油脂の製造装置である。
ここで、前記した原料となる油脂は、図外の計量槽より油脂の供給路1に移送されて反応容器7に引き込まれ、反応容器7内は真空ポンプ12により充分に減圧された後、油脂は反応開始温度まで加温される。
ニッケル触媒は、触媒ホッパー2aから投入されて反応容器7内に供給され、次いで攪拌機8により充分に分散される。攪拌機8は、電動モータで駆動され回転する攪拌翼を供えるなどの周知構造のものであり、回転翼の回転速度を上げることにより水素添加反応が開始される。
水添反応に用いる水素は、図外のタンクから水素流量計13を経由し、さらに水素の供給路6および流量調整弁15を経由して反応容器7内の水素吹き込み管16より泡状となって液状の反応系A内に導入される。圧力センサー10が所定の圧力になると電子コントローラ11の制御動作により流量調整弁15が開閉され水素供給量は調整される。また、水素添加反応の進行度合いは、水素カウンター14により積算され、水素供給量の総量によって確認される。
水素添加反応が開始されると、反応熱による温度上昇を温度センサー9が感知し、電子コントローラ11の制御により、冷却水などの熱媒体が循環ポンプ17より冷却コイル3に所要流量だけ供給されて反応温度が制御される。また、循環された冷却水はチリングユニット4で冷却され、冷却水として再使用される。因みにチリングユニット4は、蒸気圧縮装置などを1台の架台に組み込んだ水などの熱媒体の冷却装置である。
また、水などの熱媒体による温度制御が不十分な場合に限って、電子コントローラ11の制御により水素の流量調整弁を調整して反応に使用される水素の量を減らし、水などの熱媒体による温度制御と連動した複合的な温度制御を行なっても良い。
反応を終了させるには、攪拌機8の回転翼の回転速度を下げることにより水素添加反応は終了され、水素添加された油脂は濾過タンクへと移送される。
[実施例1〜4、6、7
容量2リットルの反応容器(以下、オートクレーブと称する。)に原料油脂1kgを仕込み、フレーク状のニッケル触媒(堺化学株式会社製:SO−750、SO−450)を所定量加えて反応開始温度まで加温した。水素添加反応においては、表1中に示す所定の反応温度範囲内にて反応させるために、オートクレーブのジャケットへ冷却水を流し、表1中に示す反応温度範囲、温度上昇率などの反応条件における水素添加反応を厳密な管理下で行なって硬化油を製造し、得られた硬化油のヨウ素価およびトランス酸含量を表1中に併記した。
なお、ヨウ素価は基準油脂分析試験法2.3.4.1−1996ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)により、トランス酸量は、基準油脂分析試験法暫17−2007トランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法)に従い測定した。但し、精製魚油および精製魚油の硬化油のトランス酸含量は、基準油脂分析試験法暫9−2003孤立トランス異性体(差赤外スペクトル−シクロヘキサン法)に従い測定した。
表中、トランス酸上昇は、水素添加反応で低下するヨウ素価の1単位当りに増加するトランス酸の量を以下の数1の式により算出したものである。
Figure 0004675428
また、表中に示す油脂温度上昇率とは、ヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率を示し、その計算式は、以下の数2の式に示される通りである。
Figure 0004675428
なお、原料油脂としては、精製パーム油(ヨウ素価:50.8、トランス酸:0.2%)、精製豚脂(ヨウ素価:59.0、トランス酸:1.4%)、精製魚油(ヨウ素価:153.4、トランス酸:2.1%)、精製ハイオレイン菜種油(ヨウ素価:100.9、トランス酸:0.6%)、精製菜種油(ヨウ素価:114.0、トランス酸:1.1%)を用いた。
[比較例1、2]
表1に示す原料油脂1kgを容量2リットルのオートクレーブに仕込み、フレーク状のニッケル触媒(堺化学株式会社製:SO−750)を所定量加えて反応開始温度まで加温した。水素添加反応においては、反応温度が異常に高くなると油脂の劣化や反応が制御不能となり製造上危険を伴うため、ヨウ素価の低下が大きい反応においてはオートクレーブのジャケットへ冷却水を流すことにより反応温度上昇を抑え、ヨウ素価の低下が小さい反応においては冷却せずに表1に記載の各種条件で水素添加反応を行い、硬化油を作成した。得られた硬化油のヨウ素価、トランス酸量を表1中に示した。
Figure 0004675428
表1の結果からも明らかなように、冷却水を流すことにより油脂温度上昇率を0.22〜0.5に調整し、かつ反応の温度を60〜75℃に調整して製造した実施例1〜4、6、7の硬化油では、トランス酸含有量は1.6〜4.1%の範囲で低く優れた硬化油となった。
一方、反応温度が所定範囲を超える高温であり、かつヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率が所定値より高い比較例1、2では、トランス酸含有量は13.4〜39.1%という高い硬化油であった。
[実施例9]
実施形態にて説明した製造装置にて水素添加を行った。原料油脂として精製パーム油(ヨウ素価: 51.5 、トランス酸:0.2%)7tをオートクレーブに仕込み、フレーク状のニッケル触媒(堺化学株式会社製:SO−750)を所定量加えて反応開始温度まで加温した。水素添加反応は、表2中に記載した所定の反応温度内その他の条件で反応するように、オートクレーブの冷却コイルへあらかじめ10℃に冷却された冷却水を流し、それでも不充分な場合は加圧状態にある水素圧を低下させる調整をすることによって反応速度を調整し、このような厳密な温度管理の下で水素添加反応を行って硬化油を作成した。得られた硬化油のヨウ素価、トランス酸量を表2中に併記した。
[比較例3]
原料油脂として実施例9と同じ精製パーム油(ヨウ素価:51.5 、トランス酸:0.2%)7tをオートクレーブに仕込み、フレークニッケル触媒(SO−750 :堺化学株式会社製)を所定量加えて反応開始温度まで加温した。水素添加反応は、ヨウ素価の低下が小さい反応であったため、冷却を行わずに表2中に記載した反応温度その他の各種条件で行なって硬化油を製造した。得られた硬化油のヨウ素価、トランス酸量を表2中に併記した。
Figure 0004675428
表2の結果からも明らかなように、冷却熱量および水素供給量の両方を調整することにより油脂温度上昇率を0.5に調整し、かつ反応の温度を70〜74℃に調整して製造した実施例9の硬化油は、トランス酸含有量は2.5%で低く優れた硬化油となった。
一方、反応温度が所定範囲を超える140〜156℃という高温であり、かつヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率が1.7であって所定値の0.5より高い比較例3では、トランス酸含有量は11.5%という高い硬化油であった。
1 油脂の供給路
2 触媒の供給路
2a ホッパー
3 冷却コイル
4 チリングユニット
5 冷却器
6 水素の供給路
7 反応容器
8 攪拌装置
9 温度センサー
10 圧力センサー
11 電子コントローラ
12 真空ポンプ
13 水素流量計
14 水素カウンター
15 流量調整弁
16 水素吹き込み管
17 循環ポンプ

