上記の各従来技術によれば、可変抵抗素子Rは基板上に下部電極、可変抵抗体、上部電極の順に積層されて形成される。そのため、安定したスイッチング動作の可変抵抗素子を再現性良く達成するためには、下部電極と可変抵抗体の接触抵抗及び可変抵抗体と上部電極の接触抵抗が、同一ウェハ内の各メモリセル間、或いはウェハ間において安定していることが必須である。
しかし、従来方法では、電極及び可変抵抗体の表面は、加工プロセスにおいて使用されるガス・薬液等に晒されるため、常に清浄な表面を有していると言えない。又、下部電極及び可変抵抗体成膜後の自然酸化の影響や上層に堆積される膜の成膜プロセス雰囲気の影響により、接触抵抗が安定しないという問題がある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、安定したスイッチング動作を再現性良く達成することができる可変抵抗素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、第1電極と第2電極と可変抵抗体とを備え、前記可変抵抗体が前記第1電極と前記第2電極とに狭持された領域に存し、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧パルスを印加することにより、前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗が変化する可変抵抗素子の製造方法であって、前記第1電極と前記第2電極と前記可変抵抗体の前駆体となる一の導電膜を堆積後、前記導電膜の一部を前記可変抵抗体に変化させると共に、当該可変抵抗体によって分断された前記導電膜の残余部分を前記第1電極及び前記第2電極とすることを第1の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第1の特徴によれば、可変抵抗素子を構成する第1及び第2電極、並びに可変抵抗体は、何れも元々同一の導電膜からなり、当該導電膜の一部が可変抵抗体に変化し、この可変抵抗体によって導電膜が分断されることで第1及び第2電極が形成される。従って、可変抵抗体形成後に導電膜を堆積することで一方の電極を構成する従来の製造方法と異なり、可変抵抗体と電極(第1及び第2の両電極)の界面が成膜雰囲気或いは大気に暴露されることがない。このため、当該界面にパーティクル等が付着することによる接触抵抗のバラツキを招来せず、同一ウェハ内の各メモリセル間、並びに異なるウェハ間において接触抵抗を安定化させることができる。従って、可変抵抗体の両端にかかる電圧を均一化することができ、安定したスイッチング動作を有する可変抵抗素子を再現良く形成できる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第1の特徴に加えて、半導体基板上に前記導電膜を堆積する導電膜堆積工程と、前記導電膜に対して酸化処理を施すことで、前記導電膜の一部領域に前記可変抵抗体を形成すると共に、当該可変抵抗体によって前記導電膜を分断することで前記第1電極及び前記第2電極を形成する酸化工程と、前記酸化工程終了後、全面に保護用層間絶縁膜を堆積する保護絶縁膜堆積工程と、を有することを第2の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第2の特徴によれば、可変抵抗体と両電極との界面を雰囲気或いは大気に暴露することなく、一の導電膜から可変抵抗体並びに第1及び第2電極を形成することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第2の特徴に加えて、前記導電膜堆積工程終了後で前記酸化工程開始前に、前記導電膜の上面を含むように第1層間絶縁膜を堆積する第1絶縁膜堆積工程と、前記第1絶縁膜堆積工程終了後、前記第1層間絶縁膜の一部を開口して前記導電膜の一部の上面を露出する開口部形成工程と、を有し、前記酸化工程によって、前記開口部を介して露出されている前記導電膜の周辺領域が酸化されることを第3の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第3の特徴によれば、開口部を介して露出されている前記導電膜から酸化が進行して可変抵抗体に変化していくことで、元々は一体であった前記導電膜を、前記開口部周辺に形成される可変抵抗体を挟んで両側に第1及び第2電極を有する構成に変化させることができ、これによって可変抵抗体と両電極との界面が露出されることなく可変抵抗素子を製造することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第3の特徴に加えて、前記開口部形成工程終了後で前記酸化工程開始前に、前記開口部を介して露出されている前記導電膜の露出部分の一部を除去することで前記開口部底面に位置する前記導電膜の膜厚を薄くする薄膜化工程を有することを第4の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第4の特徴によれば、前記開口部底面の膜厚が薄膜化されているため、前記酸化工程によって当該薄膜化されている前記開口部底面に形成された導電膜の膜厚全てに亘る酸化処理を容易に施すことができる。これによって、当該酸化処理を介して形成される可変抵抗体によって前記導電膜が分断される結果、第1及び第2電極の間に可変抵抗体が狭持されてなる可変抵抗素子を、可変抵抗体と両電極との界面を露出させることなく容易に製造することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第2の特徴に加えて、前記導電膜堆積工程前に、前記半導体基板上に第1層間絶縁膜を堆積する第1絶縁膜堆積工程と、前記第1層間絶縁膜の所定領域を開口して少なくとも2つの分離された開口部を形成する開口部形成工程と、を有し、前記導電膜堆積工程終了後で前記酸化工程開始前に、前記開口部以外の領域に堆積された前記導電膜が完全には除去されない範囲内で堆積された前記導電膜の膜厚を薄くする薄膜化工程を有し、前記導電膜堆積工程が、前記2つの開口部を完全に充填するように前記導電膜を堆積する工程であり、前記酸化工程が、前記開口部以外の領域に堆積されている前記導電膜の膜厚以上であって、上面位置から前記開口部の底面まで堆積されている前記導電膜の膜厚未満の厚み分だけ前記導電膜を酸化することで前記可変抵抗体を形成する工程であることを第5の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第5の特徴によれば、開口部底面の上層に形成されている導電膜の膜厚が、開口部以外の領域に堆積されている導電膜の膜厚よりも厚く構成されるため、酸化工程によって導電膜を露出面から酸化させることで、開口部以外の領域に堆積されている導電膜の膜厚分を完全に酸化した状態においても、開口部内には開口部の深さ分に相当する未酸化の導電膜が残存される。即ち、開口部以外の領域に堆積されている導電膜については完全に酸化すると共に、開口部内には未酸化の導電膜が残存するような条件下で酸化工程を行うことにより、一の導電膜を各開口部に残存する2つの導電膜(電極)と可変抵抗体とに分断することができる。これにより、可変抵抗体と各電極との界面を雰囲気或いは大気暴露させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第2の特徴に加えて、前記導電膜堆積工程で堆積される前記導電膜が、一部に他より膜厚の薄い局部薄膜領域を有する堆積形状となるよう、前記導電膜堆積工程前に、予め前記導電膜の下地層に対して所定の導電膜堆積前処理を実行することを第6の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第6の特徴によれば、導電膜堆積前処理を施した後に導電膜堆積工程を施すため、導電膜堆積工程後に堆積される導電膜は一部に他よりも膜厚の薄い局部薄膜領域が形成される。従って、酸化工程において、当該局部薄膜領域に対し、当該局部薄膜領域が有する膜厚分を酸化して可変抵抗体に変化させることで、導電膜堆積工程によって堆積された一の導電膜を当該可変抵抗体によって2つの導電領域(電極)に分断することができる。