JP4653334B2 - 中空糸膜式加湿器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水透過型の中空糸膜を使用した中空糸膜式加湿器に関し、更に詳しくは、コンパクトで加湿性能が高い中空糸膜式加湿器及び燃料電池の加湿システムに適用する場合に、中空糸膜の内部通路に流す流体を内部通路全体に渡って均一に通流させることができる導入路を有する中空糸膜式加湿器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の水透過型の中空糸膜を用いた加湿器としては、例えば特開平7−71795号公報に開示されたものがある。図6に示すように、この加湿器100は、筒状のハウジング101を有している。ハウジング101には、乾燥エア用の第一の流入口102及び第一の流出口103が形成されており、ハウジング101の内部には多数、例えば5000本の中空糸膜からなる中空糸膜束104が収納されている。
また、ハウジング101の両端部には、中空糸膜束104の両端部を開口状態で固定する固定部105,105′が設けられている。固定部105,105′はそれぞれ第一のヘッドカバー108および第二のヘッドカバー109によって覆われている。第1のヘッドカバー108には、湿潤エアを導入する第二の流入口106が形成されており、第二のヘッドカバー109には、中空糸膜束104によって水分を分離・除去された湿潤エアを排出する第二の流出口107が形成されている。
【0003】
このように構成された水透過型の中空糸膜を用いた加湿器100では、第一の流入口106から湿潤エアを供給して中空糸膜束104を構成する各中空糸膜内を通過させる。このとき湿潤エア中の水分は、中空糸膜の毛管凝縮作用によって分離され、中空糸膜の毛管内を透過して、中空糸膜の外側に移動する。水分を分離させられた湿潤エアは、第二の流出口107から排出される。
一方、第一の流入口102からは乾燥エア(低湿潤ガス)が供給される。第一の流入口102から供給された乾燥エアは、中空糸膜束104を構成する各中空糸膜の外側を通過する。中空糸膜の外側には、湿潤エアから分離させられた水分が移動してきており、この水分によって乾燥エアが加湿される。そして、加湿された乾燥エアは、第一の流出口103から排出される。
【0004】
また、図7に示すような本出願人が「インナーパイプ方式」と呼んでいる加湿器がある。この加湿器200は、筒状のハウジング201の中心部に中空糸膜束204内に湿潤エアを導入するための内部通路となる有底の配管206を有している。
ハウジング201の内部には多数、例えば6000本の中空糸膜からなる中空糸膜束204が収納されている。
また、前記ハウジング201の両端部は、中空糸膜束204の両端部を開口状態で固定する固定部205,205′が設けられている。
ハウジング201の固定部205,205′の両側には、隣接して第一のヘッドカバー208、第二のヘッドカバー209が設けられており、第二のヘッドカバー209には乾燥エア用の第一の流入口202が、第一のヘッドカバー208には、乾燥エア用の第一の流出口203が形成されている。前記した第一のヘッドカバー208には、湿潤エアを第二の流入口206aから導入し、孔206inから中空糸膜束204の中に導入するための底bfを有する配管206が設けられている。配管206は、第一のヘッドカバー208及び固定部205を外部から貫通して中空糸膜束204内まで伸長して(但し、中空糸膜の長手方向の長さより長さは短い)設けられている。
前記した第二のヘッドカバー209と隣接する筒状のハウジング201には、中空糸膜束204によって水分を分離・除去された湿潤エアを排出する第二の流出口207が形成されている。
【0005】
このように構成された水透過型の中空糸膜を用いた加湿器200では、湿潤エアが第二の流入口206aから中空糸膜束204への導入口である孔206inに供給され、中空糸膜束204を構成する各中空糸膜の外側を通過する。このとき湿潤エア中の水分は、中空糸膜の毛管凝縮作用によって分離され、中空糸膜の毛管内を外側から内側に透過して、中空糸膜の内側に移動する。水分を分離させられた湿潤エアは、第二の流出口207から排出される。
一方、第一の流入口202からは乾燥エア(低湿潤ガス)が供給される。第一の流入口202から供給された乾燥エアは、中空糸膜束204を構成する各中空糸膜の内側を通過する。中空糸膜の内側には、湿潤エアから分離させられた水分が移動してきており、この水分によって乾燥エアが加湿される。そして、加湿された乾燥エアは、第一の流出口203から排出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような水透過型の中空糸膜を利用した加湿器を、特に燃料電池の加湿システムに適用した場合、以下のような問題があった。
(1)通常、燃料電池の加湿システムでは、燃料電池から出てきた高湿潤ガス中の水分は、中空糸膜を透過し、毛管凝縮作用により水透過側に分離される。水透過側に分離された水分は、水透過側に低湿潤ガスを供給することにより加湿に利用される。しかし、加湿された低湿潤ガスを燃料電池へ供給する場合、発電出力との関係から燃料電池が要求する加湿量(例えば露点50〜70℃)を十分に確保している必要があり、燃料電池が要求する加湿量(例えば露点50〜70℃)を十分に確保するには、中空糸膜の本数、長さを大きくして行かなければならない、すなわち加湿器を大型化しなければならなかった。
(2)また、加湿量を確保するために中空糸膜の本数を多くすると(例えば単モジュール当たり2000〜7000本)中空糸膜の外側を流れるガスは、図8に示すように、中空糸膜全体に高湿潤ガス(或いは低湿潤ガス)が接触せず、無駄な中空糸膜が存在し(図8中のD.S)、結果として更に中空糸膜の本数、長さを大きくしなければならないという問題があった。
