JP4663930B2 - 逆回復時間特性測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファースト・リカバリ・ダイオード(以下、FRDと略記する。)、ショットキー・バリア・ダイオード(以下、SBDと略記する。)等の整流用ダイオードにおける逆回復時間特性(trr)測定装置に関し、特にtrr特性測定において、(1)測定条件の設定、(2)測定、(3)測定結果の計算、(4)測定結果の表示・保存・管理等の一連の作業を総合的かつ効率的に行なうことができるようにした逆回復時間特性測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のダイオードに求められる市場のニーズは、高耐圧化は勿論、高速化でしかも低損失であることが求められている。さらにL負荷運転時の装置から発信されるノイズや騒音の対策として、穏やかな逆回復波形を有するいわゆるソフトリカバリ特性であることが求められている。
これはダイオードを高速化、すなわち、FRDにおいては、素材のN↑−半導体基板中や、素子内部のPN接合部付近に、ライフタイムキラーを導入したり、また、SBDにおいては、素材のN↑−半導体基板中の不純物濃度・厚み、あるいは半導体チップ周辺のガードリング構造等の最適化により、trr特性をより短くするという試みであるが、高速化すればするほど高い周波数でのオン・オフ動作の繰り返しが不可欠となり、特にL負荷時においてはオンモードからオフモードに移行する時の跳ね上がり電圧がより深刻となっている。
【0003】
なお、跳ね上がり電圧(V)は、V=L・di/dtで表され、同じL成分に対し、高速の場合、di/dtがより大きくなる。
上記の跳ね上がり電圧を防止するため、穏やかな(ソフト化した)逆回復波形とするための手段が、デバイスの設計・製造工程で種々なされている。
【0004】
ところで、問題はソフト化されたtrr特性の良否を、どのような判定方法によって厳密に比較するかについては、trr特性の定義そのものの統一した定義がなく、低速かつ非ソフト化であった従来のtrr特性の定義、測定方法が現在でも使用されているのが現状である。また、具体的に如何にして、trr特性の正確な値を測定・表現するかを明確に開示した公知例も、十分なものが見当たらない。
【0005】
そこで、先ずはじめに、trr特性の測定方法について、その概略を図16〜図18に基づいて述べる。
図16において、(VR)は直流電源、(C)は平滑コンデンサ、(Q)はスイッチング素子、(VGS)はスイッチング素子(Q)のゲート信号、(L)は誘導負荷想定時のL成分であり、また、DUT(Device Under Test)は測定対象のダイオードである。
trr特性の測定においては、図17(a)のVGS信号波形のように、ダブルパルス信号を与え、このダブルパルス信号の2つ目がオンした瞬間がtrr特性測定の瞬間である。
【0006】
(1)図17(a)のVGS信号波形の期間▲1▼において、スイッチング素子(Q)がオンすると、L負荷に電流ILが流れる。このILは、IL=VR/L・t式で算出でき、図17(b)に示すように時間tに比例して上昇する。
【0007】
(2)次に、VGS信号波形の期間▲2▼において、スイッチング素子(Q)がオフすると、該スイッチング素子(Q)の両端で回路が閉じられるため、直流電源(VR)→スイッチング素子(Q)→誘導負荷(L)→直流電源(VR)の還流電流は最早流れることができなくなり、行き場を失う。その結果、今度は、誘導負荷(L)→DUT→誘導負荷(L)を還流する電流(以下、順電流IFという。
)が流れる。
すなわち、スイッチング素子(Q)がオフしている時にはDUTに順電流IFが流れることになりrこの様子を図17(c)に順電流IF波形として示してある。
なお、上記の期間▲2▼における順電流IFは、誘導負荷(L)に蓄えられたエネルギーの大きさにより決まるので、厳密には、DUTの順方向損失分のみ僅かに下がることを無視すれば、略一定である。
【0008】
(3)続いて、VGS信号波形の期間▲3▼において、再びスイッチング素子(Q)がオンすると、電流はDUTを通じて還流するよりは、誘導負荷(L)を流れる方が、Lの抵抗分とDUTのVF抵抗分の差により流れ易いので、電流の経路が、誘導負荷(L)→DUT→誘導負荷(L)から、直流電源(VR)→スイッチング素子(Q)→誘導負荷(L)→直流電源(VR)にと徐々に移行する。
この時、DUTの内部では、N↑−基板中に注入され多数キャリヤの電子はカソード側の(+)電位に引かれ、また、少数キャリヤのホール(正孔)はアノード側の(−)電位に引かれて、デバイス内部を逆方向の電流(IR)が流れることによって、オン→オフモードにと最終的に落ち着く。この様子を示すのが図17(c)の鎖線による丸印のIRである。図18にこのIR波形をさらに拡大して示した。
【0009】
図18の拡大したIR波形において、実線はソフト・リカバリ(回復)波形を、点線はハード・リカバリ波形を示している。また、L負荷運転において、この逆回復の瞬間に発生する電圧が、前記の跳ね上がり電圧V=L・di/dtに相当する。
なお、DUTの主電極間電圧波形は図示を省略してある。
上記の際、誘導負荷(L)を流れる電流は、図17(a)における期間▲2▼で流れ続けていた一定電流に加え、さらに期間▲1▼と同じ上昇率を持ったIL(+)=VR/L・tが加算されて流れ続ける(図17(b)の期間▲3▼におけるIL波形参照)
【0010】
(4)続いて、VGS信号波形の期間▲3▼の先の期間において、再びスイッチング素子(Q)がオフされると、誘導負荷(L)中に蓄えられたエネルギーの大きさ(期間▲3▼の終わり)、すなわち、その時のILの大きさから、再び期間▲2▼における電流の経路による還流電流モードと同じか僅かな減少の傾斜、すなわち、誘導負荷(L)→DUT→誘導負荷(L)の継続時間中、DUTのVF損失を経て徐々にIL及びIFを下降させながら、検査開始のリセットモードに戻る。この様子が図17(b),(c)の期間▲3▼の先に示したIL及びIF波形である。
【0011】
次に、上記trr特性測定方法における測定条件の選定にあたり、(1)Lの値、(2)−di/dtの値、(3)IFの値、(4)VR(主電源電圧)の値、(5)IR(逆電流)の値等の設定方法の概要について述べる。
(1)Lの値について
図17(a)VGS波形の期間▲1▼〜▲3▼及び▲3▼以降の概略の設定時間を表1に示す。
【表1】
Figure 0004663930
すなわち、期間▲1▼は約20μsまで、期間▲2▼は5μsに固定し、期間▲3▼は約5μsまで、期間▲3▼以降は20〜30msの範囲に設定した。
これらの値はDUTの測定されるべき条件を念頭に置いた時、測定精度の安定性、DUT測定中の発熱、DUTに与える検査中のダメージ、他の周辺機器との信号授受時間等を考慮すると、通常は、期間▲1▼〜▲3▼において、略10μs程度の時間が好都合である。
【0012】
上記のような背景を基礎として、今、前記のIL=VR/L・t式において、tが期間▲1▼の約20μsであって、また、例えば10A定格のDUTであれば、IL≡IF≒10Aとし、VR=50Vを代入する。この場合に、上記の式を、L=(VR/IL)・t式と変形した上で、上記の値を用いてこれを算出すると、L=(50/10)×20E−6=100(E)−6〔H〕≒100〔μH(マイクロヘンリー)〕の値が選ばれる。
【0013】
(2)(−di/dt)の値について
続いて、(−di/dt)の値に関しては、従来は、(−di/dt)=−50〔A/μs〕程度が良く用いられていたが、近年の高速用途においては、当然より急峻な電流減少率が求められるので、(−di/dt)≧200〔A/μs〕程度であることが望ましいが、この(−di/dt)を直接決定しているのが、スイッチング素子(Q)のゲート入力抵抗(RG)の値である。
【0014】
すなわち、速い電流の立下り(急峻な電流減少率)が要求される場合には、ゲート入力抵抗(RG)の値を小さくして、スイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)間容量(CGS)と前記ゲート入力抵抗(RG)で決まる時定数(τ=RG・CGS)を小さくする必要がある。また、遅い電流の立下り(緩慢な電流減少率)が必要な場合には、前記ゲート入力抵抗(RG)の値を大きくして、時定数(τ)を大きくする必要がある。
【0015】
(3)IF(順電流)の値について
IF値は、通常、DUTの定格電流が選択されるべきである。しかしながら、これは前述のLの値と極めて相関が深いが、具体的にはLを固定した後、期間▲1▼の時間tを可変し、この期間内に上昇するIL≡IF≒10Aとなる時間tを以って決定している。
【0016】
(4)VR(主電源電圧)の値について
VR値は、DUTの定格逆耐電圧(VRRM)の1/2〜1/3が通常用いられる必要がある。
【0017】
(5)IR(逆電流)の値について
IR値に関しては、上記の(−di/dt)、それにIF(あるいはIL)等の測定条件を決定すれば、DUT自体の構造要因(逆回復時に、内部に存在する電荷量、又は注入キャリヤ総数)によって決まる値であり、また、この値の大きさや、その時の回復波形を知ることが測定の目的である。
【0018】
以上、trr測定方法の概要と測定条件における各値の設定方法について述べたが、上記のような高速用途向けDUT(FRD,SBD)の測定対象の種類は、定格電流、実効順電流(IF(RMS))において、IF=1〜50A、また、定格逆耐電圧、繰り返しピーク逆電圧(VRRM)において、VRRM=30〜600Vと多岐に亘っている。
上記のようなデバイスの開発の特性評価段階におけるtrr測定に関する従来の方法は、測定の度に所定の回路を組み立て、標準サンプルによる校正をこれまた毎回行なって、初めて実際の測定作業に入るようにしており、また、その測定条件の設定に関してもすべて手動設定方式であった。
【0019】
