JP4662357B2 - 光学フィルムシートの切断方法、および光学フィルムシートの切断装置 - Google Patents
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Description
これらヒゲ、クラック等は、光学フィルムの光学特性を低下させる問題を有している。
前記上円形刃物の刃先と前記下円形刃物の刃先とを、上円形刃物回転軸と下円形刃物回転軸とを結ぶ仮想線よりも該光学フィルムシートの移動方向上流側の一点で当接させ、
前記下円形刃物を該光学フィルムシートの移動方向に対して平行とし、前記上円形刃物を該光学フィルムシートの移動方向に対して角度(α)を0.2°≦α≦0.8°となるように配置し、前記上円形刃物と前記下円形刃物とは、それぞれ先端部が先鋭となるべく、傾斜するように研磨された研磨面と、先端部が非研磨とされた非研磨面とを有し、前記上円形刃物と前記下円形刃物とを上下方向視、前記上円形刃物の非研磨面と前記下円形刃物の非研磨面とを対向するよう配し、且つ対をなす前記上円形刃物と前記下円形刃物との組を間隔を空けて少なくとも2組用いて、しかも一方の組の下円形刃物と他方の組の下円形刃物とが互いに非研磨面同士が対向するように配して各組でそれぞれ光学フィルムシートの幅方向端部を切断することを特徴とする光学フィルムシートの切断方法を提供する。
かかる方法によれば、上円形刃物の刃先と下円形刃物の刃先とを、上円形刃物回転軸と下円形刃物回転軸とを結ぶ仮想線よりも該光学フィルムシートの移動方向上流側の一点で当接させ、前記上円形刃物或いは前記下円形刃物の何れか一方を該光学フィルムシートの移動方向に対して平行とし、他方を該光学フィルムシートの移動方向に対して角度(α)を0°<α≦0.8°となるように配置して切断することで、ヒゲ、クラック及び切粉等の発生を抑制できる。
尚、光学フィルムシートの移動方向上流側とは、未切断の光学フィルムシートが進んでくる側をいう。
かかる方法によれば、光学フィルムシートの幅方向両端部切断面の形状のバラツキを防止できる。
かかる構成であれば、ヒゲ、クラック及び切粉等の発生が抑制される。
かかる構成であれば、光学フィルムシートの幅方向両端部切断面の形状のバラツキが防止される。
また、本発明に係る光学フィルムシートの切断方法は、切断部分の形状が良好であるため切断部分付近まで光学フィルムとして利用でき生産性を高めることができる。
まず、第1実施形態の光学フィルムシートの切断方法を用いる切断装置の概要について説明する。
該切断装置は、対をなす上円形刃物と下円形刃物とを有し、光学フィルムシートを前記上円形刃物と前記下円形刃物との間で移動させることにより、該光学フィルムシートの切断を行う光学フィルムシートの切断装置であって、前記上円形刃物と前記下円形刃物とは、互いの刃先が、上円形刃物回転軸と下円形刃物回転軸とを結ぶ仮想線よりも該光学フィルムシートの移動方向上流側の一点で当接し、且つ前記下円形刃物が該光学フィルムシートの移動方向に対して平行、前記上円形刃物が該光学フィルムシートの移動方向に対して角度(α)をなすように配置されているものである。
また、図2は、第1実施形態の上円形刃物と下円形刃物とからなる一対の円形刃物の正面図である。
図1及び図2に示すように第1実施形態の光学フィルムシートの切断装置は、光学フィルムシート100の表裏にそれぞれ配置された上円形刃物10と下円形刃物11と、該光学フィルムシート100を所定の速度で移動させる搬送手段200とを備えて構成されている。
上円形刃物10と下円形刃物11とで一対の円形刃物が形成されている。
前記上円形刃物10は、刃台2に回転軸20により回転可能に支持されている。
また、前記下円形刃物11は、刃台3に回転軸21により回転可能に支持されている。
前記上円形刃物10或いは前記下円形刃物11の何れか一方の刃先は、断面から見て両側面が研磨された山型状のもの或いは片側面だけが研磨されたものであることが好ましい。
前記刃先の角度は、30°〜40°が好ましい。
刃先の角度が30°未満では、刃先が欠けやすく、耐久性に劣るため切断面に悪影響を与える虞がある。
また、刃先の角度が40°を超えると、ヒゲやクラックが発生しやすくなる虞がある。
具体的には、鉄、鉄合金、工具鋼、ステンレス鋼等が好ましい。また、それらの材料に窒化チタン、炭化チタン、炭化タングステン等の表面処理をしている刃物が好ましい。
該円形刃物の直径は、5〜20cmの大きさが好ましい。
