JP4655680B2 - 2軸ヒンジ機構とこれを用いた携帯型通信端末 - Google Patents
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これを実現する構造として、2つの筐体が開閉軸を有するヒンジ部により折り畳み可能に連結され、しかもディスプレイ側筐体が、開閉軸と直交する方向を回転中心軸として回転する2軸構造のものが知られている(例えば、特許文献1、2)。図11は、特許文献1にて開示された2軸ヒンジ機構の斜視図であって、図は、キー操作部を有する第1の筐体に対して表示部を有する第2の筐体が開閉角度90度をもって開かれたときの状態が示されている。図11に示されるように、2軸ヒンジ機構500は、矢印D1方向に回動する開閉軸522と矢印D2方向に回動する回転軸512とを有する。開閉軸522は、第1の筐体内に固定される固定部材501のヒンジ部501aに回転可能に支持されており、回転軸512は、第2の筐体内に固定される固定部材502に固着されている。そして、第1の筐体内に収容されるプリント配線板と第2の筐体内に収容されるプリント配線板とを接続する帯状可撓性導体550は、回転軸512および開閉軸522の周りに卷回されており、また線状可撓性導体551は、開閉軸522の周りに卷回されている。
また、図示された状態では突起部622aが制御用突起部613の凹部に嵌まり込んでいるため、連結ブラケット605をD2方向に回転させることができない。すなわち、第2の筐体が第1の筐体上に閉じられた状態にあるときには、第2の筐体をD2方向に回転させることができない。しかし、第2の筐体をD1方向に少し開くと突起部622aが制御用突起部613の凹部から外れ、連結ブラケット605をD2方向に回転させることが可能になる。すなわち、第2の筐体を第1の筐体から少し開くと第2の筐体はD2方向に自由に回転させることが可能になる。開閉軸622の突起部が制御用突起部613の凹部から外れた状態では、第2の筐体は常にD2方向に回転可能な状態にあり、第2の筐体が例えば170度に開かれた携帯電話として通話するときの状態(突起部622bが制御用突起部613の図の背面側の側面に当接した状態)から連結ブラケット605をD2方向に回転させると180度回転させたときに、第2の筐体は第1の筐体に重なり、開閉軸622の突起部622bが制御用突起部613の凹部に嵌まり込むこととなり、それ以上第2の筐体をD2方向に回転させることができない状態となる。
本発明の課題は上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、二つの筐体が通話状態に開かれた状態からそのまま第2の筐体を開閉軸と直交する回転軸を中心として回転させて表示部を外側向きとして折り畳んだ状態とすることができるようにすると共に、二つの筐体の中に配備されるプリント配線板間を接続する信号導体を、ヒンジ機構の回転軸中心を通過させることができるようにすることである。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の携帯通信端末の一つの実施の形態に係る折り畳み式携帯電話機10の基本構成を回転動作状態の推移に応じて示した外観平面図であり、同図(a)は下側のキーボード側ユニット100に対し上側のディスプレイ側ユニット200が回転なしでかつ閉じた状態、同図(b)はディスプレイ側ユニット200をキーボード側ユニット100に対して開くように回転させた開状態、同図(c)は同図(b)の開状態からキーボード側ユニット100に対してディスプレイ側ユニット200を90度時計回りに回転移動した中途移動状態、同図(d)は同図(c)の開状態からキーボード側ユニット100に対してディスプレイ側ユニット100を更に90度時計回りに回転移動した裏返し重ね状態、をそれぞれ示すものである。
ここで、2軸ヒンジ機構300は、第1の回転軸(水平回転の軸)に係る第1のヒンジユニットと第2の回転軸(開閉回転の軸)に係る第2のヒンジユニットとを有しており、第1のヒンジユニットにより、ディスプレイ側ユニット200を図1(a)および(b)の状態から時計回りに180度、図1(d)に示す状態から反時計回りに180度回転可能になされており、第2のヒンジユニットにより、図1(a)から図1(b)の状態へディスプレイ側ユニット200をキーボード側ユニット100に対して回転させて開状態とすることができる。そのとき、図1(b)に示す通話状態での開き角度を所定の角度(150ないし170度)に規定するとともに、図1(b)に示す状態から、図1(c)を経て図1(d)の状態に推移するにつれて徐々に開き角度が180度となるように制御される。
図2に示される2軸ヒンジ機構300は、キーボード側ユニット100上にディスプレイ側ユニット200を、その主表示部を内側として閉じた場合〔図1(a)に示す状態〕の状態を示す。この状態から、連結ブラケット305および外筒ケース311、321は開閉軸と共に固定軸312の周りを上から見て時計回りに180度回転することができる。すなわち、図1(a)に示される状態から、ディスプレイ側ユニット200を2軸ヒンジ機構300の中心を回転中心として時計回りに180度回転させることができる。また、図2に示される状態から開閉軸を右から見て時計回りに、150ないし170度の角度に、つまり開閉ストッパ当て322aが制御用突起部材313の突起部313aに当接するまで回転することができる。すなわち、図1(a)に示される状態から、ディスプレイ側ユニット200を図1(b)に示す状態にまで開くことができる。
