JP4664466B2 - 表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、表示装置に係り、特に、外部回路との接続数が低減できる表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
表示装置、たとえばアモルファスシリコンTFTを用いた液晶表示装置の駆動回路としては、信号線駆動用IC及びゲート線駆動用ICをフレキシブルな配線基板上に実装したテープ・キャリア・パッケージ(TCP)が用いられている。このTCPは、マトリクス状に配置された画素を有するアレイ基板に設けられた電極にそれぞれ接続され、画素を駆動する。
【0003】
一方、多結晶シリコンTFTを用いた液晶表示装置では、駆動回路としての信号線駆動用回路の一部及びゲート線駆動用回路をアレイ基板上に一体的に形成することができる。この場合、基板外部にも信号線駆動回路の一部、例えばディジタル・アナログ変換回路(DAC)が設けられるが、アモルファスシリコンTFTを用いた液晶表示装置と比較して、アレイ基板との接続配線の数を大幅に減少できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
アモルファスシリコンTFTを用いた液晶表示装置では、アレイ基板上の信号線にそれぞれTCPから映像信号を入力するための接続配線が必要であるが、画素の高精細化に伴って接続配線数が多くなり、これらの接続配線間に十分なピッチを確保することが困難である。
【0005】
一方、多結晶シリコンTFTを用いた液晶表示装置では、基板上にゲート線駆動用回路の他に、さらに信号線駆動用回路を一体的に形成するが、基板の大型化に伴い基板上に引き回される配線長が長くなり、信号が劣化して表示不良を生じるおそれがある。
【0006】
この発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、画素の高精細化を可能とし、且つ、大表示画面であっても表示不良の発生を防止することが可能な表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本実施形態によれば、
基板上に互いに直交して配列された複数のゲート線及び複数の信号線と、ゲート線と信号線とのそれぞれの交差部に配置された画素トランジスタと、各画素トランジスタに接続された画素電極と、入力されるディジタル信号をアナログ信号に変換すると共に、前記信号線を所定数の信号線から成る複数の信号線群に区分し、各前記信号線群毎に対応するアナログ信号をシリアルに出力する駆動回路と、前記駆動回路からのアナログ信号を各前記信号線群の対応する信号線に順次振り分ける選択手段と、前記選択手段によるアナログ信号の信号線への振り分け順序を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、4垂直走査期間またはそれより少ない複数の垂直走査期間内において、前記複数の信号線の各信号線上に接続されたすべての画素トランジスタが各水平走査期間における同一タイミングに所定の電位を基準として一方の極性で駆動されるように前記選択手段を制御し、1水平走査期間内の第1タイミングに選択された第1画素トランジスタ群を第1極性で駆動し、1水平走査期間内の第1タイミングに続く第2タイミングに選択された第2画素トランジスタ群を第1極性とは逆の第2極性で駆動するとき、第1画素トランジスタ群の駆動電位が第2画素トランジスタ群を駆動するのにともなって変動する場合、前記第1画素トランジスタ群の駆動電位の変動量に応じて前記基準電位を所定量シフトするとともに、前記第1画素トランジスタ群にその駆動電位の変動方向とは逆方向のオフセット電位を与え、前記第2画素トランジスタ群に前記駆動電位の変動方向と同方向のオフセット電位を与えることを特徴とする表示装置が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の表示装置、すなわち多結晶シリコンTFTを画素TFTとして用い有効表示領域が対角15インチサイズの光透過型液晶表示装置の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1に示すように、この液晶表示装置1は、アレイ基板100と、このアレイ基板100に対して所定の間隔をおいて対向配置された対向電極210を備えた対向基板200と、これらアレイ基板100と対向基板200との間に挟持され配向膜(図示せず)を介して配置される液晶層300とを備えている。アレイ基板100と対向基板200とは、その周辺に配置されるシール材400によって貼り合わせられている。
【0010】
