JP4639349B2 - 被ばく管理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被ばく管理システムに関し、特に、放射線取扱施設内で作業に従事する作業者の被ばく管理に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所、核燃料処理施設、放射線医療施設などの放射線取扱施設においては、各作業者の個人的な被ばく管理が不可欠である。特に、各作業者の被ばく管理をリアルタイムで行えるシステムが要望されている。
【0003】
特開平11−248839号公報には、従来の被ばく管理システムが開示されている。この従来システムは、放射線取扱施設内の複数の作業者に携帯される複数の携帯機と、複数の携帯機からのデータを収集するホスト装置とを有する。放射線取扱施設は、複数のエリア(例えば、1部屋が1エリアに相当)に区分されている。個々のエリアには1台ずつ基地局が設置され、複数の基地局と複数の携帯機との間で無線通信がなされる。複数の基地局は通信回線を介してホスト装置に接続されている。各携帯機は、PHSなどのセルラー電話方式に従った通話機能と、放射線計測(被ばく線量計測)機能とを有する。携帯機から無線送信された線量データは、その携帯機が存在しているエリア(所属エリア)に設置された基地局によって受信され、その受信された線量データがホスト装置へ伝送される。ホスト装置は、線量データを受信した基地局を判別することによって、携帯機の所属エリアを判定する。ホスト装置においては、各作業者ごとに、被ばく線量及び所属エリアが管理される。また、ホスト装置には、放射線取扱施設内に設置されたエリアモニタ及びダストモニタなどの機器が接続されている。ホスト装置が何らかの放射線異常を判定した場合、ホスト装置からアラーム信号が一部又は全部の携帯機へ送信される。アラーム信号を受けた携帯機においては、アラームメッセージが表示され、また、バイブレータが起動される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来システムにおいては、複数の携帯機から送信されてくる情報はホスト装置で収集され、また集中管理されるが、そのように収集された情報(あるいはそれを加工して生成される情報)は、前記のアラーム信号を除いて、各作業員にフィードバックされない。つまり、各作業員への情報提供が十分でない。
【0005】
具体的には、上記従来システムでは、異常時の場合だけ情報(アラーム信号)が提供されているが、正常時においても積極的に情報を提供するのが望ましい。また、上記従来システムでは、各作業者に対して、単に異常の事実のみがアラーム信号として提供されるだけであり、放射線取扱施設内の現況(あるいは自己周囲の状況)に関する情報は提供されていない。更に、上記従来システムでは、各作業者の位置特定が大雑把過ぎるという点を指摘できる。加えて、上記従来システムでは、各作業者は、作業現場において、自分以外の他の作業者の被ばく状態に関する情報を一切得られず、このため、作業者相互で被ばく管理を行えず、また、異常時に他の作業員のケアを十分にできない可能性があった。
【0006】
ところで、放射線取扱施設内における作業は、その内容如何によっては、作業者に対して、大きな精神的ストレスを与えるものである。また、異常が発生した場合には、各作業者はその異常に冷静に対処する必要があるため、各作業者が精神的なパニック状態に陥っているか否かを客観的に判断することが望まれる。しかしながら、各作業者の健康(精神)状況をリアルタイムに管理できる被ばく管理システムは未だ提供されていない。
【0007】
なお、被ばく管理に関する特許出願として、特願平11−326481号(出願日:平成11年11月17日)がある。この特許出願には、作業者に装着される個人線量計とその個人線量計からのデータを収集する管理装置とからなるシステムが開示されている。個人線量計は、本体と頭部ユニットとで構成され、本体には放射線センサが設けられ、頭部ユニットには、位置検出器としてのGPS、通信ユニット及び撮像素子が設けられている。管理装置は、個人線量計からの位置情報及び線量情報を取得し、また撮像データを取得する。ここで、管理装置は多様なアラーム判定機能を有する。アラームが判定された場合に、管理装置から個人線量計へアラーム信号が出力される。しかしながら、この特許出願に開示されたシステムにおいても、上記特開平11−248839号公報に開示されたシステムと同じ問題を指摘でき、すなわち、各作業員に対して十分な情報を提供できるものではない。
【0008】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、作業者に対して、被ばく管理のための有用な情報を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、作業者に対して、放射線取扱施設内の状況を即座に理解できる情報を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、作業員の被ばく管理と共に健康管理を行うことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、放射線取扱施設内において作業者に携帯される携帯装置と、前記作業者の被ばくを管理する中央監視装置と、を含む被ばく管理システムであって、前記携帯装置は、放射線を検出して被ばく線量データを出力する線量計と、前記被ばく線量データを前記中央監視装置へ送信する送信器と、前記中央監視装置から提供される表示データを受信する受信器と、前記受信された表示データを表示する表示器と、を備え、前記中央監視装置は、前記放射線取扱施設内における前記携帯装置の位置を判別し、その位置を表す位置データを出力する位置判別部と、前記位置データ及び前記被ばく線量データが格納されるデータ記憶部と、前記データ記憶部に格納された前記位置データ及び前記被ばく線量データに基づいて、前記放射線取扱施設の見取図上に前記作業者の位置及び被ばく線量を表してなる第1マッピングイメージを作成し、その第1マッピングイメージを前記表示データとして前記携帯装置へ提供する第1マッピングイメージ作成部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、作業者には携帯装置が装着される。これにより、放射線取扱施設内における作業者の移動に伴って携帯装置も移動する。携帯装置内の線量計は放射線を検出し、被ばく線量データ(線量率データ、積算線量データなど)を出力する。このデータの出力は、極めて短周期で繰り返し実行されてもよいし、被ばく線量データに変動があった場合に実行されてもよいし、中央監視装置からデータ送信リクエストが発行された場合に実行されてもよい。被ばく線量データは、携帯装置内の送信器により、中央監視装置へ向けて送信される。そのデータ送信に当たっては電波を利用するのが望ましい。なお、被ばく線量データは、必要に応じて、携帯装置内の表示器に表示される。
【0013】
中央監視装置が有する位置判別部は、携帯装置の位置(つまり作業者の位置)を判別(特定)する。位置の判別に当たっては、公知の各種の技術を利用可能である。例えば、セルラー電話システム(PHSなど)を用いて、複数の基地局と携帯装置との間で無線通信がなされるのであれば、複数の基地局で受信された電波の電界強度を相互に比較することによって、その電波を発生した携帯装置の位置を特定できる。そして、放射線取扱施設内に、多数の基地局(多数のアンテナ)を近距離間隔で設置しておけば、位置判別の精度(分解能)を高められる。なお、位置判別部が、複数の基地局に接続された中継装置(通信制御装置)内に設けられるようにしてもよい。その場合には、その中継装置は、中央監視装置の一部機能に相当する。
【0014】
中央監視装置は、作業者の被ばく管理を行う装置である。各時刻における位置データ及び被ばく線量データは、データ記憶部(データベース)に格納される。中央監視装置は、収集されたデータを加工し、その加工データを携帯装置へ返す機能を有している。具体的に説明すると、中央監視装置が有する第1マッピングイメージ作成手段は、上記の第1マッピングイメージを作成する。この第1マッピングイメージは、二次元(あるいは三次元)の見取図上に、作業者の位置及び被ばく線量(線量率、積算線量など)を表したものである。その第1マッピングイメージは、例えば、中央監視装置においてモニタリングされ、また、携帯装置へ伝送される。
