JP4660315B2 - 靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法及び靭性に優れた厚手高強度鋼板 - Google Patents

靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法及び靭性に優れた厚手高強度鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、大入熱溶接の熱影響部(Heat Affected Zone : HAZ)靭性と母材靭性に優れた厚手高強度鋼板を高い圧延能率で製造する方法と厚手高強度鋼板に係るものであり、本発明は鉄鋼業における厚鋼板の製造現場に適用され、本発明によって製造される厚手鋼板は、大型コンテナ船などの造船向けとして主に使用されるが、建築、橋梁、タンク、海洋構造物など、その他の溶接構造物に広く使用することも可能である。
造船に代表される溶接構造物の近年のニーズは、構造物の大型化、破壊に対する高い安全性、建造における溶接の高能率化、鋼材の安定供給と経済性、である。このような動向を受け、溶接構造物に使われる厚手鋼板に対して、(1)高い降伏強度、(2)良好な板厚中心部靭性、(3)良好な大入熱溶接HAZ靭性、(4)高い圧延能率、のニーズが高まりつつある。
具体的には、大型コンテナ船に用いられる板厚50〜80mmの鋼板に対して、(1)降伏強度:390〜460MPa級、(2)板厚中心部靭性:vTrs≦−60℃、(3)溶接入熱量≧20kJ/mmのHAZ靭性:vE(−40℃)≧47J、(4)圧延能率:圧延終了温度≧800℃、を同時に満たすことが要求される。
特許文献1は造船向け厚手高強度鋼板に関する技術の一例であり、この特許文献1には板厚50〜70mmを有しつつ、上記(1)、(3)、(4)のニーズを部分的に満足することができる技術が開示されている。しかしながら、特許文献1の実施例の記載からわかるように、上記(2)のニーズを満足することは示されていない。
次に、非特許文献1の図9に示されるように、厚手鋼板では板厚1/2部の靭性が板厚1/4部に比べて低いのが一般的であるから、厚手鋼板を用いた溶接構造物の安全性を考える場合は、鋼板の板厚1/2部靭性を重視する必要がある。例えば、船舶の安全性においては、溶接部から発生した脆性破壊が母材部に伝播して停止すること(アレスト性)が重要である。そして、板厚の厚手化に伴ってアレスト性は板厚1/2部靭性に支配される傾向を強める。従って、大型船舶の安全性向上のためには、厚手鋼板の板厚1/2部靭性を高めることが有効である。特許文献1に示されるように、現状の大型船舶向け厚手鋼板は板厚1/4部靭性が−40℃を満足するレベルであるが、今後の安全性を重視した大型船舶に対しては、板厚1/2部靭性が−60℃を満足するレベルの厚手鋼板が望まれる。
従来から、母材靭性の向上には、TMCP(Thermo Mechanical Control Process)を前提として圧延終了温度を低く制御して、鋼板の金属組織を微細化することが有効であることが知られている。前記非特許文献1の図9や図12では、700〜780℃の範囲で圧延終了温度(圧延仕上温度)を低くするほど板厚1/2部靭性が高まることが示されており、−50〜−70℃程度のvTrs(板厚中心部靭性)が達成されている。
また、非特許文献2の図4に示す例では、圧延終了温度(圧延仕上温度)を700℃程度まで低くすることで−60℃程度のvTrsが達成されている。このように、従来のTMCP技術では、圧延終了温度を800℃未満の低い温度に制御することで厚手鋼板の良好な靭性が達成されてきた。しかしながら、このような低温圧延では圧延途中の温度待ち時間が長くなって圧延能率が著しく低下し、生産性の低下によって製造原価が上昇する問題がある。また、短期間に多量の鋼板供給を求められる場合には、生産能力が逼迫して供給不可能に陥る問題がある。従って、圧延終了温度を800℃以上に高めて圧延能率を阻害することなく厚手鋼板の板厚1/2部靭性を確保する技術が望まれる。
TMCPによって製造される厚手鋼板では、従来からボロン(B)添加による高強度化が行われてきた。Bの効果は、圧延後の加速冷却において、γ粒界に偏析したBが変態時の焼入性を高める効果と理解されている。特許文献1では、BにNbを複合添加することを特徴として高強度化を図っているが、実施例に示されるように、この場合の圧延終了温度は930〜1000℃と高いので、板厚55〜70mmの鋼板において良好な板厚1/2部靭性が達成できることは示されておらず、板厚1/2部で−60℃以下のvTrsを安定的に達成できる保証はない。
非特許文献3では、板厚20mmの薄手鋼板ではあるが、BにMoを複合添加することで効果的に焼入性が高まり、800〜880℃の高い圧延終了温度のもとで良好な強度と靭性を同時に達成できることが示されている。ただしこの場合、Cが0.015%と低く、Moが0.35%と多い。加えて、板厚が薄いことに由来して、圧延によるγ微細化効果が大きく、800℃から500℃への平均冷却速度も20℃/sと大きいことから、良好な強度と靭性を達成することは容易であると、考えられる。
更に、薄手鋼板に大入熱溶接は適用されることはないから、非特許文献3の技術では大入熱溶接HAZの局所脆化相MA(Martensite Austenite constituent)の増加に対するMoの有害性を気にすることなく、0.35%もの多量のMoを利用できる。従って、TMCP型のB添加厚手鋼板において、高い圧延能率のもとで良好な板厚1/2部靭性を確保することや、良好な大入熱溶接HAZ靭性を確保する前提のもとでMoを有効利用する技術が望まれる。
特許第3599556号公報 製鉄研究第326号(1987)、pp.55-61 R&D神戸製鋼技報、Vol.52、No.1(Apr.2002)、pp.20-24 ISIJ International, Vol.44(2004),No.8,pp.1431-1440
以上説明のように、TMCP型B添加厚手鋼板において、母材強度、母材靭性、大入熱溶接HAZ靭性、圧延能率、を本発明が狙う高い次元で同時に満足する技術の確立が望まれている。
本発明の課題は、板厚50〜80mmの厚手鋼板において、(1)高い降伏強度(390〜460MPa級)、(2)良好な板厚中心部靭性(vTrs≦−60℃)、(3)良好な大入熱溶接HAZ靭性(溶接入熱量≧20kJ/mm、vE(−40℃)≧47J)、(4)高い圧延能率(圧延終了温度≧800℃)、を同時に満足することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は、下記のとおりである。
