JP4674835B2 - 接触・非接触共用型icチップ、該icチップを搭載した電子情報記録媒体、及び該電子情報記録媒体制御装置。 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は接触/非接触共用型ICチップ、該ICチップを搭載した電子情報記録媒体、及び該電子情報記録媒体制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、CPU(演算処理ユニット)、不揮発性メモリ(ROM、EEPROM等)、揮発性メモリ(RAM)等を有するICチップを組み込んだICカードは、データの通信を接点を介して行う接触型ICカードと、アンテナを介して電磁誘導方式等で行う非接触型ICカードに分類され、主に、接触型ICカードは決済用途、非接触型ICカードは、交通システム等のゲート・アクセス管理に用いられている。
【0003】
また、近年、接触型ICカードの機能と、非接触ICカードの機能を併せ持つ電子情報記録媒体が開発されている。すなわち、図9に示すように、複数領域からなる接点1、カードに設けられたアンテナ2が接触インタフェース3、非接触インタフェース4を介してマイコン(演算処理装置)5に接続され、同一のメモリ6にアクセス可能に構成され、図10(図10(a)は平面図、図10(b)は断面図)に示すように、このようなIC実装基板7がカード8に組み込まれ、カード8の周囲に沿ってアンテナ2が設けられて導電性接着剤9でIC実装基板のチップに接続されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
非接触通信方式のICカードでは、ICカードをリーダ/ライタに近づけるだけで電子情報の送受信が可能であるため、利便性が向上する反面、ICカードの所持者の意識と無関係にICカードがリーダ/ライタと通信を行ってしまうため、セキュリティ性が劣ってしまうという問題があった。また、セキュリティ性をあげるために、通信可能距離を短くし、所持者が意識的にリーダ/ライタに近づけた場合のみ電子情報の送受信を可能とした場合、所持者の利便性が損なわれてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためのもので、接触・非接触共用型ICチップを用いて、利便性を損なうことなく、セキュリティ性をあげられるようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のICチップ、該ICチップを搭載した電子情報記録媒体は、接触通信処理機能と非接触通信処理機能をともに有して電子情報記録媒体制御装置と接触式又は非接触式で通信可能であり、接触通信処理部のいずれかの端子に所定の電圧が印加されている場合のみ、或いは、接触通信処理部のいずれかの端子に所定の電圧が印加されている場合にICチップ内の所定のメモリ領域のフラグが切り替わり、このフラグが所定の値である場合のみ、或いは、接触通信処理部を介して特定のデータが入力された場合のみ、非接触通信処理機能が有効となり、利便性を損なうことなく、セキュリティ性をあげられるようにするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1はICチップを組み込んだ電子情報記録媒体がカードに取り外し可能に取り付けられている状態を説明する図、図2はIC実装基板の構成例を説明する図である。
図1において、カード10には取り外し可能領域13が形成され、ここにIC実装基板11が組み込まれている。IC実装基板11には、データの通信を行うための接触端子とともに、非接触通信を行うためのアンテナ12が接続されており、データ処理を行うCPUとメモリを有するICチップが取り付けられている。そして、ICチップがカード10に取り付けられた状態のまま、或いは取り外し可能領域でカード10から取り外した状態で、データの読み出し/書き込みが可能で電子決済、ゲート・アクセス管理等に適用可能な電子情報記録媒体として機能する。なお、図1(a)はアンテナ12がIC実装基板の外側に形成されてアンテナコイル端子がICチップに接続されている例であり、図1(b)はアンテナコイル12がIC実装基板上に形成されている例を示したものであり、機能的には両者とも同じであるが、図1(b)の場合には接触用端子を形成する同じ工程の中でアンテナコイルを形成(通常、エッチング処理工程で形成)することが可能である。