これらのうちの各々種類について、デバイスの種類を数グループにまとめて限定したとしても、専用の高価な自動設定方式のtrr測定装置を複数台準備することは、費用対効果の点で明らかに得策ではない。一台の測定装置で上記の全領域をカバーした方が、設備投資効率や設置面積の点でも遥かに賢明である。また、測定装置間の誤差や精度の管理・維持の面から見ても一台の測定装置による方が明らかに有利である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来ではすべてに関する測定を一台の測定装置で賄うことは行なわれていなかった。
その理由としては、上記の説明の中でも概略述べたが、まとめて述べれば以下のような点が挙げられる。
【0021】
(1)(−di/dt)を制御するためのゲート入力抵抗(RG)を、自動的に、かつ、連続的に所望の値に可変させることが必要であるにも拘らず、これを実現することが困難であったこと。
【0022】
(2)IF及びIRを制御するためには、期間▲1▼の最適時間を設定しなければならないが、この最適値を予測し、自動的に、かつ、連続的に所望の値に可変させることが困難であったこと。
【0023】
(3)3系統の直流電源電圧、すなわち、(イ)ゲート抵抗(RG)の両端にかかる電源電圧(VGR)、(ロ)スイッチング素子(Q)(MOS FET)のゲート(G)・ソース(S)間の電源電圧(VGS)及び(ハ)主電源電圧(VR)の3つのうちでも特に、(VGR)と(VGS)を変えると、他の特性にも与える影響が大きいので、その値を正確にモニタした上で、最適値となるようにフィードバックをかける部分を自動化することが困難であったこと。また、(イ)〜(ハ)の所望の初期設定電圧値そのものも、どのような指令・伝達方式で、自動的に、かつ、連続的に所望の値に可変させるかが困難であったこと。
【0024】
(4)さらに、以上に加えて、広い範囲のIF(RMS)=1〜50A/VRRM=30〜600Vの範囲をカバーする上で、図16のように、一つのスイッチング素子(Q)のみでは対応しきれないことにも問題がある。したがって、これらを目的の測定電流及び耐圧レンジに応じて、何種類かをどう使い分け、またそれらの切り替えに伴って変わる要因、例えばスイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)間容量(CGS)に対して、どのような指令・伝達方式で、自動的に、かつ、連続的に所望の値に、どのように補正を加えるかの対策が困難であったこと。
【0025】
(5)IF及びILの設計上、必要なLについても同様に、一種類のLですべてのレンジに対応することは、極めて困難であるため、これらを目的の測定電流及び耐圧レンジに応じて、何種類かを使い分け、かつ、切り替えればよいか、また、切り替えた後のLの値の変更に伴う要因、例えば図17(a)の期間▲1▼の時間tに対してどのような指令・伝達方式で自動化し、どのように補正を加えるかの対策が困難であったこと。
【0026】
(6)さらに、trr測定波形の処理に関しても従来より解決すべき点があった。
この点については、以下に、図19を参照して詳述する。
図19は、従来技術におけるtrr測定のオシロスコープ波形から、trr値を決定する手順を示すための説明図である。
図において、(a)点はDUTがオフを開始する点、(b)点は順方向の電流が零になった点、(c)点は最大の逆電流(IR)に到達した点、(d)点は0.75×IRの点、(e)点は0.50×IRの点、(f)点は(d)点−(e)点を通る延長線が時間軸と交差する点、(g)点は(f)点を通る垂線が、trr波形と交わる点、(h)点はtrr波形が時間軸と交差する点である。
【0027】
また、図中、trr1は、(b)点から(c)点までの間の時間軸の長さである。同様にtrr2は、(c)点から(f)点までの間の時間軸の長さである。また、trrは、前記trr1とtrr2の合計時間である。さらに、ttailは(f)点から(h)点までの時間であって、より現実的なQrrを考察すべきとの配慮から、最近になって追加・定義されるようになったDUTの完全回復までの時間を示している。
また、Qrrは、trr時間内の逆回復電荷量の総量を、さらにQtailは、ttail時間内の逆回復電荷量の総量を表している。
また、Qrr1は、trr1時間内の逆回復電荷量の総量を、Qrr2は、trr2時間内の逆回復電荷量の総量を、それぞれ表し、Qrr=Qrr1+Qrr2によって表される。
【0028】
さて、デバイスのソフト化を議論する上では、上記のtrr1とtrr2の比(trr2/trr1)の値が大きな意味を持つことは勿論であるが、Qrr1とQrr2の比(Qrr2/Qrr1)が持つ意味もまた大きい。
しかしながら、従来から行なわれていた図19から求められるQrr1及びQrr2とQtailの算出方法においては、正確な値を示していないことも明らかである。
【0029】
すなわち、従来の算出方法では、Qrr1及びQrr2が(b),(c),(f)点で決まる三角形の面積から、また、Qtailが(f),(g),(h)点で三角形の面積からそれぞれ求めていたところに起因している。
つまり、trr曲線(b−c間)と(b)点−(c)点間直線で囲まれた白地領域W1及びtrr曲線(c,d,e,g,f間)と、(c)点−(f)点間直線で囲まれた白地領域W2がそれぞれQrr1及びQrr2に加算された上で、trr特性が考察されるべきものと考えられる。
さらに、trr曲線(c,d,e,g,f間)と、(d)点−(e)点−(f)点間直線で囲まれた白地領域W3についても考察されるべきである。
なお、白地領域W3は、Qrr2に含まれるべきことは言うまでもない。
【0030】
また、trr特性におけるソフト化がより厳密に検討される際には、上記の白地領域W1,W2が実質的な寄与分としてより厳密に評価・考察された上で、上記の比(以下、ソフトネス・ファクタという。)を以って、ソフト化対応デバイスにおける仕上がり特性の是非が問われるべきものと考えられる。
【0031】
(7)さらに、上記のようなtrr特性を始めとする半導体デバイス特性測定においては、忘れてならないのが温度変動する時の室温・高温特性での比較である。高温特性を測定するためにはDUT全体を、所望の測定温度、例えば、Tj=150℃にヒートアップされたパー・フルオロ・ポリエーテル等の不活性溶液、例えばガルデン(商品名)溶液中に浸漬してデバイスの温度が安定するまで、一定時間待機した上で、本来の測定を開始するようにしている。このため、DUTは容易に測定治具に対して装着・脱着される必要があるが、この点、従来では特に配慮がなされていなかった。
一方、前記の不活性溶液は150℃というように高温に加熱されるため、測定中や測定後に誤って触れると、火傷する虞がある。したがって、DUTの出し入れが安全であると同時に、繰り返される個々の測定に際し、溶液中での安定した昇温、測定温度維持、降温特性が得られるような浸漬方法・容器構造等に特別な工夫が求められるが、従来では、それらの点も不十分であった。
【0032】
(8)また、trr測定をシステム化する上での問題がある。すなわち、図16の測定回路の要部に測定設定条件(各部電圧、電流、時間、温度、−di/dt、オシロスコープ等の測定機器の設定条件等)を満たす指令信号を与え、測定値に見合うこれらの取り出し信号の受理及び演算処理(例えば、図19におけるtrr、Qrr、ソフトネス・ファクタ(係数)の算出等)、それらの表示、データの保管等を、如何なる方法で行なうかをシーケンスに沿ってきめ細かく構築して行く必要があるが、従来ではそのような工夫がなされていなかった。
【0033】
【発明の目的】
本発明は上記のような各課題を解決するためになされたもので、(1)予め設定する各部電源電圧値、電流値、時間、温度、(−di/dt)値の精度を向上させ、測定値の高精度化を図ること、(2)逆回復時間(trr)特性における逆回復電荷量の総量(Qrr)計算の細分化を図ること、(3)IF、VR、(−di/dt)値の任意設定により複数条件での測定を可能にすること、(4)パーソナルコンピュータ(PC)による測定条件の設定、測定等を自動化すること、(5)容器にDUTを浸漬するための安全性が高く構造がシンプル、かつ、便利な機構・装置を提供すること等を目的とするものである。
【0034】
【課題を解決するための手段】
第1の発明の逆回復時間特性測定装置は、逆回復時間(trr)特性測定のための各外部構成装置の駆動条件設定及びそれら各外部構成装置の集中管理を行なうパーソナルコンピュータ(PC)と、
該PCからのパルス幅データ等の測定条件選定信号を送出する外付けの中央演算処理装置(CPU)と、
該CPUからのパルス幅データ等の測定条件選定信号を受けるMOS FET等のスイッチング素子(Q)及び被試験素子(DUT)を有する測定治具と、
該測定治具を介して得られた実測波形データが、測定条件データと共に送られ、これを取り込んで画面表示するオシロスコープ(OSC)等の表示装置と、
前記スイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)の電源電圧(VGS)の値を所定の値に設定する制御信号、前記trr特性測定のための回路中の主電源電圧(VR)の値を所定の値に設定する制御信号、及び前記スイッチング素子(Q)のゲート入力抵抗(RG)の両端に印加される電源電圧(VGR)の値を所定の値に設定する制御信号を送出するように、前記PCにより操作されるGPIBプログラマブル・コントローラと、
を備えたことを特徴とするものである。
【0035】
第2の発明のIF(順電流)の制御方法は、初期設定値として予め定めた順電流(IF)値、電流減少率(−di/dt)値、誘導負荷(L)値、直流電源電圧(VR)値をパーソナルコンピュータ(PC)に入力するステップと、
上記各初期設定値の組み合わせに基づき、該PCで、誘導負荷(L)に流れる電流(IL)を、IL(≒IF)=VR/L・t式から推奨パルス幅値(t1)として計算し、このt1値を外付けの中央演算処理装置(CPU)に送信するステップと、
前記PCから得た推奨t1値の信号を受け、前記CPUは、これに見合ったパルス幅信号t2をスイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)間に出力させるように制御するステップと、
