JP4655348B2 - アクリル酸誘導体化合物、これを重合した高分子液晶および用途 - Google Patents

アクリル酸誘導体化合物、これを重合した高分子液晶および用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル酸誘導体化合物、これを重合させた高分子液晶および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶モノマに重合性官能基を付与した重合性液晶モノマは、モノマとしての性質と液晶としての性質を併有する。したがって、重合性液晶モノマを配向させた状態で重合させると、配向が固定化された重合体、すなわち高分子液晶が得られる。こうして得られる高分子液晶は、液晶性骨格の屈折率異方性に基づく光学異方性を有し、液晶配向状態の制御により特殊な特性も付与できるため、位相差フィルムや偏光ホログラム等の光学素子に応用されている。
このような重合性液晶モノマのなかでも、特に光重合性官能基を有する光重合性液晶モノマは、光を照射して重合させることで、簡単に高分子液晶を作製できる優れた材料である。
【0003】
この高分子液晶を用いた偏光ホログラムは、特開平11−211905号公報に記載があるように、その偏光依存性に優れることにより高い光利用効率を発現する。このとき、格子高さd、高分子液晶の屈折率異方性△n、波長λとすると、λ/2=△n・dを満たす場合、±1次の回折効率が最大となる。
【0004】
近年、光ヘッドの小型化に伴い、前記偏光ホログラムは回折格子ピッチpの狭小化が進んでいる。しかし、フォトリソグラフィにて格子を形成する際、ピッチが細かくなり、格子のアスペクト比d/pが大きくなると、理想格子形状からのずれが大きくなるため、回折効率が低下する問題が生じる。そこで格子高さdを低くし、アスペクト比を小さくすることが求められる。すなわち、屈折率異方性の大きい高分子液晶が望まれる。
【0005】
このような高分子液晶として、例えば、特開平9−208957号公報に記載があるように、△n=0.16と大きな屈折率異方性を有するものが知られている。この高分子液晶は下記式2または式3で表される化合物の組成物からなる。
【0006】
【化2】
【0007】
式3で表される液晶モノマのように、分子中にメチレン基をスペーサとして導入することにより、高分子液晶の屈折率異方性が大きくなるが、一方で屈折率異方性の温度依存性も大きくなる。このような高分子液晶を偏光ホログラムに用いると、回折効率が温度により大きく変化するため、安定した再生ができない問題が生じる。
この問題を解決するには、架橋性液晶モノマを含む組成物を重合した高分子液晶を用いる方法が効果的である。このような架橋性液晶モノマとして、例えば、下記式4で表される化合物(特許第2716451号)が知られている。
【0008】
【化3】
(ただし、q=2〜11であり、ここで用いられる符号は本式中の符号のみを指すものとする。)
【0009】
しかし、高分子液晶の屈折率異方性をさらに向上させるためには、より高い屈折率異方性を持つ架橋性液晶モノマが求められている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、第1に高い屈折率異方性を有する架橋性液晶モノマであるアクリル酸誘導体化合物を提供することにあり、第2にこれを含む組成物を重合して得られる高分子液晶およびその用途を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式1で表されるアクリル酸誘導体化合物(以下、化合物1ともいい、他の場合も同様である)を提供する。
【0012】
【化4】
式1中の記号は以下の意味を示す。
1 、R2 :それぞれ独立して、水素原子またはメチル基。
1 、E2 :それぞれ独立して、1,4−フェニレン基であり、基中の水素原子の1個以上がフッ素原子、塩素原子またはメチル基に置換されていてもよい。
m、n:E1 、E2 がいずれも非置換の1,4−フェニレン基である場合、m、nはそれぞれ独立して4〜12の整数であり、またE1 、E2 が1,4−フェニレン基であり、その少なくとも一方の基中の水素原子の1個以上が置換されている場合、m、nはそれぞれ独立して3〜12の整数である。
上記式中、m=nであるのが特に好ましい。
【0013】
また、本発明は、上記アクリル酸誘導体化合物の1種以上を組成物中に10〜90質量%含む組成物と、該組成物を重合させてなる高分子液晶、その高分子液晶を用いてなる光学素子、および該光学素子を用いてなる光ヘッドを提供する。
組成物は、紫外線または可視光線を照射して重合させるのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のアクリル酸誘導体化合物とは、アクリル酸誘導体である化合物とメタクリル酸誘導体である化合物とを総称していう。アクリロイルオキシ基等の表現も同様である。
本発明の化合物1は、両末端に光重合性の官能基であるアクリロイルオキシ基を有しており、該アクリロイルオキシ基はアルキレンオキシ基を介して液晶骨格と結合している。液晶骨格は置換または非置換の1,4−フェニレン基が−C≡C−基に結合した骨格、すなわちトラン基(またはその誘導体)を有しており、このトラン基により化合物1は大きな屈折率異方性を発現できる。
【0015】
式1中、R1 、R2 は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。
1 、R2 が水素原子であると、重合速度がはやくなるので好ましい。またR1 、R2 がメチル基であると嵩高いので、主鎖骨格の緩和を抑制できるため好ましい。
【0016】