アレイ基板100は、行方向に沿って延出された複数のゲート線Yと、列方向に沿って延出された複数の信号線Xと、ゲート線Yと信号線Xとの各交差部に設けられたスイッチング素子としての画素薄膜トランジスタすなわち画素TFT110と、ゲート線Yと信号線Xとによって囲まれた各画素に対応して設けられた画素電極120と、を備えている。
【0011】
画素TFT110は、多結晶シリコン膜を半導体層とする多結晶シリコンTFTである。画素TFT110のゲート電極は、ゲート線Yに接続されているとともに、ソース電極は、信号線Xに接続されている。また、画素TFT110のドレイン電極は、画素電極120及びこの画素電極120と並列に補助容量素子130を構成する一方の電極に接続されている。
【0012】
ゲート線Yを駆動するための駆動信号を出力するゲート線駆動手段として機能するゲート線駆動回路150は、画素TFT110と同一プロセスでアレイ基板100上に一体的に形成されている。
【0013】
信号線Xを駆動するための駆動信号を出力する信号線駆動回路部160は、フレキシブル配線基板上に信号線駆動用IC511が実装され、アレイ基板100と電気的に接続されるTCP500−1、500−2…、500−6と、アレイ基板100上に画素TFT110と同一プロセスで形成された選択手段として機能する選択回路170とによって構成される。
【0014】
TCP500−1〜6は、アレイ基板100の一辺に列設され、外部回路基板としての回路部品が実装されたPCB基板600に接続されている。このPCB基板600には、外部から入力される基準クロック信号及びディジタル方式のデータ信号に基づいて、各種制御信号及び制御信号に同期したデータ信号を出力する制御IC、電源回路などが実装されている。
【0015】
TCP500−Nは、図2に示すように、PCB基板600に形成された接続配線上の接続端子に接続されるPCB側パッド513と、アレイ基板100に形成された接続配線上の接続端子に接続されるアレイ側パッド515と、これらのパッド間を接続する各種配線とを備えている。これらのPCB側パッド513及びアレイ側パッド515は、異方性導電フィルム(ACF)を介してそれぞれPCB基板600及びアレイ基板100に電気的、機械的に接続されている。
【0016】
信号線駆動回路部160の信号線駆動用IC511は、PCB基板600からの入力信号に基づいて、データ信号をアナログ方式の映像信号として出力する。
【0017】
すなわち、図3に示すように、信号線駆動用IC511は、シフトレジスタ521、データレジスタ523、D/Aコンバータ525などから構成されている。シフトレジスタ521には、PCB基板600側からクロック信号及び制御信号が入力される。データレジスタ523には、PCB基板600側からデータ信号が入力される。また、D/Aコンバータ525には、PCB基板600側から基準信号が入力され、入力されたデータ信号がアナログ映像信号に変換される。
【0018】
TCP−Nの信号線駆動用IC511から出力される各アナログ映像信号は、各水平走査期間毎に2つの信号線に対応したアナログ映像信号を含み、これを時系列に出力し、これがアレイ基板100上に形成された信号線駆動回路部160の選択回路170に入力される。
【0019】
選択回路170は、信号線駆動用IC511からの配線に接続され、信号線駆動用IC511からの各シリアルアナログ映像信号が出力される出力端子OUT1、OUT2…と、信号線X1、X2…の一端に設けられた入力端子1A及び1B、2A及び2B…とを選択的に接続するスイッチSW1、SW2、SW3、SW4…を備えており、これにより各水平走査期間で信号線駆動用IC511からの2つの隣接する信号線に対応するシリアルな各アナログ映像信号は、後述するように隣接する2つの信号線に順次振り分けられる。
【0020】
この実施の形態では、出力端子OUTの数は、信号線Xの数の半分であり、1出力端子から2本の信号線に対して1水平走査期間の前半及び後半に順次駆動信号を出力している。更に接続数を低減するのであれば、出力端子OUTの数を信号線Xの数の1/3、1/4等にもすることは可能である。
【0021】
そして、例えば、スイッチSW1は、スイッチ信号に基づいて、1水平走査期間内の前半または後半のタイミングで、出力端子OUT1と、信号線X1の入力端子1Aとを接続する。スイッチSW2は、スイッチ信号に基づいて、1水平走査期間内の前半または後半のタイミングで、出力端子OUT1と、信号線X2の入力端子1Bとを接続する。
【0022】
スイッチSW3は、スイッチ信号に基づいて、1水平走査期間内の前半または後半のタイミングで、出力端子OUT2と、信号線X3の入力端子2Aとを接続する。スイッチSW4は、スイッチ信号に基づいて、1水平走査期間内の前半または後半のタイミングで、出力端子OUT2と、信号線X4の入力端子2Bとを接続する。
