JP4660945B2 - 絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁鋼板にクロムを実質的に含有しない酸性の水系塗液を塗布焼付して絶縁被膜を形成する、絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法であって、外観に優れ、かつ、歪み取り焼鈍をすることができる電磁鋼板を得ることができる電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
モータ、変圧器等に使用される電磁鋼板の絶縁被膜には、層間抵抗だけでなく、加工成形時および保管時の利便さの観点から、種々の特性が要求される。また、電磁鋼板には、磁気特性を向上させるため、打抜加工後に歪取り焼鈍が行われる場合が多く、この場合には歪取り焼鈍の温度(一般には、750〜850℃程度)に耐えられるものである必要がある。このように、電磁鋼板は多様な用途に用いられるため、用途に応じて種々の絶縁被膜を有する電磁鋼板の開発が行われている。
【0003】
絶縁被膜は、(1)溶接性、耐熱性を重視し、歪取り焼鈍に耐えられる無機質被膜、(2)打抜性、溶接性の両立を目指し歪取り焼鈍に耐えられる、樹脂を含有する半有機質被膜、(3)特殊用途に用いられ、歪取り焼鈍をすることができない有機質被膜の3種に大別される。このうち、汎用品として歪取り焼純に耐えられるのは(1)および(2)の無機質を含む被膜であり、特に、(2)の半有機質被膜である、有機樹脂を含有するクロム酸塩系絶縁被膜は、1コート1ベークの製造で、(1)の無機系絶縁被膜と比べて打抜性を格段に向上させることができるので、広く利用されている。
例えば、特公昭60−36476号公報には、少なくとも1種の2価金属を含む重クロム酸塩系水溶液に、該水溶液中のCrO3 100重量部に対し有機樹脂として酢酸ビニル/ベオバ比が90/10〜40/60の比率になる樹脂エマルションを樹脂固形分で5〜120重量部および有機還元剤を10〜60重量部の割合で配合した処理液を生地鉄板の表面に塗布し、常法による焼き付け工程を経て被膜を得ることを特徴とする電磁鋼板の絶縁被膜形成法が記載されている。
【0004】
これに対し、昨今においては、環境意識が高まる傾向にあり、電磁鋼板の製造工程または需要家においてクロム化合物がより少ない絶縁被膜またはクロム化合物を全く含まない絶縁被膜が望まれてきている。例えば、クロム化合物を含まず、打ち抜き性が良好な絶縁被膜として、樹脂およびシリカを含有するものが提案されている(特開平10−34812号公報等)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このクロム化合物を実質的に含有しない水系塗液、例えば、樹脂および無機コロイドを成分とする水系塗液を電磁鋼板に塗布焼付した場合、水系塗液が酸性であると、鋼板のFe成分が溶出して不透明な被膜部分が発生し、外観および被膜状態が劣ったものになることがあるという問題があった。特に、被膜厚みが薄い絶縁被膜を得る場合に、問題となることが多かった。一方で、水系塗液に含有される樹脂や無機物質の性質から、酸性の水系塗液を使用することに対する要望は多い。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたものである。即ち、本発明は、クロム化合物を実質的に含有しない、樹脂および無機コロイドを成分とする酸性の水系塗液を電磁鋼板に塗布焼付し薄膜の絶縁被膜を形成させた場合においても、Feの溶出が抑制され外観および被膜状態が良好なものとなる、絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、塗液がクロム化合物を含有する場合には、塗液が酸性であってもクロムが不動態皮膜を生成するためFe溶出が起こりにくいが、塗液がクロム化合物を実質的に含有しない場合には、そのような効果がないためFe溶出が起こるのだと考えた。また、電磁鋼板の場合は、通常の表面処理鋼板のように防錆のためのメッキ等が施されないため、Fe溶出を抑えて良好な被膜を得ることは難しい。そして、上記問題は、被膜厚みが薄い絶縁被膜を得る場合において、塗布から焼付までの時間が長いときや、製鉄所で汎用されているコークスガスを燃料として直火で塗布焼付するときなどに、特に顕著となることが分かった。
【0008】
更に、本発明者は、酸性の水系塗液を用いて被膜厚みが薄い絶縁被膜を得る場合に生じる上記問題を解決すべく、鋭意研究した。その結果、装置上の都合等のため、塗布から焼付までの時間が長いときには、塗液と鋼板との反応時間が長くなり酸化が進みやすいこと、および、コークスガス焼付した場合には、コークスガスを燃焼したときに発生するSO2 ガス等により酸化が進みやすいことを見出した。そして、本発明者は、これらの二つの酸化機構においては、本質的には同等のことが起きていると考えた。即ち、絶縁被膜が薄い場合には塗液中の酸素のやり取りが多く、酸化反応がより進みやすくなっているものと考えた。
