JP4671298B2 - 光学ガラス、プレス成形用プリフォームおよび光学素子 - Google Patents
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多く導入することでガラスの転移温度(Tg)を大きく低下させることができると同時に、ガラスの耐久性をも改善できること、さらに、少量のLa2O3の導入によりガラスの耐候性を大幅に向上させることができるという知見を見出し、本発明を完成するに至った。
(1) モル%表示で、B2O3 22〜40%、SiO2 12〜40%、Li2O 2〜20%、CaO 5〜15%、ZnO 2〜14%、La2O3 0.5〜4%、Gd2O3 0〜3%、Y2O3 0〜3%(ただし、La2O3とGd2O3とY2O3との合計1%以上)、Al2O3 0〜5%、ZrO2 0〜3%(但し、0%を除く)およびBaO 0〜5%を含み、上記成分の合計量が96%より多く、かつ屈折率(nd)が1.57〜1.67、アッベ数(νd)が55〜65である光学ガラス(以下、光学ガラスIVと称す。)が得られる溶融ガラス流から所定重量の溶融ガラス塊を分離し、型で受けた溶融ガラス塊を風圧により浮上させて、ガラスプリフォームに成形することを特徴とするプレス成形用プリフォームの製造方法、
(2) 用いる光学ガラスがBaOを含まない上記(1)項に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法、
(3) 用いる光学ガラスのガラス転移温度(Tg)が560℃以下であり、かつヘイズ値が3%以下の耐候性を有する上記(1)または(2)項に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法、
(4) 用いる光学ガラスのヘイズ値が3%以下の耐候性を有し、精密プレス成形用である上記(1)または(2)項に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法、および
(5) 上記(1)ないし(4)項のいずれか1項に記載の方法でプレス成形用プリフォームを製造し、得られたプレス成形用プリフォームを加熱、軟化し、プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法、
を提供するものである。
製クリーン恒温恒湿器「PCR−3SP」)内に一時間保持した後、温度65℃、相対湿度95%(超純水を使用)で2週間保持した。このようにして準備されたガラス試料のヘイズ値をヘイズメーター(「AUTOMATIC HAZE MATER MODEL TC-H III DPK」東京電色社製)を用いて測定する。
の低軟化性や目標の光学恒数を維持することができる。しかし、その含有量が5%未満ではガラスの転移温度が高くなり、光学恒数も目標の範囲から外れてしまうのに対し、15%を超えて導入すると、逆に耐久性及び耐候性が悪化してしまうおそれがある。したがって、その導入量は5〜15%の範囲に限定される。好ましくは6〜12%の範囲である。
Gd2O3、Y2O3は何れもガラスの耐候性の向上や光学恒数の調整に使われる成分であるが、それぞれの導入量が3%より多くなると、光学恒数が所望の範囲より外れやすくなり、低温軟化性も悪化するので、それぞれの導入量を0〜3%とする。ただし、ガラスの高耐候性を維持するため、La2O3、Gd2O3、Y2O3の合計量を1%以上にする。
記合計含有量を98%以上、より好ましくは99%以上とする。なお、脱泡剤を別にすれば、上記合計含有量を100%にすることがさらに好ましい。中でも、B2O3、SiO2、Li2O、CaO、ZnO、La2O3、Gd2O3、Y2O3、Al2O3、ZrO2からなるガラス、B2O3、SiO2、Li2O、CaO、ZnO、La2O3、Gd2O3、Y2O3、Al2O3、ZrO2、BaOからなるガラス、前記2つのガラスに脱泡剤を加えたガラスが好ましい。
〈プレス成形用プリフォームとその製造方法〉
プレス成形用プリフォーム(以下、プリフォームという。)は、加熱、軟化することによりプレス成形に供されるガラス素材であり、予めプレス成形に好適な形状に成形されたガラス成形予備体である。一般にプレス成形前後でガラスの容量は変化しないので、所望の容量のプレス成形品を作製するには、プリフォームの容量もプレス成形品の容量に合わせる。通常、ガラスの容量は重量によって管理される。
用意する。そして、この溶融ガラスを温度制御された白金製などのノズルから一定の流下速度で流下させて型に受け、プリフォームに成形する。ここで一定重量の溶融ガラス塊を溶融ガラス流から分離する方法としては、ノズルから溶融ガラス滴として滴下させる方法、ノズルより流下する溶融ガラス流の先端部を支持部材で受けて溶融ガラス流にくびれを形成し、所望の重量の溶融ガラス塊が分離できるタイミングで上記支持部材を急降下(溶融ガラス流の流下速度よりも大きな速度で降下)させ、支持を失った溶融ガラス流先端部を上記くびれから分離する方法などを例示できる。
〈光学素子およびその製造方法〉
