ラジアル部品の概要を図6に示している。図において、ラジアル部品1は、部品本体部分である部品ボデー2と、回路基板側の端子にラジアル部品1を電気接続するためのリード線3とから構成されている。ラジアル部品1は、リード線3部分を台紙テープと粘着テープとからなる供給テープ4によって連続的に保持され、図示しないリールに巻き取られて、またはつづら折りの状態で部品挿入装置に順次供給される。ラジアル部品1には、一般にコンデンサなどの大型部品が含まれ、典型的な例では部品ボデー2は高さ、幅がそれぞれ10mmを越え、リード線3の長さは供給テープ4に保持された状態で数10mmに及ぶ。なお、供給テープ4には、ラジアル部品1をリールから順次引き出す際に使用される均等間隔に穿孔された搬送用孔6が開口している。
部品挿入装置は、このようにして供給されるラジアル部品1を供給テープ4から切断して取り出し、別途搬入される回路基板に設けられた挿入穴にリード線3部分を挿入して当該ラジアル部品1を回路基板に固定する。本明細書において、この間の動作を一般的な用語である「ラジアル部品の挿入」と表現している。実際に回路基板の挿入穴に挿入されるのは、上述したようにラジアル部品1のリード線3部分のみであって、部品ボデー2部分が挿入穴を貫通して挿入されることはなく、部品ボデー2は挿入されたリード線3部分とは反対側となる回路基板面上に残される。
図7は、部品挿入装置の概要を示している。図において、部品挿入装置10は、上述した供給テープ4に保持されたラジアル部品1を連続して供給する部品供給部11と、回路基板5を搬入して所定位置に保持する基板保持部12と、ラジアル部品1を上方から回路基板5に挿入する挿入ヘッド13と、回路基板5の下側からラジアル部品1の挿入をガイドする挿入ガイド部14とから構成されている。部品挿入装置10全体の動作は、図示しない制御部によって制御される。
部品挿入装置1の動作の概要は、まず、部品供給部11から供給されるラジアル部品1を挿入ヘッド13が取り出し、所定の挿入位置に搬送してこれを保持する。一方、XYテーブルで構成される基板保持部12は、搬入される回路基板5の挿入穴5aが所定の挿入位置となるよう回路基板5を位置決めして保持する。挿入ガイド部14のガイドピン15が、回路基板5の挿入穴5aを貫通して下方から上方に伸張し、前記保持されたラジアル部品1のリード線3を捕捉する。捕捉されたラジアル部品1を、挿入ヘッド13と挿入ガイド部14とが協働で保持しつつ下降させ、ガイドピン15と共にリード線3を挿入穴5aに貫通させてラジアル部品1を回路基板5に挿入する。
図8は、部品供給部11からの部品取り出し時の状況を示している。図において、供給テープ4により供給される1つのラジアル部品1の各リード線3(通常、1つの部品から2本のリード線が延びる)を、挿入ヘッド13から延びる移載チャック21が把持し、この把持した状態でカッタ22がリード線3を供給テープ4から切断する。この際同時に、図面に垂直な方向に図示しない別のカッタが動作して破線で示す位置で供給テープ4が切断され、この供給テープの切断された部分は回収されて次の部品供給に備える。
次に、移載チャック21が回動し、ラジアル部品1を所定の挿入位置に搬送する。図9(a)〜(c)は、挿入位置における動作を示したもので、図8に示す状態から90度回転したリード線3が図面に垂直方向に並ぶ側面から見ている。まず、図9(a)において、部品ボデー2の両側面に挿入ヘッド13から延びるボデーチャック23が係合してラジアル部品1を両側から保持し、上方からはプッシャ24が下降してくる。また、リード線3に対しては両側面からガイドチャック26が接近する。さらに、ラジアル部品1の下方には、所定の部品挿入位置に挿入穴5aを位置合わせされた回路基板5が保持され、その挿入穴5aには挿入ガイド部14のガイドピン15が上昇して貫通可能な状態にある。
次に、図9(b)において、移載チャック21がリード線3の把持を開放し、ガイドチャック26が閉じてリード線3を受け入れ可能となり、上方からプッシャ24がボデーチャック23と共に下降して部品ボデー2を押し下げてリード線3の先端をガイドチャック26内に移動させる。同時に、下方からガイドピン15が上昇してその先端が同じくガイドチャック26内に移動し、ガイドピン15とリード線3の両先端同士が当接する。ガイドピン15の先端には凹状部が設けられているため、リード線3の先端がこの凹状部に嵌まることによってリード線3は定位置に保持される。
次に、図9(c)において、ラジアル部品1は上方のプッシャ24と下方のガイドピン15との協働により両者の間でサンドイッチ状に保持されるため、ボデーチャック23、およびガイドチャック26が開放可能となる。これらが開放された直後、保持された状態のラジアル部品1がプッシャ24の下降によって押し下げられ、この際にガイドピン15と共にリード線3が回路基板5の挿入穴5aを通過して挿入される。その後、回路基板5の下方に位置する挿入ガイド部14のアンビル19が貫通したリード線3を所定長さに切断し、さらにこれを折り曲げてラジアル部品1を回路基板5に固定し、回路基板5へのラジアル部品1の挿入工程が完了する(例えば、特許文献1参照。)。回路基板5はその後、半田溶液に搬送されて回路基板5の裏面に印刷された端子と折り曲げられたリード線3とが半田接合され、ラジアル部品1を含む回路基板5が完成する。
