JP4674528B2 - 画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム - Google Patents

画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム Download PDF

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Description

本発明は、画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、撮像ボケに起因する画像劣化(ボケ画像)を抑制することで、フレームレート変換後の映像をより一段と鮮明に表示させることができる画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。
近年、映像(動画像)を表示するための映像信号変換装置において、入力側のテレビジョン方式と出力側のテレビジョン方式との間でフレームまたはフィールド周波数が一定の同期関係がない場合でも、映像の品質を劣化させずに表示させる手法として、フレームレートを調整する手法(以下、フレームレート変換手法と称する)が考えられている(特許文献1参照)。
特開平7-59054号公報
しかしながら、特許文献1等の従来のフレームレート変換手法を利用してフレームレートを増やす場合には、撮影時に発生する動きボケ(以下、撮像ボケと称する)についての考慮がなされていなかった。これにより、撮像ボケに起因する画像劣化(ボケ画像)は特に改善されずにそのまま残り、その結果、鮮明な映像を表示装置に表示させることは困難になるという課題があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、撮像ボケに起因する画像劣化(ボケ画像)を抑制することで、フレームレート変換後の映像をより一段と鮮明に表示させることができるようにするものである。
なお、撮像ボケに起因する画像劣化(ボケ画像)を抑制することで、フレームレート変換後の映像をより一段と鮮明に表示させることができる画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムとしては、本発明人により既に発明され、特願2004−234051号として既に出願されているものもある。そこで、本発明では、特願2004−234051号の出願に係る画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムとは異なる構成またはステップを備える、画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムを提供することを目的にする。
本発明の画像処理装置は、所定の撮影装置により撮影された動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、撮影装置により動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出して取得するか、または、外部から取得する画像処理装置であって、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のそれぞれの画素値を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。詳細には、補正手段は、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定し、注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値を取得する取得手段と、パラメータの値のうちの注目画素に対応する値に基づいて、取得手段により取得された入力画素値のうちの、注目画素よりも第1の方向側に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された算出範囲に含まれる入力画素値の平均値を、第1方向画素平均画素値として算出する第1の平均値算出手段と、パラメータの値のうちの注目画素に対応する値に基づいて、取得手段により取得された入力画素値のうちの、注目画素よりも第1の方向とは逆方向の第2の方向側に位置するk個の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された算出範囲に含まれる入力画素値の平均値を、第2方向画素平均画素値として算出する第2の平均値算出手段と、第1の平均値算出手段により算出された第1方向画素平均画素値、注目画素の入力画素値、および、第2の平均値算出手段により算出された第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、注目画素の入力画素値を補正するための補正量を決定する補正量決定手段と、注目画素の入力画素値と、補正量決定手段により決定された補正量とを加算し、その結果得られる加算値を、注目画素の出力画素値として出力する第1の加算手段とを有することを特徴とする。
画像処理装置は、取得手段により取得された入力画素値のうちの、注目画素とその近隣のm個(mは1以上の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値の平均値を、注目画素平均画素値として算出する第3の平均値算出手段をさらに設け、補正量決定手段は、第1方向画素平均画素値と注目画素の入力画素値との差分値を、補正量の第1の候補として決定し、かつ、第2方向画素平均画素値と注目画素の入力画素値との差分値を、補正量の第2の候補として決定する候補決定手段と、第1の軸が画素の配置位置とされ第2の軸が画素値とされた平面上における、第1方向画素平均画素値を示す第1の点、第3の平均値算出手段により算出された注目画素平均画素値を示す第2の点、および、第2方向画素平均画素値を示す第3の点の3点の位置関係を利用して、前記補正量を調整するための調整量を決定する調整量決定手段と、候補決定手段により決定された第1の候補と第2の候補とのそれぞれの値を、調整量決定手段により決定された調整量を利用して調整する調整手段と、調整手段により値が調整された第1の候補および第2の候補、並びに、予め設定されている固定値の中から所定の1つを所定の選抜条件に従って選抜し、選抜された値を補正量として決定する選抜手段とを有するようにすることができる。
調整量決定手段は、第1の点乃至第3の点をその順番で結んだ線の第2の点における2次微分値の絶対値を、第2の軸方向の第1の点と第3の点との間の距離で除算し、その結果得られる除算値を利用して調整量を決定するようにすることができる。
第1の平均値算出手段乃至第3の平均値算出手段のそれぞれは、撮像ボケの特性を示すパラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に応じて、平均値を求めるための算出範囲をそれぞれ可変することができる。
第1の平均値算出手段と第2の平均値算出手段とのそれぞれは、さらに、第1の軸が画素の配置位置とされ第2の軸が画素値とされた平面上における、それぞれが決定した算出範囲に含まれるk個の入力画素値のそれぞれを示す各点を結んだ線の傾きの極性が変化しているか否かを判定し、極性が変化していないと判定した場合、k個の入力画素値をそのまま利用して、第1方向画素平均画素値または第2方向画素平均画素値を算出し、極性が変化していると判定した場合、k個の入力画素値のうちの極性変化後の点が示す入力画素値を補正対象として、極性変化前の点が示す入力画素値に基づいて補正し、k個の入力画素値のうちの、補正対象については補正後の値を利用して、かつ、それ以外については入力画素値をそのまま利用して、第1方向画素平均画素値または第2方向画素平均画素値を算出するようにすることができる。
補正手段は、取得手段、第1の平均値算出手段、第2の平均値算出手段、補正量決定手段、および、第1の加算手段を有する第1の補正手段に加えて、撮像ボケを示す移動平均フィルタの特性を、パラメータの値のうちの注目画素に対応する値に応じて変換し、注目画素を含む所定のブロックの各入力画素値に対して、特性が変換された移動平均フィルタをかけ、その結果得られる注目画素の補正された入力画素値を第1の値として出力する移動平均フィルタリング手段と、注目画素の入力画素値と、移動平均フィルタリング手段から出力された第1の値との差分を演算し、その結果得られる差分値を第2の値として出力する減算手段と、減算手段から出力された第2の値を、注目画素の入力画素値に加算し、その結果得られる加算値を、注目画素の出力画素値として出力する第2の加算手段とを有する第2の補正手段をさらに設けるようにすることができる。
画像処理装置は、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のそれぞれにおける移動ベクトルを、複数の画素のそれぞれに対応するパラメータの値として取得するようにすることができる。
画像処理装置は、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれが撮影装置により撮影されたときの撮影装置のシャッタ速度のそれぞれを、パラメータの値として取得するようにすることができる。
画像処理装置は、動画像におけるアクセスユニットのレートを、現在の第1のレートからそれよりも高い第2のレートに変換する高レート変換処理を実行する高レート変換手段をさらに設け、補正手段は、処理対象のアクセスユニットに対して、高レート変換手段による高レート変換処理が施される前または後に、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のそれぞれの画素値を補正するようにすることができる。
第1のレートは30Hzであり、第2のレートは120Hzであるようにすることができる。
第1のレートは60Hzであり、第2のレート120Hzであるようにすることができる。
第1のレートは60Hzであり、第2のレートは240Hzであるようにすることができる。
第1のレートは50Hzであり、第2のレートは100Hzであるようにすることができる。
第1のレートは50Hzであり、第2のレートは200Hzであるようにすることができる。
本発明の画像処理方法は、所定の撮影装置により撮影された動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、撮影装置により動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出して取得するか、外部より取得する画像処理装置の画像処理装置であって、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のそれぞれの画素値を補正する補正ステップとを含むことを特徴とする。詳細には、補正ステップは、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定し、注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値を取得する取得ステップと、パラメータの値のうちの注目画素に対応する値に基づいて、取得ステップの処理により取得された入力画素値のうちの、注目画素よりも第1の方向側に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された算出範囲に含まれる入力画素値の平均値を、第1方向画素平均画素値として算出する第1の平均値算出ステップと、パラメータの値のうちの注目画素に対応する値に基づいて、取得ステップの処理により取得された入力画素値のうちの、注目画素よりも第1の方向とは逆方向の第2の方向側に位置するk個の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された算出範囲に含まれる入力画素値の平均値を、第2方向画素平均画素値として算出する第2の平均値算出ステップと、第1の平均値算出ステップの処理により算出された第1方向画素平均画素値、注目画素の入力画素値、および、第2の平均値算出ステップの処理により算出された第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、注目画素の入力画素値を補正するための補正量を決定する補正量決定ステップと、注目画素の入力画素値と、補正量決定ステップの処理により決定された補正量とを加算し、その結果得られる加算値を、注目画素の出力画素値として出力する第1の加算ステップとを含むことを特徴とする。
本発明の記録媒体のプログラムは、所定の撮影装置により撮影された動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、撮影装置により動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出して取得するか、または、外部から取得する装置の制御を行うコンピュータに実行させるプログラムであって、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のそれぞれの画素値を補正する補正ステップを含むことを特徴とする。詳細には、補正ステップは、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定し、注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値を取得する取得ステップと、パラメータの値のうちの注目画素に対応する値に基づいて、取得ステップの処理により取得された入力画素値のうちの、注目画素よりも第1の方向側に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された算出範囲に含まれる入力画素値の平均値を、第1方向画素平均画素値として算出する第1の平均値算出ステップと、パラメータの値のうちの注目画素に対応する値に基づいて、取得ステップの処理により取得された入力画素値のうちの、注目画素よりも第1の方向とは逆方向の第2の方向側に位置するk個の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された算出範囲に含まれる入力画素値の平均値を、第2方向画素平均画素値として算出する第2の平均値算出ステップと、第1の平均値算出ステップの処理により算出された第1方向画素平均画素値、注目画素の入力画素値、および、第2の平均値算出ステップの処理により算出された第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、注目画素の入力画素値を補正するための補正量を決定する補正量決定ステップと、注目画素の入力画素値と、補正量決定ステップの処理により決定された補正量とを加算し、その結果得られる加算値を、注目画素の出力画素値として出力する第1の加算ステップとを含むことを特徴とする。
本発明のプログラムは、所定の撮影装置により撮影された動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、撮影装置により動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出して取得するか、または、外部から取得する装置の制御を行うコンピュータに実行させるプログラムであって、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のそれぞれの画素値を補正する補正ステップを含むことを特徴とする。詳細には、補正ステップは、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定し、注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値を取得する取得ステップと、パラメータの値のうちの注目画素に対応する値に基づいて、取得ステップの処理により取得された入力画素値のうちの、注目画素の左方に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された算出範囲に含まれる入力画素値の平均値を、第1方向画素平均画素値として算出する第1の平均値算出ステップと、パラメータの値のうちの注目画素に対応する値に基づいて、取得ステップの処理により取得された入力画素値のうちの、注目画素よりも第1の方向とは逆方向の第2の方向側に位置するk個の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された算出範囲に含まれる入力画素値の平均値を、第2方向画素平均画素値として算出する第2の平均値算出ステップと、第1の平均値算出ステップの処理により算出された第1方向画素平均画素値、注目画素の入力画素値、および、第2の平均値算出ステップの処理により算出された第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、注目画素の入力画素値を補正するための補正量を決定する補正量決定ステップと、注目画素の入力画素値と、補正量決定ステップの処理により決定された補正量とを加算し、その結果得られる加算値を、注目画素の出力画素値として出力する第1の加算ステップとを含むことを特徴とする。
本発明の情報処理装置および方法、記録媒体、並ぶにプログラムにおいては、撮影装置により動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値が1以上取得され、そのパラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のそれぞれの画素値が補正される。詳細には、動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、処理対象のアクセスユニットを構成する複数の画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定され、注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値が取得される。取得された入力画素値のうちの、注目画素よりも第1の方向側に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値が算出範囲として決定され、決定された算出範囲に含まれる入力画素値の平均値が、第1方向画素平均画素値として算出される。また、注目画素よりも第1の方向とは逆方向の第2の方向側に位置するk個の画素のそれぞれの入力画素値の平均値が、第2方向画素平均画素値として同様に算出される。その際、k個は、パラメータの値に応じて決定される。即ち、k個は、パラメータの値に応じて可変する。そして、第1方向画素平均画素値、注目画素の入力画素値、および、第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、注目画素の入力画素値を補正するための補正量が決定され、注目画素の入力画素値と補正量とが加算され、その結果得られる加算値が、注目画素の出力画素値、即ち、注目画素の補正後の画素値として出力される。
