JP4633770B2 - 汚泥脱水システム - Google Patents

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Description

この発明は、汚泥を脱水処理して低含水率の脱水汚泥を生成する汚泥脱水システムにおいて、汚泥に凝集剤溶液を添加後、汚泥脱水機で脱水処理する汚泥脱水システムに関するものである。
従来、下水等の汚水を汚水処理装置で浄化処理を行った際には、初沈汚泥、余剰汚泥、消化汚泥等の種々の汚泥が発生するが、これらの汚泥は含水率が高く、このままでは処分が容易ではない。そこで、一般に、これらの汚泥(以下、被処理汚泥という。)には、汚泥脱水機によって、脱水汚泥と分離液に固液分離する脱水処理が行われる。また、被処理汚泥は、懸濁粒子と水との混合物であり、この懸濁粒子が集合して汚泥フロックを形成して大型化(フロック化)して存在しているものと、ほとんど集合せずに微細な懸濁粒子として存在しているものとが混在している。被処理汚泥をそのまま汚泥脱水機で脱水処理すると、フロック化していない微細な懸濁粒子が分離液側に流れ出し、分離液の性状(濁質、発泡状況、色度等)が悪くなり、分離性能が低い。このため、被処理汚泥に凝集剤を供給・添加して、汚泥フロックを大型化させてから汚泥脱水機で脱水処理が行われるのが通常である。
特許文献1に、遠心脱水機(汚泥脱水機)を用いた汚泥処理装置(汚泥脱水システム)の一例が示されている。この特許文献1の汚泥処理装置は、汚泥タンクに貯留された原汚泥(被処理汚泥)を遠心脱水機に移送して当該遠心脱水機で分離液と脱水ケーキに固液分離する構成であって、移送中の汚泥に無機凝集剤(無機凝集剤溶液)を注入し、さらに両性ポリマー(両性高分子凝集剤溶液)を注入して汚泥フロックの形成を促した後、遠心脱水機で固液分離する装置である。また、この汚泥処理装置では、分離液のpHを測定するpH計と分離液中の泡の色度を測定する色度計を備えており、これらの測定値に応じて、無機凝集剤と両性ポリマーの2種類の凝集剤の被処理汚泥への注入量を制御するようになっている。
特許文献2においても、汚泥(被処理汚泥)に金属塩からなる第1凝集剤(無機凝集剤溶液)を添加して撹拌し、さらにカチオン系あるいは両性系高分子凝集剤からなる第2凝集剤(カチオン系あるいは両性系高分子凝集剤溶液)を添加して撹拌してから脱水機で脱水処理する汚泥の脱水方法が示されている。いずれの特許文献の場合においても、被処理汚泥に無機凝集剤溶液を添加して、被処理汚泥のpHを調整した後に、高分子凝集剤溶液を添加して汚泥フロックの形成を促すようになっている。
通常、被処理汚泥中の微細な懸濁粒子は、その表面が負に帯電している場合が多く、負に帯電した懸濁粒子同士では、互いに反発し合う力が働いてしまっている。この反発し合う力は、分子同士が引き合う力である分子間力よりも大きく、このため汚泥フロックの形成が妨げられる一つの要因となっている。被処理汚泥に無機凝集剤溶液を注入すると、懸濁粒子表面の電子が奪われて負の帯電が中和されて分子間力が働きやすくなり、微細な懸濁粒子同士が小さな汚泥フロックを形成するようになる。さらに、被処理汚泥に高分子凝集剤溶液を添加することにより、小さな汚泥フロックに高分子鎖が付着し、その高分子鎖同士が架橋化等することによって、汚泥フロックが大型化する。このような処理がなされた被処理汚泥を汚泥脱水機で脱水処理することで、含水率が低い脱水汚泥と、性状の良好な分離液を得ることができる。特許文献1および特許文献2のいずれにおいても、無機凝集剤は、高分子凝集剤の凝集作用を補助するために被処理汚泥に供給している要素が大きい。
一方、最近では、カチオン系高分子凝集剤や両性系高分子凝集剤の性能が大幅に向上してきており、被処理汚泥に無機凝集剤溶液を添加してpH調整を行わずとも、被処理汚泥中の微細な懸濁粒子表面の負の帯電にカチオン基が吸着する等で中和可能な高分子凝集剤が開発されている。このため、被処理汚泥に対してこれらの高分子凝集剤のみを注入して汚泥フロックを形成させて汚泥脱水機で脱水処理を行う汚泥脱水システムを適用しているケースが増えてきている。
特開平8−71600号公報 特開平10−230300号公報
下水等の汚水を生物処理によって浄化する汚水処理システムに流入する原水である汚水の水質は、常に一定ではなく、日毎にあるいは時間毎に変動する。このため、これらの汚水処理システムで発生する初沈汚泥、余剰汚泥等の性状も変動する。また、これらの汚泥を発酵槽で処理した消化汚泥の性状も変動する。これらの汚泥を被処理汚泥として汚泥脱水システムで脱水処理する場合、被処理汚泥の性状の変化は、汚泥フロックの形成し易さに大きな影響を与える。そのときによって、被処理汚泥に少量の凝集剤溶液を注入するだけで十分に汚泥フロックが形成できる場合もあれば、被処理汚泥に多量に凝集剤溶液を注入しなければ汚泥フロックが十分に形成されない場合もある。このため、通常の汚泥脱水システムでは、汚泥脱水機で脱水処理された結果である脱水汚泥の含水率や分離液の性状を目視や実測で確認し、それらの結果に応じて凝集剤溶液の被処理汚泥への注入量を調整することで対応している。
ところで、被処理汚泥に供給する凝集剤溶液は、凝集性能の高い高価な凝集剤を用いた方が、凝集性能の低い安価な凝集剤よりも汚泥懸濁物質粒子の凝集(汚泥フロックの形成)が促進される傾向にはある。しかし、凝集性能の高い高価な凝集剤が絶対的に効果的というわけではない。むしろ、凝集剤溶液を供給する被処理汚泥のそのときの性状に合った凝集剤を適用することが、汚泥フロックの形成をより促進することになる。種々の性状の被処理汚泥に対応するために、多種類の凝集剤を、その凝集剤の種類毎に従来の撹拌機を備えた貯留槽を用意し、各貯留槽で凝集剤溶液を生成して貯留しておき、そのときに合った凝集剤溶液を選んで供給する構成も考えられなくもない。しかし、凝集剤は以下に示すような特徴を有していることから、そのような構成を適用しても非常に非効率なものとなってしまい、非現実的である。
一般的に、凝集剤は、粒状・粉末状等の固形(以下、粒状等という)で袋詰めされた状態で製造・販売されている。そして、袋詰めの状態のままで保管しておき、使用するときに水に溶解させて凝集剤溶液にして使用するようになっている。これは、凝集剤は水に溶解させた状態で放置すると凝集性能が時間と共に劣化していく性能を有しているためである。特に高分子凝集剤の場合においては、数日で凝集剤溶液としては使用できないレベルまで凝集性能が低下してしまう。しかも、凝集性能の高い凝集剤のほとんどは高分子凝集剤である。このため、前記のような多種類の凝集剤溶液を貯留しておくと、使い切る前に凝集性能が低下してしまって使い物にならない凝集剤溶液が多量に発生してしまい、ランニングコストが大幅に嵩んでしまう。
また、粒状等の凝集剤は、水に短時間で溶解するものではない。従来、粒状等の凝集剤から凝集剤溶液を生成するに当たっては、粒状等の凝集剤を供給する凝集剤供給機と溶解水を供給する溶解水供給管と撹拌機を備えた凝集剤溶液槽を用いる。凝集剤溶液槽内に所定濃度で貯留可能量の凝集剤溶液を生成するための溶解水と凝集剤を供給し、撹拌機で撹拌混合して時間を掛けて凝集剤を溶解させ、凝集剤溶液槽内に凝集剤溶液を生成する。特に、適用する凝集剤が高分子凝集剤の場合においては、溶解するまでに数時間を要する。粒状等の高分子凝集剤は、高分子鎖が絡まり合った状態で固体化しており、水に溶解させるには、その粒の表層が水を吸収して膨潤し、高分子鎖が水中に剥離し、水が内側の層(2層目)に浸透・吸収して膨潤し、その内側の層の高分子鎖が剥離するといった順序で、粒状等の中心まで溶解するプロセスを経るためである。このため、多種類の凝集剤を保存期間の長い粒状等の状態で貯留しておき、被処理汚泥に供給するときに溶解水に溶解させて短時間で凝集剤溶液を生成して供給することは、従来の撹拌機を備えた貯留槽では極めて困難である。
そこで、従来は、事前に汚泥脱水機で脱水処理する対象の被処理汚泥を頻繁にサンプリングし、これらの被処理汚泥に対して平均的な脱水性能が得られる適応範囲の広い凝集剤を選定していた。選定された凝集剤は、従来のように大容量の貯留槽で凝集剤溶液にして貯留しておいて、適宜、被処理汚泥に供給するようにしていた。また、被処理汚泥の性状が多少変化した場合には、凝集剤溶液の供給量を増やすことで、凝集作用を補完するようにしていた。また、この汎用性の高い凝集剤の選定では、汚泥脱水機で脱水処理された脱水汚泥の含水率、分離液の性状だけではなく、費用対効果も重視される。
しかし、被処理汚泥の性状が通常時に比べて急激に変化した非常時の場合、適応範囲の広い凝集剤溶液では供給量をいくら増やしても脱水性能が向上せず、汚泥フロックの形成が進まないまま汚泥脱水機で脱水処理されてしまい、脱水汚泥の含水率が十分に低下せず、また分離液の性状が低下してしまうことがあった。このような状況の場合、特許文献1や特許文献2記載のような無機凝集剤を被処理汚泥に注入して被処理汚泥のpHを調整する工程を追加しても、被処理汚泥中の懸濁粒子同士の弱い分子間力では補完することは困難であり、問題となっていた。
高分子凝集剤の場合、粒状等の固形状のもののほか、濃縮液状(エマルジョン状態)のものもあるが、濃縮液状態であっても高分子鎖同士が絡まり合った状態であり、従来の撹拌機を備えた凝集剤溶液槽に溶解水と共に投入して撹拌混合して、粒状等の高分子凝集剤よりは短時間で溶解して凝集剤溶液を生成できるが、それでも被処理汚泥の急激な性状変化時に即座に対応できるとはいい難く、問題となっていた。さらに、濃縮液状の高分子凝集剤は、粒状等の固形状のものに比べて短時間で劣化してしまうものであり、保存できる期間も短く、被処理汚泥の急激な性状変化時のような非常時にのみ使用するのに適しているとはいい難く問題となっていた。