本発明の光学素子は、前述の光学ガラスI〜IVのいずれかの光学ガラスからなるものである。したがって、耐候性に優れた光学素子を提供することができる。上記光学素子は、プレス成形によって得られるもの、さらに研削、研磨加工して得られるもの、精密プレス成形によって得られるもの、溶融ガラスを鋳込んで成形されたガラス成形体をアニールして除歪した後、切断、切削、研削、研磨などの機械加工して得られるものを含んでいる。光学素子としては球面レンズ、非球面レンズ、マイクロレンズ、マイクロレンズアレイ、ピックアップレンズ、シリンドリカルレンズなどの各種光学レンズ、回折格子、プリズムなどを例示できる。これら光学素子には必要に応じて反射防止膜、部分反射膜、高反射膜などの光学多層膜を形成することもできる。このような多層膜を形成する際、光学素子を構成するガラスの耐候性が優れているので、表面が清浄に保たれ、良好な成膜が可能となる。また、長期にわたり使用してもこれらの膜は剥がれるといった不具合が生じることもない。
実施例1〜23および参考例1〜5
それぞれのガラス成分に対応する酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物など、例えば、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、CaCO3、ZnO、La2O3、Gd2O3、Y2O3、ZrO2、Li2CO3などを適宜用いて、表1、表2に示した組成のガラスが得られるように、250〜300g秤量し、十分に混合して調合バッチと成し、これを白金るつぼに入れ、1200〜1250℃で攪拌しながら空気中で2〜4時間、ガラスの溶解を行った。溶解後、ガラス融液を40×70×15mmのカーボンの金型に流し、ガラスの転移温度(Tg)まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラスの転移温度付近で約1時間アニールして炉内で室温まで放冷した。このようにして得られた実施例1〜23および参考例1〜5のガラスは顕微鏡で観察できる結晶が析出しなかった。なお、各実施例および参考例において脱泡剤として通常使用される程度のSb2O3を外割添加してもよい。
(1)屈折率(nd)及びアッベ数(νd)
徐冷降温速度を−30℃/時にして得られた光学ガラスについて測定した。
(2)転移温度(Tg)
理学電機株式会社の熱機械分析装置により昇温速度を4℃/分にして測定した。
(3)耐候性評価
試料(20×20×2mm)を砂目が見えない程度まで光学研磨した。洗浄後、クリーンブース(クラス1000)内で、温度65℃、相対湿度0%に設定した環境試験機(エスペック(株)製クリーン恒温恒湿器「PCR−3SP」)内に一時間保持した後、温度65℃、相対湿度95%(超純水を使用)で2週間保持した。これをヘイズメーター(「AUTOMATIC HAZE MATER MODEL TC-H III DPK」東京電色社製)を用いてヘイズ値を測定した。
実施例24
実施例1〜23および参考例1〜5の各ガラスが得られる溶融ガラスを多量に溶解し、清澄、攪拌した後、白金製の温度制御されたノズルから一定の速度で流下させ、ノズルの先端から常に一定の重量の溶融ガラス滴を受け型に滴下させて、上記重量の球形状のプリフォームを浮上、回転させながら成形した。
実施例25
実施例24で得られたプリフォームを、図1に示すプレス装置を用いて精密プレス成形により非球面レンズを得た。
石英管11内を加熱した。プレス成形型内部の温度をガラスの転移温度+20〜60℃となる温度に設定し、同温度を維持しつつ、押し棒13を降下させて上型1を押してプレス成形型内のプリフォーム4をプレス成形した。成形圧力を8MPa、成形時間を30秒とし、プレスの後に成形圧力を低下させ、精密プレス成形された非球面レンズを下型2及び上型1と接触させたままの状態でガラスの転移温度−30℃の温度までに徐冷し、次いで室温まで急冷して非球面レンズをプレス成形型から取り出した。なお、図1において、符号3は案内型、9は支持棒、10は支持台、14は熱伝対である。
2 下型
3 案内型(胴型)
4 プリフォーム
9 支持棒
10 支持台
11 石英管
12 ヒーター
13 押し棒
14 熱伝対
Claims (5)
- モル%表示で、B2O3 22〜40%、SiO2 12〜40%、Li2O 2〜20%、CaO 5〜15%、ZnO 2〜14%、La2O3 0.5〜4%、Gd2O3 0〜3%、Y2O3 0〜3%(ただし、La2O3とGd2O3とY2O3との合計1%以上)、Al2O3 0〜5%、ZrO2 0〜3%(但し、0%を除く)およびBaO 0〜5%を含み、上記成分の合計量が96%より多く、かつ屈折率(nd)が1.57〜1.67、アッベ数(νd)が55〜65である光学ガラスが得られる溶融ガラス流から所定重量の溶融ガラス塊を分離し、型で受けた溶融ガラス塊を風圧により浮上させて、ガラスプリフォームに成形することを特徴とするプレス成形用プリフォームの製造方法。
- 用いる光学ガラスがBaOを含まない請求項1に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
- 用いる光学ガラスのガラス転移温度(Tg)が560℃以下であり、かつヘイズ値が3%以下の耐候性を有する請求項1または2に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
- 用いる光学ガラスのヘイズ値が3%以下の耐候性を有し、精密プレス成形用である請求項1または2に記載のプレス成形用プリフォームの製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法でプレス成形用プリフォームを製造し、得られたプレス成形用プリフォームを加熱、軟化し、プレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法。
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