「1」 本発明の靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法は、質量%で、C :0.03〜0.07%、Si:0.2%以下、Mn:1.2〜2.0%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、B:0.0003〜0.003%、Mo:0.01〜0.2%、Al:0.001〜0.034%、Ti:0.005〜0.02%、N:0.001〜0.008%、O:0.001〜0.004%を含有し、さらにCa:0.0003〜0.004%、Mg:0.0003〜0.004%のうち1種以上を含有し、下式(1)と(2)を満たし、
有効B量(%)≧0.0003% (1)
0.30%≦Ceq(%)≦0.40% (2)
残部が鉄および不可避的不純物によって化学成分が構成される連続鋳造スラブを、Arが下式(4)で計算されるとき、連続鋳造後にAr−200℃以下まで冷却した後に1000〜1250℃に再加熱し、その後に下式(3)を満たす熱間圧延を800℃〜900℃で終了し、その後にAr以上から加速冷却することを特徴とする。
ただし、Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 の関係とし、熱間圧延の圧下について、スラブ厚み(mm)/圧延終了時鋼板厚み(mm)≧2.5 (3)の関係とし、Arについて、Ar(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−55Ni−80Mo (4)の関係とし、有効B量とは、変態前のγ(オーステナイト)素地に固溶するB量を意味する。
「2」 本発明の靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法は、前記有効B量において、
(a)O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al≦0のとき
(a1) N−0.29Ti>0ならば、
有効B量=B−0.77(N−0.29Ti)
(a2) N−0.29Ti≦0ならば、
有効B量=B
(b)O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al>0、かつ、Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)≧0.005のとき、
(b1)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕>0ならば、
有効B量=B−0.77{N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕}
(b2)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕≦0ならば、有効B量=B
とすることを特徴とする。
「3」 本発明の靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法は、前記の組成に加えて、さらに、質量%でCu:0.01〜1%、Ni:0.01〜3%、Cr:0.01〜0.5%、Nb:0.001〜0.02%、V:0.001〜0.1%の中から1種以上を含有する化学成分組成の連続鋳造スラブを用いることを特徴とする。
「4」 本発明の靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法は、前記の組成に加えて、さらに、質量%でREM:0.0003〜0.02%、Zr:0.0003〜0.02%のうち1種以上を含有し、(1)式に代わって下式(5)を満たすことを特徴とする。
ここで、有効Bについて、
有効B量(%)≧0.0003% (5)
ただし、
(c)O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al≦0のとき
(c1)N−0.29Ti>0ならば、
有効B量=B−0.77(N−0.29Ti)
(c2)N−0.29Ti≦0ならば、
有効B量=B
(d)ただし、O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al>0、かつ、Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)≧0.005のとき、
(d1)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕>0ならば、
有効B量=B−0.77{N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕}
(d2)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕≦0ならば、
有効B量=B
「5」 本発明の靭性に優れた厚手高強度鋼板は、C:0.03〜0.07%(質量%、以下同じ)、Si:0.2%以下、Mn:1.2〜2.0%、P:0.015%以下、S:0.0005〜0.005%、B:0.0003〜0.003%、Mo:0.01〜0.2%、Al:0.001〜0.034%、Ti:0.005〜0.02%、N:0.001〜0.008%、O:0.001〜0.004%、を含有し、さらにCa:0.0003〜0.004%、Mg:0.0003〜0.004%、のうち1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、板厚:50〜80mm、降伏強度:390〜460MPa級、板厚中心部靭性:vTrs:−60℃以下、溶接入熱量≧20kJ/mm、のHAZ靭性:vE(−40℃)≧47Jの条件を満足することを特徴とする。
「6」 本発明は前記の靭性に優れた厚手高強度鋼板において、下式(1)と(2)を満たすことを特徴とする。
有効B量(%)≧0.0003% (1)
0.30%≦Ceq(%)≦0.40% (2)
ただし、有効B量とは、変態前のγ(オーステナイト)素地に固溶するB量を意味し、Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15とする。