一方、脱水処理する処理場の都合で、複数の種類の被処理汚泥を同じ汚泥脱水システムで脱水処理する場合や、汚水処理システムが設置されている複数の施設から発生する被処理汚泥を、1箇所の脱水処理場に集約し、一括処理する場合もあるが、通常、各汚水処理システムから発生する被処理汚泥は性状が異なる。これらの場合においては、処理された脱水汚泥の性状や、分離液の性状を見て、被処理汚泥への凝集剤溶液の注入量を調整している。また、同じ汚泥脱水システム内の同じ所から引き抜かれる被処理汚泥であっても引き抜かれた日時によって性状が変動する。この被処理汚泥を汚泥脱水システムで脱水処理する場合においても、処理された脱水汚泥の性状や、分離液の性状を見て、被処理汚泥への凝集剤溶液の注入量を調整している。
しかし、これらの場合においても、一種類の凝集剤で注入量を変えるだけで、種々の汚泥に対して凝集性能を発揮させ、脱水汚泥の含水率を所定の数値以下にすることは難しく、被処理汚泥の種類によっては脱水汚泥の脱水が不十分な場合があり、問題となっていた。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、凝集剤溶液を注入した被処理汚泥を汚泥脱水機で分離液と脱水汚泥に分離する脱水処理を行う汚泥脱水システムであり、被処理汚泥の性状が急激に変化した場合や、多種類の汚泥を被処理汚泥として脱水処理する場合であっても所定の脱水汚泥の含水率や分離液の性状を所定範囲に維持することが可能な汚泥脱水システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、被処理汚泥を分離液と脱水汚泥に分離する汚泥脱水機および該汚泥脱水機へ被処理汚泥を供給する汚泥供給管を備えた汚泥脱水工程と、凝集剤および溶解水から生成した凝集剤溶液を凝集剤溶液供給管で前記被処理汚泥に供給する第1凝集剤供給工程と、第1凝集剤供給工程の凝集剤とは異なる凝集剤と溶解水を撹拌混合して凝集剤溶液を生成する凝集剤溶液タンク、筒状容器と、該筒状容器内に配設された円筒スクリーンと、該円筒スクリーン内に配設された一つまたは二つ以上の押圧部材と、該押圧部材を保持する保持部材と、該保持部材を介して前記押圧部材を前記円筒スクリーンの内面に沿って移動させる駆動機とを備え、前記凝集剤溶液タンクから導入した凝集剤溶液をスクリーンろ過すると共に、凝集剤溶液中の凝集剤を溶解する凝集剤溶解機および該凝集剤溶解機から流出する凝集剤溶液を前記被処理汚泥に供給する凝集剤溶液供給管を備えた第2凝集剤供給工程とからなり、被処理汚泥に第1凝集剤供給工程または第1凝集剤供給工程と第2凝集剤供給工程の両方で凝集剤溶液を供給することを特徴とする。
本発明の請求項2の汚泥脱水システムは、第1凝集剤供給工程の凝集剤溶液供給管と第2凝集剤供給工程の凝集剤溶液供給管とが合流接続していることを特徴とする。
本発明の請求項3の汚泥脱水システムは、凝集剤溶解機から流出した凝集剤溶液の粘度を測定する粘度計と、該粘度計の測定値に応じて、低速で起動して上昇させる前記駆動機回転を制御する制御器とを備えたことを特徴とする。
この発明に係る汚泥脱水システムによれば、汚泥供給管によって被処理汚泥を汚泥脱水機に供給し、脱水汚泥と分離液に分離する汚泥脱水工程と、凝集剤と溶解水から凝集剤溶液を生成し、凝集剤溶液供給管で凝集剤溶液を被処理汚泥に供給する第1凝集剤供給工程と、凝集剤溶液タンクで凝集剤と溶解水を撹拌混合して凝集剤溶液を生成し、その凝集剤溶液を凝集剤溶解機でスクリーンろ過するとともに凝集剤溶液中の凝集剤を溶解し、凝集剤溶液供給管で凝集剤溶液を被処理汚泥に供給する第2凝集剤供給工程とからなることにより、以下に示す効果がある。
(1)通常時使用する適応範囲の広い凝集剤溶液を第1凝集剤供給工程によって被処理汚泥に供給し、被処理汚泥の性状が急激に変化した際に使用する第1凝集剤供給工程の凝集剤とは種類や特性の異なる非常時用の凝集剤溶液を第2凝集剤供給工程によって被処理汚泥に供給することが可能となる。これにより、適応範囲の広い凝集剤は、大容量の凝集剤溶液槽で溶解水とともに時間を掛けて撹拌混合して粒状等の未溶解粒を溶解させ、凝集剤溶液槽に貯留し、通常時、被処理汚泥に必要量供給することができる。また、非常時用の凝集剤は、通常時は、溶解水に溶解させずに貯蔵しておき、非常時に、その凝集剤を溶解水とともに小容量の凝集剤溶液タンクで短時間撹拌混合して未溶解の凝集剤(以下、これを未溶解粒という。)を含む凝集剤溶液を生成し、さらに凝集剤溶解機でその凝集剤溶液をスクリーンろ過して凝集剤の未溶解粒をスクリーンで捕捉し、その未溶解粒を溶解処理して凝集剤溶液に溶解させることで、必要なときに短時間で十分溶解された凝集剤溶液を生成して被処理汚泥に供給することができる。通常時には、適応範囲の広い凝集剤溶液をその被処理汚泥の性状に応じて必要量供給して、被処理汚泥中の懸濁粒子の汚泥フロック形成を促すことができ、被処理汚泥の性状が急激に変化した場合には、短時間で非常時用の凝集剤溶液を生成して被処理汚泥に供給して汚泥フロック形成を促すことができる。これにより、被処理汚泥を汚泥脱水機で脱水後の脱水汚泥の含水率および分離液の性状を所定範囲で維持することができる効果がある。
(2)非常時用の凝集剤を従来の撹拌機を備えた大容量の凝集剤溶液槽で予め、時間をかけて溶解水に溶解させて凝集剤溶液を生成して貯留しておく必要がないため、非常時用の凝集剤溶液の凝集性能が時間経過とともに劣化していき、凝集剤溶液として使用不適になるまでに被処理汚泥の性状があまり変化せず、非常時用の凝集剤溶液を使用し切れずに廃棄してしまう無駄を回避することができる効果がある。
(3)通常時、非常時用の凝集剤は、溶解水で溶解させずに貯蔵することができ、必要なときに短時間でその凝集剤を溶解水で未溶解粒が十分溶解された凝集剤溶液を生成することができることから、非常時用の凝集剤を凝集性能が高い状態のまま長時間保存することができる効果がある。
(4)第1凝集剤供給工程により適応範囲の広い凝集剤溶液を被処理汚泥に供給し、被処理汚泥中の微細な懸濁粒子をある程度凝集させて小さな汚泥フロックを形成させ、さらに第2凝集剤供給工程により非常時用の凝集剤溶液を被処理汚泥に注入して、ある程度凝集されている小さな汚泥フロック同士を凝集させて大きな汚泥フロックの形成を促すことができる。これにより、脱水処理する対象の被処理汚泥の性状が急激に変化した場合に被処理汚泥に供給する非常用の凝集剤に高価な凝集剤を適用しても、その非常用の凝集剤溶液の供給量をより少なくしながらも、脱水汚泥の含水率および分離液の濁度等を所定範囲で維持することができ、ランニングコストを抑制できる効果がある。
(5)初沈汚泥、余剰汚泥、消化汚泥等、種類の異なる汚泥を被処理汚泥として同じ汚泥脱水システムで脱水処理する場合や、異なる原水を浄化する汚水処理システムから発生する被処理汚泥を1箇所の汚泥脱水システムで一括処理する場合においても、その処理する被処理汚泥の種類や性状に応じて、第1凝集剤供給工程で適応範囲の広い凝集剤溶液を、第2凝集剤供給工程で第1凝集剤供給工程の凝集剤とは種類や特性の異なる非常時用の凝集剤溶液を、それぞれ供給することによって、どのような種類、性状の被処理汚泥を脱水処理する場合でも、脱水汚泥の含水率および分離液の性状を所定範囲に維持することができる効果があり、しかも凝集剤に掛かるランニングコストを極力抑制することができる効果がある。
さらに、第2凝集剤供給工程の凝集剤溶解機を、筒状容器内に円筒スクリーンを配設し、その円筒スクリーン内に凝集剤溶液タンクから凝集剤溶液を導入してスクリーンろ過し、駆動機によって保持部材を介して一つまたは二つ以上の押圧部材を円筒スクリーン内面に沿って移動させることで円筒スクリーン内面に付着する凝集剤(未溶解粒)を押圧して溶解させる構成としたことにより、凝集剤タンクで粒状等の凝集剤と溶解水を短時間で撹拌混合するだけでは、溶解し切れない凝集剤の未溶解粒を確実に溶解させることができる効果がある。特に、溶解水に容易に溶解しない高分子凝集剤を第2凝集剤供給工程の凝集剤に適用する場合に大きな効果がある。
請求項2記載の発明に係る汚泥脱水システムによれば、以下に示す効果がある。
(1)第1凝集剤供給工程の凝集剤溶液供給管と第2凝集剤供給工程の凝集剤溶液供給管とを合流接続したことにより、2種類の凝集剤溶液を混ぜ合わせて様々な特性を有する凝集剤溶液を生成することができる。例えば、混合することで化学的反応が起こり、凝集剤の組成が変化し、汚泥懸濁物質の負極性帯電の中和作用が強化される場合、汚泥懸濁物質への高分子糸の吸着性能が強化される場合、高分子糸同士の架橋結合が強化される場合等、生成された凝集剤溶液は、単に2種類の凝集剤を別々に被処理汚泥に供給する場合に比べ、凝集性能が飛躍的に向上する効果がある。また、様々な性状の被処理汚泥に対して、最適な特性の凝集剤溶液を供給することができる効果がある。
(2)第1凝集剤供給工程に適応範囲の広い高分子凝集剤を適用し、第2凝集剤供給工程に第1凝集剤供給工程の凝集剤とは種類や特性の異なる非常時用の高分子凝集剤を適用し、通常時は、第1凝集剤供給工程からの適応範囲の広い高分子凝集剤溶液を被処理汚泥に適量供給して、脱水処理を行うようにすることができる。そして、被処理汚泥の性状が急激に変化したときに、第2凝集剤供給工程で非常時用の高分子凝集剤を凝集剤溶液タンクによって溶解水と共に短時間撹拌混合し、凝集剤溶解機で高分子凝集剤の未溶解粒を溶解処理し、非常時用の高分子凝集剤溶液を生成して適応範囲の広い高分子凝集剤溶液に混合して、被処理汚泥に供給することができる。これにより、非常時用の高分子凝集剤の高分子鎖と、適応範囲の広い高分子凝集剤の高分子鎖の混ぜ合わされた凝集剤溶液中の分布状況を均一化させてから、被処理汚泥に供給することができるため、ばらつきが無く、平均的に汚泥フロックの形成を促すことができる効果がある。
請求項3記載の発明に係る汚泥脱水システムによれば、凝集剤溶解機で溶解された凝集剤溶液の粘度を測定する粘度計と、その粘度計の測定値に応じて、低速で起動して上昇させる前記駆動機回転を制御する制御器を備えたことにより、以下に示す効果がある。

実施の形態1.