1 、E2 は、それぞれ独立して、1,4−フェニレン基であり、基中の水素原子の1個以上がフッ素原子、塩素原子またはメチル基に置換されていてもよい。E1 は1,4−フェニレン基が好ましく、E2 は1,4−フェニレン基または基中の水素原子の1個がメチル基に置換された1,4−フェニレン基が好ましい。一般に組成物にした場合、E1 、E2 が1,4−フェニレン基であると、高い複屈折率異方性を発現するので好ましい。一方、E2 の水素原子の1個がメチル基に置換された場合、低温でネマチック相が発現するので好ましい。この場合、メチル基の置換位置は特に限定されないが、下記α位よりβ位の方が、この化合物を含む組成物がより低温でネマチック相を出現するため好ましい。
【0017】
【化5】
【0018】
1 、E2 がいずれも非置換の1,4−フェニレン基である場合、m、nはそれぞれ独立して4〜12の整数である。4未満であると融点が高くなり、12を超えると長すぎて屈折率異方性の温度依存性が大きくなるという問題がある。例えば、本発明の化合物1と類するが、トラン基と側鎖との間にメチレン基などのスペーサを有しない下記式で表される化合物(BULL.Soc.Chem.Fr.1973、2、605)は、融点が135℃であり、このように融点が高い化合物を含む組成物も融点が高くなるという問題が生ずるため好ましくない。
【0019】
【化6】
【0020】
一方、E1 、E2 が1,4−フェニレン基で、その少なくとも一方の基中の水素原子の1個以上が置換されている場合は融点が低いので、m、nはそれぞれ独立して3〜12の整数である。3未満であるとスペーサが短すぎるため重合時に屈折率異方性の低下が大きくなるという問題がある。
【0021】
m=nである化合物、すなわち下記式5、式6または式7で表されるアクリル酸誘導体化合物(以下、化合物5、化合物6または化合物7ともいう)であると合成が簡便となる点で好ましい。
【0022】
【化7】
【0023】
化合物5、化合物6または化合物7としては、下記の化合物が好ましく例示される。(ただし、Phは1,4−フェニレン基を示し、Ph(CH3 )は上記α位にメチル基が置換されている場合と上記β位にメチル基が置換されている場合の両方を示す。)
【0024】
【化8】
【0025】
化合物5は、例えば以下に示す方法により合成できる。
【0026】
【化9】
(上記式中、R1 、mは式1におけるR1 、mと同義であり、R1 が水素原子の場合に化合物5が得られる。)
【0027】
<第1段階>
4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレン(化合物a)とn−ブロモアルコールを溶媒に混合して溶解し、塩基の存在下、加熱還流して反応を行う。
反応終了後、反応物を精製し、4,4’−ビス(ヒドロキシアルコキシ)ジフェニルアセチレン(化合物b)を得る。
【0028】
塩基は特に限定されず公知のものを用いることができる。例えば、炭酸カリウム、水酸化カリウム等が好適である。
溶媒は、4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレンおよびn−ブロモアルコールを易溶するもので、これらに不活性なものであれば特に限定されないが、例えば、ジメチルホルムアミドまたはエタノール等が好ましく用いられる。
【0029】
<第2段階>
次に、得られた化合物bを溶媒に溶解し、塩基の存在下、アクリル酸クロリドを滴下し充分に撹拌しながら室温で反応させる。式5において、R1 がメチル基の場合はアクリル酸クロリドに代えてメタクリル酸クロリドを用いればよい。
反応終了後、生成物を精製して化合物5を得る。
塩基は特に限定されず公知のものを用いることができ、例えば、N,N−ジメチルアニリンまたはトリエチルアミン等が好適に例示される。
溶媒は、上記化合物b、塩基およびアクリル酸クロリドを易溶するもので、かつ不活性なものが好ましい。例えば、N,N’−ジメチル−2−ピロリジノンまたはテトラヒドロフランが好適に例示される。
化合物6または化合物7についても、化合物aの代わりに下記化合物cまたは下記化合物dを用いることにより同様にして得られる。
【0030】
【化10】
【0031】
化合物5、化合物6または化合物7の合成法は上記の方法に限定されず、他の合成経路でも得られる。例えば、トリフェニルホスフィンとアゾジカルボン酸ジエチルの存在下、上記化合物aとアクリル酸4−ヒドロキシアルキルを反応させる方法等がある。
化合物1がm≠nである場合には、化合物aの水酸基の一方を保護した化合物を用いて反応させればよい。保護基としては塩基の存在下で安定な保護基が好ましく、さらに室温で簡単に脱離できるものがよい。保護基としては、特に限定されず公知の保護基を用いればよく、例えば、テトラヒドロピラニル基またはベンジル基等が挙げられる。
【0032】
上記のようにして得た化合物1を組成物として用いる際には、化合物1の1種以上を他の重合性液晶化合物、重合性非液晶化合物、非重合性液晶化合物、非重合性非液晶化合物と適宜混合して、所望の特性を有する組成物とすることが好ましい。化合物1の組成物中の割合は、10〜90質量%が好ましく、特に20〜80質量%が好ましい。10質量%未満では架橋効果が不充分であり、90質量%を超えると重合時にクラックが発生する場合があるので、上記範囲内で用いることが好ましい。
他の重合性液晶化合物は、液晶骨格と重合性官能基とを有する公知の化合物であれば特に限定されない。液晶骨格としては少なくとも2つ又は3つの六員環を有するものが好ましい。他の重合性液晶化合物としては、例えば、ポリエステル系、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリメタクリレート系、ポリアクリレート系等の化合物が挙げられる。これらの中でも特にポリアクリレート系またはポリメタクリレート系の化合物が良好な光重合特性を有することから好ましい。