(3)また、中空糸膜内部を流れるガスは、図9に示すような中空糸膜の内部通路の直前に絞り手段を入れると中空糸膜内部を通過する流速が速くなる。中空糸膜内部を流れるガスは、中空糸膜の外側を流れる場合のガスとは違って、流速が速いと、部分的に貫通力が強くなるのでガスが膜全体に行き渡らなくなる。すなわち加湿能力が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、第1の目的は、中空糸膜の本数、長さを大きくしなくても十分な加湿量を確保できる中空糸膜式加湿器を提供することを目的とする。また、第2の目的は燃料電池の加湿システムに適用しても中空糸膜の内部通路全体に均一に流体を接触させることが可能な導入路を有し、十分な加湿量を確保できる中空糸膜式加湿器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためになされた請求項1に係る中空糸膜式加湿器の発明は、内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分交換を行うことが可能な複数の中空糸膜を束ねて中空糸膜束とし、この中空糸膜束の外側に流体を通流させる流体の導入孔及び流体の送出孔を有するハウジング内に前記中空糸膜束を固定した中空糸膜式加湿器において、前記ハウジングに直接開設され、前記中空糸膜束の外側に対し、その略厚み方向に流体を導入する流体導入孔の開口部の総合面積が、前記中空糸膜束の外側から前記ハウジングの外部へ流体を送出させる流体送出孔の開口部の総合面積未満に形成されたことを特徴とするものである。
また、前記課題を解決するためになされた請求項2に係る中空糸膜式加湿器の発明は、内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分交換を行うことが可能な複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束と、前記中空糸膜束が内部に固定され、内部から外部へ流体を送出する流体送出孔を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され、その外周に前記中空糸膜束が配置されると共に、前記ハウジングの内部へ流体を導入する流体導入孔を有する配管と、を備え、前記配管に直接開設され、前記中空糸膜束の略厚み方向に流体を導入する流体導入孔の開口部の総合面積が、前記中空糸膜束の外側から前記ハウジングの外部へ流体を送出させる流体送出孔の開口部の総合面積未満に形成されたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項1又は請求項2の発明によると、中空糸膜束への流体導入孔における厚み方向の流速を相対的に大きくし、中空糸膜式加湿器の外部へ送出させる流体送出孔での流速を相対的に小さくできるので、流体が中空糸膜の膜全体に行き渡る。その結果、加湿効率が向上する。
【0010】
請求項3に係る中空糸膜式加湿器の発明は、内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分交換を行うことが可能な複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束と、前記中空糸膜束が内部に固定され、外部から内部へ流体を導入する流体導入孔と、内部から外部へ流体を送出する流体送出孔とを有するハウジングと、前記中空糸膜束からその厚み方向に所定量離間させて設けられると共に、軸方向が前記中空糸膜束の軸方向と平行に設けられ、前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路へ流体を供給する流体導入通路と、該流体導入通路と前記中空糸膜束との間に介設され、流体を前記流体導入通路から前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路へ導入させる流体分配室と、を備え、前記流体導入通路の最狭部の断面積が、前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路の断面積を合計した総合断面積未満に形成されており、前記流体導入通路から前記流体分配室へ導入された流体は、前記流体分配室の内壁に衝突し、前記中空糸膜束の厚み方向で流れて、前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路へ導入されることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3の発明によれば、以下の作用・効果を奏する。
(1)流体導入通路を中空糸膜束からその厚み方向に所定量離間させた位置に設けたので、中空糸膜の内部通路の直前に絞り手段を設けた場合のように、内部通路に導入される流体の流速が速くなってしまい、部分的に貫通力が強くなって吹き抜けてしまうということがない。
(2)断面積が狭い流体導入通路から断面積が大きな流体分配室の通路に急拡大するので流速が遅くなる。流体は、中空糸膜の内部通路を通り抜けるしかないので水平方向に流れる流体の流れが支配的となる。その結果、流体が膜全体に均一にゆっくりと行き渡るので加湿効率が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明に係る中空糸膜式加湿器に使用される第1実施形態の中空糸膜モジュールについて図面を参照して説明する。