「7」 本発明は前記の靭性に優れた厚手高強度鋼板において、前記(1)式の有効B量において、
(a)O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al≦0のとき
(a1) N−0.29Ti>0ならば、
有効B量=B−0.77(N−0.29Ti)
(a2) N−0.29Ti≦0ならば、
有効B量=B
(b)O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al>0、かつ、Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)≧0.005のとき、
(b1)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕>0ならば、
有効B量=B−0.77{N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕}
(b2)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕≦0ならば、有効B量=Bとされてなることを特徴とする。
「8」 本発明は前記の靭性に優れた厚手高強度鋼板において、前記(1)式の有効B量において、さらに、質量%でREM:0.0003〜0.02%、Zr:0.0003〜0.02%のうち1種以上を含有し、(1)式に代わって下式(5)を満たすことを特徴とする。
有効B量(%)≧0.0003% (5)
ただし、
(c)O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al≦0のとき
(c1)N−0.29Ti>0ならば、
有効B量=B−0.77(N−0.29Ti)
(c2)N−0.29Ti≦0ならば、
有効B量=B
(d)ただし、O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al>0、かつ、Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)≧0.005のとき、
(d1)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕>0ならば、
有効B量=B−0.77{N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕}
(d2)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕≦0ならば、
有効B量=B
本発明によれば、板厚が50〜80mmの厚手鋼板において、(1)高い降伏強度(390〜460MPa級)、(2)良好な板厚中心部靭性(vTrs≦−60℃)、(3)良好な大入熱溶接HAZ靭性(溶接入熱量≧20kJ/mm、vE(−40℃)≧47J)、(4)高い圧延能率(圧延終了温度≧800℃)、を同時に満足できる。
従って、本発明によって製造される厚手鋼板が造船をはじめとする各種の溶接構造物に使用されることで、構造物の大型化、建造における溶接の高能率化、破壊に対する高い安全性、鋼材の安定供給と経済性、が同時に満たされ、産業上の効果は計り知れない。
本発明は、TMCP型のB添加厚手鋼板において、母材強度、母材靭性、大入熱溶接HAZ靭性、圧延能率、を同時に高める技術である。これら複数の特性を高い次元でバランスさせるために本発明者が種々研究した結果、緩冷条件で特徴的に発現されるBと、ごく微量のMoの組合せよる焼入性の向上効果を見つけ出し、緩冷条件となる厚手母材と大入熱溶接HAZの両方で生成する上部ベイナイトの靭性を高める技術を発明した。
まず第一に、母材強度と大入熱HAZ靭性が相反することの解決を目指した。
板厚50〜80mmでの加速冷却時の冷却速度は、現有設備による通常の冷却条件においては、平均冷却速度で3〜10℃/sと小さく、板厚1/2部ではさらに緩冷となる。このような緩冷条件のもとで十分な焼入性を確保して390〜460MPa級の降伏強度を達成するためには、単純には合金元素を多量に添加すればよいが、そうすると大入熱溶接HAZの焼入性も高まってHAZが硬化して脆化する。そこで、HAZ硬さの目安である炭素当量(Ceq)をできるだけ低減しつつ、母材強度を確保する技術として、BとMoの複合添加に着眼し、TMCP型厚手鋼板を前提に、母材強度、大入熱溶接HAZ靭性、母材靭性、圧延能率を同時に満足する最適な鋼の化学成分と鋼板製造条件を見出した。
まず、母材でBの焼入性を引き出すためにMoに着眼したが、Moは非常に高価であり、大入熱溶接HAZでMA生成(マルテンサイト−オーステナイト混合相生成:MA:Martensite− Austenite constituent)を助長する有害性があることから、従来技術に対してMoの添加量を可能な限り抑えつつ、その効果を有効に引き出す工夫が不可欠となった。そのためには、Bに複合させる微量Moの効果と、その効果が発揮される条件を定量的に明確化することが肝心であると考えた。
そこで、B添加を前提にMo低減を系統的に検討する中で次の知見を見い出した。
図1は10ppmBを含む鋼材(ベース組成:0.05%C−0.1%Si−1.5%Mn−0.01%Al−0.01%Ti−0.003%N−0.002%O−0.001%Ca)にわずか0.08%のMoを複合することによる変態開始温度の低下代と冷却速度の関係を示す。
図1に示す結果から、Bにわずか0.08%のMoを複合して鋼材に添加すると、10℃/s以下(例えば0.5℃/s〜10℃/sの範囲)の緩冷条件において鋼材の焼入性が効果的に向上する効果を見出した。しかも、冷却速度が小さくなるほどその効果が増大する現象を発見した。
つまり、加速冷却される板厚50〜80mmの鋼板(平均冷却速度:3〜10℃/s)において、従来知見に対してごく微量のMoをBと複合添加することで焼入性の向上効果が現れ、その効果は冷却速度が不足する厚手材や板厚内部ほど大きくなるという特徴を見出した。この定量的な新規の知見に基づき、本発明ではBと微量Moの複合効果をTMCP型厚手鋼板へ利用し、母材組織を均一な上部ベイナイト主体に制御することで所定の降伏強度を達成する。このとき、有効B量を0.0003%以上確保し、Ceqを0.30%以上確保し、スラブ再加熱温度を1000〜1250℃に制御し、圧延後にAr以上から加速冷却(平均冷却速度3〜10℃/sで冷却することを意味する。)を行い、このときに加速冷却が可能な手段の一例として水量密度を0.3m/m/min以上確保することが好ましい。これは、高い焼入性を確保して高い降伏強度を安定的に達成するためである。
