JP4650774B2 - リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池の正極活物質となるリチウムニッケル複合酸化物、特に安価で、放電容量が大きくかつサイクル特性の良好なリチウム二次電池を構成することのできるリチウムニッケル複合酸化物に関し、また、それを用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の小型化に伴い、情報関連機器、通信機器の分野では、これらの機器に用いる電源として、高エネルギー密度であるという理由から、リチウム二次電池が実用化され広く普及するに至っている。また一方で、自動車の分野においても、環境問題、資源問題から電気自動車の開発が急がれており、この電気自動車用の電源としても、リチウム二次電池が検討されている。
【0003】
リチウム二次電池の正極活物質となるリチウム複合酸化物は、4V級の作動電圧が得られるものとして、層状岩塩構造LiCoO2、層状岩塩構造LiNiO2、スピネル構造LiMn2O4がよく知られている。これらの中でも、合成の容易である、最も高い作動電圧が得られる等の理由から、現在では、LiCoO2を正極活物質に用いる二次電池が主流を占めている。
【0004】
ところが、LiCoO2を構成する元素であるコバルトは、資源量として少なく極めて高価な元素であることから、リチウム二次電池のコストを押し上げる大きな要因となっている。したがって、リチウム二次電池を、例えば電気自動車用電源等の大容量用途に用いるような場合、大量の正極活物質を用いなければならず、高価なLiCoO2を正極活物質に用いたリチウムイオン二次電池は実用化が非常に困難であると考えられる。
【0005】
このLiCoO2に代わって期待されるのが、層状岩塩構造LiNiO2である。コバルトと比較して安価なニッケルを構成元素とすることから、コスト面で優れ、また、理論放電容量においてはLiCoO2と大差ないが実効容量(電池を構成した場合に実際取り出すことのできる容量)において優れるという利点から、大きな容量の電池を構成できるものとして期待されている。
【0006】
ところが、このLiNiO2は、実効容量が大きいことにより充放電に伴い多くのリチウムを吸蔵・放出するため、自身が大きな膨張・収縮を繰り返すことで結晶構造が崩壊しやすいという欠点がある。したがって、電池を構成した場合に、繰り返される充放電によって電池の放電容量が減少するという、いわゆるサイクル劣化が問題となる。特に、電池反応が活性化する高温下では一層劣化が進むことから、例えば屋外放置される可能性のある電気自動車用電源等の用途の場合、高温下でのサイクル劣化の少ないことも二次電池に求められる重要な特性の一つとなる。
【0007】
従来、LiNiO2を活物質とした正極に起因するサイクル劣化の問題を解決する手段として、例えば、特開昭62−264560号公報、特開平5−325966に示すように、Niサイトの一部をCoで置換するもの、また、特開平8−78009号公報に示すように、B、Si、P等から選ばれた1種以上の元素で置換するとともにMnを添加するもの、またさらに、特開平8−78006号公報に示すように、Coで置換するとともにB、Al、In等から選ばれた1種以上の元素で置換するもの等が検討されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、CoでNiサイトを置換する場合は、Coが高価な元素であるため、やはり正極活物質のコストダウンという点では問題を残すものとなってる。また、Mn等の元素でNiサイトを置換する場合、ベースとなるNi同様3価であることが期待されているにもかかわらず4価のMn等が存在しようとする傾向にあり、そのため酸化物中の電荷中性条件を満たすために、酸素空孔が存在したり、LiがNiサイトに置換されるといった結晶性を悪化させる事態を招いていた。
【0009】
本発明は、上記従来技術の抱える問題を解決すべくなされたものであり、比較的安価な層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物において、Niサイトを置換させる元素を適切なものとするとともに、Liサイトの一部をも他元素で置換させることで、このリチウムニッケル複合酸化物の結晶構造の安定化を図り、安価であって、放電容量が大きくかつサイクル特性、特に高温時使用におけるサイクル特性の良好なリチウム二次電池を構成できる正極活物質材料を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のリチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物は、組成式LivMgwMnxAlyNizO2(0.9≦v≦1.3、0.0001≦w≦0.1、0.02≦x≦0.3、0.01≦y≦0.3、0.4≦z≦0.95、かつ、w≦x)で表され、(003)面の回折線の強度と(104)面の回折線の強度との強度比が1.0以上2.0以下となる層状岩塩構造を有することを特徴とする。