【0023】
各スイッチSWは、スイッチ信号がONのタイミングで出力端子OUTと信号線Xの入力端子とを接続し、スイッチ信号がOFFのタイミングで出力端子OUTと入力端子とを切断する。
【0024】
一出力端子と2本の信号線の入力端子との接続をON/OFFする各スイッチは、1水平走査期間内に同時にONすることなく、一方のスイッチをONしているタイミングでは他方のスイッチをOFFするようなスイッチ信号によって制御されている。
【0025】
例えば、出力端子OUT1と信号線X1の入力端子1Aとを接続するスイッチSW1は、1水平走査期間の前半にONして後半にOFFする制御信号に基づいてON/OFF制御される。このとき、出力端子OUT1と信号線X2の入力端子1Bとを接続するスイッチSW2は、1水平走査期間の前半にOFFして後半にONする制御信号に基づいてON/OFF制御される。つまり、1水平走査期間の前半に、出力端子OUT1は、入力端子1Aに接続され、信号線X1に出力端子OUT1からのアナログ信号が書き込まれる。また、1水平走査期間の後半に、出力端子OUT1は、入力端子1Bに接続され、信号線X2に出力端子OUT1からのアナログ信号が書き込まれる。このときに、信号線X1及びX2には、対向電極210に印加される電圧を基準電圧として、互いに異なる極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0026】
また、異なる2つの出力端子と互いに隣接する2本の信号線の入力端子との接続をON/OFFする各スイッチは、1水平走査期間内の所定のタイミングで同時にONし、同時にOFFするようなスイッチ信号によって制御されている。
【0027】
例えば、出力端子OUT1と信号線X2の入力端子1Bとを接続するスイッチSW2は、1水平走査期間の前半にONして後半にOFFする制御信号に基づいてON/OFF制御される。このとき、出力端子OUT2と信号線X3の入力端子2Aとを接続するスイッチSW3は、1水平走査期間の前半にONして後半にOFFする制御信号に基づいてON/OFF制御される。つまり、1水平走査期間の前半に、出力端子OUT1は、入力端子1Bに接続され、信号線X2に出力端子OUT1からのアナログ信号が書き込まれる。また、同時に、出力端子OUT2は、入力端子2Aに接続され、信号線X3に出力端子OUT2からのアナログ信号が書き込まれる。このときに、信号線X2及びX3には、対向電極210に印加される電圧を基準電圧として、互いに異なる極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0028】
このように、ゲート線駆動回路を基板上に一体的に形成し、信号線駆動回路を基板上に一体的に形成した選択回路とTCP上に実装された信号線駆動用ICとで構成し、1水平走査期間内に、選択回路のスイッチが複数の信号線に順次駆動信号を出力することにより、画素を高精細化してもアレイ基板上に形成される接続配線の数を信号線の本数分に対応して形成する必要がなくなり、接続配線間のピッチを十分に確保できる。
【0029】
また、ゲート線駆動回路及び信号線駆動回路のすべてを基板上に形成する場合と比較して、アレイ基板上での薄膜からなる配線長が長くなることを防止することができ、これにより、データ信号、あるいは映像信号の劣化を防止できるとともに、製造コストの増大を防止できる。
【0030】
次に、各信号線Xの駆動方法、すなわち各信号線から各画素へのアナログ信号の書き込み方法の一例について説明する。
【0031】
なお、この実施の形態では、図3に示したように、1出力端子に対して2本の信号線が接続可能であり、ゲート線Y1と、すべての信号線X1、X2、X3、X4…との交差部に配置された画素トランジスタを介して接続された画素電極を画素11、画素12、画素13、画素14…として1ラインを構成し、信号線X1と、すべてのゲート線Y1、Y2…との交差部に配置された画素トランジスタを介して接続された画素電極を画素11、画素21…とする。また、信号線X1、X2、X3、X4、X5、X6、…は、それぞれ、赤画素R1、緑画素G1、青画素B1、R2、G2、B2、…に接続されている。
【0032】
この実施の形態では、最も好ましいアナログ信号の書き込み方法は、
(1)少なくとも4垂直走査期間(すなわち4フレーム)内に、すべての信号線上に接続された画素(すなわち画素トランジスタを介して接続された画素電極)を、それぞれ1水平走査期間内の同一タイミング(例えば前半)で駆動する場合を含むこと、