第1実施形態の中空糸膜モジュールは、図1に示すように、ハウジング1aと、このハウジング1a内に収納される中空糸膜束1bとから主要部が構成される。
【0013】
ハウジング1aは、両端が開口された中空の円筒形状をしている。このハウジング1aには、中空糸膜束1bの両端部を固定した固定部1c,1c′よりも内側の位置に開口部となる孔hin,houtがそれぞれに周方向に複数個設けてある。
【0014】
中空糸膜束1bは、内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分の交換可能な複数の水透過型の中空糸膜HFを束ねたものである。中空糸膜束1bをハウジング1aに接着して固定してある固定部1c,1c′をポッティング部というが、このポッティング部を設けることで中空糸膜HFの内側の中空通路を通流する低湿潤状態のガスと中空糸膜HFの外側を通流する高湿潤状態のガスとが混合しないようになっている。
尚、図1中の符号hinで示す複数の孔は、流体導入孔である高湿潤ガス導入孔として使用され、符号houtで示す複数の孔は、流体送出孔である高湿潤ガス送出孔として使用される。また、図1中の符号1dinで示すハウジング1aの一端に設けられた開口部は、低湿潤ガス導入口として使用され、符号1doutで示すハウジング1aの他端に設けられた開口部は、低湿潤ガス送出口として使用される。
孔の形状は、本実施の形態では円形であるが、長円形、三角形四角形等孔であれば良い。
【0015】
次に、第1実施形態の中空糸膜モジュール1で流体通路の面積として使用される言葉の定義を図1を参照しながらここで説明する。
(A)流体導入孔の開口部の総合面積S2;中空糸膜HFの外側に流す流体をハウジング1aに導入するために設けられた複数の孔hinの開口部の総合面積である。
(B)流体送出孔の開口部の総合面積S1;中空糸膜HFの外側に流す流体をハウジング1a内から外部へ送出するために設けられた複数の孔houtの開口部の総合面積である。
尚、本実施の形態では、流体導入孔である高湿潤ガス導入孔hinの開口部の総合面積S2<流体送出孔である高湿潤ガス送出孔houtの開口部の総合面積S1として設けられている。
【0016】
このように構成される第1実施形態の中空糸膜モジュール1の作用について説明する。
1.ハウジング1aに設けられた流体導入孔である高湿潤ガス流入孔hinから導入された流体である高湿潤ガスは、高湿潤ガス導入孔hinの開口部の総合面積S2を高湿潤ガス送出孔houtの開口部の総合面積S1未満としたことにより、高湿潤ガス導入孔hinにおける中空糸膜束1bの厚み方向の流速を従来の流速よりも速くすることができる。その結果、中空糸膜束1bの外側に導入された高湿潤ガスは、前記中空糸膜束1bの厚み方向に広く行き渡る(理由は後出)。ハウジング1a内で好適に水分交換を行った高湿潤ガスは、流体送出孔である高湿潤ガス送出孔houtから外部へと排出される。このとき、高湿潤ガス送出孔houtの開口部の総合面積S1が高湿潤ガス導入孔hinの開口部の総合面積S2を超えるようにしたため、高湿潤ガスはゆっくりと外部に排出される。
2.一方、低湿潤ガス導入口1dinから導入された低湿潤ガスは、各中空糸膜HFの内側を通る間に、中空糸膜HFの外側から毛管凝縮作用により中空糸膜HFの内側に移動してきている水分により加湿され、低湿潤ガス送出孔1doutから外部へ排出される。
このように本発明では、流体導入孔である高湿潤ガス導入孔hinの開口部の総合面積S2<流体送出孔である高湿潤ガス送出孔houtの開口部の総合面積S1としたので、中空糸膜束1bの厚み方向の流速を速くできる結果、中空糸膜束1bの外側から内側に向かって高湿潤ガスが行き渡るので加湿効率が向上する。
尚、中空糸膜HFの外側及び内側に流す流体の種類は、第1実施形態の中空糸膜モジュールとは反対に、高湿潤ガスの流路に低湿潤ガスを流し、低湿潤ガスの流路に高湿潤ガスを流すようにしてもよい。また、第1実施形態の中空糸膜モジュール1では、向流でガスを流しているが並流で流してもよい。
【0017】
次に、本発明に係る中空糸膜式加湿器に使用される第2実施形態の中空糸膜モジュールについて図2を参照して説明する。
尚、第2実施形態の中空糸膜モジュール10と第1実施形態の中空糸膜モジュールとの違いは、流体導入孔である高湿潤ガス導入孔Hinを形成する複数の孔の大きさの配列にある。
すなわち、中空糸膜束10bの外側に通流させる流体である高湿潤ガスが中空糸膜モジュール10に導入される複数の孔のうち、高湿潤ガスが導入される導入配管10eのガス導入部に1番近い位置にある孔の孔径を1番大きく、1番遠い位置にある孔の孔径を1番小さくなるように、周方向に沿って大きさの順に配列した点にある。
このように配列することにより、高湿潤ガスの流量が導入配管10eのガス導入部から1番遠い位置に流れていくに従って減少しても、導入配管10eのガス導入部から1番遠い位置の孔径が1番小さくなるように大きさの順番に設けてあるので、ガス導入部から遠い側の流速も速くすることができる。
【0018】
第2実施形態の中空糸膜モジュールは、図2に示すように、ハウジング10aと、このハウジング10a内に収納される中空糸膜束10bとから主要部が構成される。
ハウジング10aは、両端が開口された中空の円筒形状をしている。このハウジング10aには、中空糸膜束10bの両端を固定した固定部10c,10c′よりも内側の位置に開口部となる孔Hin,Houtがそれぞれに周方向に複数個設けてある。
【0019】