図1は、実施の形態1における汚泥脱水システムのフロー図であり、図2は凝集剤溶解機のA−A線断面図であり、図3は、凝集剤溶解機のB−B線断面図である。この実施の形態1の汚泥脱水システムは、被処理汚泥を分離液と脱水汚泥に分離する汚泥脱水機1および該汚泥脱水機1へ被処理汚泥を供給する汚泥供給管2を備えた汚泥脱水工程と、凝集剤と溶解水を撹拌混合して凝集剤溶液を生成する凝集剤溶液槽4A,4Bおよび前記凝集剤溶液を前記被処理汚泥に供給する凝集剤溶液供給管(以下、第1の凝集剤溶液供給管という。)5を備えた第1凝集剤供給工程と、凝集剤と溶解水を撹拌混合して凝集剤溶液を生成する凝集剤溶液タンク6および前記凝集剤溶液を導入してスクリーンろ過すると共に、凝集剤溶液中の凝集剤を溶解する凝集剤溶解機8ならびに該凝集剤溶解機8から流出する凝集剤溶液を前記被処理汚泥に供給する凝集剤溶液供給管(以下、第2の凝集剤溶液供給管という。)9を備えた第2凝集剤供給工程とから主に構成されている。
汚泥脱水機1は遠心脱水機からなっており、その汚泥脱水機1の汚泥流入口に接続された汚泥供給管2には、被処理汚泥を汚泥脱水機1に供給する汚泥供給ポンプ3が設けられている。なお、汚泥脱水機1は、遠心脱水機のほかにベルトプレス脱水機、スクリュープレス脱水機、回転加圧脱水機等が適用可能である。また、広義の汚泥脱水機として、浮上濃縮機や遠心濃縮機等も適用可能である。
第1凝集剤供給工程の凝集剤溶液槽4A,4Bは、粒状・粉末状等のいわゆる粒状等の凝集剤(以下、第1凝集剤という。)を凝集剤溶液槽4A,4Bのそれぞれに供給する凝集剤供給機10A,10Bと、前記第1凝集剤を溶解する溶解水を凝集剤溶液槽4A,4Bのそれぞれに供給する溶解水供給管12A,12Bと、前記第1凝集剤と前記溶解水を撹拌混合する撹拌機14A,14Bとを備えており、撹拌機14A,14Bによる第1凝集剤と溶解水との撹拌混合によって凝集剤溶液(以下、第1凝集剤溶液という。)を生成するようになっている。凝集剤供給機10A,10Bは、下端に凝集剤供給口102A,102Bを備えるホッパー状容器101A,101Bと、凝集剤供給口102A,102Bに配設される駆動機を備える供給口開閉器103A,103Bにより構成されている。供給口開閉器103A,103Bは、スライドシャッター構造、フラッパー弁構造、バタフライ弁構造、噛み合わせギア構造等、凝集剤供給口102A,102Bを開閉制御可能であれば、どのような構造であってもよい。なお、凝集剤供給口102A,102Bは、凝集剤溶液槽4A,4B内で気化した湿気が浸入しやすく凝集剤の粒同士が固まってしまう恐れがあるので、ドライエアを供給すること等を行って乾燥状態を維持することが望ましい。溶解水供給管12A,12Bには制御弁13A,13Bが設けられており、これらの制御弁13A,13Bを介して凝集剤溶液槽4A,4B内に溶解水を供給するようになっている。その溶解水としては、水道水のほか、地下水、工業用水、ろ過水、雨水利用水、再生水等が適用可能であり、前記の粒状等の第1凝集剤を溶解可能な水であればよい。
凝集剤供給機10A,10Bから凝集剤溶液槽4A,4Bに供給する凝集剤としては、無機凝集剤と高分子凝集剤が適用可能である。無機系凝集剤には、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等がある。また、高分子凝集剤には、カチオン系ポリマーのメタアクリル酸エステル系(メタクリル酸ジメチルアミノエチル等)、アクリル酸エステル系(アクリル酸ジメチルアミノエチル等)など、両性系ポリマーの例えば、アクリル酸ジメチルアミノエチルとアクリル酸等との共重合体などがある。被処理汚泥中の懸濁物質の粒子の凝集を促進する作用を有する粒状等の薬剤であれば、どのようなものでも適用可能である。
凝集剤溶液槽4A,4B内で生成された第1凝集剤溶液を汚泥供給管2の被処理汚泥に供給する第1の凝集剤溶液供給管5は、前記凝集剤溶液槽4A,4Bのそれぞれに分岐接続された分岐管部5A,5Bを有して凝集剤溶液槽4A,4Bのそれぞれと汚泥供給管2の汚泥供給ポンプ3の下流側とを接続している。前記分岐管部5A,5Bのそれぞれには開閉制御弁15,16が設けられている。また、第1の凝集剤溶液供給管5における分岐管部5A,5Bの合流部よりも下流側には、溶液圧送ポンプ17が設けられ、この溶液圧送ポンプ17によって凝集剤溶液槽4A,4Bの一方の第1凝集剤溶液が汚泥供給管2の被処理汚泥に供給されるようになっている。
第2凝集剤供給工程の凝集剤溶液タンク6は、第1凝集剤供給工程の凝集剤溶液槽4A,4Bよりも小容量のタンクが適用され、第1凝集剤溶液とは種類や特性が異なり、被処理汚泥の性状が通常時に比べて急激に変化した場合などの非常時に適している凝集剤(以下、第2凝集剤という。)の溶液(以下、第2凝集剤溶液という。)を生成するものである。通常時の凝集剤溶液タンク6は内部が空あるいは溶解水のみの状態に維持されるようになっており、その凝集剤溶液タンク6の上部には、第1凝集剤供給工程の凝集剤供給機10A,10Bと同様に凝集剤投入口181を有するホッパー状容器180と供給口開閉器182とからなる凝集剤供給機18が配設されている。この凝集剤供給機18は、粒状等の第2凝集剤を貯蔵し、前記非常時にのみ第2凝集剤を凝集剤溶液タンク6内に供給するようになっている。また、凝集剤溶液タンク6には、第2凝集剤を溶解する溶解水が前記非常時に溶解水供給管19から制御弁20を介して供給されるようになっており、その第2凝集剤と溶解水を撹拌混合する撹拌機21が設けられている。
ここで、前記第1凝集剤としては、例えば、無機凝集剤および高分子凝集剤の少なくとも一方の凝集剤を適用し、前記第2凝集剤は、第1凝集剤では凝集作用を発揮しにくい被処理汚泥の性状が急激に変化した場合において高い凝集性能を発揮する高分子凝集剤を適用する。
第2凝集剤供給工程の凝集剤溶液タンク6で生成された第2凝集剤溶液は、凝集剤溶液タンク6と凝集剤溶解機8とを接続する凝集剤溶液移送管7に設けられた圧送ポンプ22によって、凝集剤溶解機8に圧送するようになっている。ここで、第2凝集剤供給工程の凝集剤溶液タンク6は、第1凝集剤供給工程の凝集剤溶液槽4A,4Bとは異なり、容量が小さく、タンク内に供給される第2凝集剤と溶解水とを比較的短時間だけ撹拌機21で撹拌混合し、圧送ポンプ22の圧送力で凝集剤溶解機8に送られるようになっている。このため、粒状等の第2凝集剤は、凝集剤溶液タンク6で全量は溶解しきれず、未溶解粒が残存した状態のまま、凝集剤溶解機8に送られることになる。なお、圧送ポンプ22には、渦巻ポンプに代表される遠心型ポンプ、一軸ねじポンプに代表される容積型ポンプ等、凝集剤溶液を圧送可能であればどのようなポンプでも適用可能であるが、この凝集剤溶液には未溶解粒が相当量含まれていることがあるので、容積型ポンプの適用が望ましい。
凝集剤溶解機8は、図2および図3に示すように、円筒形の筒状容器80と、該筒状容器80内に配設されて第2凝集剤溶液をろ過する円筒スクリーン85と、該円筒スクリーン85の内面に付着する凝集剤の未溶解粒を溶解処理する一つまたは二つ以上の押圧部材86と、該押圧部材86の両端を保持する保持部材87A,87Bと、該保持部材87A,87Bを介して前記押圧部材86を前記円筒スクリーン85の内面に沿って移動させる駆動機88とを備えた構造となっている。
さらに詳述すると、筒状容器80は両端にフランジ部80A,80Bを有しており、これらのフランジ部80A,80Bにシール部材(図示せず)を介してフランジ蓋81A,81Bをボルト・ナット82A,82Bで固着している。そして、一方のフランジ蓋81Aに設けられた凝集剤溶液流入口81Cに前記凝集剤溶液移送管7の出口が接続されている。また、筒状容器80の内周面には、スクリーン保持部材を兼ねた円環状の左右一対の仕切部材83A,83Bが設けられている。これらの仕切部材83A,83Bに前記円筒スクリーン85の両端が支持されている。筒状容器80の内部は、仕切部材83A,83Bと円筒スクリーン85によって、一次室84Aと二次室84Bとに区分形成されている。
そして、圧送ポンプ22の圧送力によって、前記凝集剤溶液流入口81Cから一次室84Aに流入した第2凝集剤溶液を円筒スクリーン85でろ過して前記二次室84Bに流入させた後、前記筒状容器80に設けられた凝集剤溶液流出口80Cから第2の凝集剤溶液供給管9に流出させて第1の凝集剤溶液供給管5を流れる第1凝集剤溶液と合流させるようになっている。したがって、凝集剤溶解機8の凝集剤溶液流出口80Cは第2の凝集剤溶液供給管9によって第1の凝集剤溶液供給管5に溶液圧送ポンプ17の下流側で接続されている。
駆動機88は、凝集剤溶液流入口81Cを有するフランジ蓋81Aと反対側のフランジ蓋81Bの外側に配設され、駆動機88の駆動軸88Aは円筒スクリーン85の中心部に延びて先端部が前記フランジ蓋81Aにベアリング89を介して支持されている。前記駆動軸88Aには、該駆動軸88Aと一体回転する左右一対の保持部材87A,87Bが設けられ、該保持部材87A,87B間に跨って前記駆動軸88Aに平行する一つまたは二つ以上(図2では4個)の押圧部材86が軸支されている。これらの押圧部材86は、前記駆動軸88Aの回転により前記円筒スクリーン85の内周面に沿って周回し、該円筒スクリーン85の内面に付着した第2凝集剤溶液中の未溶解粒を円筒スクリーン85の内面との間で押圧して溶解処理するようになっている。