【0015】
携帯装置の表示器には、第1マッピングイメージが表示される。この第1マッピングイメージにより、作業者は、放射線取扱施設内における自己位置を確認した上で、自己の被ばくの程度を直感的に理解することができる。更に、例えば、第1マッピングイメージ上に、他の作業者の位置及び被ばく線量も併せて表されるならば、その第1マッピングイメージを観察することにより、他の作業者がどこで作業を行っており、またどの程度被ばくしているのか、を容易に認識できる。あるいは、複数の作業者の配置や複数の作業者の被ばく傾向などを認識することができる。よって、通常の作業時(正常時)において、作業者は、被ばく管理上、有用な情報を得ることができ、また、異常時においても、安全対策上、有用な情報を得ることができる。
【0016】
(2)望ましくは、前記第1マッピングイメージには前記作業者の位置を表す作業者シンボルが含まれ、前記作業者シンボルの表示態様が前記被ばく線量データに応じて変化する。作業者シンボルは、図形、記号などであり、その作業者シンボルには、作業者識別子を付加するのが望ましい。また、本人のシンボルが他のシンボルから即座に識別されるようにその表示形態を定めるのが望ましい。
【0017】
望ましくは、前記放射線取扱施設内に設けられ、放射線を検出して空間線量データを出力するエリアモニタを含み、前記第1マッピングイメージには、更に前記エリアモニタの位置を表すエリアモニタシンボルが含まれ、前記エリアモニタシンボルの表示態様が前記空間線量データに応じて変化する。この構成によれば、放射線取扱施設内における各場所の空間線量を直感的に認識でき、しかも、エリアモニタと自己との位置関係を直感的に認識できる。緊急時には避難経路を選択する上での目安にもなる。
【0018】
望ましくは、前記作業者シンボルの表示色が前記被ばく線量データに応じて変化し、前記エリアモニタシンボルの表示色が前記空間線量データに応じて変化する。シンボルに施す着色を変化させれば、被ばく線量及び空間線量の大小を直感的に認識できる。
【0019】
(3)望ましくは、前記放射線取扱施設は複数のエリアに区分され、前記第1マッピングイメージは各エリアごとに生成される。エリアは、フロアごとにあるいは部屋ごとに設定するようにしてもよい。望ましくは、前記携帯装置にはそれが属するエリアに対応したマッピングイメージが提供される。
【0020】
(4)望ましくは、前記データ記憶部に格納された前記被ばく線量データに基づいて、被ばく線量の時間変化を表す被ばく線量グラフを作成する線量グラフ作成部を備え、前記被ばく線量グラフが前記表示データとして前記携帯装置へ提供される。ここで、被ばく線量グラフは、線量率グラフ、積算線量グラフなどである。
【0021】
望ましくは、前記中央監視装置は、前記作業者に対して作業のための情報を提供する作業情報提供部を含み、前記作業のための情報が前記表示データとして前記携帯装置へ提供される。例えば、作業のための情報は、ドキュメント、画像データなどである。
【0022】
(5)望ましくは、前記携帯装置は、前記作業者の胸部に装着され、前記線量計を有する第1ユニットと、前記作業者の所定箇所に装着され、前記第1ユニットとは別体に構成され、前記表示器を有する第2ユニットと、で構成される。
【0023】
望ましくは、前記所定箇所は前記作業者の腰ベルトである。望ましくは、前記所定箇所は前記作業者の手首である。望ましくは、前記所定箇所は前記作業者の頭部である。
【0024】
(6)望ましくは、前記携帯装置は、音声通話を行うための音声通話ユニットと、作業現場を撮像して撮像データを出力する撮像素子と、を含み、作業者は、前記音声通話ユニットによって他の装置との間で音声通話を行うことが可能であり、また、前記撮像データを他の装置へ送信することが可能である。ここで、他の装置には、中央監視装置、他の携帯装置、外部装置、その他の装置が含まれる。
【0025】
(7)また、上記目的を達成するために、本発明は、放射線取扱施設内において作業者に携帯される携帯装置と、前記作業者の被ばくを管理する中央監視装置と、を含む被ばく管理システムであって、前記携帯装置は、放射線を検出して被ばく線量データを出力する線量計と、前記被ばく線量データを前記中央監視装置へ送信する送信器と、前記中央監視装置から提供される表示データを受信する受信器と、前記受信された表示データを表示する表示器と、を備え、前記中央監視装置は、前記放射線取扱施設内における前記携帯装置の位置を判別し、その位置を表す位置データを出力する位置判別部と、前記位置データ及び前記被ばく線量データが格納されるデータ記憶部と、前記データ記憶部に格納された前記位置データ及び前記被ばく線量データに基づいて、前記放射線取扱施設の見取図上に前記作業者の移動軌跡及びその移動軌跡上の各位置における被ばく線量を表してなる第2マッピングイメージを作成し、その第2マッピングイメージを前記表示データとして前記携帯装置へ提供する第2マッピングイメージ作成部と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、データ記憶部上には、時系列順で各時刻の位置データ及び被ばく線量データが格納される。そして、それらのデータに基づいて、第2マッピングイメージが作成される。この第2マッピングイメージは、作業者の移動軌跡と、その移動軌跡上における各位置における被ばく線量とを、見取図(模式図としてのイメージ)上に表したものである。第2マッピングイメージによれば、過去に遡って、作業者がどの位置でどの程度の被ばくをしたのかを即座に判断できる。基本的には、個々の作業者ごとに第2マッピングイメージを作成するのが望ましいが、複数の作業者の移動軌跡を同じ第2マッピングイメージに表すこともできる。
【0027】
(8)また、上記目的を達成するために、本発明は、放射線取扱施設内において作業者に携帯される携帯装置と、前記作業者の被ばくを管理する中央監視装置と、を含む被ばく管理システムであって、前記携帯装置は、前記作業者から生体情報を検出してその生体情報を出力する生体情報検出器と、前記生体情報を前記中央監視装置へ送信する送信器と、前記中央監視装置から提供される表示データを受信する受信器と、前記受信された表示データを表示する表示器と、を備え、前記中央監視装置は、前記放射線取扱施設内における前記携帯装置の位置を判別し、その位置を表す位置データを出力する位置判別部と、前記位置データ及び前記生体情報が格納されるデータ記憶部と、前記データ記憶部に格納された前記位置データ及び前記生体情報に基づいて、前記放射線取扱施設の見取図上に前記作業者の位置及び健康状態を表してなる第3マッピングイメージを作成し、その第3マッピングイメージを前記表示データとして前記携帯装置へ提供する第3マッピングイメージ作成部と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、作業者の生体情報(血圧、脈拍、体温など)が検出され、その生体情報が中央監視装置へ向けて送信される。中央監視装置における第3マッピングイメージ作成部は、作業者の位置及び生体情報を見取図上に表してなる第3マッピングイメージ(生体情報マッピングイメージ)を作成する。その第3マッピングイメージは携帯装置へ提供され、その表示器に表示される。その表示により、作業者は、放射線取扱施設内における自己の所在を確認でき、また、自己の健康状態(精神状態)を自ら診断できる。更に、例えば、見取図上に他の作業員の位置及び健康状態も表されるならば、他の作業者がどこにいて、他の作業者がどのような健康状態にあるのかを把握できる。よって、必要に応じて、他の作業者のケアあるいは支援の必要性を判断できる。
【0029】
(9)望ましくは、前記第3マッピングイメージには、前記作業者の位置を表す作業者シンボルが含まれ、前記作業者シンボルの表示態様が前記作業者の健康状態に応じて変化する。
【0030】