鋼の化学成分で決まる有効B量が0.0003%より少ないと固溶Bが不足してBの焼入性が不足する。Ceqが0.30%未満ではB以外の化学成分の焼入性が不足する。
また、スラブ再加熱温度が1000℃未満だとB炭化物が溶解しないので、有効B量が十分でも実質的な固溶Bが不足してBの焼入性が不足する。スラブ再加熱温度が1250℃を超えるとTiNが溶解して固溶Nが増加し、圧延中あるいは圧延後にBNが析出するので、有効B量が十分でも実質的な固溶Bが不足しBの焼入性が不足する。このとき同時に、ピン止め効果が低減してγ粒の粗大化が生じる。
圧延後の加速冷却をAr未満から行うと、フェライト分率が増加して降伏強度が大きく低下する。加速冷却を行う場合の水量密度が0.3m/m/min未満だと冷却速度が不足して焼入性が不足する。
次に、大入熱溶接HAZ靭性でのMo添加の有害性、つまり、MAの増加を抑えることが本発明の大きな課題である。単純にBと微量Moを複合添加すると大入熱溶接HAZでの変態温度が低下し、MAを多く含む上部ベイナイトが生成し、靭性が不安定となる問題が生じる。そこで、B−微量Mo成分を前提に大入熱溶接HAZでのベイナイト変態温度を高め、冷却中のMA分解を促進することを検討した。
その検討の結果、適正にCとSiを低減すれば、MAをごく少量しか含まない、あるいはMAを全く含まない上部ベイナイトが高温で生成することを見出した。このように、B−微量Mo成分に低C−低Si成分を組み合わせると、脆化相であるMAが減少することに加えて、脆化相であるセメンタイトが少量かつ微細に分散し、硬さも低下する効果を得られることが判明した。このような大入熱溶接HAZの上部ベイナイト制御を主眼とした成分最適化により、MA減少、セメンタイト少量微細化、硬さ低減、の三つの効果が重畳し、B−微量Mo成分でも良好な大入熱溶接HAZ靭性を達成できる見込みが得られた。
さらに、HAZ靭性を安定化させるために、CaやMgの適正添加によって微細な酸化物や硫化物を多数分散させ、γ粒成長抑制技術(ピン止め)を組合せることを検討した。本発明のようにHAZが上部ベイナイトに制御される場合、脆性破壊における破面単位はγ粒径にほぼ一致する。このような場合、破面単位の微細化を通じて靭性を向上する手段はγ細粒化しかない、と思われる。従って、本発明のHAZ靭性に対しては、従来よりもピン止め効果の寄与は大きいことに着眼した。換言すると、従来鋼のHAZはフェライトとベイナイトが混在し、しかも粒内変態を利用できる余地があるから、本発明よりピン止め効果の寄与は小さい。
このような理由から、本発明の大入熱溶接HAZではピン止め効果を積極的に利用する。このとき、Ceqを0.40%以下に制御する必要がある。Ceqが0.40%を超えると、例え低C−低Si−微量Mo−B成分でも、上部ベイナイトにおけるMA増加と硬さ上昇を回避することが難しく、γ細粒化を図っても良好なHAZ靭性を得ることは容易ではない。
上述の理由から、本発明の基本成分は低C−低Si−微量Mo−Bに絞り込むこととした。続いて、母材靭性と圧延能率が相反することの解決を目指した。800℃以上の高温圧延を前提に、板厚1/2部靭性を高めることが課題である。
本発明の母材組織は上部ベイナイト主体に制御されるから、上部ベイナイトの脆性破壊における金属学的要因を、本成分系のもとで具体的に検討した。
その結果、i)γ粒微細化、ii)MA低減、iii)セメンタイト少量微細化、が板厚1/2部靭性の向上にとって極めて重要であるとの結論に達し、先述した大入熱溶接HAZ靭性への対策が有効利用できることが判明した。
以下にi)γ粒微細化、ii)MA低減、iii)セメンタイト少量微細化を制御する手段を説明する。
i)γ粒微細化のために、スラブ再加熱時のγ粒を細粒化する。そのために、連続鋳造後にスラブをAr−200℃以下に冷却してγ→α変態させ、その後に1250℃以下に再加熱することでα→γ変態させる必要がある。スラブをAr−200℃以上から再加熱すると、スラブ内部でγ→α変態が未完了のうちに再加熱されて鋳造時の粗大γが残存する。本成分系では、鋳造時のγ粒が従来鋼より大きくなる欠点があり、この欠点を克服するために確実にγ→α→γ変態を経由してスラブを再加熱することが重要である。
本発明では、スラブ冷却時や圧延後水冷までの空冷時を対象に以下の式(4)を用いてArを計算する。これらの場合、冷却速度が極めて小さいので、Bの焼入性は実質的に無視できるほど小さく、下式(4)をArの目安として使って実用上問題ない。
Ar(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−55Ni−80Mo (4)
また、再加熱温度が1250℃を超えるとγ粒成長が著しくなり粗大γが生成する。更にi)γ粒微細化のために、圧延終了温度が800〜900℃のもとで圧延再結晶を繰り返す。そのために、スラブ厚み/圧延終了時鋼板厚みが2.5以上となる十分な累積圧下量を確保する必要がある。累積圧下量がこれより少ないと、圧延再結晶γが十分には微細化しない。また、圧延終了温度が900℃を超えると、圧延途中や圧延終了後に再結晶γが成長して粗大化する。これは、Bと微量Moの複合添加による再結晶γ粒の成長抑制効果が900℃を超えるとほとんど効かなくなるからである。Nbを添加して800〜900℃で圧延を終了すると、γの一部あるいは全部が未再結晶γとなるから、より一層のγ微細化が容易であるが、B−微量Mo成分にNbを添加すると大入熱溶接HAZでMA生成が助長される有害性がある。
従って、本発明では大入熱溶接HAZ靭性の観点からできるだけNb添加を控えつつ、母材靭性を高めなければならない制約がある。
ii)MA低減とiii)セメンタイト少量微細化のためには、基本的には大入熱溶接HAZの場合と同様の成分最適化が有効である。つまり、B−微量Mo成分を前提にBの焼入性を適正に確保したうえで、C低減、Si低減、Ceq上限規制、Nb低減を図り、MA生成を抑えてセメンタイトを少量微細化した上部ベイナイトに制御する。MA減少には必要に応じて水冷停止温度の高温化や650℃以下の焼戻し処理を適用することが有効であるが、母材強度が低下するので所定の強度を下回らない条件で適用する必要がある。なお、焼戻し処理はオフライン作業となるので、圧延ラインにおける圧延能率を低下させる原因にならない。