【0033】
他の重合性液晶化合物が、複数の重合性官能基を有する場合には、重合性官能基の種類が異なっていてもよい。重合性官能基を2つ有する化合物は多数知られており、これらを重合させた場合には、一般的に良好な耐熱性および強度特性を得られることから好適に用いられる。このような化合物は組成物中に20〜80質量%含むのが好ましい。
具体的には、特開平10−265531号公報に記載されている下記のジアクリル酸化合物を例示できる。
【0034】
【化11】
(式中、A2 はフッ素原子、塩素原子、水素原子またはメチル基であり、qは0〜8の整数であり、qが0または1である場合のrは0であり、qが2〜8の整数である場合のrは1であり、X2 は単結合、−COO−、−OCO−または−CH2 CH2 −であり、sは0または1であり、pは0または1であり、pが0である場合のX3 は単結合であり、pが1である場合のX3 はX2 と同一構造である。ただし、ここで用いられる符号は本式中の符号のみを指すものとする。)
【0035】
特に下記の化合物が好ましい。
【0036】
【化12】
【0037】
また、分子内に重合性官能基を1つ有する化合物としては、組成物中に20〜80質量%含んでいるとよく、同公報に例示される下記式で表される化合物が挙げられる。
【0038】
【化13】
(式中、A1 はフッ素原子、塩素原子、水素原子またはメチル基であり、mは0〜8の整数であり、mが0または1である場合のnは0であり、mが2〜8の整数である場合のnは1であり、X1 は単結合、−COO−、−OCO−または−CH2 CH2 −であり、Yは1,4−フェニレン基または1,4−トランスシクロヘキシレン基であり、Z1 は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フッ素原子、塩素原子またはシアノ基である。ただし、ここで用いられる符号は本式中の符号のみを指すものとする。)
【0039】
これらの中でも、特に、下記の化合物が屈折率異方性が大きいことから好適である。
【0040】
【化14】
【0041】
また、下記式に示される化合物も例示できる。
【0042】
【化15】
(式中、R3 は水素原子またはメチル基、R4 はアルキル基、E3 、E4 、E5 はそれぞれ独立して1,4−フェニレン基であり、基中の水素原子の1個以上がフッ素原子、塩素原子またはメチル基に置換されていてもよい。X、Yはそれぞれ独立して単結合またはオキシカルボニル基、αは0〜8の整数、βはαが0の場合は0、αが1以上の場合は1、γは0または1を表す。ただし、ここで用いられる符号は本式中の符号のみを指すものとする。)
【0043】
特にR4 が炭素数2〜6のアルキル基である化合物が好ましく、例えば下記化合物が好適である。
【0044】
【化16】
【0045】
さらに、下記式に示される化合物も例示できる。
【0046】
【化17】
(式中Yは1,4−フェニレン基または1,4−トランスシクロヘキシレン基であり、Z2 は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
【0047】
具体的には、4−(トランス−4’−n−プロピルシクロヘキシルカルボニルオキシ)フェニルアクリレート、4−(トランス−4’−n−ブチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)フェニルアクリレート、4−(トランス−4’−n−ペンチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)フェニルアクリレート、4−(4’−n−プロピルフェニルカルボニルオキシ)フェニルアクリレート、4−(4’−n−ブチルフェニルカルボニルオキシ)フェニルアクリレート、4−(4’−n−ペンチルフェニルカルボニルオキシ)フェニルアクリレートが好ましく例示される。
これらの重合性液晶化合物は、1種でも2種以上を組合せて用いることもできる。
【0048】
また、本発明の組成物は重合性非液晶化合物、すなわち液晶性を示さない重合性化合物を含んでもよい。このような重合性化合物としては、特に限定されないが、アクリレート系、メタクリレート系、ビニルエーテル系の化合物が特に好ましく、これらは1種でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0049】
さらに、本発明の組成物には、非重合性液晶化合物、すなわち重合性官能基を有していない液晶化合物を含むことができる。このような液晶化合物は、公知の液晶化合物であれば特に限定されず、低温で液晶性を示す成分、低粘性成分、誘電率異方性を向上させる成分、コレステリック性を付与する成分など、用途、要求性能等により適宜選択して用いることができる。これらは1種でも2種以上を組合せて用いることもでき、所望の特性を付与できる割合で含むのが好ましい。
【0050】
例えば、特開平9−180234号公報、特開平9−281332号公報に記載される下記式に表される化合物などが挙げられる。
【0051】
【化18】
(式中、Aはフェニレン基またはトランス−1,4−シクロへキシレン基、mは0または1、Xはフッ素原子または水素原子、Yはシアノ基、フッ素原子または塩素原子、Zはフッ素原子または水素原子、Rは炭素数2〜8の直鎖状アルキル基または炭素数2〜8の直鎖状アルコキシル基である。ただし、ここで用いられる符号は本式中の符号のみを指すものとする。)