Claims (3)

  1. 全脂肪酸100重量%に多価不飽和酸量を30重量%以下含有する油脂に対し、ニッケル触媒の存在下で水素添加反応を行なう水素添加油脂の製造方法において、
    前記水素添加反応の温度が60〜75℃でありかつ前記水素添加反応で低下するヨウ素価の1単位当りの油脂温度上昇率が0.22〜0.5であるように、水素添加反応系に対する冷却熱量の調整および水素添加反応系に対する水素供給圧力を0.5Mp以下にする水素供給量の調整をすることを特徴とする水素添加油脂の製造方法。
  2. 全脂肪酸100重量%に多価不飽和酸量を30重量%以下含有する油脂が、牛脂、ラード、鶏脂、パーム油、分別パーム油、ハイオレイン菜種油およびハイオレインヒマワリ油から選ばれる1種以上の油脂である請求項1に記載の水素添加油脂の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の水素添加油脂の製造方法において、
    水素添加反応で増加するトランス酸の量が、前記水素添加反応で低下するヨウ素価の1単位当り0.25重量%以下であるように冷却熱量の調整および水素添加反応系に対する水素供給圧力を0.5Mp以下にする水素供給量の調整をする水素添加油脂の製造方法。
JP2010030285A 2010-02-15 2010-02-15 水素添加油脂の製造方法 Active JP4675428B1 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010030285A JP4675428B1 (ja) 2010-02-15 2010-02-15 水素添加油脂の製造方法
PCT/JP2011/051091 WO2011099345A1 (ja) 2010-02-15 2011-01-21 水素添加油脂の製造方法
CN201180009485.5A CN102770521B (zh) 2010-02-15 2011-01-21 加氢油脂的制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010030285A JP4675428B1 (ja) 2010-02-15 2010-02-15 水素添加油脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP4675428B1 true JP4675428B1 (ja) 2011-04-20
JP2011162744A JP2011162744A (ja) 2011-08-25