【0011】
本発明のリチウムニッケル複合酸化物においては、Mgは主にLiサイトに置換されるものと考えられる。つまり、比較的安価であり放電容量の大きな層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物において、Niサイトの一部を安価なMnおよびAlで置換するとともに、さらに、Liサイトの一部を、Mgで置換させたものであるといえる。
【0012】
Mgは結晶中2価で存在することから、電荷中性条件を保つべくNiサイトを置換するMnが4価で存在し、酸素空孔、LiのNiサイトへの過度な置換等の結晶性の悪化を回避し結晶構造の安定化を図ることができる。また、層状岩塩構造では酸素から構成される層に挟まれたLiからなる層を構成し、本リチウムニッケル複合酸化物においては、このLi層中にLiよりも嵩高いMgが置換される。したがって、電池の充電に伴いLiが結晶中から放出された場合であっても、Li層中にMgが残存し、酸素層間を支える支柱的役割を果たすことで、結晶構造の動的な安定化をも図ることができる。さらに、Mgの置換は、充電に伴う過度なLiの離脱を抑制することで、低電圧領域で充電されるLiの使用を制限する。これらの作用が相俟って、本リチウムニッケル複合酸化物は、サイクル特性(特に高温サイクル特性)、高温保存特性の良好なリチウム二次電池を構成することのできる正極活物質となる。また、回折線の強度比を1.0以上2.0以下の範囲にすることで、二次電池のサイクル特性をより良好なものとする。
【0013】
本発明のリチウム二次電池は、上記リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いた正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な炭素材料を負極活物質に用いた負極とを含んでなるように構成される。負極活物質には、(002)面の面間隔が3.4Å以下である黒鉛と、(002)面の面間隔が3.4Å以上であるコークスを含む易黒鉛化性炭素と、(002)面の面間隔が3.6Å以上である難黒鉛化性炭素と、のうちで1種のものを単独で用いるか、または2種以上を混合して用いる。黒鉛はc軸方向の結晶子厚みが1000Å以上であり、易黒鉛化性炭素に含まれるコークスはc軸方向の結晶子厚みが30Å以下であり、難黒鉛化性炭素はc軸方向の結晶子厚みが100Å以下である。安価、大容量という利点を活かしつつ、結晶構造の安定化が図られた層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とすることで、本リチウム二次電池は、安価であって、放電容量が大きくかつサイクル特性、高温保存特性の良好なリチウム二次電池となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のリチウムニッケル複合酸化物の実施形態、および本発明のリチウム二次電池の実施形態について詳しく説明する。
〈層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物〉
本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、組成式LivMgwMnxAlyNizO2(0.9≦v≦1.3、0.0001≦w≦0.1、0.02≦x≦0.3、0.01≦y≦0.3、0.4≦z≦0.95、かつ、w≦x)で表され、層状岩塩構造を有する。層状岩塩構造とは、六方晶系に属する結晶構造であり、酸素原子から構成される層、主にニッケル原子から構成される層、酸素原子から構成される層、主にリチウム原子から構成される層がこの順で繰り返し積層された構造を有している結晶構造である。
【0015】
主にNiサイトの一部を置換させる元素としてMnを選択した理由は、Mnが安価な元素であることに加え、室温ならびに高温におけるサイクル特性を向上させるという役割を果たすことからである。置換させる割合つまり組成式中のxの値は、0.02≦x≦0.3とする。これはx<0.02の場合は、サイクル劣化が大きく、x>0.3の場合は、電池容量が低下するからである。なお、より高特性で実用的な二次電池を構成できる正極活物質とするためには、0.05≦x≦0.2とするのがより望ましい。
【0016】
主にNiサイトの一部を置換させるもう一つの元素としてAlを選択した理由は、Alが安価な元素であることに加え、過充電時における安全性を向上させ、サイクル特性を向上させるという役割を果たすことからである。置換させる割合つまり組成式中のyの値は、0.01≦y≦0.3とする。これはy<0.01の場合は、過充電時の安全性およびサイクル特性向上の効果が不充分であり、y>0.3の場合は、電池の容量が低下するからである。なお、より高特性で実用的な二次電池を構成できる正極活物質とするためには、0.02≦y≦0.2とするのがより望ましい。
【0017】