以上のごとく、本発明によれば、動画像を構成する各アクセスユニットの各画素の画素値を補正することができる。特に、撮像ボケに起因する画像劣化(ボケ画像)を抑制するように各画素値を補正することができる。従って、フレームレート変換前または変換後の動画像に対して係る補正を行うことで、フレームレート変換後の動画像をより一段と鮮明に表示させることができる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、請求項に記載の構成要件と、発明の実施の形態における具体例との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、請求項に記載されている発明をサポートする具体例が、発明の実施の形態に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の実施の形態中には記載されているが、構成要件に対応するものとして、ここには記載されていない具体例があったとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、具体例が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
さらに、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明が、請求項に全て記載されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明であって、この出願の請求項には記載されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加される発明の存在を否定するものではない。
本発明によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、所定の撮影装置により撮影された動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、前記撮影装置により前記動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出して取得するか、または外部から取得する情報処理装置(例えば、パラメータの値を検出する撮像ボケ特性検出部12を備える図1の画像処理装置1、図23の画像処理装置201、若しくは、図24の画像処理装置202。または、パラメータの値を外部から取得する図25の画像処理装置212若しくは図26の画像処理装置231。ただし、以下、図1の画像処理装置1についてのみ言及する)である。この情報処理装置は、前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、前記パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のそれぞれの画素値を補正する補正手段(例えば、図1の撮像ボケ抑制処理部13)を備えることを特徴とする。詳細には、前記補正手段(例えば、図5、図20、または図21の機能的構成の撮像ボケ抑制処理部13であって、図12のALTI部81を有する撮像ボケ抑制処理部13)は、前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定し、前記注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値を取得する取得手段(例えば、図12のDL部91−1乃至91−n)と、前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する値に基づいて、前記取得手段により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向側に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第1方向画素平均画素値(例えば、図12の値La)として算出する第1の平均値算出手段(例えば、図12の平均値算出部93)と、前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する前記値に基づいて、前記取得手段により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向とは逆方向の第2の方向側に位置する前記k個の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第2方向画素平均画素値(例えば、図12の値Ra)として算出する第2の平均値算出手段(例えば、図12の平均値算出部94)と、前記第1の平均値算出手段により算出された前記第1方向画素平均画素値、前記注目画素の入力画素値(例えば、図12の値N)、および、前記第2の平均値算出手段により算出された前記第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、前記注目画素の入力画素値を補正するための補正量(例えば、図12の値ADD)を決定する補正量決定手段(例えば、図12の補正量決定部95)と、前記注目画素の入力画素値と、前記補正量決定手段により決定された前記補正量とを加算し、その結果得られる加算値を、前記注目画素の出力画素値として出力する第1の加算手段(例えば、図12の加算部96)とを有することを特徴とする。
この本発明の画像処理装置は、前記取得手段により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素とその近隣のm個(mは1以上の整数値)の画素(例えば、図12の例では、m=2。即ち、注目画素の両隣の画素)のそれぞれの入力画素値の平均値を、注目画素平均画素値(例えば、図12の値Na)として算出する第3の平均値算出手段(例えば、図12の平均値算出部92)をさらに設け、前記補正量決定手段は、前記第1方向画素平均画素値と前記注目画素の入力画素値との差分値を、前記補正量の第1の候補(例えば、図12の値ADDL)として決定し、かつ、前記第2方向画素平均画素値と前記注目画素の入力画素値との差分値を、前記補正量の第2の候補(例えば、図12の値ADDR)として決定する候補決定手段(例えば、図12の減算部101と減算部102とからなる候補決定部121)と、第1の軸が画素の配置位置とされ第2の軸が画素値とされた平面上における、前記第1方向画素平均画素値を示す第1の点、前記第3の平均値算出手段により算出された前記注目画素平均画素値を示す第2の点、および、前記第2方向画素平均画素値を示す第3の点の3点の位置関係を利用して、前記補正量を調整するための調整量(例えば、図12の値c)を決定する調整量決定手段(例えば、図12の減算部103乃至調整量算出部109からなる調整量決定部122)と、前記候補決定手段により決定された前記第1の候補と前記第2の候補とのそれぞれの値を、前記調整量決定手段により決定された前記調整量を利用して調整する調整手段(例えば、図12の乗算部110と乗算部111とからなる調整部123)と、前記調整手段により値が調整された前記第1の候補および前記第2の候補、並びに、予め設定されている固定値(例えば「0」)の中から所定の1つを所定の選抜条件に従って選抜し、選抜された値を前記補正量として決定する選抜手段(例えば、図12の固定値発生部112と判別部113とからなる補正量選抜部124)とを有するようにすることができる。
この本発明の情報処理装置において、前記調整量決定手段は、前記第1の点乃至前記第3の点をその順番で結んだ線の前記第2の点における2次微分値の絶対値(例えば、図12のABS部106の出力信号である値b)を、前記第2の軸方向の前記第1の点と前記第3の点との間の距離(例えば、図12の差分絶対値算出部107の出力信号である値h)で除算し、その結果得られる除算値(例えば、除算値b/h)を利用して前記調整量を決定するようにすることができる。
この本発明の情報処理装置において、前記第1の平均値算出手段と前記第2の平均値算出手段とのそれぞれは、さらに、第1の軸が画素の配置位置とされ第2の軸が画素値とされた平面(例えば、図13の平面)上における、それぞれが決定した前記算出範囲(例えば、図13の範囲D)に含まれる前記k個の入力画素値のそれぞれを示す各点(例えば、図13の例では、点132、点133、および点134)を結んだ線の傾きの極性が変化しているか否かを判定し、極性が変化していないと判定した場合、前記k個の入力画素値をそのまま利用して、前記第1方向画素平均画素値または前記第2方向画素平均画素値を算出し、極性が変化していると判定した場合、前記k個の入力画素値のうちの極性変化後の点が示す入力画素値(例えば、図13の例では、点134が示す画素値β)を補正対象として、極性変化前の点が示す入力画素値(例えば、図13の例では、点133が示す画素値α)に基づいて補正し(例えば、後述する式(3)に従って補正し)、前記k個の入力画素値のうちの、補正対象については補正後の値を利用して(例えば、図13の例では、点134が示す画素の画素値としては、後述する式(3)によると、補正後の画素値γ=αを利用して)、かつ、それ以外については入力画素値をそのまま利用して(例えば、図13の例では、点132と点133とのそれぞれが示す画素の画素値αをそのまま利用して)、前記第1方向画素平均画素値または前記第2方向画素平均画素値を算出する(例えば、図13の例では、点131が注目画素を示す点とされているので、画素値αが第2方向画素平均画素値として算出される)ようにすることができる。
前記補正手段は、前記取得手段、前記第1の平均値算出手段、前記第2の平均値算出手段、前記補正量決定手段、および、前記第1の加算手段を有する第1の補正手段(例えば、図12のALTI部81を有する図5の撮像ボケ補償部23)に加えて、前記撮像ボケを示す移動平均フィルタの特性を、前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する前記値に応じて変換し(例えば、周波数領域で考えると、図4に示される特性H2,H3,H4のように変換し)、前記注目画素を含む所定のブロックの各入力画素値に対して、特性が変換された前記移動平均フィルタをかけ、その結果得られる前記注目画素の補正された入力画素値を第1の値として出力する移動平均フィルタリング手段(例えば、図8の移動平均フィルタ部51)と、前記注目画素の入力画素値と、前記移動平均フィルタリング手段から出力された前記第1の値との差分を演算し、その結果得られる差分値を第2の値として出力する減算手段(例えば、図8の減算部52)と、前記減算手段から出力された前記第2の値を、前記注目画素の前記入力画素値に加算し、その結果得られる加算値を、前記注目画素の出力画素値として出力する第2の加算手段(例えば、図8の加算部54)とを有する第2の補正手段(例えば、図8の構成を有する図5のフィルタ部22)とをさらに設けるようにすることができる。
この本発明の画像処理装置は、前記動画像におけるアクセスユニットのレートを、現在の第1のレートからそれよりも高い第2のレートに変換する高レート変換処理を実行する高レート変換手段(例えば、図1の高フレームレート変換部11)をさらに設け、前記補正手段は、処理対象の前記アクセスユニットに対して、前記高レート変換手段による前記高レート変換処理が施される前または後に(例えば、図1の例では後に)、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のそれぞれの画素値を補正するようにすることができる。
本発明によれば、情報処理方法が提供される。この情報処理方法は、所定の撮影装置により撮影された動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、前記撮影装置により前記動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出して取得するか、外部から取得する情報処理装置(例えば、図3のステップS3の処理を実行する上述した本発明の情報処理装置)の情報処理方法であって、前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、前記パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のそれぞれの画素値を補正する補正ステップ(例えば、図3のステップS4)を含むことを特徴とする。詳細には、前記補正ステップは、前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定し、前記注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値を取得する取得ステップ(例えば、図15のステップS21とS22)と、前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する値に基づいて、前記取得ステップの処理により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向側に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第1方向画素平均画素値として算出する第1の平均値算出ステップ(例えば、図15のステップS24)と、前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する前記値に基づいて、前記取得ステップの処理により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向とは逆方向の前記第2の方向側に位置する前記k個の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第2方向画素平均画素値として算出する第2の平均値算出ステップ(例えば、図15のステップS25)と、前記第1の平均値算出ステップの処理により算出された前記第1方向画素平均画素値、前記注目画素の入力画素値、および、前記第2の平均値算出ステップの処理により算出された前記第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、前記注目画素の入力画素値を補正するための補正量を決定する補正量決定ステップ(例えば、図15のステップS26乃至S29)と、前記注目画素の入力画素値と、前記補正量決定ステップの処理により決定された前記補正量とを加算し、その結果得られる加算値を、前記注目画素の出力画素値として出力する加算ステップ(例えば、図15のステップS30)とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、上述した本発明の情報処理方法に対応するプログラムや、そのプログラムを記録した記録媒体も提供される。詳細については後述するが、このプログラムは、例えば、図27のリムーバブル記録媒体311や、記憶部308に含まれるハードディスク等の記録媒体に記録され、図27の構成のコンピュータにより実行される。
以上説明した本発明の画像処理装置は、例えば、テレビジョンシステム全体またはその一構成要素として利用可能である。テレビジョンシステムとは、テレビジョン放送受像機を含む1以上のAV(Audio and Visual)機器からなるシステムを指す。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用される画像処理装置の機能的構成の一例を示している。
この画像処理装置1は、動画像データに対する各種画像処理をアクセスユニット単位で実行する。アクセスユニットとは、フレームやフィールドといった動画像の単位を指し、具体的には例えば、動画像を構成する各コマ全体またはその一部分を指す。なお、ここで言うコマとは、1枚の静止画像を言い、従って、コマ全体がフレームに該当することになる。ただし、以下、説明の簡略上、画像処理装置1は、動画像データに対する各種画像処理をフレーム単位で実行するとする。
この画像処理装置1は、図1に示されるように、高フレームレート変換部11、撮像ボケ特性検出部12、および、撮像ボケ抑制処理部13から構成される。
高フレームレート変換部11には、例えば、テレビジョン放送信号等の動画像信号が、フレーム単位の動画像データとして入力される。
なお、以下、動画像と、それに対応する動画像データとを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて動画像と単に称する。同様に、フレームと、それに対応するフレームデータとを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめてフレームと単に称する。
高フレームレート変換部11は、第1のフレームレートの動画像が入力された場合、その動画像に対して高フレームレート変換処理を施し、その結果得られる、第1のフレームレートよりも高い第2のフレームレートの動画像を撮像ボケ特性検出部12と撮像ボケ抑制処理部13に供給する。
高フレームレート変換処理とは、入力時の第1のフレームレートが出力(表示)時の第2のフレームレートよりも低い場合に実行される処理であって、入力時の動画像を構成する各フレームのそれぞれの間に、新たなフレームを創造してそれぞれ挿入することで、第1のフレームレートをそれよりも高い第2のフレームレートに変換する処理を指す。
なお、第1のフレームレートとは、高フレームレート変換部11に入力された時点の動画像のフレームレートを指す。従って、第1のフレームレートは、任意のフレームレートとなり得るが、ここでは例えば、図示せぬ撮影装置により動画像が撮影されたときのフレームレート、即ち、撮像フレームレートであるとする。
撮像ボケ特性検出部12は、高フレームレート変換部11から供給された動画像を構成する各フレームのそれぞれについて、撮像ボケの特性を示すパラメータの値を検出する。撮像ボケ特性検出部12の検出結果、即ち、撮像ボケの特性を示すパラメータの値は、撮像ボケ抑制処理部13に供給される。
なお、撮像ボケの特性を示すパラメータは、特に限定されず様々なパラメータの採用が可能である。ただし、撮像ボケの特性を示すパラメータの具体例については後述する。
また、1つのフレーム内での、撮像ボケの特性を示すパラメータの値の検出個数も特に限定されない。例えば、1つのフレームに対して、撮像ボケの特性を示すパラメータの値が1つのみ検出されてもよいし、そのフレームを構成する各画素毎に、撮像ボケの特性を示すパラメータの値が1つずつ個別に検出されてもよい。或いは、その1つのフレームが幾つかのブロックに分割され、分割された各ブロック毎に、撮像ボケの特性を示すパラメータの値が1つずつ個別に検出されてもよい。
撮像ボケ抑制処理部13は、高フレームレート変換部11から供給された動画像を構成する各フレームのそれぞれについて、撮像ボケ特性検出部12により検出されたパラメータの値のうちの処理対象のフレームに対応する値に基づいて、処理対象のフレームを構成する各画素値を補正する。即ち、撮像ボケ抑制処理部13は、処理対象のフレームについての撮像ボケの特性(パラメータの値)に応じて、処理対象のフレームの各画素値を、その撮像ボケが抑制されるように補正する。