【0052】
特に粘性を低下させる目的では、例えば特開平9−328443号公報に記載されるビフェニルの両末端にアルケニル基を有するジアルケニルビフェニル誘導体などが効果的であり、このような化合物は透明点を上昇させる効果もあり、また比較的屈折率異方性も大きいことから好適に用いることができる。
また特開平10−36847号公報では、減粘剤、NI(ネマチック相−等方相転移)点調整剤、または凝固点調整剤として下記構造の化合物が例示されている。
【0053】
【化19】
(式中、Rはアルキル基またはアルコキシ基を示し、Xは、水素原子、メチル基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基などを示し、nは正数を示す。ただし、ここで用いられる符号は本式中の符号のみを指すものとする。)
さらに特開平10−228670号公報に記載される下記構造の化合物を用いることもできる。
【0054】
【化20】
(式中、R5 、R6 およびR7 はアルキル基、またはアルコキシル基を示し、mは0または1の整数を示す。ただし、ここで用いられる符号は、本式中の符号のみを指すものとする。)
【0055】
また、誘電率異方性を向上させる化合物としては、例えば、特開平10−067694号公報に記載される下記構造の化合物等が挙げられる。
【0056】
【化21】
(式中、R4 およびR5 は各々独立して炭素数1〜10のアルキル基を示すが、基中の隣合わない任意のメチレン基は酸素原子または−CH=CH−で置換されても良い。また、基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されても良い。Y2 は−CN基または−C≡C−CNを示す。環Fはトランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルを示し、環Gはトランス−1,4−シクロヘキシレン、水素原子がフッ素原子で置換されていても良い1,4−フェニレンまたはピリミジン−2,5−ジイルを示し、環Mはトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンを示す。Z6 は1,2−エチレン基、−COO−または共有結合を示す。L3 、L4 およびL5 は各々独立して水素原子またはフッ素原子を示す。b、cおよびdは各々独立して0または1を示す。また、各々の式中で使用されている原子は、同位体をも含有して示す。ただし、ここで用いられる符号は本式中の符号のみを指すものとする。)
【0057】
本発明の組成物は、−30〜150℃、さらには−10〜120℃の温度範囲に液晶相を発現するよう調製されるのが好ましく、より広い温度範囲で液晶相を示すことが好ましい。
【0058】
また、本発明の組成物はカイラル化合物を添加してコレステリック性を付与することもできる。カイラル化合物としては特に限定されず、例えば、ペラルゴン酸コレステロールまたはステアリン酸コレステロールなどの光学活性基としてコレステリル基を有するものや、市販品ではCB−15、C−15(BDH社製)、S−1082、S−811(メルク社製)、CM−21、CM−22(チッソ社製)などの光学活性基として2−メチルブチル基を有するものを好ましく用いることができる。これらは、1種でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
さらに、本発明の組成物は、その保存安定性を向上させるために安定剤を添加してもよい。安定剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類または第三ブチルカテコール類などが例示される。
【0060】
このようにして調製した本発明の組成物は、光重合により高分子液晶を形成する。この際、支持体としてガラス、プラスチック等を使用できる。支持体面には必要に応じて配向処理を施してもよい。配向処理は、支持体面を、綿、羊毛等の天然繊維、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維などで直接ラビングしてもよく、ポリイミド、ポリアミド等を塗布しその面を上記繊維等でラビングしてもよい。ガラスビーズなどのスペーサを配置し、複数枚の支持体を所望の間隔に制御して対向させ、支持体間に上記組成物を注入し、充填する。注入された組成物は液晶状態に保持し、分子を配向させた状態で光重合させる。
【0061】
組成物を液晶状態に保つためには、雰囲気温度を融点Tm からネマチック等方相転移温度Tc の範囲にすればよいが、Tc に近い温度では屈折率異方性が極めて小さいので、雰囲気温度の上限は(Tc −10)℃以下とするのが好ましい。光重合に用いる光としては、紫外線または可視光線などが好ましく挙げられる。
光重合する場合には、光重合開始剤を用いると効率よく重合させうる。光重合開始剤としては特に限定されず、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、ベンジル類、ミヒラーケトン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、チオキサントン類などの光重合開始剤が好ましく使用できる。また必要に応じて、2種以上の光重合開始剤を混合使用してもよい。光重合開始剤の使用量は、組成物に対して0.1〜10質量%が好ましく、特に0.3〜2質量%が好ましい。
【0062】
本発明の高分子液晶は支持体に挟んだまま用いてもよく、支持体から剥離して用いてもよい。こうして作製された高分子液晶は屈折率異方性が高く、重合前のモノマ液晶の温度範囲より広い温度範囲で液晶性を有するため、光学素子に好適である。
