JP5986938B2 - 光学ガラス、精密プレス成形用ガラス素材、光学素子およびその製造方法 - Google Patents
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更に本発明の一態様によれば、上述の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームおよび光学素子、ならびにこの精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形する光学素子の製造方法が提供される。
P2O5 24〜34質量%、
B2O3 0質量%超4質量%以下、
Na2O、K2O、およびLi2Oを合計で12〜20質量%、
Nb2O5 15〜30質量%、
TiO2 8〜15質量%、
Bi2O3 4〜25質量%、
を含み、
質量比(TiO2/Nb2O5)が0.36〜1.00の範囲であり、
質量比(Bi2O3/Nb2O5)が0.16〜1.67の範囲であり、
屈折率ndが1.78以上1.83未満、かつアッベ数νdが20〜25の範囲である光学ガラス、
に関する。
本発明の一態様にかかる光学ガラスは、酸化物基準のガラス組成において、P2O5を24〜34質量%、B2O3を0質量%超4質量%以下、Na2O、K2O、およびLi2Oを合計で12〜20質量%、Nb2O5を15〜30質量%、TiO2を8〜15質量%、Bi2O3を4〜25質量%含み、質量比(TiO2/Nb2O5)が0.36〜1.00の範囲であり、質量比(Bi2O3/Nb2O5)が0.16〜1.67の範囲であり、屈折率ndが1.78以上1.83未満、かつアッベ数νdが20〜25の範囲である光学ガラスである。
以下、その詳細について説明する。
本発明におけるガラス組成は、ICP−AES(Inductively Coupled Plasma - Atomic Emission Spectrometry)により求められたものである。また、本分析方法により求められた分析値は、±5%程度の測定誤差を含んでいる。
また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%とは、この構成成分が実質的に含まれないことを意味し、この構成成分の含有量が不純物レベル程度以下であることを指す。
ここで、B2O3含有量0%とは、B2O3がガラス中に不純物レベル程度に微量に含有されている場合を含む。したがって、B2O3含有量が0%超とは、B2O3が不純物レベル程度を超えて含有されていることを指す。具体的には、例えば700ppm(質量比)以上、または1000ppm(質量比)以上である。
以上の点から、上述の光学ガラスは、比較的低いガラス転移温度、具体的には520℃以下のガラス転移温度を有することが好ましい。ガラス転移温度は、より好ましくは510℃以下、更に好ましくは500℃以下、一層好ましくは490℃以下である。また、ガラス安定性の観点からは、ガラス転移温度は460℃超であることが好ましく、465℃以上であることがより好ましく、470℃以上であることが更に好ましい。
アルカリ金属酸化物とアルカリ土類金属酸化物の合計含有量(Li2O+Na2O+K2O+MgO+CaO+SrO+BaO)は、高屈折率・高分散特性を実現する観点からは、12〜17%の範囲とすることが好ましい。上限値は、より好ましくは17%以下であり、更に好ましくは16%以下である。
また、各アルカリ土類金属酸化物の含有量については、MgO含有量の好ましい下限値は0%以上であり、好ましい上限値は2%以下である。CaO含有量は好ましい下限値は0%以上であり、好ましい上限値は2%以下であり、より好ましくは1%未満である。SrO含有量の好ましい下限値は0%以上であり、好ましい上限値は2%以下である。BaO含有量の好ましい下限値は0%以上であり、好ましい上限値は2%以下である。
先に説明した組成調整を行うことで、前述の範囲の屈折率ndおよびアッベ数νdを有するとともに、式(1)を満たす光学ガラスを得ることができる。
(A)Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量が12〜17%の範囲であり、かつ質量比(B2O3/P2O5)が0超かつ0.1以下の範囲である組成。好ましくは、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量が12〜17%の範囲であり、かつ質量比(B2O3/P2O5)については、好ましくは0超かつ0.083以下の範囲である組成。
(B)Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量が12〜17%の範囲であり、かつ質量比(Bi2O3/Nb2O5)が0.16〜1.67の範囲である組成。好ましくは、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量が12〜17%の範囲であり、かつ質量比(Bi2O3/Nb2O5)が0.16〜0.87の範囲である組成。
(C)Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量が12〜17%の範囲であり、かつ質量比(WO3/Nb2O5)が0.12〜0.92の範囲である組成。
(D)Li2O、Na2OおよびK2Oの合計含有量が12〜20%の範囲であり、かつ質量比(WO3/Nb2O5)が0.12〜0.92の範囲である組成。
(E)Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量が12〜20%の範囲であり、かつ質量比(WO3/Nb2O5)が0.12〜0.92の範囲である組成。