ところで、図9(a)〜(c)に示す側面図の方向からではガイドピン15が重なって1本しか見られないが、実際にはラジアル部品1から複数のリード線3が延びており、これら複数のリード線3に対応してガイドピン15も同数が回路基板5を貫通して上へ伸張している。さらに、ラジアル部品1の大きさによってこのリード線3間隔のピッチが異なっており、このピッチに応じた位置にあるガイドピン15が上方に伸張する必要がある。より具体的には、現状ではリード線3間隔のピッチとして、2.5mm、5.0mm、7.5mmピッチのものが使用されている。これに対応するガイドピン15は、基準位置にある1つの基準ガイドピン(以下、この基準ガイドピンを符号15aで示す。)と、この基準ガイドピン15aから上記各ピッチ分だけ離れた位置に配置された他の3本のガイドピン15との計4本が準備される必要がある。
但し、上述した本数とピッチとは単なる例示であり、例えばリード線が3本、あるいはそれより多い場合もあり、また、ピッチも上記のものに限定はされない。以下の説明では、簡略化のためガイドピン15の本数は3本、そのピッチは基準ガイドピン15aを基準として基準ガイドピン15aからの間隔が2.5mm、5.0mmにある2本のガイドピン15b、15cを備えた例を基に説明する。ただし、以下の説明内容は、他の本数、他のピッチに対しても同様に適用が可能である。なお、以下の説明では複数の構成要素の内の特定の要素そのもの示すときは符号に特定要素のサフィックスを付け(例えば、「ガイドピン15b」)、当該要素一般を示すときには符号のみ(例えば、「ガイドピン15」)で表示する。
図10は、従来技術に見られる挿入ガイド部14の概要を示している(例えば、特許文献2参照。)。回路基板5に対向して上方には2本のリード線3を下向きに延ばした部品1が配置され、下方からはこれに対応して2本のガイドピン15a、15cが上方に向けて伸張可能に配置されている。図示しないガイドピン15bは使用されない。ガイドピン15b、15cは、後述するようにガイドピンロッド16内で選択ロッド18b、18cにそれぞれ結合され、選択ロッド18は、ガイドブロック30内を下方に延びて選択シリンダ31に結合されている。選択シリンダ31内では、各選択ロッド18に対応してピストンが配置されており、当該ピストンの動作によって選択された選択ロッド18は予め下方に引き下げられ、上方への移動高さが制約されるよう構成されている。
ガイドブロック30の上方には係合溝32が掘られ、この係合溝32には昇降レバー41の一端側に設けられた昇降ピン42が嵌まっている。昇降レバー41の他端は揺動可能に軸支され、昇降レバー41の中央付近にはカムフォロア43が固定されて偏心円板状のカム板45に当接している。したがってカム板45の回転に応じて昇降レバー41は揺動し、昇降ピン42を介してガイドブロック30を上下動させることができる。
ガイドピンロッド16には回転板35が取り付けられ、回転板35の外周部に設けられた旋回ピン36には、ガイドピン旋回レバー37の一端から延びる旋回ロッド38の先端が接続されている。ガイドピン旋回レバー37の他端はピン39を介してカム板40の外周部に当接しており、カム板40の回転に応じてガイドピン旋回レバー37が旋回可能である。この旋回は旋回ロッド38の軸方向への移動につながり、この移動によって旋回ピン36を介して回転板35が回転する。
以上のように構成された挿入ガイド部14は以下のように動作する。回路基板5に挿入されるラジアル部品1が回路基板5に対向して保持される。当該部品1のリード線3のピッチには対応せず、したがって挿入動作に使用されないガイドピン15bが選択され、当該ガイドピン15bに対応した選択シリンダ31内のピストンが動作して選択されたガイドピン15bにつながる選択ロッド18bを引き下げる。カム板40が回動してガイドピン旋回レバー37を所定角度だけ旋回させ、旋回ロッド38の移動によって回転板35及びこれに伴ってガイドピンロッド16を所定角度に回転させる。これは、挿入されるラジアル部品1の挿入角度(リード線3の配列方向)に対応してガイドピン15a、15cを配列させるものである。ガイドピンロッド16の回転に応じてその内部に収納されている選択ロッド18が弾性的に捩れ、これに取り付けられたガイドピン15をラジアル部品1のリード線3に対応させて配置させる。
次に、カム板45が回動し、カムフォロア43を介して昇降レバー41を揺動させ、これによって昇降レバー41の昇降ピン42がガイドブロック30全体を持ち上げる。これにより、選択ロッド18、ガイドピン15が上昇し、ラジアル部品1のリード線3に対応するガイドピン15a、15cが回路基板5の挿入穴5aを貫通してリード線3まで延び、この先端を捉える。但し、上述の選択された選択ロッド18b及びガイドピン15bは、選択シリンダ31によって予め引き下げられているため、ガイドブロック30と共に上昇しても回路基板5の下側の高さまで上昇することはない。
各ガイドピン15a、15cが対応するリード線3を捕捉すると、次にカム板45が回転し、昇降レバー41が下方に揺動してガイドブロック30を引き下げる結果、ガイドピン15a、15cがリード線3と共に回路基板5の挿入穴5aを通過し、リード線3の挿入、ならびに固定動作を完了する。次に、新たなラジアル部品1に対応して再度必要な選択ロッド18が選択され、これまでの動作が繰り返される。