(2)すべての画素を、1水平走査期間内の同一タイミング(例えば前半)に、対向電極の印加電圧を基準電圧として一方の極性のみで駆動する場合を含むこと
といった、理由(1)及び(2)を同時に満足する。
【0033】
上述したような構成で駆動する場合、例えば1水平走査期間の前半に所定のアナログ信号が書き込まれた信号線X1は、1水平走査期間の後半に隣接する信号線X2にアナログ信号を書き込んだ際に、信号線X2の電位変位に伴い、信号線同士の結合容量によって、信号線X1の電位が変化してしまう。その結果、信号線X1では、本来、書き込まれるべきアナログ映像信号に基づく電位と異なる電位に変動し、表示上、問題が生じるおそれがある。
【0034】
そこで、理由(1)のように、1水平期間内の同一タイミングに駆動される画素を分散することにより、電位変動を生じた画素を時間的あるいは空間的に分散することができ、これによって、表示画面の階調変動を視認しづらくすることができる。
【0035】
また、理由(2)のように、すべての画素が、1水平走査期間の同一タイミング、例えば前半に選択された際に常に一方の極性、例えば正極性で駆動される場合、すべての出力端子から出力されるアナログ信号は、1水平走査期間の前半に正極性、1水平走査期間の後半に負極性とすることにより、駆動パワーを低減することが可能となる。
【0036】
さらに、この最も好ましいアナログ信号の書き込み方法は、理由(1)でも述べたように、前半に書き込まれた信号線の電位が、後半に書き込まれた信号線の電位変位に伴って本来書き込まれるべきアナログ信号に基づく変位と異なる電位に変動することを防止するために、以下のように制御されている。
【0037】
たとえば、電圧を印加して一様な黒画面を表示する場合、コモン電位を5Vとすると、正側は9V、負側は1Vの電圧を印加することとなる。このとき、信号線X1に9Vの電位が書き込まれた後、隣接する信号線X2に1Vの電位が書き込まれるが、信号線X1の電位が信号線X2の電位変動により9Vの電位が5Vに近づく方向に変化することになる。すなわち、黒のレベルが変化し、変動が大きい場合には、縦に階調の異なる縞が見えてしまうことにつながり、表示装置としての機能に重大な支障が生じる。
【0038】
具体的には、図4に示すように、スイッチSW1に、1水平走査期間の前半にONし、後半にOFFするスイッチ信号が入力され、スイッチSW2に、1水平走査期間の前半にOFFし、後半にONするスイッチ信号が入力される。出力端子OUT1は、1水平走査期間の前半に信号線X1の入力端子1Aに接続され、正極性のアナログ信号を書き込む。また、出力端子OUT1は、1水平走査期間の後半に信号線X2の入力端子1Bに接続され、負極性のアナログ信号を書き込む。
【0039】
このとき、上述したような第1駆動法によれば、信号線X1に接続された画素11には、1水平走査期間の前半に正の映像信号が書き込まれ、信号線X2に接続された画素12には、1水平走査期間の後半に負の映像信号が書き込まれる。
【0040】
このとき、隣接する画素の書き込み電位の影響により、1水平走査期間の前半に書き込まれた電位が変動する。すなわち、画素11では、画素12に電位が書き込まれた影響により、書き込み時の9Vから、例えば8Vに低下する。
【0041】
すなわち、1水平走査期間の前半では、画素11に書き込まれた電位は、9Vであり、コモン電位(5V)との間に+4Vの電位差を生じる。これに対して、1水平走査期間の後半では、画素12に1Vの電位が書き込まれたことにより、画素12では、コモン電位(5V)との間に−4Vの電位差を生じるが、このとき、同時に、画素11に書き込まれた電位は、画素12に書き込まれた電位の影響により、−ΔV、例えば−1Vだけ変動し、8Vとなって、コモン電位(5V)との間の電位差が+3Vに変動してしまう。このため、1水平走査期間の後半に画素11と画素12との間に電位の差が生じ、画素11の黒が薄くなる。
【0042】
このように、1水平走査期間の前半に書き込まれた電位は、1水平走査期間の後半に書き込まれた電位の影響により、コモン電位(5V)に近い方向にずれ、表示不良を発生する。
【0043】
このため、この最も好ましいアナログ信号の書き込み方法では、この電位変動の影響を分散するような制御が成されている。
【0044】
すなわち、第2駆動法によれば、信号線X1に接続された画素11には、1水平走査期間の前半に正の映像信号が書き込まれ、信号線X2に接続された画素12には、1水平走査期間の後半に負の映像信号が書き込まれる。
【0045】
1水平走査期間の前半では、画素11に書き込まれた電位は、画素11の駆動電位の変動量ΔVを考慮して、9.5Vにオフセットされる。このときのコモン電位は、通常の電位(5V)より+ΔV/2に相当する+0.5Vだけシフトされて5.5Vとなる。このため、画素11に書き込まれた電位(9.5V)とシフトされたコモン電位(5.5V)との間に、+4Vの電位差を生じる。