尚、ロール等は、滑りが生じないようにするため、滑り止め(例えば、シリコンゴム)等の材質により構成されていることが好ましい。
図3(A)〜(C)は、光学フィルムシートの切断装置を横方向から見た模式図である。
図3(A)に示すように上円形刃物10と下円形刃物11とは、光学フィルムシート100を挟んで対向している。
前記上円形刃物10の刃先と下円形刃物11の刃先とが当接している部分は、前記光学フィルムシート面と略一致している。
尚、図中の矢印は、光学フィルムシート100の移動方向を示している。
前記角度aが、2°を超えるとヒゲやクラックが発生しやすくなる虞がある。
前記角度bが、2°を超えるとヒゲやクラックが発生しやすくなる虞がある。
尚、光学フィルムシート100の移動方向下流側とは、切断後の光学フィルムシートが進んでくる側をいう。
他方の円形刃物は、光学フィルムシート100の移動方向に対して所定の角度(α)をなして配置されている。
前記角度(α)が、0°<α≦0.8°であれば、上円形刃物10と下円形刃物11とは光学フィルムシート100の移動方向上流側の一点で非常に鋭角状に当接しており、光学フィルムシート100を容易に切断できる。
該角度が、0.8°を超えると鋭角状に当接している刃先が欠けたり或いは当接している一方の刃先が他方の刃先を乗り越える虞がある。
図5に示すように第2実施形態の光学フィルムシートの切断装置は、上円形刃物50と下円形刃物51とが、それぞれ先端部が先鋭となるべく、傾斜するように研磨された研磨面60と、先端部が非研磨とされた非研磨面61とを有するものであり、且つ前記上円形刃物50と前記下円形刃物51とを上下方向視、前記上円形刃物50の非研磨面61と前記下円形刃物51の非研磨面61とが対向するよう配されてなり、且つ対をなす前記上円形刃物50と前記下円形刃物51との組を光学フィルムシートの幅方向両端部を切断するように、間隔を空けて2組有し、しかも一方の組の下円形刃物51と他方の組の下円形刃物51とは互いに非研磨面61同士が対向するように配されてなるものである。
前記上円形刃物50及び前記下円形刃物51の前記非研磨面61は、略全面にわたり略平坦な面を有する。尚、研磨面60を形成する際、先端部が若干非研磨面側に反る反り部分があり、その際には該反り部分を除くための処理(先端部の微小研磨等)がされている場合がある。
研磨された刃先の角度としては、前記第1実施形態の場合と同様である。
また、円形刃物の素材や円形刃物の直径等も前記第1実施形態と同様である。
図5に示すように各々の上円形刃物50と各々の下円形刃物51とは、光学フィルムシート100を挟んで前記上円形刃物50の非研磨面61と前記下円形刃物51の非研磨面61とが対向するよう配されてなる。
また、一方の組の下円形刃物51と他方の組の下円形刃物51とは互いに非研磨面61同士が対向するように配されてなる。
かかる構成とすることで、光学フィルムシートの両端部を切断する際に各切断面の形状をほぼ同一にでき、形状のバラツキを防止できる。そのため、その後の前記切断面の研磨工程における精度が維持でき、寸法精度の高いフィルムを得ることができる。
尚、切断されたフィルムシートの切断面の形状は、一方の組の下円形刃物と他方の組の下円形刃物とが互いの非研磨面同士が対向する配置(例えば、図5)にした方が、図6に示す配置よりも比較的切断面の寸法精度が高く、端面に凹凸の少ない、高精度な切断面が得られるため、好ましい。
光学フィルムシート100を搬送手段200(例えば、ローラ等)によって移動させる。 該光学フィルムシート100を移動させることで、例えば、回転可能に支持されている上円形刃物10が回転を始める。前記上円形刃物10が回転を始めると下円形刃物11は、上円形刃物10の刃先から回転する力を得て前記上円形刃物10とは反対方向に回転する。
また、該光学フィルムシート100を移動させることで、例えば、上記とは反対にまず回転可能に支持されている下円形刃物11が回転を始める。前記下円形刃物11が回転を始めると上円形刃物10は、前記下円形刃物11の刃先から回転する力を得て前記下円形刃物11とは反対方向に回転する。
前記回転機構は、例えば、上円形刃物10を支持している刃台2に電動モータ等を取付け、該電動モータで上円形刃物10を回転させるものである。
上円形刃物10を回転させる速度は、光学フィルムシート100を移動させる搬送手段200と同等の速度、或いは1〜10%程度速く設定することが好ましい。