【0063】
かかる光学素子の中でも、一軸異方性を有する高分子フィルムとして適しており、例えば、位相差フィルム、偏光プリズムまたは偏光ホログラム等が例示できる。特に偏光ホログラムとして最適であり、これを以下に説明する。
偏光ホログラムは、周期的に屈折率変調された格子構造を有することにより、異なる偏光に対して、回折効率を変化させる機能を有する。特に偏光方向が90度異なるS偏光とP偏光に対して、0次と±1次の回折効率比が最大になる場合が、好ましく用いられている。また光学素子の使用に際しては、偏光方向を制御するために、1/4波長板と組合せて使用されることが多く、このような例として、光ピックアップとして用いられる往復効率の高い偏光ホログラムビームスプリッタが挙げられる。
【0064】
高分子液晶を偏光ホログラムとして用いる場合、屈折率変調された格子構造を作製する方法としては、周期上にパターニングされたITO等の透明電極を有する基板を用いて、モノマ状態で所定の配向状態に制御した後、重合して周期的に屈折率変調された高分子液晶とするか、または特開平11−211905号公報に記載があるように、モノマを一軸配向させて重合し、一軸配向した高分子液晶とした後、フォトリソグラフィーにて格子形状を付与させ、格子凹部に等方性媒質を充填する方法等が挙げられる。
また、該対向する2枚の基板に該配向処理を施した後に少なくとも一方の基板の対向面に離型処理をして、上記の偏光ホログラムを製造してもよい。
さらには偏光ホログラムの作製方法として、格子形状を有する等方性基板の凹部に組成物を充填した後、重合させて偏光ホログラムとする方法を例示できる。充填に際しては、ラビング処理を施した基板を用いると配向乱れが少ないため好ましい。充填方法は上記特開平11−211905号公報と同様の方法が可能であり、また、対向する格子形状を有しない基板に、配向処理を施した後、離型処理を行い、重合後に前記対向基板を剥離して、上記偏光ホログラムを製造してもよい。
【0065】
次に、上述の偏光ホログラムをホログラムビームスプリッタとして光ヘッド装置に用いた場合の概略側面図を図1に示す。図1では、光源である半導体レーザ5から出た光は、ホログラムビームスプリッタである偏光ホログラム4を透過し、対物レンズ7で光ディスク8上に集光され光ディスク8からの反射光は再び対物レンズ7を透過し、ホログラムビームスプリッタにより回折され受光素子6に到達する。
このホログラムビームスプリッタと光ディスク8との間に1/4波長板10を挿入することにより、往路と復路で半導体レーザ5から出射した直線偏光の偏光方向を90度回転させることができ、これにより、往路の偏光方向の光に対しては透過率が高く、復路の偏光方向の光に対しては回折効率が高くなって光の利用効率を高めうる。
【0066】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[例1:化合物5Aの合成]
下記式で表される化合物5Aを合成した。
【0067】
【化22】
【0068】
4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレン(前記化合物a)15g(0.070モル)、6−ブロモ−1−ヘプタノール38.8g(0.21モル)、炭酸カリウム39g(0.29モル)とジメチルホルムアミド150mLの混合物を125℃で還流した。充分反応した後、反応液を氷水に加え、減圧ろ過を行い結晶を採取した。これを1mol/LのHClおよび水にて洗浄し、乾燥した。その後ジオキサンさらにジオキサン/トルエン混合溶媒にて再結晶を行い、4,4’−ビス(6−ヒドロキシヘプチルオキシ)−ジフェニルアセチレン(前記式b中、m=6で表される化合物)の粉末結晶17.6gを得た(収率60%)。
【0069】
次に、得られた粉末結晶11.7g(0.030モル)をジメチルアニリン57.2g(0.47モル)とN,N’−ジメチル−2−ピロリジノン150mLに溶解し、N,N’−ジメチル−2−ピロリジノン20mLに溶解したアクリル酸クロリド10.3g(0.11モル)を滴下した。室温で充分反応させた後、反応液を氷水に加え、有機相を抽出した。これにヘキサンを添加し、析出物を減圧ろ過にて採取した。これを塩化メチレン(溶媒)に溶解し、0.5mol/LのNaOHおよび水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧濃縮し、得られた結晶を、ヘキサン/トルエン混合溶媒を用いて再結晶を行った。さらにヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を展開溶媒とし、シリカゲルを充填したカラムを用いてカラムクロマトグラフィを行った。抽出液を精製し、ヘキサン/トルエン混合溶媒で再結晶を行い、化合物5A、すなわち4,4’−ビス(6−アクリロイルオキシヘプチルオキシ)ジフェニルアセチレンの粉末結晶7.65g(収率52%)を得た。
【0070】
化合物5Aの赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)を図2に示す。
また、1H−NMRスペクトル(CDCl3 溶媒、TMS内部標準)は、δ(ppm):1.3〜1.5(8H,m)、1.64(4H,m)、1.72(4H,m)、3.99(4H,t)、4.11(4H,t)、5.93(2H,d)、6.17(2H,dd)、6.31(2H,d)、6.94(4H,d)、7.43(4H,d)であった。
【0071】
化合物5Aを偏光顕微鏡下で観察した結果、昇温時に68℃で結晶から等方性液体に変化した。降温時には68℃で等方性液体からスメクチックA相に、57℃で結晶に相転移したことから、モノトロピック液晶であることを確認した。