主にLiサイトの一部を置換するMgは、リチウムニッケル複合酸化物の合成において、置換させるMnを4価として存在させるという役割を果たす。このことから、置換割合つまり組成式中のwの値は、w≦xとする。また、その値は、0.0001≦w≦0.1とする。これは、w<0.0001の場合は、電池のサイクル特性が不充分であり、w>0.1の場合は、電池容量が低下するからである。なお、より高特性で実用的な二次電池を構成できる正極活物質とするためには、0.001≦w≦0.05とするのが望ましい。さらに、電池容量とサイクル特性とのバランスという点を考慮すれば、0.005≦w≦0.02とするのがより望ましい。
【0018】
Niの存在割合つまり組成式中のzの値は、上記MnおよびAlの置換割合等によって変わるものとなるが、0.4≦z≦0.95とする。これはz<0.4の場合は、電池容量が急激に低下するためであり、z>0.95の場合は、サイクル特性、安全性とも不充分なためだからである。なお、より高特性で実用的な二次電池を構成できる正極活物質とするためには、0.55≦z≦0.9とするのがより望ましい。
【0019】
Liの存在割合つまり組成式中のvの値は、Mgでの置換割合等の他、LiがNiサイトを置換することも考えられるため、これを考慮し、0.9≦v≦1.3とする。リチウム二次電池において、充放電に寄与するのはこのLiであることから、Liの存在割合が小さすぎれば電池の放電容量が小さくなりすぎ、また、Liが多すぎれば過剰なLiは活物質表面にLi2Co3等を生成し、抵抗が大きくなるため、0.95≦v≦1.05とするのがより望ましい。
【0020】
組成式LivMgwMnxAlyNizO2で表されるリチウム複合酸化物は、六方晶系に属する層状岩塩構造のものの他に、立方岩塩構造(Fm3m)のものがあり、層状岩塩構造のものを合成する場合であっても、不可避的に副相として立方岩塩構造のものが混在する(いわゆる岩塩ドメイン)。したがって、本発明のリチウムニッケル複合酸化物における層状岩塩構造とはこの立方岩塩構造のものが含有されているものを含むことを意味する。
【0021】
層状岩塩構造のリチウムニッケル複合酸化物中に含まれる立方岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物の比率は、これを正極活物質に用いたリチウム二次電池のサイクル特性に影響する。粉末X線回折分析によれば、(003)面の回折ピークは層状岩塩構造の固有のものであるのに対して、(104)面の回折ピークは、層状岩塩構造と立方岩塩構造の両者の回折によって得られる。したがって、(003)面の回折線の強度I003と(104)面の回折線の強度I104との比I003/I104を測定すれば、立方岩塩構造の含有割合を推定することができる。つまり、I003/I104の値が大きくなれば層状岩塩構造の単一相に近づき、小さくなれば立方岩塩構造の存在割合が大きくなる。本発明のリチウムニッケル複合酸化物では、この回折線の強度比I 003 /I104が1.0以上2.0以下となるものとすることが、それを用いた二次電池のサイクル特性をより良好なものとする。
【0022】
本発明のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法は、特に限定するものではなく、固相反応法、アトマイズ法、水熱法等によって製造できる。例えば、固相反応法によって、組成式LivMgwMnxAlyNizO2で表されるものを製造する場合、Li源、Mg源、Mn源、Al源、Ni源となる原料を、それらに含まれるLi、Mg、Mn、Al、NiがLi:Mg:Mn:Al:Ni=v:w:x:y:zとなるように混合し、この混合物を、大気中あるいは酸素雰囲気中で、800〜900℃の温度で、12〜48時間程度焼成することによって合成することができる。この際用、Li原料としてはLiOH・H2O等を、Mg源としてMgO等を、Mn源としてMn2O3等を、Al源としてAl2O3等を、Ni源としてNi(OH)2等をそれぞれ用いることができる。
【0023】
〈リチウム二次電池〉
上記本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いてリチウム二次を構成することができる。上記リチウムニッケル複合酸化物は、組成の異なる種々のものが存在する。得ようとする二次電池の特性に応じ、これら種々のもののうち、1種のものを単独で用いて正極活物質とすることもでき、また、2種以上のものを混合して正極活物質として用いることもできる。また、LiCoO2、LiNiO2等公知のリチウム複合酸化物と混合してこれを正極活物質とすることもできる。
【0024】
本発明のリチウム二次電池においては、正極活物質に上記本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いて正極を構成する。正極は、活物質となるリチウムニッケル複合酸化物の粉状体に、導電材としての黒鉛、アセチレンブラック等の炭素材料粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を混合し、さらにこれらを分散させる溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン等を適量加えてペースト状の正極合材とし、この正極合材をアルミニウム箔等の正極集電体表面に塗布し、乾燥し、その後必要に応じプレス等により活物質密度を高めることによって形成することができる。