これにより、可変抵抗体と各電極との界面を雰囲気或いは大気暴露させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第6の特徴に加えて、前記導電膜堆積前処理が、半導体基板上に第1層間絶縁膜を堆積する第1絶縁膜堆積工程と、前記第1層間絶縁膜の所定領域に下方へ進むほど開口面積が狭くなるテーパ形状の開口部を形成する開口部形成工程と、を有し、前記導電膜堆積工程が、前記開口部の内部を完全には充填しないように前記導電膜を全面に堆積し、前記開口部の内側側壁の少なくとも一部に前記局部薄膜領域を形成する工程であり、前記酸化工程が、前記導電膜を露出面側から酸化することで前記可変抵抗体を形成すると共に、少なくとも前記局部薄膜領域を酸化させることで、酸化されて前記可変抵抗体に変化した前記局部薄膜領域によって前記開口部の底面側に形成されている前記導電膜と前記局部薄膜領域より上側の領域に形成されている前記導電膜とを分断し、前記第1電極及び前記第2電極を形成する工程であることを第7の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第7の特徴によれば、導電膜堆積前において開口部がテーパ形状に加工されているため、導電膜堆積工程において堆積される導電膜が開口部の内側側壁の傾斜部分において局部薄膜領域を形成する。従って、酸化工程において、当該局部薄膜領域に対し、当該局部薄膜領域が有する膜厚分を酸化して可変抵抗体に変化させることで、導電膜堆積工程によって堆積された一の導電膜を当該可変抵抗体によって2つの導電領域(電極)に分断することができる。これにより、可変抵抗体と各電極との界面を雰囲気或いは大気暴露させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第6の特徴に加えて、前記導電膜堆積前処理が、半導体基板上に第1層間絶縁膜を堆積する第1絶縁膜堆積工程と、前記第1層間絶縁膜の所定領域に開口部を形成する開口部形成工程と、前記開口部の側壁面内に下方に進むほど幅広となるサイドウォール絶縁膜を形成するサイドウォール絶縁膜形成工程と、を有し、前記導電膜堆積工程が、前記開口部の内部を完全には充填しないように導電膜を全面に堆積し、前記サイドウォール絶縁膜の外側側壁の少なくとも一部に前記局部薄膜領域を形成する工程であり、前記酸化工程が、前記導電膜を露出面側から酸化することで前記可変抵抗体を形成すると共に、少なくとも前記局部薄膜領域を酸化させることで、酸化されて前記可変抵抗体に変化した前記局部薄膜領域によって前記開口部の底面側に形成されている前記導電膜と前記局部薄膜領域より上側の領域に形成されている前記導電膜とを分断し、前記第1電極及び前記第2電極を形成する工程であることを第8の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第8の特徴によれば、導電膜堆積前において開口部側壁面内に前記開口部の側壁面内に下方に進むほど幅広となるサイドウォール絶縁膜が形成されているため、導電膜堆積工程において堆積される導電膜が当該サイドウォール絶縁膜の外側側壁の傾斜部分において局部薄膜領域を形成する。従って、酸化工程において、当該局部薄膜領域に対し、当該局部薄膜領域が有する膜厚分を酸化して可変抵抗体に変化させることで、導電膜堆積工程によって堆積された一の導電膜を当該可変抵抗体によって2つの導電領域(電極)に分断することができる。これにより、可変抵抗体と各電極との界面を雰囲気或いは大気暴露させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第6の特徴に加えて、前記導電膜堆積前処理が、隣接する上面の高さ位置が相異なる段差部領域を一部に有する第1層間絶縁膜を半導体基板上に堆積する第1絶縁膜堆積工程を有し、前記導電膜堆積工程が、前記段差部領域を含む全面に前記導電膜を堆積することで、当該段差部領域を構成する上段面及び下段面を連結する側壁部分と前記下段面の交わる角部に近付くほど膜厚が薄くなる形状の前記局部薄膜領域を有する前記導電膜を形成する工程であり、前記酸化工程が、前記導電膜を露出面側から酸化することで前記可変抵抗体を形成すると共に、少なくとも前記局部薄膜領域を酸化させることで、酸化されて前記可変抵抗体に変化した前記局部薄膜領域によって前記上段面に堆積されている前記導電膜と前記下段面に堆積されている前記導電膜とを分断し、前記第1電極及び前記第2電極を形成する工程であることを第9の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第9の特徴によれば、導電膜堆積前において隣接する上面の高さ位置が相異なる段差部領域を一部に有する第1層間絶縁膜が形成されているため、導電膜堆積工程において堆積される導電膜が、第1層間絶縁膜の段差部領域において、当該段差部領域を構成する上段面及び下段面を連結する側壁部分と前記下段面の交わる角部に近付くほど膜厚が薄くなる形状の前記局部薄膜領域を形成する。従って、酸化工程において、当該局部薄膜領域に対し、当該局部薄膜領域が有する膜厚分を酸化して可変抵抗体に変化させることで、導電膜堆積工程によって堆積された一の導電膜を当該可変抵抗体によって2つの導電領域(電極)に分断することができる。これにより、可変抵抗体と各電極との界面を雰囲気或いは大気暴露させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
尚、このとき、予め段差部領域が形成されている下地層に対して第1層間絶縁膜を堆積することで第1層間絶縁膜に対して段差部を設けるものとすることができる。この場合、第1絶縁膜堆積工程を段差被覆性の悪いプラズマCVD法を用いて行うのが好適である。これにより、段差部領域では下断面から上段面に行くほど外側に突出する形状を有する第1層間絶縁膜を形成し易くなる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第6の特徴に加えて、前記導電膜堆積前処理が、上層方向に行くほど膜密度が高くなるように第1層間絶縁膜を堆積する第1絶縁膜堆積工程と、所定領域以外の前記第1層間絶縁膜を剥離することで隣接する上面の高さ位置が相異なる段差部領域を形成すると共に、当該段差部領域を構成する上段面と下段面とを連結する側壁部分を上層方向に行くほど外側に突出する逆テーパ形状とするパターニング工程と、を有し、前記導電膜堆積工程が、前記段差部領域を含む全面に前記導電膜を堆積することで、前記側壁部分と前記下段面の交わる角部に近付くほど膜厚が薄くなる楔形形状の前記局部薄膜領域を有する前記導電膜を形成する工程であり、前記酸化工程が、前記導電膜を露出面側から酸化することで前記可変抵抗体を形成すると共に、少なくとも前記局部薄膜領域を酸化させることで、酸化されて前記可変抵抗体に変化した前記局部薄膜領域によって前記上段面に堆積されている前記導電膜と前記下段面に堆積されている前記導電膜とを分断し、前記第1電極及び前記第2電極を形成する工程であることを第10の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第10の特徴によれば、導電膜堆積前において上層方向に行くほど膜密度が高くなるように第1層間絶縁膜が形成されると共に、パターニング工程において上層方向に行くほど外側に突出する逆テーパ形状の段差部領域が形成されるため、導電膜堆積工程において堆積される導電膜が、この第1層間絶縁膜の段差部領域において、当該段差部領域を構成する上段面及び下段面を連結する側壁部分と前記下段面の交わる角部に近付くほど膜厚が薄くなる形状の前記局部薄膜領域を形成する。従って、酸化工程において、当該局部薄膜領域に対し、当該局部薄膜領域が有する膜厚分を酸化して可変抵抗体に変化させることで、導電膜堆積工程によって堆積された一の導電膜を当該可変抵抗体によって2つの導電領域(電極)に分断することができる。これにより、可変抵抗体と各電極との界面を雰囲気或いは大気暴露させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第10の特徴に加えて、前記第1絶縁膜堆積工程が、基板温度を連続的又は断続的に上昇させながら前記第1層間絶縁膜を堆積させる工程であることを第11の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第11の特徴によれば、第1絶縁膜堆積工程において、上層部に行くほど膜密度が高くなる第1層間絶縁膜を成膜することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第10又は第11の特徴に加えて、前記パターニング工程が、ウェットエッチングによって行われることを第12の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第12の特徴によれば、膜密度の高い上層部に比して膜密度の低い下層部に行くほど第1層間絶縁膜がエッチング除去され、これによって上層方向に行くほど外側に突出する逆テーパ形状の段差部領域を形成することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第6の特徴に加えて、前記導電膜堆積前処理が、半導体基板上に第1層間絶縁膜を堆積する第1絶縁膜堆積工程と、前記第1層間絶縁膜の上面に前記第1層間絶縁膜よりエッチングレートの遅い第2層