図11、図12は、図10に示す挿入ガイド部14の主要構成要素を拡大して示している。図11において、3本のガイドピン15a〜15cが、カートリッジ20内に収納されている。図の一番左に位置するのが基準ガイドピン15aであり、以下、右へ2.5mmピッチずつずれたガイドピン15b、15cが配置されている。カートリッジ20の内部において、各ガイドピン15a〜15cにはストッパ27が設けられ、当該ストッパ27とカートリッジ20の底面との間にスプリング28が配置されている。図11はカートリッジ20の一部を切り開いて表示している。
ガイドピン15b、15cの下方先端には膨らみ状の係合部29が設けられている。一番左の基準ガイドピン15aは、部品挿入に当って常時使用されることから不使用の選択がされることがなく、下方に向けて拘束する必要がないために係合部29は不要である。
図12は、カートリッド20内にあるガイドピン15b、15cと、ガイドピンロッド16内にある選択ロッド18b、18cとの係合を示している。基準となるガイドピン15aを除き、他のガイドピン15b、15cの下方先端にある係合部29が、筒状となった選択ロッド18b、18cに設けられた係合溝17内にはめ込まれる。選択ロッド18b、18cの上端には図示しない係止部が設けられ、ガイドピン15b、15cの係合部29がこの係止部に拘束されるため、ガイドピン15b、15cの上方への抜けはなくなる。また、後述するように、選択されたガイドピン15は選択ロッド18の下方への移動によって下方に拘束される。図示の例では、部品1のリード線3に対応してガイドピン15aと15cが使用されるため、ガイドピン15bが選択されて中央のガイドピン15bが選択ロッド18bによって引き下げられ、下方に拘束される。
図13は、このようにして選択されたガイドピン15bが対応する選択ロッド18bとともに選択シリンダ31によって下方に拘束され、一方、選択されない(拘束されていない)選択ロッド18cとこれに連結されたガイドピン15c、および基準ガイドピン15aの2つが、ガイドブロック30、カートリッジ20と共に上昇し、当該2つのガイドピン15a、15cが回路基板5を貫通して上方にある部品1の各対応するリード線3と当接し、これを捕捉した状態を示している。なお、万一、選択されたガイドピン15bが拘束されることなく、他のガイドピン15と同様に上昇した場合、当該ガイドピン15bは回路基板5と衝突することになる。但し、その場合にあってもカートリッジ20内にあるスプリング28(図11参照)がそれ以降のカートリッジ20との相対移動を吸収するため、既に回路基板5に実装済みの部品などに障害を与える虞はあるものの、他のガイドピン15の上昇を阻害することにはならない。
特開平5−198967号公報
特開平10−4298号公報
しかしながら、上述した従来技術による挿入ガイド部14には改善の余地があった。市場にはラジアル部品挿入動作をより高速化し、生産性を高めるニーズが常に存在している。現状での前記サイクル時間は部品当り約0.25秒までに短縮されているが、これをさらに高速化しようとするニーズがある。しかしながら、上述したような従来技術によるシステムでは、以下の理由によってそのニーズへの対応が困難な状態にある。
まず、サイクル時間の短縮化に伴ってカートリッジ20の上下動のスピードが高速化し、下降時にカートリッジ20と選択ロッド18との追従性の差によってカートリッジ20
の下端が選択ロッド18の上端に衝突するという現象が生じている(図12参照)。カートリッジ20内にあるガイドピン15は消耗品であり、一定量使用した後に取り替えられるが、前記衝突によって選択ロッド18にある係合溝17が変形してつぶれ、ガイドピン15の取り外しができないなどの弊害を生じている。この場合は選択ロッド18ごとガイドピン15を取り替えるなどの必要が生じ、無駄を生んでいる。
図14は、1つの選択ロッド18を模式的に示している。選択ロッド18は、上端の係合部46と、中間の引張部47と、下端の拘束部48とから構成されている。係合部46は図12を参照して説明したガイドピン15の係合部29が嵌まる係合溝17を構成する。また、下端の拘束部48には、図10に示す選択ロッド18を下方に拘束する選択シリンダ31に固定される取付具33が設けられている。中間の引張部47では、筒状のガイド管34内にスプリング49が配置され、上端にある係合部46を常時図の下方へ引張るよう構成されている。これは、選択ロッド18が下降する際、係合部46をこのスプリング49の作用で強制的に引き下げ、上述したカートリッジ20の下端との衝突を回避するようにしたものである。
選択ロッド18を図14のように構成することで、例えばこれまでのサイクル時間が0.6秒ほどであったものを大幅に短縮化することに成功している。しかしながら、サイクル時間が約0.25秒となるに及び、上述したようにこのスプリング49による引張り効果も限界にきている。図14では模式的に描いているが、ガイド管34の外径は約3.0mmほど、スプリング49の外径は約2.0mmほどしかなく、これ以上の引張力の強化には限界があると共に、操作力に抗する反力の増大にもつながるために対応が困難である。
また、狭いガイド管34内部での摺動しながらの高速繰り返し伸張動作によってスプリング49が切断される場合も増え、この切断によって係合部46の引張力がなくなる結果、カートリッジ20と選択ロッド18との衝突がますます起こり易くなる。また、スプリング49が一旦切断されると構造的に取替えが困難であり、選択ロッド18ごとの取替えが必要となるなど非経済的でもある。