【0025】
負極は、負極活物質に、金属リチウム、リチウム合金等を用いて構成することもできる。これら金属リチウム等を負極に用いる場合、繰り返される充放電により負極表面へのデンドライトの析出の可能性があり、二次電池の安全性が懸念される。このため、本発明のリチウム二次電池では、負極活物質に、リチウムを吸蔵・放出可能な炭素材料を用いる。用いることができる炭素材料には、天然黒鉛、球状あるいは繊維状の人造黒鉛、難黒鉛化性炭素、および、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の易黒鉛化性炭素の粉状体を挙げることができる。負極活物質となる炭素材料にはそれぞれの利点があり、作製しようとするリチウム二次電池の特性に応じて選択すればよい。
【0026】
これらのもののうち、天然および人造の黒鉛は、真密度が高くまた導電性に優れるため、容量が大きく(エネルギー密度の高い)、パワー特性の良好なリチウム二次電池を構成できるという利点がある。この利点を活かしたリチウム二次電池を作製する場合、用いる黒鉛は、結晶性の高いことが望ましく、(002)面の面間隔d002が3.4Å以下であり、c軸方向の結晶子厚みLcが1000Å以上のものを用いるのがよい。なお、人造黒鉛は、例えば、易黒鉛化性炭素を2800℃以上の高温で熱処理して製造することができる。この場合の原料となる易黒鉛化性炭素には、コークス、ピッチ類を400℃前後で加熱する過程で得られる光学異方性の小球体(メソカーボンマイクロビーズ:MCMB)等を挙げることができる。
【0027】
易黒鉛化性炭素は、一般に石油や石炭から得られるタールピッチを原料としたもので、コークス、MCMB、メソフェーズピッチ系炭素繊維、熱分解気相成長炭素繊維等が挙げられる。また、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体をも用いることができる。易黒鉛化性炭素は、安価な炭素材料であるため、コスト面で優れたリチウム二次電池を構成できる負極活物質となり得る。これらの中でも、コークスは低コストであり比較的容量も大きく、構成する二次電池のサイクル特性が良好となるという利点があり、この点を考慮すれば、コークスを用いるのが望ましい。コークスを用いる場合には、(002)面の面間隔d002が3.4Å以上であり、c軸方向の結晶子厚みLcが30Å以下のものを用いるのがよい。
【0028】
難黒鉛化性炭素とは、いわゆるハードカーボンと呼ばれるもので、ガラス状炭素に代表される非晶質に近い構造をもつ炭素材料である。一般的に熱硬化性樹脂を炭素化して得られる材料であり、熱処理温度を高くしても黒鉛構造が発達しない材料である。難黒鉛化性炭素には安全性が高く、比較的低コストであり、構成する二次電池のサイクル特性が良好となるという利点があり、この点を考慮すれば、難黒鉛化性炭素を負極活物質として用いるのが望ましい。具体的には、例えば、フェノール樹脂焼成体、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、擬等方性炭素、フルフリルアルコール樹脂焼成体等を用いることができる。より望ましくは、(002)面の面間隔d002が3.6Å以上であり、c軸方向の結晶子厚みLcが100Å以下のものを用いるのがよい。
【0029】
上記、黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素等は、1種のものを単独で用いることもでき、また、2種以上を混合して用いることもできる。2種以上を混合させる態様としては、例えば、過充電時の安全性を確保しつつ、正極活物質であるリチウムニッケル複合酸化物に吸蔵・放出されるリチウムを制限してサイクル特性をより良好なものとする目的で、黒鉛と難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素等の黒鉛化の進んでいない炭素材料とを混合物する場合が例示できる。なお、黒鉛と黒鉛化の進んでいない炭素質材料との混合物を負極活物質に用いる場合、両者の混合比は、サイクル特性と放電容量とのバランスにより決定すればよい。
【0030】
負極活物質として炭素材料を用いる本発明のリチウム二次電池の場合、負極は、上記炭素材料の粉状体に、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を混合し、さらにこれらを分散させる溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン等を適量加えてペースト状の負極合材とし、この負極合材を銅箔等の正極集電体表面に塗布し、乾燥し、その後必要に応じプレス等により活物質密度を高めることによって形成することができる。
【0031】
