JP4652193B2 - 赤外線感光性平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
例えば、感放射線層と有機ポリマー含有バックコート層を有するオフセット印刷用記録材料であって、少なくとも35℃のガラス転移温度を有する有機ポリマーにシリカゲルなどの顔料を含有させた背面コーティングを設けることによって、合紙なしに積み重ねることが可能になることが記載されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、シリカゲルなどの無機顔料をバックコート層に含有させた場合には、合紙を用いないで積み重ね包装した製品を輸送した際に、無機顔料の硬度が高いため、感光層に擦れによる傷がつきやすいという問題がある。
即ち、本発明の平版印刷版原版の1つの態様は、支持体の片面に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を含み、赤外線照射により画像を形成し得る記録層を有し、該支持体の記録層を有する面とは反対の面に、有機ポリマー層を有し、前記有機ポリマー層表面に、樹脂の水溶液又は水分散液の微細な液滴を付与し、乾燥して得られるマットを有することを特徴とする。
また、本発明の平版印刷版原版の他の態様は、支持体の片面に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を含有する層を含む、赤外線照射により画像を形成し得る重層構造の記録層を有し、前記支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、有機ポリマー層を有し、前記有機ポリマー層表面に、樹脂の水溶液又は水分散液の微細な液滴を付与し、乾燥して得られるマットを有することを特徴とする。
ここで、「マットを有する」とは、層表面にマット形成材料による微小突起を有することを意味する。以下、この微小突起を「マット」と称する場合がある。
このように有機ポリマー層表面にマットを有することで、平版印刷版原版を合紙なしで積層した際に、記録層と有機ポリマー層との接触面にかかる応力の緩和を図ることができる。
以下、本発明における「マット」について説明する。
本発明において、上記のような効果発現の観点から、マット形成材料による微小突起(マット)は、下記のような各条件を満たすことが好ましい。
マット形成材料による微小突起の径は、0.1〜50μmの範囲であることが好ましく、0.5〜20μmの範囲であることがより好ましく、1.0〜10μmの範囲であることが更に好ましい。
微小突起の径とは、幅方向(平面方向)の径のことを意味し、この径の測定方法としては、一般には、光学顕微鏡、電子顕微鏡等による観察により表面に存在する粒子径を測定し、その平均を算出する方法が挙げられる。即ち、ここでいう微小突起の径とは、記録層表面に突出した微小突起を光学的に複数測定し、それらの平均値をとったものである。
この微小突起の密度の測定方法としては、例えば、解析装置付き3次元粗さ測定装置(小坂研究所製)を用いて測定することもでき、また、電子顕微鏡又は金属顕微鏡により観察する方法を用いることもできる。
微小突起の高さの測定方法としては、平版印刷版原版の断面を、電子顕微鏡で観察して突起の高さを測定する方法、また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定する方法等が挙げられる。
すなわち、(1)層表面に、樹脂(マット形成材料)の水溶液又は水分散液の微細な液滴を付与し、乾燥する方法、である。
上記(1)方法では、所望の樹脂を溶解又は分散した液体を、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電霧化方式を用いた静電塗装法等のスプレー塗布法や、グラビアコート塗布法、凹凸を有する塗布ローラーでの塗布法を用いて、目的とする層表面に付与する。
この際、上記のスプレー塗布法を用いた場合には、塗布することで、層表面に、微細な液的な局所的に付与されることとなる。その後、液滴を乾燥させることで微小突起を形成することができる。
また、上記凹凸を有する塗布ローラーを用いる場合には、予め、適当な厚さの層を形成しておき、その上から凹凸を有する塗布ローラーを転がすことで、その凹凸に応じた塗膜形状が得られ、それを乾燥させることで、微小突起を形成することができる。
このような樹脂としては、具体的には、アラビアゴム、膠、ゼラチン、カゼイン、セルロース類(例えば、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、澱粉類(例えば、可溶性澱粉、変性澱粉等)、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、エボキシ樹脂、フェノール樹脂(特に、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい)、ポリアミド(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、アシルアルコール、ヘキサノールなどの炭素数1〜6のアルコールに可溶性のポリアミドが含まれる)、ポリビニルブチラール等がある。
これらの樹脂は単独で使用してもよいし、二種以上併用することもできる。
また、その他の水性液の樹脂として、塩化ビニリデンとアクリル酸エステル或いは、アクリル酸などとの共重合物のラテックス、塩化ビニルと酢酸ビニル、スチレン等の共重合物のラテックス、スチレン−プタジエン共重合物のラテックス、無水マレイン酸とアクリル酸エステルの水溶性ポリマー等を用いることもできる。
(M1)芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタクリルアミド酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類及びヒドロキシスチレン類、例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド又はN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−,m−及びp−ヒドロキシスチレン、o−,m−及びp−ヒドロキシフェニルアクリレート又はメタクリレート;
(M2)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート;
(M3)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等の(置換)アクリル酸エステル;