以上説明したように、本発明の要点は、TMCP型厚手母材と大入熱溶接HAZに共通する小さな冷却速度のもとで、Bと微量Moの組合せによる焼入性の向上効果を利用し、MAやセメンタイトなどの脆化相が少量かつ微細に分散した靭性の良好な上部ベイナイト組織を活用することである。
以下に本発明における鋼の化学成分について限定理由を説明する。
Cは厚手母材で高い強度を確保するためにB−微量Mo添加と相俟って0.03%以上必要である。B−微量Mo成分のもとで良好な大入熱溶接HAZ靭性と良好な板厚1/2部靭性を確保するために、Cを0.07%以下に抑える必要がある。
Siは脱酸作用を有するが、B−微量Mo成分のもとで良好な大入熱溶接HAZ靭性と良好な板厚1/2部靭性を確保するために、Siを0.2%以下に抑える必要がある。
Mnは脱酸作用を有すると同時に、厚手母材で高い強度を経済的に確保するために1.2%以上必要である。ただし、2.0%を超えてMnを添加すると、スラブの中心偏析の有害性が顕著となるため、板厚1/2部の母材靭性や大入熱溶接HAZ靭性が劣化するためこれが上限である。
Pは不純物元素であり、板厚1/2部靭性と大入熱溶接HAZ靭性を安定的に確保するために、0.015%以下に低減する必要がある。
Sは必要な元素であり、後述する大入熱溶接HAZでのピン止め効果のために0.0005%以上添加する。Sは適正に添加されたCaやMgと結合して、微細な硫化物を数多く形成してγ細粒化をもたらす。しかし、Sが0.005%を超えると硫化物が粗大化してピン止め効果が低下すると同時に、破壊起点しての有害性も顕著となるから、大入熱溶接HAZ靭性が劣化する。
BとMoは本発明の特徴的な元素であり、最も重要な元素である。これらを本発明の低いCと低いSiのもとで複合的に添加すると、厚手母材の大入熱溶接HAZの小さな冷却条件で靭性の良好な上部ベイナイトが得られ、厚手母材と大入熱溶接HAZの材質を高い次元でバランスさせることができる。そのためには、Bを0.0003%以上、Moを0.01%以上添加する必要がある。ただし、0.003%を超えてBを添加すると焼入性が低下すると同時に、B系の粗大析出物が生成して厚手母材と大入熱溶接HAZの両方で靭性が劣化するため、これが上限である。また、0.2%を超えてMoを添加すると、大入熱溶接HAZのみならず厚手母材においてもMAが増加して靭性が劣化する。その上、Moは非常に高価なので0.2%以上の多量添加は工業製品としての経済性を著しく失う。従って、Moの上限は0.2%である。大入熱溶接HAZ靭性と経済性の両面を考慮すると、0.15%以下のMo添加が好ましい。このようなごく微量のMoであっても、小さな冷却速度のもとではBの焼入性を有効に高める作用が本発明で定量的に明らかになった。
Alは脱酸を担いOを低減するために必要である。Al以外のSi、Mn、Ti、Ca、Mgなども脱酸作用があるが、例えこれらの元素が添加される場合でも、0.001%以上のAlがないと安定的にOを0.004%以下に抑えることは難しい。ただし、Alが0.034%を超えると、アルミナ系の粗大酸化物がクラスター化する傾向を強め、破壊起点として有害化が顕著となるため、これが上限である。
TiはNと結合してTiNを形成し固溶Nを低減する。その結果、添加されたBがBNを形成することを抑え、γ中の固溶Bを確保することでBの焼入性を確保する効果がある。同時に、TiNはスラブ再加熱時と大入熱溶接HAZでピン止め効果に貢献しγ細粒化に寄与する。このような二つの効果を同時に発揮するために、Tiを0.005〜0.02%、Nを0.001〜0.008%、有効B量を0.0003%以上とする必要がある。TiとNがそれぞれ0.005%、0.001%に満たないとTiNによるピン止め効果が十分に発揮されず、厚手母材と大入熱溶接HAZ靭性が劣化する。TiとNがそれぞれ0.02%、0.008%を超えると、TiC析出や固溶N増加によって厚手母材と大入熱溶接HAZ靭性が劣化する。さらに、TiとNが適正範囲にあっても、有効B量が0.0003%未満であると、γ中の固溶Bの量が不足して焼入性を確保できないから、厚手母材で上部ベイナイト主体の組織制御が困難となり、強度、靭性を確保できなくなる。
以下に、有効B量の考え方を説明する。
化学成分として添加されたTiは、溶鋼中の脱酸で消費される場合があり(低Alの場合に起こりやすい)、脱酸後に残ったTiが凝固後のγ中でTiNを形成する。このとき、Tiに対してNが過剰であると、TiNを形成した後に残ったNがBの一部と結合してBNを形成する。そして、BNを形成した残りのBが固溶Bとして焼入性に寄与する。この焼入性に寄与する固溶B量を本発明では有効B量として扱う。
各元素の添加量、熱力学的な反応順序、生成物質の化学量論組成、に基づいた有効B量の計算方法を以下に説明する。まず、脱酸力の高い順にCa、Mg、REM(希土類元素)、Zr、AlがOと結合すると仮定する。このときの脱酸生成物としてCaO、MgO、REM、ZrO、Alを仮定して、脱酸されるO量を計算する。
Tiよりも脱酸力の強いこれらの元素によって脱酸が完了しない場合、下式を満たす。
O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al>0
この場合、残ったOをTiが脱酸することになる。そこで、Tiを仮定して、脱酸で消費されるTiを差し引いた残りのTiは下式で計算され、この値が0.005%以上になる必要がある。
ここで、脱酸で消費されるTiを差し引いた残りのTiが0.005%以上必要なのは、先の段落に記載するように、本願に必要なTiNを確保するためである。脱酸で消費されるTiを差し引いた残りのTiが0.005%未満であると、TiNによるピン止め効果が十分に発揮されず、厚手母材と大入熱溶接HAZ靭性が劣化する。
Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)≧0.005
脱酸で残った0.005%以上のTiがTiNを形成し、Nが残る場合は下式が正の値、Nが残らない場合は下式が0または負の値になる。
N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕>0 :Nが残る場合
N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕≦0 :Nが残らない場合
上式が正の値となってNが残る場合は、Bの一部がBNとして消費されるから、下式によって有効B量が計算される。