押圧部材86は、保持部材87A,87Bによって両端が支持される軸部861とその軸部861の外周面を覆い、未溶解粒を直接押圧する接触部862とで構成され、軸部861は、保持部材87A,87Bとバネ等の付勢部材で円筒スクリーン85側に付勢されるように支持されている。保持部材87A,87Bと押圧部材86との構成であるが、押圧部材86が円筒スクリーン85の内面を接触状態で移動するように構成してもよいが、この場合、押圧部材86等の磨耗が早まる恐れがある。第2凝集剤溶液が円筒スクリーン85でスクリーンろ過される際に未溶解粒が堆積していくことで円筒スクリーン85内面に薄膜が形成されてくるので、押圧部材86がその薄膜を押圧可能な程度に円筒スクリーン85に非接触状態で移動するように構成すると、磨耗の問題も解消できて望ましい。駆動機88は、電動機等の動力源の回転数を減速させる減速機88Bが組み込まれており、この減速機88Bを介して駆動軸88Aに伝達されるようになっている。駆動機88の動力源が電動機の場合は、その回転数をインバータで制御することが望ましい。
以上において、第2凝集剤供給工程の凝集剤供給機18の供給口開閉器182、溶解水供給管19の制御弁20、撹拌機21、圧送ポンプ22、駆動機88は、制御器23によって制御されるようになっている。
次に、実施の形態1における汚泥脱水システムの作用を説明する。第1凝集剤供給工程の凝集剤供給機10A,10Bの供給口開閉器103A,103Bおよび溶解水供給管12A,12Bの制御弁13A,13Bを開くと、凝集剤溶液槽4A,4Bのそれぞれに、凝集剤供給機10A,10Bから第1凝集剤が供給されると共に、溶解水供給管12A,12Bから溶解水が供給され、第1凝集剤と溶解水とが撹拌機14A,14Bで十分な時間をもって撹拌混合されることによって、十分に溶解処理された第1凝集剤溶液が生成される。その第1凝集剤溶液は、第1の凝集剤溶液供給管5系統の開閉制御弁15,16のいずれか一方を開く(例えば、開閉制御弁15を開く)ことにより、溶液圧送ポンプ17で第1の凝集剤溶液供給管5を介して汚泥供給管2の被処理汚泥に圧送供給される。そして、凝集剤溶液槽4A内の第1凝集剤溶液が空になったとき、開閉制御弁15を閉じ、開閉制御弁16を開くことで、凝集剤溶液槽4Bに貯留されている第1凝集剤溶液を被処理汚泥に供給しつつ、凝集剤溶液槽4Aでは、新たに第1凝集剤溶液の生成が行われている。このようにして第1凝集剤溶液が添加された被処理汚泥は汚泥供給管2から汚泥脱水機1に供給される。これにより、第1凝集剤供給工程が遂行され、汚泥脱水機1による通常の汚泥脱水処理が行われる。なお、通常の汚泥脱水処理時に第2凝集剤供給工程の凝集剤溶液タンク6は空(あるいは溶解水のみ貯留されている)の状態となっている。
通常の汚泥脱水処理時において、被処理汚泥の性状が通常時に比べて急激に変化したこと(非常時)を施設管理者等が目視等で確認した場合には、制御器23を操作し、第2凝集剤供給工程を作動させる。制御器23からの出力信号によって第2凝集剤供給工程の凝集剤供給機18の供給口開閉器182が開かれると共に溶解水供給管19の制御弁20が開弁されることにより、空の状態となっていた凝集剤溶液タンク6内に、凝集剤供給機18から凝集性能の高い粒状等の第2凝集剤(高分子凝集剤)が供給されると共に、溶解水供給管19から溶解水が供給される(凝集剤溶液タンク6内が空ではなく、溶解水のみが貯留されている状態であった場合には、貯留されている溶解水量に見合うだけの量の第2凝集剤が供給された後に溶解水供給管19からの溶解水の供給を開始する。なお、このときの第2凝集剤と溶解水の供給量の比率で溶解処理後の凝集剤溶液の濃度が変わる。凝集剤溶液の濃度の調整方法であるが、溶解水供給管19に定流量弁や流量制御弁を設けて凝集剤溶液タンク6への溶解水の供給流量を一定になるように調整し、第2凝集剤の所定時間当たりの凝集剤溶液タンク6への供給量を、供給口開閉器182を制御して変化させることで、凝集剤溶液タンク6で生成される凝集剤溶液の濃度を自在に調整することができる。しかし、この方法に限定されるわけではなく、凝集剤溶液の濃度の調整が可能であれば、どのような方法でも適用可能である。)。凝集剤溶液タンク6内に供給された第2凝集剤と溶解水は、制御器23からの出力信号で起動している撹拌機21で短時間だけ撹拌混合される。これにより、凝集剤溶液タンク6内で生成された未溶解粒が残存する第2凝集剤溶液は、圧送ポンプ22により凝集剤溶液移送管7を流れて凝集剤溶解機8の筒状容器80内の一次室84Aに流入される。一次室84A内に流入した第2凝集剤溶液は円筒スクリーン85を通過するが、該通過時に第2凝集剤溶液中の未溶解粒が円筒スクリーン85の内面に付着・捕捉される。
円筒スクリーン85の内面に付着した未溶解粒は、円筒スクリーン85の内周面に沿って周回する方向に駆動機88で駆動されている押圧部材86によって、円筒スクリーン85の内面との間で押圧されて、未溶解粒表層の膨潤部分が押し潰されることにより高分子鎖が分離し、分離した高分子鎖が第2凝集剤溶液と共に円筒スクリーン85を通過して二次室84Bに流入する。
二次室84Bに流入した第2凝集剤溶液は、圧送ポンプ22が起動している限り、筒状容器80の凝集剤溶液流出口80Cから定流量で第2の凝集剤溶液供給管9に流出する。その凝集剤溶液供給管9から第1の凝集剤溶液供給管5内の第1凝集剤溶液に第2凝集剤溶液が供給される。このようにして、第1の凝集剤溶液供給管5では第1凝集剤溶液と第1凝集剤溶液とは種類や特性の異なる非常時用の第2凝集剤溶液とが混合され、その混合凝集剤溶液が第1の凝集剤溶液供給管5から汚泥供給管2の被処理汚泥に注入される。このとき、第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液が混合されるが、単なる混合ではなく、適用する第1凝集剤と第2凝集剤の種類によって様々な特性の混合凝集剤溶液が生成される。例えば、混合することで化学的反応が起こり、凝集剤の組成が変化し、汚泥懸濁物質の負極性帯電の中和作用が強化される場合、汚泥懸濁物質への高分子糸の吸着性能が強化される場合、高分子糸同士の架橋結合が強化される場合等、生成された凝集剤溶液は凝集性能が大幅に向上する。これにより、通常の第1凝集剤溶液を供給しただけでは、汚泥懸濁物質粒子の凝集がうまく促進されない非常時の被処理汚泥であっても、この新たに生成された凝集剤溶液を供給することで、強力な凝集作用によって被処理汚泥中の汚泥懸濁物質粒子を凝集させて汚泥脱水機1に供給することができるので、効率よく脱水処理され、脱水後の脱水汚泥の含水率および分離液の性状を所定範囲で維持することができる。
なお、第2凝集剤供給工程の作動方法についてであるが、汚泥脱水機1で脱水処理された後の分離液の濁質等の水質を測定する水質測定器(図示せず。)を設置し、水質測定器と制御器23とを信号線で接続することで、分離液の性状が所定値以上に急激に変化したときに、第2凝集剤供給工程を作動させる自動制御が行えるようにしてもよい。以上のような実施の形態1における汚泥脱水システムは、設置する現場環境によっては、例えば、以下のような使用の仕方をすることも可能である。
汚水を生物処理によって浄化処理する汚水処理システムでは、各処理段階でそれぞれ性状の異なる汚泥(初沈汚泥、余剰汚泥、消化汚泥等)が発生する。これらの汚泥の種類毎に専用の汚泥脱水システムを設置してそれぞれ脱水処理することが本来望ましいが、設置スペース等の問題から現実的には難しい。1つの汚泥脱水システムで複数種類の汚泥をタイムシェアリングして被処理汚泥として汚泥脱水機1に供給し、脱水処理する場合が多い。例えば、図4では、汚泥脱水システムで余剰汚泥と消化汚泥の2種類の汚泥を被処理汚泥としてタイムシェアリングして、汚泥脱水機1に供給している。図4では、18hourから6hoursまでは消化汚泥を、9hourから15hourまでは余剰汚泥を、それぞれ被処理汚泥として汚泥脱水機1に供給している。そして、汚泥供給管長等の問題から、汚泥脱水機1へ供給する被処理汚泥の種類を瞬時に切り替えることは困難であり、この図4の場合では、6hourから9hourまでと、15hourから18hourまでの間は、余剰汚泥と消化汚泥が混ざり合った混合汚泥が被処理汚泥として汚泥脱水機1に供給されることになる。例えば、余剰汚泥を脱水処理時には、通常時使用する第1凝集剤溶液を余剰汚泥に供給し、消化汚泥を脱水処理時には、さらに第2凝集剤溶液も供給して第1凝集剤溶液と混合させて凝集性能を向上させた混合凝集剤溶液を消化汚泥に供給するようにして脱水汚泥の含水率を所定値以上に維持できる。なお、混合汚泥に対しては、混合汚泥の性状に応じて、第1凝集剤溶液のみの供給か、第2凝集剤溶液との混合凝集剤溶液の供給かを選択し、混合比率に関しても、実際に調整しながら選定していくとよい。
一方、設置スペースの問題や効率上の問題から、汚水処理システムが設置されている施設内には汚泥脱水システムを設置せず、複数個所の汚水処理システムから発生する汚泥を1箇所に集約し、それを被処理汚泥として1つの汚泥脱水システムで一括して脱水処理する形態がある。この場合においては、異なる原水を浄化処理した汚水処理システムから発生する汚泥であるため、各汚水処理システムでその汚泥の性状は異なる場合が多い。汚泥脱水システムで処理する被処理汚泥の性状は変化しやすく、凝集しやすい汚泥と凝集しにくい汚泥との差が大きい。通常の被処理汚泥の性状の場合には、第1凝集剤供給工程で第1凝集剤溶液のみを被処理汚泥に供給し、汚泥脱水機1で脱水処理を行うようにする。そして、被処理汚泥の性状が急激に変化した場合には、第2凝集剤溶液を供給し、第1凝集剤溶液と混合した混合凝集剤を被処理汚泥に供給して汚泥脱水機1で脱水処理を行うようにするとよい。