高速化への他の阻害要因として、選択ロッド18を拘束する選択シリンダ31の応答性の問題がある。このため、現状では選択ロッド18の選択が切換わるたびに選択シリンダ31の操作のために余分な時間を費やしている。また、高速化に対応してガイドピン15を昇降させるために移動する部材をなるべく軽量化し、動力系の負荷を低減させると共に慣性の低下による応答性の向上を図ることが好ましい。
従来技術によるさらに他の問題点として、リード線3の向きに対応してガイドピンロッド16を旋回させる際、従来技術による挿入ガイド部14には操作性、耐久性に問題があった。現状では図10を参照して説明したように、回転板35の回転によってガイドピンロッド16が旋回し、その内部にある選択ロッド18が弾性変形して前記旋回に追従している。この際、ガイドピンロッド16を旋回させる抗力が大きく、また内部で選択ロッド18同士がねじれて接触することなどが起こり、操作性、耐久性を悪化させている。
本発明は、従来技術にある上述したような問題点を解消し、高速追従性、耐久性に優れ、且つ構造が簡単で安価な挿入ガイド部を提供することを目的としている。
本発明は、従来技術にある選択ロッドを廃止して軽量で柔軟性のあるワイヤに置き換え、またワイヤの拘束機構に選択シリンダの使用を廃止することによって上述した問題を解消するもので、具体的には以下の内容を含む。
すなわち、本発明にかかる1つの態様は、ラジアル部品の各種リード線間隔ピッチに対応して配列された複数のガイドピンを収納するカートリッジと、前記カートリッジを昇降させる昇降機構と、前記カートリッジを前記リード線の配列方向に対応して旋回させる旋回機構と、前記ラジアル部品の挿入には不使用となる選択されたガイドピンを下方から拘束して当該ガイドピンの上昇による回路基板との接触を回避する選択機構とを備え、ラジアル部品の挿入時に必要なガイドピンのみを前記カートリッジの上昇により上昇させて回路基板の挿入穴を貫通させ、ラジアル部品のリード線を捕捉した後に前記挿入穴を通過させる部品挿入装置の挿入ガイド部であって、前記選択機構が、各ガイドピンの下端に一端がそれぞれ係合したワイヤと、当該ガイドピンが選択された際に対応する前記ワイヤを拘束して当該ガイドピンの上昇を阻止する拘束機構とから構成されていることを特徴とする挿入ガイド部に関する。
前記ワイヤの下方に延びる他端は、動滑車を介して固定部位に固着され、前記拘束機構は、前記動滑車の上昇を阻止する拘束部材で構成することができる。あるいは、前記動滑車の代りに、前記ワイヤの下端を固定部位に軸支されて揺動するレバーに固定し、前記拘束機構を、当該レバーの上方への揺動を阻止する拘束部材とすることができる。
前記拘束機構の代替として、前記選択されたガイドピンに対応するワイヤの他端を引張り、当該選択されたガイドピンを所定量予め下方へ引き下げるマニピュレータと、前記カートリッジの上昇時に上昇する各ガイドピンに同期して各ワイヤを弛緩し、前記カートリッジの下降時には下降する各ガイドピンに同期して各ワイヤの弛みを吸収する吸収機構とから構成することができる。前記マニピュレータは、エア/油圧シリンダ、または前記ワイヤの他端を巻き取るモータであってもよい。また、前記吸収機構は、前記カートリッジを昇降させる昇降機構に同期して揺動するレバーと、前記レバーに取り付けられたプーリであって、前記ワイヤに係合し、前記カートリッジの下降時における前記レバーの揺動により前記ワイヤの弛みを吸収する方向へ移動するプーリとから構成することができる。
前記拘束機構のさらなる代替として、前記ワイヤの下方に延びた他端を巻き取るリールを備えたモータと、前記モータの回転軸と前記リールとの接続、分離を行うクラッチとから構成し、部品挿入動作の間、前記選択されたガイドピンに対応するモータは常時回転停止し、かつ当該モータの前記クラッチが常時接続状態とされて前記ワイヤの上昇を拘束し、挿入に必要なガイドピンに対応するモータは、前記カートリッジが上昇する間において回転停止し、かつ当該モータの前記クラッチを分離状態として前記リールからの前記ワイヤの巻き出しと上昇を許容し、前記カートリッジが下降する間において前記クラッチを接続状態とし、かつ前記カートリッジの下降に同期して当該モータが回転して前記ワイヤを予め定められた速度で所定量だけ前記リールに巻き取るようにしてもよい。
上述したモータを備える拘束機構からクラッチを廃止し、部品挿入動作の間、前記選択されたガイドピンに対応するモータは常時回転停止してワイヤの上昇を拘束し、挿入に必要なガイドピンに対応するモータは、前記カートリッジが上昇する間において当該カートリッジの上昇に同期して前記ワイヤを予め定められた速度で所定量だけ前記リールから巻き出すよう回転し、前記カートリッジが下降する間において当該カートリッジの下降に同期して前記ワイヤを予め定められた速度で所定量だけ巻き取るようにしてもよい。
本発明にかかる他の態様は、ラジアル部品を供給する部品供給部と、回路基板を搬入して予め定められた挿入位置に保持する基板保持部と、ラジアル部品を前記部品供給部から取り出し、前記保持された回路基板に対向して保持する挿入ヘッドと、前記回路基板に対して前記挿入ヘッドの反対側に配置される挿入ガイド部であって前記回路基板に設けられた挿入穴にガイドピンを貫通して延伸し、前記ラジアル部品のリード線をガイドして前記挿入穴に通過させる挿入ガイド部と、から構成されるラジアル部品挿入装置において、前記挿入ガイド部が、上述したいずれかの挿入ガイド部であることを特徴とするラジアル部品挿入装置に関する。