【0046】
これに対して、1水平走査期間の後半では、画素11の駆動電位の変動量ΔVを考慮して、0.5Vにオフセットされる。このとき、コモン電位は、通常の電位(5V)より−ΔV/2に相当する−0.5Vだけシフトされて4.5Vとなる。このため、画素12に書き込まれた電位(0.5V)とシフトされたコモン電位(4.5V)との間に、−4Vの電位差を生じる。このとき、同時に、画素11に書き込まれた電位は、画素12に書き込まれた電位の影響により、−ΔV、すなわち−1Vだけ変動し、8.5Vとなって、コモン電位(4.5V)との間の電位差を+4Vに維持することが可能となる。
【0047】
このため、画素11及び画素12は、1水平走査期間の後半に本来書き込むべき駆動電位を印加することが可能となり、全画面を均一な濃度で黒を表示することが可能となる。
【0048】
ここでは、第1実施例として、Vライン反転駆動法を例として説明する。このVライン反転駆動法では、1垂直走査期間(1フレーム)毎にすべての画素に書き込まれるアナログ信号の極性が反転する。1信号線上に接続されたすべての画素に書き込まれるアナログ信号は、同一極性であるとともに、隣接する信号線に書き込まれるアナログ信号は、極性が反転する。
【0049】
ここで、図4の第2駆動法に示すように、たとえば1水平走査期間の前半及び後半に入力端子1A及び入力端子1Bにそれぞれ接続された信号線X1(画素列R1)及びX2(画素列G1)にアナログ信号の書き込みを行う場合について説明する。
【0050】
第1フレーム(第1垂直走査期間)の1ラインでは、スイッチSW1には、1水平走査期間1Hの前半にONとなり、後半にOFFとなるスイッチ信号が入力される。これにより、出力端子OUT1は、1水平走査期間の前半に信号線X1の入力端子1Aとが接続される。そして、対応する画素11(R1)に、基準電位より高い正極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0051】
このとき、例えば基準電位を5Vより画素11の駆動電位の変動量を考慮して所定量シフトされる。例えば、画素11の駆動電位の変動量ΔVを−1Vとしたときに、+ΔV/2=0.5Vだけ基準電位をシフトし、5.5Vとする。また、画素11(R1)の駆動電位は、変動量ΔVを考慮して所定量オフセットされる。例えば、変動量ΔVを−1Vとしたときに、+ΔV/2=0.5Vだけ基準電位をオフセットし、通常の駆動電位を9Vとすると、9.5Vとする。
【0052】
一方、スイッチSW2には、1水平走査期間1Hの前半にOFFとなり、後半にONとなるスイッチ信号が入力される。これにより、出力端子OUT1は、1水平走査期間の後半に信号線X2の入力端子1Bとが接続される。そして、信号X1にアナログ信号が保持されている状態で、対応する画素12(G1)に、基準電位より低い負極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0053】
このとき、例えば基準電圧を5Vより画素11の駆動電位の変動量を考慮して所定量シフトされる。例えば、画素11の駆動電位の変動量ΔVを−1Vとしたときに、−ΔV/2=0.5Vだけ基準電位をシフトし、4.5Vとする。また、画素11(R1)の駆動電位は、変動量ΔVを考慮して所定量オフセットされる。例えば、変動量ΔVを−1Vとしたときに、−ΔV/2=0.5Vだけ基準電位をオフセットし、通常の駆動電位を1Vとすると、0.5Vとする。
【0054】
第1フレームの2ライン以下、同様に、1水平走査期間1Hの前半に画素列R1に正極性のアナログ信号が書き込まれ、後半に画素列G1に負極性のアナログ信号が書き込まれる。この時も、同様に、1水平走査期間の前半に書き込まれる画素の駆動電位の変動量を考慮して制御され、基準電位は、所定量シフトされ、それぞれの画素列に書き込まれる駆動電位は、所定量オフセットされる。
【0055】
第2フレーム(第2垂直走査期間)では、各画素に書き込まれるアナログ信号の極性が反転されるとともに、書き込まれる順序も逆になる。すなわち、スイッチSW1には、1水平走査期間1Hの前半にOFFとなり、後半にONとなるスイッチ信号が入力される。これにより、出力端子OUT1は、1水平走査期間の後半に信号線X1の入力端子1Aとが接続される。そして、対応する画素11(R1)に、基準電位より低い負極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0056】