間絶縁膜を堆積する第2絶縁膜堆積工程と、所定領域以外の前記第1及び第2層間絶縁膜を剥離することで隣接する上面の高さ位置が相異なる段差部領域を形成すると共に、当該段差部領域を構成する上段面と下段面とを連結する側壁部分を、前記第2層間絶縁膜で構成されている領域が前記第1層間絶縁膜で構成されている領域よりも外側に突出する逆階段形状とするパターニング工程と、を有し、前記導電膜堆積工程が、前記段差部領域を含む全面に前記導電膜を堆積することで、前記側壁部分と前記下段面の交わる角部に近付くほど膜厚が薄くなる楔形形状の前記局部薄膜領域を有する前記導電膜を形成する工程であり、前記酸化工程が、前記導電膜を露出面側から酸化することで前記可変抵抗体を形成すると共に、少なくとも前記局部薄膜領域を酸化させることで、酸化されて前記可変抵抗体に変化した前記上段面に堆積されている前記導電膜と前記下段面に堆積されている前記導電膜とを分断し、前記第1電極及び前記第2電極を形成する工程であることを第13の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第13の特徴によれば、導電膜堆積前において第1層間絶縁膜、並びに前記第1層間絶縁膜よりもエッチングレートの遅い第2層間絶縁膜を堆積すると共に、パターニング工程において下層となる第1層間絶縁膜が上層となる第2層間絶縁膜よりもエッチング除去される結果、上層となる第2層間絶縁膜の方が外側に突出している逆階段形状の段差部領域が形成される。そして、かかる段差部領域の形成後に導電膜の堆積が行われることで、段差部領域の上層部(第2層間絶縁膜の側壁)外側に堆積される膜厚と比較して下層部(第1層間絶縁膜の側壁)外側に堆積される膜厚が薄くなるように導電膜を成膜することができ、この結果、第1層間絶縁膜外側側壁において前記局部薄膜領域を形成することができる。従って、酸化工程において、当該局部薄膜領域に対し、当該局部薄膜領域が有する膜厚分を酸化して可変抵抗体に変化させることで、導電膜堆積工程によって堆積された一の導電膜を当該可変抵抗体によって2つの導電領域(電極)に分断することができる。これにより、可変抵抗体と各電極との界面を雰囲気或いは大気暴露させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第13の特徴に加えて、前記第1絶縁膜堆積工程が、SiO2膜を堆積する工程であり、前記第2絶縁膜堆積工程が、SiN膜を堆積する工程であり、前記パターニング工程が、HF薬液によるウェットエッチングによって行われることを第14の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第14の特徴によれば、SiN膜がSiO2膜に比してHFによるウェットエッチングレートが遅いため、パターニング工程によって、下層となるSiO2膜よりも上層となるSiN膜の方が外側に突出している逆階段形状の段差部領域を形成することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第6〜第14の何れか一の特徴に加えて、前記酸化工程終了後に、前記可変抵抗体の上面を覆うように酸化防止絶縁膜を堆積する酸化防止絶縁膜堆積工程を有し、前記酸化防止絶縁膜堆積工程終了後に、前記酸化防止絶縁膜、前記可変抵抗体、及び前記導電膜に対してパターニング処理を行うパターニング工程を有することを第15の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第15の特徴によれば、可変抵抗体に対するパターニング処理を行う際に、レジストアッシング処理等による可変抵抗体への酸化の影響を防止することができ、前記可変抵抗体の特性を劣化させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第15の特徴に加えて、前記酸化防止絶縁膜が窒素もしくは炭素を含む絶縁膜であることを第16の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第16の特徴によれば、前記第1及び第2電極、並びに可変抵抗体のパターン形成後の酸化の影響を防止することができ、前記可変抵抗体の特性を劣化させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第6〜第16の何れか一の特徴に加えて、前記導電膜堆積工程が、指向性スパッタ成膜法によって前記導電膜を堆積する工程であることを第17の特徴とする。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第6〜第16の何れか一の特徴に加えて、前記導電膜堆積工程が、CVD成膜とスパッタ成膜の積層法によって前記導電膜を堆積する工程であることを第18の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第17又は第18の特徴によれば、段差部領域の側壁部分に堆積される導電膜の膜厚と第1層間絶縁膜の上層に堆積される導電膜の膜厚との間に格差を設け、局部薄膜領域の膜厚を他の領域と比較して十分に薄くすることができる。従って、酸化工程によって局部薄膜領域に形成される可変抵抗体によって容易に導電膜を2つの領域(第1電極と第2電極)に分断することができる。
又、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法は、上記第1〜第18の何れか一の特徴に加えて、前記導電膜は窒化チタンであることを第19の特徴とする。
本発明に係る可変抵抗素子の製造方法の上記第19の特徴によれば、酸化工程によって、印加される電圧に応じて抵抗値を変化可能な可変抵抗体としての性質を示す酸窒化チタン、或いは酸化チタンが形成されるため、窒化チタンを第1及び第2電極とし、これら両電極に狭持される酸化チタン或いは酸窒化チタンを可変抵抗体とする安定的なスイッチング特性を示す可変抵抗素子を実現することができる。
尚、前記導電膜は、窒化チタン以外にも、Cu、Ni,V、Zn、Nb、Ti、W、Co等の遷移金属又はこれら遷移金属の窒化物で構成されるものとしても良い。この場合、可変抵抗体は、用いられた遷移金属或いは遷移金属の窒化物が酸化されることで生成される金属酸化物又は金属酸窒化物で構成される。
本発明の構成によれば、可変抵抗体と第1電極の界面、並びに可変抵抗体と第2電極の界面が大気或いは雰囲気に暴露されていないため、製造プロセス過程で当該界面にパーティクルや自然酸化物等が付着することがなく、接触抵抗が安定化される。これにより、同一ウェハ内の各メモリセル間、並びに異なるウェハ間においても接触抵抗が安定化される結果、安定したスイッチング特性を示す不揮発性半導体記憶装置の実現が可能となる。
以下において、本発明に係る可変抵抗素子の製造方法(以下、適宜「本発明方法」と記載)の各実施形態について図面を参照して説明する。尚、本発明方法によって製造された可変抵抗素子は、従来の不揮発性半導体メモリが備える可変抵抗素子と同様、2つの電極(以下では夫々を「第1電極」及び「第2電極」と称する)と、これら2つの電極の間に狭持されてなる可変抵抗体を備えて構成される。そして、第1電極と第2電極との間に電圧パルスが印加されることで抵抗値を可逆的に変化させ、変化後の可変抵抗素子の抵抗値を読み出すことによって、この読み出された抵抗値に関連付けられている記憶状態(書き込み状態、消去状態)を認識可能に構成されている。
[第1実施形態]
本発明方法の第1実施形態(以下、適宜「本実施形態」と記載)について、図1及び図2の各図を参照して説明を行う。図1は、本実施形態において、半導体装置を製造する際の各工程における概略断面図を模式的に示したものであり、工程毎に図1(a)〜図1(g)に分けて図示している。又、図2は本実施形態の製造工程をフローチャートにしたものであり、以下の文中の各ステップは図2に示されるフローチャートの各ステップを表すものとする。
尚、図1に示される概略断面図の他、本実施形態及び後述する各実施形態において説明のために参照する各概略構造図はあくまで模式的に図示されたものであり、実際の構造の寸法の縮尺と図面の縮尺とは必ずしも一致するものではない。又、各工程で堆積される各膜の膜厚の数値はあくまで一例であって、この値に限定されるものではない。以下の各実施形態においても同様とする。
まず、図1(a)に示すように、トランジスタ回路等(図示せず)を適宜形成した半導体基板11上に導電性薄膜の一例としてのTiN膜14をスパッタ法にて100nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#11)。
次に、図1(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクとして、公知のエッチング技術によってTiN膜14をパターニングする(ステップ#12)。