これにより、各フレームの各画素値が補正されることで撮像ボケが抑制された動画像であって、入力時の第1のフレームレートよりも高い第2のフレームレートに変換された動画像が、撮像ボケ抑制処理部13から画像処理装置1の外部に出力される。
なお、図1の例では、撮像ボケ特性検出部12と撮像ボケ抑制処理部13との組は、高フレームレート変換部11と組み合わせて用いられているが、当然ながら、その組単体で用いることも可能であるし、また、図示せぬ他の機能ブロック(所定の画像処理を施す他の画像処理部)と組み合わせて用いることも可能である。
即ち、撮像ボケ特性検出部12と撮像ボケ抑制処理部13との組だけで、撮像ボケを抑制するという効果を奏することが可能になる。ただし、この効果をより顕著にするためには、撮像ボケ特性検出部12と撮像ボケ抑制処理部13との組に対して、上述したように、高フレームレート変換部11を組み合わせると好適である。以下、この理由について説明していく。
図示せぬ表示装置に表示される動画像が人間の網膜上に像として形成される際にその人間に認識されるボケは、その人間が動画像に含まれる動物体を追従視することによるホールドボケと、その動画像の撮像時に加わる上述した撮像ボケとを組み合わせたものである。
ここでいう撮像ボケの特性は、図4等を参照して後述するように、ローパスフィルタとして表される。即ち、撮像ボケ後の画像信号とは、撮像ボケ前の画像信号(理想的な画像信号)に対してこのローパスフィルタがかけられた信号と等価な信号である。従って、撮像ボケ後の画像信号は、撮像ボケ前の画像信号と比較して、その周波数特性が落ちてしまう。即ち、撮像ボケ後の画像信号においては、撮像ボケ前の画像信号と比較して、高周波数になればなる程ゲインが一般的に落ちてしまう。
ここでいうホールドボケの特性もまた、撮像ボケの特性と同様にローパスフィルタとして表される。即ち、ホールドボケ後の画像信号とは、ホールドボケ前の画像信号(撮像ボケ後の画像信号)に対してこのローパスフィルタがかけられた信号と等価な信号である。従って、ホールドボケ後の画像信号は、ホールドボケ前の画像信号と比較して、その周波数特性が落ちてしまう。即ち、ホールドボケ後の画像信号においては、ホールドボケ前の画像信号と比較して、高周波数になればなる程ゲインが一般的に落ちてしまう。ただし、ホールドボケは、表示装置が固定画素(ホールド)表示装置の時にのみ発生する。
従って、周波数特性が撮像ボケのため既に落ちている撮像ボケ後の画像信号に対して、高フレームレート変換処理を施すことで、ホールドボケを抑制すること自体は可能である。しかしながら、このような高フレームレート変換処理を施したとしても、撮像ボケの劣化は変わらず、最終的に人間の網膜上におけるボケを抑制させるという効果は半減してしまう。このことを、図2を参照して説明する。
図2は、撮影装置(以下、カメラと称する)の撮影範囲内で移動速度4[画素/フレーム]で移動している実物体を撮影した時における、人間の網膜上で形成される像のボケの周波数特性を示している。図2において、横軸は周波数を、縦軸はゲインのそれぞれを示している。ただし、横軸の各値は、ナイキスト周波数が1とされた場合の相対値を示している。
図2において、同図中一点鎖線で示される曲線h0は、ボケ(撮像ボケもホールドボケも含む)を改善するための処理が特に施されていない場合における、人間の網膜上で形成される像のボケの周波数特性を示している。即ち、図1の例では画像処理装置1に入力される動画像が、仮に画像処理装置1に入力されること無く(処理されること無く)そのまま表示装置に供給されて表示された場合に、人間がその動画像を見たときに網膜上で形成される像のボケの周波数特性が、曲線h0である。
これに対して、例えば高フレームレート変換処理により表示速度が倍にされると、ホールドボケのみは改善され、その結果、人間の網膜上で形成される像のボケの周波数特性は、同図中点線で示される曲線h1になる。即ち、図1の画像処理装置1に入力された動画像が、高フレームレート変換部11により高フレームレート変換処理が施され、その後、仮に撮像ボケ抑制処理部13に入力されること無く(撮像ボケが改善されること無く)表示装置に供給されて表示された場合、人間がその動画像を見たときに網膜上で形成される像のボケの周波数特性が、曲線h1である。
また、例えば本発明が適用されて、高フレームレート変換処理により表示速度が倍にされ(ホールドボケが改善され)、かつ撮像ボケの度合いが半分に改善されると、人間の網膜上で形成される像のボケの周波数特性は、同図中実線で示される曲線h2になる。即ち、図1の画像処理装置1に入力された動画像が、高フレームレート変換部11により高フレームレート変換処理が施され、さらに、撮像ボケ抑制処理部13により撮像ボケが抑制された上で表示装置に供給されて表示された場合、人間がその動画像を見たときに網膜上で形成される像のボケの周波数特性が、曲線h2である。
曲線h1と曲線h2とを比較するに、高フレームレート変換処理によりホールドボケのみが改善されただけでは、人間の網膜上におけるボケの特性の改善は不十分であり、さらに撮像ボケの改善も必要なことがわかる。しかしながら、上述したように、従来の手法では、撮像ボケの改善が必要なことは特に考慮されずに、高フレームレート変換処理が単に行われていた。
そこで、図1の実施例の他、後述する図23や図24等の実施例で示される本発明の画像処理装置においては、高フレームレート変換部11の他さらに、撮像ボケの改善を目的として、即ち、人間の網膜上のけるボケの特性を図2の曲線h0から曲線h2のように改善することを目的として、撮像ボケ特性検出部12と撮像ボケ抑制処理部13とが設けられているのである。ただし、後述する図25と図26の実施例で示されるように、撮像ボケ特性検出部12は、本発明の画像処理装置にとって必須な構成要素ではない。
即ち、撮像ボケ抑制処理部13は、各フレームのそれぞれについて、撮像ボケ特性検出部12により検出された撮像ボケの特性を示すパラメータの値のうちの処理対象のフレームに対応する値に基づいて、処理対象のフレームの各画素値を補正することで、高フレームレート変換後のフレームについての撮像ボケに起因する画像劣化を抑制しているのである。即ち、画像処理装置1など、本発明の画像処理装置から出力された画像信号を図示せぬ表示装置に供給することで、表示装置は、その画像信号に対応する映像として、画像劣化(ボケ画像)が抑制された鮮明な映像を表示することが可能になるのである。
このように、撮像ボケ特性検出部12と撮像ボケ抑制処理部13との組は、高フレームレート変換部11と組み合わされると好適である。
次に、図3のフローチャートを参照して、かかる図1の機能的構成を有する画像処理装置1の画像処理について説明する。
ステップS1において、高フレームレート変換部11は、第1のフレームレートの動画像を入力する。
ステップS2において、高フレームレート変換部11は、動画像のフレームレートを、第1のフレームレートよりも高い第2のフレームレートに変換する。
第1のフレームレートから第2のフレームレートに変換された動画像が、高フレームレート変換部11から撮像ボケ検出部12と撮像ボケ抑制処理部13とに供給されると、処理はステップS3に進む。
ステップS3において、撮像ボケ特性検出部12は、動画像を構成する各フレームのそれぞれの中から、撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出する。
動画像を構成する各フレームのそれぞれについての撮像ボケの特性を示すパラメータの1以上の値が、撮像ボケ特性検出部12から撮像ボケ抑制処理部13に供給されると、処理はステップS4に進む。
ステップS4において、撮像ボケ抑制処理部13は、高フレームレート変換部11から供給された動画像を構成する各フレームのそれぞれについて、撮像ボケ検出部12により検出されたパラメータの値のうちの処理対象のフレームに対応する1以上の値に基づいて、処理対象のフレームの各画素値を補正する。
ステップS5において、撮像ボケ抑制処理部13は、各フレームの画素値が補正され、かつ、第1のフレームレートから第2のフレームレートに変更された動画像を出力する。
これにより、図3の画像処理は終了となる。
なお、上述した説明では、説明の簡略上、ステップS1乃至S5の各ステップの処理は、動画像が処理単位とされた。ただし、実際には、フレームが処理単位となる場合が多々ある。
図3の画像処理において、各ステップの処理単位が動画像であるとは、ステップS1乃至S5のうちの処理対象のステップから次のステップへの移行条件が、処理対象のステップの処理が動画像全体に対して施されるという条件になることと等価である。
これに対して、図3の画像処理において、各ステップの処理単位がフレームであるとは、ステップS1乃至S5のうちの処理対象のステップから次のステップへの移行条件が、処理対象のステップの処理が1つのフレーム全体に対して施されるという条件になることと等価である。換言すると、各ステップの処理単位がフレームであるとは、各フレームのそれぞれに対するステップS1乃至S5の連続処理が、他のフレームとは独立して(並行して)実行されることと等価である。この場合、例えば、第1のフレームに対するステップS3の処理が実行されているときに、それとは異なる第2のフレームに対するステップS2の処理が並行して実行されているようなことが起こり得る。
さらに、実際には、処理対象のフレームを構成する各画素のそれぞれが、処理の対象として注目すべき画素(以下、注目画素と称する)に順次設定されて、その注目画素に対して、少なくともステップS3とS4の処理が順次個別に施されていくことが多々ある。即ち、ステップS3とS4の処理単位は画素であることが多々ある。
そこで、以下の説明においても、ステップS3とS4の処理は画素単位であるとして説明していく。即ち、ステップS3の処理とは撮像ボケ特性検出部12の処理であり、ステップS4の処理とは撮像ボケ抑制処理部13の処理である。従って、以下の説明においては、撮像ボケ特性検出部12と撮像ボケ抑制処理部13の処理単位は画素であるとして説明していく。
次に、図1の画像処理装置1のうちの、撮像ボケ抑制処理部13の詳細について説明していく。具体的には例えば、撮像ボケの特性を示すパラメータとして、移動ベクトルの絶対値を利用する場合の撮像ボケ抑制処理部13の実施形態について説明していく。
なお、以下、移動ベクトルの絶対値を移動速度と称し、また、移動ベクトルの方向を移動方向と称する。移動方向は、2次元平面上の何れの方向ともなり得、図1の画像処理装置1は、当然ながら、2次元平面上の何れの方向が移動方向になった場合でも、後述する各種処理を全く同様に実行することが可能である。ただし、以下においては、説明の簡略上、移動方向は横方向であるとする。
撮像ボケの特性を示すパラメータとして移動速度が利用される場合、撮像ボケ特性検出部12は、例えば、動画像を構成する各フレームのそれぞれについて、処理対象のフレームを構成する各画素のそれぞれを注目画素として順次設定し、注目画素における移動ベクトルを順次検出し、それを、注目画素における撮像ボケの特性を示すパラメータの値として撮像ボケ抑制処理部13に順次供給していくことになる。
従って、撮像ボケ抑制処理部13は、例えば、動画像を構成する各フレームのそれぞれについて、処理対象のフレームを構成する各画素のそれぞれを注目画素として順次設定し、撮像ボケ特性検出部12から供給された注目画素における移動速度に基づいて、注目画素の画素値を順次補正していくことになる。
ここで、移動速度が、撮像ボケの特性を示すパラメータとして採用可能な理由について説明する。
撮像ボケの特性は、一般的に被写体の移動速度に依存した形態で表すことが可能である。
なお、被写体の移動速度とは、実空間において被写体自体が移動してカメラが固定されている場合に、その被写体がカメラで撮影されたときの、フレーム内での被写体(画像)の移動速度を当然ながら含む。さらに、ここで言う被写体の移動速度とは、実空間において被写体が固定されてカメラが手振れ等により移動した場合、または、実空間において被写体とカメラとが共に移動した場合に、その被写体がカメラで撮影されたときの、フレーム内での被写体(画像)の相対的な移動速度も含む。
従って、撮像ボケの特性は、被写体の画像を構成する各画素における移動速度に依存した形態で表すことができる。
画素における移動速度とは、処理対象のフレーム内の画素と、それよりも前のフレーム内の対応する画素(対応点)との間の空間的な距離を指す。例えば、処理対象のフレーム内の画素と、その直前(時間的に1つ前)のフレーム内の対応する画素(対応点)との間の空間的な距離が、v(vは、0以上の任意の整数値)画素分である場合、その画素における移動速度とは、v[画素/フレーム]になる。
この場合、被写体の画像を構成する各画素のうちの所定の1つが注目画素に設定されているとすると、注目画素における撮像ボケの特性は、注目画素における移動速度v[画素/フレーム]の大小に依存した形態で表すことができる。
より具体的には例えば、注目画素の移動速度が2,3,4[画素/フレーム]のそれぞれの場合、注目画素における撮像ボケの周波数特性のそれぞれは、図4の曲線H2乃至H4のそれぞれで表すことができる。
即ち、図4は、注目画素における移動速度が2,3,4[画素/フレーム]のそれぞれの場合についての、注目画素における撮像ボケの周波数特性のそれぞれを示している。図4において、横軸は周波数を、縦軸はゲインのそれぞれを示している。ただし、横軸の各値は、ナイキスト周波数が1とされた場合の相対値を示している。
以上の内容が、移動速度が、撮像ボケの特性を示すパラメータとして採用可能な理由である。
ところで、図4の周波数特性H2乃至H4の形態からわかるように、注目画素における撮像ボケの特性は空間領域で表現すると、移動平均フィルタ(ローパスフィルタ)で表すことが可能である。
即ち、この移動平均フィルタ(ローパスフィルタ)を示す伝達関数(以下、撮像ボケの伝達関数と称する)をHと記述し、撮像ボケが仮に発生しなかった場合の理想的な画像信号(以下、撮像ボケ前の信号と称する)を周波数領域でFと記述し、かつ、カメラから出力される実際の画像信号、即ち、撮像ボケが発生した画像信号(以下、撮像ボケ後の信号と称する)を周波数領域でHと記述すると、撮像ボケ後の信号Gは、次の式(1)のように表される。
G = H×F ・・・(1)
本発明においては撮像ボケを取り除く(抑制する)ことが目的とされているので、この本発明の目的を達成するためには、既知である撮像ボケ後の信号Gと、既知である撮像ボケの伝達関数Hとから、撮像ボケ前の信号Fを予測演算すればよい。即ち、次の式(2)の予測演算が実行されればよい。
F = inv(H)×G ・・・(2)
式(2)において、inv(H)は、撮像ボケの伝達関数Hの逆関数を示している。上述したように撮像ボケの伝達関数Hがローパスフィルタの特性を持つことから、その逆関数inv(H)も、当然ながらハイパスフィルタの特性を持つ。
また、上述したように、撮像ボケの伝達関数Hは、移動速度に応じてその特性が変化する。具体的には例えば、注目画素における移動速度が2,3,4[画素/フレーム]のそれぞれの場合、注目画素における撮像ボケの伝達関数Hの周波数特性は、図4の曲線H2,曲線H3,曲線H4のそれぞれに示されるような相異な特性となる。
従って、撮像ボケ抑制処理部13は、移動速度に応じて撮像ボケの伝達関数Hの特性を変更して、特性が変更された伝達関数Hの逆関数inv(H)を求め、その逆関数inv(H)を用いて上述した式(2)の演算処理を実行すれば、本発明の目的、即ち、撮像ボケを取り除く(抑制する)という目的を達成することが可能になる。
或いは、上述した式(2)の演算は周波数領域の演算であるので、本発明の目的を達成するために、撮像ボケ抑制処理部13は、上述した式(2)の演算処理と等価な空間領域での処理を実行してもよい。具体的には例えば、撮像ボケ抑制処理部13は、次のような第1乃至第3の処理を実行してもよい。
第1の処理とは、撮像ボケ特性検出部12から供給された注目画素における移動速度に応じて、注目画素における撮像ボケを示す移動平均フィルタ(ローパスフィルタ)の特性を変換する処理である。具体的には例えば、複数の移動速度毎に移動平均フィルタを1つずつ予め用意しておき、複数の移動平均フィルタの中から、注目画素における移動速度に対応する1つを選択する処理が、第1の処理の一例である。
第2の処理とは、次の第2−1乃至第2−3の処理からなる処理である。
第2−1の処理とは、第1の処理により特性が変換された移動平均フィルタに対してフーリエ変換を施すことにより、その移動平均フィルタを周波数表示する処理である。具体的には例えば、注目画素における移動速度が2,3,4[画素/フレーム]のそれぞれの場合、図4の曲線H2,曲線H3,曲線H4のそれぞれを得る処理が第2−1の処理である。即ち、周波数領域で考えると、注目画素における撮像ボケの伝達関数Hを求める処理が第2−1の処理である。
第2−2の処理とは、第2−1の処理により周波数表示された移動平均フィルタの逆数を算出する処理である。即ち、周波数領域で考えると、上述した式(2)に示される、撮像ボケの伝達関数Hの逆関数inv(H)を生成する処理が、第2−2の処理である。
第2−3の処理とは、第2−2の処理により算出された、周波数表示された移動平均フィルタの逆数に対して逆フーリエ変換を施す処理である。即ち、逆関数inv(H)に対応するハイパスフィルタ(ウィーナーフィルタ等)を生成する処理が第2−3の処理である。換言すると、移動平均フィルタの逆フィルタを生成する処理が第2−3の処理である。なお、以下、第2−3の処理により生成されるハイパスフィルタを、逆移動平均フィルタと称する。
第3の処理とは、撮像ボケ後の周波数領域の上述した式(2)の信号Gに対応する空間領域の画像信号gを入力画像として入力し、その画像信号gに対して、第2−3の処理により生成された逆移動平均フィルタをかける処理である。この第3の処理により、撮像ボケ前の周波数領域の上述した式(2)の信号Fに対応する空間領域の画像信号fが復元(予測演算)されることになる。具体的には例えば、処理対象のフレームのうちの注目画素を含む所定のブロックに対して逆移動平均フィルタをかけることで、注目画素の画素値を補正する処理が、第3の処理である。
かかる第1乃至第3の処理を実行可能な撮像ボケ抑制処理部13の機能的構成の一実施例については、本発明人により既に発明され、特願2004−234051号の願書とともに提出された図面の図5に開示されている。
しかしながら、撮像ボケ抑制処理部13が、特願2004−234051号の願書とともに提出された図面の図5の構成を有する場合、次のような第1の課題が新たに発生してしまう。即ち、図4の周波数特性H2乃至H4にも示されるように、撮像ボケを示す移動平均フィルタ(その周波数特性)には、ゲインが0となる周波数が含まれている。このため、撮像ボケ抑制処理部13は、その移動平均フィルタの完全な逆フィルタ(完全な逆移動平均フィルタ)を生成するのは困難であり、その結果、ノイズを増長させてしまうという第1の課題が新たに発生してしまう。