そして、本発明者は、水系塗液の固形分濃度を特定範囲とすることにより、上記酸化反応を抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、電磁鋼板に樹脂および無機成分を含有するpH2〜7の水系塗液を塗布焼付し、被膜焼付量が2g/m2 以下でありクロム含有量が0〜1質量%である絶縁被膜を形成する、絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法であって、該水系塗液の固形分濃度が10〜30質量%であることを特徴とする絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法を提供する。
【0010】
前記水系塗液が、pH3〜6であるのが好ましい。
【0011】
前記樹脂が水性樹脂として供給されるのが好ましく、また、前記無機成分が無機コロイドとして供給されるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においては、出発素材として電磁鋼板(電気鉄板)が用いられる。本発明に用いられる電磁鋼板は、特に限定されない。
【0013】
本発明に用いられる水系塗液は、樹脂および無機物質を含有し、かつ、pH2〜7である。
【0014】
本発明に用いられる水系塗液は、溶媒として水を含有する塗液である。したがって、水以外に他の溶媒を含有していてもよい。
本発明に用いられる水系塗液の態様は、特に限定されず、例えば、エマルション(乳濁液)、ディスパージョン、水溶液が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる水系塗液に含有される樹脂は、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。樹脂は、ガラス転移点が30〜150℃であるものが好ましい。
樹脂は、塗液の分散性の点から、水性樹脂で供給されるのが好ましい。水性樹脂は、エマルション、ディスパージョン、水溶性の形態をとることができる。粒子の形状、粒子径、乳化剤、保護コロイド、電荷等は、特に限定されず、樹脂および用途に応じて、選択することができる。
【0016】
また、本発明に用いられる水系塗液に含有される無機成分は、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化アンチモンが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機成分は、無機コロイドとして水系塗液に供給されるのが好ましい。例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、酸化チタンゾルが挙げられる。
【0017】
上述した無機成分の中でも、シリカが好ましい。特に、酸性の水系塗液中でのコロイド安定性に優れる点で、アルミナ処理シリカ(シリカ表面にアルミナをコーティングしたもの)および/またはアルミナ含有シリカが好ましい。
【0018】
なお、本発明に用いられる水系塗液は、後述するようにクロム含有量が0〜1質量%である絶縁被膜を形成するために用いられるので、クロム化合物を実質的に含有しないものである。
また、本発明に用いられる水系塗液は、被膜の性能を一層向上させるなどのために、防錆剤等の添加剤を含有することができる。添加剤を含有する場合、歪取り焼鈍後の性能を確保するために、塗液中の無機物質の合計量が、塗液中の固形分100質量部に対し、3〜300質量部であるのが好ましい。
【0019】
本発明に用いられる水系塗液は、pH2以上であり、かつ、pH7以下である。上記範囲において、上述した鋼板のFe成分が溶出し、外観および被膜状態が劣るという問題が生じるからである。また、この問題は、水系塗液がpH6以下の場合に起こりやすいので、本発明は、水系塗液がpH6以下である場合に好適に用いられる。水系塗液がpH3以上であると、分散性が特に優れたものとなるので好ましい。
【0020】
本発明においては、本発明に用いられる水系塗液が、固形分濃度が10〜30質量%であることを特徴とする。ここで、「固形分濃度」とは、塗液から水、有機溶媒等の塗布焼付時に揮発する成分を除いたものの質量の塗液全体の質量に対する割合である。
水系塗液の固形分濃度が10質量%以上であると、Feの溶出を抑制することができ、外観および被膜状態に優れた絶縁被膜が得られ、しかも焼付後の被膜厚みの均一性もさほど劣化しない。