上記の各ステップを経て仮決定されたIFがDUT中を流れるので、これを実際のIFとしてモニタするステップと、
このモニタしたIF値と初期入力値のIF値が一致、あるいは指定許容誤差範囲内であればIFの自動制御を完了するステップと、
前記モニタしたIF値と初期入力値のIF値が不一致、あるいは指定許容誤差範囲外であれば、該IF値の大・小関係を判別して、その情報を前記PCに帰還し、再度、推奨t1値を再計算し、上記各ステップを順次繰り返すことを特徴とするものである。
【0036】
第3の発明である電流減少率(−di/dt)自動制御方法は、初期設定値として、予め定められたIF値、(−di/dt)値、L値、VR値をPCに入力するステップと、
入力された上記初期設定値に基づいてゲート入力抵抗(RG)の両端に印加する電源電圧(VGR)をPCで計算するステップと、
入力された上記初期設定値に基づいてスイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)間の電源電圧(VGS)をPCで計算するステップと、
上記電源電圧(VGR)をPCで計算するステップにより得た結果に基づき、(VGR)の補正が行なわれ、かつ、(−di/dt)値が更新され、オシロスコープの画面に表示すると共に、この更新された(−di/dt)値が該オシロスコープ内部で自動計測され、実際の(−di/dt)値がモニタされ、
実際の(−di/dt)値と初期入力値の(−di/dt)値が一致、あるいは指定許容誤差範囲内であれば、(−di/dt)の自動制御を完了するステップと、
実際の(−di/dt)値と初期入力値の(−di/dt)値が不一致、あるいは指定許容誤差範囲外の場合には、実際の(−di/dt)値と初期入力値の(−di/dt)値との大・小関係の情報をPCに帰還し、該PCが大・小関係の情報に基づき、補正分に応じた推奨の(VGR)値を再計算し、上記各ステップを繰り返すことを特徴とする。
【0037】
第4の発明である逆回復時間(trr)内の逆回復電荷量(Qrr)の総量算出方法は、オシロスコープに表示された実際のtrr波形と時間軸とで囲まれた領域内の面積を算出するに当たり、微細に細分化された時間(t)での各逆電流値(IR)をポイント・データとし、これをシンプソン・データとしてPCに入力し、上記trr波形上の隣接する3点をとってシンプソン則により上記面積を算出することを特徴とするものである。
【0038】
第5の発明の電源電圧自動制御方法は、主電源電圧(VR)の制御レンジが0〜500Vの範囲で、かつ、分解能が2.0Vである第1の条件と、
スイッチング素子(Q)のG・S間電源電圧(VGS)の制御レンジが0〜25Vの範囲で、かつ、分解能が0.025Vである第2の条件と、
上記スイッチング素子(Q)のゲート入力抵抗(RG)の両端に印加する電源電圧(VGR)の制御レンジが、フォトカプラの電流源を可変制御した場合に、制御レンジが0〜25mAの範囲で、かつ、分解能が0.0005Aである第3の条件とを備えたことを特徴とするものである。
【0039】
第6の発明の逆回復時間特性測定装置に使用されるtrr測定回路内のスイッチング素子(Q)として定格電流・定格電圧の異なる複数の該スイッチング素子(Q)を備え、DUTの定格に応じて該スイッチング素子(Q)を切り替えて使用するようにしたことを特徴とするものである。
【0040】
第7の発明の逆回復時間特性測定装置は、オシロスコープ(OSC)表示される順電流(IF)波形及び逆電流(IR)波形を、ノイズを含まず正確に表示させるために、DUTの電流減少率(−di/dt)が高い時(ハード・リカバリ時)には、ピアソン電流プローブを優先して使用し、DUTの(−di/dt)が低い場合(ソフト・リカバリ時)には、無誘導抵抗を優先して使用するようにしたことを特徴とする。
【0041】
第8の発明の逆回復時間特性測定装置は、オシロスコープ(OSC)表示される順電流(IF)波形及び逆電流(IR)波形を、高周波ノイズを含まず正確に表示させるために、DUTに直列にCRスナッバ回路を接続したことを特徴とする。
【0042】
第9の発明は、測定治具が、台座の所定の位置に着脱可能に載置したパー・フルオロ・ポリエーテル等の不活性溶液を満たした容器と、該容器内の不活性溶液を所定の温度に加熱する加熱源と、DUTを着脱自在に保持する測定治具支持板と、該支持板に保持されたDUTを、前記不活性溶液を満たした容器内に垂直に降下させて浸漬させ、かつ、前記DUTのtrr特性測定・検査後は該容器から垂直に引き上げる動作を行なうリンク機構と、該リンク機構により前記測定治具支持板が下降した際に自動的に連結する逆回復時間特性測定回路とを備えたことを特徴する。
【0043】
第10の発明の逆回復時間特性測定装置は、測定治具を介して得られたDUTの実測波形データをオシロスコープ(OSC)に取り込み、PCへ該波形データを転送する際に、予め前記OSCに取り込まれた波形データのチェックを行ない、該チェック結果が有限の数値データを含む場合にのみ、前記PC側に波形データを転送するようにすることを特徴とする。
【0044】
第11の発明の逆回復時間特性測定装置のおける測定結果の保存・表示方法は、1レコードが複数の項目データで構成されている場合に、各項目データの区切りをカンマ(,)で区切るCSVファイル形式で(−di/dt)、trr1、trr2等の値及びBMP(ビット・マップ)ファイル形式でtrr波形等の測定・検査結果の表示及び保存を行なうことを特徴とする。
【0045】
【作用】
第1の発明は、PCの集中管理のもとで、(1)OSC、(2)外付け制御のCPU、(3)測定治具、(4)GPIBプログラマブル・コントローラを備え、該コントローラで(5)スイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)間の電源電圧(VGS)、(6)主電源電圧(VR)、(7)スイッチング素子(Q)のゲート抵抗(RG)の両端に印加される電源電圧(VGR)の各々について、自動制御できるようにしたので、最終的に正確なtrrの測定が可能となる。
また、ゲート入力抵抗(RG)の値が自動的に可変できるようになるので、(−di/dt)値の自動的な設定も可能となる。
【0046】
第2の発明は、各ステップを通して順電流(IF)を自動的に制御し、最適値を逆回復時間特性測定装置に入力できるようにしたので、的確なtrr特性の測定が可能となる。
【0047】
第3の発明は、各ステップを通して電流減少率(−di/dt)を自動的に制御し、最適な(−di/dt)値を得ることができるようにしたので、的確なtrr特性の測定が可能となる。
【0048】
第4の発明は、シンプソン則によりtrr時間内の逆回復電荷量の総量を、白地領域を含めた正確な全体面積から算出できるようにしたので、より信頼性の高いtrr特性値が得られる。
【0049】
第5の発明は、主電源電圧(VR)、スイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)間の電源電圧(VGS)、同じくスイッチング素子(Q)のゲート入力抵抗(RG)電源電圧の3系統の電源電圧をGPIBプログラマブル・コントローラで自動的に制御するので、正確かつ的確なtrr特性の測定が可能となる。
【0050】
第6の発明は、逆回復時間(trr)特性測定装置に使用されるtrr測定回路内のスイッチング素子(Q)として、定格電流・定格電圧の異なる複数のスイッチング素子(Q)を備え、DUTの定格に応じて切り替えて使用するようにしたので、定格の異なるDUTのtrr特性を効率的に、かつ、的確に測定することが可能となる。
【0051】
第7の発明は、DUTの電流減少率(−di/dt)が高い時(ハード・リカバリ時)には、ピアソン電流プローブを優先して使用し、DUTの(−di/dt)が低い場合(ソフト・リカバリ時)には、無誘導抵抗を優先して使用するようにしたので、オシロスコープ(OSC)に順電流(IF)波形及び逆電流(IR)波形を、ノイズを含まず正確に表示させることができる。
【0052】
第8の発明は、DUTに直列にCRスナッバ回路を接続するようにしたので、オシロスコープ(OSC)に順電流(IF)波形及び逆電流(IR)波形を、高周波ノイズを含まず正確に表示させることができる。
【0053】
第9の発明は、台座の所定の位置に着脱可能に載置したパー・フルオロ・ポリエーテル等の不活性溶液を満たした容器と、該容器内の不活性溶液を所定の温度に加熱する加熱源と、DUTを着脱自在に保持する測定治具支持板と、該支持板に保持されたDUTを、前記不活性溶液を満たした容器内に垂直に降下させて浸漬させ、かつ、前記DUTのtrr特性測定・検査後は該容器から垂直に引き上げる動作を行なうリンク機構と、該リンク機構により前記測定治具支持板が下降した際に自動的に連結する逆回復時間特性測定回路とを備えたので、DUTのtrr特性を安全に、かつ、効率的に測定することが可能となる。
【0054】
第10の発明は、測定治具を介して得られたDUTの実測波形データをオシロスコープ(OSC)に取り込み、PCへ該波形データを転送する際に、予め前記OSCに取り込まれた波形データのチェックを行ない、該チェック結果が有限の数値データを含む場合にのみ、前記PC側に波形データを転送するようにするので、逆回復時間特性測定装置の異常停止が回避できる。
【0055】
第11の発明は、1レコードが複数の項目データで構成されている場合に、各項目データの区切りをカンマ(,)で区切るCSVファイル形式で(−di/dt)、trr1、trr2等の値及びBMP(ビット・マップ)ファイル形式でtrr曲線等の測定・検査結果の表示及び保存を行なうようにしたので、
trr曲線等の測定・検査結果の表示及び保存を容易に行なうことができると共に、その後のデータ処理等が簡単となる。
【0056】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を、図を参照して説明する。
図1は、第1の発明である逆回復時間特性測定装置の構成を示すブロック図である。
