JP4667597B2 - 歯科技工におけるクラウン製作法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、歯科技工に関し、大きなむし歯における歯冠修復物、より具体的には歯冠修復作業におけるクラウン製作の方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】
クラウンの製作の手順は、まず、う蝕部分を削り、そこに金属などで土台を築く。次いでその型を取り、最後にそれをもとに金属等で歯冠部を製作する。
【0003】
このクラウンの必要条件としては、(イ)ミクロン単位の正確な咬み合わせ機能の回復、(ロ)ミクロン単位の正確な隣接歯とのコンタクトポイントの回復、(ニ)クラウン辺縁の正確な適合による二次う蝕の防止機能の確保にあるとされている。
【0004】
ところで、現在までに行われているクラウン製作の方法には、模型にピン(ダウエルピン)を立てるダウエルピン応用法と、溝付きトレーを使用するチャネルトレー法(ダイロックトレー法)とがある。
【0005】
ダウエルピン応用法は、正確性においてすぐれているけれども、作業工程の面倒なことと時間のかかることが大きな難点となっている。
【0006】
これに対しチャネルトレー法は、むし歯を治療して支台歯を形成したうえ、上下の歯型をとり、それに石膏を注入して模型をつくり、その支台歯の模型を断面くさび型に削る。そして歯型曲率に沿って断面有底テーパ溝を有し且つそのテーパ溝の対応斜壁に縦溝を間隔配設した溝付きトレーに、石膏を流し込んで前記模型のくさび型部分を埋める。そして石膏が硬化したら模型全体を溝付きトレーからはずして支台歯を分割し(作業用模型の作製)、この分割した作業用模型を使ってワックスで歯冠部の原型をつくりそれを金属に替えてクラウンをつくる。
この方法は、ダウエルピン応用法と比べて工程が少なく、作業時間が短縮される利点を有するが、他方において石膏(焼石膏)は水と反応して硬化するとき必ず膨張するため(膨張率0.08〜0.4%)、トレーの内壁を圧してトレーから抜けなくなったり
戻らなくなる。その結果、模型とトレーの上縁との隙間を生じて浮き上がることになり、ミクロン単位の正確さが必要とされるクラウンにとって致命的な欠陥となる。
【0007】
その解決策として、トレーの材質を金属等の剛性物とする。またトレーのテーパ溝の勾配を緩やかにする。さらには支台歯をロックする等の手段が実施されている。
しかし、いずれの方法によっても石膏の膨張を完全に抑えることはできないため、不正確となり、なお問題が残されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のかかる実情に鑑みてなされたもので、チャネルトレー法を基礎に置きながら、プラスチックと石膏の熱膨張率の差を利用して、従来のチャネルトレー法の抱える欠陥、即ち石膏の硬化膨張による不正確性を克服し、クラウンの緻密性に応えた製作方法を提供するものである。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、次の過程を経る。
(イ)歯形曲率に沿って底面側に開いた断面打抜きテーパ溝1aを有し且つそのテーパ溝1aの対応斜壁に縦溝1bを連設したプラスチック製溝付きトレー1と、この溝付きトレー1を底面側から嵌め込む段縁2a付きシリコントレー型2を作成する(図1、図2)。
(ロ)シリコントレー型2に上から前記溝付きトレー1を底面側から嵌込む(図3)。
(ハ)溝付きトレー1の縦溝1bより石膏注入空間に石膏Sを注入する(図4)。
(ニ)石膏Sが充満したら直ちにシリコントレー型2ごと冷蔵雰囲気3に置く。
【0010】
(ホ)石膏Sが硬化したら後冷蔵雰囲気3を解き、シリコントレー型2から硬化した石膏S入りプラスチック製溝付きトレー1を取り出して常温に戻るのを待つ(図5、図6)。
(へ)溝付きトレー1より硬化した歯形石膏型4を抜き取る(図7)。
(ト)歯形石膏型4の上面に、常法により石膏にて製作した歯型模型5を接着剤6を介して固着する(図7、図8)。
(チ)そして接着剤6が硬化したら、鋸にて支台歯の分割を行って歯形石膏型4を溝付きトレー1のテーパ溝1aに戻し(図10)、対象となる分割された歯形石膏型4を溝付きトレー1からはずして、その後常法により、前記歯形模型5にワックスを冠した歯冠部の原型をつくり、このワックスを金属に変えてクラウン製作を完成する。
【0011】
【発明の作用】
上記本発明の段取の(イ)において、段縁2a付きシリコントレー型2を設けたのは、(ロ)において溝付きトレー1を逆さにして嵌込んだ際に、断面打抜き溝1a及び段縁2aにより石膏の注入空間が形成され、(ハ)おいてその注入空間に石膏Sを注入して(ニ)おいて冷蔵雰囲気3(冷蔵庫)に置き、(ホ)において石膏Sが硬化して冷蔵雰囲気3を解くまでの受け皿としての機能を果させるためである。
【0012】
(ハ)おいて石膏Sを注入して後、(ニ)において冷蔵雰囲気3(冷蔵庫)に置いたのは、石膏Sが水と反応して硬化する過程において、プラスチック製溝付きトレー1を同じ冷蔵雰囲気3下でその収縮を図り、(ホ)において石膏Sが硬化した時点で冷蔵雰囲気3を解き、シリコントレー型2から取り出して常温に戻るのを待つ。言換えると(ヘ)において冷蔵雰囲気3下で収縮させたプラスチック製溝付きトレー1を常温にもどし、本来の熱膨張率を保持させるという条件設定を行う。
