以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の画像形成装置1の内部構成を示す図である。画像形成装置1は、主に、記録媒体を矢印A方向に搬送する搬送部2と、その搬送部2の上流側(図面左側)に配置され搬送部2に記録媒体を供給する給紙部3と、その給紙部3との間に搬送部2を挟むように搬送部2の下流側(図面右側)に配置され搬送部2によって搬送された記録媒体を貯留する排紙部4と、搬送部2の上方に配置され搬送部2によって搬送される記録媒体に向けてインクを吐出する記録ヘッドユニット5と、その記録ヘッドユニット5との間に搬送部2を挟むように搬送部2の下方に配置されパージ処理において吐出されるインクをチューブ11を介して貯留する廃インクタンク6とを備えている。尚、画像形成装置1に備えられている他の構成については後述する。
搬送部2は、矢印A方向に所定間隔を空けて配置される一対の搬送ローラ7と、その一対の搬送ローラ7に掛け渡された所定幅を有する帯状の搬送ベルト8とを備えている。搬送部2は、搬送用モータ89(図13参照)を駆動すると、その駆動力によって図示しない伝達機構を介して、一対の搬送ローラ7の一方の搬送ローラ7が右回転し、それに伴って搬送ベルト8、他方の搬送ローラ7が右回転し、給紙部3から搬送ベルト8上に搬送される記録媒体が矢印A方向に搬送され、最終的に排紙部4に排紙される。
給紙部3は、リフト装置9と、そのリフト装置9の上方に配置されるピックアップローラ10とを備えている。リフト装置9は、板状の支持プレート9aと、その支持プレート9aと連結され支持プレート9aを矢印B方向と反矢印B方向とに往復移動させるアーム9bとを備えている。
記録媒体は積層した状態(図中2点鎖線参照)で支持プレート9a上に載置される。リフト用モータ90(図13参照)を駆動すると、記録媒体がピックアップローラ10に当接するようにアーム9bが支持プレート9aを移動させ、ピックアップ用モータ91(図13参照)の駆動力に応じて回転するピックアップローラ10によって最上層の記録媒体から順番に搬送部2に搬送される。
記録ヘッドユニット5は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタの6色の各インクに対応して6つの記録ヘッド5a〜5fを備え、各記録ヘッド5a〜5fは、記録媒体の搬送方向Aに沿って並列に並べて配置されている。
また、各記録ヘッド5a〜5fの搬送ベルト8と対面する面(以下、「ノズル形成面」という)には、インクを吐出するノズルが記録媒体の搬送方向Aと直交する方向(紙面手前方から奥方)に千鳥状に穿設されている。このノズルから吐出されたインクにより搬送部2によって搬送されている記録媒体上に画像が形成される。
更に、各記録ヘッド5a〜5fは、図示しない連結部材によって一体に連結されており、この連結部材は矢印C方向と反矢印C方向とに上下動可能に構成されており、それに伴って各記録ヘッド5a〜5bは一体に矢印C方向と反矢印C方向とに上下動可能に構成されている。
即ち、記録ヘッドユニット5は、記録媒体に画像を形成する場合には、搬送ベルト8に近い位置に位置し(図1の実線参照)、パージ処理やキャッピングする場合には、その位置から搬送ベルト8から離間する方向(反矢印C方向)に一体的に移動し(図1の2点鎖線参照)、再び記録媒体に画像を形成する場合には、搬送ベルト8に近い位置に位置するように矢印C方向に一体的に移動する。
次に、図2乃至図7を参照して、画像形成装置1に備えられている他の構成について説明する。図2は、図1のII−II断面線における画像形成装置1の内部構成を示す図である。尚、図2では、図1に示す外フレームの図示は省略してある。図3は、図2に示す状態において、キャップユニット12と、第1インク受部13と、第2インク受部14とを抽出して示す平面図である。
図4は、図2に相当する図であって、図2に示す状態の第1インク受部13が単独で記録ヘッドユニット5側に移動した状態を示す図であり、図5は、図4に示す状態において、キャップユニット12と、第1インク受部13と、第2インク受部14とを抽出して示す平面図である。
図6は、図2に相当する図であって、図2に示す状態のキャップユニット12が第1インク受部13と一体となって記録ヘッドユニット5側に移動した状態を示す図であり、図7は、図6に示す状態において、キャップユニット12と、第1インク受部13と、第2インク受部14とを抽出して示す平面図である。
図2及び図3に示すように、画像形成装置1には、図1において説明した構成の他に、記録ヘッドユニット5の側方に、上方から順番に、キャップユニット12と、第1インク受部13と、第2インク受部14と、6つのインクカートリッジ15a〜15fとが備えられている。
キャップユニット12は、6つの各記録ヘッド5a〜5fの各ノズル形成面に当接して、その各ノズル形成面を密閉する密閉空間を形成するものであり、各記録ヘッド5a〜5fに対応して並列に並ぶ6つのキャップ本体16と、そのキャップ本体16と所定間隔を空けつつキャップ本体16を支持するキャップホルダ17と、そのキャップホルダ17を下方から支持するキャップトレイ18とを備えている。
また、キャップユニット12は、図2乃至図5に示す非キャッピング位置と、図6乃び図7に示すキャッピング位置との間を、第1インク受部13と一体となって記録媒体の搬送方向A(第1の方向、図1参照)と略直交する矢印D方向(第2の方向)と、反矢印D方向とに往復移動可能に構成されている。尚、キャップユニット12についての具体的な説明は後述する。