(10)また、上記目的を達成するために、本発明は、放射線取扱施設内における複数の作業者に携帯される複数の携帯装置と、前記複数の作業者の被ばくを管理する中央監視装置と、前記複数の携帯装置と前記中央監視装置との間に設けられた通信設備と、を含む被ばく管理システムであって、前記通信設備は、前記複数の携帯装置との間で無線通信を行うために、前記放射線取扱施設内に分散的に設置された複数の基地局と、前記複数の基地局に接続され、且つ、前記中央監視装置に接続された中継装置と、を備え、前記各携帯装置は、計測データを出力する線量計と、前記計測データを前記通信設備を介して前記中央監視装置へ送信する送信器と、前記中央監視装置から前記通信設備を介して提供された表示データを受信する受信器と、前記受信された表示データを表示する表示器と、を備え、前記中央監視装置は、前記放射線取扱施設内における前記各携帯装置の位置を判別し、これにより前記各作業員の位置を表す位置データを出力する位置判別部と、前記各作業者ごとの前記位置データ及び前記計測データが格納されるデータ記憶部と、前記データ記憶部に格納された各作業者ごとの前記位置データ及び前記計測データに基づいて、前記放射線取扱施設の見取図上に前記各作業者の位置及び計測結果を表してなるマッピングイメージを作成し、そのマッピングイメージを前記表示データとして前記各携帯装置へ提供するマッピングイメージ作成部と、を備えたことを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
図1には、本発明に係る被ばく管理システムの好適な実施形態が示されており、図1は被ばく管理システムの概念図である。この被ばく管理システムは、例えば原子力発電所などの放射線取扱施設などに設置されるシステムである。この被ばく管理システムにより、放射線取扱施設内において作業に従事する各作業者について、個人被ばく管理及び個人健康管理がなされる。
【0033】
図1において、本実施形態の被ばく管理システムは、複数の携帯装置10、中央監視装置12及び通信設備14を有している。
【0034】
携帯装置10は、作業者によって携帯されるものである。この携帯装置10は、本実施形態において、被ばく線量測定機能、生体情報測定機能、無線通信機能などの各種の機能を有している。特に、本実施形態の携帯装置10は、携帯電話あるいは簡易型携帯電話(PHS)としての機能を具備しており、電波を利用して通話及びデータの送受信を行える。
【0035】
通信設備14は、通信制御部28と複数の基地局20とによって構成される。ここで、基地局20はアンテナ22及び送受信部24によって構成される。放射線取扱施設内には例えば5m間隔で多数のアンテナ22が設置されており、すなわち、多数のアンテナ22がマトリックス状に配設されている。これは、携帯装置10(すなわち作業者)の位置の特定精度(分解能)を高めるためである。ちなみに、放射線取扱施設が複数階のフロアを有する場合には、各フロアについて上述したように多数のアンテナ22(つまり基地局20)が設置される。
【0036】
各基地局20は、通信ケーブル26を介して通信制御部28に接続されている。通信制御部28は、各基地局における送受信を制御する装置であり、いわゆる交換局として機能する。また、中央監視装置12と複数の携帯装置10との間に設けられた中継装置として機能する。
【0037】
各作業者には、データ管理上のために、作業者IDが割り当てられており、これと同様に、各携帯装置10には携帯装置IDが割り当てられている。ここで、作業者IDと携帯装置IDは同じものであってもよい。また、複数の基地局20には、それぞれ基地局IDが割り当てられている。
【0038】
ここで、基地局20と携帯装置10との間における通信について説明する。携帯装置10から送信される送信データは、本実施形態において、携帯装置ID、被ばく線量データ、生体情報、その他のデータなどである。もちろん、通話が行われる場合には、音声データが送信される。いずれにしても、各送信データには携帯装置IDが付加され、これによって送信データの識別が可能となっている。
【0039】
送信データは例えば一定周期で送信され、あるいは必要に応じて送信される。被ばく線量データや生体情報などを送信する場合、一定周期ごとにそれらのデータの送信を行ってもよいし、また計測データ(被ばく線量データ,生体情報など)に変化が生じた場合に、それをトリガとして、計測データの送信を行うようにしてもよい。
【0040】
以上のように送信されたデータは、それを、受信可能な1又は複数の基地局20によって受信される。ここで、各基地局20の通信エリアは、互いに隣接するもの同士で部分的に重複しており、通常は、携帯装置10から発信された電波は複数の基地局によって受波される。各基地局20においては、アンテナ22によって電波が受信されると、受信信号が送受信部24を介して受信信号が通信制御部28へ出力される。この場合に、本実施形態では、送受信部24が受信強度(電界強度)を表すデータを受信信号に併せて通信制御部28へ送っている。また、その際には、基地局IDの情報も受信信号に付加される。
【0041】
通信制御部28は、1又は複数の基地局から、受信信号が伝送されてくると、その受信信号(受信データ)を中央監視装置12へ転送する。その場合においては、携帯装置10が存在する位置を特定できるようにするために、その受信データに対して、受信した基地局のID及び受信強度に関する情報が付加される。ただし、通信制御部28内に携帯装置10の位置特定機能が具備されていれば、その機能の実行により特定された位置のデータが中央監視装置12へ伝送される。
【0042】
なお、通信制御部28において、いわゆるポーリング方式などによって各携帯装置10と定期的な通信が行われる場合には、そのような通信を利用して上記同様に携帯装置10の位置判別を行うことができる。あるいは他の手法を利用して携帯装置10の位置を特定するようにしてもよく、その場合においては、例えばGPSシステムなどを利用してもよい。
【0043】
一方、中央監視装置12からの送信データ(例えば表示データ)は、中央監視装置12によって、指定された携帯装置10が属する交信エリアをカバーする基地局20へ送られ、送信データが電波として当該携帯装置10へ送られる。もちろん、必要に応じて、全部の携帯装置10に対して同一データを配信するようにしてもよい。
【0044】
なお、図示されてはいないが、通信制御部28は、装置間で電話通信を行うための各種の機能(交換局あるいは中継局としての機能を含む)も具備しており、携帯装置10間において通話を行ったり、携帯装置10と中央監視装置12との間で通話を行ったり、あるいは公衆回線を介して外部の相手と通話を行ったりすることもできる。
【0045】
次に、中央監視装置12について説明する。この中央監視装置12は、複数の携帯装置10などから送られてきたデータを収集し、それらのデータに基づいて、作業員の個人被ばく管理や個人健康管理などを行う装置である。本実施形態においては、中央監視装置12は、マッピングイメージを作成し、そのマッピングイメージを携帯装置10へ提供する機能なども具備している。これについては後に詳述する。
【0046】
監視制御部30は、ワークステーションなどのコンピュータ及び通信処理装置などによって構成され、この監視制御部30はCPUや制御プログラムなどを有している。監視制御部30には、ディスプレイとしての表示器34が接続され、また、キーボードやマウスなどの入力器32が接続されている。さらに、監視制御部30には、通話用のスピーカ36及びマイク38が接続されている。なお、監視制御部30と上記の通信制御部28は、例えば、高速通信を行い得る専用通信回線で相互接続されている。
【0047】
監視制御部30に接続された記憶装置40は、中央監視装置12によって収集される全情報を蓄積するデータベースを構成するものである。また、本実施形態において、記憶装置40内には各フロアごとに用意されたフロアの見取図イメージ42が画像情報として蓄積されている。この見取図イメージ42は後述する各種のマッピングイメージを作成する場合における背景イメージとして利用される。
【0048】
監視制御部30は外部のネットワーク46にも接続されており、そのようなネットワークを介して外部装置と通信を行うことができる。さらに、本実施形態においては、図示されるように測定機器群16が監視制御部30に接続されており、それらの測定機器群16から出力されるデータも前記の記憶装置40上に格納される。
【0049】
本実施形態において、測定機器群16は具体的には複数のエリアモニタ17によって構成されている。各エリアモニタ17は放射線取扱施設内における所定箇所に設けられるものであり、具体的には、それぞれ分割されたエリアごとに設置されるものである。このエリアモニタ17は、放射線測定器を構成するものであり、放射線を検出し、空間線量データを出力する。監視制御部30には、更に他の放射線測定機器を接続することも可能である。