図4に示されるように、制御用突起部材313には、概略四角形の孔が開設され、その外周部表面には、頂部平坦部と傾斜部とを有する台形状の突起部313aが形成されている。摺動用ワッシャ314と制御用突起部材313とは、連結ブラケット305の段差部に落とし込まれた後に、固定軸312の鍔部312aによって押さえ込まれる。固定軸312に対し、連結ブラケット305は回転自在であるが制御用突起部材313の回転は拘束される。
外筒ケース311には突起311cが形成されており、その突起311cが連結ブラケット305の外周部に形成された凹部に嵌め込まれる。これにより連結ブラケット305と外筒ケース311とは一体となってD2方向に回転する。
図5は、L字ブラケット303と開閉軸322との拡大斜視図である。図5に示されるように、開閉軸322の軸部は、円柱部322bと、円柱を平行な2つの面でカットした二面カット部322cと、2面カット部322cより薄くカットされた先端二面カット部322dを有しており、二面カット部322cには切り欠き322eが形成されている。この切り欠き322eに嵌め込まれる止め金332は、ばね329の弾性力に抗して金属プレート331、摺動用ワッシャ330、固定カム326、回転カム328に対する抜け止めとなる。開閉軸322の先端二面カット部322dは、L字ブラケット303に形成された挿入孔303aに嵌入され、“かしめ”止めされる。
回転カム327、328は、開閉軸322に拘束されてこれと一緒に回転するが、開閉軸322の軸方向への移動は制限されていない。回転カム327、328間には、両者を離隔させる方向に弾性力を作用するばね329が配置される。回転カム327、328のばね329に当接する側の面には、ばね329の移動を規制する突起が形成されている。ばね329は、回転カム327、328をそれぞれ固定カム325、326に押し当てており、そして、固定カム325と回転カム327との互いに向き合う面、および、固定カム326と回転カム328との互いに向き合う面にはそれぞれ凹凸が形成されており、これにより回転トルクを発生させ、また所定の回転角度においていわゆる定位感あるいはクリック感を生成する。
図示されていないが、キーボード側ユニット100内のプリント配線板とディスプレイ側ユニット200内のプリント配線板との間に接続される接続用導体は、ベースプレート301の裏面側から固定軸312内を通り、連結ブッシュ306を通されてディスプレイ側ユニット200の筐体部204内に導入される(図8〜図10参照)。
次に、図7〜図9を参照して本実施の形態の2軸ヒンジ機構の動作についてより詳しく説明する。図7は、ベースプレート301上の回転トルク発生部310の状態を示す斜視図、図8(a)、図9(a)は、制御用突起部材313と開閉軸322との関係を示す斜視図、図8(b)、(c)、図9(b)、(c)は、L字ブラケット303および開閉軸322(開閉ストッパ当て322aの後方に隠されている)と制御用突起部材313との関係を示す側面図である〔図8(b)は図8(a)を紙面手前側から見た側面図であり、図8(c)は図8(a)の状態から開閉軸322をD2方向に180度回転させた後の状態を紙面裏側から見た側面図である。また、図9(b)は図9(a)を紙面手前側から見た側面図であり、図9(c)は図9(a)の状態から開閉軸322をD2方向に180度回転させた後の状態を紙面裏側から見た側面図である。〕。なお、図8(a)、図9(a)には、固定軸(312)内を通される、キーボード側ユニット100内のプリント配線板とディスプレイ側ユニット200内のプリント配線板間の接続用導体350が模式的に示されている。
図7、図8は、図1(a)に示される表示部を内側にしてディスプレイ側ユニット200をキーボード側ユニット100上に折り畳んだ状態から、ディスプレイ側ユニット200を開くことなく(D1方向に回転させることなく)D2方向に180度回転させる場合の動作説明図である。図7(a)、図8(a)、(b)は、閉じられた(折り畳まれた)状態を示す。この状態では、外筒ケース311から突出した突起316aは回転ストッパ302aに当接しており、外筒ケース311を(従って開閉軸322を)上から見て反時計回りに回転させることはできない。しかし、図7(b)に示すように、固定軸312を中心として外筒ケース311を(従って開閉軸322を)時計回りに回転させることはできる。図7(b)に示す状態から更に外筒ケース311を時計回りに回転させて、回転角度が180度になると、図7(c)に示されるように、外筒ケース311から突出した突起316aが回転ストッパ302bに当接してそれ以上の回転は阻止される。このときの状態を図8(c)に示す。この回転移動の際に制御用突起部材313の突起部313aが開閉ストッパ当て322aの移動を干渉することはない。
このとき、外筒ケース311は図7(a)に示す状態にある。従って、このとき外筒ケース311と開閉軸322を固定軸312を中心として上から見て時計回りに(D2方向に)回転させることができる。外筒ケース311と開閉軸322を固定軸312を中心としてD2方向に回転させると開閉ストッパ当て322aが突起部313aの傾斜部上に至りD1方向〔図9(b)において時計回り〕への回転が可能になる。この状態で外筒ケース311と開閉軸322とのD2方向の回転を続けると、開閉ストッパ当て322aは突起部313aの傾斜部を滑り降りながらD1方向の回転を続け、最終的には図9(c)に示されるように開き角度が180度となる。そして、図1(d)に示される、表示部201を表側としてディスプレイ側ユニット200がキーボード側ユニット100に丁度重なった状態に至ると、図7(c)に示されるように、外筒ケース311から突出した突起316aが回転ストッパ302bに当接してそれ以上の回転は阻止される〔図9(c)はこのときの状態を示す〕。