第1インク受部13は、パージ処理において各記録ヘッド5a〜5fから吐出されるインクを最初に受ける部材であり、インクを受ける領域を構成する底壁13aと、その底壁13aの周縁から記録ヘッドユニット5側に立設する側壁13bとによって、上面が開放された略中空箱状に形成されている。
また、第1インク受部13は、図2及び図3、図6及び図7に示す非インク受位置と、図4及び図5に示すインク受位置との間を、単独で矢印D方向と、反矢印D方向とに往復移動可能に構成されている。尚、この第1インク受部13についての具体的な説明は後述する。
第2インク受部14は、第1インク受部13から流出されたインクを受け、その受けたインクをチューブ11を介して廃インクタンク6に導入する部材であり、図2乃び図3に示すように、非インク受位置に移動した状態の第1インク受部13の下方に固定配置されている。また、第2インク受部14は、インクを受ける領域を構成する底壁14aと、その底壁14aの周縁から記録ヘッドユニット5側に立設する側壁14bとによって上面が開放された略中空箱状に形成されている。尚、第2インク受部14の具体的な説明は後述する。
6つのインクカートリッジ15a〜15fは、6つ各記録ヘッド5a〜5fの各々に供給するシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタの6色の各インクを貯留するものである。各インクカートリッジ15a〜15fは、画像形成装置1に着脱可能に構成されている。各インクカートリッジ15a〜15fを画像形成装置1に装着すると、各インクカートリッジ15a〜15fは、図示しないポンプと接続され、各インクカートリッジ15a〜15fに貯留されているインクは、この図示しないポンプによって図示しないチューブを介して各記録ヘッド5a〜5fに供給される。
画像形成装置1には、更に、キャップユニット12と第1インク受部13とを往復移動させる移動機構の一部として、記録ヘッドユニット5を挟む両側に搬送ベルト8を跨ぎつつ記録媒体の搬送方向A(図1参照)と略直交する矢印D方向に沿って延びる2本のガイド棒20と、その2本のガイド棒16の各両端上方に配置されガイド棒20が延びる方向にベルト21が架けられたプーリ22とが備えられている。
ここで、図2乃至図7に加え、図8および図9を参照しならが、キャップユニット12と、第1インク受部13とを往復移動させる移動機構について説明する。図8は、図3に示すVIII−VIII断面線における断面図である。尚、図8では、ガイド棒20、プーリ22等の図示は省略する。図9(a)は、図3の矢印E方向視における概略側面図であり、図9(b)は図3のIXb−IXb断面線における第2支持部材30の断面図であり、図9(c)は図3のIXc−IXc断面線における第2支持部材30の断面図である。
図3等に示すように、キャップトレイ18には、各ガイド棒20が貫通された3つの第1支持部材23が連結されている。第1支持部材23は、キャップトレイ18を含むキャップユニット12を記録ヘッド5a〜5fのノズル形成面と平行になるように支持するものであり、キャップトレイ18の略中央部の両側2点と、非インク受位置側の端部1点との3点でキャップユニット12を支持している。このようにキャップユニット12を3点で支持することで、キャップユニット12を記録ヘッド5a〜5fのノズル形成面と平行な状態に保持することができ、後述するようにキャップユニット12をノズル形成面に密着させた場合の密閉性を向上させることができる。
第1支持部材23の他に、キャップトレイ18の内側には、第1支持部材23と隣接する位置に支持軸24を中心に天秤状に上下動可能な2つの係合爪25が配設されている。また、この係合爪25の一端側には、支持軸26を中心に天秤状に上下動可能なシーソー部材27が配設されており、更に、そのシーソー部材27の一端側にはソレノイド28(図8参照)が連結されている。一方、係合爪25の他端側は、後述する第2支持部材30に形成されている係合溝31と係合する。
第1インク受部13の側壁13bの一端側(記録ヘッドユニット5側)には、各ガイド棒20が貫通され、且つ、ベルト21と連結された第2支持部材30が連結されている。第2支持部材30は、第1支持部材23よりもインク受位置側において第1インク受部13を支持するものである。
ここで、図9を参照して、第1インク受部13に対する第2支持部材30の支持構成について説明する。第2支持部材30は第1インク受部13の側壁13bよりも内側に配置されており、第2支持部材30からは、第1インク受部13の側壁13bに向けて突出する回転軸30aが突設されている。
一方、第1インク受部13の側壁13bには、この回転軸30aが突設する位置に対応して長孔13dが穿設されている。長孔13dは、第1インク受部13とキャップユニット12が重複する方向(上下方向)に長尺な楕円状に形成されている。そして、この長孔13dに回転軸30aを挿嵌することで、第1インク受部13は第2支持部材30によって支持されている。また、第2支持部材30が連結されている側壁13bの位置とは反対側の側壁13bには、第2インク受部14の側壁14bの上縁部を転動可能な車輪33が連結されており、第1インク受部13は、この第2支持部材30に加え、車輪33によっても支持されている。
このように、第1インク受部13は第2支持部材30に対して第1インク受部13とキャップユニット12とが重複する方向(上下方向)に移動可能に支持されている。これにより、第1インク受部13が往復移動する際の水平方向における揺れを吸収することができる。また、第2インク受部14の側壁14bの上縁部と車輪33との接触点を支点として、第1インク受部13は第2支持部材30に対して回動可能に支持されている(図9(a)の矢印F参照)ので、第1インク受部13が往復移動する際の鉛直方向における揺れを吸収することもできる。更に、第2支持部材30の反対側を車輪33によって支持しているので、第1インク受部12を安定した状態で支持することができる。