有効B量=B−0.77{N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕}
上式が0または負の値となってNが残らない場合は、下式によって有効B量が計算される。
有効B量=B
前記の式において、Ca、Mg、REM、Zr、Alの係数について述べると、溶鋼中での脱酸反応(酸化反応)による生成物(酸化物)としてCaO、MgO、REM、ZrO、Alを仮定し、これらの酸化物として存在するO量を質量%で計算する。
例えば、CaOの場合、原子量はCaが40でOが16であるから、Caの質量%に対して16/40=0.4のOが結合する。Alであれば原子量はAlが27でOが16であるから、Alの質量%に対して(16×3)/(27×2)=0.89のOが結合する。以下同様の計算概念として前述の式の各元素の係数(0.66:Mg、0.17:REM、0.35:Zr)を規定した。
また、有効B量の導出式概念を低温側から高温側に遡って示すと下記のようになる。
有効B量=成分B量−BasBN
→B as BN=0.77(N−N as TiN)
→N as TiN=0.29(Ti−Ti as Ti
→Ti as Ti=2(O−O as CaO−O as MgO−O as REM−O as ZrO−O as Al
→O as CaO=0.4Ca
O as MgO=0.66Mg
O as REM=0.17REM
O as ZrO=0.35Zr
O as Al=0.89Al
次に、有効B量の導出式概念を高温側から低温側への反応順に示すと下記のようになる。製鋼での精錬→凝固工程で下記の順に反応する。
1)液相(溶鋼中)での脱酸反応(1600℃付近)
Oとの化学的親和力の強い順にCaO→MgO→REM→ZrO→Alの反応が生じて溶鋼中の溶存Oが減少していく。これで脱酸が完了する場合は式(a)と(c)で表現される。脱酸が完了せずに溶存Oが残る場合は、式(b)、(d)で表現され、Alより弱脱酸元素であるTiがTiとして脱酸に寄与し、成分Tiから脱酸で消費されたTiasTiを差し引いた残りのTiが0.005%以上となる。
2)固相(凝固γ中)での脱窒反応(1300℃付近〜800℃付近)
Nとの化学的親和力の強い順にTiN→BN→AlNの反応が生じて固相γ中の固溶Nが減少していく。まず、脱酸で消費された残りのTiが脱窒反応を生じる。これで脱窒が完了する場合は式(a2)、(b2)、(c2)、(d2)で表現され、γ中に固溶Nが存在しないからBはBNを形成せずに全てが固溶Bとして存在する。一方、Tiによって脱窒が完了せず固溶Nが残る場合は式(a1)、(b1)、(c1)、(d1)で表現され、Bの一部がBNを生成し残りが固溶Bとなる。
一方、Tiよりも脱酸力の強い元素によって脱酸が完了する場合、下式を満たす。
O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al≦0
この場合、Tiは脱酸で消費されない。TiがTiNを形成し、Nが残る場合は下式を満たす。
N−0.29Ti>0
このときの有効B量は下式で計算される。
有効B量=B−0.77(N−0.29Ti)
TiがTiNを形成し、Nが残らない場合は下式を満たす。
N−0.29Ti≦0
このときの有効B量は下式で計算される。
有効B量=B
前記の式において、N−0.29Tiにおける0.29TiはNasTiNを意味する。原子量はTiが48でNが14であるから、Ti(正確には脱酸で消費されたTiを差し引いた残りのTi)の質量%に対して14/48=0.29のNが結合する。N−0.29Ti≦0ならば、Nは全てTiNで固定され、γ(オーステナイト)素地中に固溶Nは存在しない。一方、N−0.29Ti>0ならば、γ素地中にはTiNのほかに固溶Nが存在するので、この固溶NはBと結合してBNを生成し、有効B量を減少させる。
Oは0.004%以下に抑える必要がある。Oが0.004%を超えると、酸化物の一部が粗大化して破壊起点として有害性をもたらし、厚手母材と大入熱溶接HAZ靭性が劣化する。一方で、Oは0.001%以上確保する必要がある。その理由は、大入熱溶接HAZの溶融線近傍において、HAZ靭性を安定化させるために、後述するCaやMgの適正添加によって微細な酸化物を多数分散させ、ピン止め効果を強化してγ細粒化をはかるためである。Oが0.001%未満では、酸化物個数が不足して十分なピン止め効果が得られない。
Ca、Mgは溶鋼への添加順序を考慮しつつ一方あるいは両方を0.0003%以上添加することで、CaやMgを含有する10〜500nmの酸化物や硫化物を1000個/mm以上確保することができる。CaやMgが0.0003%未満では、ピン止め粒子である酸化物や硫化物の個数が不足する。しかし、それぞれ0.004%以上添加すると、酸化物や硫化物が粗大化してピン止め粒子の個数が不足すると同時に、破壊起点としての有害性も顕著となって、大入熱溶接HAZ靭性が劣化する。
次に、鋼の化学成分における選択元素の限定理由を説明する。
Cu、Ni、Cr、Nb、Vは厚手母材の強度と靭性を確保するために有効であるが、いずれの元素も大入熱溶接HAZのMA生成を助長するので、各元素の利害得失を慎重に判断して添加量を吟味する必要がある。特に、B−微量Mo成分へのNbは細心の注意が必要である。これらの元素が厚手母材の材質改善に効果を発揮する下限は、Cu、Ni、Crでは0.01%であり、Nb、Vでは0.001%である。一方、大入熱溶接HAZ靭性を劣化させる観点から、各元素の有害性を反映して、Cu、Ni、Cr、Nb、Vの上限はそれぞれ1%、3%、0.5%、0.02%、0.1%である。本発明ではNbの有害性が大きい。
REM、Zrは脱酸と脱硫に関与するが、板厚1/2部の粗大な延伸MnSの生成を抑えて硫化物を球状無害化し、厚手母材と大入熱溶接HAZ靭性を改善する。これらの効果を発揮するためには、REMとZrの下限はともに0.0003%である。ただし、これらの添加量を増やしても効果は飽和するため、経済性の観点からREMとZrの上限はともに0.02%である。ここでのREMとはLaやCeなどのランタノイド系元素のことである。
製鋼工程で溶鋼の脱酸・脱硫と化学成分を制御して連続鋳造によってスラブを作製し、これを再加熱して厚板圧延することで板厚50〜80mmの鋼板を作製し、加速冷却を行った。さらに、必要に応じてオフラインでの焼戻し処理を行った。