【0008】
図2は図1(b)に示したIC実装基板の構成例を示す図で、基板の一方の面に接触用端子14が形成され、反対側の面にICチップ15と、その周囲にアンテナコイル12が形成され、アンテナコイル12、接触用端子14はそれぞれICチップ15に接続されている。
【0009】
図3は本発明の電子情報記録媒体を携帯電話機に搭載した概念図である。
図1の取り外し可能領域でカード10から取り外した電子情報記録媒体30は、個人情報を格納したプラグイン形状の加入者識別モジュール(Subscriber Identify Module:略してSIM)として携帯電話機20に組み込まれる。携帯電話機20は、携帯電話としての処理を行う制御情報が格納されたICチップ21、携帯電話ネットワークと通信するためのアンテナ22、ディスプレイ23を有しており、ICチップ21は電子情報記録媒体30と接触式、或いは非接触式に通信可能であり、電子情報記録媒体30における処理結果やメモリの内容は随時ディスプレイ23に表示される。
【0010】
電子情報記録媒体30は、携帯電話機の電源から所定の電圧が印加されたとき、例えばスイッチの切り替えで所定の電圧が印加された場合、あるいは所定の電圧が印加されてICチップ内の所定のメモリ領域のフラグが「0」から「1」に切り替わったとき非接触通信でリーダ/ライタ40との通信が可能である。また、図4に示すように、携帯電話機の操作ボタン24のうち特定のボタン、例えばボタンBを操作すると、書き換えできないメモリ領域2に格納されているデータAがメモリ領域1に書き込まれ、メモリ1とメモリ2の内容が一致していることを条件に、非接触通信でリーダ/ライタ40との通信が可能になっており、特定のボタン以外のボタンを操作した場合や、特定ボタンの操作から一定時間経過した場合にはメモリ2の内容とは異なるデータBが自動的に書き込まれて非接触通信できないようになっている。
【0011】
なお、上記の例では携帯電話機に電子情報記録媒体をセットするようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、赤外線や電波等による通信機能、表示機能を有して電子情報記録媒体をセットできる任意の小型電子装置等の電子情報記録媒体制御装置に搭載可能である。
(実施例1)
上記したように、本発明の電子情報記録媒体は、接触機能と非接触機能をともに有するICチップと、ICチップに接続された接触用端子と、アンテナを有しており、カード状の形態からICチップを有する特定の領域が取り外し可能になっている。
【0012】
このICチップは、接触通信機能と非接触通信機能をともに有し、さらに、図5の処理フローに示すように、接触用端子に接続された電源電圧供給用のVcc端子の電圧が5V以上か否か判断し(ステップS1)、5V以上の電圧がVcc端子に印加された場合は、ICチップメモリ内の非接触動作判定フラグを「0」から「1」に切り替え(ステップS2)、5V未満の電圧が印加された場合は、非接触動作判定フラグを「1」から「0」に切り換え(ステップS3)、非接触動作判定フラグが「1」の場合のみ、非接触通信動作を可能としている。
【0013】
携帯電話機のような電子情報記録媒体制御装置は、電子情報記録媒体がセット可能であるとともに、セットしたとき電子情報記録媒体の接触端子との電気接点を有する構造になっている。また、電子情報記録媒体制御装置は、図3に示したように、操作ボタンを有しており、例えば、ボタンBを押している間、電気接点を介して電子情報記録媒体30のVcc端子に5V以上の電圧が印加される。この状態で非接触通信機能を有するリーダ/ライタ40に近づけたときの非接触通信処理は、図6に示すように、電子情報記録媒体30に備えられているアンテナを通じてリーダ/ライタ40よりコマンド(処理命令)を受信した場合(ステップS11)、電子情報記録媒体30は、非接触動作判定フラグが「1」か否か判定する(ステップS12)。