また、図9(b)、(c)に示すように、2つの第2支持部材30のうち、一方は、貫通するガイド棒20に対して水平方向に隙間ができる大きさに構成され、他方は、ガイド棒20がほぼ隙間なく貫通する大きさに構成されている。このようにガイド棒20が第2支持部材30を貫通することで、たとえば、ガイド棒20の一方が水平方向に歪んでいたとしても、その歪みを隙間によって吸収することができ、円滑に第1インク受部13を移動させることができる。尚、第1支持部材23についても第2支持手段30と同様にガイド棒20が貫通している。
このような構成において、まず、キャップユニット12と第1インク受部13とを連結する機構について説明する。図4及び図5に示すようにインク受位置に位置する第1インク受部13が、図2及び図3に示すように非インク受位置に移動すると、第1インク受部13の底壁13aは非キャッピング位置に位置するキャップトレイ18の下方に入り込み、且つ、キャップトレイ18内において略水平状態にある係合爪25(図8の実線参照)が、第1インク受部13に配設されている係合溝31の手前の堤防部32に衝突する。
すると、その勢いで係合爪25が支持軸24を中心に図8中右肩上がりに変位し(図8の2点鎖線参照)、係合爪25が堤防部32を乗り越えて係合溝31と係合する。こうして、係合爪25と係合溝31とが係合することで、係合爪25が配設されているキャップユニット12と、係合溝31が配設されている第1インク受部13とが連結される。
次に、図2及び図3に示すように、キャップユニット12と第1インク受部13とが係合爪25と係合溝31とによって連結されている状態で、そのキャップユニット12と第1インク受部13とを図6及び図7に示す位置まで一体に移動させる場合について説明する。キャップユニット12と第1インク受部13とが図2及び図3に示す状態にある場合に、スライド用モータ92(図13参照)を駆動すると、図示しない伝達機構を介してプーリ22、ベルト21が回転する。
すると、ベルト21に連結されている第2支持部材30が、ガイド棒20に沿って記録ヘッドユニット5側に移動するので、その第2支持部材30に連結されている第1インク受部13も記録ヘッドユニット5側に移動し、更に、それに伴って第1インク受部13と連結されているキャップユニット12が第1インク受部13と一体となって記録ヘッドユニット5側に移動する。そして、図6及び図7に示すように、キャップユニット12はキャッピング位置で、第1インク受部13はインク受位置で停止する。尚、第1インク受部13が移動する場合には、車輪33が第2インク受部14の側壁14bの上縁部を転がり第1インク受部13を安定して移動させている。
次に、図2及び図3に示すように、キャップユニット12と第1インク受部13とが係合爪25と係合溝31とによって連結されている状態で、第1インク受部13を単独でインク受位置に移動させる場合について説明する。
この場合には、ます、係合爪25と係合溝31との係合状態を解除すべく、ソレノイド28を起動する。図8に示すように、ソレノイド28の非起動時には、シーソー部材27は、ソレノイド28の連結棒28aに貫通されているコイルバネ29によって、略水平状態になるように維持されている(図8の実線参照)。この状態でソレノイド28を起動するとコイルバネ29に抗して連結棒28aが上方に変位し、が連結棒28aに連結されているシーソー部材27が、支持軸26を中心に変位して右肩下がりな状態となる(図8中2点鎖線参照)。すると、シーソー部材27の他端側が係合爪25の一端側を押圧して、係合爪25が支持軸24を中心に変位して右肩上がりな状態となり(図8中2点鎖線参照)、係合溝31に係合されている係合爪25が係合溝31から外れた状態になる。
この状態で、上述したのと同様に、スライド用モータ92(図13参照)を駆動すると、係合爪25が係合溝31から外れた状態になっているので、第1インク受部13だけが、単独でガイド棒20に沿って移動し、最終的には、図4及び図5に示すインク受位置で停止する。
次に、図2乃至図7に加え、図10を参照しながら、キャップユニット12について詳細に説明する。図10(a)は、キャップ本体16のリップ部41がノズル形成面に当接している状態を示す拡大断面図であり、(b)はリップ部41の拡大断面図であり、(c)はフィルム43の拡大断面図である。尚、図10(a)では、キャップトレイ18の図示は省略してある。
キャップトレイ18上に並列に並ぶ6つのキャップ本体16は、各記録ヘッド5a〜5fに対応するように各記録ヘッド5a〜5fが並ぶ方向と同じ方向に、各記録ヘッド5a〜5fが並ぶピッチと同じピッチで並列に並べて配置されている。
この各キャップ本体20は、図10(a)に示すように、各記録ヘッド5a〜5fのノズル形成面と対面する略板状のベース部40と、そのベース部40の周縁付近からノズル形成面側に立設してノズル形成面に当接するリップ部41と、ベース部40を貫通開口する開口部42と、その開口部42を塞ぐフィルム43と、ベース部40の周縁からリッブ部41が立設する方向とは反対方向に垂下する垂壁44と、その垂壁44の内面から内側に延びる補強壁45と、短手方向における垂壁44の下端部から外側に延びてキャップホルダ17に係止される係止部46とを備えている。