表1に鋼の化学成分を示す。表2と表3に鋼板製造条件を示す。表4と表5に鋼板の機械的性質を示す。母材の機械的性質は、板厚1/2部−圧延長手(L)方向から試験片を採取した。継手のHAZ靭性は、突合せ開先をエレクトロガス溶接(EGW)による1パス溶接を行ない、板厚1/2部HAZの溶融線から1mm離れたHAZにノッチを入れて調べた。−40℃で3本のシャルピー衝撃試験を行ない、平均の吸収エネルギー値を評価した。
Figure 0004660315
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本発明鋼1〜13は、鋼の化学成分を適正化し、圧延能率を重視した鋼板製造条件を適正化することで、厚手にも関わらず390〜460MPa級の高い降伏強度と、vTrsが−60℃以下である良好な板厚1/2部靭性と、大入熱溶接にも関わらず−40℃で良好なHAZ靭性を、同時に満足している。また、本発明鋼23はA式:<0、B式:<0の場合で有効B量が0.0003の場合の例であり、いずれの特性も良好となった。
一方、比較鋼14〜22は鋼の化学成分が適正でないため、比較鋼1A〜1Hは鋼板製造条件が適正でないため、降伏強度、板厚1/2部靭性、大入熱溶接HAZ靭性、圧延能率、のいずれかが劣り、本発明のようにこれら複数の要求特性を同時に満足することができない。比較鋼24は化学成分は好ましい範囲であるが有効B量が少ない例である。
比較鋼14はCとCeqが低いため、比較鋼17はBと有効B量が低いため、比較鋼21と比較鋼22は有効B量が低いため、適正な焼入性を確保できず、適正な母材組織制御が困難となり、降伏強度と板厚1/2部靭性の両方が劣る。さらに、大入熱溶接HAZでの組織制御も難しくなってその靭性が劣る。比較鋼15はCが高いために、比較鋼16はSiが高ために、比較鋼18はMoが高いために、比較鋼19はNbが高いために、比較鋼20はCeqが低いために、大入熱溶接HAZでの焼入性が過多となって硬化したり、MA生成が助長されたり、セメンタイトが多量粗大化したりすることで、その靭性が劣る。比較鋼15と比較鋼18は母材の板厚1/2部においてもMAが多く存在し、その靭性が劣る。
比較鋼1Aはスラブ再加熱の開始温度が高いため、比較鋼1Cはスラブ再加熱温度が高いため、スラブ再加熱時のγ粒が粗大化して板厚1/2部靭性が劣る。比較鋼1Dは圧下比が小さいため、比較鋼1Eは圧延終了温度が高いため、圧延終了時のγ粒が粗大化して板厚1/2部靭性が劣る。比較鋼1Bはスラブ再加熱温度が低いため、比較鋼1Cはスラブ再加熱温度が高いため、鋼の化学成分できまる有効B量が十分であっても実質的な固溶Bが不足し、焼入性を確保できず降伏強度が劣る。この焼入性の低下は、板厚1/2部靭性の劣化要因にもなっている。比較鋼1Fは圧延終了温度が低いため、圧延時間が長くなる。圧延途中の温度待ちにおいて、鋼板温度が800℃未満になるとなかなか冷えないため、待ち時間が長くなって圧延能率が大幅に劣化する。比較鋼1Gは水冷開始温度がAr未満と低いため、比較鋼1Hは水量密度が小さいため、フェライト生成が促され、セメンタイトも粗大化するため、降伏強度と板厚1/2部靭性が劣る。
図1は10ppmBを含む鋼材に0.08%のMoを複合することによる変態開始温度の低下代と冷却速度の関係を示す。

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C :0.03〜0.07%
    Si:0.2%以下
    Mn:1.2〜2.0%
    P :0.015%以下
    S :0.0005〜0.005%
    B :0.0003〜0.003%
    Mo:0.01〜0.2%
    Al:0.001〜0.034%
    Ti:0.005〜0.02%
    N :0.001〜0.008%
    O :0.001〜0.004%
    を含有し、さらに
    Ca:0.0003〜0.004%
    Mg:0.0003〜0.004%
    のうち1種以上を含有し、
    下式(1)と(2)を満たし、
    有効B量(%)≧0.0003% (1)
    0.30%≦Ceq(%)≦0.40% (2)
    残部が鉄および不可避的不純物によって化学成分が構成される連続鋳造スラブを、Arが下式(4)で計算されるとき、連続鋳造後にAr−200℃以下まで冷却した後に1000〜1250℃に再加熱し、その後に下式(3)を満たす熱間圧延を800℃〜900℃で終了し、その後にAr以上から加速冷却することを特徴とする、靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法。
    ただし、Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 の関係とし、熱間圧延の圧下について、
    スラブ厚み(mm)/圧延終了時鋼板厚み(mm)≧2.5 (3)の関係とし、
    Arについて、
    Ar(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−55Ni−80Mo (4)の関係とし、有効B量とは、変態前のγ(オーステナイト)素地に固溶するB量を意味する。
  2. 前記有効B量において、
    (a)O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al≦0のとき
    (a1) N−0.29Ti>0ならば、
    有効B量=B−0.77(N−0.29Ti)
    (a2) N−0.29Ti≦0ならば、
    有効B量=B
    (b)O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al>0、かつ、Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)≧0.005のとき、
    (b1)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕>0ならば、
    有効B量=B−0.77{N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕}
    (b2)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕≦0ならば、有効B量=B
    とすることを特徴とする請求項1に記載の靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法。