(M5)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド及びN−エチル−N−フェニルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド;
(M7)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;
(M8)スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類;
(M9)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類;
(M10)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類;
(M11)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等;
更に、上記モノマーの共重合によって得られる共重合体を、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどによって修飾したものも含まれるがこれらに限られるものではない。
更に、密着性、強度、帯電性、などをコントロールする目的で、その他の添加物を用いてもよい。
可塑剤は、微小突起全体のガラス転移点が20℃以下にならない範囲で加えられ、それは、概ね、上記樹脂に対して約30質量%以下である。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。
すなわち、樹脂を適宜選択し、従来周知の方法により水へ溶解させ、或いは、分散させて、水溶液又は水分散液とする。ここで用いられる液媒としては、主成分の水のほか、記録層や有機ポリマー層を溶解しない有機溶媒を含んでいてもよい。
また、水分散液の場合は、通常のラテックスの合成法と同様にして、原料のモノマーを界面活性剤で水中に乳化しておき、過硫酸カリウムなどの重合開始剤を用いて乳化重合することで、水分散液を調製する方法を用いてもよい。
更に、水溶液の場合は、アクリル酸、メククリル酸、マレイン酸、イタコン酸などの一部を、ナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩として、水溶液とすることでもよい。
このように静電的に液滴を付着させることで、層表面に均一に微小突起を形成することができる。
本発明の平版印刷版原版に用いる記録層は、赤外線照射により画像を形成し得る層であり、単層であっても、重層構造のいずれであってもよい。単層型の記録層である場合には、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂と、赤外線吸収剤と、を含んで構成される。また、重層型の記録層である場合には、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含み、最も支持体側に位置する層(以下、適宜「下層」と称する。)及び最も支持体から遠くに位置する層(以下、適宜「最上層」と称する。)の少なくとも一方は、赤外線吸収剤を含む層として構成される。
本発明の記録層に使用される水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ可溶性樹脂と称する)とは、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体又はこれらの混合物を包含する。従って、本発明の記録層は、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものである。本発明に使用されるアルカリ可溶性樹脂は、従来公知のものであれば特に制限はないが、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基、及び(4)カルボン酸基から選ばれる少なくとも一つの酸性基を分子内に有する高分子化合物であることが好ましい。
例えば以下のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のス
チレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
下層成分中のアルカリ可溶性樹脂の含有量は、下層の全固形分中、40〜95質量%が好ましく、より好ましくは50〜90質量%である。
記録層には、そのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、現像抑制剤を含有させることができる。記録層が重層構造である場合には、特に最上層に現像抑制剤を含有させることが好ましい。
一般式(vi)中、R61は、多価アルコール残基又は多価フェノール残基を表し、R62は水素原子、置換基を有していても良い炭素原子数1〜25のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基を表す。R63は置換基を有しても良いアルキレン残基を表し、mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数を表す。
添加量としては、単層型の記録層である場合、記録層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。重層型の記録層である場合、最上層全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明における記録層は赤外線吸収剤を含むことを要する。
本発明の平版印刷版原版は、赤外領域に極大吸収を有し、光熱変換能をもつ赤外線吸収剤を含有することで、赤外線レーザーによる記録が可能となる。
本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、赤外光若しくは近赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収剤として知られる種々の染料を用いることができる。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、W1-は、対アニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはW1-は必要ない。好ましいW1-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