また、第3の処理のような、画像信号に対してハイパスフィルタ(逆移動平均フィルタ)をかける処理とは、エッジを急峻にする処理であるとも言える。「エッジを急峻にする」という意味での画作りの技術として、従来、LTIやsharpnessと称される技術が存在する。従って、このような従来の技術を撮像ボケ抑制処理部13に適用させることも当然ながら可能である。
しかしながら、このような従来の技術を撮像ボケ抑制処理部13に適用させた場合には、次の第2の課題乃至第5の課題が新たに発生してしまう。
即ち、LTIとは、特開2000−324364号公報等に開示されている従来の技術である。特開2000−324364号公報によると、注目画素の輝度(画素値)をその近隣画素の輝度(画素値)にハードスイッチで置き換えることで、注目画素の輝度を補正し、その結果としてエッジを急峻にさせる技術がLTIである。従って、このLTIには、その特徴上、ノイズに対して耐久性が弱く、ノイズに振られて処理画像が破綻してしまう恐れがあるという第2の課題があった。また、LTIを施す前の画像データに依存せずに、全てのエッジを急峻にしてしまうという第3の課題もあった。
また、従来の技術(LTI、sharpness)は画作りで用いられている技術なので、撮像ボケが生じていない静止画に対しても全く同様に処理を施してしまうという第4の課題と、撮像ボケが生じている量に関わらずに一様に処理をしてしまうという第5の課題があった。
そこで、本発明人は、[発明が解決しようとする課題]で上述した課題の他、これらの第1の課題乃至第5の課題も同時に解決すべく、例えば本願の図5に示される機能的構成を有する撮像ボケ抑制処理部13を発明した。即ち、図5は、本発明が適用される撮像ボケ抑制処理部13の機能的構成の一例を示している。
図5の例では、撮像ボケ抑制処理部13は、高成分除去部21、フィルタ部22、および、撮像ボケ補償部23により構成されている。
なお、以下、少なくとも撮像ボケ抑制処理部13の説明をしている間においては、撮像ボケ抑制処理部13を構成する各機能ブロック(加算部等の演算部も含む)に入力される信号を、即ち、動画像、動画像を構成する各フレーム、および、各フレームを構成する各画素の画素値といった入力単位によらず、一括して入力信号と適宜称する。同様に、各機能ブロックから出力される信号を、その出力単位によらず、一括して出力信号と適宜称する。換言すると、入力単位や出力単位の区別が必要な場合、その単位(主に画素値)を用いて説明を行い、それ以外の場合、単に入力信号または出力信号を用いて説明を行う。
図5に示されるように、高フレームレート変換部11の出力信号は、撮像ボケ抑制処理部13にとっての入力信号として、高域成分除去部21に供給される。また、撮像ボケ特性検出部12の出力信号は、フィルタ部22と撮像ボケ補償部23とのそれぞれに供給される。高域成分除去部21の出力信号はフィルタ部22に供給される。フィルタ部22の出力信号は撮像ボケ補償部23に供給される。撮像ボケ補償部23の出力信号が、撮像ボケ抑制処理部13の最終的な処理結果を示す出力信号として外部に出力される。
以下、高成分除去部21、フィルタ部22、および、撮像ボケ補償部23のそれぞれの詳細について、その順番に個別に説明していく。
はじめに、図6と図7とを参照して、高域成分除去部21の詳細について説明する。
図6は、高域成分除去部21の詳細な機能的構成例を示している。図7は、図6の高域成分除去部21のうちの後述する高域リミッタ部32の特性を示している。
図6の例では、高域成分除去部21は、ハイパスフィルタ部31、高域リミッタ部32、および、減算部33により構成されている。
図6に示されるように、高フレームレート変換部11の出力信号は、高域成分除去部21にとっての入力信号として、ハイパスフィルタ部31と減算部33とのそれぞれに供給される。
ハイパスフィルタ部31は、HPF(ハイパスフィルタ)の機能を有している。従って、ハイパスフィルタ部31は、高域成分除去部21の入力信号から高域成分を抽出し、高域リミッタ部32に供給する。
高域リミッタ部32は、図7の曲線41で示される関数を保持しており、ハイパスフィルタ部31から供給された高域成分を入力パラメータとしてその関数に代入して、その関数の出力(図7の出力)を減算部33に供給する。即ち、図7の曲線41の形状から容易にわかることであるが、高域リミッタ部32は、ハイパスフィルタ部31から供給されてくる高域成分(入力)の値がある一定以上の場合またはある一定以下の場合にリミッタをかける。換言すると、高域リミッタ部32は、図7の曲線41で示される特性を有している。
図6に戻り、減算部33は、高域成分除去部21の入力信号と、高域リミッタ部32によりリミッタがかけられた高域成分との差分を演算し、その結果得られる差分信号を、高域成分除去部21の出力信号としてフィルタ部22に供給する。
このようにして、高域成分除去部21において、その入力信号からノイズなどの高域成分が除去されて、その結果得られる信号が出力信号としてフィルタ部22に供給される。
次に、図8乃至図10を参照して、フィルタ部22の詳細について説明する。
図8は、フィルタ部22の詳細な機能的構成例を示している。図9は、図8のフィルタ部22のうちの後述するゲイン制御部53の詳細な機能的構成例を示している。図10は、図9のゲイン制御部53のうちの後述する調整量決定部64の特性を示している。
図8の例では、フィルタ部52は、移動平均フィルタ部51乃至加算部54により構成されている。
図8に示されるように、高域成分除去部21の出力信号は、フィルタ部22にとっての入力信号として、移動平均フィルタ部51、減算部52、および、加算部54のそれぞれに供給される。また、撮像ボケ特性検出部12の出力信号は、移動平均フィルタ部51とゲイン制御部53とのそれぞれに供給される。
移動平均フィルタ部51は、フィルタ部22の入力信号に対して移動平均フィルタをかける。より詳細には、移動平均フィルタ部51は、フィルタ部22の入力信号のうちの、処理対象のフレーム内の注目画素を含む所定のブロックの各画素値に対して移動平均フィルタをかけることで、注目画素の画素値を補正する。その際、移動平均フィルタ部51は、撮像ボケ特性検出部12の出力信号のうちの注目画素における移動速度に応じて、移動平均フィルタの特性を変換する。具体的には例えば、注目画素における移動速度が2,3,4[画素/フレーム]のそれぞれの場合、周波数領域で考えると、移動平均フィルタ部51は、移動平均フィルタの特性を、上述した図4の曲線H2,H3,H4のそれぞれで示される特性に変換する。移動平均フィルタ部51により補正された注目画素の画素値は、減算部52に供給される。
その際、移動平均フィルタ部51は、撮像ボケ特性検出部12の出力信号のうちの注目画素における移動速度に応じて、注目画素に対して移動平均フィルタを書ける場合に利用するタップ(注目画素とその周辺の所定の画素)の個数を変更することもできる。具体的には例えば、移動平均フィルタ部51は、移動速度が大きくなるに従ってタップの個数も多くするように(即ち、平均する幅を広げるように)可変していけばよい。このように移動速度に応じた個数のタップを利用した移動平均フィルタの結果を、撮像ボケ補償部23が用いることで、より一段と精度の高い補正、即ち、より一段と撮像ボケを抑制することが可能な補正を行うことが可能となる。
減算部52は、フィルタ部22の入力信号のうちの注目画素の補正前の画素値と、移動平均フィルタ部51により補正された注目画素の画素値との差分を求め、その差分値をゲイン制御部53に供給する。なお、以下、減算部52の出力信号を、移動平均フィルタ前後の差分と称する。
ゲイン制御部53は、移動平均フィルタ前後の差分の値を調整し、調整後の移動平均フィルタ前後の差分を出力信号として加算部54に供給する。なお、ゲイン制御部53の詳細については図9を参照して後述する。
加算部54は、フィルタ部22の入力信号と、ゲイン制御部53の出力信号とを加算し、その加算信号を出力信号として撮像ボケ補償部23に供給する。詳細には、注目画素に着目すると、加算部54は、注目画素の補正前の画素値に対して、注目画素についての移動平均フィルタ前後の差分の調整値を補正量として加算し、その加算値を、注目画素の補正後の画素値として外部の撮像ボケ補償部23に供給する。
以上説明したようなフィルタ部22の空間領域での処理は、周波数領域で考えると次のようになる。
即ち、減算部52の出力信号である移動平均フィルタ前後の差分を周波数領域で考えた場合、所定の周波数に着目すると、減算部52の出力信号のゲインとは、次のようなゲインになる。即ち、着目された周波数において、フィルタ部22の入力信号のゲインと、移動平均フィルタがかけられた後の入力信号のゲインとの差分ゲインが、減算部52の出力信号のゲインとなる。以下、減算部52の出力信号のゲインを、移動平均フィルタ前後の差分ゲインと称する。
さらに、この移動平均フィルタ前後の差分ゲインは、ゲイン制御部53によりゲイン調整される。このゲイン調整については後述する。
従って、図8の例のフィルタ部22(加算部54)の出力信号を周波数領域で考えた場合、所定の周波数に着目すると、出力信号のゲインは、その入力信号のゲインと、ゲイン調整後の移動平均フィルタ前後の差分ゲインとが加算された加算ゲインとなっている。即ち、各周波数のそれぞれにおいて、出力信号のゲインは、入力信号のゲインに比較して、ゲイン調整後の移動平均フィルタ前後の差分ゲイン分だけ持ち上げられている。
換言すると、フィルタ部22全体では、ハイパスフィルタをかける処理と基本的に等価な処理を実行していることになる。
ここで、図9を参照して、ゲイン調整部53の詳細について説明する。
図9の例では、ゲイン制御部53は、遅延部61−1乃至61−n(以下、図9の記載にあわせてDL部61−1乃至61−nと称する)、MAX/MIN算出部62、減算部63、調整量決定部64、および、乗算部65により構成されている。
図9に示されるように、減算部52の出力信号である移動平均フィルタ前後の差分は、ゲイン制御部53にとっての入力信号として、DL部61−1に供給される。また、撮像ボケ特性検出部12の出力信号は、MAX/MIN算出部62に供給される。
ゲイン調整部53は、このような構成を有することで、信号のレベルが高い場所で発生するリンギングを抑えることができる。
以下、ゲイン制御部53の詳細な機能的構成(各機能ブロックの接続形態)とその動作について併せて説明する。
DL部61−1乃至61−nは、その順番で接続されており、前段の出力信号が自分自身の入力信号として供給されると、その入力信号を所定の遅延時間だけ遅延させて、出力信号として後段に供給する。DL部61−1乃至61−nのそれぞれの出力信号はまた、MAX/MIN算出部62に供給される。さらに、DL部61−(n/2)の出力は乗算部65にも供給される。
ゲイン制御部53の入力信号である移動平均フィルタ前後の差分のうちの、注目画素を中心として移動方向(ここでは横方向)に連続して並ぶn個の画素のそれぞれに対応する値(以下、画素の前後差分値と称する)が、右から左に向けて画素の配置順番でDL部61−1に順次入力されていく。従って、その後、遅延時間のn倍の時間がほぼ経過すると、DL部61−1乃至61−nのそれぞれからは、注目画素を中心として横方向に連続して並ぶn個の画素の各前後差分値のそれぞれが1つずつ出力され、MAX/MIN算出部62に供給されることになる。また、注目画素の前後差分値は、DL部61−(n/2)から出力されて、上述したようにMAX/MIN算出部62に供給される他、乗算部65にも供給される。
なお、DL部61−1乃至61−nの個数nは、特に限定されないが、ここでは、移動速度の最高値[画素/フレーム]であるとする。また、撮像ボケ特性検出部12から供給された注目画素における移動速度は、v[画素/フレーム]であるとする。ただし、vは、0以上の任意の整数値であるとする。
MAX/MIN算出部62は、注目画素を中心として含む、その移動速度分の個数vの画素の各前後差分値を含む範囲を算出範囲として決定する。そして、MAX/MIN算出部62は、DL部61−1乃至61−nから供給されるn個の前後差分値のうちの、算出範囲に含まれるv個の前後差分値の中から最大値MAXと最小値MINとを求め、それぞれ減算部63に供給する。
なお、注目画素を中心として含む、その移動速度分の個数vの画素の各前後差分値を含む範囲が算出範囲とされるのは、次の理由からである。即ち、リンギングは、ハイパスフィルタのタップ数分だけ、換言すると、移動速度分だけ影響を及ぼすからである。
減算部63は、MAX/MIN算出部62からそれぞれ供給された最大値MAXと最小値MINとの差分を取り、その差分値(=MAX-MIN)を調整量決定部64に供給する。
この差分値(=MAX-MIN)が大きくなるほど、注目画素近傍のリンギングもまた大きくなることがわかっている。即ち、この差分(=MAX-MIN)は、注目画素近傍のリンギングの大きさの指標となる値である。
そこで、調整量決定部64は、減算部63から供給された差分値(=MAX-MIN)に基づいて、注目画素の前後差分値についての調整量を決定し、乗算部65に供給する。
詳細には例えば、調整量決定部64は、図10の曲線71で示される関数を保持しており、減算部63から供給された差分値(=MAX-MIN)を入力パラメータとしてその関数に代入して、その関数の出力(図10の出力)を、注目画素の前後差分値についての調整量として乗算部65に供給する。即ち、図10の曲線71の形状から容易にわかることであるが、減算部63から供給された差分値(=MAX-MIN)がある一定値を超えると、それ以降、リンギングの発生を抑制させるべく、調整量(出力)が小さくなっていく。換言すると、調整量決定部64は、図10の曲線71で示される特性を有している。
図9に戻り、乗算部65は、DL部61-(n/2)から供給された注目画素の前後差分値に対して、調整量決定部64から供給された調整量(図10の例では0乃至1の範囲内の値)を乗算し、その乗算値を、注目画素の調整後の前後差分値として加算部54に供給する。即ち、各画素の調整後の前後差分値のそれぞれが、ゲイン制御部53の出力信号として、加算部54に順次供給されていく。
以上説明したように、減算部63の出力信号である差分値(=MAX-MIN)がある一定値を超えると、その差分値(=MAX-MIN)が大きくなるほど、調整量(出力)も1乃至0に向かう方向でだんだん小さくなっていく。従って、減算部63の出力信号である差分値(=MAX-MIN)がある一定値以上の場合、1未満の調整量が、注目画素の前後差分値に対して乗算されるので、注目画素の前後差分は小さくなるように調整されることになる。これにより、注目画素近傍のリンギングが抑制されることになる。
以上説明したようなゲイン制御部53の空間領域での処理は、周波数領域で考えると、結局、リンギングの抑制を目的として、移動平均フィルタ前後の差分ゲインをゲイン調整する処理であると言える。
次に、図11乃至図19を参照して、撮像ボケ補償部23の詳細について説明する。
図11は、撮像ボケ補償部23の詳細な機能的構成例を示している。
図11の例では、撮像ボケ補償部23は、ALTI部81、減算部82、ゲイン制御部83、および、加算部84により構成されている。
図11に示されるように、フィルタ部22の出力信号は、撮像ボケ補償部23にとっての入力信号として、ALTI部81、減算部82、および加算部84のそれぞれに入力される。また、撮像ボケ特性検出部12の出力信号は、ALTI部81とゲイン制御部83とのそれぞれに供給される。
以下、撮像ボケ補償部23の入力信号のうちの注目画素の画素値に着目して、ALTI部81乃至加算部84のそれぞれの説明を個別に行っていく。
なお、上述したように、撮像ボケ補償部23に供給された段階の注目画素の画素値は、図5の撮像ボケ抑制処理部13に入力された段階と比較して、高域成分除去部21やフィルタ部22により既に補正が行われて異なる値になっていることが多い。また、後述するように、撮像ボケ補償部23内でも、注目画素の画素値は適宜補正される。そこで、混乱を避けるために、撮像ボケ補償部23の説明を行っている間においては、各機能ブロックに入力される段階の各画素値を、入力画素値と称し、各機能ブロックから出力される段階の画素値を、出力画素値と称する。さらに、機能ブロックの中には、同一画素について、複数の前段の機能ブロックのそれぞれから複数の異なる画素値が入力される場合もある。このような場合、オリジナルに近い方の画素値(主に補正前の画素値)を入力画素値と称し、それ以外の画素値を、後段の機能ブロックの出力画素値と称する。例えば、詳細については後述するが、減算部82には、ALTI部81と外部のフィルタ部22とのそれぞれから注目画素の画素値として異なる値が供給される。そこで、外部のフィルタ部22から供給される方を、入力画素値と称し、ALTI部81から供給される方を、ALTI部81の出力画素値と称する。
ALTI部81は、撮像ボケ特性検出部12により供給された注目画素における移動速度に応じて補正量を決定し、注目画素の入力画素値に対して補正量を加算し、その加算値を、注目画素の出力画素値として減算部82に供給する。なお、ALTI部81のさらなる詳細については、図12を参照して後述する。
減算部82は、ALTI部81の注目画素の出力画素値と、注目画素の入力画素値との差分を演算し、その差分値(以下、注目画素差分値と称する)をゲイン制御部83に供給する。
ゲイン制御部83は、撮像ボケ特性検出部12から供給された注目画素における移動速度に応じて、減算部82から供給された注目画素差分値の値を調整して、調整後の注目画素差分値を、注目画素についての最終的な補正量として加算部84に供給する。
加算部84は、注目画素の入力画素値に対して、ゲイン制御部83からの最終的な補正量を加算し、その加算値を、注目画素の出力画素値として外部に出力する。即ち、加算部84の注目画素の出力画素値が、撮像ボケ抑制補償部23により最終的に補正された注目画素の画素値として外部に出力される。
以下、撮像ボケ補償部23のうちのALTI部81とゲイン制御部83とのそれぞれの詳細について、その順番に個別に説明していく。
はじめに、図12乃至図17を参照して、ALTI部81の詳細について説明する。
図12は、ALTI部81の詳細な機能的構成例を示している。
図12の例では、ALTI部81は、遅延部91−1乃至91−n(以下、図12の記載にあわせてDL部91−1乃至91−nと称する)、平均値算出部92乃至94、補正量決定部95、および加算部96により構成されている。
以下、ALTI部81の詳細な機能的構成(各機能ブロックの接続形態)とその動作について併せて説明する。
DL部91−1乃至91−nは、その順番で接続されており、前段から出力されてくる各画素値のそれぞれを、所定の遅延時間だけ遅延させて後段に出力する。DL部91−1乃至91−(n/2-1)のそれぞれから出力される画素値はまた、平均値算出部93に供給される。DL部91−(n/2-1)、DL部91−(n/2)、および、DL部91−(n/2+1)のそれぞれから出力される画素値はまた、平均値算出部92に供給される。DL部91−(n/2+1)乃至91−nのそれぞれから出力される画素値はまた、平均値算出部94に供給される。DL部91−(n/2)から出力される画素値はまた、補正量決定部95と加算部96にも供給される。