図において、1はシステム全体を集中管理するPCである。このPC1の下に外付けのコントロールCPU2を有しており、PC1→コントロールCPU2の経路で、順電流(IF)及びL負荷に流れる電流(IL)の大きさを決定するためのパルス幅、特にこの場合、ダブルパルスの第1パルス幅が重要であるが、かかるパルス幅データ等の測定条件選定信号を送る。
【0057】
次に、上記パルス幅データ信号等を受けて測定治具3に実装された図示しないスイッチング素子(Q)、この実施例ではMOS FETのソース(S)・ゲート(G)・ドレイン(D)の各電極や、DUTの両電極間に必要な信号が、上記CPU2→測定治具3の経路で印加される。
次に、測定治具3の部分で得られた実測波形データが、測定条件データと共に、測定治具3→オシロスコープ(OSC)4の経路を経てOSC4中に取り込まれ、画面表示される。その後、これらのデータは、OSC4→PC1の経路でPC1に戻され、該PC1内に取り込まれる。
【0058】
上記PCのもう一つの重要な機能は、PC1自体のキーボードからGPIB(General Purpose Interface Bus)プログラマブル・コントローラ(以下、GPIBプログラマと略記する。)5を操作している機能である。PC1とGPIBプログラマ5間での測定条件等の信号のやり取りは、PC1→GPIBプログラマ5の経路を経由して行なわれる。
また、前記GPIBプログラマ5に書き込まれたスイッチング素子(Q)のG・S間電源電圧(VGS)6の制御信号は、該GPIBプログラマ5の出力端を介して、電源電圧(VGS)6の値を指定の値に設定する。
同様にGPIBプログラマ5に書き込まれた主電源電圧(VR)7の制御信号は、該GPIBプログラマ5の出力端を介して、(VR)の値を指定の値に設定する。
また、 スイッチング素子(Q)のゲート入力抵抗(RG)の両端にかかる電源電圧(VGR)8の制御信号についても、GPIBプログラマ5に書き込まれた(VGR)8の制御信号は、該GPIBプログラマの出力端を介して、(VGR)8の値を指定の値に設定する。
【0059】
上記のように構成の逆回復時間特性測定装置では、PC1による集中管理の下で、OSC4、外付けコントロールCPU2、測定治具3、GPIBプログラマ4、電源電圧(VGS)6、電源電圧(VR)7、電源電圧(VR)8の各々が、trr自動測定において十分機能するシステム環境を構築されている。
したがって、上記システム環境の下で、測定条件の自動的な設定が可能となる。また、ゲート入力抵抗(RG)の値が自動的に可変できるようになるので、電流減少率(−di/dt)値の自動設定も可能となる。
【0060】
次に、第2の発明である順電流(IF)の自動制御方法について、図2を参照して説明する。
この発明では、順電流(IF)、電流減少率(−di/dt)、誘導負荷(L)、直流電源電圧(VR)についての初期値20をPC1に入力するステップ21を有する。
また、上記各初期値20の組み合わせに基づき、該PC1で、誘導負荷(L)に流れる電流(IL)(≒IF)=VR/L・t式から推奨パルス幅値t1(図17(a)の▲1▼期間参照)を計算し、このt1値を外付けのCPU2に送信するステップ22を有する。
【0061】
前記PC1から得た推奨t1値の信号を受け、前記CPU2は、これに見合ったパルス幅信号をスイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)間に出力させるように制御し、上記の各ステップを経て仮決定されたIFがDUT中を流れるので、これを電流シャント等の手段により実際のIFをモニタする。
このモニタしたIF値と初期入力値(20)のIF値が一致、あるいは指定許容誤差範囲内であればIFの自動制御を完了する。
【0062】
一方、モニタしたIF値と初期入力値(20)のIF値が不一致、あるいは指定許容誤差範囲外であれば、該IF値の大・小関係を判別して、その情報を前記PC1に帰還し、再度、推奨t1値を再計算し、上記各ステップを順次繰り返すステップ(23)とを備えている。
したがって、上記各ステップを通じて最適なIF値が自動的に決定・制御され、その結果、的確なtrr特性の測定が可能となる。
【0063】
次に、第3の発明である電流減少率(−di/dt)自動制御方法について、図3〜図5を参照して説明する。
先ず、(−di/dt)を自動的に制御するためには、ゲート入力抵抗(RG)を自動制御する必要あるが、これについては既に述べたので繰り返さない。
次に、前記(RG)を可変するためには如何なる手段があるかについて検討する。
その手段の一つとして、Cdsフォトカプラ30を用いることが良く知られている。
図3にCdsフォトカプラ30の内部回路図を、また、Cdsフォトカプラ30のRon−I(LED)特性を示すグラフを図4に示す。
【0064】
図3のCdsフォトカプラ30の内部回路図において、IF1はLED31の陽極端子、IF2はLED31の陰極端子、InはCdsフォトカプラ30の受光セルの入力端子、Outは同じく受光セルの出力端子を示す。
今、Cdsフォトカプラ30のIF1端子−IF2端子間に、I(LED)の電流を流すと、Cds受光セルにはLED31からの光が照射され、光励起されたキャリヤが発生するので、その抵抗値(Ron)が下がる。その関係を示したのが図4である。
なお、図4で横軸は電流I(LED)(mA)、縦軸に抵抗値Ron(Ω)がとってある。
【0065】
図4のグラフから分かるように、(Ron)の値から、実用的な(Ron)の範囲は、I(LED)≧1mAであるが、その一方で、Cdsフォトカプラ30に流せる電流が、推奨値;0.1〜20mA、最大定格;25mAに制限されている。
したがって、単品のCdsフォトカプラ30から得られる最小の(Ron)は、Ron=67Ω、I(LED)=20mA程度である。しかしながら、この程度の(Ron)値では、(di/dt)=200〔A/μs〕の電流上昇率を得ることはできないので、(Ron)値を下げるための対策が明らかに必要となる。
【0066】
そのための対策として、本発明ではCdsフォトカプラ30を、10個、並列接続して使用することとした。このようにして使用する場合、単純に考えれば、Ron≒6.7Ω、I(LED)≒200mAが得られる筈である。しかし、現実には、それぞれのCdsフォトカプラ30に内蔵されたLED31の出力特性のばらつき、また、該Cdsフォトカプラ30の受光特性のばらつき、さらには該Cdsフォトカプラ30の非受光時の(Ron)値のばらつき等があって、結果的にCdsフォトカプラ30を10個、並列接続した場合の(Ron)値は以下のようになった。
Ron(10)≒9.5Ω、I(LED)(10)=200mA
【0067】
上記の数値が現実的に得られる(Ron)値である。また、この程度の(Ron)値であれば、通常のスイッチング素子(Q)、ここではパワーMOS FETの入力容量(CGS≒1500pF/10A)を駆動し、かつ、(di/dt)≒200〔A/μs〕の電流上昇率を得ることも可能である。
【0068】
次に、(VGR)及び(VGS)によるゲート入力抵抗の(RG)値の制御について述べる。
最小の(RG)値を得るために、Cdsフォトカプラ30の最小の(Ron)値を得ることに続いて、今度は比較的小さい(di/dt)値、すなわち、di/dt≒50〔A/μs〕を得る場合であるが、これは基本的には、図4に示されるようにILEDを少なくすること。具体的にはLED31に流れる直流電流の値を制御することによって、より大き目のRG(=Ron)値を得ることが可能である。
そして、I(LED)を少なくするためには、LED31の両端にかかる(VGR)を下げることにより行なう。しかしながら、(RG)が大きくなると、実効的にスイッチング素子(Q)のG・S間にかかる電源電圧(VGS)を下げることになる。したがって、またIF値が下がり、その結果、(−di/dt)値も下がる結果となる。
【0069】
次に、図5を参照して、(−di/dt)値を自動制御する手順を説明する。
図5において、先ず初期値(IF、−di/dt、L、VR)がPCに入力される(ステップ50、51)。ただし、今、ここで入力した(−di/dt)は、自動制御の説明の都合上、より小さい(−di/dt)値を指定したものとする。
すると、(VGR)が自動的に制御され、(RG)をより大きい方に制御される。しかし、これは結果として実効の(VGS)を下げ、(−di/dt)を下げる方向に働く。一方、IFも当然下がる方向になるが、該IFは、(−di/dt)に比べ、あまり変化しない。すなわち、(RG)の変化に対する依存性は、IFよりも(−di/dt)の方が遥かに大きい。
【0070】
しかるに、trr特性測定時の(−di/dt)値は所定の値が維持されなくてはならないので、この分に見合った補正(微増側に)が必要となることが確認された後(ステップ52)、ひとまず、次の(VGS)補正のステップ53に移る。
ここで、(VGS)の補正が必要であることが分かったまま、直ちに該(VGS)を補正(微増側に)してしまうと、IFが大きく変わってしまうので、(VGS)は通常、微調(Fine)モードのため、補正(微増側に)されない。
【0071】
上記の微調(Fine)モードのみの(VGR)の補正(微増側に)が行なわれた結果、(−di/dt)値が更新され、オシロスコープの画面に表示される。この更新された(−di/dt)値がモニタされる。
このモニタされた実際の(−di/dt)値と初期入力値の(−di/dt)値が一致、あるいは指定許容誤差範囲内であれば、(−di/dt)の自動制御を完了し、次の段階に移る(ステップ54)。
しかしながら、上記のVGR補正ステップのみでは、所望の(−di/dt)値の範囲に入らない場合、今度はVGSが補正(微増側に)される。
一方、実際の(−di/dt)値と初期入力値の(−di/dt)値が不一致、あるいは指定許容誤差範囲外の場合には、実際の(−di/dt)値と初期入力値の(−di/dt)値との大・小関係の情報をPC1に帰還させ、該PC1が大・小関係の情報に基づき、補正分に応じた推奨の(VGR)値を再計算し、上記各ステップ50〜ステップ54を繰り返す。
【0072】