正極と負極の間に挟装されるセパレータは、正極と負極とを分離し電解液を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。また非水電解液は、有機溶媒に電解質であるリチウム塩を溶解させたもので、有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン等の1種またはこれらの2種以上の混合液を用いることができる。また、溶解させる電解質としては、LiI、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を用いることができる。
【0032】
以上のものを主要構成要素として構成される本発明のリチウム二次電池であるが、その形状は円筒型、積層型、コイン型等、種々のものとすることができる。いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極にセパレータを挟装させ電極体とする。そして正極集電体および負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を集電用リード等を用いて接続し、この電極体を非水電解液とともに電池ケースに密閉する。このような組付け工程を経て電池が完成させられる。なお、正極活物質を除く他の構成要素については、上記した態様のものに限られず、従来から一般的にリチウム二次電池に用いられる態様のものを採用することができる。さらに主要構成要素以外の他の構成要素についても、同様に、従来から一般的にリチウム二次電池に用いられる態様のものを採用することができる。
【0033】
【実施例】
上記実施形態に基づいて、種々の組成をもつ本発明のリチウムニッケル複合酸化物を生成し、これらそれぞれのリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いた正極と、また種々の炭素材料を負極活物質に用いた負極とを組み合わせてリチウム二次電池を実施例として作成した。また、Mg、Mn、Alのいずれかを置換させていないリチウムニッケル複合酸化物を生成し、これらを正極活物質として用いたリチウム二次電池を比較例として作成した。そして、実施例、比較例の二次電池に対して、充放電サイクル試験を行い、それぞれの二次電池の特性を比較した。以下に、これらについて説明する。
【0034】
〈実施例1〉
まず、LiOH・H2Oを427.38重量部、MgOを0.2015重量部、Mn2O3を78.9重量部、Al2O3を51重量部、Ni(OH)2を787.49重量部として、それぞれを充分に混合させた混合物を調製した。次いで、この混合物をアルミナ坩堝に充填し、酸素気流を流入させながら、850℃の温度で、12時間焼成した。焼成後、解砕することにより、粉末状のリチウムニッケル複合酸化物を生成した。生成したリチウムニッケル複合酸化物は、組成式Li1.02Mg0.0005Mn0.1Al0.05Ni0.8495O2で表されるものであった。
【0035】
このリチウムニッケル複合酸化物粉末を正極活物質とし、活物質85重量部に対して、導電材としてアセチレンブラックを10重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを5重量部混合し、N−メチル−2−ピロリドンを適量加え、ペースト状の正極合材を得、この正極合材を、アルミニウム箔製集電体の両面に塗布し、乾燥させて、シート状の正極を作成した。
【0036】
負極は、2800℃で焼成した黒鉛化メソフェーズ小球体を負極活物質とし、この活物質90重量部に対して、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを10重量部混合し、N−メチル−2−ピロリドンを適量加え、ペースト状の負極合材を得、この負極合材を、銅箔製集電体の両面に塗布し、乾燥させて、シート状のものを作成した。
【0037】
上記正極および負極を、ポリエチレン製セパレータを介して捲回し、円筒ロール状の電極体を形成した。この電極体を18650型電池ケース(直径18mmφ、長さ65mm)に収納し、集電処理を行った後、非水電解液を注入し、蓋をかぶせて密閉し円筒型リチウム二次電池を完成させた。なお、非水電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比1:1に混合した有機溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で溶解させたものを用いた。完成したこのリチウム二次電池を実施例1の二次電池とした
〈実施例2〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更し、さらに焼成温度を800℃に変更することにより、組成式Li1.02Mg0.008Mn0.1Al0.05Ni0.842O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例2の二次電池とした。
【0038】