中空糸膜束10bは、内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分交換可能な複数の水透過型の中空糸膜HFを束ねたものである。中空糸膜束10bをハウジング10aに接着して固定してある固定部10c,10c′をポッティング部というが、このポッティング部を設けることで中空糸膜HFの内部通路を通流する低湿潤状態のガスと中空糸膜HFの外側を通流する高湿潤状態のガスとが混合しないようになっている。
尚、図2中の符号Hinで示す複数の孔は、流体導入孔である高湿潤ガス導入孔として使用され、符号Houtで示す複数の孔は、流体送出孔である高湿潤ガス送出孔として使用される。また、図2中の符号10dinで示すハウジング10aの一端に設けられた開口部は、低湿潤ガス導入口として使用され、符号10doutで示すハウジング10aの他端に設けられた開口部は、低湿潤ガス送出口として使用される。
【0020】
次に、第2実施形態の中空糸膜モジュール10で流体通路の面積として使用される言葉の定義を図2を参照しながらここで説明する。
(A)流体導入孔の開口部の総合面積S20;中空糸膜HFの外側に流す流体をハウジング10aに導入するために設けられた複数の孔Hinの開口部の総合面積である。
(B)流体送出孔の開口部の総合面積S10;中空糸膜HFの外側に流す流体をハウジング10a内から外部へ送出するために設けられた複数の孔Houtの開口部の総合面積である。
尚、本実施の形態では、流体導入孔である高湿潤ガス導入孔Hinの開口部の総合面積S20<流体送出孔である高湿潤ガス送出孔Houtの開口部の総合面積S10として設けられている。
【0021】
このように構成される第2実施形態の中空糸膜モジュール10の作用について説明する。
1.ハウジング10aに設けられた流体導入孔である高湿潤ガス流入孔Hinから導入された流体である高湿潤ガスは、高湿潤ガス導入孔Hinの開口部の総合面積S20を高湿潤ガス送出孔Houtの開口部の総合面積S10未満としたことにより、高湿潤ガス導入孔Hinにおける中空糸膜束10bの厚み方向の流速を従来の流速よりも速くすることができる。その結果、中空糸膜束10bの外側に導入された高湿潤ガスは、前記中空糸膜束10bの厚み方向に広く行き渡る(理由は後出)。ハウジング10a内で好適に水分交換を行った高湿潤ガスは、流体送出孔である高湿潤ガス送出孔Houtから排出される。このとき、高湿潤ガス送出孔Houtの開口部の総合面積S10が高湿潤ガス導入孔Hinの開口部の総合面積S20を超えるようにしたため、高湿潤ガスはゆっくりと外部へ排出される。
2.一方、低湿潤ガス導入口10dinから導入された低湿潤ガスは、各中空糸膜の内側を通る間に、中空糸膜HFの外側から毛管凝縮作用により中空糸膜HFの内側に移動してきている水分により加湿され、低湿潤ガス送出孔10doutから外部へ排出される。
このように本発明では、流体導入孔である高湿潤ガス導入孔Hinの開口部の総合面積S20<流体送出孔である高湿潤ガス送出孔Houtの開口部の総合面積S10としたので、中空糸膜束10bの厚み方向の流速を速くできる結果、中空糸膜束10bの外側から内側に向かって高湿潤ガスが行き渡るので加湿効率が向上する。
尚、中空糸膜HFの外側及び内側に流す流体の種類は、第2実施形態の中空糸膜モジュール10とは反対に、高湿潤ガスの流路に低湿潤ガスを流し、低湿潤ガスの流路に高湿潤ガスを流すようにしてもよい。また、第2実施形態の中空糸膜モジュール10では、向流でガスを流しているが並流で流してもよい。
【0022】
次に、本発明に係る中空糸膜式加湿器に使用される第3実施形態の中空糸膜モジュールについて図3を参照して説明する。
尚、第3実施形態の中空糸膜モジュール20と第1実施形態の中空糸膜モジュール及び第2実施形態の中空糸膜モジュールとの大きな違いは、中空糸膜束20bの略中心部に、中空糸膜束20bへ高湿潤ガスを供給するための内部通路となる有底の配管IPを有していることである。前記有底の配管IPの底近傍の周方向には、中空糸膜束20bへの高湿潤ガス導入孔となる複数の孔Tinが設けられている。
また、第3実施形態の中空糸膜モジュール20と第1実施形態の中空糸膜モジュール及び第2実施形態の中空糸膜モジュールとの大きな違いは、中空糸膜モジュール20のハウジング20aの一端部に設けられた固定部20c′の内側の位置には、高湿潤ガス送出孔となる複数の孔Toutが同様に設けられているが、第1実施形態の中空糸膜モジュール及び第2実施形態の中空糸膜モジュールのようにハウジング20aの固定部20cの内側の位置には、孔が設けられていない点である。
【0023】
第3実施形態の中空糸膜モジュール20は、図3に示すように、ハウジング20aと、このハウジング20a内に収納される中空糸膜束20bと、前記中空糸膜束20bの外側に流体である高湿潤ガスを供給する内部通路となる有底の配管IPとから主要部が構成される。
【0024】
ハウジング20aは、両端が開口された中空の円筒形状をしている。このハウジング20aには、中空糸膜束20bの両端を固定した固定部20c,20c′のうち固定部20c′の内側の位置には、開口部となる孔Toutが周方向に複数個設けられている。
【0025】
中空糸膜束20bは、内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分の交換可能な複数の水透過型の中空糸膜HFを束ねたものである。中空糸膜束20bをハウジング20aに接着して固定してある固定部20c,20c′をポッティング部というが、このポッティング部を設けることで中空糸膜HFの内側の内部通路を通流する低湿潤状態のガスと中空糸膜HFの外側を通流する高湿潤状態のガスとが混合しないようになっている。
【0026】
有底の配管IPは、円筒の配管の一端を開口し、他端を閉じて底とした管である。底部近傍の周方向には、高湿潤ガスを中空糸束20bに導入するための高湿潤ガス導入孔Tinが設けられている。