尚、前記回転機構は、上円形刃物10、下円形刃物11の何れか一方、或いはこれら両者に設けることも可能である。
このように切断装置を構成することで各辺の切り口がきれいでヒゲやクラックのない所定の大きさの光学フィルムを得ることができる。
前記第2実施形態の切断法は、前記第1実施形態の切断方法と比べて片側面だけがそれぞれ研磨された上円形刃物と下円形刃物とが対となる組を2組用いている点が相違し、他の点については前記第1実施形態の切断方法と同様である。
かかる方法を用いることで、光学フィルムシート両端部の切断を一度に処理できる。また、切断した切断面の形状のバラツキを防止でき、その後の該切断面の研磨加工の際の精度が向上する。
具体的には、液晶層、ハードコート層、防眩層、輝度向上フィルムシート、直線偏光フィルムシート、位相差フィルムシート、直線偏光フィルムシートと位相差フィルムシートとが積層された楕円偏光フィルムシートや円偏光フィルムシート等の10〜500μm程度の樹脂フィルムシート、更にはこれらの積層物を挙げることができる。
直線偏光フィルムシートの厚みは、通常100〜300μm程度である。
楕円偏光フィルムシートや円偏光フィルムシートの厚みは、通常200〜350μm程度である。
該光学フィルムシートの幅が2m以上あっても、本発明の切断方法を使用する装置を複数台設けることで所定の大きさに切断でき、生産効率が向上する。
本発明の切断方法で切断された光学フィルムは、ヒゲ、クラック等の発生がほとんどなく、切断部分付近の粘着剤等のはみ出しもないため、全面を画像表示装置に用いることができる。
寸法精度は、切断した光学フィルムシート10枚の縦及び横の寸法を測定し、計20箇所の測定結果から標準偏差により求めた。
クラックは、目視にて、切断した光学フィルムシート端部の欠け又は剥離の程度を確認した。尚、剥がれがない場合には○、微細な剥がれがある場合には△、剥がれがある場合には×で評価を行った。
ブロッキングは、目視にて、粘着剤のはみ出しを確認した。
尚、粘着剤のはみ出しがない場合には○、微小な粘着剤のはみ出しがある場合には△、粘着剤のはみ出しがある場合には×で評価した。
糊欠けは、目視にて切断面における粘着剤の欠けを確認した。
尚、粘着剤の欠けがない場合には○、微小な粘着剤の欠けがある場合には△、粘着剤が欠けている場合には×で評価した。
ヒゲは、目視にて、切断面のフィルムのヒゲ状のカスを確認した。
尚、ヒゲを確認できない場合には○、微小なヒゲを確認した場合には△、ヒゲを確認した場合には×と評価した。
切粉は、目視にて、光学フィルムシートへの切りカスの付着を確認した。
尚、切りカスを確認できなかった場合には○、微小な切りカスを確認した場合には△、切りカスを確認した場合には×で評価した。
上円形刃物(SKD−9:直径100mm、厚み2mm、片刃、刃先の角度30°)を光学フィルムシートの移動方向に対して平行に配置し、下円形刃物(SKD−9:直径100mm、厚み2mm、片刃、刃先の角度30°)を該光学フィルムシートの移動方向に対して0.5°の角度を設けて配置した一対の円形刃物を用いて切断試験を行った。
光学フィルムシート(偏光子フィルムの両面にポリビニルアルコール(PVA)系接着剤を用いてトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを貼り合わせた偏光フィルムシートの片面側にアクリル系粘着剤を塗布し、該アクリル系粘着剤の上に離型処理を施したポリカーボネートフィルムを貼り合わせたもの、厚さ300μm)を速度30m/minで移動させて移動方向と平行になるように切断を行った。
次いで、上記で切断した光学フィルムシートを移動方向に垂直となるように、他の一対の円形刃物を移動させて定尺(17インチサイズ)切断を行った。
その結果を表1に示した。
光学フィルムシートの移動方向に対して0.2°の角度を設けて配置した一対の円形刃物を用いて参考例1と同様の切断試験を行った。
その結果を表1に示した。
光学フィルムシートの移動方向に対して0.8°の角度を設けて配置した一対の円形刃物を用いて参考例1と同様の切断試験を行った。
その結果を表1に示した。
円形刃物(SKD−9:直径110mm、厚み0.8mm、片刃、刃先の角度30°)と皿刃(SKD−11:直径80mm、厚み11mm)を平行に設置し、参考例1と同様の切断試験を行った。
その結果を表1に示した。
参考例1と同様の光学フィルムシートを用いて、トムソン刃型を用いて打ち抜き後、打ち抜いた光学フィルムの切断面の研磨(従来、公知の切削加工方法で、例えば、特開2004−148419号公報を参照)を行った。