一方、水系塗液の固形分濃度が高すぎると、粘性が増加して泡立ちやすくなったり、沈殿が生じやすくなったりするという問題があり、また、外観および被膜状態、ならびに、焼付後の被膜厚みの均一性も劣化する。水系塗液の固形分濃度が30質量%以下であると、このような問題が生じない。
【0021】
本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法においては、電磁鋼板に上述したような水系塗液を塗布焼付し、被膜焼付量が2g/m2 以下でありクロム含有量が0〜1質量%である絶縁被膜を形成する。
【0022】
本発明においては、塗布焼付の前に、鋼板に対して前処理を行うことができる。鋼板に対する前処理は行ってもよく、行わなくてもよい。鋼板に対する前処理は、特に限定されず、例えば、アルカリ等を用いた脱脂処理;塩酸、硫酸、リン酸等を用いた酸洗処理が好適に挙げられる。
【0023】
未処理の鋼板、または、上述したような前処理を行った鋼板に対して、塗布焼付を行う。
本発明において、塗布焼付の方法は特に限定されず、工業的に一般に用いられる塗布方法および焼付方法を用いることができる。塗布方法は、例えば、ロールコーター法、フローコーター法、スプレー法、ナイフコーター法が挙げられる。焼付方法は、例えば、熱風式、赤外式、誘導加熱式の焼付方法が挙げられる。
【0024】
本発明においては、被膜焼付量は2g/m2 以下である。被膜焼付量が2g/m2 以下となる程度に被膜厚みが薄い場合に、Fe溶出により外観および被膜状態が悪くなりやすいからである。また、被膜焼付量が2g/m2 を超えると、被膜の密着性が低下し、また、高温乾燥時にふくれが発生するなど塗装性が低下する場合がある。被膜焼付量は、1.8g/m2 以下であるのが好ましい。
また、被膜焼付量は0.05g/m2 以上であるのが好ましい。付着量が0.05g/m2 未満であると、被膜厚みが不均一になって地鉄が露出しやすく、スティッキング性および沸騰水蒸気曝露性が不足する場合がある。被膜焼付量は、0.1g/m2 以上であるのがより好ましい。
【0025】
本発明により得られる絶縁被膜は、クロム含有量が0〜1質量%である。ここで、「クロム含有量」は、絶縁被膜中に含まれる六価クロム化合物のCr換算での絶縁被膜全体に対する質量比である。
クロム含有量が多い場合には、Fe溶出により外観および被膜状態が劣ったものになるという問題がないが、クロム含有量が多すぎると、電磁鋼板の製造工程等において環境に対する負荷が多くなる。本発明は、実質的にクロム化合物を含有しない絶縁被膜、即ち、クロム化合物を全く含有しないか、または、クロム化合物をわずかに含有するかのいずれかの絶縁被膜を製造する場合におけるFe溶出により生じる外観および被膜状態の問題を解決すべくなされたものであり、クロム含有量を上記範囲とした。したがって、本発明においては、絶縁被膜におけるクロムは、任意成分であり、全く含有していなくてもよく、1質量%以下の濃度で含有していてもよい。
【0026】
本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法によれば、得られる絶縁被膜の外観および被膜状態が優れたものとなる。
上述したように、クロム化合物を実質的に含有しない酸性の水系塗液を電磁鋼板に塗布焼付し、被膜厚みが薄い絶縁被膜を得ようとする場合、鋼板のFe成分が溶出して不透明な被膜部分が発生し、外観および被膜状態が劣ったものになることがあるという問題があった。特に、塗布から焼付までの時間が長いとき、および、コークスガス直火で焼き付けたときにこの問題は顕著であった。これは、クロム化合物を実質的に含有しない酸性の水系塗液においては、クロムの不動態効果が発揮されないため、鋼板のFeが溶出しやすいからである。
【0027】
従来、被膜厚み2g/m2 以下程度の薄い絶縁被膜を塗布焼付する場合には、塗布ロール等と鋼板との接触焼付きを防ぎ、被膜厚みの均一性を確保するため、塗液の固形分濃度を数質量%程度にしていた。
本発明者は、Feの溶出反応を抑制する方法を鋭意研究した結果、意外にも水系塗液の固形分濃度がFe溶出反応に及ぼす影響が甚大であることを知見し、本発明に至ったのである。即ち、本発明においては、水系塗液の固形分濃度を10質量%以上にすることにより、Feの溶出を抑制し、外観および被膜状態を優れたものとし、更に、焼付後の被膜厚みの均一性も確保したのである。
本発明において、固形分濃度が10質量%以上の水系塗液を用いた場合にFeの溶出が抑制されるメカニズムは、Fe溶出反応、即ち、錆の発生に必要な水分量が少なくなるためと考えられる。逆に、固形分濃度が低く水分量が多い場合は、水と接触している時間、即ち、水との反応時間が長くなるため、Fe溶出反応自体が速く進行するのだと考えられる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
