JP4637404B2 - 電磁ソレノイド式アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁ソレノイド式アクチュエータ、更に詳しくは複数の作動位置に位置付けることができる電磁ソレノイド式アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁ソレノイド式アクチュエータは、一般に筒状のケースと、該ケース内に配設された電磁コイルと、該電磁コイル内に配設された固定鉄心と、該固定鉄心に対して接離可能に配設された可動鉄心と、該可動鉄心に装着された作動ロッドとからなっている。このような電磁ソレノイド式アクチュエータにおいてはその構造上、作動ロッドは非通電時の作動位置と電磁コイルに通電したときの作動位置との2つの作動位置に位置付けることができるにすぎない。
【0003】
3位置以上の作動位置に位置付けることができる電磁ソレノイドが実開昭58−193607号公報に開示されている。この公報に開示された電磁ソレノイドは、複数個の電磁コイルと、複数個の固定鉄心および可動鉄心とを具備し、数個の電磁コイルに選択的に通電することにより、可動鉄心に装着された作動ロッドを複数位置に位置付ける。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
而して、実開昭58−193607号公報に開示された電磁ソレノイドは、複数個の電磁コイルと、複数個の固定鉄心および可動鉄心とから構成されるので、部品点数が多く大型化するとともに高価となる。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術的課題は、電磁コイルと固定鉄心および可動鉄心を複数個用いることなく、複数の作動位置に位置付けることができ、コンパクトで且つ安価な電磁ソレノイド式アクチュエータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決するために、
「筒状のケースと、該ケース内に配設された電磁コイルと、該電磁コイル内に配設された固定鉄心と、該固定鉄心に対して接離可能に配設された可動鉄心と、該可動鉄心に装着された作動ロッドとを具備する電磁ソレノイド式アクチュエータにおいて、
該電磁コイルに供給する電力量を変化させて該作動ロッドに発生する推力に応じて該作動ロッドを3個以上の作動位置に規制する位置規制機構を具備しており、さらに、
該位置規制機構は、該ケースに接続された筒状の第2のケースと、該第2のケース内に配置され該作動ロッドとともに移動する第2のロッドと、該第2のロッドに摺動可能に配設された少なくとも1個の移動リングと、該第2のロッドと該移動リングとの間に配設された第1のばね部材と、該移動リングと該第2のケースとの間に配設された第2のばね部材とを具備し、該第1のばね部材と該第2のばね部材のばね力が異なるように設定されていることを特徴とする電磁ソレノイド式アクチュエータ」
が提供される。
【0007】
上記位置規制機構においては、第2のロッドに複数の移動リングを摺動可能に配設し、それぞれの移動リングの間に、ばね力の異なるばね部材を配設することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された電磁ソレノイド式アクチュエータの好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0009】
図1には、本発明に従って構成された電磁ソレノイド式アクチュエータの一実施形態を示す断面図が示されている。
図示の実施形態における電磁ソレノイド式アクチュエータは、電磁ソレノイド2と位置規制機構3とからなっている。電磁ソレノイド2は、筒状のケース21と、該ケース21内に配設された電磁コイル22と、該電磁コイル22内に配設された固定鉄心23と、該固定鉄心23の一端面(図1において左端面)と対向して同軸上に配設された可動鉄心24と、該可動鉄心24に装着された作動ロッド25と、上記筒状のケース21の一端(図1において左端)に取り付けられたカバー26を具備している。
【0010】
上記筒状のケース21は、一端(図1において左端)には中央部に穴212を有する端壁211を備えており、他端(図1において右端)が開放されている。上記電磁コイル22は、合成樹脂等の非磁性材からなる環状のボビン27に捲回されケース21の内周に沿って配設されている。上記固定鉄心23は、磁性材によって形成され、他端(図1において右端)にはフランジ部231が設けられており、このフランジ部231を介してケース21の他端側(図1において右端側)に装着されている。上記可動鉄心24は、磁性材によって形成され、固定鉄心23に対して軸方向に接離可能に構成されている。上記作動ロッド25は、ステンレス鋼等の非磁性材によって形成され、その一端部(図1において左端部)に小径部251が設けられている。このように構成された作動ロッド25は、小径部251を上記可動鉄心24の中央部に形成された穴241に挿通し、一端をカシメることにより可動鉄心24に装着する。なお、作動ロッド25の他端部は、上記固定鉄心23の中央部に形成された穴232を貫通して軸方向に摺動可能に配置される。上記カバー26は、ビス28によってケース21の一端に装着され、ケース21の一端および可動鉄心24の一端部を覆う。