その結果を表1に示した。
参考例1と同様の光学フィルムシートを用いて、トムソン刃型を用いて切断を行った。
その結果を表1に示した。
光学フィルムシートの移動方向に対して1.5°の角度を設けて配置した一対の円形刃物を用いて参考例1と同様の切断試験を行った。
この場合、該光学フィルムシートを切断することはできなかった。
光学フィルムシートの移動方向に対して0°の角度を設けて配置した一対の円形刃物を用いて参考例1と同様の切断試験を行った。
その結果を表1に示した。
10、50 上円形刃物
11、51 下円形刃物
20、21 回転軸
30 仮想線
60 研磨面
61 非研磨面
100 光学フィルムシート
α、a、b 角度
Claims (8)
- 光学フィルムシートを上円形刃物と下円形刃物との間で移動させることにより、該光学フィルムシートの切断を行う光学フィルムシートの切断方法であって、
前記上円形刃物の刃先と前記下円形刃物の刃先とを、上円形刃物回転軸と下円形刃物回転軸とを結ぶ仮想線よりも該光学フィルムシートの移動方向上流側の一点で当接させ、
前記下円形刃物を該光学フィルムシートの移動方向に対して平行とし、
前記上円形刃物を該光学フィルムシートの移動方向に対して角度(α)を0.2°≦α≦0.8°となるように配置し、
前記上円形刃物と前記下円形刃物とは、それぞれ先端部が先鋭となるべく、傾斜するように研磨された研磨面と、先端部が非研磨とされた非研磨面とを有し、
前記上円形刃物と前記下円形刃物とを上下方向視、前記上円形刃物の非研磨面と前記下円形刃物の非研磨面とを対向するよう配し、且つ対をなす前記上円形刃物と前記下円形刃物との組を間隔を空けて少なくとも2組用いて、しかも一方の組の下円形刃物と他方の組の下円形刃物とが互いに非研磨面同士が対向するように配して各組でそれぞれ光学フィルムシートの幅方向端部を切断することを特徴とする光学フィルムシートの切断方法。 - 前記下円形刃物を、前記上円形刃物に対して、光学フィルムシートの移動方向の上流側または下流側に配置する請求項1に記載の光学フィルムシートの切断方法。
- 前記上円形刃物および前記下円形刃物の刃先の角度が30°〜40°である請求項1又は請求項2に記載の光学フィルムシートの切断方法。
- 前記光学フィルムシートが、少なくとも2層以上の積層体である請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光学フィルムシートの切断方法。
- 前記光学フィルムシートが、少なくとも偏光フィルムシートと粘着剤層との積層体である請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の光学フィルムシートの切断方法。
- 対をなす上円形刃物と下円形刃物とを有し、光学フィルムシートを前記上円形刃物と前記下円形刃物との間で移動させることにより、該光学フィルムシートの切断を行う光学フィルムシートの切断装置であって、
前記上円形刃物と前記下円形刃物とは、互いの刃先が、上円形刃物回転軸と下円形刃物回転軸とを結ぶ仮想線よりも該光学フィルムシートの移動方向上流側の一点で当接し、
且つ前記下円形刃物が該光学フィルムシートの移動方向に対して平行、
前記上円形刃物が該光学フィルムシートの移動方向に対して角度(α)を0.2°≦α≦0.8°となるように配置されており、
前記上円形刃物と前記下円形刃物とは、それぞれ先端部が先鋭となるべく、傾斜するように研磨された研磨面と、先端部が非研磨とされた非研磨面とを有し、
前記上円形刃物と前記下円形刃物とを上下方向視、前記上円形刃物の非研磨面と前記下円形刃物の非研磨面とが対向するよう配されてなり、且つ対をなす前記上円形刃物と前記下円形刃物との組を光学フィルムシートの幅方向両端部を切断するように、間隔を空けて少なくとも2組有し、しかも一方の組の下円形刃物と他方の組の下円形刃物とは互いに非研磨面同士が対向するように配されてなることを特徴とする光学フィルムシートの切断装置。 - 前記下円形刃物が、前記上円形刃物に対して、光学フィルムシートの移動方向の上流側または下流側に配置されている請求項6に記載の光学フィルムシートの切断装置。
- 前記上円形刃物および前記下円形刃物の刃先の角度が30°〜40°である請求項6又は請求項7に記載の光学フィルムシートの切断装置。
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