1.絶縁被膜付き電磁鋼板の製造
(実施例1)
板厚0.5mm、幅150mm、長さ300mmの電磁鋼板をアルカリ脱脂した後、第1表に記載のエポキシ樹脂およびコロイダルシリカ(アルミナ処理シリカ)を含有する、固形分濃度が10質量%のpH4.0の塗液(固形分の質量比:エポキシ樹脂/コロイダルシリカ=50/50)をロールコーターで塗布した。その後、到達板温200℃となるようにプロパンガス直火焼付を行い、放冷して、エポキシ樹脂およびアルミナ処理シリカを含有する被膜を形成させ、絶縁被膜付き電磁鋼板を得た。
【0029】
(実施例2〜14および比較例1〜14)
塗液成分(樹脂および無機成分)、塗液の固形分濃度、塗液のpHおよび被膜焼付量を第1表に示すようにした以外は、実施例1と同様の方法により、絶縁被膜付き電磁鋼板を得た。ただし、比較例2は、塗液の固形分濃度が高すぎ、均一に塗布することができなかった。また、比較例13および14は、塗液の分散状態が悪く、塗布することができなかった。
【0030】
2.評価
(1)塗液の分散状態
用いた塗液の分散状態を目視により評価した。評価の結果は、第1表中に以下の記号で表した。
○:均一に分散していた
△:やや凝集しており、増粘した
×:凝集によりゲル化した
【0031】
(2)被膜の密着性
セロハンテープを絶縁被膜付き電磁鋼板の被膜面に貼り付けた後、はがし、被膜がはく離するかどうかを目視観察し、塗膜の密着性を評価した。評価の結果は、第1表中に以下の記号で表した。
○:はく離しなかった
△:若干はく離した
×:はく離した
【0032】
(3)外観・被膜状態
ロールコーターで塗布してから焼付を開始するまでの時間を15秒、30秒、60秒と変化させて絶縁被膜付き電磁鋼板の製造を行い、Fe溶出による外観および被膜状態の悪化の有無を目視観察により評価した。評価の結果は、第1表中に以下の記号で表した。
○:良好(無色透明な被膜が得られた)
△:若干悪かった(不透明な部分や、変色が若干見られた)
×:悪かった(斑点状の不透明部分が多く見られ醜かった)
××:非常に悪かった(被膜全面が不透明であり、明らかに不良であった)
【0033】
第1表から明らかなように、本発明の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法(実施例1〜14)は、いずれも得られた絶縁被膜付き電磁鋼板の外観および被膜状態に優れることが分かる。
これに対し、水系塗液の固形分濃度が低すぎる場合(比較例3〜7および10〜12)は、Feが溶出するため、外観および被膜状態に劣る。また、水系塗液の固形分濃度が高すぎる場合(比較例1および2)は、被膜の密着性に劣るか、または、均一に塗布することができないかである。
被膜焼付量が多すぎる場合は、被膜の密着性に劣る(比較例8および9)。
pHが低すぎる場合(比較例13および14)は、塗液の分散状態が悪く、塗布することができない。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
第1表中、絶縁被膜の欄の「エポキシ/シリカ」は、エポキシ樹脂/コロイダルシリカ=50/50(固形分の質量比)の塗液を用いて得た被膜を意味し、「アクリル/シリカ」は、アクリル樹脂/コロイダルシリカ=50/50(固形分の質量比)の塗液を用いて得た被膜を意味する。また、「被膜中クロム」の欄は、被膜が無機成分として更に重クロム酸マグネシウムを含有する場合のCr換算の含有量を示す。
【0037】
【発明の効果】
本究明の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法によれば、クロム化合物を実質的に含有しない酸性の水系塗液を電磁鋼板に塗布焼付し薄膜の絶縁被膜を形成させた場合においても、外観および被膜状態に優れた電磁鋼板の絶縁被膜を得ることができる。
Claims (3)
- 電磁鋼板に樹脂および無機コロイドを含有するpH2〜7の水系塗液を塗布焼付し、被膜焼付量が2g/m2 以下でありクロム含有量が0〜1質量%である絶縁被膜を形成する、絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法であって、該水系塗液の固形分濃度が10〜30質量%であることを特徴とする絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
- 前記水系塗液が、pH3〜6である請求項1に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
- 前記樹脂が水性樹脂として供給される請求項1または2に記載の絶縁被膜付き電磁鋼板の製造方法。
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