〈実施例3〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.02Mg0.002Mn0.04Al0.08Ni0.878O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例3の二次電池とした。
【0039】
〈実施例4〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.01Mg0.003Mn0.03Al0.1Ni0.867O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例4の二次電池とした。
【0040】
〈実施例5〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.01Mg0.001Mn0.22Al0.03Ni0.749O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例5の二次電池とした。
【0041】
〈実施例6〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.01Mg0.002Mn0.22Al0.01Ni0.768O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例6の二次電池とした。
【0042】
〈実施例7〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.03Mg0.001Mn0.03Al0.01Ni0.959O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例7の二次電池とした。
【0043】
〈実施例8〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.02Mg0.003Mn0.04Al0.11Ni0.847O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例8の二次電池とした。
【0044】
〈実施例9〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.03Mg0.002Mn0.08Al0.03Ni0.888O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例9の二次電池とした。
【0045】
〈実施例10〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.02Mg0.008Mn0.1Al0.05Ni0.842O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例10の二次電池とした。
【0046】
〈実施例11〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.03Mg0.07Mn0.15Al0.05Ni0.73O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例11の二次電池とした。
【0047】
〈実施例12〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.01Mg0.001Mn0.22Al0.21Ni0.569O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例12の二次電池とした。
【0048】
〈実施例13〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.03Mg0.001Mn0.1Al0.01Ni0.889O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例13の二次電池とした。
【0049】
〈実施例14〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.04Mg0.001Mn0.1Al0.22Ni0.679O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例14の二次電池とした。
【0050】
〈実施例15〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、混合するそれぞれの原料の混合比を変更することにより、組成式Li1.05Mg0.08Mn0.13Al0.06Ni0.73O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を実施例15の二次電池とした。
【0051】
〈実施例16〉
実施例1場合の二次電池の作製において、黒鉛化メソフェーズ小球体に代えて、コークスを負極活物質に使用することにより、別の二次電池を作製した。他の構成要素は実施例1の二次電池と同様である。この二次電池を実施例16の二次電池とした。