電子情報記録媒体制御装置(携帯電話機20)のボタンBを押している場合は、非接触動作判定フラグが「1」となり、コマンド処理を実行し(ステップS13)、ICチップ内部で正常処理されたか否か判定し(ステップS14)、正常処理された場合には、正常レスポンスをリーダ/ライタに送信する(ステップS15)。電子情報記録媒体制御装置に設けられたボタンB以外のボタンを押している場合、もしくは、何のボタンも押していない場合、非接触動作判定フラグは「0」となり、電子情報記録媒体は、リーダ/ライタから受信したコマンド処理を実行せず、リーダ/ライタに対して無応答となり(ステップS16)、また、ステップS14で正常処理が行われない場合にはエラーレスポンスをリーダ/ライタへ送信する(ステップS17)。
【0014】
本実施例に記載の電子情報記録媒体及び電子情報記録媒体制御装置を用いることにより、使用者は非接触での通信処理を行いたいときだけ、電子情報記録媒体に設けられたボタンを押すことにより処理を行うことが可能となり、使用者の意識と無関係に非接触の通信が行われるという危険性を防ぐことが可能となり、利便性を損なうことなくセキュリティ性をあげることが可能となる。
(実施例2)
上記したように、電子情報記録媒体30は、図3、図4に示したように、携帯電話機等の電子情報記録媒体制御装置の特定のボタンが操作されたとき、メモリ領域2に格納されているデータAがメモリ領域1に書き込まれ、メモリ1とメモリ2の内容が一致していることを条件に、非接触通信でリーダ/ライタ40との通信が可能になっており、特定のボタン以外のボタンを操作した場合や、特定ボタンの操作から一定時間経過した場合にはメモリ2の内容とは異なるデータが自動的に書き込まれて非接触通信できないようになっている。
【0015】
ボタン操作時の処理フローを図7により説明する。
本発明の電子情報記録媒体制御装置には、ボタンが備えられており、その中で特定のボタンBが操作されたか否か判断し(ステップS21)、ボタンBが押された場合のみ、電気接点を介して電子情報記録媒体のメモリ2に格納されているデータAがメモリ1に書き込まれる(ステップS22)。そして、ボタン操作してから所定の時間T1が経過したか否か判断して(ステップS23)、時間T1が経過すると、ボタン操作と無関係にメモリ1にデータBが書き込まれる。なお、メモリ2に書き込まれているデータAは、ボタン操作では書き換えることはできない。また、ステップS21において、操作されたボタンがBでない場合には、操作したボタンに対応する電子情報記録媒体制御装置における処理が実行される(ステップS25)。
【0016】
図8は非接触通信処理フローを説明する図である。
電子情報記録媒体制御装置にセットされた電子情報記録媒体を非接触通信機能を有するリーダ/ライタに近づけ、電子情報記録媒体が有するアンテナを通じてリーダ/ライタからコマンド(処理命令)を受信すると(ステップS31)、電子情報記録媒体は、メモリ1のデータとメモリ2のデータとを比較して同じか否か判断する(ステップS32)。電子情報記録媒体制御装置のボタンBを操作した場合は、メモリ1にはメモリ2のデータAが書き込まれ、メモリ1のデータとメモリ2のデータとが一致し、コマンド処理が実行され(ステップS33)、次いで、ICチップ内部で正常処理がなされたか否か判断し(ステップS34)、正常処理がなされた場合には、正常レスポンスをリーダ/ライタに送信する(ステップS35)。電子情報記録媒体制御装置のボタンB以外のボタンを操作している場合や何のボタンを操作しない場合、或いはボタンBを操作してから一定時間T1を経過した場合、メモリ1のデータはデータBになっており、ステップS32においてメモリ1のデータとメモリ2のデータとは一致しないため、電子情報記録媒体は、リーダ/ライタから受信したコマンド処理を実行せす、リーダ/ライタに対して無応答となる(ステップS36)。また、ステップS34において正常処理が行われなかった場合には、電子情報記録媒体はリーダ/ライタに対してエラーレスポンスを送信する(ステップS37)。
【0017】