本発明にかかるさらに他の態様は、回路基板に対向して保持されたラジアル部品のリード線を、回路基板の挿入穴を貫通して延伸したガイドピンで捕捉し、前記捕捉されたリード線と共に前記ガイドピンを前記挿入穴貫通前の位置まで戻すことにより、前記リード線を前記挿入穴に通過させてラジアル部品を回路基板に挿入するラジアル部品挿入方法であって、リード線間隔の異なるピッチに対応して配置された複数のガイドピンを収納するカートリッジが前記リード線捕捉のために回路基板に向けて上昇する際、不使用となるガイドピンの下端に係合したワイヤの上昇を阻止して当該不使用のガイドピンと回路基板との接触を回避し、挿入に必要なガイドピンのみ上昇させて前記リード線を捕捉することを特徴とするラジアル部品挿入方法に関する。
本発明にかかる挿入ガイド部、および当該挿入ガイド部を利用する部品挿入装置、部品挿入方法の実施により、部品挿入工程におけるよりの一層の高速化が可能となり、また、挿入ガイド部の耐久性の向上によって段取時間の低減が得られることも含め、部品挿入の生産性向上、製造コスト低減に寄与することができる。
本発明にかかる第1の実施の形態の挿入ガイド部および部品挿入装置について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態にかかる挿入ガイド部の基本的な構成は従来技術に示すものと同様であり、以下には主に従来技術との相違点について述べる。また、従来技術で説明したものと同一の構成要素に対しては同一の符号を用いるものとする。
図1は、本実施の形態にかかる挿入ガイド部の要部を模式的に示している。図において本実施の形態にかかる挿入ガイド部50は、複数のガイドピン15(15a〜15c)を収納したカートリッジ20と、基準ガイドピン15aを除く各ガイドピン15b、15cに対応して設けられた動滑車51(51b、51c)およびワイヤ52からなる選択機構55とから構成されている。カートリッジ20は、従来技術で説明したものと同様の構成とすることができる。本実施の形態では、カートリッジ20が破線で示す昇降機構56により直接上下動が可能であり、この昇降機構56としては従来技術で説明したもの(図10に示す昇降レバー41、昇降ピン42、カムフォロア43、カム板45ほか)と同様な機構が利用可能である。また、図1では省略しているが、カートリッジ20をリード線3の向きに合せて旋回させる旋回機構も、従来技術で説明したもの(図10に示す回転板35、ガイドピン旋回レバー37、旋回ロッド38、カム板40ほか)と同様な機構が利用可能である。
ワイヤ52は、金属製、合成樹脂製など、材質には特に限定されず、スプリング28の引張に対する十分な強度と曲げに対する柔軟性、及び繰り返し使用に対する十分な耐久性を有するものであればよい。
各ガイドピン15を下方に向けて拘束可能なワイヤ52は、一端がガイドピン15の係合部29と係合可能なフック53を有し、他端は例えば部品挿入装置の基台部などの固定要素に固定されている。フック53を介してガイドピン15と係合するワイヤ52は、以下に示す動滑車51の間をU字状に通過して固定要素に固定され、これによってガイドピン15の上方への抜けを阻止している。
動滑車51は、ワイヤ52の作用によりカートリッジ20の上下動に追従して上下動可能に構成されている。図1では、左側に示すガイドピン15bが選択された状態を示しており、対応する動滑車51bには、当該動滑車51bをブロックして上方への移動を阻止する拘束部材54が係合している。この拘束部材54は、例えば図面に垂直な方向に出入りして動滑車51に係合するソレノイドとすることができる。動滑車51、拘束部材54は、ワイヤ52とガイドピン15の上昇を拘束する拘束機構を構成する。
以上のように構成された挿入ガイド部50の動作時、カートリッジ20が下方に位置する状態で選択された拘束機構の拘束部材54が突出し、対応する動滑車51b(図示の場合。以下同じ。)の上方の動きを拘束する。他方の動滑車51cには拘束がなく、上方への移動が可能な状態にある。この状態でカートリッジ20が昇降機構56の動作で上昇すると、選択されていない(拘束されていない)動滑車51cの方は、カートリッジ20の上昇に伴ってフック53を介してワイヤ52が引き上げられる。これに伴い、動滑車51cが上昇するため、ガイドピン51bはカートリッジ20と共に上昇する。この結果、基準ガイドピン15aと、当該選択されていないガイドピン15cとの2つが、図示しない回路基板5の挿入穴5aを貫通して上昇し、図示しないラジアル部品1(以下、単に「部品1」という。)のリード線3を捕捉する。
一方、選択されて拘束された方の動滑車51bは、拘束部材54によって上方への移動が阻止されているため、カートリッジ20が上昇してもワイヤ52およびフック53を介してガイドピン15bの上方の動きを拘束する。このため、ガイドピン15bとカートリッジ20との間には相対移動が生じ、この相対移動はカートリッジ20内にあるガイドピン15bに対応したスプリング28が吸収する。