【0052】
〈実施例17〉
実施例1場合の二次電池の作製において、黒鉛化メソフェーズ小球体に代えて、黒鉛化メソフェーズ小球体とコークスとを重量比で7:3に混合した混合物を負極活物質に使用することにより、別の二次電池を作製した。他の構成要素は実施例1の二次電池と同様である。この二次電池を実施例17の二次電池とした。
【0053】
〈実施例18〉
実施例1場合の二次電池の作製において、黒鉛化メソフェーズ小球体に代えて、黒鉛化メソフェーズ小球体とハードカーボンとを重量比で7:3に混合した混合物を負極活物質に使用することにより、別の二次電池を作製した。他の構成要素は実施例1の二次電池と同様である。この二次電池を実施例18の二次電池とした。
【0054】
〈実施例19〉
実施例1場合の二次電池の作製において、黒鉛化メソフェーズ小球体に代えて、ハードカーボンを負極活物質に使用することにより、別の二次電池を作製した。他の構成要素は実施例1の二次電池と同様である。この二次電池を実施例19の二次電池とした。
【0055】
〈比較例1〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、MgOを混合させず、他の原料の混合比を変更させて、組成式Li1.01Mn0.1Al0.05Ni0.85O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較例1の二次電池とした。
【0056】
〈比較例2〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、Al2O3を混合させず、他の原料の混合比を変更させて、組成式Li1.01Mg0.002Mn0.05Ni0.949O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較例2の二次電池とした。
【0057】
〈比較例3〉
実施例1の場合のリチウムニッケル複合酸化物の生成において、Mn2O3を混合させず、他の原料の混合比を変更させて、組成式Li1.01Mg0.002Al0.05Ni0.949O2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を生成した。このリチウムニッケル複合酸化物を用い、実施例1の場合と同様の構成のリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池を比較例2の二次電池とした。
【0058】
〈リチウム二次電池の特性評価〉
上記実施例および比較例の各二次電池に対して、充放電サイクル試験を行い、二次電池の特性を評価した。充放電サイクル試験は、電池の実使用温度範囲と目される60℃の環境温度の下、2mA/cm2の電流密度で、充電電圧4.2Vまで定電流充電を行った後放電電圧3.0Vまで定電流放電を行うことを1サイクルとし、これを500サイクル以上繰り返すものとした。
【0059】
試験の結果として、各リチウム二次電池の正極活物質単位重量当たりの初期放電容量(1サイクル目の放電容量)、500サイクル後容量維持率(500サイクル目の放電容量/初期放電容量×100%)を下記表1に示す。なお、正極活物質として用いたリチウムニッケル複合酸化物の組成、および粉末X線回折法による(003)面の回折線の強度I003と(104)面の回折線の強度I104との比I003/I104をも併せて示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1から明らかなように、置換元素としてMn、Al、Mgの3つのいずれかの元素が含まれていないリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いた比較例1、2、3の二次電池と比較して、置換元素として3つをすべて含む実施例1の二次電池は、サイクル特性が良好であることが判る。このことから、NiサイトをMnおよびAlで置換し、さらにLiサイトをMgで置換した本発明のリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池は、サイクル特性、特に高温使用時のサイクル特性に優れることが判る。
【0062】
次に組成を種々変更させた実施例1〜15の二次電池を比較してみる。この比較により、以下のことが判る。実施例9および10の二次電池は、電池容量が比較的大きく、サイクル特性は良好であった。実施例1の二次電池は、Mgが比較的少ないため、容量は大きいがサイクル特性で若干劣るものとなった。実施例3および4の二次電池は、Mnが比較的少なく、サイクル特性が若干劣るものとなった。実施例5および6の二次電池は、Mnが比較的多いため、容量が若干小さいものとなった。実施例7の二次電池は、Mn、Alのいずれもが少ないため、容量は大きいがサイクル特性が若干劣るものとなった。実施例8の二次電池は、Mnが比較的少なく、Alはやや多く、そのためサイクル特性が若干劣るものとなった。実施例12の二次電池は、Mn、Alのいずれも多いため、容量がかなり小さなものとなった。実施例13の二次電池は、Alが比較的少ないため、サイクル特性が若干劣るものとなった。実施例14の二次電池は、Alが比較的多いため、容量がかなり小さいものとなった。実施例15の二次電池は、Mgが比較的多いため容量がかなり小さいものとなった。