(F)質量比(TiO2/Nb2O5)が0.36〜1.00の範囲であり、かつLi2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量が12〜17%の範囲である組成。好ましくは、質量比(TiO2/Nb2O5)が0.40〜0.80の範囲であり、かつLi2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量の好ましい範囲は12〜17%の範囲である組成。
本発明の一態様は、上述の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォームに関する。精密プレス成形用プリフォーム(以下、プリフォームともいう)は、精密プレス成形に供されるガラス塊を意味し、精密プレス成形品の質量に相当するガラス成形体である。また、精密プレス成形とは、モールドオプティクス成形とも呼ばれ、光学素子の光学機能面をプレス成形型の成形面を転写することにより形成する方法である。なお、光学機能面とは光学素子において、制御対象の光を屈折したり、反射したり、回折したり、入出射させる面を意味する。レンズにおけるレンズ面などがこの光学機能面に相当する。
本発明の他の一態様は、
上述の光学ガラスからなる光学素子;および、
上述の精密プレス成形用プリフォームを加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いて精密プレス成形することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法、
に関する。
表1に示す組成の光学ガラスが得られるように、各ガラス成分に対応する酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物等のガラス原料を所定の割合に150〜300g秤量し、十分に混合して調合バッチとした。これを白金ルツボに入れ、1000〜1250℃で攪拌しながら空気中で2〜4時間、ガラスの熔解を行った。熔解後、熔融ガラスを40×70×15mmのカーボンの金型に流し、ガラス転移温度まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラスの転移温度範囲で約1時間アニールして炉内で室温まで放冷し、各光学ガラスを作製した。
下記方法により、各光学ガラスの屈折率、アッベ数、ガラス転移温度、および液相温度を測定した。
(1)屈折率(nd)およびアッべ数(νd)
徐冷降温速度を−30℃/時にして得られた光学ガラスについて測定した。
(2)ガラス転移温度Tg
示差走査熱量計(DSC(Differential Scanning Calorimetry))により、昇温速度10℃/分にして測定した。
(3)液相温度LT
ガラス試料を任意温度に設定した試験炉に2時間保持し、倍率10〜100倍の顕微鏡により結晶の有無を観察し、液相温度を測定した。
上述のプリフォームの表面に必要に応じてコーティングを施し、成形面に炭素系離型膜を設けたSiC製の上下型および胴型を含むプレス成形型内に導入し、窒素雰囲気中で成形型とプリフォームを一緒に加熱してプリフォームを軟化し、精密プレス成形して上記各種ガラスからなる非球面凸メニスカスレンズ、非球面凹メニスカスレンズ、非球面両凸レンズ、非球面両凹レンズの各種レンズを作製した。なお、精密プレス成形の各条件は前述の範囲で調整した。
Claims (11)
- 酸化物基準のガラス組成において、
P2O5 24〜34質量%、
B2O3 0質量%超4質量%以下、
Li2O、Na2OおよびK2Oを合計で12〜20質量%、
Nb2O5 15〜30質量%、
TiO2 8〜15質量%、
Bi2O3 4〜25質量%、
を含み、
質量比(TiO2/Nb2O5)が0.36〜1.00の範囲であり、
質量比(Bi2O3/Nb2O5)が0.16〜1.67の範囲であり、
屈折率ndが1.78以上1.83未満、かつアッベ数νdが20〜25の範囲である光学ガラス。 - Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量が12〜17質量%の範囲である請求項1に記載の光学ガラス。
- 質量比(B2O3/P2O5)が0超かつ0.1以下の範囲である請求項1または2に記載の光学ガラス。
- 質量比(WO3/Nb2O5)が0.12〜0.92の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学ガラス。
- WO3含有量が3〜23質量%の範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学ガラス。
- CaO含有量が1質量%未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学ガラス。
- MgO、CaO、SrO、およびBaOの合計含有量が2質量%未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学ガラス。
- ガラス転移温度Tgが520℃以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学ガラス。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォーム。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子。
- 請求項9に記載の精密プレス成形用プリフォームを加熱により軟化した状態で、プレス成形型を用いて精密プレス成形することにより光学素子を作製する工程を備える光学素子の製造方法。
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