なお、この実施の形態1の汚泥脱水システムでは、汚泥脱水機1に通常の遠心脱水機を適用しているが、これに代えて、機内注入型の遠心脱水機を適用してもよい。実施の形態1で適用している通常の汚泥供給管2内で被処理汚泥に凝集剤溶液を供給するタイプの遠心脱水機の場合、汚泥供給管2内を移送中に凝集剤溶液の凝集作用によって汚泥フロックが形成されている被処理汚泥が高速回転している遠心脱水機の外胴内に供給されたとき、高速回転の加速力で撹拌されて汚泥フロックが崩壊してしまい、このままでは脱水性能が低下してしまう。通常、この対策として、外胴内で一度崩壊した汚泥フロックを再形成させるため、凝集剤溶液の被処理汚泥への供給量を予め必要量以上に過剰供給にするようにしている。これによって、汚泥供給管2内で被処理汚泥中に汚泥フロックが形成された後でも凝集作用を未だ発揮していない凝集剤が残存するようにしておくことができ、被処理汚泥が外胴内に供給されて汚泥フロックが崩壊したときに、残存する凝集剤が凝集作用を発揮して再度汚泥フロックを形成させることで、遠心脱水機での脱水性能を高い水準に維持可能となっている。しかし、この方法は、凝集剤溶液を過剰に供給する必要があるため、ランニングコストが嵩んでしまうという問題を抱えていた。
このような問題点を解消するために開発されたのが機内注入型の遠心脱水機である。この遠心脱水機は、一部が外胴内に挿入され、汚泥供給管2から被処理汚泥を受け入れて外胴内に供給する汚泥流入管部を内管と外管とからなる二重管構造としている。また、外胴に挿入されていない部分の外管の外周面に第1の凝集剤溶液供給管5が接続する凝集剤流入口が設けられ、内管には被処理汚泥が流れ、内管と外管との間の空間には凝集剤溶液が流れるようになっている。これにより、被処理汚泥と凝集剤溶液は、外胴内に供給された段階で接触することになり、外胴の加速力で素早く混合され、そこで汚泥フロックが形成されるようになっているので、凝集剤溶液を過剰供給する必要がなく、ランニングコストが大幅に低減できる効果を機内注入型の遠心脱水機は有している。
以上のように、実施の形態1における汚泥脱水システムによれば、汚泥供給管2によって被処理汚泥を汚泥脱水機1に供給し、脱水汚泥と分離液に分離する汚泥脱水工程と、凝集剤溶液槽4A,4Bで第1凝集剤と溶解水を撹拌機14A,14Bにより撹拌混合して第1凝集剤溶液を生成し、第1の凝集剤溶液供給管5で第1凝集剤溶液を被処理汚泥に供給する第1凝集剤供給工程と、凝集剤溶液タンク6で第2凝集剤と溶解水を撹拌機21により撹拌混合して第2凝集剤溶液を生成し、その第2凝集剤溶液を凝集剤溶解機8でスクリーンろ過するとともに第2凝集剤溶液中の凝集剤を溶解処理し、第2の凝集剤溶液供給管9で第2凝集剤溶液を被処理汚泥に供給する第2凝集剤供給工程とからなることにより、以下に示す効果がある。
(1)通常時使用する適用適応範囲の広い凝集剤溶液を第1凝集剤供給工程によって被処理汚泥に供給し、被処理汚泥の性状が急激に変化した際に使用する第1凝集剤供給工程の凝集剤とは種類や特性の異なる非常時用の凝集剤溶液を第2凝集剤供給工程によって被処理汚泥に供給することが可能となる。これにより、汎用性の高い凝集剤は、大容量の凝集剤溶液槽4A,4Bで溶解水とともに時間を掛けて撹拌混合して粒状等の未溶解粒を溶解させ、凝集剤溶液槽4A,4Bに貯留し、通常時、被処理汚泥に必要量供給することができる。また、非常時用の第2凝集剤は、通常時は、溶解水に溶解させずに貯蔵しておき、非常時に、その第2凝集剤を溶解水とともに小容量の凝集剤溶液タンク6で短時間撹拌混合して未溶解を含む凝集剤溶液を生成し、さらに凝集剤溶解機8でその凝集剤溶液をスクリーンろ過して凝集剤の未溶解粒をスクリーン85で捕捉し、その未溶解粒を溶解処理して凝集剤溶液に溶解させることで、必要なときに短時間で十分溶解された凝集剤溶液を生成して被処理汚泥に供給することができる。通常時には、適応範囲の広い凝集剤溶液をその被処理汚泥の性状に応じて必要量供給して、被処理汚泥中の懸濁粒子の汚泥フロック形成を促すことができ、被処理汚泥の性状が急激に変化した場合には、短時間で非常時用の凝集剤溶液を生成して被処理汚泥に供給して汚泥フロック形成を促すことができる。これにより、被処理汚泥を汚泥脱水機で脱水後の脱水汚泥の含水率および分離液の性状を所定範囲で維持することができる効果がある。
(2)非常時用の凝集剤を従来の撹拌機を備えた大容量の凝集剤溶液槽で予め、時間をかけて溶解水に溶解させて凝集剤溶液を生成して貯留しておく必要がないため、非常時用の凝集剤溶液の凝集性能が時間経過とともに劣化していき、凝集剤溶液として使用不適になるまでに被処理汚泥の性状があまり変化せず、非常時用の凝集剤溶液を使用し切れずに廃棄してしまう無駄を回避することができる効果がある。
(3)通常時、非常時用の凝集剤は、溶解水で溶解させずに貯蔵することができ、必要なときに短時間でその凝集剤を溶解水で未溶解粒が十分溶解された凝集剤溶液を生成することができることから、非常時用の凝集剤を凝集性能が高い状態のまま長時間保存することができる効果がある。
(4)初沈汚泥、余剰汚泥、消化汚泥等、種類が異なる汚泥を被処理汚泥として同じ汚泥脱水システムで脱水処理する場合や、異なる原水を浄化する汚水処理システムから発生する被処理汚泥を1箇所の汚泥脱水システムで一括処理する場合においても、その処理する被処理汚泥の種類や性状に応じて、第1凝集剤供給工程で適用範囲の広い凝集剤溶液を、第2凝集剤供給工程で第1凝集剤供給工程の凝集剤とは種類や特性の異なる非常時用の凝集剤溶液を、それぞれ供給することによって、どのような種類、性状の被処理汚泥を脱水処理する場合でも、脱水汚泥の含水率および分離液の性状を所定範囲に維持することができる効果があり、しかも凝集剤に係るランニングコストを極力抑制することができる効果がある。
(5)第1凝集剤供給工程の凝集剤溶液供給管5と第2凝集剤供給工程の凝集剤溶液供給管9とを合流接続したことにより、2種類の凝集剤溶液を混ぜ合わせて様々な特性を有する凝集剤溶液を生成することができる。例えば、混合することで化学的反応が起こり、凝集剤の組成が変化し、汚泥懸濁物質の負極性帯電の中和作用が強化される場合、汚泥懸濁物質への高分子糸の吸着性能が強化される場合、高分子糸同士の架橋結合が強化される場合等、生成された凝集剤溶液は、単に2種類の凝集剤を別々に被処理汚泥に供給する場合に比べ、凝集性能が飛躍的に向上する効果がある。また、様々な性状の被処理汚泥に対して、最適な特性の凝集剤溶液を供給することができる効果がある。
(6)第1凝集剤供給工程に適応範囲の広い高分子凝集剤を適用し、第2凝集剤供給工程に第1凝集剤供給工程の凝集剤とは種類や特性の異なる非常時用の高分子凝集剤を適用し、通常時は、第1凝集剤供給工程からの適用範囲の広い高分子凝集剤溶液を被処理汚泥に適量供給して、脱水処理を行うようにすることができる。そして、被処理汚泥の性状が急激に変化したときに、第2凝集剤供給工程で非常時用の高分子凝集剤を凝集剤溶液タンク6によって溶解水と共に短時間撹拌混合し、凝集剤溶解機8で高分子凝集剤の未溶解粒を溶解処理し、非常時用の高分子凝集剤溶液を生成して適用範囲の広い高分子凝集剤溶液に混合して、被処理汚泥に供給することができる。これにより、非常時用の高分子凝集剤の高分子鎖と、適応範囲の広い高分子凝集剤の高分子鎖の混ぜ合わされた凝集剤溶液中の分布状況を均一化させてから、被処理汚泥に供給することができるため、ばらつきが無く、平均的に汚泥フロックの形成を促すことができる効果がある。
(7)第2凝集剤供給工程の凝集剤溶解機8を、筒状容器80内に円筒スクリーン85を配設し、その円筒スクリーン85内に凝集剤溶液タンク6から凝集剤溶液を導入してスクリーンろ過し、駆動機88によって保持部材87A,87Bを介して一つまたは二つ以上の押圧部材86を円筒スクリーン85内面に沿って移動させることで円筒スクリーン85内面に付着する凝集剤の未溶解粒を押圧して溶解させる構成としたことにより、凝集剤溶液タンク6で粒状等の凝集剤と溶解水を短時間で撹拌混合するだけでは、溶解し切れない凝集剤の未溶解粒を確実に溶解させることができる効果がある。特に、溶解水に容易に溶解しない高分子凝集剤を第2凝集剤供給工程の凝集剤に適用する場合に大きな効果がある。
(8)一般に、特殊な性状の被処理汚泥に対して高い凝集性能を発揮する凝集剤は高価なものが多い。この実施の形態1の汚泥脱水システムにおいて、第1凝集剤に適応範囲の広い安価であるがほどほどの凝集性能の凝集剤を適用し、第2凝集剤に高価であるが非常時の被処理汚泥に高い凝集性能を発揮する凝集剤を適用した場合においては、高価な凝集剤の使用量を極力削減しつつ、汚泥脱水機1で脱水処理される脱水汚泥の含水率や分離液の性状を所定範囲内に維持することができるので、被処理汚泥の性状変化に対応することができながらも、ランニングコストの大幅な低減も図ることができる効果がある。
実施の形態2.