一方、スイッチSW2には、1水平走査期間1Hの前半にONとなり、後半にOFFとなるスイッチ信号が入力される。これにより、出力端子OUT1は、1水平走査期間の前半に信号線X2の入力端子1Bとが接続される。そして、対応する画素12(G1)に、基準電位より高い正極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0057】
第3フレーム(第3垂直走査期間)以下、奇数フレームでは、第1フレームと同様に駆動制御され、第4フレーム(第4垂直走査期間)以下、偶数フレームでは、第2フレームと同様に駆動制御される。
【0058】
他の画素についても、同様に画素を選択し、それぞれ所定の極性のアナログ信号を書き込む。
【0059】
すなわち、図5に示すように、第1フレームにおいて、1ラインについては、1水平走査期間の前半に、各出力端子から出力される「+++++…」の極性を有するアナログ信号を、それぞれR1、B1、G2、R3、B3、G4…の各画素列に書き込む。また、1ラインについて、1水平走査期間の後半に、各出力端子から出力される「−−−−−…」の極性を有するアナログ信号を、それぞれG1、R2、B2、G3、R4、B4…の各画素列に書き込む。
【0060】
また、第1フレームにおいて、2ライン以下のラインについても、同様に駆動制御され、上述した奇数番目の信号線に対応する画素列に対して1水平走査期間の前半に正極性のアナログ信号が書き込まれ、偶数番目の信号線に対応する画素列に対して1水平走査期間の後半に負極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0061】
一方、第2フレームにおいて、1ラインについては、1水平走査期間の前半に、各出力端子から出力される「+++++…」の極性を有するアナログ信号を、それぞれG1、R2、B2、G3、R4、B4…の各画素列に書き込む。また、1ラインについて、1水平走査期間の後半に、各出力端子から出力される「−−−−−…」の極性を有するアナログ信号を、それぞれR1、B1、G2、R3、B3、G4…の各画素列に書き込む。
【0062】
また、第2フレームにおいて、2ライン以下のラインについても、同様に駆動制御され、上述した偶数番目の信号線に対応する画素列に対して1水平走査期間の前半に正極性のアナログ信号が書き込まれ、奇数番目の信号線に対応する画素列に対して1水平走査期間の後半に負極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0063】
このようにして、各画素を1水平走査期間の所定のタイミングで駆動することにより、図6に示すような書き込みパターンAですべての画素に所定の極性のアナログ信号が書き込まれる。図6において、「+」は、画素に書き込まれるアナログ信号が正極性であることを示し、「−」は、画素に書き込まれるアナログ信号が負極性であることを示す。また、四角で囲まれた画素は、1水平走査期間の前半に書き込まれることを示す。
【0064】
図6に示したような書き込みパターンAは、上述した理由(1)、及び(2)をすべて同時に満足し、1水平走査期間の前半に書き込まれる画素の駆動電位の変動量を考慮して、基準電位をシフトするとともに、駆動電位をオフセットすることにより、電位変動を生じた画素を分散することができ、表示不良を抑制することができる。
【0065】
なお、上述した実施の形態では、2つの理由すべてを満足する例について説明したが、少なくとも1つの理由を満足する書き込みパターンであっても、十分に表示品位を向上することができる。
【0066】
例えば、図6に示した書き込みパターンBは、理由(1)を満足するが、理由(2)を満足できない例である。この書き込みパターンBは、少なくとも1つの理由を改善することができるので、上述したような画素の駆動電位の変動を考慮して基準電位及び駆動電位を制御することにより、書き込みパターンAと同様の作用効果が得られる。
【0067】
次に、第2実施例として、H/V反転駆動法を例として説明する。このH/V反転駆動法では、1垂直走査期間(1フレーム)毎にすべての画素に書き込まれるアナログ信号の極性が反転する。また、1信号線上に接続されたすべての画素に書き込まれるアナログ信号の極性は、1画素毎に反転し、また、隣接する信号線に書き込まれるアナログ信号の極性も、反転する。
【0068】
図7の書き込みパターンCに示すように、第1フレーム(第1垂直走査期間)の1ラインでは、1水平走査期間の前半に画素R1に正極性のアナログ信号が書き込まれ、1水平走査期間の後半に画素G1に負極性のアナログ信号が書き込まれる。同様にして、1ラインでは、1水平走査期間の前半に、B1、G2、R3、B3、G4…の各画素に正の極性を有するアナログ信号が書き込まれる。また、1水平走査期間の後半に、R2、B2、G3、R4、B4…の各画素に負極性を有するアナログ信号が書き込まれる。