リード線3が捕捉されると、次に昇降機構56が逆方向(下方)に動作し、カートリッジ20が下降を始める。これによって前記2つのガイドピン15a、15cと共に捕捉されたリード線3が回路基板5の挿入穴5aを貫通して下降し、部品1が回路基板5に挿入される。この際、ワイヤ52の質量が軽量であることから、カートリッド20の下降に対する追従性が良好であり、また、カートリッジ20の下端と衝突する障害物は存在していない。動滑車51cはカートリッド20の下降に伴って下降するが、その下降速度はカートリッジ20の1/2となることから、追従性は良好である。また、動滑車51の自重により、下降時のワイヤ52の弛みを吸収することができる。なお、滑車の原理により、カートリッジ20を上昇させる際の動滑車51cの荷重による負荷は、動滑車51b重量の1/2となる。
一方、選択され拘束された側のガイドピン15bは、カートリッジ20の下降に伴って内部で圧縮されていたスプリング28が伸張し、カートリッジ20がその下死点に至って元の状態に戻る。その後、拘束部材54による動滑車51bの拘束が解除され、次の選択に備える。以下、これまでの動作が繰り返される。
以上の本実施の形態にかかるワイヤ52を利用した挿入ガイド部50を、従来技術による選択ロッド18を利用した挿入ガイド部14と比較した場合、以下のような優位な点が挙げられる。
(1)カートリッジ20の高速上下動によっても衝突の危険がない。これによって高速追従性を格段に高めることができる。
(2)ガイドピン15の取替えがフック53の着脱のみに簡略化される。また、衝突などの原因でガイドピン15が着脱不能となることがない。
(3)カートリッジ20の旋回に対して柔軟性の高いワイヤ52が捩れて対応するため、旋回に対する抗力が僅少となる。また、耐久性に優れる。
(4)拘束動作は、動滑車51に対して軸方向に突出する拘束部材54(ソレノイド)の瞬時の伸縮動作のみで行うことができ、選択シリンダ31と比較して追従性が格段に優れる。(従来は選択シリンダを35mmストロークさせていた。)
(5)ばねを使用せず、摩擦係合する部位がないため、耐久性が高まり、騒音低下につながる。
(6)移動部材の重量軽減で、動力負荷が減少し、また慣性の低減によって追従性が改善される。
(7)全体の構造が簡単であり、組立が容易で製造コストも低減される。
図2は、本実施の形態の代替となる他の態様の挿入ガイド部50aを示している。ここでは動滑車51の代りに拘束レバー58が用いられている。拘束レバー58の一端は装置基台などに揺動可能に軸支され、自由端となる他端にはワイヤ52に固定されている。拘束レバー58の重量が適切であれば、ワイヤ52下降時の弛みを吸収できるが、必要であればウェイトが取り付けられてもよい。ワイヤ52の他端は、先の実施の形態と同様にフック53を利用してガイドピン15の係合部29に連結されている。また、拘束レバー58をブロックして上方への揺動を拘束する拘束部材54が、拘束レバー58と係合可能に配置されている。拘束レバー58と拘束部材54とは、拘束機構を構成している。
このように構成された挿入ガイド部50aの動作は、基本的に上述した動滑車51を用いた構成と同様であり、選択されたガイドピン15bに対応する拘束レバー58b(図示の場合。以下同じ。)には拘束部材54が突出して上方への揺動が阻止され、これによってワイヤ52を介して当該拘束レバー58につながるガイドピン15bの上昇が阻止される。選択されていない拘束レバー58bは自在に揺動可能であり、カートリッジ20の上昇に合せて揺動するため、ワイヤ52を介して当該拘束レバー51cにつながったガイドピン15cは上昇可能である。
基準ガイドピン15aと前記ガイドピン15cとが図示しない部品1のリード線3を捕捉した後、カートリッジ20は下降し、部品1が回路基板5に挿入がされる。この際、カートリッジ20の下降と共に拘束レバー58cは自重により下向きに揺動し、ワイヤ52を引き下げるため、ワイヤの弛みは生ずることがない。一方、選択された拘束レバー58bの例では、カートリッジ20の下降に対してガイドピン15bに対応するスプリング49が伸張し、ガイドピン15bとカートリッジ20とが相対移動してカートリッジ20が下死点に達する。以下、これまでの動作が繰り返される。
なお、図示していないが、拘束レバー58の揺動後の振動を減衰するため、必要であれれば拘束レバー58の軸支部分に減衰機構が設けられてもよい。従来技術による挿入ガイド部14との優位差は上述したものと同様である。
次に、本発明にかかる第2の実施の形態の挿入ガイド部について説明する。先の第1の実施の形態ではワイヤ52が下降する際のワイヤ52の弛みを動滑車51や拘束レバー58の自重によって吸収するものとしている。これにより選択シリンダ31などの動力系やばねなどを不要として構造が簡略化されるが、部品挿入動作がさらに高速化した場合に追従できなくなる虞がないとは言えない。またこれを改善するために動滑車51や拘束レバー58の重量を増加したり、あるいはばねで補強したりした場合、逆にカートリッジ20を上昇させる場合の負荷が増大し、操作系を強化する必要も生じ得る。本実施の形態では、ガイドピン15の上方への移動を阻止する拘束機構をワイヤ52の利用により軽量化すると同時に、ワイヤ52の弛みに対しても追従性を改善する挿入ガイド部を提供する。
図3は、本実施の形態にかかる挿入ガイド部60を示す。図において、挿入ガイド部60は、複数のガイドピン15を収納したカートリッジ20と、各ガイドピン15に対応して設けられたワイヤ52およびモータ61(61b、61c)からなる選択機構65と、昇降レバー41を含めて図に一部表示している昇降機構と、図示しない旋回機構とを含んでいる。昇降機構と旋回機構とは、基本的に図10に示す従来技術によるものと同様である。本実施の形態では、選択機構の一部として、ワイヤ52の弛みを吸収するための操作レバー62からなる吸収機構をさらに含んでいる。