これにより、硬化した歯形石膏型4の硬化膨張は、プラスチック製溝付きトレー1との膨張率の差で相殺され、溝付きトレー1のテーパ溝1aより円滑に抜き取り且つ正確に戻すことが可能となる(図11)。
【0013】
温度が石膏の硬化時間に及ぼす影響は大きく、冷蔵雰囲気3下での硬化は、常温(20°C附近)での硬化時間の数倍の時間がかかるので、本発明においては歯形石膏型4をあらかじめの冷蔵雰囲気3下にて製作しておき、硬化後常温に戻し、その上面に、常法により石膏にて製作した歯型模型5をその底面をフラットに削って接着剤6を介して固着する効率的手段を採用した。
製作する作業模型が少ない場合や時間が十分取れる場合には、その都度歯型模型5の底面を削って歯型模型5に付与する手順を選べることは言うまでもない。
【0014】
今、このことをプラスチック製溝付きトレー(1)の材質が、ポリウレタン樹脂である場合を例にとって説明すると、
ポリウレタンの熱膨張率は、14×10 /°C、石膏はおよそその1/10であるので、その差12.6×10 /°C、即ち1°Cの変化における熱膨張量は0.0126%になる。石膏の硬化膨張が約0.08であるので0.08÷0.0126=6.3、つまり石膏を硬化させたときの温度より6.3°C以上高い温度で、プラスチック製溝付きトレー1の膨張率に相殺されて、硬化した歯形石膏型4は溝付きトレー1のテーパ溝1aより円滑に抜き取り且つ正確に戻すことが可能となる。
上記6.3°C以上の温度差を得るために、注入石膏の硬化を、冷蔵雰囲気3下にて行うこととし、硬化後に溝付きトレー1を常温に戻すようにしたものである。
【0015】
【発明の効果】
本発明は以上のようで、これまでのチャネルトレー法に比べ、迅速容易に且つ正確にクラウン製作が可能となり、特に歯形石膏型4と歯型模型5とを分離して歯形石膏型4をあらかじめ冷蔵雰囲気3下にて多量製作しておくことができるから、冷蔵雰囲気における石膏の硬化時間の問題を解消し、大幅な作業時間の短縮をもたらす。
熟練も不要で、歯科技工担当者にとりまことに有利なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラスチック製溝付きトレーの底面図
【図2】同上シリコントレー型の平面図
【図3】溝付きトレーを逆さ状態で嵌込んだシリコントレー型の平面図
【図4】注入石膏が硬化した状態の斜視図
【図5】シリコントレー型より取り出した状態の下方斜視図
【図6】シリコントレー型より取り出した状態の上方斜視図
【図7】硬化した歯形石膏型を溝付きトレーのテーパ溝1aより抜き取った状態の斜視図
【図8】分離されている歯形石膏型と歯型模型の各斜視図
【図9】歯形石膏型の上面に接着剤を介して歯型模型(支台歯模型)を固着した状態の斜視図
【図10】支台歯を分割した歯形石膏型4を、溝付きトレー1のテーパ溝1aに戻した状態の斜視図
【図11】分割した支台歯を、溝付きトレー1のテーパ溝1aより抜取る状態の斜視図
【符号の説明】
1 プラスチック製溝付きトレー
1a 断面打抜きテーパ溝
1b 縦溝
2 シリコントレー型
2a 段縁
S 石膏
3 冷蔵雰囲気
4 歯形石膏型
5 歯型模型
6 接着剤
Claims (2)
- 歯形曲率に沿って底面側に開いた断面打抜きテーパ溝(1a)を有し且つそのテーパ溝(1a)の対応斜壁に縦溝(1b)を連設したプラスチック製溝付きトレー(1)と、この溝付きトレー(1)を底面側から嵌め込む段縁(2a)付きシリコントレー型(2)を作成し、該シリコントレー型(2)に上から前記溝付きトレー(1)を底面側から嵌込むことにより形成される石膏注入空間に石膏(S)を注入して、直ちに冷蔵雰囲気(3)に置き、石膏(S)が硬化した後冷蔵雰囲気(3)を解いてシリコントレー型(2)から硬化した石膏(S)入りプラスチック製溝付きトレー(1)を取り出して常温に戻るのを待ち、溝付きトレー(1)より硬化した歯形石膏型(4)を抜き取り、該歯形石膏型(4)の上面に、常法により石膏にて製作した歯型模型(5)を接着剤(6)を介して固着し、その後支台歯の分割を行って歯形石膏型(4)を溝付きトレー(1)のテーパ溝(1a)に戻し、対象となる分割された歯形石膏型(4)を溝付きトレー(1)からはずして、その後常法により、前記歯形模型(5)にワックスを冠した歯冠部の原型をつくり、このワックスを金属に変えてクラウン製作を完成すること特徴とする歯科技工におけるクラウン製作法。
- プラスチック製溝付きトレー(1)の材質が、ポリウレタン樹脂である請求項1記載の歯科技工におけるクラウン製作法。
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2000
- 2000-11-22 JP JP2000399356A patent/JP4667597B2/ja not_active Expired - Lifetime
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