有底の配管IPは、中空糸膜束20bの厚み方向の略中心部に設けられ、中空糸膜束20bの長手方向の長さよりも短い長さで使用される。
尚、図3中の符号Tinで示す複数の孔は、流体導入孔である高湿潤ガス導入孔として使用され、符号Toutで示す複数の孔は、流体送出孔である高湿潤ガス送出孔として使用される。また、図3中の符号20dinで示すハウジング20aの一端に設けられた開口部は、低湿潤ガス導入口として使用され、符号20doutで示すハウジング20aの他端に設けられた開口部は、低湿潤ガス送出口として使用される。
【0027】
次に、第3実施形態の中空糸膜モジュール20で流体通路の面積として使用される言葉の定義を図3を参照しながらここで説明する。
(A)流体導入孔の開口部の総合面積S40;中空糸膜HFの外側に流す流体をハウジング20aに導入するため設けられた孔Tinの総合面積である。
(B)流体送出孔の開口部の総合面積S30;中空糸膜HFの外側に流す流体をハウジング20aから送出するために設けられた孔Toutの総合面積である。
尚、本実施の形態では、流体導入孔である高湿潤ガス導入孔Tinの開口部の総合面積S40<流体送出孔である高湿潤ガス送出孔Toutの開口部の総合面積S30として設けられている。
【0028】
このように構成される第3実施形態の中空糸膜モジュール20の作用について説明する。
(1)中空糸膜束20bの略中心部に設けられ、高湿潤ガスの内部通路となる有底の配管IPから導入された流体である高湿潤ガスは、高湿潤ガス導入孔Tinの開口部の総合面積S40を高湿潤ガス送出孔Toutの開口部の総合面積S30未満としたことにより、中空糸膜束20bの厚み方向の流速を従来よりも速くすることができる。その結果、中空糸膜束20bの内側に導入された高湿潤ガスは、前記中空糸膜束20bの厚み方向に(ハウジング20aの外側に向かって)広く行き渡る(理由は後出)。ハウジング20a内で好適に水分交換を行った高湿潤ガスは、流体送出孔である高湿潤ガス送出孔Toutから外部へ排出される。このとき、高湿潤ガス送出孔outの開口部の総合面積S30が高湿潤ガス導入孔Tinの開口部の総合面積S40を超えるようにしたため、高湿潤ガスはゆっくりと外部へ排出される。
(2)一方、低湿潤ガス流入口20dinから導入された流体である低湿潤ガスは、各中空糸膜の内側を通る間にハウジング20a内で加湿されて低湿潤ガス送出口20doutから外部に排出される。
このように本発明では、流体導入孔である高湿潤ガス導入孔Tinの開口部の総合面積S40<流体送出孔である高湿潤ガス送出孔Toutの開口部の総合面積S30としたので、中空糸膜束20bの流体導入孔の流速を速くできる結果、中空糸膜束20bの内側から外側の厚み方向に向かって高湿潤ガスが行き渡るので中空糸膜全体を有効に利用することができ加湿効率が向上する。
尚、中空糸膜HFの外側及び内側に流す流体の種類は、第3実施形態の中空糸膜モジュールとは反対に、高湿潤ガスの流路に低湿潤ガスを流し、低湿潤ガスの流路に高湿潤ガスを流すようにしてもよい。また、第3実施形態の中空糸膜モジュールでは、向流でガスを流しているが、並流に流してもよい。
【0029】
次に、中空糸膜束の厚み方向の流速を速くすることで加湿量が向上する理由を図4(a)及び図4(b)を参照して説明する。
図4(a)に示すように、中空糸膜モジュール50のハウジング50a内の中空糸膜束50bの外側に通流させる流体である高湿潤ガスを、高湿潤ガス導入孔より導入する場合、高湿潤ガス導入孔の孔径ddを小さくして高湿潤ガスの流速を速くして導入すると、厚み方向の速度成分V1が大きくなり侵入する奥行きが深くなる(中空糸膜束50bの厚み方向中央部にまで高湿潤ガスが届きやすくなる)。
その結果、中空糸膜束50bの長手方向の速度成分V2が高湿潤ガス導入孔の導入孔側から厚み方向に向かって徐々に減少する。
反対に、図4(b)に示すように、高湿潤ガス導入孔の孔径dd′を大きくして流体である高湿潤ガスの流速を遅くして導入する場合では、厚み方向の速度成分V1′が小さいので侵入する奥行きが浅くなる。その結果、中空糸膜HFの長手方向の速度成分V2′が増大する。
このような理由から、高湿潤ガス導入孔の総合面積を高湿潤ガス送出孔の総合面積未満にすることにより中空糸膜束50bの外側に導入する高湿潤ガスの流速を速くし、中空糸膜束50bの外側から内側の厚み方向に向かって高湿潤ガスを行き渡るようにしたので中空糸膜束50b全体を有効に利用することができ加湿効率が向上する。
尚、上述した中空糸膜束50bの厚み方向の流速を速くすることで加湿量が向上する理由は、第1実施形態の中空糸膜モジュール及び第2実施形態の中空糸膜モジュールの系に当てはまる理由である。しかし、第3実施形態の中空糸膜モジュールについても中空糸膜束50bへ導入する高湿潤ガスの厚み方向の流れがハウジング50aの外側→内側ではなく内側→外側へ変わっただけなので、同様な理由から加湿量が向上する。
【0030】
以上説明した発明は、中空糸膜モジュールのハウジングの周方向に設けられ、中空糸膜束の外側に流す流体の流路となる孔の構造に関する発明であったが、これ以降は、燃料電池に中空糸膜式加湿器を適用した場合に、中空糸膜束を構成する各中空糸膜の内側に流す流体を燃料電池から中空糸膜モジュールまで通流させるための導入路の構造に関する発明について説明する。
【0031】
最初に、燃料電池に供給されるガスの加湿に本発明に係る流体の導入路の構造を有する中空糸膜式加湿器を適用した第1実施形態の燃料電池の加湿システムについて図5を参照して説明する。