図5は、実施の形態2における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図1と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。この実施の形態2の汚泥脱水システムは、前記実施の形態1の汚泥脱水システムとは、第2の凝集剤溶液供給管9に第1の凝集剤溶液供給管5が合流接続している点が大きく異なる。その他、汚泥脱水システムの構成や動作等に関しては、実施の形態1と概ね同様である。
以上のように、この実施の形態2の汚泥脱水システムによれば、実施の形態1で示した様々な効果に加えて、以下の効果がある。この汚泥脱水システムでは、通常時、第1凝集剤供給工程によって第1凝集剤溶液のみが被処理汚泥に供給され、被処理汚泥の性状が急激に変化した場合、第2凝集剤供給工程で第2凝集剤を生成し、第1凝集剤溶液と混合して生成した混合凝集剤溶液が被処理汚泥に供給されるようになっており、第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液の混合比率によって様々な特性の混合凝集剤溶液を生成可能となっている。この実施の形態2では、第2の凝集剤溶液供給管9に第1の凝集剤溶液供給管5が合流する配管構成となっていることから、第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液の両方が供給されているときは、第2凝集剤溶液側の方が流れやすくなっている。このため、混合凝集剤溶液を生成する際、第2凝集剤溶液の混合比率を高くしやすく、第2凝集剤溶液の混合比率の高い混合凝集剤溶液の方が、性状が急激に変化したときの被処理汚泥に対して有効に作用するような場合においては、この実施の形態2の構成は特に効果がある。
実施の形態3.
図6は、実施の形態3における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図1と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。この実施の形態3の汚泥脱水システムは、前記実施の形態1の汚泥脱水システムとは、第1凝集剤供給工程の第1凝集剤溶液を生成するための構成に、第2凝集剤供給工程と同様、凝集剤溶液タンク6B、凝集剤溶解機8B、圧送ポンプ22B、制御器23B等を適用した点が大きく異なる。その他、汚泥脱水システムの構成や動作等に関しては、実施の形態1と概ね同様である。また、第1凝集剤供給工程による第1凝集剤溶液の生成プロセスについては、第2凝集剤溶液の生成プロセスと同様である。
以上のように、この実施の形態3の汚泥脱水システムによれば、実施の形態1で示した様々な効果に加えて、以下の効果がある。実施の形態1の第1凝集剤供給工程のように大容量の凝集剤溶解槽4A,4Bを複数台設置する構成は、設置面積が大きい。これに対し、この実施の形態3の第1凝集剤供給工程では、小容量の凝集剤溶液タンク6Bと凝集剤溶解機8Bの主要構成であるため、設置面積が小さく、汚泥脱水システムの設置に当たって面積の制約があるところにおいては大きな効果がある。また、被処理汚泥の性状が非常時の状態で長く継続し、第1凝集剤溶液の使用量が通常の場合よりも大幅に減少してしまった場合においても、実施の形態1の大容量の凝集剤溶解槽4A,4Bによる構成では、貯留されている第1凝集剤溶液の凝集性能が低下していてしまう問題が生じるが、実施の形態3の第1凝集剤供給工程の構成では、短時間で第1凝集剤溶液を生成して被処理汚泥に供給するため、第1凝集剤溶液の凝集性能が低下することがないという効果がある。
実施の形態4.
図7は、実施の形態4における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図1と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。この実施の形態4の汚泥脱水システムは、前記実施の形態1の汚泥脱水システムとは、第1の凝集剤溶液供給管5と第2の凝集剤溶液供給管9のそれぞれを汚泥供給管2に対して個々に接続した点、そして汚泥供給管2の第1の凝集剤溶液供給管5の接続箇所よりも下流側に第2の凝集剤溶液供給管9を接続した点が大きく異なる。
この実施の形態4の汚泥脱水システムでは、第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液を混ぜ合せずに個別に被処理汚泥に対して供給するようになっている。つまり、通常時は、被処理汚泥に対して第1凝集剤溶液供給工程から第1凝集剤溶液を供給し、被処理汚泥中の懸濁物質粒子の凝集を促進して汚泥脱水機1で脱水処理を行う。そして、被処理汚泥の性状が急激に変化して第1凝集剤溶液を供給しても懸濁物質粒子の汚泥フロック形成が不十分である場合には、第2凝集剤供給工程で第2凝集剤溶液を生成して被処理汚泥に補助的に供給し、成長が不十分な汚泥フロックのさらなる成長を促して、脱水処理後の脱水汚泥の含水率や分離液の性状を所定範囲内に維持するようになっている。なお、脱水処理する被処理汚泥の性状変化の傾向によっては、通常時は、被処理汚泥に対して第1凝集剤溶液のみを供給し、被処理汚泥の性状が急激に変化したときには、第2凝集剤溶液のみを供給するようにしてもよい。その他の汚泥脱水システムの構成や動作等に関しては、実施の形態1と概ね同様である。
以上のように、この実施の形態4の汚泥脱水システムによれば、実施の形態1で示された(5)および(6)を除く様々な効果が得ることができることに加え、次に示す効果がある。被処理汚泥の性状が急激に変化し、第1凝集剤溶液のみでは汚泥フロックの形成が不十分な場合であっても、非常時用として第2凝集剤溶液を追加供給するだけで汚泥フロックの形成が十分である場合においては、混合凝集剤の混合比率の制御等を制御器23で制御する必要がないので、実施の形態1に比べて制御が簡単になり、制御器23等のイニシャルコストを低減できる効果がある。
実施の形態5.
図8は、実施の形態5における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図5と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。この実施の形態5の汚泥脱水システムは、前記実施の形態2の汚泥脱水システムとは、汚泥供給管2の第1の凝集剤溶液供給管5の接続箇所よりも上流側に第2の凝集剤溶液供給管9を接続した点が大きく異なる。その他、汚泥脱水システムの構成や動作等に関しては、実施の形態4と概ね同様である。
以上のように、この実施の形態5の汚泥脱水システムによれば、実施の形態4で示した様々な効果のほかに、第1凝集剤として適用する凝集剤と第2凝集剤として適用する凝集剤の特性の違い等の要因によって、非常時に追加供給する第2凝集剤を通常時に使用する第1凝集剤よりも先に被処理汚泥に供給した方が汚泥フロックの形成促進に有効である場合に特に効果がある。
実施の形態6.
図9は、実施の形態6における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図7と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。この実施の形態6の汚泥脱水システムは、前記実施の形態4の汚泥脱水システムとは、第1凝集剤供給工程の第1凝集剤溶液を生成するための構成に、第2凝集剤供給工程と同様、凝集剤溶液タンク6B、凝集剤溶解機8B、圧送ポンプ22B、制御器23B等を適用した点が大きく異なる。その他、汚泥脱水システムの構成や動作等に関しては、実施の形態4と概ね同様である。また、第1凝集剤供給工程による第1凝集剤溶液の生成プロセスについては、第2凝集剤溶液の生成プロセスと同様である。
以上のように、この実施の形態6の汚泥脱水システムによれば、実施の形態4で示した様々な効果に加えて、実施の形態3に示した特有の効果も得られる。
実施の形態7
図10は、実施の形態7における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図1と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。この実施の形態7の汚泥脱水システムは、1本の汚泥供給管2から複数基(図10では3基)の汚泥脱水機1A,1B,1Cに被処理汚泥を分流供給する点、第2凝集剤供給工程の凝集剤溶解機8から流出する第2凝集剤溶液を凝集剤溶液供給タンク25に一時貯留可能とした点が前記実施の形態1と大きく異なる。
この実施の形態7の汚泥脱水システムにおいて、汚泥供給管2は各汚泥脱水機1A,1B,1Cに接続された分岐供給管部2A,2B,2Cを有し、これらの分岐供給管部2A,2B,2Cのそれぞれに汚泥供給ポンプ3A,3B,3Cが設けられた構造となっている。そして、前記分岐供給管部2A,2B,2Cのそれぞれには、第1の凝集剤溶液供給管5下流側の分岐供給管部5C,5D,5Eが接続され、該分岐供給管部5C,5D,5Eのそれぞれに溶液圧送ポンプ17A,17B,17Cが設けられている。また、凝集剤溶解機8の凝集剤溶液流出系統には凝集剤溶液供給タンク25が配設されている。この凝集剤溶液タンク25には、凝集剤溶解機8の凝集剤溶液流出口80Cから流出する第2凝集剤溶液を凝集剤溶液供給タンク25に流入させる第2の凝集剤溶液供給管24と、凝集剤溶液供給タンク25から流出する第2凝集剤溶液を第1の凝集剤溶液供給管5系統の第1凝集剤溶液に供給する第2の凝集剤溶液供給管26とが接続されている。第2の凝集剤溶液供給管26は、これの分岐供給管部26A,26B,26Cが第1の凝集剤溶液供給管5の分岐供給管部5C,5D,5Eにそれぞれ接続されている。そして、第2の凝集剤溶液供給管26の分岐供給管部26A,26B,26Cのそれぞれに溶液圧送ポンプ27A,27B,27Cが設けられている。
次に、実施の形態7における汚泥脱水システムの作用を説明する。汚泥脱水工程においては、汚泥供給管2を流れる被処理汚泥が汚泥供給管2の分岐供給管部2A,2B,2Cからそれぞれの系統の汚泥供給ポンプ3A,3B,3Cにより複数基の汚泥脱水機1A,1B,1Cに分配供給される。これと同時に、第1凝集剤供給工程では、凝集剤溶液槽4A,4Bのいずれか一方から第1の凝集剤溶液供給管5に流入した第1凝集剤溶液が、第1の凝集剤溶液供給管5の分岐供給管部5C,5D,5Eそれぞれの系統の溶液圧送ポンプ17A,17B,17Cによって汚泥供給管2の分岐供給管部2A,2B,2Cに供給される。これにより、第1凝集剤溶液が注入された被処理汚泥が汚泥脱水機1A,1B,1Cのそれぞれに分配供給されるため、被処理汚泥中の懸濁粒子の汚泥フロック形成が促進されて汚泥脱水機1A,1B,1Cでは、被処理汚泥を分離液と脱水汚泥とに効率よく分離することができると共に、脱水後の脱水汚泥の含水率および分離液の性状を所定範囲で維持することができる。