【0050】
図1に示した被ばく管理システムにおいては、中央監視装置12が、収集されたデータを加工して、加工データを各携帯装置10へ配信する機能を有しており、これによって、作業者は、被ばく管理、健康管理、あるいは機器管理において、必要な情報を入手することが可能である。特に、本実施形態においては、各携帯装置10の位置が判別されており、その判別された位置と計測データとを組み合わせてマッピングイメージを形成し、そのマッピングイメージが各携帯装置10へ提供されている。これについては後に詳述することにする。
【0051】
図2には、図1に示した携帯装置10の全体構成がブロック図として示されている。携帯装置10は、図2に示す例では、メインユニット(第1ユニット)50、端末ユニット(第2ユニット)52、生体計測ユニット(第3ユニット)54、及び、ヘッドユニット(第4ユニット)56によって構成されている。
【0052】
まず、メインユニット50について説明すると、アンテナ62は、送受信部60に接続されており、その送受信部60によるデータの送受信は、通信制御部64によって制御されている。その通信制御部64はメイン制御部66に接続されている。
【0053】
メイン制御部66は携帯装置10の動作制御を実行しており、メイン制御部66には線量計68、表示器70及び入力器72などが接続されている。
【0054】
ここで、線量計68は放射線を検出し、被ばく線量データを出力する測定器である。また、表示器70及び入力器72は、それらが一体化されてタッチセンサパネルを構成している。バッテリ80はメインユニット50内に含まれる各構成に電力を供給するものである。また、メイン制御部66には、送受信部74及び送受信部76が接続され、それらの送受信部74,76を介して端末ユニット52及び生体計測ユニット54との間における通信が行える。ここで、それらのユニット間における通信には電波、赤外線などを利用できる。もちろんケーブルによって各ユニット間を接続するようにしてもよい。
【0055】
端末ユニット52においては、送受信部82によって、上記の送受信部74との間におけるワイヤレス通信がなされる。送受信部82には、端末制御部84が接続されている。この端末制御部84は、端末ユニット52の動作制御を行うユニットである。端末制御部84には、表示器86及び入力器88が接続され、それらはタッチセンサパネルを構成している。バッテリ90は端末ユニット52内における各構成に電力を供給する電源として機能する。
【0056】
この端末ユニット52は、いわゆる携帯情報端末(PDA)として機能するものであり、本実施形態においては、メインユニット50とは別体に構成されており、その表示器86には図1に示した中央監視装置12から送信される各種の表示データが表示され、特にマッピングイメージが表示される。
【0057】
生体計測ユニット54において、伝送制御部98には血圧センサ92、脈拍センサ94及び体温センサ96が接続されている。それらのセンサ92,94,96はそれぞれ生体情報として血圧、脈拍、体温を測定するためのものである。それらの計測されたセンサ情報は伝送制御部98に送られ、その伝送制御部98を介してメインユニット50へ送信される。具体的には、生体計測ユニット54内には、送受信部100が設けられ、その送受信部100と上記の送受信部76との間でワイヤレス通信がなされる。バッテリ102は生体計測ユニット54内における各構成に電力を供給する電源として機能する。もちろん、上記のセンサ以外のセンサを設けるようにしてもよい。
【0058】
ヘッドユニット56は、本実施形態において作業者の頭部に装着されたユニットである。CCDカメラ106は作業現場を撮像するための装置であり、そこから出力される画像データはメインユニット50へ出力されている。スピーカ108及びマイク110は通話を行うための設備である。
【0059】
メインユニット50内のメイン制御部66は、以上のような各種のデータを受け取り、それを中央監視装置12に向けて送信する制御を実行する。また、中央監視装置12から送信されてきたデータがメイン制御部66によって受け取られると、必要に応じて、そのメイン制御部66で所定の処理を経た後に、受信されたデータが例えば端末ユニット52へ転送される。ちなみに、メイン制御部66はCPU及び制御プログラムなどによって構成されるマイコンであってもよい。
【0060】
次に、図3乃至図8を用いて携帯装置10の構成例について説明する。
【0061】
図3及び図4には、携帯装置10の第1構成例が示されている。図3において、作業者の頭部にはヘッドユニット56が設けられている。また、作業者の胸部にはメインユニット50が装着されており、具体的には作業者の衣服のポケット内にメインユニット50が差し込まれている。その場合において、少なくともアンテナ及び放射線センサについてはポケット外に位置しているのが望ましい。
【0062】
符号52Aは端末ユニットの第1例を示している。この端末ユニット52Aは、図4に示されるように、作業者の腰ベルト112に着脱自在に装着されるものである。具体的に説明すると、端末ユニット52Aは、本体パネル114とベースカバー116とを有し、それらはヒンジ部118を介して連結されている。すなわち、ベースカバー116に対して本体パネル114が開閉自在に構成されており、ベースカバー116に対して本体パネル114を閉じた状態においては、本体パネル114の表示画面が物理的な衝撃から保護される。一方、本体パネル114の表示画面を観察する場合には、ベースカバー116に対して本体パネル114が開かれる。ちなみに、べースカバー116にはクリップ120が設けられ、そのクリップを利用して、端末ユニット52Aが腰ベルト112に着脱自在に装着される。
【0063】
図5及び図6には、携帯装置10の第2構成例が示されている。図5においてヘッドユニット56は作業者の頭部に設けられ、メインユニット50は作業者の胸部に設けられている。一方、符号52Bは、端末ユニットの第2例を示しており、この端末ユニット52Bは、図6に示されるように、作業者の腕、特に手首付近に着脱自在に装着される。図6において、端末ユニット52Bは本体122、表示パネル124及びリストベルト120によって構成される。本体122と表示パネル124はヒンジ部126によって連結されており、本体122に対して表示パネル124は開閉自在である。すなわち、表示パネル124を開いた状態においては、そこに設けられた表示画面を観察することができ、一方、表示パネル124を閉じた状態では、表示画面が物理的な衝撃から保護される。
【0064】
図7及び図8には端末装置10の第3構成例が示されている。図7において、作業者の頭部にはヘッドユニット56が設けられ、作業者の胸部にはメインユニット50が設けられている。ここで、符号52Cは、端末ユニットの第3例を示しており、図8に示すように、端末ユニット52Cはヘッドマウントタイプを構成している。ちなみに、図8において、図7に示したヘッドユニット56については図示省略されている。
【0065】
図8において、ヘルメット128には、本体130が着脱自在に設けられ、その本体130にはヒンジ部134を介して表示パネル132が取付けられている。この表示パネル132は作業者の一方の目を覆う位置に設けられ、ヒンジ部134を回転軸として開閉自在である。すなわち、表示パネル132を作業者の片目前方に位置決めした状態では、表示パネル132の表示画面に表示される画像を間近で観察することができ、一方、そのような観察が不要な場合には、表示パネル132を目から遠ざけて開くことによって、作業中における十分な視野を確保できる。
【0066】