次に、図1(c)に示すように、TiN膜14上にSiO2膜(第1層間絶縁膜)13をCVD法にて300nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#13)。
次に、図1(d)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクとして、公知のエッチング技術によって可変抵抗体として機能すべき局所領域のTiN膜14の上面を露出させるように第1層間絶縁膜13を開口し、開口部15を形成する(ステップ#14)。
次に、図1(e)に示すように、公知のエッチング技術によって、開口部15の下部領域に位置するTiN膜14を所定の厚みまで薄膜化する(ステップ#15)。
次に、図1(f)に示すように、例えば、酸素を含む250〜450℃の雰囲気下で熱酸化することにより、第1層間絶縁膜13で覆われていない開口部15の外周部分のTiN膜14を酸化させて、可変抵抗体の一例としてのTiO2膜16(以下、適宜「可変抵抗体膜16」と記載)を形成する(ステップ#16)。このとき、露出されている開口部15の外周領域に位置するTiN膜14の表面から開口部15に対して離れる方向に(下方向及び開口部15から見て外側方向)向けて熱酸化が進行する。下方向に進行するこの熱酸化が、半導体基板11上面とTiN膜14との界面位置まで到達することで、開口部15の下部領域(及びその周辺部)に位置するTiN膜14は可変抵抗体膜16に変化する。そして、この可変抵抗体膜16によってTiN膜14が一方の電極(第1電極)14aと他方の電極(第2電極)14bとに分離される。
次に、図1(g)に示すように、SiO2等の保護用層間絶縁膜17をCVD法にて700nm堆積し、公知のCMP法等による平坦化技術で平坦化する(ステップ#17)。
本発明方法によれば、可変抵抗体膜16は、TiN膜14を酸化させることで形成される。そして、当該可変抵抗体膜16が形成される結果、TiN膜14が2つの部分(第1電極14aと第2電極14b)とに分断され、これによって2つの電極間に可変抵抗体16が狭持されてなる可変抵抗素子(本発明素子)が形成される。即ち、両電極14a及び14b、並びに可変抵抗体膜16は、元々は同一の工程(ステップ#11)で積層された同一のTiN膜14であり、両電極14a及び14bと可変抵抗体膜16との界面がガスや大気等に晒されることがないため、従来方法のように成膜プロセスにおける雰囲気の影響を受けて接触抵抗にバラツキが生じるということがない。従って、本発明方法によれば、同一ウェハ内の各メモリセル間、並びに異なるウェハ間において接触抵抗を安定化させることができるため、可変抵抗体膜16の両端にかかる電圧を均一化することができ、安定したスイッチング動作を有する可変抵抗素子を再現良く形成できる。
更に、可変抵抗体の電気的に寄与する領域の面積を、従来技術ではフォトリソグラフィ技術による加工可能面積で制約されていた面積よりも簡単な方法で小さくすることができるので、書込時、消去時の消費電流を低減することができ、低抵抗による書込み不能の起こらない安定したスイッチング動作の可変抵抗素子を再現性良く、且つ低コストで形成できる。尚、上記の効果は、後述する第2〜第7の各実施形態においても同様に奏することができる。
尚、上記ステップ#15において、開口部15の下部領域に位置するTiN膜14を所定の厚みまで薄くする工程を行った。当該工程は、可変抵抗体の電気的に寄与する領域の面積を小さくすることで消費電流を抑制し、書込不能とならない安定したスイッチング動作が可能なメモリセルを再現性良く実現させるために好ましい工程であるが、本発明素子を製造するプロセスとして必ずしも必要であるというものではない。後述する第4実施形態では、可変抵抗体の膜厚を変化させてメモリセルのスイッチング特性を比較した実験結果を示し、可変抵抗体の膜厚が薄いほど安定したスイッチング動作が可能になることを明らかにする。又、このステップ#15に係る薄膜化工程を施すことによって、ステップ#16において第1電極14a及び第2電極14bを形成可能に酸化するために要する酸化時間の短縮化が可能となるという効果もある。
又、ステップ#13で堆積された第1層間絶縁膜13、並びにステップ#17で堆積された保護用層間絶縁膜17を何れもSiO2膜としたが、これらの層間絶縁膜はSiO2膜に限られたものではなく、SiN膜、SiON膜、SiOF膜、SiOC膜等の耐酸化性を有する任意の適切な絶縁膜を用いることが可能である。又、第1層間絶縁膜13と保護用層間絶縁膜17とが異なる材料の絶縁膜で構成されるものとしても良い。以下の第2〜第6実施形態においても同様とする。
又、上記ステップ#11においてTiN膜14を成膜する下地となる半導体基板11はトランジスタ回路等が適宜形成されているものとしたが、必ずしも当該回路が形成されている必要はない。以下の各実施形態においても同様とする。
又、ステップ#13及びステップ#17では、各層間絶縁膜をCVD法で堆積するものとしたが、パルス化レーザ堆積、rf−スパッタリング、電子ビーム蒸発、熱蒸発、スピンオン堆積等の任意の適切な堆積技術を用いて堆積することも可能である。以下の各実施形態においても、特に断らない限り同様とする。
更に、第1電極14a及び第2電極14b夫々と電気的コンタクトを取るために形成されるメタル配線(図示せず)は、TiN膜14を堆積する前工程でも後工程でも適宜形成可能である。以下の各実施形態においても、特に断らない限り同様とする。
[第2実施形態]
本発明方法の第2実施形態(以下、適宜「本実施形態」と記載)について、図3及び図4の各図を参照して説明を行う。図3は、本実施形態において、半導体装置を製造する際の各工程における概略断面図を模式的に示したものであり、工程毎に図3(a)〜図3(g)に分けて図示している。又、図4は本実施形態の製造工程をフローチャートにしたものであり、以下の文中の各ステップは図4に示されるフローチャートの各ステップを表すものとする。
まず、図3(a)に示すように、トランジスタ回路等(図示せず)を適宜形成した半導体基板11上にSiO2膜(第1層間絶縁膜)13をCVD法にて100nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#21)。
次に、図3(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクに、公知のエッチング技術によって第1層間絶縁膜13をパターニングし、半導体基板11の上面を露出させるように開口部15a、15bを形成する(ステップ#22)。このとき、後の工程で形成される第1電極及び第2電極の形成予定位置を開口するものとし、第1電極形成予定位置(開口部15a)、及び第2電極形成予定位置(開口部15b)の両者に狭持される領域には第1層間絶縁膜13を残存させるものとする。以下では、両開口部15a及び15bに狭持される領域に存する第1層間絶縁膜13を「第1層間絶縁膜13a」と記載する。
次に、図3(c)に示すように、半導体基板11上に導電性薄膜の一例としてのTiN膜14をスパッタ法にて、少なくともステップ#21で堆積した第1層間絶縁膜13の膜厚よりは大きい膜厚(例えば150nm)で全面に堆積する(ステップ#23)。これにより、開口部15内に堆積されるTiN膜14は、開口部15内を全て充填すると共にその周囲に堆積されている第1層間絶縁膜13の上面位置よりも高い位置にまで堆積されることとなる。
次に、図3(d)に示すように、公知のCMP技術もしくはエッチング技術によって第1層間絶縁膜13の上面に形成されるTiN膜14が所定の厚みに達するまで薄くする(ステップ#24)。このとき、開口部15内及びその上部領域に堆積されているTiN膜14の膜厚が、第1層間絶縁膜13の上部領域に堆積されているTiN膜14の膜厚より薄くならないようにする。
次に、図3(e)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクに、公知のエッチング技術によって、TiN膜14をパターニングする。具体的には、開口部15a及び開口部15bの上部領域、並びに両領域に狭持された領域内に形成されている第1層間絶縁膜13以外の第1層間絶縁膜13上に形成されているTiN膜14をエッチング除去する。
次に、図3(f)に示すように、例えば、酸素を含む250〜450℃の雰囲気下で熱酸化することにより、TiN膜14を酸化させて、可変抵抗体の一例としてのTiO2膜16(以下、適宜「可変抵抗体膜16」と記載)を形成する(ステップ#26)。このとき、熱酸化は、第1層間絶縁膜13aの上部領域に堆積されているTiN膜14が、上面から第1層間絶縁膜13aとの界面位置まで酸化が進行するように実施される。これにより、開口部15a及び15b内には未酸化状態のTiN膜14が充填されたままの状態であり、その上部及び第1層間絶縁膜13aの上部には可変抵抗体膜16が形成されることとなる。即ち、本工程によって、TiN膜14が、開口部15a内に充填される未酸化状態のTiN膜14a(第1電極)と、開口部15b内に充填される未酸化状態のTiN膜14b(第2電極)とに分離される。