尚、図5(a)は、燃料電池60から排出される流体である高湿潤ガスが、中空糸膜式加湿器の流体分配室であるガス分配室63で流路断面積を急拡大されて減速された後、中空糸膜モジュール62の中空糸膜束62bを形成する各中空糸膜の内部(内側)に通流されるまでの高湿潤ガスの流れを示したものである。
また、図5(b)は、図5(a)のA−A′部分断面図を示したものである。
【0032】
次に、第1実施形態の燃料電池の加湿システムを説明するのに使用される言葉の定義を図5(a)及び図5(b)を参照して説明する。
(1)ガス分配室上流の配管断面積S60;燃料電池60から排出される排出ガスが通る流体導入通路である配管61の断面積である。
(2)中空糸膜の内部通路総合断面積S70;燃料電池60から排出される排出ガスが通る中空糸膜束を構成する各中空糸膜HFの内部通路の総合断面積である。
尚、本実施の形態では、ガス分配室上流の配管断面積S60<中空糸膜の内部通路の総合断面積S70として導入路が形成されている。
【0033】
第1実施形態の燃料電池の加湿システムは、図5(a)に示すように、
水素を含んだ燃料ガスと、酸素を含んだ酸化剤ガスとを反応させ、化学エネルギー電気エネルギーとして取り出す燃料電池60と、
前記燃料電池61から排出される流体である高湿潤ガスを、流体分配室であるガス分配室63に導入する流体導入通路である配管61と、
前記配管61の後段に設けられ、導入された前記高湿潤ガスを中空糸膜モジュール62に分配して供給する流体分配室であるガス分配室63と、
前記ガス分配室63の内部に設けられる中空糸膜モジュール62と、
から主要部が構成される。尚、ここでは燃料電池60も加湿システムの構成に含めるものとする。
【0034】
燃料電池60は、固体高分子型の燃料電池であり、燃料ガス中の水素と空気中の酸素とを反応させて発電する。反応式で示すと、下記の通りとなる。(1)式は、アノード極における反応を、(2)式は、カソード極における反応を示し、電池全体としては、(3)式に示す反応が進行する。このように、燃料電池60は、電池反応の進行に伴ってカソード極で生成水が生じる。通常、生じた生成水は、カソード極に供給されている空気中に気化し、未反応の空気と共に燃料電池60から排出される。
H2→2H++2e- ------------------(1)
2H++(1/2)O2+2e-→H2O-------(2)
H2+(1/2)O2→H2O----------------(3)
尚、固体高分子型の燃料電池60は、電解質層として、固体高分子膜を用い、この固体高分子膜を挟持する一対のガス拡散電極と、ガス拡散電極をさらに外側から挟持して燃料ガスと空気とを分離するセパレータとを有する単セルを複数積層した構造を備えている。
【0035】
流体導入通路である配管61は、燃料電池60とガス分配室63を連通するための管である。管の形状は、本実施形態では円形であるが管であれば何でもよい。
ガス分配室63の上流に設けられる配管61の断面積S60は、図5(a)に示すような中空糸膜束62bを構成する各中空糸膜HFの内部通路の総合断面積S70(中空糸膜HF1本当たりの内径基準の断面積×中空糸膜HFの総本数)未満になるように設けられる。
尚、配管61の形状が複雑な形状の場合は、配管61の断面積S60の値として最狭部の断面積の値が採用される。
【0036】
中空糸膜モジュール62は、中空円筒のハウジング62a内に数千本の水透過型の中空糸膜HFを束ねて両端部を開口状態にして固定したものであり、本実施形態では、ハウジング62aの半分の構造しか示していないが、両端部近傍の周方向には低湿潤ガス導入孔(不図示)及び低湿潤ガス送出孔Uoutが設けられている。
【0037】
流体分配室であるガス分配室63は、燃料電池60から排出された高湿潤ガスの導入通路となる配管61を上流側に備え、加湿に使用される中空糸膜モジュール62をその内部に備えて、燃料電池60から排出される流体である高湿潤ガスを中空糸膜モジュール62に導入するための導入路を形成する。
ガス分配室63は、配管61からガス分配室63に導入される高湿潤ガスの流速V1″を、流路断面積を急拡大することによって減少させ、水平方向の速度成分を好適な値に調整し、中空糸膜モジュール62内で中空糸膜束62bを構成している各中空糸膜HFの内部に均一にガスを分配する。このとき、垂直方向の速度成分V2″は減少する。
ガス分配室63内の流路にガイドベーン等を設ければ、ガス流量をより均一に中空糸膜モジュール62に分配できる。
尚、図5(a)中には1本の中空糸膜モジュール62しか示していないが、並列に複数の中空糸膜モジュール62を設けた加湿器にも同様な流体導入路の構造を適用できる。
【0038】
このように構成される第1実施形態の燃料電池の加湿システムの作用について図5(a)を参照して説明する。
燃料電池60から排出された高湿潤ガスは、配管61を通り、ガス分配室63の上部へと導入される。このとき、ガス分配室63上流の配管61の断面積S60は、中空糸膜モジュール62内の中空糸膜の内部通路の総合断面積S70未満に設定されているので、流速V1″の大きい高湿潤ガスがガス分配室63に導入される。
導入された流速V1″の大きい高湿潤ガスは、内部で壁に衝突する。衝突した高湿潤ガスは運動エネルギーを損失しながら進行方向を90度下に曲げて下降する。このとき配管61からガス分配室63へと流路断面積が急拡大するため高湿潤ガスの流速は同時に減速される。減速された高湿潤ガスは、中空糸膜モジュール62の高湿潤ガス導入口62dinに到達する。高湿潤ガスは中空糸膜HFの内部を通過して後流側に抜けるしかないので、中空糸膜HFの水平方向の速度成分が支配的になる。従って、垂直方向の速度成分V2″は減少する。