図3乃至図8に示した各種のタイプはいずれも例示であって、これ以外にも各種の携帯装置10を構成することができる。いずれにしても、少なくともメインユニット50と端末ユニット52とが別体に構成されるのが望ましく、すなわち作業中においても表示画面を見やすいように端末ユニット52の配置に工夫を施すのが望ましい。これによって、作業しながら情報を視覚的に入手することができるという利点がある。メインユニット50は作業者の胸部に装着されるため、法令で定められた適切な位置において線量計測を行うことができ、またアンテナを比較的高い位置に常に位置決めできるという利点がある。また、ヘッドユニット56が設けられ、通話に際して、両手を解放することができるので、その意味においても作業性を向上できるという利点がある。加えて、本実施形態においては、ヘッドユニット56にCCDカメラが搭載されているため、作業者が作業現場において簡便に撮像を行うことができ、そのような撮像された画像データを速やかに中央監視装置へ送信することも可能である。
【0067】
図9には、図2に示した生体計測ユニット54の一例が示されている。符号140は作業者の腕の断面を表しており、具体的には手首付近に生体計測ユニット54が設けられる。この生体計測ユニット54は本体144及びリストバンド142を有し、リストバンド142を手首に巻き付けることによってその弾性力をもって本体144を腕に装着させることができる。本体144の生体側、具体的には生体表面に接触する箇所には複数のセンサが設けられている。すなわち血圧センサ92、脈拍センサ94及び体温センサ96が設けられている。ここで、血圧センサ92及び脈拍センサ94は、単一の素子によって構成されており、その素子によって血圧及び脈拍の両者が計測されている。それ自体は周知の構成である。本体144内には電子回路基板146が設けられている。なお符号148はアンテナを示している。ちなみに、例えば図5に示したようなタイプの端末ユニットが設けられる場合には、一方の腕に端末ユニット52Bを設け、他方の腕に生体計測ユニット54を設けるのが望ましい。
【0068】
次に、図10を用いて図1に示した監視制御部30が有する各種の機能について説明する。
【0069】
図10には、監視制御部30の各機能がブロックとして表されている。
【0070】
位置特定モジュール150は、受信データに付加されてくる基地局ID及び受信強度の情報に基づいて、当該データを発信した携帯装置10の位置、すなわち、放射線取扱施設内における作業者の位置を特定するモジュールである。例えば、一つの基地局のみによって電波の受信がなされた場合には、その基地局20の交信エリアが作業者の位置として特定され、複数の基地局によって電波の受信がなされた場合には、それらの受信強度を互いに比較することによって携帯装置10の位置を精度良く特定することができる。特定された位置データは図1に示した記憶装置40上に格納される。
【0071】
被ばく管理テーブル作成モジュール152は、後に図11を用いて説明する被ばく管理テーブルを作成するものである。また、被ばく線量グラフ作成モジュール154は、後に図19を用いて説明する被ばく線量グラフを作成するモジュールである。さらに、第1マッピングイメージ作成モジュール156は、後に図12を用いて説明する第1マッピングイメージを作成するものである。
【0072】
被ばく経過テーブル作成モジュール158は、後に図13を用いて説明する被ばく経過テーブルを作成するものであり、第2マッピングイメージ作成モジュール160は後に図14を用いて説明する第2マッピングイメージを作成するものである。健康管理テーブル作成モジュール162は、後に図15を用いて説明する健康管理テーブルを作成するものであり、健康グラフ作成モジュール164は後に図22を用いて説明する健康グラフを作成するものである。第3マッピングイメージ作成モジュール166は後に図16を用いて説明する第3マッピングイメージを作成するモジュールである。
【0073】
通話管理モジュール168は監視制御部30と携帯装置10との間で通話を行う場合にその通話制御を行うモジュールである。電子メール制御モジュール170は、監視制御部30から携帯装置10へ電子メールを送信したり、携帯装置10から電子メールを受信したりする場合にその送受信制御を実行するサーバーである。ちなみに、電子メールに対して、作業指示が記述されたドキュメントファイルや画像データファイルなどを添付して携帯装置10側へ送信することもできる。
【0074】
データ管理モジュール172は、図1に示した記憶装置40上における各種のデータ管理を実行するモジュールであり、アラーム判定モジュール174は、各作業員についての個人被ばくについてアラーム判定を行うモジュールである。体調判定モジュール178は、上述した複数の生体情報に基づいて、各作業員ごとに健康状態(精神状態)を判別するモジュールである。もちろん、図10に示される各モジュールは代表的な機能を象徴するものであり、これ以外にも各種の機能が具備されているが、図10においてはそれらが図示省略されている。
【0075】
図11には、図10に示した被ばく管理テーブル作成モジュール152によって作成される被ばく管理テーブル181が示されている。この被ばく管理テーブル181は、各作業員ごとに被ばく線量や状況を管理するためのテーブルであり、図1に示した中央監視装置12における表示器34に表示されるものである。
【0076】
ここで、符号182は作業者IDを示しており、これは携帯装置IDにも相当する。符号184は各作業者の被ばく線量を示しており、具体的には積算線量を示している。
【0077】
符号186で示される状況には、この例において、作業者が存在するフロアの番号、被ばくの度合い(高/中/低)、アラーム発生の有無などの情報が記述される。なお、符号188はカーソルを示しており、いずれかの作業者を選択することによって、より詳細な情報を得ることもできる。
【0078】
各作業者IDの色表示182Aは、各作業者の被ばく量に応じて可変設定される。具体的には、たとえば、第1色から第2色までの複数段階の表示色が被ばく量に対応づけられ、作業者ごとに被ばく量に応じた色表示182Aが選択される。この場合において、青、シアン、緑、黄、オレンジ、赤といった一連の色相変化を利用するようにしてもよい。
【0079】
図12には、図10に示した第1マッピングイメージ作成モジュール156によって作成される第1マッピングイメージ189が示されている。この第1マッピングイメージ189は、図1に示した中央監視装置12の表示器34に表示され、また、携帯装置からリクエストがあった場合に、そのリクエストを発行した携帯装置10に対して提供されるものである。
【0080】
ちなみに、この第1マッピングイメージ189は放射線取扱施設内における各フロアごとに作成される。この第1マッピングイメージ189の背景イメージは、図1に示した記憶装置40内に格納された見取図イメージ42である。この見取図イメージはフロアの構造を模式的に示したものである。その見取図イメージ42上には、各作業者ごとに作業者シンボル190が合成表示される。作業者シンボル190は、特定の形態をもったシンボルであり、その作業者シンボル190には作業者ID192が付記される。作業者シンボル190には、作業者の被ばく量に応じた着色が施され、すなわち、符号190Aで示されるように、被ばく量に応じた色表示がなされる。ここで、その色表示は符号200によって示されるカラーバーの内容に基づいてなされ、すなわち例えば青から赤までの各色相が被ばく量に対応付けられている。
【0081】
ここで、見取図イメージ42上における各作業者の位置は、上述したように位置特定モジュール150によって特定されたものである。すなわち、本実施形態においては各作業者についてその位置を常にモニタリング可能であるため、見取図イメージ42上において各作業者の存在場所を表現することができ、しかも各作業者ごとに線量情報が取得されているため、それらの情報を見取図イメージ42上に反映させることができる。符号194はエリアモニタを表すシンボルを示しており、そのシンボル194にはエリアモニタID196が付記される。エリアモニタのシンボル194には着色が施され、すなわちその表示色194Aは当該エリアモニタによって計測された空間線量率を示している。この場合においては、カラーバー200に従って、空間線量率と色相とが対応づけられる。
【0082】