フィルタ部22からは、注目画素を中心にして移動方向(ここでは横方向)に連続して並ぶn個の画素の各画素値が、右から左に向かう方向に画素の配置順番で、DL部91−1に順次入力されていく。従って、その後、遅延時間のn倍の時間がほぼ経過すると、DL部91−1乃至91−nのそれぞれからは、注目画素を中心にして横方向に連続して並ぶn個の画素の各画素値のそれぞれが1つずつ出力されることになる。
なお、以下、DL部91−1乃至91−nのそれぞれから出力された段階の各画素値を、ALTI部81にとっての入力画素値であるとして説明する。
具体的には、DL部91−(n/2)からは、注目画素の入力画素値Nが出力される。また、注目画素から見て左側に連続して配置されるn/2-1個の画素の各入力画素値は、DL部91−1乃至91−(n/2-1)のそれぞれから1つずつ出力される。一方、注目画素から見て右側に連続して配置されるn/2-1個の画素の各入力画素値は、DL部91−(n/2+1)乃至91−nのそれぞれから1つずつ出力される。
なお、DL部91−1乃至91−nの個数nは、特に限定されないが、ここでは、移動速度の最高値[画素/フレーム]であるとする。また、撮像ボケ特性検出部12から供給される注目画素における移動速度は、上述した例と同様にv[画素/フレーム]であるとする。
従って、平均値算出部92には、注目画素の入力画素値N、注目画素の左隣画素の入力画素値、および、注目画素の右隣画素の入力画素値が入力される。そこで、平均値算出部92は、注目画素の入力画素値N、注目画素の左隣画素の入力画素値、および、注目画素の右隣画素の入力画素値の平均値Na(以下、注目画素の平均画素値Naと称する)を算出し、補正量決定部95に供給する。
なお、詳細については後述するが、補正量決定部95により決定される注目画素の補正量ADDは、所定の調整量cにより調整される。この調整量cは、固定値ではなく、所定の処理(以下、調整量決定処理と称する)により決定される可変値である。本実施の形態では、この調整量決定処理において、注目画素の平均画素値Naが利用される。なぜならば、この調整量決定処理において、注目画素の入力画素値Nそのものを利用することも可能であるが、この場合、注目画素にノイズが含まれていると、処理画像が破綻することがあるからである。即ち、処理画像の破綻を防止するためである。
平均値算出部93には、注目画素から見て左側に連続して配置されるn/2-1個の画素の各入力画素値が供給される。そこで、平均値算出部93は、注目画素の左隣画素から左方向に順番に、移動速度のほぼ半分の個数k(kは、約v/2)の画素を選択して、選択したk個の画素の各入力画素値を含む範囲を算出範囲として決定する。そして、平均値算出部93は、供給されたn/2-1個の入力画素値のうちの、算出範囲に含まれるk個の入力画素値の平均値La(以下、左方画素の平均画素値Laと称する)を算出し、補正量決定部95に供給する。
一方、平均値算出部94には、注目画素から見て右側に連続して配置されるn/2-1個の画素の各入力画素値が供給される。そこで、平均値算出部94は、注目画素の右隣画素から右方向に順番にk個の画素を選択して、選択したk個の画素の各入力画素値を含む範囲を算出範囲として決定する。そして、平均値算出部94は、供給されたn/2-1個の入力画素値のうちの、算出範囲に含まれるk個の入力画素値の平均値Ra(以下、右方画素の平均画素値Raと称する)を算出し、補正量決定部95に供給する。
詳細については後述するが、左方画素の平均画素値Laと右方画素の平均画素値Raとはいずれも、調整量決定処理や、補正量の候補を決定するための処理(以下、候補決定処理と称する)に利用される。
即ち、上述した特開2000−324364号公報等に開示されている従来のLTIにおいては、注目画素から左方向に所定の距離だけ離間した1つの画素(以下、左方画素と称する)の入力画素値と、注目画素の入力画素値との差分値が、補正量の第1の候補に決定されていた。また、注目画素から右方向に所定の距離だけ離間した1つの画素(以下、右方画素と称する)の入力画素値と、注目画素の入力画素値との差分値が、補正量の第2の候補に決定されていた。そして、第1の候補と第2の候補のうちの何れか一方が、特に調整されずにそのまま補正量として決定されていた。このため、従来のLTIでは、左方画素や右方画素の入力画素値にノイズが含まれていると、補正量(その2つの候補)を適切に決定できないという課題があった。
そこで、この課題を解決すべく、即ち、補正量の候補を適切に決定できるように、本実施の形態の候補決定処理では、左方画素や右方画素といった1つの画素の入力画素値が単に利用されるのではなく、左方画素の平均画素値Laと右方画素の平均画素値Raとが利用されるのである。
ただし、算出範囲に含まれる各入力画素値の変化方向が一定で無い場合、即ち、増加後減少したり、逆に、減少後増加しているような場合がある。換言すると、横方向の画素位置が横軸とされ、画素値が縦軸とされた平面(例えば、後述する図13の平面)上において、算出範囲に含まれる各入力画素値を示す点(後述する図13の点131乃至134等)を結んだ線の傾きの極性が反転してしまう場合がある。このような場合、算出範囲に含まれる各入力画素値の単純な平均値を、左方画素の平均画素値Laまたは右方画素の平均画素値Raとして採用しても、補正量(候補)を適切に決定できないおそれが生じる、という新たな課題が発生してしまう。
そこで、この新たな課題を解決すべく、本実施の形態ではさらに、平均値算出部93と平均値算出部94とは何れも、算出範囲に含まれる各入力画素値のうちの極性反転後の第1の点が示す入力画素値βを、極性反転前の第2の点が示す入力画素値αを用いる次の式(3)の右辺を演算することで、画素値γに更新し、第1の点が示す画素の入力画素値は更新後の画素値γであるとみなして、左方画素の平均画素値Laまたは右方画素の平均画素値Raを算出するのである。
γ = α − H×f(H) ・・・(3)
式(3)において、Hは、図13に示されるように、極性反転前の第2の点(同図中点133)の画素値αと極性反転後の第1の点(同図中点134)の画素値βとの差分値(=α−β)を示している。
即ち、図13は、注目画素131を含む水平方向に連続して並ぶ12個の画素の画素値の一例を示している。図13において、横軸は「横方向の画素位置」とされ、縦軸は「画素値」とされている。図13の例では、平均値算出部94の算出範囲、即ち、右方画素の平均画素値Raの算出範囲は、注目画素を示す点131の右方の3個の点132乃至133が示す画素値α,α,βを含む範囲Dとされている。
図13の例では、点133から点134にかけて傾きの極性が判定していることがわかる。即ち、点134が極性反転後の第1の点であり、点133が極性判定前の第2の点である。従って、図13の例では、平均値算出部94は、点133が示す入力画素値α、および、その入力画素値αと点134が示す入力画素値βとの差分値H(=α―β)とを、式(3)の右辺に代入して演算することで、点134が示す入力画素値を画素値βから画素値γに変更する。そして、平均値算出部94は、算出範囲Dのうちの、点134が示す画素の入力画素値としては更新後の画素値γを利用し、それ以外の点132と点133との各入力画素値としては元の画素値αをそのまま利用して、右方画素の平均画素値Raを算出することになる。即ち、Ra=(α+α+γ)/3が演算されることになる。
本実施の形態では、このような式(3)の右辺の演算において、関数f(H)として、図14の線141のような特性を有する関数が利用される。
図14に示されるように、極性反転前の画素値αと極性反転後の画素値βとの差分値Hが値H2以上である場合には、関数f(H)の出力は0となる。また、差分値Hが大きいことは、極性反転後の傾きが急峻であることを意味している。従って、極性反転後の傾きが一定以上急峻である場合、即ち、差分値Hが値H2以上である場合には、式(3)より更新後の画素値γは、画素値αになる。即ち、図13に示されるように、極性反転後の傾きが一定以上急峻である場合には、極性反転後の点134が示す画素の入力画素値としては画素値βの代わりに画素値αが利用されて、算出範囲Dにおける右方画素の平均画素値Raが算出されるのである。即ち、Ra=(α+α+α)/3=αが演算されて、右方画素の平均画素値Raは画素値αであると決定されることになる。
これに対して、図14に示されるように、極性反転前の画素値αと極性反転後の画素値βとの差分値Hが値H1以下であるときには、関数f(H)の出力は1となる。また、差分値Hが小さいことは、極性反転後の傾きが緩やかであることを意味している。従って、極性反転後の傾きが一定以上緩やかである場合、即ち、差分値Hが値H1以下である場合には、式(3)より更新後の画素値γは、画素値βのままになる。即ち、極性反転後の傾きが一定以上緩やかな場合には、図示はしないが、極性反転後の点134が示す入力画素値としては画素値βがそのまま利用されて、算出範囲Dにおける右方画素の平均画素値Raが算出されるのである。即ち、Ra=(α+α+β)/3が演算されて、右方画素の平均画素値Raは画素値{(α+α+β)/3}であると決定されることになる。
なお、極性反転後の傾きが一定以上緩やかなときには、極性反転後の点134が示す画素値は更新されずに元の画素値βがそのまま利用されるのは、次の理由からである。即ち、極性反転後の傾きが一定以上緩やかな場合とは、ノイズのために極性反転が起きた可能性が大であると言え、このよう場合には、各入力画素値を更新してから平均を取るよりも、そのまま平均をとった方が、ノイズが除去された適切な右方画素の平均画素値Raが得られることになる、という理由からである。
以上、図13の具体例を用いて右方画素の平均画素値Raを算出する場合について説明したが、その他の場合、例えば左方画素の平均画素値Laを算出する場合にも、極性反転後の点が示す画素の入力画素値は、上の式(3)に従って全く同様に、画素値βから画素値γに更新されることになる。
図12に戻り、以上説明した平均値算出部92乃至94のそれぞれにおいて、平均値を求める場合に利用するタップの個数(画素値の数)は、上述した例では固定されていたが、その他例えば、撮像ボケ特性検出部12の出力信号のうちの注目画素における移動速度に応じて可変してもよい。具体的には例えば、移動速度が大きくなるに従ってタップの個数も多くするように(即ち、平均する幅を広げるように)可変してもよい。このように移動速度に応じた個数のタップを利用した平均値算出部92乃至94のそれぞれの結果が、後述する補正量決定部95により利用されることで、より一段と精度の高い補正、即ち、より一段と撮像ボケを抑制することが可能な補正を行うための補正量を決定することが可能となる。
補正量決定部95は、DL部91−(n/2)からの注目画素の入力画素値N、平均値算出部92からの注目画素の平均画素値Na、平均値算出部93からの左方画素の平均画素値La、および、平均値算出部94からの右方画素の平均画素値Raを利用して、補正量ADDを決定して加算部96に供給する。
加算部96は、DL部91−(n/2)からの注目画素の入力画素値Nに対して、補正量決定部95からの補正量ADDを加算し、その加算結果を注目画素の出力画素値として、即ち、注目画素の補正後の画素値として、ALTI部82の外部の加算部82に供給する。
ここで、補正量決定部95の詳細な機能的構成例を説明する前に、図15のフローチャートを参照して、ALTI部81の処理について説明する。
ステップS21において、ALTI部81は、注目画素を設定する。
ステップS22において、ALTI部81のDL部乃91−1乃至91−nは、注目画素の入力画素値Nを中心に、その前後の入力画素値をn個取得する。
ステップS23において、ALTI部81の平均値算出部92は、上述したように、注目画素の平均画素値Naを算出して、補正量決定部95に供給する。
ステップS24において、ALTI部82の平均値算出部93は、上述したように、左方画素の平均画素値Laを算出して、補正量決定部95に供給する。
ステップS25において、ALTI部82の平均値算出部94は、上述したように、右方画素の平均画素値Raを算出して、補正量決定部95に供給する。
なお、図12から明らかなように、平均値算出部92乃至94のそれぞれは、他とは独立して処理を実行する。従って、ステップS23乃至S25の処理の順番は、図15の例に限定されず任意の順番でよい。即ち、実際には、ステップS23乃至S25のそれぞれの処理は、他とは独立して並行して実行される。
ステップS26において、ALTI部82の補正量決定部95は、DL部91−(n/2)からの注目画素の入力画素値N、平均値算出部93からの左方画素の平均画素値La、および、平均値算出部94からの右方画素の平均画素値Raを利用して、補正量の2つの候補ADDL,ADDRを決定する。即ち、ステップS26の処理とは、上述した候補決定処理をいう。補正量の候補ADDL,ADDRとは、後述する減算部101と減算部102とのそれぞれの出力信号をいう。なお、ステップS26の候補決定処理や、補正量の候補ADDL,ADDRの詳細な説明については後述する。
ステップS27において、補正量決定部95は、平均値算出部92からの注目画素の平均画素値Na、平均値算出部93からの左方画素の平均画素値La、および、平均値算出部94からの右方画素の平均画素値Raを利用して、調整量cを決定する。即ち、ステップS27の処理とは、上述した調整量決定処理をいう。調整量cとは、後述する調整量算出部109の出力信号をいう。なお、ステップS27の調整量決定処理や調整量cの詳細な説明については後述する。
なお、詳細については後述するが、実際には、ステップS26とS27のそれぞれの処理は、他とは独立して並行して実行される。即ち、ステップS26とS27との処理の順番は、図15の例に限定されず任意の順番でよい。
ステップS28において、補正量決定部95は、調整量cを用いて候補ADDL,ADDRのそれぞれの値を調整する。以下、かかるステップS28の処理を調整処理と称する。調整処理の詳細については後述する。
ステップS29において、補正量決定部95は、調整量cにより値が調整された候補ADDL,ADDRと、0との中から所定の1つを、所定の判別条件に従って補正量ADDとして決定し(選抜し)、加算部96に供給する。以下、かかるステップS29の処理を補正量選抜処理と称する。補正量選抜処理の詳細(判別条件等含む)については後述する。
ステップS30において、ALTI部81の加算部96は、注目画素の入力画素値Nに対して補正量ADDを加算し、その加算値を、注目画素の出力画素値として外部の加算部82に出力する。
ステップS31において、ALTI部81は、全ての画素について処理が終了したか否かを判定する。
ステップS31において、全ての画素について処理がまだ終了していないと判定された場合、処理はステップS21に戻され、それ以降の処理が繰り返される。即ち、今度は、別の画素が注目画素に設定されて、その注目画素の入力画素値Nに対して補正量ADDが加算され、その加算値が、注目画素の出力画素値として外部の加算部82に出力される。なお、当然ながら、画素値Nと補正量ADDとのそれぞれは、各画素毎に異なる値になることが多い。
このようにして、全ての画素が注目画素に設定され、その都度、上述したステップS21乃至S31のループ処理が繰り返し実行されると、ステップS31において、全ての画素について処理が終了したと判定されて、ALTI部81の処理は終了になる。
なお、ALTI部81は、図1の撮像ボケ抑制処理部13の一構成要素であるので、上述した図15のALTI部81の処理は、上述した図3のステップS4の処理の一部として実行されることになる。
以上説明したように、補正量決定部95は、ステップS26乃至S29の処理を実行する。そこで、以下、図12に戻って、補正量決定部95の詳細な機能的構成例を説明しつつ、ステップS26乃至S29の処理の詳細についても併せて説明していく。
図12に示されるように、補正量決定部95には、加算部101と加算部102とが、上述した図15のステップS26の候補決定処理を実行するために設けられている。換言すると、減算部101と減算部102とから構成される候補決定部121が、ステップS26の候補決定処理を実行する。
減算部101は、平均値算出部93からの左方画素の平均画素値Laと、DL部91−(n/2)からの注目画素の入力画素値Nとの差分値(=La―N)を算出し、その差分値を補正量の候補ADDLとして、乗算部110に供給する。
なお、後述するように、この補正量の候補ADDLが調整されずに(調整量c=1が乗算されて)そのまま補正量ADDとして決定された場合には、加算部96において、注目画素の入力画素値Nに対してこの補正量ADD(=La−N)が加算され、その加算値(=La)が外部に出力されることになる。即ち、この補正量の候補ADDL(=La―N)がそのまま補正量ADDとして利用された場合には、注目画素の画素値は、元の画素値Nから、左方画素の平均画素値Laに補正される(置き換えられる)ことになる。
減算部102は、平均値算出部94からの右方画素の平均画素値Raと、DL部91−(n/2)からの注目画素の入力画素値Nとの差分値(=Ra―N)を算出し、その差分値を補正量の候補ADDRとして、乗算部111に供給する。
なお、後述するように、この補正量の候補ADDRが調整されずに(調整量c=1が乗算されて)そのまま補正量ADDとして決定された場合には、加算部96において、注目画素の入力画素値Nに対してこの補正量ADD(=Ra−N)が加算され、その加算値(=Ra)が外部に出力されることになる。即ち、この補正量の候補ADDR(=Ra―N)がそのまま補正量ADDとして利用された場合には、注目画素の画素値は、元の画素値Nから、右方画素の平均画素値Raに補正される(置き換えられる)ことになる。
また、図12に示されるように、補正量決定部95には、減算部103乃至調整量算出部109が、上述した図15のステップS27の調整量決定処理を実行するために設けられている。換言すると、減算部103乃至調整量決定部109から構成される調整量決定部122が、ステップS27の調整量決定処理を実行する。
減算部103は、平均値算出部92からの注目画素の平均画素値Naと、平均値算出部93からの左方画素の平均画素値Laとの差分値(=Na−La)を算出し、その差分値を加算部105に供給する。
減算部104は、平均値算出部92からの注目画素の平均画素値Naと、平均値算出部94からの右方画素の平均画素値Raとの差分値(=Na−Ra)を算出し、その差分値を加算部105に供給する。
加算部105は、減算部103と減算部104とのそれぞれの出力信号の和を算出し、その算出結果をABS部106に出力する。
ABS部106は、加算部105の出力信号の絶対値bを算出し、その絶対値bを除算部108に供給する。
換言すると、画素値が縦軸とされて横方向の画素位置が横軸とされた平面上において、左方画素の平均画素値Laを示す第1の点、注目画素の平均画素値Naを示す第2の点、および右方画素の平均画素値Raを示す第3の点をその順番で結ぶ線の第2の点における2次微分値が、減算部103、減算部104、および加算部105により演算される。そして、その2次微分値の絶対値bがABS部106により演算されて、除算部108に供給される。従って、以下、ABS部106から出力される絶対値bを、2次微分絶対値bと称する。