図10(a)〜(c)は、キーボード側ユニット100内のプリント配線板とディスプレイ側ユニット200内のプリント配線板間の接続用導体の引き回し状態を説明するための2軸ヒンジ機構300の斜視図である。図示された2軸ヒンジ機構300は、図1(a)に示される、ディスプレイ側ユニット200がキーボード側ユニット100上に閉じられた場合の状態を示している。図10(b)、(c)は、それぞれ図10(a)を後ろ側、下側から見た図である。なお、ディスプレイ側ユニット200側のプリント配線板205は、図を見やすくするために、ディスプレイ側ユニット200を開いたときの状態が示されている。
キーボード側ユニット100側のプリント配線板105から引き出された接続用導体は、Aに示すように、ベースプレート301の裏側からその角孔を通して固定軸312内に導入される。Bに示すように固定軸312から引き出された接続用導体は、連結ブッシュ306内を通され、Cに示すようにディスプレイ側ユニット200側のプリント配線板205へと導かれる。
本発明の携帯型通信端末によれば、接続用導体は固定軸312内部を通され、ヒンジ機構の周囲に巻回する必要がなくなるため、導体長を短くすることができる。そして、信号接続用導体には、図8(a)に示されるように、極細同軸線が用いられるため、高速の信号伝達が可能になり、信号のシリアル通信化が可能となるために、パラレル通信の場合に比較して接続導体本数を5〜10分の1に減らすことができる。従って、本発明によれば、信号品質の向上と小型化・省スペース化が可能になる。
Claims (10)
- 第1のヒンジユニットと第2のヒンジユニットとを有する、第1のユニットに対し第2のユニットを開閉可能かつ回転可能に連結するための2軸ヒンジ機構であって、第1のヒンジユニットは、前記第1のユニットに固定されるベースプレートと、該ベースプレートに固着された固定軸と、該固定軸に固定された、該固定軸の中心線と直交する平面に対して傾いた傾斜部を有する制御用突起部材と、前記固定軸を回転自在に保持する開口と一対の支持ブラケットとを有する連結ブラケットと、を有し、第2のヒンジユニットは、前記第2のユニットの前記第1のユニットに対する開閉角度を規制する、前記第2のユニットが前記第1のユニットに対して一定の開閉角度をもって開かれた状態から前記固定軸を中心として回転する際に前記制御用突起部材の傾斜部に当接しつつこれを滑り降りるストッパ当てを有する、前記連結ブラケットの一方の支持ブラケットに回転自在に支持された回転軸と、該回転軸と前記第2のユニットとに固定されるブラケット部材と、前記連結ブラケットのC字状の他方の支持ブラケットに嵌着される、前記第2のユニットに連結されるC字状の連結ブッシュと、を有していることを特徴とする2軸ヒンジ機構。
- 前記制御用突起部材が、前記固定軸の一部として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の2軸ヒンジ機構。
- 前記制御用突起部材の傾斜部の上端部と下端部は、前記平面に対して平行な面と接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の2軸ヒンジ機構。
- 前記制御用突起部材の前記傾斜部または前記突起部の最も標高の高い位置に前記ストッパ当てが当接してストッパ機能が作用した際の前記第2のユニットの前記第1のユニットに対する開閉角度は150度〜170度の範囲に設定されており、最も標高の低い位置に前記ストッパ当てが当接した際の前記第2のユニットの前記第1のユニットに対する開閉角度は180度に設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の2軸ヒンジ機構。
- 前記固定軸が中空に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の2軸ヒンジ機構。
- 前記ベースプレートには一対の回転ストッパが設けられており、前記ベースプレート上には前記連結ブラケットに固定された、該連結ブラケットの回転トルクを制御する回転トルク発生機構の外筒ケースが設けられ、該外筒ケースからは前記一対の回転ストッパに当接する突起が突出していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の2軸ヒンジ機構。
- 請求項1から6のいずれかに記載された2軸ヒンジ機構を有し、前記第1のユニットはキー操作部を、前記第2のユニットは表示部を有することを特徴とする携帯型通信端末。
- 前記第1のユニットに装着されるプリント配線基板と前記第2のユニットに装着されるプリント配線基板との間に接続される導電線は、前記固定軸内を挿通されることを特徴とする請求項7に記載の携帯型通信端末。
- 前記導電線は、前記連結ブラケットの他方の支持ブラケットに嵌着されたブッシュ内を挿通されることを特徴とする請求項8に記載の携帯型通信端末。
- 前記導電線の少なくとも一部は、極細同軸線であることを特徴とする請求項8または9に記載の携帯型通信端末。
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