以上は通常時の汚泥脱水処理であり、被処理汚泥の性状が急激に変化した場合の非常時には第2凝集剤供給工程が実行される。第2凝集剤供給工程では、前記実施の形態1の場合と同様に凝集剤溶液タンク6で生成された第2凝集剤溶液が凝集剤溶解機8に流入して溶解処理される。溶解処理後の第2凝集剤溶液は、凝集剤溶解機8から第2の凝集剤溶液供給管24に流出することにより、凝集剤溶液供給タンク25に移送されて一時的に貯留される。その凝集剤溶液供給タンク25に貯留された第2凝集剤溶液は、第2の凝集剤溶液供給管26系統の溶液圧送ポンプ27A,27B,27Cの起動により、凝集剤溶液供給管26の分岐供給管部26A,26B,26Cから第1の凝集剤溶液供給管5の分岐供給管部5C,5D,5Eにそれぞれ分配供給される。
このようにして、第1の凝集剤溶液供給管5の分岐供給管部5C,5D,5Eでは、第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液が混合され、実施の形態1の場合と同様、様々な特性の混合凝集剤溶液を生成することができる。その混合凝集剤溶液が汚泥供給管2の分岐供給管部2A,2B,2Cに分流する被処理汚泥に供給された後、その被処理汚泥が汚泥脱水機1A,1B,1Cのそれぞれに分配供給される。これにより、被処理汚泥の性状が急激に変化した場合でも、複数基の汚泥脱水機1A,1B,1Cでは、被処理汚泥を分離液と脱水汚泥とに効率よく分離することができると共に、脱水後の脱水汚泥の含水率および分離液の性状を所定範囲で維持することができる。その他、汚泥脱水システムの構成や動作等に関しては、実施の形態1と概ね同様である。
以上のように、実施の形態7における汚泥脱水システムによれば、前記実施の形態1と同様の効果に加え、以下に示す効果がある。実施の形態1における第2凝集剤供給工程では、1本の第1の凝集剤溶液供給管5に第2凝集剤溶液を供給する構成であったため、凝集剤溶液タンク6から凝集剤溶解機8に第2凝集剤溶液を圧送する圧送ポンプ22の圧送力を利用して第1の凝集剤溶液供給管5に直接供給することが可能であった。これに対して、この実施の形態7の場合では、第2凝集剤供給工程は、複数個所の第1の凝集剤供給管5の分岐供給管部5C,5D,5Eへ第2凝集剤溶液を供給する必要があるが、凝集剤溶解機8から分岐供給管部5C,5D,5Eへ第2の凝集剤溶液供給管24に分岐管部を設けて圧送ポンプ22の圧送力で直接供給しようとしても、各分岐管部の配管抵抗を均等にすることは困難であり、各分岐管部への第2凝集剤溶液の供給量にばらつきが発生する問題があった。
この実施の形態7の汚泥脱水システムの構成とすることにより、凝集剤溶解機8で溶解処理した第2凝集剤溶液を凝集剤溶液供給タンク25に一時貯留し、各分岐供給管部26A,26B,26Cに設けた溶液圧送ポンプ27A,27B,27Cによって第1の凝集剤溶液供給管5の分岐管部5C,5D,5Eへ圧送供給するようにしたことから、第2凝集剤溶液を供給量のばらつきなく必要量供給することができる。また、溶解処理された第2凝集剤溶液を凝集剤溶液供給タンク25に一時貯留することが可能となったことにより、何らかの不具合によって一時的に凝集剤溶解機8の制御が不安定になり、溶解濃度等にばらつきが発生した場合においても、凝集剤溶液供給タンク25内で一時的に貯留されるときに所定量の第2凝集剤溶液が混合される状況になるので、溶解濃度等のばらつきを均一化できる効果もある。
なお、汚泥脱水システムを実施の形態2の場合と同様、第2の凝集剤溶液供給管の分岐供給管部26A,26B,26Cを汚泥供給管2の分岐供給管部2A,2B,2Cにそれぞれ接続し、第1の凝集剤溶液供給管5の分岐管部5C,5D,5Eを第2の凝集剤溶液供給管の分岐供給管部26A,26B,26Cにそれぞれ接続した構成としてもよく、この場合、実施の形態2で示した効果に加えて、実施の形態7特有の効果の効果が得られる。また、実施の形態3で示した第1凝集剤供給工程に凝集剤溶液タンク6B、凝集剤溶解機8B、圧送ポンプ22B、制御器23B等を適用した場合、実施の形態3特有の効果も同時に得られる。
実施の形態8.
図11は、実施の形態8における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図10と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。前記実施の形態7では、第1の凝集剤溶液供給管5を汚泥供給管2に接続し、その第1の凝集剤溶液供給管5に第2の凝集剤溶液供給管26を接続して、第1の凝集剤溶液供給管5を流れる第1凝集剤溶液に第2の凝集剤溶液供給管26から第2凝集剤溶液を供給し、その第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液の混合凝集剤溶液を第1の凝集剤溶液供給管5から汚泥供給管2の被処理汚泥に供給するようにしたが、この実施の形態8の汚泥脱水システムでは、実施の形態4の場合と同様に、第1の凝集剤溶液供給管5と第2の凝集剤溶液供給管26を汚泥供給管2に個々に接続した点が前記実施の形態7と大きく異なる。
すなわち、この実施の形態8における汚泥脱水システムは、前記実施の形態7の汚泥脱水システムにおいて、第2の凝集剤溶液供給管26の分岐供給管部26A,26B,26Cを、第1の凝集剤溶液供給管5の分岐供給管部5C,5D,5Eが汚泥供給管2の分岐供給管部2A,2B,2Cに接続している位置よりも下流側で接続した構成としている。これにより、実施の形態4で示した効果に加えて、前記実施の形態7の構成特有の効果も得られる。なお、実施の形態5の場合と同様、第2の凝集剤溶液供給管26の分岐供給管部26A,26B,26Cを、第1の凝集剤溶液供給管5の分岐供給管部5C,5D,5Eが汚泥供給管2の分岐供給管部2A,2B,2Cに接続している位置よりも上流側で接続した構成とすることも可能であり、この場合は、実施の形態5で示された効果に加えて、実施の形態7での構成特有の効果も得られる。
なお、その他の汚泥脱水システムの構成や動作等に関しては、実施の形態4と概ね同様である。また、実施の形態6で示した第1凝集剤供給工程に凝集剤溶液タンク6B、凝集剤溶解機8B、圧送ポンプ22B、制御器23B等を適用した場合、実施の形態6特有の効果も同時に得られる。
実施の形態9.
図12は、実施の形態9における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図10と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。前記実施の形態7の汚泥脱水システムでは、複数基の汚泥脱水機1A,1B,1Cを同一種のもので構成している。これに対して、実施の形態9の汚泥脱水システムでは、複数基の汚泥脱水機を異なる種類で構成している点、および複数種類の汚泥脱水機のうち、脱水性能が劣る汚泥脱水機に対する第1の凝集剤溶液供給管にのみ、第2凝集剤溶液を供給している点が大きく異なる。
実施の形態7では、汚泥脱水機1A,1B,1Cともに遠心脱水機を適用しているが、この実施の形態9の汚泥脱水システムでは、汚泥脱水機1Cに代えて、脱水性能の劣るベルトプレス脱水機を汚泥脱水機1Dとして適用している。また、凝集剤溶解機8の凝集剤溶液流出口80Cと第1の凝集剤溶液供給管5の下流側分岐管部5Eのみを第2の凝集剤溶液供給管9で接続している。これにより、この第2の凝集剤溶液供給管9から第2凝集剤溶液を第1の凝集剤溶液供給管5の分岐供給管部5Eだけで第1凝集剤溶液と合流させ、第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液の混合凝集剤溶液を汚泥供給管2の分岐供給管部2Cから汚泥脱水機(ベルトプレス脱水機)1Dにのみ供給し、他の汚泥脱水機1A,1Bには第1凝集剤溶液のみ供給するようにしている。
この実施の形態9における汚泥脱水システムによれば、以下に示す効果がある。既存の汚泥脱水システムにさらに汚泥脱水機を追加する場合や、複数台の汚泥脱水機を有する汚泥脱水システムで、劣化等によって汚泥脱水機を交換する際、諸事情から全てを交換できず、既設と新設の汚泥脱水機が混在する場合では、汚泥脱水機によって、脱水汚泥の含水率、分離液の性状を所定範囲内とするために必要な被処理汚泥中の汚泥フロックの形成度合いに差が発生する。例えば、ベルトプレス脱水機(汚泥脱水機1D)は、遠心脱水機(汚泥脱水機1A,1B)に比べて、被処理汚泥中の汚泥フロックをさらに大きく形成させないと、脱水後の脱水汚泥の含水率、分離液の性状を所定範囲内とすることは難しい。しかし、ベルトプレス脱水機(汚泥脱水機1D)に合わせた種類の凝集剤を選定したり、凝集剤溶液の供給量を増量して全ての汚泥脱水機1A,1B,1Dへ供給したりすることは、ランニングコストが嵩むので、好ましくない。
この実施の形態9の汚泥脱水システムは、被処理汚泥の汚泥フロックの形成を特に促してやる必要がある汚泥脱水機(ベルトプレス脱水機)1Dへ供給する被処理汚泥にだけ、第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液を混合して生成した混合凝集剤溶液を供給し、汚泥フロックのさらなる形成を促進させることで、全ての汚泥脱水機1A,1B,1Dにおける脱水後の脱水汚泥の含水率、分離液の性状を所定範囲内とすることができる。また、汚泥脱水機1A,1B,1Dの性能差が小さい場合には、通常時の性状の被処理汚泥を脱水処理するときであって、第1凝集剤供給工程から1種類の凝集剤溶液を被処理汚泥に供給するだけで、全ての汚泥脱水機が脱水汚泥の含水率、分離液の性状を所定範囲内とすることが可能であるときには、性能の劣る汚泥脱水機1Dに対しても第1凝集剤溶液のみを供給するようにする。そして、被処理汚泥の性状が急激に変化して汚泥脱水機1Dでは所定範囲内の脱水汚泥、分離液に脱水処理することができないときには、第2凝集剤溶液を第1凝集剤溶液に供給して凝集性能が強化された混合凝集剤溶液を生成して、汚泥脱水機1Dに供給する被処理汚泥にのみ混合凝集剤溶液を供給することで、汚泥脱水機1Dでも所定範囲内の含水率の脱水汚泥、所定範囲内の性状の分離液を維持するようにするとよい。なお、その他の汚泥脱水システムの構成や動作等に関しては、実施の形態1と概ね同様である。
以上、この実施の形態9の汚泥脱水システムによれば、実施の形態1で示した様々な効果に加えて、被処理汚泥の汚泥フロックの形成を特に促してやる必要がある汚泥脱水機(ベルトプレス脱水機)1Dへ供給する被処理汚泥にだけ、第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液を混合して生成した混合凝集剤溶液を供給し、汚泥フロックのさらなる形成を促進させることで、全ての汚泥脱水機1A,1B,1Dにおける脱水後の脱水汚泥の含水率、分離液の性状を所定範囲内とすることが可能となる効果がある。なお、汚泥脱水システムを実施の形態2の場合と同様、第2の凝集剤溶液供給管9を汚泥供給管2の分岐供給管部2Cに接続し、第1の凝集剤溶液供給管5の分岐管部5Eを第2の凝集剤溶液供給管9に接続した構成としてもよく、この場合、実施の形態2で示した効果に加えて、この実施の形態9特有の効果の効果が得られる。また、実施の形態3で示した第1凝集剤供給工程に凝集剤溶液タンク6B、凝集剤溶解機8B、圧送ポンプ22B、制御器23B等を適用した場合、実施の形態3特有の効果も同時に得られる。
実施の形態10.