また、赤外線吸収剤は、記録層とは別の層を設けてそこへ添加してもよい。別の層とする場合、記録層に隣接する層へ添加するのが望ましい。
記録層を形成するにあたっては、上記成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
なお、重層型の記録層である場合には、以下に挙げる添加剤は記録層下層のみに添加してもよいし、最上層のみに添加してもよいし、両方の層に添加してもよい。
記録層には、感度を向上させる目的で、酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよい。
記録層には、塗布性を良化するため、また、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、欧州特許第950517号明細書に記載されているようなシロキサン系化合物、特開昭62−170950号公報、特開平11−288093号公報、特開2003−057820号公報に記載されているようなフッ素含有モノマーの共重合体を添加することができる。
重層型の記録層である場合、界面活性剤の記録層下層又は最上層の、全固形分に占める割合は、0.01〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5.0質量%、更に好ましくは0.05〜2.0質量%である。
記録層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
重層型の記録層である場合には、記録層下層又は最上層の全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。
記録層には、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加してもよい。
例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
重層構造の記録層である場合には、記録層下層又は最上層の全固形分に対し、0.5〜10質量%、好ましくは1.0〜5.0質量%の割合で添加することができる。
本発明に係る単層型の記録層又は重層型の記録層の最上層には、キズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、米国特許第6,117,913号明細書、或いは本願出願人が先に提案した特願2001−261627、特願2002−032904、特願2002−165584の各明細書に記載されているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルを有する化合物などを挙げることができる。
添加量としては、単層型の記録層である場合、記録層の全固形分に対し、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%の割合で添加することができる。
重層構造の記録層である場合には、記録層最上層中に占める割合が0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
本発明の平版印刷版原版における記録層は、記録層を構成する各成分を溶剤に溶かして、塗布することにより形成することができる。
これらの方法の詳細については、特開2002−251003号公報に記載されている。
ド塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
また、最上層成分の乾燥後の塗布量は、0.05〜1.0g/m2の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.08〜0.7g/m2の範囲である。0.05g/m2以上とすることで、良好な現像ラチチュード、耐傷性が得られ、1.0g/m2以下とすることで良好な感度が得られる。
本発明においては、支持体の記録層を有する面とは反対の面に、有機ポリマー層を有することを特徴とする。
以下、有機ポリマー層を構成する成分について説明する。
有機ポリマー層には、層形成するベースポリマーとしての有機ポリマーを含有する。
以下、ベースポリマーとして好ましく用いられる有機ポリマーを挙げるが、これに限定されるものではない。
すなわち、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂。
上記飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸ユニットとジオールユニットからなる。本発明に用いられるポリエステルのジカルボン酸ユニットとしてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、蓚酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
これらのジカルボン酸及びジオールユニットはそれぞれ少なくとも一種以上で、かつどちらかが二種以上の共重合ユニットとして用いられるが、共重合組成及び分子量により共重合体の性状が決定する。
(2m)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート。
(4m)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステル。
(7m)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類。
(8m)スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類。
(9m)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類。
(10m)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィン類。
(11m)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
これらの疎水性高分子化合物は、有機ポリマー層の全固形分に対し、50質量%以下の範囲で添加できるが、有機ポリマーとして好適に用いられる飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及び塩化ビニリデン共重合樹脂の特性を活かすためには30質量%以下であることが好ましい。
有機ポリマー層には、可とう性の付与、すべり性の調整や塗布面状を改良する目的で、可塑剤、界面活性剤、その他の添加物を、本発明の効果を損ねない範囲で必要により添加できる。