【0072】
[例2:化合物5Bの合成]
例1で用いた6−ブロモ−1−ヘプタノールの代わりに8−ブロモ−1−オクタノールを用いた。他は例1と同様にして、下記の化合物5Bを得た。
【0073】
【化23】
【0074】
化合物5Bの赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)を図3に示す。
また、 1H−NMRスペクトル(CDCl3 溶媒、TMS内部標準)は、δ(ppm):1.3〜1.5(16H,m)、1.67(4H,m)、1.78(4H,m)、3.96(4H,t)、4.15(4H,t)、5.82(2H,d)、6.12(2H,dd)、6.39(2H,d)、6.84(4H,d)、7.42(4H,d)であった。
化合物5Bを偏光顕微鏡下で観察した結果、昇温時に75℃で結晶から等方性液体に変化した。降温時には75℃で等方性液体からスメクチックA相に、70℃で結晶に相転移したことから、モノトロピック液晶であることを確認した。
【0075】
[例3:化合物5Cの合成]
下記化合物5Cを、以下のようにして合成した。
【0076】
【化24】
【0077】
4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレン1.00g(0.0048モル)、乾燥テトラヒドロフラン20mL、アクリル酸4−ヒドロキシブチル1.65g(0.011モル)、トリフェニルホスフィン2.99(0.011モル)を混合し、これにジエチルアゾジカルボキシレート1.99g(0.11モル)と乾燥テトラヒドロフラン10mLの混合物を加え、室温で反応させた。充分に反応させた後、テトラヒドロフランを留去し、褐色液を得た。これを、ジクロロメタンを展開液としシリカゲルを充填したカラムを用いて、カラムクロマトグラフィを行った。抽出液を精製し、エタノールにて再結晶を行い、化合物5C、すなわち4,4’−ビス(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)ジフェニルアセチレンの粉末結晶1.10g(収率50%)を得た。
【0078】
化合物5Cの赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)を図4に示す。
また、 1H−NMRスペクトル(CDCl3 溶媒、TMS内部標準)は、δ(ppm):1.89(8H,m)、4.01(4H,t)、4.24(4H,t)、5.83(2H,d)、6.12(2H,dd)、6.41(2H,d)、6.85(4H,d)、7.43(4H,d)であった。
化合物5Cを偏光顕微鏡下で観察した結果、昇温時に80℃で結晶から等方性液体に変化した。降温時には79℃で等方性液体から結晶に相転移し、液晶相は見られなかった。
【0079】
[例4:化合物6Aの合成]
例1で用いた4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレン(前記化合物a)の代わりに4,4’−ジヒドロキシ−3−メチルジフェニルアセチレン(前記化合物c)を用いた。他は例1と同様にして、下記の化合物6Aを得た。
【0080】
【化25】
【0081】
化合物6Aの赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)を図5に示す。
また、1H−NMRスペクトル(CDCl3 溶媒、TMS内部標準)は、δ(ppm):1.3〜1.6(8H,m)、1.6〜1.9(8H,m)、2.20(3H,s)、3.97(4H,t)、4.17(4H,t)、5.81(2H,d)、6.12(2H,dd)、6.40(2H,d)、6.75(1H,d)、6.84(2H,d)、7.23(1H,s)、7.3(1H,d)、7.42(2H,d)であった。
化合物6Aを偏光顕微鏡下で観察した結果、昇温時に43℃で結晶から等方性液体に変化した。降温時には32℃で等方性液体からネマチック相に、30℃で結晶に相転移したことから、モノトロピック液晶であることを確認した。
【0082】
[例5:化合物6Bの合成]
例3で用いた4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレン(前記化合物a)の代わりに4,4’−ジヒドロキシ−3−メチルジフェニルアセチレン(前記化合物c)を用いた。他は例3と同様にして、下記の化合物6Bを得た。
【0083】
【化26】
化合物6Bの赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)を図6に示す。
また、1H−NMRスペクトル(CDCl3 溶媒、TMS内部標準)は、δ(ppm):1.9〜2.0(8H,m)、2.21(3H,s)、4.01(4H,t)、4.25(4H,t)、5.83(2H,d)、6.12(2H,dd)、6.41(2H,d)、6.75(1H,d)、6.84(2H,d)、7.26(1H,s)、7.3(1H,d)、7.42(2H,d)であった。
化合物6Bを偏光顕微鏡下で観察した結果、昇温時に50℃で結晶から等方性液体に変化した。降温時には43℃で等方性液体から結晶に相転移し、液晶相は見られなかった。
【0084】
[例6:化合物6Cの合成]
例1で用いた4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレン(前記化合物a)の代わりに、4,4’−ジヒドロキシ−3−メチルジフェニルアセチレン(前記化合物c)を、6−ブロモ−1−ヘプタノールの代わりに3−ブロモ−1−プロパノールを用いた。他は例1と同様にして、下記の化合物6Cを得た。
【0085】
【化27】