【0069】
第1フレームの2ラインでは、1水平走査期間の前半に画素G1、R2、B2、G3、R4、B4…の各画素に正極性のアナログ信号が書き込まれ、1水平走査期間の後半に画素R1、B1、G2、R3、B3、G4…の各画素に負極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0070】
第2フレーム(第2垂直走査期間)の1ラインでは、1水平走査期間の前半に画素G1、R2、B2、G3、R4、B4…の各画素に正極性のアナログ信号が書き込まれ、1水平走査期間の後半に画素R1、B1、G2、R3、B3、G4…の各画素に負極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0071】
第2フレームの2ラインでは、1水平走査期間の前半に画素R1、B1、G2、R3、B3、G4…の各画素に正極性のアナログ信号が書き込まれ、1水平走査期間の後半に画素G1、R2、B2、G3、R4、B4…の各画素に負極性のアナログ信号が書き込まれる。
【0072】
第3フレーム(第3垂直走査期間)以下、奇数フレームでは、第1フレームと同様に駆動制御され、第4フレーム(第4垂直走査期間)以下、偶数フレームでは、第2フレームと同様に駆動制御される。
【0073】
他の画素についても、同様に画素を選択し、それぞれ所定の極性のアナログ信号を書き込む。
【0074】
このように、図7に示したような書き込みパターンCは、上述した理由(1)及び(2)をすべて同時に満足し、1水平走査期間の前半に書き込まれる画素の駆動電位の変動量を考慮して、基準電位をシフトするとともに、駆動電位をオフセットすることにより、電位変動を生じた画素を分散することができ、表示不良を抑制することができる。
【0075】
なお、上述した実施の形態では、2つの理由すべてを満足する例について説明したが、少なくとも1つの理由を満足する書き込みパターンであっても、十分に表示品位を向上することができる。
【0076】
例えば、図7に示した書き込みパターンDは、理由(1)を満足するが、理由(2)を満足できない例である。この書き込みパターンDは、少なくとも1つの理由を改善することができるので、上述したような画素の駆動電位の変動を考慮して基準電位及び駆動電位を制御することにより、書き込みパターンCと同様の作用効果が得られる。
【0077】
次に、第3実施例として、H/2V反転駆動法を例として説明する。このH/2V反転駆動法では、2垂直走査期間(2フレーム)毎にすべての画素に書き込まれるアナログ信号の極性が反転する。また、1信号線上に接続されたすべての画素に書き込まれるアナログ信号の極性は、1画素毎に反転し、また、隣接する信号線に書き込まれるアナログ信号の極性も、反転する。
【0078】
このH/2V反転駆動法では、上述した理由(1)および(2)を同時に満足する書き込みパターンはないが、図8に示した書込パターンE、F、Gのように、理由(1)のみを満足し、理由(2)を満足できない書き込みパターンは存在する。
【0079】
このような書込パターンであっても、上述したような画素の駆動電位の変動を考慮して基準電位及び駆動電位を制御することにより、十分に表示品位を向上することができる。
【0080】
上述したように、この実施の形態にかかる表示装置は、信号線駆動用ICの出力端子数が信号線の本数より少ないため、信号線駆動用ICの個数を低減することが可能となり、コストを低減できるとともに、信号線駆動用ICの個数を低減しても、画面の表示品位を低下させることなく表示させることが可能となる。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、コストの増大を招くことなく、画素の高精細化を可能とし、且つ、表示不良の発生を防止することが可能な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の表示装置の一実施の形態に係る液晶表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示装置の一辺に設けられるTCPの構成を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図1に示した液晶表示装置の信号線駆動回路の構成を概略的に示す図である。
【図4】図4は、第1実施例のVライン反転駆動法における駆動電位の変動及び好ましい駆動法を説明するためのタイミングチャートを示す図である。