次に、図3(g)に示すように、SiO2等の保護用層間絶縁膜17をCVD法にて700nm堆積し、公知のCMP法等による平坦化技術で平坦化する(ステップ#27)。
本実施形態においても、第1実施形態と同様、可変抵抗体膜16は、TiN膜14を酸化させることで形成される。そして、当該可変抵抗体膜16が形成される結果、TiN膜14が2つの部分(第1電極14aと第2電極14b)とに分断され、これによって2つの電極間に可変抵抗体16が狭持されてなる可変抵抗素子が形成される。従って、両電極14a及び14bと可変抵抗体膜16との界面がガスや大気等に晒されることがないため、従来方法のように成膜プロセスにおける雰囲気の影響を受けて接触抵抗にバラツキが生じるということがなく、同一ウェハ内の各メモリセル間、並びに異なるウェハ間において接触抵抗を安定化させることができる。これにより、可変抵抗体膜16の両端にかかる電圧を均一化することができ、安定したスイッチング動作を有する可変抵抗素子を再現良く形成できる。
[第3実施形態]
本発明方法の第3実施形態(以下、適宜「本実施形態」と記載)について、図5〜図8の各図を参照して説明を行う。図5は、本実施形態において、半導体装置を製造する際の各工程における概略断面図を模式的に示したものであり、工程毎に図5(a)〜図5(e)に分けて図示している。又、図6は本実施形態の製造工程をフローチャートにしたものであり、以下の文中の各ステップは図6に示されるフローチャートの各ステップを表すものとする。
まず、図5(a)に示すように、トランジスタ回路等(図示せず)及びメタル配線21を適宜形成した半導体基板11上にSiO2膜(第1層間絶縁膜)13をCVD法にて400nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#31)。
次に、図5(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクに、公知のエッチング技術によって、第1層間絶縁膜13に例えばホール直径200nm程度でメタル配線21が露出するまで開口部22をパターニングする(ステップ#32)。このとき、開口部22内の開口面積が上部領域から下部領域に進むに連れて狭くなるようにテーパエッチングを行う。
次に、図5(c)に示すように、半導体基板11上に導電性薄膜の一例としてのTiN膜14をスパッタ法にて60nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#33)。ステップ#32において、開口部22のホール形状をテーパ形状に加工しているため、TiN膜14が開口部22の内壁の傾斜部分に堆積される結果、開口部22内において上部位置から下部位置に進むに連れて膜厚が薄くなるようにTiN膜14を成膜することができ、TiN膜14内において他の領域よりも膜厚が薄い部分(以下、「局部薄膜領域」と記載する)を形成することができる。このとき、開口部22内がTiN膜14によって完全に充填されることのないようにTiN膜14を堆積させる。
次に、図5(d)に示すように、例えば、酸素を含む250〜450℃の雰囲気下で熱酸化することにより、TiN膜14を酸化させて、可変抵抗体の一例としてのTiO2膜16(以下、適宜「可変抵抗体膜16」と記載)を形成する(ステップ#34)。このとき、熱酸化は、開口部22の内側側壁上に堆積されているTiN膜14の表面から、TiN膜14と第1層間絶縁膜13との界面位置まで到達するように(言い換えれば、少なくとも局部薄膜領域において、当該局部薄膜領域が有するTiN膜14の膜厚分を酸化するように)実施され、これによって開口部22の内側側壁上に堆積されているTiN膜14が可変抵抗体膜16に変化する。このとき、圧力条件、温度条件、及び処理時間を所定の条件にして酸化処理を行うことで、開口部22の底面位置に形成されているTiN膜14を完全に酸化させず、当該領域には一部未酸化のTiN膜14を残存させる。即ち、開口部22の底面位置において、メタル配線21の上面と接触する部分には未酸化のTiN膜14が形成されており、その上部領域にはTiN膜14が酸化される可変抵抗体膜16が形成されている。当該ステップ#34によって、TiN膜14は、可変抵抗体膜16を介してメタル配線21に接触する電極(第1電極)14aと、それ以外の電極(第2電極)14bとに分離される。尚、一例としては、開口部22の内側側壁に約9nm程度の膜厚でTiN膜14が堆積されている場合には、常圧(760Torr)で300℃の条件下で、40分程度の熱酸化処理を施すことで、当該側壁部分に堆積されているTiN膜14を完全に酸化させることが可能である。この場合、開口部22の底面位置には9nmよりも十分大きい膜厚でTiN膜14が堆積されている場合には、開口部22の底面位置に形成されているTiN膜14は完全には酸化されず、メタル配線21に接触して一部未酸化のTiN膜14が残存する。
次に、図5(e)に示すように、SiO2等の保護用層間絶縁膜17をCVD法にて700nm堆積し、公知のCMP法等による平坦化技術で平坦化する(ステップ#35)。
本実施形態においても、第1或いは第2実施形態と同様、可変抵抗体膜16は、TiN膜14を酸化させることで形成される。そして、当該可変抵抗体膜16が形成される結果、TiN膜14が2つの部分(第1電極14aと第2電極14b)とに分断され、これによって2つの電極間に可変抵抗体16が狭持されてなる可変抵抗素子が形成される。従って、両電極14a及び14bと可変抵抗体膜16との界面がガスや大気等に晒されることがないため、従来方法のように成膜プロセスにおける雰囲気の影響を受けて接触抵抗にバラツキが生じるということがなく、同一ウェハ内の各メモリセル間、並びに異なるウェハ間において接触抵抗を安定化させることができる。これにより、可変抵抗体膜16の両端にかかる電圧を均一化することができ、安定したスイッチング動作を有する可変抵抗素子を再現良く形成できる。
なお、本実施形態において、TiN膜14及び可変抵抗体膜16に対してパターニング処理を行う場合には、パターニング処理実行前に予め所定の酸化防止絶縁膜を成膜することが好ましい。
図7及び図8は、本実施形態の別の製造工程に係る概略断面図及びフローチャートである。図7(e)に示すように、熱酸化処理(ステップ#34)終了後、SiON、SiN、SiOC、SiC等の酸化防止絶縁膜18をCVD法にて50nm程度堆積する(ステップ#36)。その後、図7(f)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクとして、公知のエッチング技術によって酸化防止絶縁膜18、可変抵抗体膜16、並びにTiN膜14をパターニングする(ステップ#37)。その後、図7(g)に示すように、図5(e)と同様、保護用層間絶縁膜17を堆積し、平坦化処理をする(ステップ#35)。
このように、ステップ#37に係るパターニング処理前に予め酸化防止絶縁膜18を成膜することで、可変抵抗体膜16に対する、パターニング工程におけるレジストアッシング処理等による酸化の影響を防止することができ、前記可変抵抗体の特性を劣化させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
[第4実施形態]
本発明方法の第4実施形態(以下、適宜「本実施形態」と記載)について、図9〜図13の各図を参照して説明を行う。図9は、本実施形態において、半導体装置を製造する際の各工程における概略断面図を模式的に示したものであり、工程毎に図9(a)〜図9(g)に分けて図示している。又、図10は本実施形態の製造工程をフローチャートにしたものであり、以下の文中の各ステップは図10に示されるフローチャートの各ステップを表すものとする。
まず、図9(a)に示すように、トランジスタ回路等(図示せず)及びメタル配線21を適宜形成した半導体基板11上にSiO2膜(第1層間絶縁膜)13をCVD法にて400nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#41)。
次に、図9(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクに、公知のエッチング技術によって、第1層間絶縁膜13に所定のホール直径400nm程度でメタル配線21の上部が露出するまでメタル配線21の上部領域に開口部32を形成する(ステップ#42)。