【0011】
次に、位置規制機構3について説明する。
位置規制機構3は、上記電磁ソレノイド2を構成するケース21の他端(図1において右端)に一端が接続された筒状のケース31、すなわち第2のケースを具備しており、このケース31内に上記電磁ソレノイド2を構成する作動ロッド25と同一軸上に第2のロッド32が軸方向に摺動可能に配設されている。この第2のロッド32は、一端面(図1において左端面)が上記作動ロッド25の他端面と当接し、他端部(図1において右端部)が第2のケース31の図1において右端に設けられた端壁311に形成された穴312を挿通して軸方向に摺動可能に配設されている。図示の実施形態における位置規制機構3は、第2のロッド32上に摺動可能に配設された第1の移動リング33と第2の移動リング34と第3の移動リング35を具備している。第1の移動リング33は、第2のロッド32の左端部に装着されたスナップリング40によって図1において左方への移動が規制されている。第1の移動リング33と第2の移動リング34との間には第1の圧縮コイルばね36が配設され、第2の移動リング34と固定部材である第2のケース31の端壁311との間には第2の圧縮コイルばね37が配設されている。また、第2の移動リング34と第3の移動リング35との間には第3の圧縮コイルばね38が配設され、第3の移動リング35とケース31の端壁311との間には第4の圧縮コイルばね39が配設されている。なお、第2の圧縮コイルばね37のばね力は第1の圧縮コイルばね36のばね力より大きく設定されており、第4の圧縮コイルばね39のばね力は第3の圧縮コイルばね38のばね力より大きく設定されている。従って、第1の移動リング33は、第1の圧縮コイルばね36および第2の圧縮コイルばね37のばね力によって図1において左方に押圧され常にスナップリング40に当接せしめられている。
【0012】
上述した図示の実施形態における位置規制機構3は、3個の移動リングを設けた例を示したが、第1の移動リング33は第2のロッド32に固定されていてもよい。従って、第1の圧縮コイルばね36は、第2の移動リング34と第2のロッド32との間に配設することになる。なお、図示の実施形態における位置規制機構3は、4つの作動位置に位置付けことができる例を示したが、作動位置を3つにする場合には第2のロッド32上を移動する移動リングは第2の移動リング34を1個設ければよい。
【0013】
図示の実施形態における電磁ソレノイド式アクチュエータは以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
電磁ソレノイド2を構成する電磁コイル22に電力が供給されていないとき(非通電時)には、第2のロッド32が第1の圧縮コイルばね36および第2の圧縮コイルばね37のばね力によって図1において左方に押圧され、第2のロッド32の一端面が電磁ソレノイド2を構成する作動ロッド25の他端面に当接して作動ロッド25を図において左方に押圧する。この結果、該第2のロッド32と電磁ソレノイド2を構成する作動ロッド25および可動鉄心24は図1に示す第1の作動位置(P1)に位置付けられている。
【0014】
図1に示す状態から電磁ソレノイド2を構成する電磁コイル22に例えば2Vの電圧を印加すると、可動鉄心24は固定鉄心23に吸引され、可動鉄心24および作動ロッド25には図において右方への推力が発生する。この結果、可動鉄心24、作動ロッド25、第2のロッド32および第1の移動リング33が図2の(a)に示すように第1の圧縮コイルばね36のばね力に抗して図において右方に移動する。このとき、第2の圧縮コイルばね37のばね力は第1の圧縮コイルばね36のばね力より大きく設定されているので、第2の移動リング34は変位しない。そして、可動鉄心24、作動ロッド25、第2のロッド32および第1の移動リング33は、第1の移動リング33が第2の移動リング34に当接した位置で停止する。従って、可動鉄心24と作動ロッド25および第2のロッド32は、図2の(a)に示す第2の作動位置(P2)に位置付けられる。
【0015】