上述した各キャップ本体20を構成する構成部品のうち、リップ部41とフィルム43とを除いては樹脂で一体成形され、リップ部41は、これらの構成部品よりも弾性を有する樹脂で形成されており、ベース部40に熱溶着によって固着されている。具体的には、リップ部41は略10度〜略20度の範囲の硬度を有するゴム製で構成されている。このようにリップ部41を構成することにより、リップ部41をノズル形成面に当接させた場合に、リップ部41をノズル形成面に密着させることができ、ノズル形成面を密閉する密閉空間の密閉性を向上させることができる。従って、非使用時においてノズルからインクが乾燥するのを抑制することができる。
また、リップ部41は、図10(b)に示すように、断面視において一の頂部を有する山状に形成され、その頂部の曲率Rは略1.0mmで構成されている。このようにリップ部41を形成することで、リップ部41のノズル形成面への密着性を向上させることができる。
また、リップ部41の最大高さhは、略1.0mm〜略2.0mmの範囲で構成されており、好ましくは略1.5mmで構成され、リップ部41の最大幅wは、略1.5mm〜略2.5mmの範囲で構成されており、好ましくは略2,0mmで構成されている。即ち、リップ部の最大高さhは、リップの最大幅wに対して、略0.75から略2.5の範囲の比率で構成されており、好ましくは略1.3の比率で構成されている。
このようにリップ部41を形成することで、ノズル形成面とベース部40とリップ部41とによって囲まれる空間を可及的に小さくすることができ、ノズルからインクが乾燥するのを可及的に抑制することができる。また、リップ部41をノズル形成面に当接させた場合に、リップ部41が左右に倒れるのを防止して、安定した状態でリップ部41をノズル形成面に当接させることができる。
開口部42は、1つのキャップ本体16に2つずつ配設されている。この数、位置等については、本実施例の態様に限定されるものではなく、例えば、複数個の開口部42をベース部40に散点するように配置しても良く、また、ベース部40を枠状に形成し、その枠内の全部を開口部として構成するようにしても良い。
フィルム43は、図10(c)に示すように、ノズル形成面側から順番に、ナイロン製のフィルム43aと、アルミナが蒸着されたポリエステル製のフィルム43bと、ポリプロピレン製のフィルム43cとの3枚のフィルムが積層されることで構成されている。
これらの各フィルム43a〜43cは、いずれも非常に薄いため可撓性があり、且つ、ガスバリア性を有している。また、ポリエステル製のフィルム43bに蒸着されたアルミナは水蒸気に対するバリア性が高い。従って、フィルム43は、あらゆる気体に対する遮断性に優れており、溶剤系と水系のインクの何れに対しても効果的な遮断性を有している。このようにフィルム43を3層構造とすることで、可撓性と気体遮断性を有するフィルムを簡単に実現することができる。
このようなフィルム43を開口部43を塞ぐようにベース部40に溶着することで、リップ部41がノズル形成面に当接した場合には(キャッピングした場合)、ノズル形成面とベース部40とリップ部41とによってノズル形成面を密閉する密閉空間の内圧が変動するものの、その圧力変動をフィルム43によって吸収することができる。
即ち、フィルム43は、キャッピングする前は、平面状に開口部43を覆っているが(図10中実線参照)、キャッピングした場合には、記録ヘッドユニット5とは反対側に膨らむように凹んで密閉空間内の圧力変動を吸収する(図10中2点鎖線参照)。
また、リップ部41をノズル形成面に当接させている最中(キャッピング中)に周囲の環境温度が変化した場合にも、密閉空間の内圧は変動するが、先の場合と同様に、その圧力変動をフィルム43によって吸収することができる。すなわち、環境温度が上昇した場合には、フィルム43は記録ヘッドユニット5とは反対側に膨らんで密閉空間内の圧力変動を吸収し、環境温度が下降した場合には、フィルム43は記録ヘッドユニット5側に膨らんで密閉空間内の圧力変動を吸収する。よって、キャッピングした際の圧力変動によってノズルのメニスカスが破壊されるのを防止して、安定したインクの吐出性能を維持することができる。
キャップホルダ17は、キャップ本体16のベース部40と所定間隔を空けつつ対面する位置に配置される板状の基板50と、その基板50の短手方向における両端部からキャップ本体16側に立設してキャップ本体16の係止部46を係止する係止孔を有する第1立壁51と、その第1立壁51よりも内側において基板50からキャップ本体20側に向けて立設する第2立壁52とを備えている。
キャップ本体16は、キャップ本体16の係止部46を第1立壁52の係止孔に差込みつつ、基板50と所定間隔が空くように第1立壁51の上に載置するように配設される。また、キャップ本体16のベース部40と基板50との間には、コイルバネ53が配設されており、このコイルバネ53によって、キャッピングした際の圧力を吸収できると共に、リップ部41をノズル形成面側に押圧してリップ部41とノズル形成面との密着性を向上させることができる。更に、複数本の第2立壁52によってキャッピングした際にキャップ本体16が過度に基板50側に押圧されるのを防止することができる。
次に、図2乃至図7、図11及び図12を参照しながら第1インク受部13について詳細に説明する。図11は、記録ヘッドユニット5と対面する状態(インク受位置にある状態)にある第1インク受部13を示す断面図である。図12は、図5のXII−XII断面線における第1インク受部13の拡大断面図である。
第1インク受部13を構成する底壁13aは、各記録ヘッド5a〜5fのノズル形成面に穿設されているノズルが占める領域より大きく構成されている。即ち、インク受位置において、各記録ヘッド5a〜5fの全部のノズルからインクが吐出されたとしても、その全部のインクを受けることができる大きさに構成されている。
よって、各記録ヘッド5a〜5fに対して一斉にパージ処理を実行することができるので、一つの記録ヘッド毎にパージ処理を実行する場合に比べて高速にパージ処理を実行することができる。