このように減速された高湿潤ガスが均一に各中空糸膜HFの内部を通過するので確実に中空糸膜HFと接触し加湿効率が向上する。
中空糸膜モジュール62で好適に低湿潤ガスを加湿した高湿潤ガスは、図示しない高湿潤ガス送出孔より外部へ排出される。
一方、図示しない低湿潤ガス導入孔から中空糸膜束62bの外側に供給された低湿潤ガスは、中空糸膜モジュール62内の中空糸膜HFの外側を通過する間に加湿され、ハウジング62aに設けられた低湿潤ガス排出孔Uoutから外部に排出される。
【0039】
また、第1実施形態の燃料電池の加湿システムは、燃料電池60からガス分配室63を経由して中空糸膜モジュール62に高湿潤ガスを導くときに、配管61とガス分配室63及び中空糸膜モジュール62の高湿潤ガス導入口62dinとの位置関係が、水平方向に一直線に並ぶのではなく90度に2回屈折して垂直方向に(すなわち、中空糸膜HFの束の厚み方向に)離隔した配置となっている。
このように構成したので、従来は、燃料電池から中空糸膜モジュールまでのガス導入路を水平方向に一直線に並べた場合には、燃料電池から排出された高湿潤ガスが、狭い通路の配管を通るため配管自身が絞り手段となり、高湿潤ガスが流速の速いガスとして噴出し、そのままの流速を維持しながら中空糸膜HFの内側を流れるガスとなる。そのため部分的に貫通力が強くなり、吹き抜け等が発生し、膜全体に高湿潤ガスが行き渡らなくなるという問題があったが、本発明の構成によりそのような問題が解決される。
【0040】
このようにして、ガス分配室63上流の配管断面積S60<中空糸膜HFの内部通路の総合断面積S70とすることにより、燃料電池60から排出された高湿潤ガスが急拡大流路であるガス分配室63に導かれて減速し、水平方向に均一に中空糸膜の内部通路を流れるようになるので、部分的に貫通力が強くなって吹き抜けることもなく膜全体に高湿潤ガスが行き渡り中空糸膜式加湿器の加湿能力が向上する。
尚、第1実施形態の燃料電池の加湿システムは、燃料電池のアノードガスの加湿でもカソードガスの加湿でもどちらでも使用することができる。また、中空糸膜モジュール内のガスの流れは向流に流しても並流に流してもよい。
【0041】
尚、本発明は発明の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で種々の可変が可能であり、本発明はこの改変された発明に及ぶことは当然である。
【0042】
【発明の効果】
以上の構成と作用からなる本発明によれば、以下の効果を奏する。
(1)請求項1の発明によれば、内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分交換を行うことが可能な複数の中空糸膜を束ねて中空糸膜束とし、この中空糸膜束の外側に流体を通流させる流体の導入孔及び流体の送出孔を有するハウジング内に前記中空糸膜束を固定した中空糸膜式加湿器において、前記ハウジングに直接開設され、前記中空糸膜束の外側に対し、その略厚み方向に流体を導入する流体導入孔の開口部の総合面積が、前記中空糸膜束の外側から前記ハウジングの外部へ流体を送出させる流体送出孔の開口部の総合面積未満に形成したことにより、中空糸膜束への流体導入孔における厚み方向の流速を大きくし、中空糸膜式加湿器の外部へ送出させる流体送出孔での流速を小さくできるので、流体が中空糸膜の膜全体に行き渡る。その結果、加湿効率が向上する。
また、請求項2の発明によれば、内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分交換を行うことが可能な複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束と、前記中空糸膜束が内部に固定され、内部から外部へ流体を送出する流体送出孔を有するハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され、その外周に前記中空糸膜束が配置されると共に、前記ハウジングの内部へ流体を導入する流体導入孔を有する配管と、を備え、前記配管に直接開設され、前記中空糸膜束の略厚み方向に流体を導入する流体導入孔の開口部の総合面積が、前記中空糸膜束の外側から前記ハウジングの外部へ流体を送出させる流体送出孔の開口部の総合面積未満に形成したことにより、中空糸膜束への流体導入孔における厚み方向の流速を大きくし、中空糸膜式加湿器の外部へ送出させる流体送出孔での流速を小さくできるので、流体が中空糸膜の膜全体に行き渡る。その結果、加湿効率が向上する。
(2)請求項3の発明によれば、内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分交換を行うことが可能な複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束と、前記中空糸膜束が内部に固定され、外部から内部へ流体を導入する流体導入孔と、内部から外部へ流体を送出する流体送出孔とを有するハウジングと、前記中空糸膜束からその厚み方向に所定量離間させて設けられると共に、軸方向が前記中空糸膜束の軸方向と平行に設けられ、前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路へ流体を供給する流体導入通路と、該流体導入通路と前記中空糸膜束との間に介設され、流体を前記流体導入通路から前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路へ導入させる流体分配室と、を備え、前記流体導入通路の最狭部の断面積が、前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路の断面積を合計した総合断面積未満に形成されており、前記流体導入通路から前記流体分配室へ導入された流体は、前記流体分配室の内壁に衝突し、前記中空糸膜束の厚み方向で流れて、前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路へ導入されることにより、以下の作用・効果を奏する。