2次微分絶対値bは、先の平面において、左方画素の平均画素値Laを示す第1の点と右方画素の平均画素値Raを示す第3の点とを結ぶ直線を境界線とした場合に、注目画素の平均画素値Naを示す第2の点は境界線から縦軸方向にどの程度離間しているのかを示す値である。
そこで、補正量決定部95が、2次微分絶対値bの大きさに応じて、補正量の候補ADDL,ADDRの値をそれぞれ調整し、調整後の候補ADDL,ADDRのうちの何れか一方を補正量ADDとして決定するようにすれば、即ち、加算部96が、注目画素の入力画素値Nと、2次微分絶対値bの大きさに応じて調整された補正量ADDとの加算値を注目画素の出力画素値として出力するようにすれば、その加算部96の出力信号(処理対象のフレーム)のうちのエッジ部分をソフトに立たせることが可能になる。
ただし、2次微分絶対値bが同一の大きさであったとしても、左方画素の平均画素値Laと右方画素の平均画素値Raとの差分の絶対値h、即ち、先の平面における縦軸方向の第1の点と第3の点との間の距離h(以下、高さhと称する)が異なると、2次微分絶対値bの大きさの意味合いも自ずと変わってくる。即ち、2次微分絶対値bが同一の大きさであっても、その大きさが高さhに比較して遥かに小さい場合には、換言すると、2次微分値bを高さhで除算した除算値(=b/h)が小さい場合には、注目画素近傍でノイズが発生している可能性が高いと判断できる。これに対して、2次微分絶対値bが同一の大きさであっても、その大きさが高さhに比較してさほど小さくない場合には、換言すると、上述した除算値(=b/h)がある程度の大きさ以上である場合には、注目画素近傍でノイズが発生している可能性は低いと判断できる。
従って、2次微分絶対値bの単なる大きさに応じて、候補値ADDL,ADDRの値が調整されてしてしまうと、注目画素の入力画素値Nの補正量ADDは、ノイズが発生している場合でも発生していない場合でも同一の値となってしまい、注目画素の入力画素値Nの適切な補正ができなくなる、という新たな課題が生じてしまう。
そこで、この新たな課題を解決すべく、本実施の形態の補正量決定部95の調整量決定部122には、上述した減算部103乃至ABS部106に加えてさらに、差分絶対値算出部107、除算部(b/h演算部)108、および、調整量算出部109が設けられているのである。
差分絶対値算出部107は、平均値算出部93からの左方画素の平均画素値Laと、平均値算出部94からの右方画素の平均画素値Raとの差分値を算出し、さらに、その差分値の絶対値h(h=|La−Na|)、即ち上述した高さhを算出し、その高さhを除算部108に供給する。
除算部108は、ABS部106からの2次微分絶対値bを、差分絶対値算出部107からの高さhで除算し、その除算値(=b/h)を調整量算出部109に提供する。即ち、この除算値(=b/h)とは、2次微分絶対値bが高さhにより正規化された値であるといえる。従って、以下、この除算値(=b/h)を、2次微分正規化値(=b/h)と称する。
調整量算出部109は、除算部108からの2次微分正規化値(=b/h)に基づいて、候補ADDL,ADDRについての調整量cを算出し、乗算部110と乗算部111とに供給する。
詳細には例えば、調整量算出部109は、図16の曲線151で示される特性の関数を保持しており、除算部108からの2次微分正規化値(=b/h)を入力パラメータとしてその関数に代入して、その関数の出力(図16の出力)を調整量cとして乗算部110と乗算部111とに供給する。
即ち、図16の曲線151の形状から容易にわかることであるが、2次微分正規化値(=b/h)がある一定値b1よりも小さい場合には、ノイズの可能性が大であるとして、調整量c(出力)は0になる。この場合、後述するように、候補ADDL,ADDRは、調整量cとして0がそれぞれ乗算されて調整されることになるので、調整後の候補ADDL,ADDRは何れも0になる。従って、補正量ADDも0になり、注目画素の入力画素値Nは補正されないことになる。
また、2次微分正規化値(=b/h)がその一定値b1を超えて大きくなっていくと、調整量c(出力)も徐々に大きくなっていく。この場合、後述するように、候補ADDL,ADDRのそれぞれは、1未満の調整量cがそれぞれ乗算されて調整されることになるので、調整後の候補ADDL,ADDRは何れも元の値より小さくなる。従って、補正量ADDは、元の値より小さくなった候補ADDL,ADDRのうちの何れか一方になり、注目画素の補正後の画素値は、左方画素の平均画素値Laよりも大きくなるか、或いは、右方画素の平均画素値Raよりも小さくなる。
さらに、2次微分正規化値(=b/h)がある一定値b2以上になると、それ以降、調整量c(出力)は1になる。この場合、後述するように、候補ADDL,ADDRのそれぞれは、調整量cとして1がそれぞれ乗算されて調整されることになるので、調整後の候補ADDL,ADDRは何れも元の値のままになる(即ち、調整されない)。従って、補正量ADDは、元の値のままの候補ADDL,ADDRのうちの何れか一方になり、上述したように、注目画素の補正後の画素値は、左方画素の平均画素値Laになるか、或いは、右方画素の平均画素値Raになる。
このように、本実施の形態では、2次微分正規化値(=b/h)をパラメータとして入力する、図16の線151で示される特性の関数を利用して調整量cが決定されるので、その調整量cを用いて補正量ADDを調整することで(正確には、補正量の候補ADDL,ADDRを調整することで)、加算部96の出力信号(処理対象のフレーム)のうちのエッジ部分をソフトに立たせることが可能になる。即ち、従来のLTIでは、ハードスイッチでの切り替え(画素値の単なる置き換え)により注目画素の画素値が補正されていたために、その出力信号のうちのエッジ部分をソフトに立たせることができないという課題があったが、本実施の形態のALTI部81を採用することで、この課題を解決することが可能になる。
図12に戻り、補正量決定部95の詳細な説明を引き続き行う。即ち、補正量決定部95には、乗算部110と乗算部111とが、上述した図15のステップS28の調整処理を実行するために設けられている。換言すると、乗算部101と乗算部111とから構成される調整部123が、ステップS28の調整処理を実行する。
乗算部110は、減算部101からの候補ADDLに対して、調整量算出部109からの補正量cを乗算し、その乗算値を、調整後の候補ADDLとして判別部113に供給する。
乗算部111は、減算部102からの候補ADDRに対して、調整量算出部109からの補正量cを乗算し、その乗算値を、調整後の候補ADDRとして判別部113に供給する。
また、補正量決定部95には、固定値発生部112と判別部113とが、上述した図15のステップS29の補正量選抜処理を実行するために設けられている。換言すると、固定値発生部112と判別部113とから構成される補正量選抜部124が、ステップS29の補正量選抜処理を実行する。
本実施の形態では、固定値発生部112は、図12に示されるように「0」を常時発生して、判別部113に供給する。
判別部113には、減算部103、減算部104、加算部105、乗算部110、乗算部111、および固定値発生部112の各出力信号が供給される。そこで、判別部113は、減算部103、減算部104、および加算部105の出力信号を利用する所定の選抜条件に基づいて、固定値発生部112からの「0」、乗算部110からの補正後の候補ADDL、および、乗算部111からの補正後の候補ADDRのうちの所定の1つを、補正量ADDとして選抜し(決定し)、加算部96に供給する。
具体的には例えば、画素値が縦軸とされ横方向の画素位置が横軸とされた上述した平面上において、左方画素の平均画素値Laを示す第1の点と右方画素の平均画素値Raを示す第3の点とを結ぶ直線が境界線とされて、その境界線の変化方向が上向きであって、注目画素の平均画素値Naを示す第2の点が境界線よりも上側に配置されている場合、補正後の候補ADDRを補正量ADDとして選抜することが、本実施の形態の選抜条件として規定されているとする。これに対して、境界線の変化方向が上向きであって、第2の点が境界線よりも下側に配置されている場合、補正後の候補ADDLを補正量ADDとして選抜することが、本実施の形態の選抜条件として規定されているとする。
この場合、判別部113は、減算部103、減算部104、および加算部105の出力信号に基づいて、境界線の変化方向や、境界線と第2の点との位置関係を認識することができる。
そこで例えば、判別部113は、減算部103、減算部104、および加算部105の出力信号に基づいて、境界線の変化方向が上向きであって、第2の点が境界線よりも上側に配置されていると認識した場合には、乗算部111からの補正後の候補ADDRを、補正量ADDとして選抜し(決定し)、加算部96に供給する。
これに対して例えば、判別部113は、減算部103、減算部104、および加算部105の出力信号に基づいて、境界線の変化方向が上向きであって、第2の点が境界線よりも下側に配置されていると認識した場合には、乗算部110からの補正後の候補ADDLを、補正量ADDとして選抜し(決定し)、加算部96に供給する。
また例えば、注目画素がエッジ部分以外の場所に位置している場合、0を補正量ADDとして選抜することが、本実施の形態の選抜条件として規定されているとする。この場合、判別部113は、例えば、判別部113は、減算部103、減算部104、および加算部105の出力信号の何れもが略0であることを認識したとき、即ち、左方画素の平均画素値La、注目画素の入力画素値N、および、右方画素の平均画素値Rcがほぼ同一値のとき等、注目画素がエッジ部分以外の場所に位置すると認識して、固定値発生部112からの「0」を、補正量ADDとして選抜して(決定して)、加算部96に供給する。
以上、ALTI部81の実施の形態として、図12の機能的構成のALTI部81について説明したが、ALTI部81の機能的構成は、上述した一連の処理と等価な処理を実行可能であれば、何れの機能的構成でもよい。具体的には例えば、ALTI部81は、図17に示される機能的構成を有するようにしてもよい。即ち、図17は、ALTI部81の図12とは異なる詳細な機能的構成例を示している。
図17の例では、ALTI部81は、マスキング信号生成部161、LTI処理部162、および、平均化部163により構成されている。
マスキング信号生成部161は、フィルタ部22の出力信号を、自分自身の入力信号として、その入力信号のうちの処理対象のフレームを構成する各画素のそれぞれを注目画素として順次設定する。マスキング信号生成部161は、注目画素から移動速度の半分に相当する画素数分を注目画素の左右にサーチさせ、移動速度に相当する画素数分の画素値を示す各信号に対してマスキング処理を施す。なお、注目画素における移動速度は、上述したように、撮像ボケ特性検出部12から供給される。マスキングされた各信号は、マスキング信号生成部161からLTI処理部162に供給される。
LTI処理部162は、マスキングされた各信号に対してLTI処理を施して、その結果得られる信号を出力信号として平均化部163に供給する。
平均化部163は、LTI処理部162の出力信号のうちの、マスキング信号生成部161によるサーチ回数と同一数分の信号の平均を取り、その結果得られる信号をALTI部81の出力信号として、外部の加算部82に供給する。
以上、図12乃至図17を参照して、図11の撮像ボケ補償部23のうちのALTI部81の詳細について説明した。
次に、図18と図19とを参照して、図11の撮像ボケ補償部23のうちのゲイン制御部83の詳細について説明する。
図18は、ゲイン制御部83の詳細な機能的構成例を示している。図19は、図18のゲイン制御部83のうちの後述する調整量決定部171の特性を示している。
図18の例では、ゲイン制御部83は、調整量決定部171、および、乗算部172により構成されている。
調整量決定部171は、図19の曲線181で示される関数を保持しており、撮像ボケ特性検出部12から供給された注目画素における移動速度を入力パラメータとしてその関数に代入して、その関数の出力(図19の出力)を調整量として乗算部172に供給する。換言すると、調整量決定部171は、図19の曲線181で示される特性を有している。
乗算部172には、調整量決定部171からの調整量の他、加算部82の出力信号も供給される。加算部82の出力信号は、上述した図11の機能的構成から明らかなように、加算部84において、撮像ボケ補償部23にとっての注目画素の入力画素値に対して加算される最終的な補正量の候補である。即ち、乗算部172は、この最終的な補正量の候補に対して、調整量決定部171からの調整量を乗算し、その乗算値を、最終的な調整量として加算部84に供給する。
即ち、図19の線181の形状と撮像ボケ補償部23の図11の機能的構成とから容易にわかることであるが、ゲイン制御部83は、移動速度が小さい時にALTI部81の処理結果(以下、ALTIと称する)が注目画素の画素値の最終的な補正量に余り影響を及ぼさないようにコントロールしている。移動速度が小さい時には撮像ボケによるゲインの劣化が少なく、減衰したゲインを図5や図8のフィルタ部22で持ち上げるだけでよいからである。即ち、フィルタ部22の出力信号を、それに対してあまり補正を加えずにそのまま、撮像ボケ補償部23の最終的な出力信号として出力されればよいからである。
以上、図5乃至図19を参照して、図1の画像処理装置1のうちの撮像ボケ抑制処理部13の一例について説明した。
ただし、撮像ボケ抑制処理部13の機能的構成は、上述した図5の例に限定されず、様々な実施の形態を取ることが可能である。具体的には例えば、図20と図21とは、本発明が適用される撮像ボケ抑制処理部13の機能的構成例であって、図5の例とは異なる2つの例のそれぞれを示している。
図20の例では、撮像ボケ抑制処理部13は、図5の例と同様に、高成分除去部21、フィルタ部22、および、撮像ボケ補償部23により構成されている。
図20の例でも、図5の例と同様に、高フレームレート変換部11の出力信号は、撮像ボケ抑制処理部13にとっての入力信号として、高域成分除去部21に供給される。また、撮像ボケ特性検出部12の出力信号は、フィルタ部22と撮像ボケ補償部23とのそれぞれに供給される。
ただし、図20の例では、高域成分除去部21の出力信号は撮像ボケ補償部23に供給される。撮像ボケ補償部23の出力信号はフィルタ部22に供給される。フィルタ部22の出力信号が、撮像ボケ抑制処理部13の最終的な処理結果を示す出力信号として外部に出力される。
換言すると、図20の例では、フィルタ部22と撮像ボケ補償部23との配置位置が、図5の例の配置位置と逆になっている。即ち、フィルタ部22と撮像ボケ補償部23との配置位置の順番(処理の順番)は、特に限定されず、何れが先になってもよい。
また、図21の例では、図5や図20の例と同様に、撮像ボケ抑制処理部13には、高成分除去部21、フィルタ部22、および、撮像ボケ補償部23が設けられており、さらにそれらの機能ブロックに加えて、加算部24も設けられている。
図21の例でも、図5や図20の例と同様に、高フレームレート変換部11の出力信号は、撮像ボケ抑制処理部13にとっての入力信号として、高域成分除去部21に供給される。また、撮像ボケ特性検出部12の出力信号は、フィルタ部22と撮像ボケ補償部23とのそれぞれに供給される。
ただし、図21の例では、高域成分除去部21の出力信号は、フィルタ部22と撮像ボケ補償部23とのそれぞれに供給される。フィルタ部22と撮像ボケ補償部23とのそれぞれの出力信号は加算部24に供給される。加算部24は、フィルタ部22の出力信号と撮像ボケ補償部23の出力信号との加算を取り、その結果得られる加算信号を、撮像ボケ抑制処理部13の最終的な処理結果を示す出力信号として外部に出力する。
換言すると、フィルタ部22と撮像ボケ補償部23との配置位置は、図5や図20の例では直列配置とされていたが図21の例では並列配置とされている。即ち、フィルタ部22と撮像ボケ補償部23との配置は、直列配置でもよいし並列配置でもよい。ただし、フィルタ部22と撮像ボケ補償部23との両者が仮にラインメモリを使用する場合には、図21の例のようにフィルタ部22と撮像ボケ補償部23とを並列配置にすることで、ラインメモリを共有できることになり、その結果、回路規模(ラインメモリ分)を削減できる、という効果を奏することが可能になる。
以上説明したように、撮像時における動物体のボケ(撮像ボケ)を画像処理により改善する際に、従来技術では静止状態やボケ量の度合いに関わらず一様に処理をしていた。これに対して、本発明においては、例えば上述した撮像ボケ抑制処理部13を利用することで、移動ベクトル(移動速度)を算出し動画像の状態に応じてエンハンス量を変えるため、リンギングを発生させずに、ボケを改善することができる。また、従来のLTIではハードスイッチで信号を切り替えていたために処理画像の破綻が多かったが、上述した撮像ボケ抑制処理部13は、ALTI部81をその構成要素として有しているので、ソフトに信号を切り替えることができ、その結果、処理画像の破綻を抑制することができる。
なお、上述した例では、説明の簡略上、移動ベクトルの方向(移動方向)が横方向とされたが、移動方向がその他の方向であっても、撮像ボケ抑制処理部13は、上述した一連の処理と基本的に同様の処理を行うことができる。即ち、撮像ボケ抑制処理部13は、移動方向がいずれの場合であっても、撮像ボケを抑制するように、注目画素の画素値を同様に補正することができる。具体的には例えば、図12の機能的構成のALTI部81については、注目画素を中心にして、移動方向(例えば縦方向)に連続して並ぶn個の画素の各画素値を、その配置順番で順次DL部91−1に入力させていくだけでよい。その他の機能ブロックについても同様である。
ところで、撮像ボケ抑制処理部13は、各画素値の補正を行う際、上述した例では、移動速度(移動ベクトルの絶対値)をパラメータとして使用したが、この移動速度の他、撮像ボケの特性を示すパラメータであれば任意のパラメータを使用することができる。
具体的には例えば、撮像ボケ抑制処理部13は、撮像ボケの特性を示すパラメータとして、処理対象の動画像を撮影した時点のカメラのシャッタ速度を利用することができる。なぜならば、例えば図22に示されるように、シャッタ速度が違うと同図中の時間Ts分だけ撮像ボケの度合いも異なるからである。
即ち、図22において、上側の図は、シャッタ速度がフレーム速度と同一の1/30秒である場合の図を示しており、下側の図は、シャッタ速度がフレーム速度よりも早い(1/30-Ts)秒である場合の図を示している。図22の両図とも、横軸は時間軸を表しており、縦軸はシャッタ開口時間の割合を表している。シャッタ開口時間の割合とは、例えば、シャッタ速度をVa[秒](Vaは、0以上の任意の値)とし、シャッタが開口された第1の時刻の割合を0%とし、第1の時刻からV[秒]が経過してシャッタが閉じる第2の時刻の割合を100%とし、かつ、第1の時刻から現時刻までの時間Ta[秒](Taは、0以上V以下の任意の正値)とした場合に、(Ts/Vs)×100[%]で示される割合である。この場合、図11の両図の縦軸において、時間軸と接する値が100[%]になり、最大値(各直線の最上位の値)が0[%]になる。即ち、図22の両図の縦軸においては、下方にいく程、シャッタ開口時間の割合は大きくなっていくのである。