以上のように、見取図イメージ42上に複数のシンボルを合成することにより第1マッピングイメージ189が構成される。ちなみに、いずれかの携帯装置10に対して第1マッピングイメージ189を提供する場合には、その携帯装置10を携帯している作業者本人を識別するために、本人に相当するシンボルに対して特定の表示処理がなされ、図12に示す例では、本人のシンボルに対して本人マーカー198が付加されている。このような本人マーカー198によって現在自分が放射線取扱施設内のどの箇所に存在し、また周囲の作業者がどの場所で作業を行っており、しかも本人及び他の作業者の被ばくの程度がどのくらいなのかを直感的に理解することができる。さらに、エリアモニタのシンボル194の表示色から、各エリアごとの空間線量率についても直感的に認識することができ、被ばく管理をより効果的、効率的に行えるという利点がある。さらに、緊急事態などが発生した場合に、各作業者は第1マッピングイメージ上において、現在、放射線取扱施設内がどのような状況にあるのかを一目瞭然に把握することができるので、退避管理、安全管理を向上できるという利点がある。なお、中央監視装置12においては、たとえば、各フロアごとの第1マッピングイメージ189と図11に示した被ばく管理テーブル181とを同一画面上に表示させるようにしてもよい。
【0083】
次に、図13には、図10に示した被ばく経過テーブル作成モジュール158によって作成される被ばく経過テーブル202が示されている。この被ばく経過テーブル202は各作業者ごとに作成されるものであり、図13においては、選択された作業者についてのものが示されている。この被ばく経過テーブル202は本実施形態において中央監視装置12に設けられた表示器34上に表示される。
【0084】
符号204は、作業者が移動した経路上の各位置の識別子を表している。符号206は各位置における被ばく量を表しており、各期間ごとの積算線量に相当する。符号208で示される状況は、作業者が存在していたフロア、作業者の被ばく程度、などが記述されたものである。符号210で示す時刻は、個々の位置に当該作業者が着いた時間を示しているので、個々の位置に作業者がいた時間も容易に分かる。この被ばく経過テーブル202においても、図11に示した被ばく管理テーブル181と同様に、各位置204の升目が着色されており、すなわちその表示色204Aが個々の位置における作業者の被ばくの程度を表している。
【0085】
図14には、図10に示した第2マッピングイメージ作成モジュール160によって作成される第2マッピングイメージ212が示されている。この第2マッピングイメージ212は、図1に示した中央監視装置12の表示器34上に表示され、また、リクエストに応じて、携帯装置10に対して提供されるものである。図14に示す例では、ある一人の作業者についての第2マッピングイメージ212が示されているが、もちろん複数の作業者についての被ばく経過を合成した第2マッピングイメージを構成することもできる。
【0086】
図14において、フロアの見取図イメージ42上には、複数の位置シンボル214が表されており、各位置シンボル214は、作業者の各時刻における位置を表している。ここで、符号216は、位置シンボル214に隣接して付された位置番号を示している。位置シンボル214には着色が施され、すなわちその表示色214Aは各位置における作業者の被ばく程度を表している。この場合において、その表示色と被ばく量との対応関係はカラーバー200によって表されており、すなわち例えば青から赤に至るまでの複数の色相がそれぞれ各段階の被ばく量に対応付けられている。
【0087】
符号218は、ある位置からある位置への作業者の移動を表す移動ベクトルである。また、符号198は現在位置を表すマーカーである。
【0088】
以上のように、このような第2マッピングイメージによれば、選択された作業者について、その者が今までどのような経路を移動してきたかを一目瞭然に把握することができ、しかも各位置における被ばくの程度を直感的に理解できるので、様々な被ばく管理を行うことが可能となる。もちろん、複数のフロアにまたがって作業者が移動した場合には、各フロアごとに第2マッピングイメージが作成され、それぞれの第2マッピングイメージ上に、図14と同様の軌跡が描かれることになる。
【0089】
なお、いずれかの携帯装置10から第2マッピングイメージ212の取得要求があった場合には、その携帯装置10を所持している作業者が特定され、当該作業者についての第2マッピングイメージ212が作成され、それが取得要求を発行した携帯装置10へ配信される。
【0090】
次に、図15には、図10に示した健康管理テーブル作成モジュール162によって作成される健康管理テーブル220が示されている。符号222は、作業者IDを示しており、各IDに対しては、着色が施され、その場合に表示色222Aの色相は被ばく程度を表している。符号224は被ばく線量を表しており、符号226は体温を表している。また、符号228は1分間の心拍数を表しており、符号230は血圧を表している。この場合において血圧は最高血圧であるが、もちろん最高血圧と最低血圧の両者を表示するようにしてもよい。符号232は、図10に示した体調判定モジュール178によって判定された各作業者ごとの健康状態を表している。図15に示す例では、3種類のシンボルが使い分けられており、すなわち良好状態を示すシンボルと、作業を中断して退避すべき状態を示すシンボルと、援助が必要となっている状態を示すシンボルとが定められている。これについては図16において符号236によって示されている。
【0091】
図10に示した体調判定モジュール178は、被ばく線量、体温、心拍数、血圧などの情報を総合勘案し、各作業者の健康状態を総合的に診断する。この場合において、上述のように複数の生体情報及び線量情報が参照されているため、よりその判断精度を高めることができ、特に、作業者が強いストレスを感じていたり、パニック状態に陥っていたりするなどの状況を的確に判断できるという利点がある。
【0092】
図15に示される健康管理テーブル220は、図1に示した中央監視装置12における表示器34に表示され、この場合においては、その健康管理テーブル220と共に各フロアごとの第3マッピングテーブルも合わせて表示される。これについて以下に説明する。
【0093】
図16には図10に示した第3マッピングテーブル作成モジュール166によって作成された第3マッピングイメージ234が示されている。この第3マッピングイメージ234は、フロアの見取図イメージ42上に各作業者ごとに作業者シンボル237を表したものである。作業者シンボル237は作業者の位置を表すと共に、その形態によって当該作業者の健康状態を表示している。作業者シンボル237の形態としては、符号236に示されるように3段階に対応したものが用意されている。よって、シンボルの形態を参照することによって、各作業者が現在どのような健康状態にあるのかを直感的に理解することができ、必要に応じて他の作業者のケアを行うことができる。
【0094】
ちなみに、第3マッピングイメージ234は、図1に示した中央監視装置12の表示器34上に表示されると共に、携帯装置からの取得要求に応じて作成され、当該携帯装置10へ配信される。
【0095】
次に、図17乃至図27を用いて、図1に示した携帯装置10が有する各種の機能について説明する。ちなみに、図17乃至図27は図2の端末ユニット52に表示される表示画面の内容を表している。
【0096】
図17には表示画面にメインメニュー240が表示された状態が示されている。表示画面の上部にはヘッダー情報238が表示され、そのヘッダー情報238は、被ばく線量、生体情報、健康状態などを表す情報によって構成されている。
これらのヘッダー情報は本人のものである。
【0097】
メインメニュー240は、この例において、4つのアイテムによって構成されており、具体的には、「放射線管理情報」、「健康管理情報」、「通話情報」、「受信情報」によって構成される。以下に、それぞれのアイテムを選択した場合の動作について説明する。
【0098】
まず、図17の符号242に示されるように、「放射線管理情報」を選択すると、図18に示すサブメニュー244が表示される。ここで、サブメニュー244は、「本人グラフ」、「第1マッピングイメージ」、「第2マッピングイメージ」の3つのアイテムによって構成される。符号246で示されるように、「本人グラフ」を選択すると、図19に示されるような被ばく線量グラフ248が表示される。ここで、被ばく線量グラフ248は本人のものであり、線量率グラフ248A及び積算線量グラフ248Bによって構成される。これらのグラフは図10に示した被ばく線量グラフ作成モジュール154によって作成されたものである。
【0099】