また、図3に示すように、第1インク受部13の底壁13aは、第1インク受部13が非インク受位置に位置する状態において、ノズル形成面と交差する方向から見て、非キャッピング位置に位置するキャップユニット12の全体を重複する大きさに構成されている。よって、非インク受位置に位置する第1インク受部13と、非キャッピング位置に位置するキャップユニット12は、画像形成装置1の奥行き方向(矢印D方向)においてコンパクトに配置されるため、画像形成装置1を小型化することができる。
また、第1インク受部13の底壁13aは、インク受位置側から非インク受位置側に向けて下降傾斜して構成されているので、パージ処理によってインク受位置に位置する第1インク受部13の底壁13a上に吐出されたインクを円滑に第2インク受部14に向けて流下させることができる。
更に、図5、図11及び図12に示すように、底壁13a上には、底壁13aの表面から窪む6つの溝60と、その溝60を挟むように底壁13aの表面から突出する7つのリブ61とが配設されている。
溝60は、パージ処理によって各記録ヘッド5a〜5fから吐出されたインクを第2インク受部14に向けて流下させるためのものであり、第1インク受部13の移動方向に沿って略一直線状に延び、その断面形状は、図12に示すように、略V字状に形成されている。このように溝60を形成することで、溝60に流れ込むインクに生じる毛管力によりインクを速やかに流下させることができる。また、溝60の断面形状が略V字状に形成されているため略U字状に溝60を形成する場合に比べて、溝の底部でより強い毛官力が生じインクを円滑に流下させることができる。
また、溝60は、図12に示すように、第1インク受部13がインク受位置に移動した状態で、各記録ヘッド5a〜5fに穿設されているノズルの真下にくるように配設されている。これにより、ノズルから溝60上にインクが吐出されるので、円滑に吐出されたインクを溝60に沿って流下させることができる。
リブ61は、各記録ヘッド5a〜5fから吐出されたインクを所定の溝60に導入するためのものであり、溝60を挟むように第1インク受部13の移動方向に沿って一直線状に延びている。このリブ61により、隣接する溝60にインクが流出するのを防止することができる。即ち、特定の溝60にインクが集中するのを防止することができる。
第1インク受部13を構成する側壁13bは、インク受位置側の底壁13aの縁部と、2つのガイド棒20に沿った底壁13aの縁部との3辺から立設されている。換言すれば、非インク受位置側の底壁13aの縁部を除く底壁13aの縁部から立設されている。
よって、パージ処理によって底壁13a上に吐出されたインクが、インク受位置側やガイド棒20に沿った側から漏れるのを防止しつつ、第2インク受部14側に流出させることができる。
また、第1インク受部13の底壁13aは、溝60を除いた領域に撥水膜がコードされており、溝60が形成された領域よりも撥水性を有するように構成されている。これにより、第1インク受部13の底壁13aに吐出されたインクは速やかに溝60に集められることになり、インクの流下をより迅速に行うことができる。
第1インク受部13には、上述した構成に加え、更に、インク受位置側の先端側に配置される櫛歯状に形成されたインク導入部材62と、そのインク導入部材62よりも更にインク受位置側に配置されるワイパ63とを備えている。
インク導入部材62は、パージ処理によって各記録ヘッド5a〜5fのノズル形成面に付着するインクを底壁13aに導入するためのものであり、記録ヘッドユニット5側から第1インク受部13の底壁13a側に連通する断面視櫛状の流路を、第1インク受部13の移動方向と直交する方向に各記録ヘッド5a〜5fの範囲に亘って形成する部材である。
流路は、図11に示すように、記録ヘッド5aに付着したインクを第1インク受部13に導入するためにノズル形成面との間に所定間隔を空けた位置から第1インク受部13側に延びるように形成されている。
インク導入部材62は、その両端部が第2支持部材31に固定されている。よって、上述したように第2支持部材30が往復移動すると、それに伴いインク導入部材62も第2支持部材30と一体に往復移動する。インク導入部材62は、第1インク受部13のように第2支持部材30に対して上下動や回動可能に構成されておらず、インク導入部材62は、第2支持部材30に固定されているので、第1インク受部13の動きに関係なく、ノズル形成面との間の所定間隔を保持することができる。
このインク導入部材62によれば、図11に示すように、パージ処理によってノズル形成面に滴状に付着したインクは、第1インク受部13を反矢印D方向に移動させることで毛管作用により櫛歯の間に形成された流路に導かれ、その流路を通じて底壁13a上に導かれる。よって、パージ処理によってノズル形成面に滴状に付着したインクは除去され、そのインクが装置内にたれて、装置内が汚れるのを防止することができる。
ワイパ63は、ノズル形成面に当接してノズル形成面に付着したインクを払拭するものである。ワイパ63は、第1インク受部13がインク受位置から非インク受位置に移動する場合に、ノズル形成面に当接するようにノズル形成面に向けて立設して配設され、ゴム製の板状に構成されている。
ワイパ63もインク導入部材62と同様に、第1インク受部13の移動方向と直交する方向に各記録ヘッド5a〜5fの範囲に亘って立設されている。また、ワイパ63は、ベース部材64に対して着脱自在に装着される。このベース部材64の両端は第2支持部材30に固定されているので、ワイパ63もインク導入部材62と同様に、第1インク受部13の動きに関係なく、ノズル形成面との間の所定間隔を保持することができる。