Family

ID=44080046

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010030285A Active JP4675428B1 (ja) 2010-02-15 2010-02-15 水素添加油脂の製造方法

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP4675428B1 (ja)
CN (1) CN102770521B (ja)
WO (1) WO2011099345A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103861596A (zh) * 2012-12-10 2014-06-18 正大能源材料(大连)有限公司 一种镍基加氢催化剂的制备方法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
MY171340A (en) * 2012-11-14 2019-10-09 J Oil Mills Inc Sweetness and/or milk flavor enhancer
KR101356705B1 (ko) * 2013-06-10 2014-02-04 대원산업 주식회사 선택적 경화를 이용한 경화지방산의 제조방법
CN106978261A (zh) * 2017-04-26 2017-07-25 东北农业大学 一种制取高油酸氢化大豆油脂的方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02263900A (ja) * 1989-04-05 1990-10-26 Snow Brand Milk Prod Co Ltd エライジン酸含量の少ない水素添加食用油の製造方法
CN1079503A (zh) * 1992-06-04 1993-12-15 湖北师范学院 不饱和油脂加氢催化剂
DE4425180C2 (de) * 1994-07-16 1997-05-07 Henkel Kgaa Verfahren zur Herstellung ungesättigter Fettalkohole oder deren veresterte, alkoxylierte und/oder sulfatierte Derivate mit verbessertem Kälteverhalten
CN1229178C (zh) * 2003-02-26 2005-11-30 郑州大学 食用油脂氢化单元镍催化剂制备方法
CN1487065A (zh) * 2003-08-20 2004-04-07 东营市顺利化工有限责任公司 油脂变压催化氢化工艺
JP2008143832A (ja) * 2006-12-08 2008-06-26 New Japan Chem Co Ltd 脂環式アミン又は飽和複素環式アミンの製造方法
US7910758B2 (en) * 2007-01-02 2011-03-22 H R D Corporation Catalytic hydrogenation process for the production of low trans fat-containing triglycerides
CN101108999B (zh) * 2007-08-21 2010-12-29 华东理工大学 一种氢化油脂及其制备方法
JP5466378B2 (ja) * 2008-06-19 2014-04-09 ミヨシ油脂株式会社 硬化油脂の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103861596A (zh) * 2012-12-10 2014-06-18 正大能源材料(大连)有限公司 一种镍基加氢催化剂的制备方法
CN103861596B (zh) * 2012-12-10 2016-12-21 正大能源材料(大连)有限公司 一种镍基加氢催化剂的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN102770521A (zh) 2012-11-07
WO2011099345A1 (ja) 2011-08-18
JP2011162744A (ja) 2011-08-25
CN102770521B (zh) 2014-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7820841B2 (en) Low trans-fatty acid fat compositions; low-temperature hydrogenation, e.g., of edible oils
US7585990B2 (en) Low trans-fatty acid fat compositions; low-temperature hydrogenation, e.g., of edible oils
JP5410989B2 (ja) 低トランス脂肪を含むトリグリセリドの生産のための方法及び触媒
CN101591586B (zh) 棕榈油二次分提产品及其制备方法
JP4675428B1 (ja) 水素添加油脂の製造方法
JP5466378B2 (ja) 硬化油脂の製造方法
JP2006320275A (ja) 低トランス酸含量の硬化油製造法
Beers Low trans hydrogenation of edible oils
US3792067A (en) Continuous hydrogenation of fatty materials
JP2007530071A (ja) 微量栄養素が豊富でトランス型脂肪酸を含まないショートニング生成物の製法
JP5077438B2 (ja) 可塑性油脂組成物の製造方法
Sourelis The hydrogenation process
JP2012125171A (ja) フライ用油脂
Alsobaai et al. Hydrogenation of Malaysian Palm Mid Fraction on Pricat Nickel Catalyst Using Pilot and Industrial Units
Sattarov Obtaining target dietary fats in the technology of step-by-step hydrogenation and their use
JP4955825B1 (ja) 水産動物油含有水素添加油脂の製造方法
JP2002012887A (ja) 油っこさ低減用油脂組成物
RU2223307C1 (ru) Способ получения гидрированных масел
JPH02263900A (ja) エライジン酸含量の少ない水素添加食用油の製造方法
JPS62263292A (ja) 迅速溶融性脂肪を製造する水素添加法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140204

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4675428

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250