図示の例では、本人の被ばく線量グラフ248のみが示されているが、もちろん他の作業者について被ばく線量グラフが表示されるようにしてもよい。
【0100】
図18において、サブメニュー244上において「第1マッピングイメージ」を選択すると、図12で示したような第1マッピングイメージ189が表示される。具体的には、携帯装置10から中央監視装置12へ第1マッピングイメージの作成要求が発行され、一方、中央監視装置12から提供された第1マッピングイメージが当該携帯装置10によって受信され、その受信された第1マッピングイメージが当該携帯装置上において表示される。
【0101】
上記と同様に、図18に示すサブメニュー244において「第2マッピングイメージ」を選択すると、その本人について図14で示したような第2マッピングイメージが中央監視装置12において作成され、その作成された第2マッピングイメージが当該携帯装置上において表示される。
【0102】
次に、図17において、メインメニュー上で「健康管理情報」が選択されると、図20に示されるようなサブメニュー250が表示される。
【0103】
図20において、サブメニュー250は「グラフ」及び「第3マッピングイメージ」を含む。ここで、符号252で示すように「グラフ」を選択すると、図21に示すようなアイコン群254が表示される。アイコン群254は複数のアイコン256からなり、それらのアイコン256は、本人を特定するアイコンと他の作業者を特定する複数のアイコンとで構成される。
【0104】
ここで、本人のアイコンを選択すると、図22に示されるように、本人について生体情報グラフ258が表示される。その生体情報グラフ258は図10に示した健康グラフ作成モジュール164によって作成されるものである。生体情報グラフ258は、この例において、体温グラフ258A、脈拍グラフ258B及び血圧グラフ258Cによって構成されている。もちろん、図21において、他の作業者のアイコンを選択した場合には、当該選択された作業者について上記同様に生体情報グラフを表示させることができる。ちなみに、プライバシーなどが問題となる場合には、他人の情報を見得る権限を管理するようにすればよい。一方、図20において、サブメニュー250上から「第3マッピングイメージ」を選択すると、図16に示したような第3マッピングイメージが表示される。
【0105】
次に、図17において、メインメニュー240上から「通話情報」を選択すると、図23に示されるようなアイコン群259が表示される。このアイコン群259は複数のアイコン260によって構成され、それらのアイコン260は本人を特定するアイコンと他の作業者を特定する複数のアイコンとからなるものである。ここで、各アイコンの表示形態を確認することにより、個々の作業者において通話が可能であるか否かなどの情報を入手することができる。また、このような表示形態を利用して、他の作業者が通話中であるか否かの確認を行うようにしてもよい。
【0106】
図17において、メインメニュー240上から「受信情報」を選択すると、図24に示されるようなメールリスト262が表示される。メールリスト262を構成する各アイテムは各受信メールに対応しており、メールリスト262上には、各受信メールの日付や時刻などが記述されている。もちろん、メールのヘッダー情報などを表示させるようにしてもよい。メールリスト262上から、符号264で示されるように、特定のメールを選択すると、そこに記述あるいは添付されたファイルの内容を表示させることができ、具体的には、例えば図25に示されるように、作業指示266を表示することができる。この作業指示266は図1に示した中央監視装置12から特定の作業者に向けて出されたドキュメントに相当するものである。また、図26に示されるように、メールリスト262上において、符号268で示すように、いずれかのメールを選択すると、図27の符号270に示されるように、電子メールに添付された画像ファイルの内容を表示させることもできる。この場合において、その画像は他の作業者によって撮像された他の作業現場の撮像画像などである。
【0107】
もちろん、以上においてはメールの受信について説明したが、携帯装置10から中央監視装置12へ電子メールを送信したりあるいは他の作業者に対して電子メールを送信したりすることもできる。
【0108】
以上説明したように、本実施形態に係る被ばく管理システムにおいては、複数の携帯装置から収集された各種のデータを中央監視装置12において一括管理し、それらのデータに基づいて作成されたイメージなどを各携帯装置10へ配信することができ、特に、上述したいくつかのマッピングイメージとして情報の提供を行えるため、各作業者は自己が存在している位置との関係から周囲の状況を即座に把握することができるという利点がある。また、被ばく管理に伴って健康管理も行えるため、作業の健全性、安全性を向上できるという利点がある。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、作業者に対して被ばく管理のための情報を提供することができ、特に作業者に対して放射線取扱施設内の状況を即座に理解可能な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る被ばく管理システムの好適な実施形態を示す概念図である。
【図2】 図1に示す携帯装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】 携帯装置の第1構成例を示す図である。
【図4】 図3に示す端末ユニットの斜視図である。
【図5】 図1に示した携帯装置の第2構成例を示す図である。
【図6】 図5に示した端末ユニットの斜視図である。
【図7】 図1に示した携帯装置の第3構成例を示す図である。
【図8】 図7に示した端末ユニットの斜視図である。
【図9】 生体計測ユニットの一例を示す図である。
【図10】 監視制御部が有する機能を表す機能ブロック図である。
【図11】 被ばく管理テーブルを示す図である。
【図12】 第1マッピングイメージを示す図である。
【図13】 被ばく管理テーブルを示す図である。
【図14】 第2マッピングイメージを示す図である。
【図15】 健康管理テーブルを示す図である。
【図16】 第3マッピングイメージを示す図である。
【図17】 メインメニューを示す図である。
【図18】 サブメニューを示す図である。
【図19】 被ばく線量グラフを示す図である。
【図20】 サブメニューを示す図である。
【図21】 アイコン群の表示を示す図である。
【図22】 生体情報グラフを示す図である。
【図23】 アイコン群を示す図である。
【図24】 メールリストを示す図である。
【図25】 作業指示の表示を示す図である。
【図26】 メールリストを示す図である。
【図27】 画像表示を示す図である。
【符号の説明】
10 携帯装置、12 中央監視装置、14 通信設備、17 エリアモニタ、20 基地局、28 通信制御部、30 監視制御部、40 記憶装置。
Claims (17)
- 放射線取扱施設内において作業者に携帯される携帯装置と、
前記作業者の被ばくを管理する中央監視装置と、
を含む被ばく管理システムであって、
前記携帯装置は、
放射線を検出して被ばく線量データを出力する線量計と、
前記作業者から生体情報を検出してその生体情報を出力する生体情報検出器と、
前記被ばく線量データ及び前記生体情報を前記中央監視装置へ送信する送信器と、
前記中央監視装置から提供される表示データを受信する受信器と、
前記受信された表示データを表示する表示器と、
を備え、
前記中央監視装置は、
前記放射線取扱施設内における前記携帯装置の位置を判別し、その位置を表す位置データを出力する位置判別部と、
前記位置データ、前記被ばく線量データ及び前記生体情報が格納されるデータ記憶部と、
前記データ記憶部に格納された前記位置データ及び前記被ばく線量データに基づいて、前記放射線取扱施設の見取図上に前記作業者の位置及び被ばく線量を表してなる第1マッピングイメージを作成し、その第1マッピングイメージを前記表示データとして前記携帯装置へ提供する第1マッピングイメージ作成部と、
前記データ記憶部に格納された前記位置データ及び前記生体情報に基づいて、前記放射線取扱施設の見取図上に前記作業者の位置及び健康状態を表してなる第3マッピングイメージを作成し、その第3マッピングイメージを前記表示データとして前記携帯装置へ提供する第3マッピングイメージ作成部と、