本実施例に記載の電子情報記録媒体及び電子情報記録媒体制御装置を用いることにより、使用者は、非接触での通信処理を行いたい時だけ、電子情報記録媒体のボタンを操作することにより、処理を行うことが可能となるため、使用者の意識と無関係に非接触の通信が行われるという危険性を防ぐことが可能となるとともに、ボタンを押しつづける必要がなくなり、さらに利便性を高めるとともに、セキュリティ性をあげることが可能となる。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、使用者の意識と無関係に非接触の通信が行われるという危険性を防ぐことが可能となるとともに、ボタンを押しつづける必要がなくなり、さらに利便性を高めるとともに、セキュリティ性をあげることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カードに取り外し可能に取り付けられたIC実装基板を説明する図である。
【図2】 IC実装基板の構成を示す図である。
【図3】 携帯電話機にセットした電子情報記録媒体とリーダ/ライタとの通信を説明する概念図である。
【図4】 ボタン操作時のデータ書き込みを説明する図である。
【図5】 非接触動作判定フラグの書き換え処理フローを示す図である。
【図6】 非接触通信処理フローを説明する図である。
【図7】 ボタン操作時の処理フローを説明する図である。
【図8】 非接触通信処理フローを説明する図である。
【図9】 従来の接触型ICカードの機能と、非接触ICカードの機能を併せ持つ電子情報記録媒体を説明する図である。
【図10】 従来の電子情報記録媒体を説明する図である。
【符号の説明】
10…カード、11…IC実装基板、12…アンテナ、13…取り外し可能領域、14…接触用端子、15…ICチップ、20…携帯電話機、30…電子情報記録媒体、40…リーダ/ライタ。
Claims (10)
- 接触用端子を備えた接触通信処理部とアンテナコイルを備えた非接触通信処理部とを有するICチップであって、接触通信処理部のいずれかの端子に所定の電圧が印加されている場合のみ非接触通信処理部の機能が有効となることを特徴とするICチップ。
- 接触用端子を備えた接触通信処理部とアンテナコイルを備えた非接触通信処理部とを有するICチップであって、接触通信処理部のいずれかの端子に所定の電圧が印加されている場合、ICチップ内の所定のメモリ領域の非接触動作判定フラグが切り替わり、前記非接触動作判定フラグが所定の値である場合のみ非接触通信処理機能が有効となることを特徴とするICチップ。
- 請求項1または2記載のICチップを具備する電子情報記録媒体。
- 形状がカード型であることを特徴とする請求項3記載の電子情報記録媒体。
- 請求項4記載の電子情報記録媒体は、ICチップを有する特定の領域が取り外し可能な構造であることを特徴とする電子情報記録媒体。
- 請求項3記載の電子情報記録媒体がセット可能であり、電子情報記録媒体との電気的接点を有することを特徴とする電子情報記録媒体制御装置。
- 請求項3記載の電子情報記録媒体がセット可能であり、電子情報記録媒体と接触式及び/又は非接触式でデータの送受信が可能であることを特徴とする電子情報記録媒体制御装置。
- プッシュ式またはタッチ式のボタン、もしくはスイッチを有するとともに、所定のボタンを押している場合、もしくは所定のボタン操作を行った場合、もしくはスイッチの切り替えを行った場合のみ、電子情報記録媒体のいずれかの接触端子に所定の電圧が印加され、電子情報記録媒体の非接触通信処理機能が有効となることを特徴とする請求項6または7記載の電子情報記録媒体制御装置。
- プッシュ式またはタッチ式のボタンを有するとともに、所定のボタン操作を行った場合のみ、電子情報記録媒体のいずれかの接触端子に所定の電圧が印加されて電子情報記録媒体内の所定のメモリ領域の非接触動作判定フラグが切り替わり、前記非接触動作判定フラグが所定の値である場合のみ電子情報記録媒体の非接触通信処理機能が有効となることを特徴とする請求項6または7記載の電子情報記録媒体制御装置。
- ボタン操作を行ってから所定の時間が経過した際に、前記他のメモリ領域の書き込みデータの消去もしくは変更がなされることを特徴とする請求項9記載の電子情報記録媒体制御装置。
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