例えばいま、カメラの1つの検出素子が、フレーム内の1つの画素に対応しているとする。この場合、図22の上側の図に示されるように、シャッタ速度が1/30秒であるときには、カメラの1つの検出素子からは、シャッタが開口している1/30秒間に入射された光の積分値が、対応する画素の画素値として出力される。これに対して、シャッタ速度が(1/30-Ts)秒である場合には、カメラの1つの検出素子からは、シャッタが開口している(1/30-Ts)秒間に入射された光の積分値が、対応する画素の画素値として出力される。
即ち、シャッタ速度は、検出素子における光の蓄積時間(露光時間)に対応している。従って、例えば、実空間において所定の検出素子の前を横切って移動するオブジェクトが存在する場合、シャッタ速度が(1/30-Ts)秒のときよりも1/30秒のときの方が、その検出素子には、オブジェクトに対応する光とは異なる光、例えば、背景の光が時間Ts[秒]分だけ多く入射されてしまうことになる。これにより、シャッタ速度が(1/30-Ts)秒のときよりも1/30秒のときの方が、1つの検出素子から出力される画素値の中に、オブジェクトとは異なる背景等の光の蓄積値が混合される割合が多くなってしまう。その結果、撮像ボケの度合いが大きくなってしまう。
以上の内容をまとめると、シャッタ速度が遅くなればなるほど、撮像ボケの度合いが大きくなる。即ち、シャッタ速度は、撮像ボケの一特性を示していると言える。従って、シャッタ速度も、移動速度と同様に、撮像ボケの特性を示すパラメータとして利用することが可能である。
なお、このようなシャッタ速度が、撮像ボケの特性を示すパラメータとして利用される場合には、図1の撮像ボケ特性検出部12は、例えば、高フレームレート変換部11から供給された動画像(データ)に付加されているヘッダ情報などを解析することで、各フレームのシャッタ速度を検出し、それらを撮像ボケの特性を示すパラメータとして、撮像ボケ抑制処理部13に供給することができる。撮像ボケ抑制処理部13は、例えば、移動速度の代わりにこのシャッタ速度を利用して上述した一連の処理を実行することで、各画素値を適切に補正することができる。このシャッタ速度を利用する場合の撮像ボケ抑制処理部13の機能的構成は、移動速度を利用する場合のそれと基本的に同様とすることができる。即ち、上述した図5乃至図19で説明した撮像ボケ抑制処理部13であれば、シャッタ速度をパラメータ値として利用して上述した一連の処理を実行することで、各画素値を適切に補正することができる。
以上、本発明が適用される画像処理装置の実施の形態として、図1に示される機能的構成を有する画像処理装置1について説明したが、本発明は、図1の例に限定されず、その他様々な実施の形態を取ることが可能である。
具体的には例えば、図23乃至図26のそれぞれには、本発明が適用される画像処理装置の他の実施の形態の機能ブロック図が示されている。
例えば、図23の画像処理装置201は、図1の画像処理装置1と同様に、高フレームレート変換部11、撮像ボケ特性検出部12、および、撮像ボケ抑制処理部13から構成される。
ただし、図23の画像処理装置201においては、撮像ボケ抑制処理部13の補正処理の対象は、画像処理装置201の入力動画像、即ち、高フレームレート変換部11により高フレームレート変換処理が施される前の動画像である。このため、撮像ボケ特性検出部12も、高フレームレート変換部11により高フレームレート変換処理が施される前の動画像の中から、撮像ボケの特性を示すパラメータの値を検出し、その検出結果を撮像ボケ抑制処理部13に供給している。
従って、図23の画像処理装置201の画像処理は、図3の画像処理のうちの、ステップS1、S3、S4、S2、およびS5のそれぞれの処理がその順番で実行される処理となる。
また、例えば、図24の画像処理装置202は、図1の画像処理装置1や図23の画像処理装置201と同様に、高フレームレート変換部11、撮像ボケ特性検出部12、および、撮像ボケ抑制処理部13から構成される。
この図24の画像処理装置202においては、撮像ボケ抑制処理部13の補正処理の対象は、図1の画像処理装置1と同様に、入力動画像に対して高フレームレート変換処理が高フレームレート変換部11により施された結果得られる動画像である。即ち、撮像ボケ抑制処理部13は、高フレームレート変換処理が施された後の動画像に対して補正処理を施す。
ただし、図24の画像処理装置202の撮像ボケ特性検出部12は、入力動画像の中から、即ち、高フレームレート変換部11により高フレームレート変換処理が施される前の動画像の中から、撮像ボケの特性を示すパラメータを検出し、その検出結果を撮像ボケ抑制処理部13に供給している。即ち、図24の画像処理装置202の撮像ボケ抑制処理部13は、高フレームレート変換処理が施される前の動画像の中から検出されたパラメータの値を利用して、各画素値を補正している。
以上のことから、図24の画像処理装置202の画像処理も、図3の画像処理と同様の流れで実行される処理、即ち、ステップS1、S2、S3、S4、およびS5のそれぞれの処理がその順番で実行される処理となる。ただし、ステップS3の処理は、「高フレームレート変換処理が施される前の動画像、即ち、ステップS1の処理で入力された動画像を構成する各フレームのそれぞれの中から、撮像ボケの特性を示すパラメータの値を検出する」という処理になる。
このような図23の画像処理装置201と図24の画像処理装置202とに対して、図25の画像処理装置212と図26の画像処理装置231とは、高フレームレート変換部11と撮像ボケ抑制処理部13とから構成され、撮像ボケ特性検出部12はその構成要素に含んでいない。
即ち、図25と図26に示されるように、撮像ボケ特性検出部12は、他の画像処理装置211(以下、図面の記載にあわせて、画像信号生成装置211と称する)内に重畳部221とともに設けられている。この画像信号生成装置211に入力された動画像は、撮像ボケ特性検出部12と重畳部221とに供給される。撮像ボケ特性検出部12は、この動画像の中から、撮像ボケの特性を示すパラメータの値を検出し、重畳部221に供給する。重畳部221は、この動画像に対して、撮像ボケの特性を示すパラメータの値を重畳し、その結果得られる信号を出力する。
従って、図25の画像処理装置212と図26の画像処理装置231には、撮像ボケの特性を示すパラメータの値が重畳された動画像(信号)が画像信号生成装置211から供給されてくる。
そこで、例えば、図25の画像処理装置212では、撮像ボケ抑制処理部13が、撮像ボケの特性を示すパラメータの値と動画像とを分離して、分離された動画像を構成する各フレームのそれぞれについて、分離された撮像ボケの特性を示すパラメータの値に基づいて各画素値を補正する。
次に、高フレームレート変換部11が、撮像ボケ抑制処理部13により補正された動画像に対して高フレームレート変換処理を施し、その結果得られる動画像、即ち、高フレームレートに変換され、かつ補正がなされた動画像を出力する。
以上のことから、図25の画像処理装置212の画像処理は、図3の画像処理のうちの、ステップS1、S4、S2、およびS5のそれぞれの処理がその順番で実行される処理となる。
これに対して、例えば、図26の画像処理装置231では、高フレームレート変換部11が、撮像ボケの特性を示すパラメータの値と動画像とを分離して、分離された動画像に対して高フレームレート変換処理を施し、その結果得られる動画像、即ち、高フレームレートに変換された動画像を撮像ボケ抑制処理部13に供給する。このとき、高フレームレート変換部11により分離された撮像ボケの特性を示すパラメータの値も、撮像ボケ抑制処理部13に供給される。
次に、撮像ボケ抑制処理部13が、高フレームレートに変換された動画像を構成する各フレームのそれぞれについて、撮像ボケの特性を示すパラメータの値に基づいて各画素値を補正し、その結果得られる動画像、即ち、補正がなされ、かつ高フレームレートに変換された動画像を出力する。
ところで、上述した撮像ボケ抑制処理部13についての説明を行う際、説明の簡略上、移動方向(移動ベクトルの方向)は横方向であるとし、それ故、注目画素に対してフィルタや補正等の上述した各種処理を施す場合に利用する画素もまた、注目画素の横方向に隣接する画素が利用された。なお、注目画素の所定の方向に隣接する画素が利用される処理を、その所定の方向の処理と称する。即ち、上述した例では、横方向の処理が対象とされた。
しかしながら、上述したように、移動方向は、2次元平面上の何れの方向ともなり得、撮像ボケ抑制処理部13は、当然ながら、2次元平面上の何れの方向が移動方向になった場合でも、例えば垂直方向になった場合でも、上述した各種処理を全く同様に実行することが可能である。ただし、移動方向が垂直方向の場合の処理(または、移動方向が斜め方向の場合の処理であって、垂直方向の処理と水平方向の処理との組み合わせ処理)を行うためには、撮像ボケ抑制処理部13として、上述した図5の構成の代わりに例えば図27の構成を、上述した図20の構成の代わりに例えば図28の構成を、上述した図21の構成の代わりに例えば図29の構成を、それぞれ採用する必要がある。
即ち、図27乃至図29は、本発明が適用される撮像ボケ抑制処理部13の機能的構成例であって、上述した各例とはさらに異なる3つの例のそれぞれを示している。
図27、図28、および図29のそれぞれにおいて、図5、図20、および図21のそれぞれと対応する部分(ブロック)には対応する符号を付しており、それらの説明については同様の説明となるため、ここでは省略する。
図27の例の撮像ボケ抑制処理部13では、図5例の構成に対して、垂直方向の処理を可能にすべくさらに、フィルタ部22の前段にラインメモリ261−1が設けられ、また、撮像ボケ補償部23の前段にラインメモリ261−2が設けられている。
同様に、図28の例の撮像ボケ抑制処理部13では、図20例の構成に対して、垂直方向の処理を可能にすべくさらに、撮像ボケ補償部23の前段にラインメモリ261−1が設けられ、また、フィルタ部22の前段にラインメモリ261−2が設けられている。
一方、図29の例の撮像ボケ抑制処理部13では、図21例の構成に対して、垂直方向の処理を可能にすべくさらに、撮像ボケ補償部23とフィルタ部22との前段に、共通のラインメモリ261がひとつだけ設けられている。
このように、図29の例の撮像ボケ抑制処理部13を採用することで、図27や図28の構成例のものを採用した場合と比較して、その撮像ボケ抑制という効果を落とすことなく、ラインメモリ数を削減することが可能になる。即ち、撮像ボケ抑制処理部13の構成として、図29の例の構成を採用することで、図27や図28の例の構成を採用した場合と比較して、その回路規模の削減を図ることが可能になり、ひいては図1の画像処理装置1の回路規模の削減を図ることが可能になる。
ところで、上述した一連の処理(或いはそのうちの一部分の処理)は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることもできる。
この場合、図1の画像処理装置1全体若しくはその一部分(例えば、撮像ボケ抑制処理部13等)、図23の画像処理装置201全体若しくはその一部分、図24の画像処理装置202全体若しくはその一部分、図25の画像処理装置212全体若しくはその一部分、および、図26の画像処理装置231全体若しくはその一部分は、例えば、図30に示されるようなコンピュータで構成することができる。
図30において、CPU(Central Processing Unit)301は、ROM(Read Only Memory)302に記録されているプログラム、または記憶部308からRAM(Random Access Memory)303にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM303にはまた、CPU301が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU301、ROM302、およびRAM303は、バス304を介して相互に接続されている。このバス304にはまた、入出力インタフェース305も接続されている。
入出力インタフェース305には、キーボード、マウスなどよりなる入力部306、ディスプレイなどよりなる出力部307、ハードディスクなどより構成される記憶部308、および、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部309が接続されている。通信部309は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置との通信処理を行う。
入出力インタフェース305にはまた、必要に応じてドライブ310が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなるリムーバブル記録媒体311が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部308にインストールされる。
一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
このようなプログラムを含む記録媒体は、図30に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブル記録媒体(パッケージメディア)211により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM302や、記憶部308に含まれるハードディスクなどで構成される。
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、上述したように、本明細書において、システムとは、複数の処理装置や処理部により構成される装置全体を表すものである。
さらにまた、上述の各種実施の形態で実行される高フレームレート変換処理において、入力映像信号の第1のフレームレート(フレーム周波数)と、出力映像信号の第2のフレームレート(フレーム周波数)との組み合わせは、特に限定されず任意の組み合わせで良い。具体的には例えば、入力映像信号の第1のフレームレートとして60(または30)〔Hz〕を採用し、かつ、出力映像信号の第2のフレームレートとして120[Hz]を採用することができる。例えば、入力映像信号の第1のフレームレートとして60(または30)〔Hz〕を採用し、かつ、出力映像信号の第2のフレームレートとして240[Hz]を採用することができる。例えば、入力映像信号の第1のフレームレートとして、PAL(Phase Alternation by Line)方式に対応する50〔Hz〕を採用し、かつ、出力映像信号の第2のフレームレートとして100〔Hz〕や200〔Hz〕を採用することができる。例えば、入力映像信号の第1のフレームレートとして、テレシネに対応する48〔Hz〕を採用し、かつ、出力映像信号の第2のフレームレートとしてそれ以上の所定の周波数を採用することができる。
なお、このような既存のテレビジョン方式等に由来する入力映像信号に対して、上述の各種実施の形態における高フレームレート変換処理を施すことで、既存のコンテンツを高品位に表示することが可能になる。
本発明が適用される画像処理装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。 人間の網膜上で形成される像のボケの周波数特性の一例を示す図である。 図1の画像処理装置が実行する画像処理の一例を説明するフローチャートである。 移動ベクトル(移動速度)に応じた撮像ボケの周波数特性の一例を示す図である。 図1の画像処理装置のうちの撮像ボケ抑制処理部の機能的構成の一例を示すブロック図である。 図5の撮像ボケ抑制処理部のうちの高域成分除去部の機能的構成の一例を示すブロック図である。 図6の高域成分除去部のうちの高域リミッタ部の特性の一例を示す図である。 図5の撮像ボケ抑制処理部のうちのフィルタ部の機能的構成の一例を示すブロック図である。 図8のフィルタ部のうちのゲイン制御部の機能的構成の一例を示すブロック図である。 図9のゲイン制御部のうちの調整量決定部の特性の一例を示す図である。 図5の撮像ボケ抑制処理部のうちの撮像ボケ補償部の機能的構成の一例を示すブロック図である。 図11の撮像ボケ補償部のうちのALTI部の機能的構成の一例を示すブロック図である。 図12のALTI部の処理対象の一例を示す図であって、注目画素からみて右方に連続して並ぶ画素群の画素値の平均を演算する場合における画素値の補正方法を説明する図である。 注目画素からみて右方に連続して並ぶ画素群の画素値の平均を演算する場合における画素値の補正方法の補足説明をする図である。 図12のALTI部の処理の一例を説明するフローチャートである。 図12のALTI部のうちの調整量算出部の特性の一例を示す図である。 図11の撮像ボケ補償部のうちのALTI部の機能的構成の図12とは異なる他の例を示すブロック図である。 図11の撮像ボケ補償部のうちのゲイン制御部の機能的構成例を示すブロック図である。 図18のゲイン調整部のうちの調整量決定部の特性の一例を示す図である。 図1の画像処理装置のうちの撮像ボケ抑制処理部の機能的構成の図5とは異なる例を示すブロック図である。 図1の画像処理装置のうちの撮像ボケ抑制処理部の機能的構成の図5と図20とは異なる例を示すブロック図である。 カメラのシャッタ速度と、撮像ボケの特性とを説明する図である。 本発明が適用される画像処理装置の機能的構成の図1とは異なる例を示すブロック図である。 本発明が適用される画像処理装置の機能的構成の図1と図23とは異なる例を示すブロック図である。 本発明が適用される画像処理装置の機能的構成の図1、図23、および図24とは異なる例を示すブロック図である。 本発明が適用される画像処理装置の機能的構成の図1、図23、図24、および図25とは異なる例を示すブロック図である。 図1の画像処理装置のうちの撮像ボケ抑制処理部の機能的構成の、図5、図20、および図21とは異なる例を示すブロック図である。 図1の画像処理装置のうちの撮像ボケ抑制処理部の機能的構成の、図5、図20、図21、および図27とは異なる例を示すブロック図である。 図1の画像処理装置のうちの撮像ボケ抑制処理部の機能的構成の、図5、図20、図21、図27、および図28とは異なる例を示すブロック図である。 本発明が適用される画像処理装置の全部または一部分のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
符号の説明