このワイパ63によれば、インク導入部材62によってもなお除去されずにノズル形成面に付着しているインクを、第1インク受部13を反矢印D方向に移動させることで、ノズル形成面に当接するワイパ63の先端部によって払拭することができる。尚、ワイパ63に払拭されたインクは、ワイパ63に沿って下方に流れ、底壁13a上に流下する。よって、インク導入部材62だけでは、除去できなかったインクをも除去することができる。
次に、主に、図2乃至図7を参照して、上述した第2インク受部14について詳細に説明する。第2インク受部14の底壁14aは、図3に示すように、第1インク受部13が非インク受位置に位置する状態において、ノズル形成面と交差する方向から見て、第1インク受部13の底壁13aの全体を重複する大きさに構成されている。よって、非インク受位置に位置する第1インク受部13と第2インク受部14とは、画像形成装置1の奥行き方向(矢印D方向)においてコンパクトに配されるため、画像形成装置1を小型化することができる。
また、図5に示すように、第2インク受部14の底壁14a上には、その底壁14aを貫通する連通孔70が穿設されている。この連通孔70は、第1インク受部13の底壁13aから第2インク受部14の底壁14a上に流下したインクをチューブ11を介して廃インクタンク6に導入するための孔である。
連通孔70は、図5に示すように、ガイド棒20に沿った方向の先端側であって、インク受位置に移動した状態の第1インク受部13に形成された溝60の延長線上に配置されている。このとき、連通孔70の上方には、インク受け位置に移動した状態の第1インク受部13の非インク受位置側の端部が位置している。この位置に連通孔70を配置することで、第1インク受部13の溝60を伝って第2インク受部14に流下するインクの一部は直接、連通孔70に流入することとなり速やかに連通孔70に導入することができる。また、図4に示すように、底壁14aは、この連通孔70に向けて下降傾斜して構成されているので、底壁14a上のインクを円滑に連通孔70に導入することができる。
更に、図5に示すように、底壁14a上には、連通孔70からガイド棒20が延びる方向に沿って略一直線状に延び、底壁14aの表面から凹む溝71が形成されている。この溝71は、底壁14a上に流下したインクを連通孔70に導入するための溝であり、第1インク受部13に形成されている溝60と同様に、その断面形状は、略V字型に形成されている。よって、円滑にインクを連通孔70に導入することができる。
また、第2インク受部14の底壁14aは、溝71と連通孔70を除いた領域に撥水膜がコートされており、溝71と連通孔70が形成された領域よりも撥水性を有するように構成されている。これにより、第2インク受部14の底壁14aに流下されたインクは速やかに溝71と連通孔70に集められることとなり、インクの廃棄をより迅速に行うことができる。
このように、第1インク受部13に加え、更に、第2インク受部14を構成、配置することで、例えば、第2インク受部13を設けることなく、第1インク受部にチューブを接続して、そのチューブから直接に、廃インクタンク6にインクを排出することも考えられるが、かかる場合、第1インク受部13は往復移動可能に構成されているため、連結したチューブが外れる恐れがある。一方、このように固定配置された第2インク受部14を備えることで、第1インク受部13上に吐出されたインクは、第2インク受部に垂れ流されるので、そのような弊害が発生するを防止することができる。
次に、画像形成装置1の電気的な構成を図13を参照して説明する。図13は、画像形成装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
画像形成装置1には、1チップ構成のマイクロコンピュータ(CPU)80と、ROM81と、RAM82と、ゲートアレイ(G/A)83と、ヘッド用ドライバ84等が搭載されている。尚、CPU80と、ROM81、RAM82、ゲートアレイ83、ヘッド用ドライバ84の各々は、アドレスバス85やデータバス86を介して接続されている。
演算装置であるCPU80は、ROM81に予め記憶されている制御プログラムに従い、インクの吐出タイミングやインクカートリッジ内のインク残量又はインクの有無の検出等の制御を実行するものである。また、インクの吐出タイミング信号およびリセット信号を生成し、各信号を後述するゲートアレイ83へ転送する。
また、このCPU80には、画像形成装置1への電源の投入/遮断を切替る電源スイッチ87、搬送ローラ7を駆動するための駆動源である搬送用モータ89、リフト装置9を駆動する駆動源であるリフト用モータ90、ピックアップローラ10を駆動する駆動源であるピックアップ用モータ91、第1インク受部13を駆動するための駆動源であるスライド用モータ92、第1〜第3センサ93,94,95、ソレノイド28が接続されており、各デバイスの動作はCPU80により制御されている。
第1センサ93は、キャップユニット12が非キャッピング位置に位置するか否かを検出するセンサである。第2センサ94は、第1インク受部13が非インク受位置に位置するか否かを検出するセンサである。第3センサ95は、第1インク受部13(キャップユニット12)がインク受位置に位置するか否かを検出するセンサである。この各センサの出力をCPU80によって監視することで、キャップユニット12等の状態を把握することができると共に、例えば、第1インク受部13がインク受位置にない場合に、ノズルからインクを吐出して装置内が汚れてしまうようなことを防止することができる。