しかしながら、(VGS)の補正は、IFを大きく変える可能性がある。この場合は図2のIF自動制御方法の機能が再び働き、上記の各ステップ50〜ステップ54を繰り返した後、新しいt1値が再設定される。その後(VGSの補正が行なわれた後)、再び繰り返しプログラムの内ループに戻り、上記各ステップ50〜ステップ54の(−di/dt)自動制御方法が繰り返され、最終的に(−di/dt)自動制御が完了する。
以上の(−di/dt)値の自動制御ループに関しては、IF自動制御ループにおけるように、外付けのCPU2は、直接関与せず、PC1のみが管理している。しかし、基本的には、(−di/dt)制御とIF制御の制御系は、独立はしているものの、同一のPC1をもって集中管理されているということは変わりがない。
第3の発明は、以上のように、各ステップを通して(−di/dt)値を自動的に制御し得るようにしたので、的確なtrr特性の測定が可能となる。
【0073】
次に、第4の発明を、図6参照して説明する。
第4の発明は、OSC4の画面に表示されたtrr波形からtrr時間内の逆回復電荷量の総量(Qrr)及びttail時間内の逆回復電荷量の総量(Qtail)を計算する算出方法に関するものである。
なお、Qrr全体の総量は、Qrr+Qtailにより計算される。
先ず、従来技術の説明の欄で述べたように、Qrr、Qtailの算出方法については、図19に示すように三角形に分割した近似法によりその面積を求めていた。しかしながらこのような方法では白地領域W1,W2及びW3が除外されてしまうので、実際の値よりも小さくなってしまう。
【0074】
そこで、本発明ではシンプソン則を用いて、trr特性波形の近似した3点をとって数値積分することによりその値を求める方法を採用した。その手順としてはOSC4によるtrr特性波形の各ポイント・データ(I(t);総計500点)をシンプソン・データとした。その従来法による算出結果と本発明法による算出結果を比較して表2に示す。
【表2】
Figure 0004663930
本発明方法によれば、従来法で白地領域W1,W2及びW3(図19参照)について算出されていなかったものをその部分を加えて正確に算出することができ、略trr特性の実測波形に沿った全体のQrrの総量を求めることができる。
なお、表2の誤差の欄に述べたように、従来法と本発明の方法とでは、約10〜15%の差が生じている。
【0075】
また、ソフト・リカバリ素子について、Qtailの最終値(零点)を検出し、数値積分を行なうと、Qtailの部分が時間軸方向にかなり長いので、その結果、Qrr部分のデータ数が減少し、精度が落ちる。したがって、Qtailの部分については、近似式(最小自乗法等)を用いて各ポイント・データ(I(t))に加工を加えた後に、数値積分を行なう方が良い。さらにまた、数値積分を行なう方向は、桁落ち防止の見地から、Qtailの最終値→t0の方向(逆向き)に行なう方が良い。
【0076】
次に、第5の発明である3系統の電源電圧(VR,VGS,VGR)の自動制御方法を説明する。
これらの電源電圧は図1に示したGPIBプログラマ5、例えば、高砂製AP−1228Tを用いて制御することが可能である。また、3電源電圧制御用のプログラムは、所定の書式に沿ってプログラムを作成すれば、正常に動作させることができる。しかし、制御レンジと分解能については特に配慮する必要があり、これを表3に示す。
【表3】
Figure 0004663930
また、各電源間、あるいは電源・GPIBプログラマ5間のノイズ遮断には特別の注意が必要であり、グランドを経由したノイズの伝播を阻止するために、周辺の配線の処理には工夫が大切である。特に、GPIBプログラマ5を誤動作させることが、しばしばあるので特別の注意が必要である。
本発明では、表3の制御レンジと分解能で3系統の電源電圧(VR,VGS,VGR)を自動制御することにより、正確かつ的確なtrr特性の測定が可能となる。
【0077】
次に、第6の発明について説明する。
第6の発明は、逆回復時間特性測定装置に使用されるtrr測定回路内のスイッチング素子(Q)として、定格電流・定格電圧の異なる複数の前記素子を備え、DUTの定格に応じてそれらの素子を切り替えて使用することができる構成とすることである。
先ず、本発明では、(−di/dt)の測定範囲が少なくとも50〜200〔A/μs〕の範囲をカバーすることを目標としているため、自動制御の範囲としては、200〔A/μs〕以上、あるいは50〔A/μs〕以下の(−di/dt)値が達成できなければならない。
【0078】
また、IF=1〜50〔A〕、VRRM=30〜600〔V〕と広い範囲に亘っているため、基本的にはこれらの範囲をカバーするには、それ以上の大きいスイッチング素子(Q)を用いることが必要である。
しかし、一つのスイッチング素子(Q)のみで、すべての範囲をカバーするのは、やはり問題があることが分かった。例えば、比較的電流容量の小さいIFで、かつ、高い(di/dt)≧200〔A/μs〕が求められるDUTである場合に、上記のような大きいスイッチング素子(Q)、例えば、80〔A〕/450〔V〕定格のものを用いることが特に困難になる。
【0079】
上記の困難になる理由は、高い(di/dt)の試験波形を得るためには、スイッチング素子(Q)の速い立上り速度が必要であるが、そのような大きいスイッチング素子(Q)のG・S間の入力容量(Ciss≒1500pF/10A)がかなり大きく、ドライブ回路からの入力容量・充電電流に限りがあって、特にIFをスイッチング素子(Q)の定格電流よりもかなり小さめに絞った低(VGS)電源電圧のドライブ時においては、十分速く立ち上げることができないことに起因している。
【0080】
上記のための対策として、電流容量が比較的小さ目で、かつ、(di/dt)が比較的高めのDUTにおけるtrr特性測定に関しては、小さいスイッチング素子(Q)、例えば、22〔A〕/450〔V〕定格のものを使用することとした。ただし、この場合、スイッチング素子(Q)の外形が異なるため、ワンタッチ式で交換できる工夫が必要である。
例えば、モジュール外形の大きいスイッチング素子(Q)(80〔A〕/450〔V〕定格)と、小さいスイッチング素子(Q)(22〔A〕/450〔V〕定格)との場合が考えられるが、かかる問題を解消するため、図7に示すような構造を考案した。
【0081】
図7は、上記スイッチング素子(Q)の使い分け・取り付け交換を可能とする構造を示す斜視図である。
図において、最初の取り付けは、モジュール外形の大きなスイッチング素子71に合わせておき、小さいスイッチング素子72を用いる場合には、モジュール外形を有し、かつ、同じねじ孔を有するテフロン樹脂等で形成した絶縁性のダミー治具(図示せず)と交換し、ドレイン(D)、ソース(S)主電極となる配線板73,74を、そのダミー治具の固定ねじ孔に取り付ける。
なお、配線板73,74は、板状の比較的広い幅の銅材等によって形成されている。
【0082】
上記の小さいスイッチング素子72の(D)、(S)主電極配線76,77は、この専用ソケット75のピンに半田付けされている。これらの主電極配線76,77の他方の端部には圧着端子78が固定され、この圧着端子78を介して、配線板73,74に予め固定しておく。
【0083】
したがって、大、小いずれにしても一方のスイッチング素子(Q)が用いられている場合には、他方のスイッチング素子(Q)の(D)・(S)主電極はオープンとなっているので、寄生L成分等の影響を与えることがない。ゲート(G)電極に関しては、D、S主電極ほどの配慮は不要であるが、それでもより太目の配線(図示せず)が、モジュール外形の大きな素子71と小さい素子72とに共通して用いることができるように配慮され、結線されている。
【0084】
なお、モジュール外形の大きいスイッチング素子71を外し、ダミー治具に交換して測定治具支持板83にねじ止めした後は、小さいスイッチング素子72を専用ソケット75に深く、確実に差し込むだけでスイッチング素子の交換を容易に行なうことができる。また、図中、DUT79は専用ソケット80に差し込まれ、この専用ソケット80は板状の配線板81,82の下端に取り付けられ、この配線板82の上端は前記モジュール外形の大きな素子71のS主電極端子に接続されている。
一方、配線板81の上端はL字状に折り曲げられ、配線板73,74と同一水平面内に配置されている。
【0085】
さらに、測定治具支持板83には、長方形の切欠穴84が設けてあり、この切欠穴84の直下に不活性溶液を満たした容器85が配置され、図示を省略した操作レバーの操作により測定治具支持板84が一定角度回転し、切欠穴84を通して配線板81,82により吊り下げたDUT79を容器85内に浸漬させる。これらの詳細な説明は、第9の発明において行なう。
また、同時にD主電極配線板73、S主電極配線板74の一端及びL字状に折り曲げた前記配線板81の一端にはそれぞれ接続ピン86,87,88が設けられ、これらのピン86,87,88を介して図16に示したtrr特性測定回路の所定の箇所に接続がなされるように構成されている。
【0086】
次に、第7の発明について説明する。
先ず、本発明においては、IF、IRの電流値が正確にOSC4に表示画面に取り込まれ、再現されていなければならない。しかし、測定した波形がノイズレスの状態で、しかも高周波測定において忠実に再現させることは極めて困難である場合が多い。
例えば、以下の無誘導抵抗による電流検出法において、プローブ(同軸BNCケーブル)の長さ一つとって見ても、電流波形を忠実に再現させることの困難性が分かる。
表4にプローブ長が電流波形に与える影響を調査するための条件を示す。
【表4】
Figure 0004663930
表の上段にプローブ番号、下段にプローブ長(cm)を示し、測定条件は、IF=1A、VR=50V、(−di/dt)=250A/μs、サンプルは、センタ・タップ型の超高速3A、600V定格のFRDを使用した。
【0087】
上記の確認実験を行なった動機は、測定した電流波形に低周波(波形の大きな異常振動)が見られる原因を特定するためである。上記の表4のように、プローブ長を5段階に調整し、比較を行なった。その結果の電流波形を図8及び図9に示す。