1 画像処理装置, 11 高フレームレート変換部, 12 撮像ボケ特性検出部, 13 撮像ボケ抑制処理部, 21 高域成分除去部, 22 フィルタ部, 23 撮像ボケ補償部, 24 加算部, 31 ハイパスフィルタ部, 32 高域リミッタ部, 33 減算部, 51 移動平均フィルタ部, 52 減算部, 53 ゲイン制御部, 54 加算部, 61−1乃至61−n DL部, 62 MAX/MIN算出部, 63 減算部, 64 調整量決定部, 81 ALTI部, 82 減算部, 83 ゲイン制御部, 84 加算部, 91−1乃至91−n DL部, 92,93,94 平均値算出部, 95 補正量決定部, 96 加算部乃, 101乃至104 減算部, 105 加算部, 106 ABS部, 107 差分絶対値算出部, 108 除算部, 109 調整量算出部, 110,111 乗算部, 112 固定値発生部, 113 判別部, 121 候補決定部, 122 調整量決定部, 123 調整部, 124 補正量選抜部, 161 マスキング信号生成部, 162 LTI処理部, 163 平均化部, 171 調整量決定部, 172 乗算部, 201,202,212,231 画像処理装置, 261,261−1,261−2 ラインメモリ, 301 CPU, 302 ROM, 303 RAM, 308 記憶部, 311 リムーバブル記録媒体

Claims (17)

  1. 所定の撮影装置により撮影された動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、前記撮影装置により前記動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出して取得するか、または外部から取得する画像処理装置であって、
    前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、前記パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のそれぞれの画素値を補正する補正手段を備え、
    前記補正手段は、
    前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定し、前記注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値を取得する取得手段と、
    前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する値に基づいて、前記取得手段により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向側に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第1方向画素平均画素値として算出する第1の平均値算出手段と、
    前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する前記値に基づいて、前記取得手段により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向とは逆方向の第2の方向側に位置する前記k個の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第2方向画素平均画素値として算出する第2の平均値算出手段と、
    前記第1の平均値算出手段により算出された前記第1方向画素平均画素値、前記注目画素の入力画素値、および、前記第2の平均値算出手段により算出された前記第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、前記注目画素の入力画素値を補正するための補正量を決定する補正量決定手段と、
    前記注目画素の入力画素値と、前記補正量決定手段により決定された前記補正量とを加算し、その結果得られる加算値を、前記注目画素の出力画素値として出力する第1の加算手段と
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記画像処理装置は、
    前記取得手段により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素とその近隣のm個(mは1以上の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値の平均値を、注目画素平均画素値として算出する第3の平均値算出手段をさらに備え、
    前記補正量決定手段は、
    前記第1方向画素平均画素値と前記注目画素の入力画素値との差分値を、前記補正量の第1の候補として決定し、かつ、前記第2方向画素平均画素値と前記注目画素の入力画素値との差分値を、前記補正量の第2の候補として決定する候補決定手段と、
    第1の軸が画素の配置位置とされ第2の軸が画素値とされた平面上における、前記第1方向画素平均画素値を示す第1の点、前記第3の平均値算出手段により算出された前記注目画素平均画素値を示す第2の点、および、前記第2方向画素平均画素値を示す第3の点の3点の位置関係を利用して、前記補正量を調整するための調整量を決定する調整量決定手段と、
    前記候補決定手段により決定された前記第1の候補と前記第2の候補とのそれぞれの値を、前記調整量決定手段により決定された前記調整量を利用して調整する調整手段と、
    前記調整手段により値が調整された前記第1の候補および前記第2の候補、並びに、予め設定されている固定値の中から所定の1つを所定の選抜条件に従って選抜し、選抜された値を前記補正量として決定する選抜手段と
    を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記調整量決定手段は、前記第1の点乃至前記第3の点をその順番で結んだ線の前記第2の点における2次微分値の絶対値を、前記第2の軸方向の前記第1の点と前記第3の点との間の距離で除算し、その結果得られる除算値を利用して前記調整量を決定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記第1の平均値算出手段乃至前記第3の平均値算出手段のそれぞれは、撮像ボケの特性を示す前記パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の前記値に応じて、平均値を求めるための算出範囲をそれぞれ可変する
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  5. 前記第1の平均値算出手段と前記第2の平均値算出手段とのそれぞれは、
    さらに、第1の軸が画素の配置位置とされ第2の軸が画素値とされた平面上における、それぞれが決定した前記算出範囲に含まれる前記k個の入力画素値のそれぞれを示す各点を結んだ線の傾きの極性が変化しているか否かを判定し、
    極性が変化していないと判定した場合、前記k個の入力画素値をそのまま利用して、前記第1方向画素平均画素値または前記第2方向画素平均画素値を算出し、
    極性が変化していると判定した場合、前記k個の入力画素値のうちの極性変化後の点が示す入力画素値を補正対象として、極性変化前の点が示す入力画素値に基づいて補正し、前記k個の入力画素値のうちの、補正対象については補正後の値を利用して、かつ、それ以外については入力画素値をそのまま利用して、前記第1方向画素平均画素値または前記第2方向画素平均画素値を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  6. 前記補正手段は、
    前記取得手段、前記第1の平均値算出手段、前記第2の平均値算出手段、前記補正量決定手段、および、前記第1の加算手段を有する第1の補正手段に加えて、
    前記撮像ボケを示す移動平均フィルタの特性を、前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する前記値に応じて変換し、前記注目画素を含む所定のブロックの各入力画素値に対して、特性が変換された前記移動平均フィルタをかけ、その結果得られる前記注目画素の補正された入力画素値を第1の値として出力する移動平均フィルタリング手段と、
    前記注目画素の入力画素値と、前記移動平均フィルタリング手段から出力された前記第1の値との差分を演算し、その結果得られる差分値を第2の値として出力する減算手段と、
    前記減算手段から出力された前記第2の値を、前記注目画素の前記入力画素値に加算し、その結果得られる加算値を、前記注目画素の出力画素値として出力する第2の加算手段と
    を有する第2の補正手段
    をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  7. 前記画像処理装置は、前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のそれぞれにおける移動ベクトルを、複数の前記画素のそれぞれに対応する前記パラメータの値として取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  8. 前記画像処理装置は、前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれが前記撮影装置により撮影されたときの前記撮影装置のシャッタ速度のそれぞれを、前記パラメータの値として取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  9. 前記画像処理装置は、前記動画像におけるアクセスユニットのレートを、現在の第1のレートからそれよりも高い第2のレートに変換する高レート変換処理を実行する高レート変換手段をさらに備え、
    前記補正手段は、処理対象の前記アクセスユニットに対して、前記高レート変換手段による前記高レート変換処理が施される前または後に、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のそれぞれの画素値を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  10. 前記第1のレートは30Hzであり、前記第2のレートは120Hzである
    ことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
  11. 前記第1のレートは60Hzであり、前記第2のレート120Hzである
    ことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
  12. 前記第1のレートは60Hzであり、前記第2のレートは240Hzである
    ことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
  13. 前記第1のレートは50Hzであり、前記第2のレートは100Hzである
    ことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
  14. 前記第1のレートは50Hzであり、前記第2のレートは200Hzである
    ことを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
  15. 所定の撮影装置により撮影された動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、前記撮影装置により前記動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出して取得するか、または外部から取得する情報処理装置の情報処理方法であって、
    前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、前記パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のそれぞれの画素値を補正する補正ステップを含み、
    前記補正ステップは、
    前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定し、前記注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値を取得する取得ステップと、
    前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する値に基づいて、前記取得ステップの処理により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向側に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第1方向画素平均画素値として算出する第1の平均値算出ステップと、
    前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する前記値に基づいて、前記取得ステップの処理により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向とは逆方向の第2の方向側に位置する前記k個の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第2方向画素平均画素値として算出する第2の平均値算出ステップと、
    前記第1の平均値算出ステップの処理により算出された前記第1方向画素平均画素値、前記注目画素の入力画素値、および、前記第2の平均値算出ステップの処理により算出された前記第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、前記注目画素の入力画素値を補正するための補正量を決定する補正量決定ステップと、
    前記注目画素の入力画素値と、前記補正量決定ステップの処理により決定された前記補正量とを加算し、その結果得られる加算値を、前記注目画素の出力画素値として出力する加算ステップと
    を含むことを特徴とする画像処理方法。
  16. 所定の撮影装置により撮影された動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、前記撮影装置により前記動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出して取得するか、または、外部から取得する装置の制御を行うコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、前記パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のそれぞれの画素値を補正する補正ステップを含み、
    前記補正ステップは、
    前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定し、前記注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値を取得する取得ステップと、
    前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する値に基づいて、前記取得ステップの処理により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向側に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第1方向画素平均画素値として算出する第1の平均値算出ステップと、
    前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する前記値に基づいて、前記取得ステップの処理により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向とは逆方向の第2の方向側に位置する前記k個の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第2方向画素平均画素値として算出する第2の平均値算出ステップと、
    前記第1の平均値算出ステップの処理により算出された前記第1方向画素平均画素値、前記注目画素の入力画素値、および、前記第2の平均値算出手段により算出された前記第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、前記注目画素の入力画素値を補正するための補正量を決定する補正量決定ステップと、
    前記注目画素の入力画素値と、前記補正量決定ステップの処理により決定された前記補正量とを加算し、その結果得られる加算値を、前記注目画素の出力画素値として出力する加算ステップと
    を含むプログラムを記録していることを特徴とする記録媒体。
  17. 所定の撮影装置により撮影された動画像を構成する複数のアクセスユニットのそれぞれについて、前記撮影装置により前記動画像が撮影されるときに発生する撮像ボケの特性を示すパラメータの値を1以上検出して取得するか、または、外部から取得する装置の制御を行うコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、前記パラメータの値のうちの処理対象のアクセスユニットに対応する1以上の値に基づいて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のそれぞれの画素値を補正する補正ステップを含み、
    前記補正ステップは、
    前記動画像を構成する複数の前記アクセスユニットのそれぞれについて、処理対象の前記アクセスユニットを構成する複数の前記画素のうちの処理対象として注目すべき画素を注目画素として設定し、前記注目画素を中心に第1の方向に連続して並ぶn(nは、3以上の整数値)個の画素のそれぞれの入力画素値を取得する取得ステップと、
    前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する値に基づいて、前記取得ステップの処理により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向側に位置するk個(kは、n/2未満の整数値)の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第1方向画素平均画素値として算出する第1の平均値算出ステップと、
    前記パラメータの値のうちの前記注目画素に対応する前記値に基づいて、前記取得ステップの処理により取得された前記入力画素値のうちの、前記注目画素よりも前記第1の方向とは逆方向の第2の方向側に位置する前記k個の画素のそれぞれの入力画素値を算出範囲として決定し、決定された前記算出範囲に含まれる前記入力画素値の平均値を、第2方向画素平均画素値として算出する第2の平均値算出ステップと、
    前記第1の平均値算出ステップの処理により算出された前記第1方向画素平均画素値、前記注目画素の入力画素値、および、前記第2の平均値算出手段により算出された前記第2方向画素平均画素値の3者の関係を利用して、前記注目画素の入力画素値を補正するための補正量を決定する補正量決定ステップと、
    前記注目画素の入力画素値と、前記補正量決定ステップの処理により決定された前記補正量とを加算し、その結果得られる加算値を、前記注目画素の出力画素値として出力する加算ステップと
    を含むことを特徴とするプログラム。
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