を備えたことを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項1記載のシステムにおいて、
前記第1マッピングイメージには前記作業者の位置を表す作業者シンボルが含まれ、
前記作業者シンボルの表示態様が前記被ばく線量データに応じて変化することを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項2記載のシステムにおいて、
前記放射線取扱施設内に設けられ、放射線を検出して空間線量データを出力するエリアモニタを含み、
前記第1マッピングイメージには、更に前記エリアモニタの位置を表すエリアモニタシンボルが含まれ、
前記エリアモニタシンボルの表示態様が前記空間線量データに応じて変化することを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項3記載のシステムにおいて、
前記作業者シンボルの表示色が前記被ばく線量データに応じて変化し、
前記エリアモニタシンボルの表示色が前記空間線量データに応じて変化することを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項1記載のシステムにおいて、
前記放射線取扱施設は複数のエリアに区分され、
前記第1マッピングイメージは各エリアごとに生成されることを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項5記載のシステムにおいて、
前記携帯装置にはそれが属するエリアに対応した第1マッピングイメージが提供されることを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項1記載のシステムにおいて、
前記データ記憶部に格納された前記被ばく線量データに基づいて、被ばく線量の時間変化を表す被ばく線量グラフを作成する線量グラフ作成部を備え、
前記被ばく線量グラフが前記表示データとして前記携帯装置へ提供されることを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項1記載のシステムにおいて、
前記中央監視装置は、前記作業者に対して作業のための情報を提供する情報提供部を含み、
前記作業のための情報が前記表示データとして前記携帯装置へ提供されることを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項1記載のシステムにおいて、
前記携帯装置は、
前記作業者の胸部に装着され、前記線量計を有する第1ユニットと、
前記作業者の所定箇所に装着され、前記第1ユニットとは別体に構成され、前記表示器を有する第2ユニットと、
で構成されたことを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項9記載のシステムにおいて、
前記所定箇所は前記作業者の腰ベルトであることを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項9記載のシステムにおいて、
前記所定箇所は前記作業者の手首であることを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項9記載のシステムにおいて、
前記所定箇所は前記作業者の頭部であることを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項1記載のシステムにおいて、
前記携帯装置は、
音声通話を行うための音声通話ユニットと、
作業現場を撮像して撮像データを出力する撮像素子と、
を含み、
作業者は、前記音声通話ユニットによって他の装置との間で音声通話を行うことが可能であり、前記撮像データを他の装置へ送信することが可能であることを特徴とする被ばく管理システム。 - 放射線取扱施設内において作業者に携帯される携帯装置と、
前記作業者の被ばくを管理する中央監視装置と、
を含む被ばく管理システムであって、
前記携帯装置は、
放射線を検出して被ばく線量データを出力する線量計と、
前記作業者から生体情報を検出してその生体情報を出力する生体情報検出器と、
前記被ばく線量データ及び前記生体情報を前記中央監視装置へ送信する送信器と、
前記中央監視装置から提供される表示データを受信する受信器と、
前記受信された表示データを表示する表示器と、
を備え、
前記中央監視装置は、
前記放射線取扱施設内における前記携帯装置の位置を判別し、その位置を表す位置データを出力する位置判別部と、
前記位置データ、前記被ばく線量データ及び前記生体情報が格納されるデータ記憶部と、
前記データ記憶部に格納された前記位置データ及び前記被ばく線量データに基づいて、
前記放射線取扱施設の見取図上に前記作業者の移動軌跡及びその移動軌跡上の各位置における被ばく線量を表してなる第2マッピングイメージを作成し、その第2マッピングイメージを前記表示データとして前記携帯装置へ提供する第2マッピングイメージ作成部と、
前記データ記憶部に格納された前記位置データ及び前記生体情報に基づいて、前記放射線取扱施設の見取図上に前記作業者の位置及び健康状態を表してなる第3マッピングイメージを作成し、その第3マッピングイメージを前記表示データとして前記携帯装置へ提供する第3マッピングイメージ作成部と、
を備えたことを特徴とする被ばく管理システム。 - 放射線取扱施設内において作業者に携帯される携帯装置と、
前記作業者の被ばくを管理する中央監視装置と、
を含む被ばく管理システムであって、
前記携帯装置は、
前記作業者から生体情報を検出してその生体情報を出力する生体情報検出器と、
前記生体情報を前記中央監視装置へ送信する送信器と、
前記中央監視装置から提供される表示データを受信する受信器と、
前記受信された表示データを表示する表示器と、
を備え、
前記中央監視装置は、
前記放射線取扱施設内における前記携帯装置の位置を判別し、その位置を表す位置データを出力する位置判別部と、
前記位置データ及び前記生体情報が格納されるデータ記憶部と、
前記データ記憶部に格納された前記位置データ及び前記生体情報に基づいて、前記放射線取扱施設の見取図上に前記作業者の位置及び健康状態を表してなる第3マッピングイメージを作成し、その第3マッピングイメージを前記表示データとして前記携帯装置へ提供する第3マッピングイメージ作成部と、
を備えたことを特徴とする被ばく管理システム。 - 請求項15記載のシステムにおいて、
前記第3マッピングイメージには、前記作業者の位置を表す作業者シンボルが含まれ、
前記作業者シンボルの表示態様が前記作業者の健康状態に応じて変化することを特徴とする被ばく管理システム。 - 放射線取扱施設内における複数の作業者に携帯される複数の携帯装置と、
前記複数の作業者の被ばくを管理する中央監視装置と、
前記複数の携帯装置と前記中央監視装置との間に設けられた通信設備と、
を含む被ばく管理システムであって、
前記通信設備は、
前記複数の携帯装置との間で無線通信を行うために、前記放射線取扱施設内に分散的に設置された複数の基地局と、
前記複数の基地局に接続され、且つ、前記中央監視装置に接続された中継装置と、
を備え、
前記各携帯装置は、
作業者から生体情報を検出し、その生体情報を計測データを出力する計測器と、
前記計測データを前記通信設備を介して前記中央監視装置へ送信する送信器と、
前記中央監視装置から前記通信設備を介して提供された表示データを受信する受信器と、
前記受信された表示データを表示する表示器と、
を備え、
前記中央監視装置は、
前記放射線取扱施設内における前記各携帯装置の位置を判別し、その位置を表す位置データを出力する位置判別部と、
前記各作業者ごとの前記位置データ及び前記計測データが格納されるデータ記憶部と、
前記データ記憶部に格納された各作業者ごとの前記位置データ及び前記計測データに基づいて、前記放射線取扱施設の見取図上に前記各作業者の位置及び健康状態を表してなるマッピングイメージを作成し、そのマッピングイメージを前記表示データとして前記各携帯装置へ提供するマッピングイメージ作成部と、
を備えたことを特徴とする被ばく管理システム。
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