次に、図9(c)に示すように、SiO2膜(サイドウォール形成用絶縁膜)31を開口部32内を完全に充填しない程度の膜厚(例えば170nm程度)で全面に堆積する(ステップ#43)。
次に、図9(d)に示すように、メタル配線21の上面が露出する状態になるように公知のエッチング技術によって全面エッチバックを行い、開口部32の側壁面内に下方に進むほど幅広となるサイドウォール31aを形成する(ステップ#44)。
次に、図9(e)に示すように、半導体基板11上に導電性薄膜の一例としてのTiN膜14をスパッタ法にて60nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#45)。このとき、ステップ#44においてサイドウォール31aが形成されているため、TiN膜14がサイドウォール31aの外壁部分に堆積される結果、開口部32内において上部位置から下部位置に進むに連れて膜厚が薄くなるようにTiN膜14を成膜することができ、第3実施形態と同様、TiN膜14内において他の領域よりも膜厚が薄い局部薄膜領域を形成することができる。このとき、開口部32内がTiN膜14によって完全に充填されることのないようにTiN膜14を堆積させる。
次に、図9(f)に示すように、例えば、酸素を含む250〜450℃の雰囲気下で熱酸化することにより、TiN膜14を酸化させて、可変抵抗体の一例としてのTiO2膜16(以下、適宜「可変抵抗体膜16」と記載)を形成する(ステップ#46)。このとき、熱酸化は、サイドウォール31aの外壁部分に堆積されているTiN膜14の表面から、TiN膜14と第1層間絶縁膜13との界面位置まで到達するように(言い換えれば、少なくとも局部薄膜領域において、当該局部薄膜領域が有するTiN膜14の膜厚分を酸化するように)実施され、これによって開口部32の内側側壁上に堆積されているTiN膜14が可変抵抗体膜16に変化する。このとき、圧力条件、温度条件、及び処理時間を所定の条件にして酸化処理を行うことで、開口部32の底面位置(即ちメタル配線21の上面位置)に形成されているTiN膜14を完全には酸化せず、当該領域に一部未酸化のTiN膜14を残存させる。即ち、開口部32の底面位置において、メタル配線21の上面と接触する部分には未酸化のTiN膜14が形成されており、その上部領域にはTiN膜14が酸化される可変抵抗体膜16が形成されている。当該ステップ#46によって、TiN膜14は、可変抵抗体膜16を介して、メタル配線21に接触する電極(第1電極)14aと、それ以外の電極(第2電極)14bとに分離される。尚、一例としては、第3実施形態と同様に、常圧(760Torr)で300℃の条件下で、40分程度の熱酸化処理を施すものとして良い。
次に、図9(g)に示すように、SiO2等の保護用層間絶縁膜17をCVD法にて700nm堆積し、公知のCMP法等による平坦化技術で平坦化する(ステップ#47)。
本実施形態においても、第1〜第3の各実施形態と同様、可変抵抗体膜16は、TiN膜14を酸化させることで形成される。そして、当該可変抵抗体膜16が形成される結果、TiN膜14が2つの部分(第1電極14aと第2電極14b)とに分断され、これによって2つの電極間に可変抵抗体16が狭持されてなる可変抵抗素子が形成される。従って、両電極14a及び14bと可変抵抗体膜16との界面がガスや大気等に晒されることがないため、従来方法のように成膜プロセスにおける雰囲気の影響を受けて接触抵抗にバラツキが生じるということがなく、同一ウェハ内の各メモリセル間、並びに異なるウェハ間において接触抵抗を安定化させることができる。これにより、可変抵抗体膜16の両端にかかる電圧を均一化することができ、安定したスイッチング動作を有する可変抵抗素子を再現良く形成できる。
図11は、本実施形態に係る本発明方法に基づいて製造された可変抵抗素子のスイッチング特性を示すグラフであり、ステップ#45において堆積されたTiN膜14の膜厚を横軸とし、可変抵抗素子の抵抗値を縦軸(対数目盛)としてグラフ化されたものである。
即ち、本実施形態に係る本発明方法に基づいて製造された可変抵抗素子に対し、第1パルス電圧(電圧−2.6〔V〕、パルス幅35〔nsec〕。図面上では「Pulse1」と表記)と第2パルス電圧(電圧+2.0〔V〕、パルス幅35〔nsec〕。図面上では「Pulse2」と表記)を交互に印加し、各電圧印加後に測定される抵抗値(読み出し抵抗値)の測定結果の範囲をグラフ上に表示したものである。このとき、ステップ#45において堆積するTiN膜14の膜厚を変更して製造された複数のサンプルを用いて読み出し抵抗の測定を行なった(図11では3種類)。尚、読み出し処理は、0.5〔V〕の電圧を印加して測定された抵抗値を表記している。
図11によれば、第2パルス電圧印加後の読み出し抵抗の値は、各サンプルともバラツキが少なく、各サンプル間であまり差異がないものの、第1パルス電圧印加後の読み出し抵抗の値にはバラツキがあり、TiN膜14の膜厚が大きくなるほどこのバラツキ程度が大きくなっていることが分かる。言い換えれば、TiN膜14の膜厚を小さくすることで、読み出し抵抗のバラツキを抑制することができ、安定したスイッチング特性が実現されることが示唆される。
なお、本実施形態においてTiN膜14及び可変抵抗体膜16に対してパターニング処理を行う場合には、第3実施形態と同様、パターニング処理実行前に予め所定の酸化防止絶縁膜を成膜することが好ましい。
図12及び図13は、本実施形態の別の製造工程に係る概略断面図及びフローチャートである。図12(g)に示すように、熱酸化処理(ステップ#46)終了後、SiON、SiN、SiOC、SiC等の酸化防止絶縁膜18をCVD法にて50nm程度堆積する(ステップ#48)。その後、図12(h)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクとして、公知のエッチング技術によって酸化防止絶縁膜18、可変抵抗体膜16、並びにTiN膜14をパターニングする(ステップ#49)。その後、図12(i)に示すように、図9(g)と同様、保護用層間絶縁膜17を堆積し、平坦化処理をする(ステップ#47)。
このように、ステップ#49に係るパターニング処理前に予め酸化防止絶縁膜18を成膜することで、可変抵抗体膜16に対する、パターニング工程におけるレジストアッシング処理等による酸化の影響を防止することができ、前記可変抵抗体の特性を劣化させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
[第5実施形態]
本発明方法の第5実施形態(以下、適宜「本実施形態」と記載)について、図14〜図17の各図を参照して説明を行う。図14は、本実施形態において、半導体装置を製造する際の各工程における概略断面図を模式的に示したものであり、工程毎に図14(a)〜図14(e)に分けて図示している。又、図15は本実施形態の製造工程をフローチャートにしたものであり、以下の文中の各ステップは図14に示されるフローチャートの各ステップを表すものとする。
まず、図14(a)に示すように、トランジスタ回路等(図示せず)及びメタル配線21を適宜形成した半導体基板11上にSiO2膜(第1層間絶縁膜)13をCVD法にて300nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#51)。尚、本実施形態では、第3及び第4実施形態と異なり、半導体基板11上に所定の膜厚のメタル配線21が突出して形成されている場合を想定している。このとき、第1層間絶縁膜13の成膜方法としては、段差被覆性(ステップガバレッジ)の悪いプラズマCVD法を用いる方が望ましい。これにより、メタル配線21の形成位置の周囲には第1層間絶縁膜13の段差部41が、上部領域ほど第1層間絶縁膜13が外側に突出してなる逆テーパ形状に形成される。
次に、図14(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクとし、公知のエッチング技術によって、メタル配線21の上面を露出させる(ステップ#52)。この場合においても、依然として段差部41が形成されている。
次に、図14(c)に示すように、半導体基板11上に導電性薄膜の一例としてのTiN膜14をスパッタ法にて60nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#53)。このとき、上記のように段差部41が逆テーパ形状を有しているため、段差部41の上部から下部に向かってTiN膜14の膜厚を薄くなるように成膜することができ、第3或いは第4実施形態と同様、TiN膜14内において他の領域よりも膜厚が薄い局部薄膜領域を形成することができる。