図8は、プローブ長▲1▼112cmと▲2▼91cmのものの電流波形を比較して示し、図9は、プローブ長▲4▼63cmと▲5▼32cmのものの電流波形を比較して示した。
これらの図からも明らかなように、プローブ長が▲1▼→▲5▼に移るにしたがって、低周波振動が抑えられていることが分かる。
【0088】
以上の現象から推論すると、電流波形に低周波振動が見られていたのは、プローブ長が長めの場合、該プローブの自己インピーダンスと、OSC4内に内蔵のインピーダンス(通常50Ω)との値のずれが、より大きくなる結果、両者のインピーダンス・マッチングが取れなくなって、反射波が発生し、波形を歪ませるという現象に至ったと考えられる。したがって、本発明においては、可能な限りプローブ長が短いプローブ番号▲5▼、又は▲4▼の用いることを前提とするものである。
【0089】
ところで、プローブをより短いものを用いる場合、更なる新たな問題が生じることが分かった。
すなわち、それはプローブをより短いものを用いると、OSC4と測定治具3との間の距離が十分取れなくなり、操作性が悪くなるという問題である。したがって、無誘導抵抗による電流検出法以外に、別途、何か適切な電流検出法がないかについて検討する必要が生じた。
そこで、別の電流検出方法の候補として挙げられるピアソン(Peason)の電流プローブについての電流検出能力の確認を行なうこととした。
【0090】
ピアソンの電流プローブの長所としては、主配線の周りに発生する渦電流を検知する方式の還流プローブであるため、回路から分離(非接触)されていて、本質的にプローブが持つ寄生のL成分が載らないことである。したがって、上記の無誘導抵抗による電流検出方法のように、プローブ長に対する依存性がなく、本質的にL成分に起因する振動(波形)が少ないという性質を有している。したがって、長いプローブも、問題なく使用できる。その結果、trr特性測定中の操作性に関しては、全く問題がないこととなる。
【0091】
一方、ピアソンの電流プローブの短所としては、回路にプローブのグランド(Gnd)レベルが固定されていないという理由から、特に大電流検出時において、必ず発生するグランドレベルの位置ずれの問題がある。このことは、ソフト・リカバリ特性のDUTにおいて、逆回復電流が漸近的にグランドレベルに向かって最終的に収束する時、交点であるところのゼロクロス点検出を極めて困難にさせてしまう。
【0092】
しかしながら、ハード・リカバリ特性のDUTにおいて、逆回復波形が一旦、グランドレベルをオーバー・シュートした後、グランドレベルを基準レベルにした上下の減衰振動を繰り返した後に、グランドレベルに収束するので、グランドレベルの位置ずれの問題は気にならない。
要は、ピアソン電流プローブの特徴として、本質的に寄生L成分による振動に対しては強い一方で、ソフト・リカバリ波形におけるゼロクロス点検出においては、問題があるということを十分に認識した上でその種の対策を講じることである。
【0093】
本発明は、上記の認識に基づき、無誘導抵抗とピアソン電流プローブとを以下のように使い分け、かつ、併用する方法を採用した。
すなわち、本発明は、オシロスコープ(OSC)表示される順電流(IF)波形及び逆電流(IR)波形を、ノイズを含まず正確に表示させるために、(1)DUTの電流減少率(−di/dt)が高い時(ハード・リカバリ時)には、ピアソン電流プローブを優先して使用し、(2)DUTの(−di/dt)が低い場合(ソフト・リカバリ時)には、無誘導抵抗を優先して使用するようにしたものである。
【0094】
さらに、具体的にその方法を述べると、無誘導抵抗用の配線とBNCコネクタを固定し、ピアソン電流プローブは、やや長めのプローブ付きの状態で最初から無誘導抵抗用の配線に通したままにしておく。
なお、最悪のケースを想定して、やや長めのプローブが付いていたとしても非接触のため、直接電気的な影響はない。
(1)(−di/dt)が高い(ハード・リカバリ時)は、やや長めのプローブ付きのピアソン電流プローブをそのままOSC4のコネクタと連結する。
(2)(−di/dt)が低い(ソフト・リカバリ時)は、ピアソン・モニタ(円形磁束)部のみを残し、やや長めのプローブは付いていても影響はないが、作業上邪魔なので外す。続いて、短い無誘導抵抗電流検出法用のプローブの一方を、上記固定済みBNCコネクタに、他端をOSC側のコネクタに連結する。以上で、無誘導抵抗からピアソン電流プローブ、あるいはピアソン電流プローブから無誘導抵抗への交換作業は終了する。
本発明により、ノイズレスの状態でIF,IRの電流値が正確にOSC4に取り込まれ、再現させることが可能となる。
【0095】
次に、第8の発明について説明する。
本発明は、OSC4に表示される順電流(IF)波形及び逆電流(IR)波形を、高周波ノイズを含まず、さらに正確に表示させるために、DUTに直列にCRスナッバ回路を接続したものである。
本発明においては、上記の第7の発明の説明でも述べたように、IF、IRの電流値を正確にOSC4の表示画面に取り込まれ、再現されていなければならない。
しかしながら、前述の無誘導抵抗及びピアソン電流プローブの使い分けを以ってしても、まだ、OSC4の表示画面上に得られた波形に問題が残る。すなわち、本来忠実に再現されるべき波形に載る高周波と低周波の問題である。
【0096】
この低周波と高周波が載った電流波形を図10に示す。この現象は、特に無誘導抵抗電流検出法を用いて、ハードリカバリなDUTにおいて顕著に見られる。
かかる原因を調査した結果、(1)低周波成分の除去に関しては、前述のプローブ長を最適化(より短く)し、OSC4に内蔵されたインピーダンス(通常50Ω)と、無誘導抵抗用プローブの寄生インピーダンスと(より50Ωに近づけ)マッチングを取ることで、対応できることが分かってきた。
しかし、問題は、(2)高周波成分の除去のための対策である。その対策を検討した結果、CRスナッバ回路が最も有効であるとの結論を得た。図11に、本発明に使用する高周波対策用のノイズ・フィルタ(CRスナッバ)回路を示す。
【0097】
図11中のDUTに直列に接続された無誘導抵抗(RD)の具体的値は、0.1Ωである。これに並列にCRスナッバ回路が挿入されるが、この場合のスナッバ回路用コンデンサ(Cs)の具体的値は、Cs=30nF、また、スナッバ回路用抵抗(Rs)の具体的値は、Rs=47Ωである。
かかる定数を選定した時に、図10に示すようにスナッバ回路を有さないの波形(1)からスナッバ回路を有する波形(2)のように改善されることが分かる。
すなわち、スナッバ回路を有さない波形(1)は、大きな波の振動(低周波)に加え、小さな波の振動(高周波)がかなりあるが、スナッバ回路を有する波形(2)では、それらの両成分がかなり除去・緩和されていることがこの図から了解される。
【0098】
次に、第9の発明について図12及び図13概略構成図を参照して説明する。
本発明の逆回復時間特性測定装置用測定治具12は、台座13の所定の位置に着脱可能に載置したパー・フルオロ・ポリエーテル等の不活性溶液を満たした容器85と、該容器85内の不活性溶液を所定の温度に加熱する加熱源29と、DUTを着脱自在に保持する測定治具支持板83と、該支持板83に保持されたDUTを、前記不活性溶液を満たした容器85内に垂直に降下させて浸漬させ、かつ、前記DUTのtrr特性測定・検査後は該容器85から垂直に引き上げる動作を行なうリンク機構14と、該リンク機構14により前記測定治具支持板83が下降した際に自動的に連結する逆回復時間特性測定回路16(図16参照)とを備えている。
【0099】
本発明においては、パー・フルオロ・ポリエーテル等の不活性溶液の蒸発量を抑え、加熱・温度制御が確実で、しかも、DUTの出し入れをスムーズに行なうことができる開口部寸法、形状、機構等を備えている必要がある。
全体の枠組みは、容器85を載置する台座13と、この台座13に固定された側板15から成る。
上記側板15の上端には上板17が設けられている。この上板17と、台座13間には一対の支柱18が垂設されている。この支柱18には、該支柱18に沿って上下に可動できる基板19が挿通されている。支柱18には、図13に示すようにコイルスプリング20及びとう管21が挿通され、基板19をコイルスプリング20の付勢力により上方に押し上げている。
【0100】
上記の基板19の先端部には、一対のヒンジ22を介して測定治具支持板83が取り付けられている。
測定治具支持板83は、長方形の切欠穴84を有し、この切欠穴84は、図7に示した配線板81,82が通され、この配線板81,82の先端部には、専用ソケット80が固定されている(図13参照)。
上記専用ソケット80は、DUT79が着脱自在に装着できる構造となっている。
また、上記測定治具支持板83は、リンク機構14に結合され、このリンク機構14を介してヒンジ22を支点として一定角度回転できる。
【0101】
上記のリンク機構14は、第1アーム23と第2アーム24とが回り対偶の固定点25を介して連結され、第2アーム24の端部は、両側板15間に横架した回転軸26に固定されている。回転軸26の一端にはレバー27が取り付けられ、このレバー27を、図13において、例えば左回りに回動させれば、回転軸26が回動し、この運動が第2アーム24、第1アーム23を介して測定治具支持板83に伝わり、該支持板83を水平位置まで左回りに回動させる。
【0102】
さらに、レバー27を左回りに回動させると、前記支持板83はヒンジ22の端面と基板19の端面とが衝合し、それ以上回動できないので、該支持板83と基板19とが剛体となって、基板支柱18をコイルスプリング20の付勢力に抗して水平状態を保って下降する。
上記支持板83の側面の運動軌跡を表したのが、図13の太線の矢印である。
すなわち、測定治具支持板83は、レバー27の操作により当初一定角度、例えば、60度回動した後、水平状態で下降し、再びレバー27を元に戻す方向に操作すれば、水平状態で上昇した後、折り曲がり、60度回動した位置で初期位置に復帰する。
なお、上記支持板83の上下動は、コイルスプリング20の付勢力を受けていわゆる遊びを作らないのでスムーズに行なわれる。