次に、電磁ソレノイド2を構成する電磁コイル22に例えば4Vの電圧を印加すると、可動鉄心24および作動ロッド25に発生する右方への推力が増大する。この結果、可動鉄心24と作動ロッド25および第2のロッド32は、図2の(b)に示すように第1の移動リング33が第2の移動リング34に当接した状態で第2の圧縮コイルばね37のばね力に抗して図において右方に移動する。そして、可動鉄心24と作動ロッド25および第2のロッド32は、第2の移動リング34が第3の移動リング35に当接した位置で停止する。従って、可動鉄心24と作動ロッド25および第2のロッド32は、図2の(b)に示す第3の作動位置(P3)に位置付けられる。
【0016】
次に、電磁ソレノイド2を構成する電磁コイル22に例えば8Vの電圧を印加すると、可動鉄心24および作動ロッド25に発生する右方への推力が更に増大する。この結果、可動鉄心24と作動ロッド25および第2のロッド32は、図2の(c)に示すように第2の移動リング34が第3の移動リング35に当接した状態で第2の圧縮コイルばね37および第4の圧縮コイルばね39のばね力に抗して図において右方に移動する。そして、可動鉄心24と作動ロッド25および第2のロッド32は、第3の移動リング34がケース31の端壁311に当接した位置で停止する。従って、可動鉄心24と作動ロッド25および第2のロッド32は、図の(c)に示す第4の作動位置(P4)に位置付けられる。
【0017】
以上のように、図示の実施形態における電磁ソレノイド式アクチュエータは、1個の電磁コイル22と1個の固定鉄心23と可動鉄心24および作動ロッド25とによって構成された電磁ソレノイド2と、電磁コイル22に供給する電力量に対応して作動ロッド25に発生する推力に応じて作動ロッド25を複数の作動位置に規制する位置規制機構3とからなっているので、コンパクトで且つ安価に構成することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明による電磁ソレノイド式アクチュエータは以上のように構成されているので、以下に述べる作用効果を奏する。
【0019】
即ち、本発明によれば、電磁コイルに供給する電力量を変化させて作動ロッドに発生する推力に応じて、該作動ロッドを3個以上の作動位置に規制する位置規制機構を具備しているので、このような3個以上の作動位置に位置付けることができる電磁ソレノイド式アクチュエータをコンパクトで且つ安価に構成することができる。また、本発明の位置規制機構は、電磁ソレノイドを構成する電磁コイル等が収容されたケースとは別体の第2のケース内に収納されており、作動ロッドとともに移動する第2のロッドも別体となっている。したがって、位置規制機構を分離して取り出すことが可能であるから、同一の電磁ソレノイドを用いて異なる位置に停止させるアクチュエータを構成することができる。さらに、位置規制機構に収納された移動リングやばね部材の追加や交換等が容易であって、停止位置の細かな調整作業あるいはメインテナンスにおける作業性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された電磁ソレノイド式アクチュエータの一実施形態を示す断面図。
【図2】図1に示す電磁ソレノイド式アクチュエータの作動説明図。
【符号の説明】
2:電磁ソレノイド
21:電磁ソレノイドのケース
22:電磁コイル
23:固定鉄心
24:可動鉄心
25:作動ロッド
26:電磁ソレノイドのカバー
3:位置規制機構
31:位置規制機構のケース(第2のケース)
32:第2のロッド
33:第1の移動リング
34:第2の移動リング
35:第3の移動リング
36:第1の圧縮コイルばね
37:第2の圧縮コイルばね
38:第3の圧縮コイルばね
39:第4の圧縮コイルばね
40:スナップリング
Claims (2)
- 筒状のケースと、該ケース内に配設された電磁コイルと、該電磁コイル内に配設された固定鉄心と、該固定鉄心に対して接離可能に配設された可動鉄心と、該可動鉄心に装着された作動ロッドとを具備する電磁ソレノイド式アクチュエータにおいて、
該電磁コイルに供給する電力量を変化させて該作動ロッドに発生する推力に応じて該作動ロッドを3個以上の作動位置に規制する位置規制機構を具備しており、さらに、
該位置規制機構は、該ケースに接続された筒状の第2のケースと、該第2のケース内に配置され該作動ロッドとともに移動する第2のロッドと、該第2のロッドに摺動可能に配設された少なくとも1個の移動リングと、該第2のロッドと該移動リングとの間に配設された第1のばね部材と、該移動リングと該第2のケースとの間に配設された第2のばね部材とを具備し、該第1のばね部材と該第2のばね部材のばね力が異なるように設定されていることを特徴とする電磁ソレノイド式アクチュエータ。 - 該第2のロッドには、複数の移動リングが摺動可能に配設されており、それぞれの移動リングの間には、ばね力の異なるばね部材が配設された請求項1記載の電磁ソレノイド式アクチュエータ。
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