化合物6Cの赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)を図7に示す。
また、1H−NMRスペクトル(CDCl3 溶媒、TMS内部標準)は、δ(ppm):2.1〜2.2(4H,m)、2.21(3H,s)、4.08(4H,t)、4.37(4H,t)、5.84(2H,d)、6.13(2H,dd)、6.41(2H,d)、6.76(1H,d)、6.85(2H,d)、7.26(1H,s)、7.32(1H,d)、7.43(2H,d)であった。
化合物6Cを偏光顕微鏡下で観察した結果、昇温時に71℃で結晶から等方性液体に変化した。降温時には45℃で等方性液体から結晶に相転移し、液晶相は見られなかった。
【0086】
[例7:化合物7Aの合成]
例1で用いた4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレン(前記化合物a)の代わりに4,4’−ジヒドロキシ−2−メチルジフェニルアセチレン(前記化合物d)を用いた。他は例1と同様にして、下記の化合物7Aを得た。
【0087】
【化28】
【0088】
化合物7Aの赤外吸収スペクトル(KBr錠剤)を図8に示す。
また、1H−NMRスペクトル(CDCl3 溶媒、TMS内部標準)は、δ(ppm):1.3〜1.6(8H,m)、1.6〜1.9(8H,m)、2.45(3H,s)、3.97(4H,t)、4.17(4H,t)、5.82(2H,d)、6.12(2H,dd)、6.40(2H,d)、6.65(1H,d)、6.75(1H,s)、6.85(2H,d)、7.38(1H,d)、7.42(2H,d)であった。
化合物7Aを偏光顕微鏡下で観察した結果、昇温時に78℃で結晶から等方性液体に変化した。降温時には62℃で等方性液体から結晶に相転移し、液晶相は見られなかった。
【0089】
[例8:化合物5Aの屈折率異方性]
透明点Tc が85℃、式8で求められる温度Ts における屈折率異方性△n(X0 Tsが0.119である液晶モノマXo を用いた。組成物の屈折率異方性は589nmで求めたものである。液晶モノマXo に化合物5Aを10mol%溶解した組成物X1 を調製した。この組成物X1 のTc は82℃であり、式8で求められる温度Ts にて測定した組成物X1 の屈折率異方性△n(X1 Tsは0.126であった。ここで、式9で計算される屈折率異方性△nTsを化合物5Aの屈折率異方性と定義する。△n(X0 Tsおよび△n(X1 Tsを式9に代入し、計算した化合物5Aの屈折率異方性△nTsは0.243であった。
【0090】
【数1】
【0091】
[例9:化合物5B、5C、6A、7Aの屈折率異方性]
例8と同様にして化合物5B、5C、6A、7Aの屈折率異方性△nTsを求めたところ、それぞれ0.219、0.253、0.217、0.233であった。
【0092】
[例10:化合物eの屈折率異方性]
前記式4においてqが6である化合物、すなわち4,4’−ビス(アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ビフェニル(以下、化合物eとする。)の屈折率異方性△nTsを例6と同様にして求めたところ、0.150であった。また、この化合物は昇温時に81℃で結晶から等方性液体に変化した。降温時にも81℃で等方性液体から結晶に転移し、液晶相はみられなかった。
【0093】
化合物5A、5B、5C、6A、7Aおよび化合物eの屈折率異方性を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
[例11:組成物の調製]
4−アクリロイルオキシ−4’−シアノビフェニル(下記化合物X1 )、4−(3−アクリロイルオキシプロピル)オキシ−4’−シアノビフェニル(下記化合物X2 )、4−(6−アクリロイルオキシヘキシル)オキシ−4’−シアノビフェニル(下記化合物X3 )、アクリル酸4−(4−n−ブチルベンゾイルオキシ)フェニル(下記化合物X4 )、アクリル酸4−(4−n−ヘキシルベンゾイルオキシ)フェニル(下記化合物X5 )を用いて組成物Y1 を調製した。組成比はモル比でX1 :X2 :X3 :X4 :X5 =0.25:0.10:0.35:0.15:0.15とした。
【0096】
【化29】
【0097】
この組成物Y1 に前記化合物5Aを、その組成比が25モル%となるように加えて組成物Y2 を調製した。組成物Y2 はTc が63℃であり、過冷却状態ではあるが室温まで安定なネマチック液晶であった。また、組成物Y2 の40℃における屈折率異方性は、589nmにおいて0.181であった。
【0098】
[例12:高分子液晶の作製]
配向剤であるポリイミドをスピンコータで塗布し、熱処理した後、ナイロンクロスで一定方向にラビング処理したガラス基板を支持体とし、配向処理した面が向かいあうように2枚の支持体を接着剤を用いて貼り合わせてセル1を作製した。その際、一辺にガラスブロックを挿入し、くさび形状とした。
【0099】
例11の組成物Y2 に光重合開始剤「イルガキュアー907(チバガイギー社製)」を0.25質量%添加したものを、セル1に70℃で注入した。次に50℃で5mW/cm2 の強度の紫外線を300秒間照射して光重合を行い、高分子液晶を作製した。この高分子液晶は基板のラビング方向に水平配向され、屈折率異方性は589nm、25℃において0.159であった。この高分子液晶は可視域で透明であり、散乱もみられなかった。またこの高分子液晶は、室温以下135℃以上で屈折率異方性を示し、広い液晶温度範囲を有した。
【0100】
[例13:化合物eを含む高分子液晶の屈折率異方性]