【0063】
以上の結果から、電池容量とサイクル特性のバランスのとれた実用的な二次電池を構成するためには、組成式LivMgwMnxAlyNizO2において、それぞれの組成比が、0.95≦v≦1.05、0.001≦w≦0.05、0.05≦x≦0.2、0.02≦y≦0.2、0.55≦z≦0.9の範囲にあるリチウムニッケル複合酸化物を、正極活物質として用いることが望ましいことが確認できる。
【0064】
次に、焼成温度変更した実施例2と実施例10との比較から、焼成温度が850℃であるリチウムニッケル複合酸物を用いた実施例10の二次電池に比べ、焼成温度が800℃であるリチウムニッケル複合酸物を用いた実施例2の二次電池は、初期放電容量が小さいものの、サイクル維持率において優り、よりサイクル特性が良好なものとなっている。この理由は、層状構造の発達度合が低いために、正極活物質としての低電位部分を利用していないためであると考える。したがって、焼成温度は、初期容量とサイクル特性との兼ね合いを考え、作製しようとするリチウム二次電池の特性に応じて決定すればよい。
【0065】
さらに、負極活物質の種類によるリチウム二次電池の特性について考える。黒鉛化メソフェーズ小球体のみを負極活物質に用いた実施例1の二次電池に比較して、コークスまたはハードカーボンという黒鉛化度の低い材料を単独であるいは混合して用いた実施例16〜18の二次電池は、初期放電容量について劣るものの、容量維持率において優るものとなっている。これは、黒鉛化度の低い材料が、正極から離脱するLiが過度な状態となるのを抑制する作用を有することをよく表した結果となっている。負極活物質に用いる炭素材料についても、初期容量とサイクル特性との兼ね合いを考え、作製しようとするリチウム二次電池の特性に応じて決定すればよいことが確認できる。
【0066】
【発明の効果】
本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、層状岩塩構造リチウムニッケル複合酸化物において、NiサイトをMnおよびAlで、LiサイトをMg置換した構成のものである。このような構成をもつ本発明のリチウムニッケル複合酸化物は、安価であって、放電容量が大きく、かつ、繰り返す充放電サイクルによっても放電容量の低下の小さいリチウム二次電池を構成することのできる正極活物質となる。したがって、正極活物質にこのリチウムニッケル複合酸化物を用いた本発明のリチウム二次電池は、安価であり、放電容量が大きく、サイクル特性特に高温使用時におけるサイクル特性の良好な二次電池となる。
Claims (5)
- 組成式LivMgwMnxAlyNizO2(0.9≦v≦1.3、0.0001≦w≦0.1、0.02≦x≦0.3、0.01≦y≦0.3、0.4≦z≦0.95、かつ、w≦x)で表され、(003)面の回折線の強度と(104)面の回折線の強度との強度比が1.0以上2.0以下となる層状岩塩構造を有することを特徴とするリチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物。
- 前記組成式中、0.95≦v≦1.05、0.001≦w≦0.05、0.05≦x≦0.2、0.02≦y≦0.2、0.55≦z≦0.9となる請求項1に記載のリチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物。
- 前記wの値は、0.005≦w≦0.02である請求項2に記載のリチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物。
- 組成式LivMgwMnxAlyNizO2(0.9≦v≦1.3、0.0001≦w≦0.1、0.02≦x≦0.3、0.01≦y≦0.3、0.4≦z≦0.95、かつ、w≦x)で表され、(003)面の回折線の強度と(104)面の回折線の強度との強度比が1.0以上2.0以下となる層状岩塩構造を有するリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質に用いた正極と、
リチウムを吸蔵・放出可能な炭素材料を負極活物質に用いた負極とを含んでなることを特徴とするリチウム二次電池。 - 前記負極活物質には、
(002)面の面間隔が3.4Å以下であり、c軸方向の結晶子厚みが1000Å以上である黒鉛と、
(002)面の面間隔が3.4Å以上であり、c軸方向の結晶子厚みが30Å以下であるコークスを含む易黒鉛化性炭素と、
(002)面の面間隔が3.6Å以上であり、c軸方向の結晶子厚みが100Å以下である難黒鉛化性炭素と、
のうちで1種のものを単独で用いるか、または2種以上を混合して用いる請求項4に記載のリチウム二次電池。
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