各ガイドピン15を下方に向けて拘束可能なワイヤ52は、一端がガイドピン15の下端に設けられた係合部29にフック53を介して係合され、他端は、モータ61(61b、61c)の回転軸に取り付けられたリール63に巻取り可能に固定されている。その中間において、ワイヤ52は操作レバー62に設けられたプーリ64に係合している。この操作レバー62は、図10に示すガイドピン15を昇降させるための昇降レバー41から一体に延びるアームにより形成されている。プーリ64との係合を果たすため、ワイヤ52にはさらに固定ローラ66が係合している。図面ではプーリ64が1つに表示されているが、各ワイヤ52ごとに係合した個別のプーリ64が取り付けられている。また、操作レバー62は、昇降レバー41と同期して動作できるものであればよく、必ずしも昇降レバー41と一体に形成されていなくてもよい。
以上のように構成された挿入ガイド部60の動作時、カートリッジ20が下方に下りた状態で、選択されたガイドピン15bに対応するモータ61b(図示の場合。以下同じ。)が回転し、当該モータ61bにつながるワイヤ52が一定長さ巻き取られる。これによってワイヤ52につながるガイドピン15bが下方に引かれた状態となる。当該ガイドピン15bは、カートリッジ20内の対応するスプリング28を圧縮してカートリッジ20との間で下方に相対移動する。他方、選択されないガイドピン15cに対応するモータ61c(図示の場合)は回転することなく、したがってガイドピン15cとカートリッジ20との間の相対移動はない。
次に、カートリッジ20を昇降させる昇降レバー41が回動し、カートリッジ20が上方へ持ち上げられると、一体となった操作レバー62も同時に回動し、プーリ64に係合したワイヤ52の引張りが緩和される結果、各ワイヤ52は拘束されることなくカートリッジ20の上昇に追従可能である。この際、選択されたガイドピン15bも選択されないガイドピン15c(同)と同時に上昇するが、選択された方のガイドピン15bは予めモータ61の回転によって一定長さを引っ張られているため、当該ガイドピン15bが図示しない回路基板5を貫通する高さまで達することはない。前記上昇により、基準ガイドピン15aおよび選択されないガイドピン15cのみが回路基板5を貫通し、対応する部品1のリード線3を捕捉する。
次に、昇降レバー41の逆回動により、カートリッジ20が下降を始め、前記ガイドピン15a、15cに捕捉されたリード線3が回路基板5を貫通して部品挿入が行われる。この際、昇降レバー41の回動と同時に操作レバー62も回動するため、ガイドピン15の下降に伴うワイヤ52の弛みはプーリ64の移動によって吸収され、弛みが生ずることがない。操作レバー62とプーリ64とは、ワイヤ52の弛みを吸収するための吸収機構を構成している。カートリッジ20が下死点に達した後、選択されたガイドピン15bに対応するモータ61bがワイヤ52を緩める方向に回転してガイドピン15bを元の位置にもどして当初の状態に復帰する。以下、これまでの動作を繰り返す。
本実施の形態にかかる挿入ガイド部を従来技術によるものと比較した場合、先の第1の実施の形態に示すものと同等の優位な点を有するほか、さらなる高速回転に対しても十分な追従性を有するという特徴を備えている。選択されたモータ61cの駆動、カートリッジの昇降との同期化は、図示しない部品挿入装置の制御部によって制御される。なお、ワイヤ52を予め引っ張るためのマニピュレータとして、高速追従性の観点からは例示したモータが好ましいが、他にエアシリンダ、油圧シリンダが使用されてもよい。
次に、本発明にかかる第3の実施の形態の挿入ガイド部について説明する。図4は、本実施の形態にかかる挿入ガイド部70を示す。図において、挿入ガイド部70は、複数のガイドピン15を収納したカートリッジ20と、各ガイドピン15に対応して設けられたワイヤ52およびモータ71からなる選択機構75と、破線で一部を示す昇降機構と、図示しない旋回機構とを含んでいる。昇降機構、旋回機構の構成は、基本的に図10に示す従来技術によるものと同様とすることができる。
各ガイドピン15を下方に向けて拘束可能なワイヤ52は、一端がガイドピン15の下端に設けられた係合部29にフック53を介して係合され、他端は、モータ71の回転軸に取り付けられたリール63に巻取り可能に固定されている。本実施の形態で使用されるモータ71には電磁クラッチなどのクラッチ72が設けられ、モータ71とリール63との間の接続、分離が制御可能である。
以上のように構成された挿入ガイド部70の動作時、カートリッジ20が下方に下りた状態で、選択されたガイドピン15b(図示の場合。以下同じ。)に対応するモータ71bのクラッチ72が動作し、モータ71bの回転軸とリール63とが接続される。この接続状態では、モータ71の抗力によりリール63の自在回転が阻止される。選択されていないモータ71cのクラッチ72は分離状態に保たれ、リール63の回転、及びこれに伴うワイヤ52の巻き出しが自在である。
次に、昇降機構56が動作してカートリッジ20が上昇すると、基準ガイドピン15aと選択されていないガイドピン15cとがカートリッジ20の上昇とともに上昇するが、この際、ガイドピン15cにつながったワイヤ52は、回転自在のリール63から巻き出されてガイドピン15cの上昇に追従する。一方、選択されたガイドピン15bは、クラッチ72の作用によってリール63が拘束されているため、ワイヤ52が巻き出されることなく、上昇が阻止される。このため、上昇するカートリッジ20とガイドピン15bの間で相対移動が生じ、この間の相対移動は対応するスプリング28が圧縮されて吸収される。