本発明における有機ポリマー層は、有機ポリマー層を構成する各成分を溶媒に溶かして塗布液を調製し、この塗布液を支持体上の記録層を形成する面とは反対側の面(裏面)に、塗布することにより形成できる。
使用される溶媒としては、特開昭62−251739号公報に記載されているような有機溶剤を単独或いは混合して用いることができる。また、溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの溶剤は単独或いは混合して使用される。
有機ポリマー層の好ましい特性としては、本発明の効果を充分に発揮する観点から、有機ポリマー層表面の動摩擦係数が0.38〜0.70の範囲にあることが好ましい。
なお、ここで言う動摩擦係数とは、有機ポリマー層表面と有機ポリマー層とは反対側の記録層表面とを接触させて配置し、標準ASTM D1894に従って測定された値を指す。
一方、支持体の裏面(記録層が設けられたのとは反対の面)に、直接、マットが形成されている前記特許文献2のような態様では、通常、支持体表面が親水性処理されているため、樹脂の水溶液や水分散液を付与した場合に、支持体表面に液体が濡れ広がり易く、本願のような、均一な微小突起(マット)が形成し難いといった問題を有していた。
即ち、例えば、平版印刷版原版を積層して包装・梱包して輸送する場合であっても、記録層と該記録層に接触する有機ポリマー層とが輸送時の振動により擦れることに起因して記録層に擦れ傷が発生することがない。更に、本発明の赤外線感光性平版印刷版原版を積層したものをオートローダーを備えた露光装置に供給した場合のように、版材の記録層と有機ポリマー層との一部分が強く押さえ付けられるような状態になるような使用状況であっても、記録層に擦り傷が発生することがない。
本発明の平版印刷版原版に使用される支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート、若しくは蒸着された紙、若しくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
理を行なってもよい。以下、このような表面処理について簡単に説明する。
本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。
この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号各明細書に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
本発明の平版印刷版原版は、必要に応じて支持体と記録層との間に有機下塗層を設けることができる。
本発明の平版印刷版原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー、YAGレーザー等の固体高出力赤外線レーザーによる露光が好適である。
〔支持体の作製〕
<アルミニウム板>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.026質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.02質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム板を得た。なお、得られたアルミニウムの平均結晶粒径の短径は50μm、長径は300μmであった。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、以下に示す表面処理に供した。
以下の(a)〜(k)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。研磨剤の平均粒径は30μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は45mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板をカセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気
量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流さ
せた。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.50g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸5.0g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一及び第二電解部長各6m、第一及び第二給電部長各3m、第一及び第二給電極部長各2.4m)を用いて陽極酸化処理を行った。第一及び第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度50g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度20℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液の処理槽中へ、10秒間浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行い、表面シリケート親水化処理された赤外線感光性平版印刷版用支持体を得た。
実施例1〜14及び比較例2については、下記の組成のバックコート液を調液し、上記のようにして得られた支持体の記録層を塗布する反対側の面(裏面)に、乾燥後の厚さが0.2μmとなるようにバーコーターで塗布し、その後、100℃で60秒乾燥した。
・有機ポリマー(表1に記載の化合物) 10g
・界面活性剤(フッ素系界面活性剤B、下記構造) 0.05g
・溶剤(下記記載の化合物) 100g
また、前記バックコート液において、実施例2、実施例8、及び実施例14では、溶剤として、ヘキサフルオロイソプロパノールを用いた。
更に、前記バックコート液において、比較例5では、溶剤として、メチルエチルケトンを用いた。
比較例5については、前記バックコート液の組成を、有機ポリマーを表1に記載のものを用い、更に、シリカゲル(粒子径4μm)を0.5g添加したものに変えた他は、実施例1と同様にして、バックコート層を形成した。
上記有機ポリマー層を形成した面とは反対側の、支持体の表面処理した面に、下記の有機下塗り液をバーコーターで塗布し、80℃15秒間乾燥し、乾燥後の被服量が18mg/m2となるように有機下塗り層を設けた。