例9で調製したY1 に、架橋性モノマとして化合物eを加え、その組成比が25モル%となるように組成物Y3 を調製した。組成物Y3 はTc が61℃であり、過冷却状態ではあるが室温まで安定なネマチック液晶であった。この組成物Y3 の40℃における屈折率異方性は、589nmにおいて0.168であった。
次に、組成物Y3 に光重合開始剤「イルガキュアー907(チバガイギー社製)」を0.25質量%添加したものを、例10と同様のセル1に70℃で注入した。次に50℃で5mW/cm2 の強度の紫外線を300秒間照射して光重合を行い高分子液晶を作製した。該高分子液晶の屈折率異方性は25℃で589nmにおいて0.144であった。
【0101】
本発明の化合物5Aを含む組成物Y2 、および化合物eを含む組成物Y3 の組成物調製後の屈折率異方性と、組成物を重合後の屈折率異方性とを表2に比較する。
【0102】
【表2】
【0103】
表2に示されるように、本発明の化合物5Aを用いることにより、ネマチック相温度範囲を低下させることなく、高い屈折率異方性を付与することができた。
【0104】
[例14:化合物5A、6A、7Aを含む組成物の比較]
上記化合物X1 、X3 および化合物5Aを用いて、モル比がX1 :X3 :化合物5A=0.35:0.35:0.3となるよう組成物Y4 を調製した。
組成物Y4 において、化合物5Aの代わりに化合物6Aを用いて組成物Y5 を調製し、化合物5Aの代わりに化合物7Aを用いてY6 を調製した。Y4 、Y5 、Y6 の液晶温度範囲を表3に示す。
【0105】
【表3】
【0106】
表3に示されるように、化合物6A、7Aを用いると、スメクチック(Sm )相は発現せず、より低温でネマチック(Nm )相が出現した。特に化合物6Aを用いた組成物Y5 は室温以下まで安定なネマチック相であった。
【0107】
[例15:光学素子、光ヘッドへの応用]
ピッチ6μm、深さ2μmの矩形格子が形成されたガラス基板の表面に、配向剤であるポリイミドをスピンコータで塗布し、熱処理した後、ナイロンクロスで格子方向に対して平行方向にラビング処理を行ったものと、配向処理を同様に行ったガラス平板基板を、配向処理面が向かいあうように接着剤を用いて貼り合わせてセル2を作製した。その際、配向方向が平行になるようにした。
【0108】
例11の組成物Y2 に光重合開始剤「イルガキュアー907(チバガイギー社製)」を0.25質量%添加したものを、上記のように作製したセル2に70℃で注入し、格子状凹部を充填した。次に、50℃で5mW/cm2 の強度の紫外線を300秒間照射して、光重合を行った。このセル2の片面に1/4波長板を積層し、偏光ホログラムビームスプリッタ(光学素子)を作製した。この偏光ホログラムスプリッタを光ヘッドの部品に用いたところ、該光ヘッドは波長650nmのレーザ光源にて、±1次の回折効率の合計で50%の光利用効率を得た。
【0109】
【発明の効果】
本発明によれば、高い屈折率異方性を有する架橋性液晶モノマであるアクリル酸誘導体化合物を合成できる。これを用いた組成物および光重合により得られた高分子液晶は、高い屈折率異方性を有する。この高分子液晶は、位相差フィルムや偏光ホログラム素子などの光学素子の材料として好適である。特に該偏光ホログラム素子は光ヘッド等の部品として好適である。
本発明は、本発明の効果を損しない範囲内で種々応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光ヘッド装置の概略側面図。
【図2】 化合物5Aの赤外吸収スペクトル図。
【図3】 化合物5Bの赤外吸収スペクトル図。
【図4】 化合物5Cの赤外吸収スペクトル図。
【図5】 化合物6Aの赤外吸収スペクトル図。
【図6】 化合物6Bの赤外吸収スペクトル図。
【図7】 化合物6Cの赤外吸収スペクトル図。
【図8】 化合物7Aの赤外吸収スペクトル図。
【符号の説明】
4 偏光ホログラム
5 半導体レーザ
6 受光素子
7 対物レンズ
8 光ディスク
10 1/4波長板

Claims (8)

  1. 下記式1で表されるアクリル酸誘導体化合物。
    式1中の記号は以下の意味を示す。
    1、R2:それぞれ独立して、水素原子またはメチル基。
    1、E2:それぞれ独立して、非置換の1,4−フェニレン基である
    m、n:m、nはそれぞれ独立して4〜12の整数である
  2. m=nである請求項1に記載のアクリル酸誘導体化合物。
  3. 請求項1または2に記載のアクリル酸誘導体化合物の1種以上を組成物中に10〜90質量%含む組成物。
  4. 請求項3に記載の組成物を重合させてなる高分子液晶。
  5. 紫外線または可視光線を照射することにより重合させてなる請求項4に記載の高分子液晶。
  6. 請求項4または5に記載の高分子液晶を用いてなる光学素子。
  7. 請求項6に記載の光学素子を用いてなる光ヘッド。
  8. 4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレンとn−ブロモアルコールとを塩基の存在下で反応させて4,4’−ビス(ヒドロキシアルコキシ)ジフェニルアセチレンとし、前記4,4’−ビス(ヒドロキシアルコキシ)ジフェニルアセチレンをアクリル酸クロリドと塩基の存在下で反応させることによって、または
    トリフェニルホスフィンとアゾジカルボン酸ジエチルの存在下、4,4’−ジヒドロキシジフェニルアセチレンとアクリル酸4−ヒドロキシアルキルを反応させることによって、請求項1または2に記載のアクリル酸誘導体化合物を製造する、アクリル酸誘導体化合物の製造方法。
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