上昇した基準ガイドピン15aと選択されないガイドピン15cとが図示しない回路基板5を貫通して部品1のリード線3を捕捉する。カートリッジ20が図示の上死点に達した際、これまで分離状態にあったモータ71cの方のクラッチ72が動作し、モータ71cの回転軸とリール63とが接続状態とされる。
次に、昇降機構56が逆転してカートリッジ20を下降させ、各ガイドピン15に捕捉されたリード線3を回路基板5に貫通させて部品挿入が行われる。この時のカートリッジ20の下降に同期してガイドピン15cに対応するモータ71cが回転し、回転軸に接続されたリール63が対応するワイヤ52を巻取る結果、ワイヤ52の弛みが吸収される。このカートリッジ20の下降の間、選択されたガイドピン15bに対応するモータ71bはワイヤ52を巻き取る必要はなく、停止状態を維持する。この間のワイヤ52の弛みは、カートリッジ20内のスプリング28の伸張によって吸収される。カートリッジ20が下死点に達してモータ71cが停止し、全てのモータ71のクラッチ72が分離状態に解除されて元の状態に戻る。以下、これまでの動作が繰り返される。
本実施の形態にかかる挿入ガイド部70を従来技術による挿入ガイド部14と比較した場合、第1の実施の形態で説明した内容と同様の優位な点を備えるほか、より一層の高速化への対応が可能となる。
図5は、本実施の形態の他の態様となる代替の挿入ガイド部70aを示している。この挿入ガイド部70aでは、上述したモータ71の回転軸との接離を行うクラッチ72を廃止し、モータ71の往復回転のみによってガイドピン15の選択拘束を行うものとしている。本態様にかかる挿入ガイド部70aの構成は、クラッチ72を廃止したことを除いて上述した挿入ガイド部70と同様にすることができる。
以上のように構成された挿入ガイド部70aの動作時、選択されたガイドピン15b(図示の場合。以下同じ。)に対応するモータ71bは非回転に、選択されないモータ71cはリール63からワイヤ52を巻き出す方向への回転が可能に制御される。この状態でカートリッジ20が上昇すると、これに同期して選択されないモータ71cが回転し、カートリッジ20の上昇に追従してワイヤ52の上昇を許容する。これによって選択されないガイドピン15cはカートリッジ20と共に上昇する。一方、選択されたモータ71bに対応するワイヤ52は、モータ71bが非回転であるために拘束され、カートリッジ20の上昇には追従できない。この間のカートリッジ20と選択されたガイドピン15bとの相対移動は、カートリッジ20内のスプリング28が吸収する。
カートリッジ20が上死点に達したとき、図示しない回路基板5を貫通した基準ガイドピン15aとガイドピン15cが部品1のリード線3を捕捉する。その後、カートリッジ20は下降を始めるが、この時、モータ71cはリール63によりワイヤ52を巻き取る逆回転の制御に切り換えられる。そしてカートリッジ20の下降に同期してモータ71cが回転してワイヤ52を巻き取る結果、ワイヤ52に弛みが生ずることがない。選択されたモータ71bは非回転のまま維持され、この間のワイヤ52の弛みはカートリッジ20内のスプリング28が吸収する。カートリッジ20が下死点に至ってモータ71の制御が解除され、次の挿入動作に備える。
本態様にかかる挿入ガイド部70aにおいても、従来技術と比較した場合、上述した挿入ガイド部70と同等の優位な点を備えることができる。
以上、本発明にかかる挿入ガイド部について説明してきたが、本発明は、各実施の形態に示す挿入ガイド部を備えた部品挿入装置をも包含している。すなわち、本発明にかかる部品挿入装置は、ラジアル部品を供給する部品供給部と、回路基板を搬入して予め定められた挿入位置に保持する基板保持部と、ラジアル部品を前記部品供給部から取り出し、前記保持された回路基板に対向して保持する挿入ヘッドと、ラジアル部品のリード線をガイドして回路基板の挿入穴を通過させる挿入ガイド部とから構成される部品挿入装置であって、当該挿入ガイド部が、上述したいずれかの挿入ガイド部であることを特徴としている。
さらに、本発明は、上述した各挿入ガイド部を利用した部品挿入方法をも包含している。本発明にかかるラジアル部品の挿入方法は、部品のリード線間隔の異なるピッチに対応して複数のガイドピンを収納したカートリッジが前記リード線捕捉のために回路基板に向けて上昇する際、選択された不使用となるガイドピンの下端に係合したワイヤの上昇を阻止して当該不使用のガイドピンと回路基板との接触を回避し、挿入に必要なガイドピンのみ上昇させて前記リード線を捕捉することを特徴としている。
1.ラジアル部品、 3.リード線、 5.回路基板、 5a.挿入穴、 10.部品挿入装置、 14.挿入ガイド部、 15.ガイドピン、 15a.基準ガイドピン、 18.選択ロッド、 20.カートリッジ、 28.スプリング、 41.昇降レバー、 42.昇降ピン、 50.挿入ガイド部、 51.動滑車、 52.ワイヤ、 54.拘束部材、 55.選択機構、 56.昇降機構、 58.拘束レバー、 60.挿入ガイド部、 61.モータ、 62.操作レバー、 64.プーリ、 65.選択機構、 70.挿入ガイド部、 71.モータ、 72.クラッチ、 75.選択機構。