(i)流体導入通路を中空糸膜束からその厚み方向に所定量離間させた位置に設けたので、中空糸膜の内部通路の直前に絞り手段を設けた場合のように、内部通路に導入される流体の流速が速くなり、部分的に貫通力が強くなって吹き抜けてしまうということがない。
(ii)断面積が狭い流体導入通路から断面積が大きな流体分配室の通路に急拡大するので流速が遅くなる。流体は、中空糸膜の内部通路を通り抜けるしかないので水平方向に流れる流体の流れが支配的となる。その結果、流体が膜全体に均一にゆっくりと行き渡るので加湿効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中空糸膜式加湿器に使用される第1実施形態の中空糸膜モジュールを示す斜視図である。
【図2】本発明に係る中空糸膜式加湿器に使用される第2実施形態の中空糸膜モジュールを示す斜視図である。
【図3】本発明に係る中空糸膜式加湿器に使用される第3実施形態の中空糸膜モジュールを示す斜視図である。
【図4】(a)中空糸膜モジュール入口における速度が速い場合の中空糸膜束に対する流体の侵入深さを示した図である。
(b)中空糸膜モジュール入口における流体の速度が遅い場合の中空糸膜束に対する流体の侵入深さを示した図である。
【図5】(a)本発明に係る流体の導入路を有する中空糸膜式加湿器を燃料電池の加湿システムに適用した第1実施形態の燃料電池の加湿システムにおける高湿潤ガスの流れを示した図である。
(b)図5(a)のA−A′部分断面図である。
【図6】従来の中空糸膜を利用した加湿器を説明するための縦断面図である。
【図7】従来の中空糸膜を利用した他の実施形態の加湿器を説明するための縦断面図である。
【図8】従来の中空糸膜を利用した他の実施形態の加湿器内の中空糸膜の外側を流れる流体の流れを示した図である。
【図9】従来の中空糸膜の内部通路の直前に絞り手段を設けた場合の高湿潤ガスの流れを説明するための図である。
【符号の説明】
S2、S20、S40 流体導入孔の開口部の総合面積
S1、S10、S30 流体送出孔の開口部の総合面積
S60 ガス分配室上流の配管断面積
S70 中空糸膜の内部通路総合断面積
60 燃料電池
61 配管(流体導入通路)
63 ガス分配室(流体分配室)
HF 中空糸膜
Claims (3)
- 内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分交換を行うことが可能な複数の中空糸膜を束ねて中空糸膜束とし、この中空糸膜束の外側に流体を通流させる流体の導入孔及び流体の送出孔を有するハウジング内に前記中空糸膜束を固定した中空糸膜式加湿器において、
前記ハウジングに直接開設され、前記中空糸膜束の外側に対し、その略厚み方向に流体を導入する流体導入孔の開口部の総合面積が、前記中空糸膜束の外側から前記ハウジングの外部へ流体を送出させる流体送出孔の開口部の総合面積未満に形成されたことを特徴とする中空糸膜式加湿器。 - 内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分交換を行うことが可能な複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束と、
前記中空糸膜束が内部に固定され、内部から外部へ流体を送出する流体送出孔を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され、その外周に前記中空糸膜束が配置されると共に、前記ハウジングの内部へ流体を導入する流体導入孔を有する配管と、を備え、
前記配管に直接開設され、前記中空糸膜束の略厚み方向に流体を導入する流体導入孔の開口部の総合面積が、前記中空糸膜束の外側から前記ハウジングの外部へ流体を送出させる流体送出孔の開口部の総合面積未満に形成されたことを特徴とする中空糸膜式加湿器。 - 内側と外側とにそれぞれ通流させる流体間で水分交換を行うことが可能な複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束と、
前記中空糸膜束が内部に固定され、外部から内部へ流体を導入する流体導入孔と、内部から外部へ流体を送出する流体送出孔とを有するハウジングと、
前記中空糸膜束からその厚み方向に所定量離間させて設けられると共に、軸方向が前記中空糸膜束の軸方向と平行に設けられ、前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路へ流体を供給する流体導入通路と、
該流体導入通路と前記中空糸膜束との間に介設され、流体を前記流体導入通路から前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路へ導入させる流体分配室と、を備え、
前記流体導入通路の最狭部の断面積が、前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路の断面積を合計した総合断面積未満に形成されており、
前記流体導入通路から前記流体分配室へ導入された流体は、前記流体分配室の内壁に衝突し、前記中空糸膜束の厚み方向で流れて、前記中空糸膜束の各中空糸膜の内部通路へ導入されることを特徴とする中空糸膜式加湿器。
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