ROM81は、書換え不可能な不揮発性のメモリであり、CPU80により実行されるインク滴の吐出を制御するための各種の制御プログラム、その他、固定値データが記憶されている。RAM82は、書換え可能な揮発性のメモリであり、各種のデータ等が一時的に記憶されている。
ゲートアレイ83は、CPU80から転送される印字タイミング信号に従い、イメージメモリ96に記憶されている画像データに基づいて、その画像データを記録媒体に記録するための画像データ(駆動信号)と、その画像データと同期する転送クロックCLKと、ラッチ信号と、基本画像波形信号を生成するためのパラメータ信号と、一定周期で出力される噴射タイミング信号JETとを出力し、それら各信号を、ヘッド用ドライバ84に出力する。また、ゲートアレイ83は、インターフェース(I/F)97を介して外部装置から転送されてくる画像データを、イメージメモリ96に記憶させる。
ヘッド用ドライバ84は、ゲートアレイ83から出力される信号に応じて、その信号に合った波形の駆動パルスを各ノズルに対応した駆動素子に印加する駆動回路である。この駆動パルスにより駆動素子が作動して、各ノズルからインクが吐出される。
次に、図14を参照して、パージ処理やキャッピング時における記録ヘッドユニット5等の動作について説明する。尚、図14では、図面の理解を容易にすべくキャップユニット12等については模式的に図示する。
図14(a)は、記録ヘッドユニット5からインクを吐出して搬送ベルト8上の記録媒体に画像を形成する状況を図示している。この場合、記録ヘッドユニット5は、搬送ベルト8に近い位置に位置し、キャップユニット12と第1インク受部13と第2インク受部14とは、記録ヘッドユニット5の側方に位置している。尚、この際、キャップユニット12と第1インク受部13と第2インク受部14とは、上下に重複している状態になっているので、画像形成装置1を奥行き方向(矢印D方向)に小型化することができる。
図14(b)、図14(c)は、パージ処理における記録ヘッドユニット5と第1インク受部12等の状況を示す図である。パージ処理を開始する場合、図14(b)に示すように、記録ヘッドユニット5は、図14(a)に示す位置から反矢印C方向(搬送ベルト8から離間する方向)に移動し、その記録ヘッドユニット5と搬送ベルト8との間に向けて第1インク受部13だけが矢印D方向に移動する。
次に、図14(c)に示すように、記録ヘッドユニット5の各ノズル形成面が第1インク受部13のワイパ63の先端に当接するように、記録ヘッドユニット5が矢印C方向に再び移動する。そして、記録ヘッドユニット5に通常のインク吐出時よりも高い圧力をかけて、ノズルからインクを第1インク受部13に向けて吐出する。
その後、第1インク受部13を再び反矢印D方向に移動させると、ノズル形成面に滴状に付着しているインクは、インク導入部材62に形成された櫛歯間の流路を通って第1インク受部13上に流下する。それでも、なお、ノズル形成面に付着しているインクはワイプ63によって払拭され、ワイプ63に沿って第1インク受部13上に流下する。
一方、第1インク受部13上のインクは、第1インク受部13上の溝60に沿って非インク受位置側に流下し、更に、第2インク受部14上に流下する。尚、図4にも示すように、第1インク受部13がインク受位置に位置する状態で、第2インク受部14のインク受位置側の端部は、第1インク受部13の非インク受位置側の下方まで延びているので、第1インク受部13の非インク受位置側から流下するインクを確実に第2インク受部14上に流下させることができる。こうして、第2インク受部14上に流下したインクは、連通孔70、チューブ11を介して廃インクタンク6に貯留される。
図14(d)は、キャッピング時における記録ヘッドユニット5とキャップユニット12等の状況を示す図である。キャッピングをする場合には、まず、図14(b)で説明したのと同様に、記録ヘッドユニット5が、図14(a)に示す位置から反矢印C方向(搬送ベルト8から離間する方向)に移動する。
そして、記録ヘッドユニット5と搬送ベルト8との間に、キャップユニット12が第1インク受部13と一体となって矢印D方向に移動する。その後、キャップユニット12が所定のキャッピング位置に到達すると、記録ヘッドユニット5のノズル形成面が、キャップユニット12のリップ部41に当接するように、記録ヘッドユニット5が矢印C方向に移動して、ノズル形成面を密閉する密閉空間が形成される。
尚、図14(d)に示すキャッピング状態から図14(a)に示す状態への動作は、記録ヘッドユニット5が反矢印C方向に移動しつつ、キャップユニット12が第1インク受部13と一体となって反矢印D方向に移動する。そして、記録ヘッドユニット5が再び図14(a)に示す位置まで矢印C方向に移動する。
次に、図15を参照して第2実施例のフィルム43の配設方法について説明する。図15(a)は図10(a)に相当する図であり、キャップ本体16のリップ部41がノズル形成面に当接している状態を示す拡大断面図であり、図15(b)は、図15(a)に示すXVb−XVb断面線における拡大断面図であり、図15(c)は、図15(a)に示すXVc−XVc断面線における拡大断面図である。尚、上述した実施例と共通する部材については、同じ符号を付して、その説明は省略する。
上述した実施例では、キャップ本体16のベース部40に貫通開口した開口部42を平板状のフィルム43によって塞ぐ場合について説明したが、この第2実施例のフィルム43の配設方法では、フィルム43をドーム状(3次元形状)に配設する場合について説明する。
フィルム43は、1枚の板状のフィルムを2つ折りに折曲げ、その折り曲げた部分と対抗する部分を残しつつ両縁部をシールして袋状に構成されている。