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
有機下塗り層が形成されたアルミニウム支持体上に、下記の下層用塗布液を乾燥後の塗布量が0.85g/m2になるようバーコーターで塗布した後、160℃で44秒間乾燥し、直ちに17〜20℃の冷風で支持体の温度が35℃になるまで冷却して下層を形成した。その後、下記の上層用塗布液を、乾燥後の塗布量が0.22g/m2になるようにバーコーターで塗布し、148℃で25秒間乾燥し、更に20〜26℃の風で徐冷して(最)上層を形成した。
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリロニトリル/メタクリル酸メチル 2.1g
(36/34/30wt%:重量平均分子量50000、酸価2.65)
・シアニン染料A(下記構造) 0.13g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.13g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸に変えたもの 0.078g
・フッ素系界面活性剤B(前記構造) 0.007g
・メチルエチルケトン 25.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.0g
・m,p−クレゾールノボラック 0.35g
(m/p比=6/4、重量平均分子量4500、
未反応クレゾール0.8質量%含有、Tg75℃)
・アクリル系樹脂C(下記構造) 0.042g
・シアニン染料A(前記構造) 0.019g
・アンモニウム化合物D(下記構造) 0.004g
・フッ素系界面活性剤B(前記構造) 0.0045g
・フッ素系界面活性剤E(下記構造) 0.0033g
・メチルエチルケトン 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.0g
実施例1〜6、実施例13、14の有機ポリマー層表面に、また、比較例4の支持体の記録層を塗布する反対側の面(裏面)に直接、以下の組成の樹脂含有水溶液を固形分濃度20質量%にしたものを用い、更に、下記に示す方法でマットを形成した。
すなわち、回転霧化静電塗装機で、霧化頭回転数15,000rpm、樹脂含有水溶液の送液量は65ml/分、霧化頭への印加電圧は−75kv、塗布時の周囲温度は25℃、相対湿度は50%とし、塗布後1.5秒で塗布面に蒸気を吹き付けて湿潤させ、次いで、湿潤した3秒後に、温度60℃、湿度10%の温風を5秒間吹き付けて乾燥させた。
このマットの塗布量は130mg/m2であった。
・メチルメタアクリレート 68質量%
・エチルアクリレート 20質量%
・アクリル酸ソーダ 12質量%
続いて、実施例13〜14、及び比較例3の記録層表面に、上記有機ポリマー層表面に対するマットの形成と同様の樹脂含有水溶液と同様の方法を用いてマットを形成した。
得られた実施例及び比較例の各赤外線感光性平版印刷版原版について、有機ポリマー層表面に形成されたマットについて測定した。測定結果を表1に併記する。
測定には、電子顕微鏡又は金属顕微鏡を用い、倍率50〜300倍で正面(傾斜角0°)からの観察により、マットの径及び密度(1mm2当たりの個数)を求め、更に、側面(傾斜角80〜90°)からの観察によりマット高さを求めた。
得られた実施例及び比較例の各赤外線感光性平版印刷版原版について、「1.輸送による擦れ傷の発生」、「2.オートローダーでの擦れ傷の発生」の各項目について評価をした。
得られた各赤外線感光性平版印刷版原版を、1030mm×800mmに裁断し各々30枚準備した。この30枚を合紙を入れずに重ねて、上下に厚さ0.5mmのボール紙を各1枚置いて、4隅をテープ止めした後、アルミクラフト紙で包装した。これを更に段ボールケースで外装しテープ止めし、合紙レス包装形態とした。これをパレットに載せ、トラックで2000kmの輸送を行った後、開封した。開封後の、赤外線感光性平版印刷版原版を、富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−940HIIに、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2を1:8で仕込み、現像温度32℃、現像時間12秒で現像処理した。このときの現像液の電導度は43mS/cmであった。現像後の平版印刷版について、輸送時に発生した記録層の傷に起因して生じた画像部の抜けの有無を目視により観察し、評価した。
画像部の抜けが無いものを「○」、画像部の抜けが有ったものを「×」とする。結果を表2に示す。
上記と同一サイズの平版印刷版原版を、LuxelT−9800CTPシングルオートローダーのカセットに合紙を入れずに10枚セットし、自動給版させてドラム装着した後、露光しないで搬出させ、富士写真フイルム(株)製の自動現像機LP−940HIIに、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2(1:8で希釈したもの)及び富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を仕込み、現像温度32℃、現像時間12秒で現像処理した。このときの現像液の電動度は43mS/cmであった。現像後の平版印刷版を目視し、ロード、アンロードによる擦れ傷の発生を評価した。
擦れ傷の発生が無かったものを「○」、擦れ傷の発生が有ったものを「×」とする。結果を表2に示す。
Claims (2)
- 支持体の片面に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を含み、赤外線照射により画像を形成し得る記録層を有し、該支持体の記録層を有する面とは反対の面に、有機ポリマー層を有し、
前記有機ポリマー層表面に、樹脂の水溶液又は水分散液の微細な液滴を付与し、乾燥して得られるマットを有することを特徴とする赤外線感光性平版印刷版原版。 - 支持体の片面に、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂及び赤外線吸収剤を含有する層を含む、赤外線照射により画像を形成し得る重層構造の記録層を有し、前記支持体の記録層を有する面とは反対側の面に、有機ポリマー層を有し、
前記有機ポリマー層表面に、樹脂の水溶液又は水分散液の微細な液滴を付与し、乾燥して得られるマットを有することを特徴とする赤外線感光性平版印刷版原版。
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