【0103】
ここで、注意すべきは、測定治具支持板83に上記のような動きをさせる意義は何かである。
それは、容器85の開口部や内側面に接触されることなく、DUT79を不活性溶液内に垂直に降下して浸漬させ、trr特性の測定後、再び容器85の開口部や内側面に接触されることなく垂直に上昇させて取り出し、かつ、測定済みのDUT79を専用ソケット80から取り外し、次の測定すべきDUT79を装着し易くするためである。
【0104】
すなわち、DUT79を装着する専用ソケット80は、配線板81,82の先端部に取り付けられ、該配線板82の他端は、図7に示すようにその先端部がL字状に折り曲げられ、ソース主電極配線板74と共に、モジュール外形の大きいスイッチング素子71の上面端子に固定されているため、前記支持板83がレバー27の操作で一定角度傾斜すれば、前記支持板83上のスイッチング素子71に固定された配線板82も一定角度傾斜することになる。つまり、配線板82の先端部に専用ソケット80を介して装着されたDUT79が、容器85の不活性溶液から引き上げられ、一定角度傾斜した位置で停止することになる。
この位置で、DUT79の装着・脱着作業を行なうことは、きわめてやり易い。
【0105】
上記測定治具支持板83の水平状態を保って下降する動きは、容器85内にDUT79を垂直に下降させて浸漬させることの他に、もう一つの重要な働きがある。それは、図7に示したドレイン主電極配線板73、ソース主電極配線板74及び配線板81の先端部に設けた接続ピン86,87,88を、図示していない逆回復時間特性測定回路16(図16参照)の所定の箇所と接続するためのコネクタ群に垂直に下降させて確実に結合させる働きである。
【0106】
一方、上記の容器85は、台座13の所定の位置に位置決めして載置されるが、このため、容器85の外周四隅を支持する位置決めパッド28が設けられている。また、位置決めパッド28内には絶縁物を介して面状ヒータ29が設けられている。この面状ヒータ29は図示を省略した電源に接続され、この面状ヒータ29上に、容器85を載せることにより、容器85内の不活性溶液が一定温度、例えば150℃になるまで、同じく図示を省略した温度調整システムを介して加熱される。
【0107】
なお、容器85は、ステンレス製で、例えば100(L)×100(W)×75(H)mmの大きさに形成されている。この容器85に満たされる不活性溶液は、例えばパー・フルオロ・ポリエーテルであり、高い測定温度(125℃〜150℃)ではどうしても蒸発が避けられず、特に開口部の寸法に対して注意が必要である。
因みに、200(L)×300(W)程度の開口部寸法を有する容器では、面積が約6倍にもなるので、不活性溶液の蒸発量が多く、溶液の補充が頻繁となること、また、溶液量が多いために、加熱に長時間要し、別の熱板で予備加熱が必要となる等の不都合がある。
その点、本発明で使用する容器85の開口部寸法は、100(L)×100(W)mm程度であるので、上記のような不都合が発生せず、きわめて適当な大きさに設計されている。
【0108】
上記のように構成の測定治具12を使用することによって、不活性溶液の蒸発量を抑え、加熱・温度制御が確実でき、かつ、DUTの出し入れをスムーズに行なうことができ、作業者の安全性の確保や良好な作業性と共に、正確で効率的なtrr特性測定が可能となる。
【0109】
上記の測定治具12によるDUTの測定波形データは、図1に示したように、OSC4に取り込まれ、PC1に転送される。しかしながら、上記のすべての対策・改善を行なったにも拘らず、(−di/dt)の自動制御時において、本発明によるtrr特性測定装置が異常停止する現象が少なからず発生した。
その原因を調査した結果、OSC4からPC1へ波形データを転送するタイミングのずれ、すなわち、OSC4が測定波形データを未だ取り込んでいないか、あるいは、取り込みが完了していない間に、PC1に波形データを転送する命令が出ていたためであることが分かった。
【0110】
すなわち、転送された波形データに基づいて、PC1は次のステップのプログラム、例えばQrr値の数値積分等を進める訳であるが、データがない場合は、波形取り込み用に確保された配列内は零となっている。また、この値を次のステップに帰還させるので、上記の数値積分ステップ等において、分母が零となってしまっているような割り算を行なう結果、PC1が本来、処理可能な有限の数値、例えば、−1E38〜+1E38の浮動小数点付き実数の範囲内に収まらなくなって、異常停止するような場合が考えられる。
【0111】
第10の発明は、上記の対策として、PC1への転送命令の前に、OSC4に取り込まれた波形データのチェックを行ない、そのチック結果が妥当であることを確認・判定した後に、PC1側に波形データを転送するという制御ソフトの処理方法を採用することである。
その結果、上記のような配列に有限の数値のデータが入っていることを確認した後でなければ、プログラムのステップが次のステップに進まないようになるので、数値積分のステップ等において、分母が零となってしまうような割り算を行なうことは有り得なくなり、trr特性測定装置が異常停止するといった不都合が完全に解消できるようになる利点がある。
【0112】
次に、第11の発明について説明する。
本発明における測定結果の保存・表示方法は、1レコードが複数の項目データで構成されている場合に、各項目データの区切りをカンマ(,)で区切るCSVファイル形式で(−di/dt)、trr1、trr2等の値及びBMP(ビット・マップ)ファイル形式でtrr曲線等の測定・検査結果の表示及び保存を行なうことである。
【0113】
先ず、測定結果を自動計測して保存する際には、何らかのファイル形式が必要である。昨今のPC用OSで扱える表計算ソフトには、例えば「Microsoft Excel」や「三四郎」等があり、広く普及している。
本発明の測定結果を自動計測して保存する際、そのようなソフトとの互換性が取れるファイル形式によって処理を進めることは不可欠である。本発明では、そのような観点から「CSVファイル形式」を採用している。
【0114】
上記のファイル形式を採用することで、測定結果の外部機器間のやり取りをするステップでの処理は勿論、後の測定結果ファイルの加工や保存の処理が、安価な汎用表計算ソフト上で扱える利点があり、一度紙にプリント・アウトしたデータを再入力する手間が省けると共に、再入力時の人為的ミスも回避することができる。その結果、データの利用価値が高くなり、応用範囲が広まる等の波及効果が得られる。
図14に、CSVファイル形式を利用して出力データを整理し、それを保存する表示画面の一例を示す。
【0115】
また、本発明では、OSC4の画面に表示されたtrr特性波形をPC画面上に取り込み、Qrrを求めるための数値積分を行なったり、その後さらに、波形の特定の領域のみを着色したり、補助線や文字を挿入したりして加工している。これらの作業を行なうには、測定データの画像ファイル形式が定められなければならないが、これについても市場に広く浸透している安価な汎用画像処理ソフト上で扱えると便利である。そのような観点から「BMP(ビットマップ)ファイル形式」を採用している。
【0116】
上記のようなBMPファイル形式であれば、例えば「ペイント」という汎用ソフトで処理することができ、非常に便利である。これについてもCSVファイル形式と同様に、結果としてデータの利用価値が高くなったり、応用範囲が広まったりして大変都合が良い。
因みに、図6はBMPファイル形式を利用し、trr特性波形を加工して示した例である。
【0117】
以上の各発明を総合して実施した結果、表5及び図15に示すようなtrr特性測定装置の能力を得ることができた。
【表5】
Figure 0004663930
例えば、(−di/dt)=50〜200A/μsの目標に対して、VR=50Vの電源電圧に対しても、IF≧10Aの領域であれば、確保できていることが分かる。
勿論、VR=100V,200V系においては、同じくIF≧10Aの領域において、(−di/dt)≧500A/μs、600〜900A/μs程度の値を以って、IF及び(−di/dt)値の自動制御が達成されていることが分かる。
【0118】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成したので、概略以下の効果を奏する。
(1)予め設定する各部電源電圧値、電流値、時間、温度、(−di/dt)値の精度を向上させ、測定値の高精度化を図ることができる。
(2)逆回復時間(trr)特性における逆回復電荷量の総量(Qrr)計算の細分化により、正確な(Qrr)値を得ることができる。
(3)IF、VR、(−di/dt)値の任意設定により複数条件での測定が可能となる。
(4)PCによる測定条件の設定、測定等を自動化することができる。
(5)不活性溶液を満たした容器にDUTを浸漬するための安全性が高く、構造がシンプルかつ便利な機構・装置が得られ、その結果、正確なtrr特性の測定ができる。
(6)trr特性測定装置の異常停止が回避できる。
(7)CSVファイル形式及びBMPファイル形式の採用によりデータ処理・保存・加工等が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のtrr特性測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のIF自動制御方法の各ステップを示す図である。
【図3】本発明に用いるCdsフォトカプラの内部回路図である。
【図4】上記CdsフォトカプラのRon・I(LED)特性を示す図である。
【図5】本発明の(−di/dt)値自動制御方法の各ステップを示す図である。
【図6】本発明のQrr算出方法を説明するための図である。
【図7】本発明のスイッチング素子(Q)の使い分け・取り付け交換ができる構造を示す斜視図である。
【図8】本発明の確認段階でのプローブ長と電流波形の関係を示す図である。
【図9】同じく本発明の確認段階での他のプローブ長と電流波形の関係を示す図である。