【図5】図5は、2垂直走査期間内において、第1実施例のVライン反転駆動法における好ましい駆動法での1ラインに書き込まれる信号を示す図である。
【図6】図6は、第1実施例のVライン反転駆動法における好ましい駆動法及び他の駆動法を説明するための書き込みパターンを示す図である。
【図7】図7は、第2実施例のH/V反転駆動法における好ましい駆動法及び他の駆動法を説明するための書き込みパターンを示す図である。
【図8】図8は、第3実施例のH/2V反転駆動法における好ましい駆動法及び他の駆動法を説明するための書き込みパターンを示す図である。
【符号の説明】
1…液晶表示装置
100…アレイ基板
110…多結晶シリコン薄膜トランジスタ
150…ゲート線駆動回路
160…信号線駆動回路
170…選択回路
200…対向基板
300…液晶層
500−N…TCP
511…信号線駆動用IC
OUT…出力端子
SW…スイッチ
X…信号線
Y…ゲート線
Claims (8)
- 基板上に互いに直交して配列された複数のゲート線及び複数の信号線と、
ゲート線と信号線とのそれぞれの交差部に配置された画素トランジスタと、
各画素トランジスタに接続された画素電極と、
入力されるディジタル信号をアナログ信号に変換すると共に、前記信号線を所定数の信号線から成る複数の信号線群に区分し、各前記信号線群毎に対応するアナログ信号をシリアルに出力する駆動回路と、
前記駆動回路からのアナログ信号を各前記信号線群の対応する信号線に順次振り分ける選択手段と、
前記選択手段によるアナログ信号の信号線への振り分け順序を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、4垂直走査期間またはそれより少ない複数の垂直走査期間内において、前記複数の信号線の各信号線上に接続されたすべての画素トランジスタが各水平走査期間における同一タイミングに所定の電位を基準として一方の極性で駆動されるように前記選択手段を制御し、
1水平走査期間内の第1タイミングに選択された第1画素トランジスタ群を第1極性で駆動し、1水平走査期間内の第1タイミングに続く第2タイミングに選択された第2画素トランジスタ群を第1極性とは逆の第2極性で駆動するとき、第1画素トランジスタ群の駆動電位が第2画素トランジスタ群を駆動するのにともなって変動する場合、前記第1画素トランジスタ群の駆動電位の変動量に応じて前記基準電位を所定量シフトするとともに、前記第1画素トランジスタ群にその駆動電位の変動方向とは逆方向のオフセット電位を与え、前記第2画素トランジスタ群に前記駆動電位の変動方向と同方向のオフセット電位を与えることを特徴とする表示装置。 - 前記基準電位は、前記第1画素トランジスタ群の駆動電位の変動方向とは同一方向にシフトさせることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 前記基準電位のシフト量は、駆動電位の変動量を−ΔVとしたときに、略−ΔV/2であることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
- 前記第1画素トランジスタ群のオフセット電位は、駆動電位の変動量を−ΔVとしたときに、略+ΔV/2であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 前記制御手段は、2垂直走査期間内において、前記複数の信号線の各信号線上に接続されたすべての画素トランジスタが各水平走査期間における前半に所定の電位を基準として一方の極性で駆動されるように前記選択手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 互いに隣接する信号線は、異なる極性で駆動され、かつ、1信号線上の互いに隣接する画素トランジスタは、異なる極性で駆動され、1垂直走査期間毎にすべての画素トランジスタの駆動極性が反転されることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
- 互いに隣接する信号線は、異なる極性で駆動され、かつ、1信号線上に接続されたすべての画素トランジスタは、同一極性で駆動され、1垂直周期毎にすべての画素トランジスタの駆動極性が反転されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
- 前記1信号線上に接続されたすべての画素トランジスタは、1つの垂直走査期間において、各水平走査期間内の同一タイミングに駆動されることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
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