また、ベース部40には、リップ部41が形成される面よりも記録ヘッドユニット5のノズル形成面から離れる側に凹んだ凹部47が形成されており、開口部42は凹部47の底面を貫通し、図15(b)に示すように平面視略楕円状に形成されている。更に、凹部47の底面には、開口部42を取り囲むとともにノズル形成面側に突出する突出部48が形成されている。そして、フィルム43は、ノズル形成面側に向けて膨らむドーム状となるように、折り曲げた部分を記録ヘッドユニット5側にして突出部48に被せられ、その端部の内面が突出部48の外面に溶着される。
このような方法で、フィルム43を配設すると、キャッピングした場合には、ドーム状に溶着されているフィルム43は、キャッピングした際の圧力変動により、図15の2点鎖線でに示すようにノズル形成面から反対側に膨らんで、その圧力変動を吸収する。よって、上述した実施例のようにフィルム43を平板状に配設するよりも、フィルム43の可動範囲を大きくすることができるので、より大きな圧力変動にも対応することができる。よって、メニスカスが破壊されるのを一層確実に防止することができる。また、キャッピング中に環境温度が変化した場合においても上述した実施例と同様に密閉空間内の圧力変動を吸収できる。
次に、図16を参照して、キャップユニット12と第1インク受部13との支持方法に関する第2実施例について説明する。図16は、図3に相当する図である。尚、上述したのと同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
上述した実施例では、第1支持部材23によってキャップユニット12を3点で、第2支持部材30によって第1インク受部13を2点で支持する場合について説明した。しかし、これに代えて、図16に示すように、第1支持部材23a,23b、23cによってキャップユニット12を3点で、第2支持部材30a、30b、30cによって第1インク受部13を3点で支持するように構成しても良い。
具体的には、第1支持部材23a、23bによってキャップトレイ18の非インク受位置側の両端部を支持し、第1支持部材23cによって、キャップトレイ18のインク受位置側の端部を一方だけ支持する。
このように支持することで、上述したようにキャップトレイ18の中央部の両側を支持する場合に比べ高精度にノズル形成面に対するキャップユニット12の平行性を維持することができる。ひいては、キャップユニット12によってノズル形成面を密封した場合のの密封性を向上させることができ、不使用時のインクの乾燥を防止することができる。
また、第2支持部材30a、30bによって第1インク受トレイ13のインク受位置側の端部を支持し、第1支持部材23cが貫通されているガイド棒20とは別のガイド棒20側に第2支持部材30bと連結された第2支持部材30cによって支持する。
このように支持することで、上述した場合に比べて、ノズル形成面に対するインク流路形成部材62とワイパ63との平行性の精度を高めることができる。ひいては、ノズル形成面に付着したインクを確実に除去することができる。
更に、キャップユニット12と第1インク受部13とが上下に重複する位置にあった場合であっても、第1支持部材23a、23b、23cと、第2支持部材30a、30b、30cとは、互いに干渉しない位置に配置されているので、非インク受位置においてキャップユニット12と第1インク受部13とをコンパクトに配置することができる。
また、第1支持部材23a、23b、23cのうち、2点支持側の第1支持部材23a、23cの2つは、図9(c)に示すように、ガイド棒20を隙間なく貫通させ、1点支持側の第1支持部材23bは、図9(b)に示すように、ガイド棒20に対して水平方向に隙間を設けるように構成する。
同様に、第2支持部材30a、30b、30cのうち、2点支持側の第2支持部材30b、30cの2つは、図9(c)に示すように、ガイド棒20を隙間なく貫通させ、1点支持側の第1支持部材30bは、図9(b)に示すように、ガイド棒20に対して水平方向に隙間を設けるように構成する。このように構成することで、ガイド棒20が平面視において平行でない場合であっても、その歪みを吸収して円滑に移動させることができる。
以上実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、キャッピングするためにキャップユニット12を第1インク受部13と一体で移動させる場合と、パージ処理をするために第1インク受部13だけを移動させる場合とでは、第1インク受部13だけを移動させる場合の方が必要なトルクは少ないので、例えば、第1インク受部13を駆動する駆動源であるスライド用モータ92を、ステップモータで構成し、第1インク受部13だけを移動させる場合には、駆動パルスの出力間隔を短くすることで、パージ処理における第1インク受部13の移動時間を高速にすることができ、結果的に、高速でパージ処理を実行することができる。
また、第2インク受部14においても、第1インク受部13と同様に、溝71を挟むようにリブを配設するようにしても良い。かかる場合には、隣接する溝71にインクが流出するのを防止することができるので、円滑にインクを流出させることができる。
また、上記実施例では、第2インク受部14に6つの連通孔70を設け、その各連通孔70にチューブ11を連結し、そのチューブ11を介して廃インクタンク6にインクを導入する場合について説明した。しかしながら、この6つの連通孔70を1つにした貫通孔を設けるようにしても良い。かかる場合には、各連通孔70にチューブ11を連結する必要がないので、部品点数を削減させることができる。
更に、第1インク受部13の側壁13bの上縁部に内側に延びる額部を設けるようにしても良い。かかる場合には、第1インク受部13から装置内にインクが飛散するのを防止することができる。