次に、図14(d)に示すように、例えば、酸素を含む250〜450℃の雰囲気下で熱酸化することにより、TiN膜14を酸化させて、可変抵抗体の一例としてのTiO2膜16(以下、適宜「可変抵抗体膜16」と記載)を形成する(ステップ#54)。このとき、熱酸化は、段差部41の外壁部分に堆積されているTiN膜14の表面から第1層間絶縁膜13の界面まで到達するように(言い換えれば、少なくとも局部薄膜領域において、当該局部薄膜領域が有するTiN膜14の膜厚分を酸化するように)実施され、これによって段差部41の外壁部分のTiN膜14が可変抵抗体膜16に変化する。このとき、圧力条件、温度条件、及び処理時間を所定の条件にして酸化処理を行うことで、メタル配線21に接触する上部領域に形成されているTiN膜14を完全には酸化せず、一部未酸化のTiN膜14を残存させる。当該ステップ#54によって、TiN膜14は、可変抵抗体膜16を介してメタル配線21に接触する電極(第1電極)14aと、それ以外の電極(第2電極)14bとに分離される。尚、一例としては、第3実施形態と同様に、常圧(760Torr)で300℃の条件下で、40分程度の熱酸化処理を施すものとして良い。
次に、図14(e)に示すように、SiO2等の保護用層間絶縁膜17をCVD法にて700nm堆積し、公知のCMP法等による平坦化技術で平坦化する(ステップ#55)。
本実施形態においても、第1〜第4の各実施形態と同様、可変抵抗体膜16は、TiN膜14を酸化させることで形成される。そして、当該可変抵抗体膜16が形成される結果、TiN膜14が2つの部分(第1電極14aと第2電極14b)とに分断され、これによって2つの電極間に可変抵抗体16が狭持されてなる可変抵抗素子が形成される。従って、両電極14a及び14bと可変抵抗体膜16との界面がガスや大気等に晒されることがないため、従来方法のように成膜プロセスにおける雰囲気の影響を受けて接触抵抗にバラツキが生じるということがなく、同一ウェハ内の各メモリセル間、並びに異なるウェハ間において接触抵抗を安定化させることができる。これにより、可変抵抗体膜16の両端にかかる電圧を均一化することができ、安定したスイッチング動作を有する可変抵抗素子を再現良く形成できる。
なお、本実施形態においてTiN膜14(14a、14b)及び可変抵抗体膜16に対してパターニング処理を行う場合には、第3及び第4実施形態と同様、パターニング処理実行前に予め所定の酸化防止絶縁膜を成膜することが好ましい。
図16及び図17は、本実施形態の別の製造工程に係る概略断面図及びフローチャートである。図16(e)に示すように、熱酸化処理(ステップ#54)終了後、SiON、SiN、SiOC、SiC等の酸化防止絶縁膜18をCVD法にて50nm程度堆積する(ステップ#56)。その後、図16(f)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクとして、公知のエッチング技術によって酸化防止絶縁膜18、可変抵抗体膜16、並びにTiN膜14(14a、14b)をパターニングする(ステップ#57)。その後、図16(g)に示すように、図9(g)と同様、保護用層間絶縁膜17を堆積し、平坦化処理をする(ステップ#55)。
このように、ステップ#57に係るパターニング処理前に予め酸化防止絶縁膜18を成膜することで、可変抵抗体膜16に対する、パターニング工程におけるレジストアッシング処理等による酸化の影響を防止することができ、前記可変抵抗体の特性を劣化させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
[第6実施形態]
本発明方法の第6実施形態(以下、適宜「本実施形態」と記載)について、図18〜図21の各図を参照して説明を行う。図18は、本実施形態において、半導体装置を製造する際の各工程における概略断面図を模式的に示したものであり、工程毎に図18(a)〜図18(f)に分けて図示している。又、図19は本実施形態の製造工程をフローチャートにしたものであり、以下の文中の各ステップは図18に示されるフローチャートの各ステップを表すものとする。
まず、図18(a)に示すように、トランジスタ回路等(図示せず)を適宜形成した半導体基板11上にSiO2膜(第1層間絶縁膜)13をCVD法にて基板温度を200℃から400℃程度まで上昇させながら、400nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#61)。半導体基板11上に形成される第1層間絶縁膜13の成膜速度は基板温度の影響を受けるため、当該ステップ#61によって、第1層間絶縁膜13は半導体基板11側から上面方向に向かって膜質が疎から密の状態に連続的に変化することとなる。
次に、図18(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジスト(レジスト膜51)をマスクに、公知のエッチング技術によって第1層間絶縁膜13をパターニングし、段差部52を形成する(ステップ#62)。
次に、図18(c)に示すように、レジスト膜51をアッシング除去しない状態でHF等の薬液で数分間ウェットエッチングを行う(ステップ#63)。このとき、ステップ#61の工程によって第1層間絶縁膜13は深さ方向に膜密度が低くなっているため、膜密度の低い領域ほどエッチングが進行する結果、段差部52は逆テーパ形状に加工される。
次に、レジスト膜51を剥離後、図18(d)に示すように、半導体基板11上に導電性薄膜の一例としてのTiN膜14をスパッタ法にて60nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#64)。このとき、段差部52が逆テーパ形状を有しているため、段差部52の上段部から下段部に向かってTiN膜14の膜厚を連続的に薄くなるように成膜することができ、第3〜第5実施形態と同様、TiN膜14内において他の領域よりも膜厚が薄い局部薄膜領域を形成することができる。
次に、図18(e)に示すように、例えば、酸素を含む250〜450℃の雰囲気下で熱酸化することにより、TiN膜14を酸化させて、可変抵抗体の一例としてのTiO2膜16を形成する(ステップ#65)。このとき、熱酸化は、段差部52の外壁部分に堆積されているTiN膜14の表面から第1層間絶縁膜13の界面、並びに半導体基板11の界面まで到達するように(言い換えれば、少なくとも局部薄膜領域において、当該局部薄膜領域が有するTiN膜14の膜厚分を酸化するように)実施され、これによって段差部52の外壁部分の一部のTiN膜14が可変抵抗体膜16に変化する。このとき、第5実施形態と同様、圧力条件、温度条件、及び処理時間を所定の条件にして酸化処理を行うことで、段差部52の上段位置である第1層間絶縁膜13の上面に形成されているTiN膜14、及び段差部52の下段位置である半導体基板11の上面に形成されているTiN膜14を完全には酸化せず、当該領域に夫々一部未酸化のTiN膜14を残存させる。当該ステップ#65によって、TiN膜14は、可変抵抗体膜16を介して段差部52の上段位置(第1層間絶縁膜13の上面)に形成されている電極(第1電極)14aと、段差部52の下段位置(半導体基板11の上面)に形成されている電極(第2電極)14bとに分離される。尚、一例としては、第3実施形態と同様に、常圧(760Torr)で300℃の条件下で、40分程度の熱酸化処理を施すものとして良い。
次に、図18(f)に示すように、SiO2等の保護用層間絶縁膜17をCVD法にて700nm堆積し、公知のCMP法等による平坦化技術で平坦化される(ステップ#67)。
本実施形態においても、第1〜第5の各実施形態と同様、可変抵抗体膜16は、TiN膜14を酸化させることで形成される。そして、当該可変抵抗体膜16が形成される結果、TiN膜14が2つの部分(第1電極14aと第2電極14b)とに分断され、これによって2つの電極間に可変抵抗体16が狭持されてなる可変抵抗素子が形成される。従って、両電極14a及び14bと可変抵抗体膜16との界面がガスや大気等に晒されることがないため、従来方法のように成膜プロセスにおける雰囲気の影響を受けて接触抵抗にバラツキが生じるということがなく、同一ウェハ内の各メモリセル間、並びに異なるウェハ間において接触抵抗を安定化させることができる。これにより、可変抵抗体膜16の両端にかかる電圧を均一化することができ、安定したスイッチング動作を有する可変抵抗素子を再現良く形成できる。
なお、本実施形態においてTiN膜14(14a、14b)及び可変抵抗体膜16に対してパターニング処理を行う場合には、第3〜第5実施形態と同様、パターニング処理実行前に予め所定の酸化防止絶縁膜を成膜することが好ましい。