  3. さらに、質量%で
    Cu:0.01〜1%
    Ni:0.01〜3%
    Cr:0.01〜0.5%
    Nb:0.001〜0.02%
    V : 0.001〜0.1%
    の中から1種以上を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法。
  4. さらに、質量%で
    REM:0.0003〜0.02%
    Zr:0.0003〜0.02%
    のうち1種以上を含有し、(1)式に代わって下式(5)を満たすことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の靭性に優れた厚手高強度鋼板の製造方法。
    ここで、有効Bについて、
    有効B量(%)≧0.0003% (5)
    ただし、
    (c)O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al≦0のとき
    (c1)N−0.29Ti>0ならば、
    有効B量=B−0.77(N−0.29Ti)
    (c2)N−0.29Ti≦0ならば、
    有効B量=B
    (d)ただし、O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al>0、かつ、Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)≧0.005のとき、
    (d1)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕>0ならば、
    有効B量=B−0.77{N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕}
    (d2)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕≦0ならば、
    有効B量=B
  5. C :0.03〜0.07%(質量%、以下同じ)、
    Si:0.2%以下、
    Mn:1.2〜2.0%、
    P:0.015%以下、
    S :0.0005〜0.005%、
    B :0.0003〜0.003%、
    Mo:0.01〜0.2%、
    Al:0.001〜0.034%、
    Ti:0.005〜0.02%、
    N:0.001〜0.008%、
    O :0.001〜0.004%、
    を含有し、さらに
    Ca:0.0003〜0.004%
    Mg:0.0003〜0.004%
    のうち1種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、
    板厚:50〜80mm、降伏強度:390〜460MPa級、板厚中心部靭性:vTrs:−60℃以下、溶接入熱量≧20kJ/mm、のHAZ靭性:vE(−40℃)≧47Jの条件を満足する靭性に優れた厚手高強度鋼板。
  6. 下式(1)と(2)を満たすことを特徴とする請求項5に記載の靭性に優れた厚手高強度鋼板。
    有効B量(%)≧0.0003% (1)
    0.30%≦Ceq(%)≦0.40% (2)
    ただし、有効B量とは、変態前のγ(オーステナイト)素地に固溶するB量を意味し、Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15とする。
  7. 前記(1)式の有効B量において、
    (a)O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al≦0のとき
    (a1) N−0.29Ti>0ならば、
    有効B量=B−0.77(N−0.29Ti)
    (a2) N−0.29Ti≦0ならば、
    有効B量=B
    (b)O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al>0、かつ、Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)≧0.005のとき、
    (b1)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕>0ならば、
    有効B量=B−0.77{N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕}
    (b2)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.89Al)〕≦0ならば、有効B量=B
    とされてなることを特徴とする請求項6に記載の靭性に優れた厚手高強度鋼板。
  8. さらに、質量%で
    REM:0.0003〜0.02%
    Zr:0.0003〜0.02%
    のうち1種以上を含有し、(1)式に代わって下式(5)を満たすことを特徴とする、請求項6に記載の靭性に優れた厚手高強度鋼板。
    有効B量(%)≧0.0003% (5)
    ただし、
    (c)O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al≦0のとき
    (c1)N−0.29Ti>0ならば、
    有効B量=B−0.77(N−0.29Ti)
    (c2)N−0.29Ti≦0ならば、
    有効B量=B
    (d)ただし、O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al>0、かつ、Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)≧0.005のとき、
    (d1)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕>0ならば、
    有効B量=B−0.77{N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕}
    (d2)N−0.29〔Ti−2(O−0.4Ca−0.66Mg−0.17REM−0.35Zr−0.89Al)〕≦0ならば、
    有効B量=B
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