【図10】本発明の確認段階での低周波と高周波が載った電流波形を示す図である。
【図11】本発明の高周波対策ノイズ・フィルタ回路を示す図である。
【図12】本発明の測定治具の概略構成を示す斜視図である。
【図13】上記測定治具の概略構成を示す側面図である。
【図14】本発明のCSVファイル形式による出力結果表示画面を示す図である。
【図15】本発明によるtrr特性測定におけるIF及び(−di/dt)の自動制御能力を示す図である。
【図16】本発明及び従来のtrr特性測定回路図である。
【図17】本発明及び従来のtrr特性測定における各部の波形を示し、(a)はVGS波形、(b)はIL波形、(c)はIF波形を示す図である。
【図18】上記図17(c)の鎖線丸印の波形を拡大して示した図である。
【図19】従来のQrr算出方法及びtrr特性の処理方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 PC
2 CPU
3 測定治具
4 OSC
5 GPIB
6 スイッチング素子(Q)のG・S間の電源電圧(VGS)
7 主電源電圧(VR)
8 スイッチング素子(Q)のゲート抵抗(RG)の両端に印加される電源電圧
12 測定治具
13 台座
14 リンク機構
15 側板
16 逆回復時間特性測定回路
17 上板
18 支柱
19 基板
20 コイルスプリング
21 とう管
22 ヒンジ
23 第1アーム
24 第2アーム
25 固定点
26 回転軸
27 レバー
28 位置決めパッド
29 面状ヒータ
30 フォトカプラ
31 LED
70 取り付け構造
71 モジュール外形の大きなスイッチング素子
72 小さいスイッチング素子
73 ドレイン主電極配線板
74 ソース主電極配線板
75 専用ソケット
76,77 太目の銅線
78 圧着端子
79 DUT
80 専用ソケット
81,82 配線板
83 測定治具支持板
84 切欠穴
85 容器
86,87,88 接続ピン

Claims (11)

  1. 逆回復時間(trr)特性測定のための各外部構成装置の駆動条件設定及びそれら各外部構成装置の集中管理を行なうパーソナルコンピュータ(PC)と、
    該PCからのパルス幅データ等の測定条件選定信号を送出する外付けの中央演算処理装置(CPU)と、
    該CPUからのパルス幅データ等の測定条件選定信号を受けるMOS FET等のスイッチング素子(Q)及び被試験素子(DUT)を有する測定治具と、
    該測定治具を介して得られた実測波形データが、測定条件データと共に送られ、これを取り込んで画面表示するオシロスコープ(OSC)等の表示装置と、
    前記スイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)間の電源電圧(VGS)の値を所定の値に設定する制御信号、前記trr特性測定のための回路中の主電源電圧(VR)の値を所定の値に設定する制御信号、及び前記スイッチング素子(Q)のゲート抵抗(RG)の両端に印加される電源電圧(VGR)の値を所定の値に設定する制御信号を送出するように、前記PCにより操作されるGPIBプログラマブル・コントローラと、
    を備えたことを特徴とする逆回復時間特性測定装置。
  2. 初期設定値として予め定められた順電流(IF)値、電流減少率(−di/dt)値、誘導負荷(L)値、直流電源電圧(VR)値をパーソナルコンピュータ(PC)に入力するステップと、
    上記各初期設定値の組み合わせに基づき、該PCで、誘導負荷(L)に流れる電流(IL)を、(≒IF)=VR/L・t式から推奨パルス幅値(t1)として計算し、このt1値を外付けの中央演算処理装置(CPU)に送信するステップと、
    前記PCから得た推奨t1値の信号を受け、前記CPUは、これに見合ったパルス幅信号t2をスイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)間に出力させるように制御するステップと、
    上記の各ステップを経て仮決定されたIFがDUT中を流れるので、これを実際のIFとしてモニタするステップと、
    このモニタしたIF値と初期入力値のIF値が一致、あるいは指定許容誤差範囲内であればIFの自動制御を完了するステップと、
    前記モニタしたIF値と初期入力値のIF値が不一致、あるいは指定許容誤差範囲外であれば、該IF値の大・小関係を判別して、その情報を前記PCに帰還し、再度、推奨t1値を再計算し、上記各ステップを順次繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の逆回復時間特性測定装置におけるIF(順電流)の制御方法。
  3. 初期設定値として、予め定められたIF値、(−di/dt)値、L値、VR値をPCに入力するステップと、
    入力された上記初期設定値に基づいてゲート入力抵抗(RG)の両端に印加する電源電圧(VGR)をPCで計算するステップと、
    入力された上記初期設定値に基づいてスイッチング素子(Q)のゲート(G)・ソース(S)間の電源電圧(VGS)をPCで計算するステップと、
    上記電源電圧(VGR)をPCで計算するステップにより得た結果に基づき、(VGR)の補正が行なわれ、かつ、(−di/dt)値が更新され、オシロスコープの画面に表示すると共に、この更新された(−di/dt)値が該オシロスコープ内部で自動計測され、実際の(−di/dt)値がモニタされ、
    実際の(−di/dt)値と初期入力値の(−di/dt)値が一致、あるいは指定許容誤差範囲内であれば、(−di/dt)の自動制御を完了するステップと、
    実際の(−di/dt)値と初期入力値の(−di/dt)値が不一致、あるいは指定許容誤差範囲外の場合には、実際の(−di/dt)値と初期入力値の(−di/dt)値との大・小関係の情報をPCに帰還し、該PCが大・小関係の情報に基づき、補正分に応じた推奨の(VGR)値を再計算し、上記各ステップを繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の逆回復時間特性測定装置における電流減少率(−di/dt)自動制御方法。
  4. オシロスコープに表示された実際のtrr波形と時間軸とで囲まれた領域内の面積を算出するに当たり、微細に細分化された時間(t)での各逆電流値(IR)をポイント・データとし、これをシンプソン・データとしてPCに入力し、上記trr波形上の隣接する3点をとってシンプソン則により上記面積を算出することを特徴とする請求項1に記載の逆回復時間特性測定装置における逆回復時間(trr)決定のための逆回復電荷量(Qrr)の総量算出方法。
  5. 主電源電圧(VR)の制御レンジが0〜500Vの範囲で、かつ、分解能が2.0Vである第1の条件と、
    スイッチング素子(Q)のG・S間電源電圧(VGS)の制御レンジが0〜25Vの範囲で、かつ、分解能が0.025Vである第2の条件と、
    上記スイッチング素子(Q)のゲート入力抵抗(RG)の両端に印加する電源電圧(VGR)の制御レンジが、フォトカプラの電流源を可変制御した場合に、制御レンジが0〜25mAの範囲で、かつ、分解能が0.0005Aである第3の条件とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の逆回復時間特性測定装置における電源電圧自動制御方法。
  6. 逆回復時間特性測定装置に使用されるtrr測定回路内のスイッチング素子(Q)として定格電流・定格電圧の異なる複数の該スイッチング素子(Q)を備え、DUTの定格に応じて該スイッチング素子(Q)を切り替えて使用するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の逆回復時間特性測定装置。
  7. オシロスコープ(OSC)表示される順電流(IF)波形及び逆電流(IR)波形を、ノイズを含まず正確に表示させるために、DUTの電流減少率(−di/dt)が高い時(ハード・リカバリ時)には、ピアソン電流プローブを優先して使用し、DUTの(−di/dt)が低い場合(ソフト・リカバリ時)には、無誘導抵抗を優先して使用するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の逆回復時間特性測定装置。
  8. オシロスコープ(OSC)表示される順電流(IF)波形及び逆電流(IR)波形を、高周波ノイズを含まず正確に表示させるために、DUTに直列にCRスナッバ回路を接続したことを特徴とする請求項1に記載の逆回復時間特性測定装置。
  9. 測定治具が、台座の所定の位置に着脱可能に載置したパー・フルオロ・ポリエーテル等の不活性溶液を満たした容器と、該容器内の不活性溶液を所定の温度に加熱する加熱源と、DUTを着脱自在に保持する測定治具支持板と、該支持板に保持されたDUTを、前記不活性溶液を満たした容器内に垂直に降下させて浸漬させ、かつ、前記DUTのtrr特性測定・検査後は該容器から垂直に引き上げる動作を行なうリンク機構と、該リンク機構により前記測定治具支持板が下降した際に自動的に連結する逆回復時間特性測定回路とを備えたことを特徴する請求項1に記載の逆回復時間特性測定装置。
  10. 測定治具を介して得られたDUTの実測波形データをオシロスコープ(OSC)に取り込み、PCへ該波形データを転送する際に、予め前記OSCに取り込まれた波形データのチェックを行ない、該チェック結果が有限の数値データを含む場合にのみ、前記PC側に波形データを転送するようにすることを特徴とする請求項1に記載の逆回復時間特性測定装置。
  11. 1レコードが複数の項目データで構成されている場合に、各項目データの区切りをカンマ(,)で区切るCSVファイル形式で(−di/dt)、trr1、trr2等の値及びBMP(ビット・マップ)ファイル形式でtrr波形等の測定・検査結果の表示及び保存を行なうことを特徴とする請求項1に記載の逆回復時間特性測定装置における測定結果の保存・表示方法。
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