図20及び図21は、本実施形態の別の製造工程に係る概略断面図及びフローチャートである。図20(f)に示すように、熱酸化処理(ステップ#65)終了後、SiON、SiN、SiOC、SiC等の酸化防止絶縁膜18をCVD法にて50nm程度堆積する(ステップ#67)。その後、図20(g)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクとして、公知のエッチング技術によって酸化防止絶縁膜18、可変抵抗体膜16、並びにTiN膜14(14a、14b)をパターニングする(ステップ#68)。その後、図20(g)に示すように、図18(f)と同様、保護用層間絶縁膜17を堆積し、平坦化処理をする(ステップ#66)。
このように、ステップ#68に係るパターニング処理前に予め酸化防止絶縁膜18を成膜することで、可変抵抗体膜16に対する、パターニング工程におけるレジストアッシング処理等による酸化の影響を防止することができ、前記可変抵抗体の特性を劣化させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
[第7実施形態]
本発明方法の第7実施形態(以下、適宜「本実施形態」と記載)について、図22〜図25の各図を参照して説明を行う。図22は、本実施形態において、半導体装置を製造する際の各工程における概略断面図を模式的に示したものであり、工程毎に図22(a)〜図22(f)に分けて図示している。又、図23は本実施形態の製造工程をフローチャートにしたものであり、以下の文中の各ステップは図23に示されるフローチャートの各ステップを表すものとする。
まず、図22(a)に示すように、トランジスタ回路等(図示せず)を適宜形成した半導体基板11上にSiO2膜(第1層間絶縁膜)13をCVD法にて、200nmの厚みで全面に堆積し(ステップ#71)、更に第1層間絶縁膜13の上面にSiN膜(第2層間絶縁膜)61をCVD法にて、200nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#72)。
次に、図22(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジスト(レジスト膜51)をマスクに、公知のエッチング技術によって、第1層間絶縁膜13及び第2層間絶縁膜61をパターニングし、段差部62を形成する(ステップ#73)。
次に、図22(c)に示すように、レジスト膜51をアッシング除去しない状態でHF等の薬液で数分間ウェットエッチングを行う(ステップ#74)。このとき、第1層間絶縁膜13の材料であるSiO2は第2層間絶縁膜61の材料であるSiNよりHFのウェットエッチレートが速いため、第2層間絶縁膜61と比較して第1層間絶縁膜13の方がエッチング除去量が多く、この結果、段差部62は下層である第1層間絶縁膜13と比較して上層となる第2層間絶縁膜61の方が外側に突出している逆階段形状に加工される。
次に、図22(d)に示すように、レジスト膜51を剥離後、半導体基板11上に導電性薄膜の一例としてのTiN膜14をスパッタ法にて60nmの厚みで全面に堆積する(ステップ#75)。このとき、段差部62が逆階段形状を有しているため、段差部62の上層部(第2層間絶縁膜61の側壁)外側に堆積されるTiN膜14の膜厚と比較して下層部(第1層間絶縁膜13の側壁)外側に堆積されるTiN膜14の膜厚が薄くなるように成膜することができ、第3〜第6実施形態と同様、TiN膜14内において他の領域よりも膜厚が薄い局部薄膜領域を形成することができる。
次に、図22(e)に示すように、例えば、酸素を含む250〜450℃の雰囲気下で熱酸化することにより、TiN膜14を酸化させて、可変抵抗体の一例としてのTiO2膜16を形成する(ステップ#76)。このとき、熱酸化は、段差部62の外壁部分に堆積されているTiN膜14の表面から第1層間絶縁膜13或いは第2層間絶縁膜61の界面、並びに半導体基板11の界面まで到達するように(言い換えれば、少なくとも局部薄膜領域において、当該局部薄膜領域が有するTiN膜14の膜厚分を酸化するように)実施され、これによって段差部62の外壁部分の一部のTiN膜14が可変抵抗体膜16に変化する。このとき、圧力条件、温度条件、及び処理時間を所定の条件にして酸化処理を行うことで、段差部52の上段位置である第2層間絶縁膜61の上面に形成されているTiN膜14、及び段差部52の下段位置である半導体基板11の上面に形成されているTiN膜14を完全には酸化せず、当該領域に夫々一部未酸化のTiN膜14を残存させる。当該ステップ#76によって、TiN膜14は、可変抵抗体膜16を介して段差部52の上段位置(第2層間絶縁膜61の上面)に形成されている電極(第1電極)14aと、段差部52の下段位置(半導体基板11の上面)に形成されている電極(第2電極)14bとに分離される。尚、一例としては、第3実施形態と同様に、常圧(760Torr)で300℃の条件下で、40分程度の熱酸化処理を施すものとして良い。
次に、図22(f)に示すように、SiO2等の保護用層間絶縁膜17をCVD法にて700nm堆積し、公知のCMP法等による平坦化技術で平坦化する(ステップ#77)。
本実施形態においても、第1〜第6の各実施形態と同様、可変抵抗体膜16は、TiN膜14を酸化させることで形成される。そして、当該可変抵抗体膜16が形成される結果、TiN膜14が2つの部分(第1電極14aと第2電極14b)とに分断され、これによって2つの電極間に可変抵抗体16が狭持されてなる可変抵抗素子が形成される。従って、両電極14a及び14bと可変抵抗体膜16との界面がガスや大気等に晒されることがないため、従来方法のように成膜プロセスにおける雰囲気の影響を受けて接触抵抗にバラツキが生じるということがなく、同一ウェハ内の各メモリセル間、並びに異なるウェハ間において接触抵抗を安定化させることができる。これにより、可変抵抗体膜16の両端にかかる電圧を均一化することができ、安定したスイッチング動作を有する可変抵抗素子を再現良く形成できる。
なお、本実施形態においてTiN膜14(14a、14b)及び可変抵抗体膜16に対してパターニング処理を行う場合には、第3〜第6実施形態と同様、パターニング処理実行前に予め所定の酸化防止絶縁膜を成膜することが好ましい。
図24及び図25は、本実施形態の別の製造工程に係る概略断面図及びフローチャートである。図24(f)に示すように、熱酸化処理(ステップ#76)終了後、SiON、SiN、SiOC、SiC等の酸化防止絶縁膜18をCVD法にて50nm程度堆積する(ステップ#78)。その後、図24(g)に示すように、公知のフォトリソグラフィ技術によって形成したレジストをマスクとして、公知のエッチング技術によって酸化防止絶縁膜18、可変抵抗体膜16、並びにTiN膜14(14a、14b)をパターニングする(ステップ#79)。その後、図24(h)に示すように、図22(f)と同様、保護用層間絶縁膜17を堆積し、平坦化処理をする(ステップ#77)。
このように、ステップ#79に係るパターニング処理前に予め酸化防止絶縁膜18を成膜することで、可変抵抗体膜16に対する、パターニング工程におけるレジストアッシング処理等による酸化の影響を防止することができ、前記可変抵抗体の特性を劣化させることなく可変抵抗素子を製造することができる。
尚、上述の第1及び第2実施形態におけるTiN膜14の堆積工程(ステップ#11、#23)は、スパッタ法に限られず、パルス化レーザ堆積、e−ビーム蒸発、熱蒸発、有機金属堆積、スピンオン堆積、及び有機金属化学気相成長を含む任意の適切な堆積技術を用いて堆積するものとしても構わない。
一方、上述の第3〜第7実施形態におけるTiN膜14の堆積工程(ステップ#33、#45、#53、#64、#75)においては、2つの電極(第1電極14a、第2電極14b)におけるTiN膜14の膜厚と、可変抵抗体16を構成する局部薄膜領域の膜厚とに格差を設けるため(局部薄膜領域に堆積されるTiN膜14の膜厚を両電極の膜厚よりも十分薄くするため)、コリメートスパッタ、ロングスロースパッタ、イオン化スパッタ等の指向性スパッタ成膜法を使用して堆積するのが好ましい。更に、CVD法とスパッタ法の積層膜を用いることにより可変抵抗体16の膜厚を制御することも可能である。
又、上述の各実施形態における酸化工程(ステップ#16、#26、#34、#46、#54、#65、#76)としては、ガス種にO2、O3、H2O、N2O、NO等酸素を含んだ分子を用いた熱酸化法の他、プラズマ酸化法或いはイオン注入法等を用いるものとしても構わない。
又、上述の各実施形態では、可変抵抗体膜16をTiO2膜としたが、酸化温度、酸素濃度等の酸化条件を適宜調整することにより、可変抵抗特性を持つTiO2−XNX膜とすることも可能である。更に、導電性薄膜14をTiN膜としたが、Cu、Ni,V、Zn、Nb、Ti、W、Co等の遷移金属、若しくは遷移金属の窒化物で形成することも可能である。このとき、可変抵抗体膜16は、導電性薄膜14として用いられた材料が酸化されることで形成される金属酸化物又は金属酸窒化物で構成される。