図13は、実施の形態10における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図12と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。前記実施の形態9の汚泥脱水システムでは、第2の凝集剤溶液供給管9を第1の凝集剤溶液供給管5の分岐供給管部5Eに接続して、その分岐供給管部5Eで第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液を合流させて汚泥供給管2の分岐供給管部2Cに供給したが、この実施の形態10の汚泥脱水システムでは、実施の形態4の場合と同様に、第2の凝集剤溶液供給管9を、第1の凝集剤溶液供給管5の分岐供給管部5Eが汚泥供給管2の分岐供給管部2Cに接続している位置よりも下流側で接続した構成としている点が前記実施の形態9と大きく異なる。その他の汚泥脱水システムの構成や動作等に関しては、実施の形態4と概ね同様である。
以上のように、実施の形態10における汚泥脱水システムによれば、これにより、実施の形態4で示した効果に加えて、前記実施の形態9の構成特有の効果も得られる。なお、実施の形態5の場合と同様、第2の凝集剤溶液供給管9を、第1の凝集剤溶液供給管5の分岐供給管部5Eが汚泥供給管2の分岐供給管部2Cに接続している位置よりも上流側で接続した構成とすることも可能であり、この場合は、実施の形態5で示された効果に加えて、この実施の形態9での構成特有の効果も得られる。また、実施の形態6で示した第1凝集剤供給工程に凝集剤溶液タンク6B、凝集剤溶解機8B、圧送ポンプ22B、制御器23B等を適用した場合、実施の形態6特有の効果も同時に得られる。
実施の形態11.
図14は、実施の形態11における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図1と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。この実施の形態9の汚泥脱水システムは、前記実施の形態1における汚泥脱水システムの第2凝集剤供給工程において、凝集剤溶解機8から流出する第2の凝集剤溶液の粘度を測定し、その粘度測定値に応じて凝集剤溶解機8の運転を制御するようにした点が、前記実施の形態1と大きく異なる。
この実施の形態11における汚泥脱水システムにおいて、凝集剤溶解機8の凝集剤溶液流出口80Cと第1の凝集剤溶液供給管5とを接続する第2の凝集剤溶液供給管9には、凝集剤溶解機8から流出する第2凝集剤溶液の濃度を測定し、その測定値信号を制御器23に送信する粘度計30が設けられている。この粘度計30には、回転式、振動式、細管式、落体式があり、その何れをも適用可能であり、それぞれの概要構造を以下に説明する。
(1)回転式の粘度計30は、測定対象の凝集剤溶液中に駆動機の動力によって回転する回転円筒管を挿入して回転トルクを測定し、回転トルクとの相関関係から粘度を算出する構造となっている。
(2)振動式の粘度計30は、測定対象の凝集剤溶液中に振動子を挿入し、その振幅や振動維持に要する電流量との相関関係から粘度を算出する構造となっている。
(3)細管式の粘度計30は、細管に測定対象の凝集剤溶液を流し、その前後の差圧を測定し、その差圧との相関関係から粘度を算出する構造となっている。
(4)落体式の粘度計30は、垂直に置かれた円管中に測定対象の凝集剤溶液中で円柱を落下させて落下時間を測定し、その落下時間との相関関係から粘度を算出する構造となっている。
制御器23は、前記粘度計30による凝集剤溶液の粘度測定値に応じて凝集剤溶解機8の運転、すなわち前記駆動機88の回転数を制御するようになっている。第2凝集剤供給工程の凝集剤供給機18から凝集剤溶液タンク6に供給する第2凝集剤の種類毎に第2の凝集剤溶液の粘度と凝集性能(凝集性能は、例えば、実際に被処理汚泥に供給し、その被処理汚泥を汚泥脱水機1で脱水処理したときの脱水汚泥の含水率や、分離液の性状を指標にする。)との相関関係を予め調べておき、最適な溶解具合のときの粘度を最適値として定め、その最適値の粘度(以下、粘度最適値という)を制御器23に記憶させておく。このように粘度最適値を記憶した制御器23には、粘度計30から測定値信号が常時あるいは所定時間毎に送信されるようになっている。
凝集剤溶解機8で溶解処理する際の運転制御は、例えば、単純な方法としては、以下のような制御が適用可能である。まず、駆動機88を低速で起動して押圧部材86を低速で円筒スクリーン85内面を移動させて未溶解粒の溶解処理を開始する。粘度計30で測定され、制御器23に測定値信号で取り込まれた溶解処理された第2凝集剤溶液の粘度測定値が粘度最適値になるまで、徐々に駆動機88の回転数を上昇させていく。そして、粘度測定値が粘度最適値に達したときに駆動機88の回転数を維持する。通常は、被処理汚泥の性状が大幅に変わらないと、第2凝集剤溶液の供給量を変えることはあまりないので、この単純な制御のみでも十分に対応可能である。また、被処理汚泥の性状が急激に変化し、第2凝集剤溶液の被処理汚泥への供給量を増やす必要が生じた場合には、凝集剤溶解機8で溶解処理される凝集剤溶液の流量が増加し、円筒スクリーン85内面に付着する未溶解粒の量も増加するので、当然最適な駆動機88の回転数が変わる。この場合は、再度、同様の制御を行わせて駆動機88の最適な回転数になるように、汚泥脱水システムの運転管理者が制御器23をリスタートする等し、再調整するとよい。
なお、通常の場合、第2凝集剤溶液の被処理汚泥への供給量は、その汚水脱水システムの運転管理者が汚泥脱水機1から排出される脱水汚泥の状況や分離液の状況を見て、増減を判断するので、制御器23に第2凝集剤溶液の供給量の増減に応じて、駆動機88の回転数を再調整する制御を自動で行わせる必要性は低い。しかし、被処理汚泥の性状に応じて第2凝集剤溶液の供給量を自動制御することを制御器23で行う場合には、供給量の変化を制御器23が認識できるようにするために第2の凝集剤溶液供給管9等に流量計を設置する、圧送ポンプ22の回転数を認識する回路を制御器23内に組み込む等して、駆動機88の回転数制御を行うとよい。特に、第2凝集剤溶液の供給量が自動的に変動する場合には、現在の粘度測定値の実測データのみでは駆動機88の制御が難しい。前回あるいは数回前までの粘度測定値も制御器23内に記憶できるようにしておき、第2凝集剤溶液の粘度の変化を見て駆動機88の回転数制御を行うような制御を組み込むことや、適応制御、ファジー制御、ニューラルネットワークによる制御等の高度な制御を組み込むことが望ましい。
次に、実施の形態11における汚泥脱水システムの作用を説明する。前記実施の形態1と同様に、第1凝集剤工程が実行され、被処理汚泥の性状の急激な変化時等の非常時には、第1凝集剤供給工程と第2凝集剤供給工程の両方が実行される。第2凝集剤供給工程では、凝集剤溶解機8から流出した第2凝集剤溶液が凝集剤溶液供給管9を通って第1の凝集剤溶液供給管5に供給されるが、このとき、第2凝集剤溶液の粘度が粘度計30によって測定され、その測定値信号が制御器23に送信される。制御器23は、上述したように、第2凝集剤溶液の粘度測定値に応じて駆動機88の回転数を制御する。その回転数制御によって、第1凝集剤溶液供給管5を流れる第1凝集剤溶液に最適粘度の第2凝集剤溶液が供給される。これにより、第1の凝集剤溶液供給管5では、これを流れる第1凝集剤溶液と凝集剤溶液供給管9から供給された最適粘度の第2凝集剤溶液とが混合し、その混合凝集剤溶液が第1の凝集剤溶液供給管5から汚泥供給管2の被処理汚泥に供給される。
そして、前記混合凝集剤溶液が供給された被処理汚泥が汚泥供給管2で汚泥脱水機1に送られることにより、該汚泥脱水機1では、混合凝集剤溶液の強力な凝集作用によって汚泥フロックの形成が促進された被処理汚泥が脱水汚泥と分離液とに効率よく分離され、脱水後の脱水汚泥の脱水率および分離液の性状が所定範囲で維持される。その他の汚泥脱水システムの構成や動作等に関しては、実施の形態1と概ね同様である。
以上のように、実施の形態11の汚泥脱水システムによれば、粒状等の第2凝集剤を溶解水に溶解させて第2凝集剤溶液を生成するに当たり、凝集剤溶液タンク6内で第2凝集剤と溶解水とを撹拌機21により撹拌混合して第2凝集剤溶液を生成し、さらに、凝集剤溶解機8で円筒スクリーン85に第2凝集剤溶液を取り入れてスクリーンろ過し、さらに未溶解粒の溶解処理を行い、その凝集剤溶解機8から流出した第2凝集剤溶液の粘度を粘度計30で測定した結果を基に制御器23で凝集剤溶解機8の運転を制御する構成としたことにより、実施の形態1で示した効果に加えて以下に示す効果がある。
(1)凝集剤溶液は、溶解水中での溶解具合によって凝集性能が変化する性状を有しており、この溶解具合と凝集性能との相関関係は、使用する凝集剤の種類によって異なる。また、凝集剤溶液の溶解具合は、粘度と相関関係がある。すなわち、凝集剤溶液の粘度と凝集性能には相関関係がある。予め、この相関関係から第2凝集剤溶液が最適な凝集性能を発揮するときの粘度を最適値として特定して制御器23に記憶させ、粘度計30の測定値に応じて凝集剤溶解機8の運転を制御することにより、常時、最適な凝集性能の第2凝集剤溶液を第1凝集剤溶液に供給して、その混合凝集剤溶液を汚泥供給管2内の被処理汚泥に供給することが可能となり、脱水性能が大幅に向上する効果がある。
(2)第2凝集剤溶液の溶解具合の指標として粘度を測定してその測定値に応じて制御器23で凝集剤溶解機8の運転を調整しており、常時、最適な凝集性能の第2凝集剤溶液を第1凝集剤溶液に供給し、その混合凝集剤溶液を被処理汚泥に供給できることから、被処理汚泥の性状が変化した場合においても、高い脱水性能を維持できる効果がある。
(3)第2凝集剤溶液の供給量を増減させた場合においても、第2凝集剤溶液の粘度計30の測定値に応じて制御器23が凝集剤溶解機8の運転を調整するので、凝集剤溶解機8への第2凝集剤溶液の流入量が変化しても、最適な凝集性能の第2凝集剤溶液を供給することができる効果がある。
(4)従来の凝集剤溶解機を手動で調整する場合においては、熟練の作業員であっても最適な溶解具合になるよう調整することは困難であり、最適値よりも回転数が若干低く調整すると第2凝集剤の溶解不足が懸念されるので、通常、最適値よりも回転数を若干高めに調整することが多く、過撹拌状態気味である。また、過撹拌状態気味で生成されて凝集性能が若干低下した第2凝集剤溶液であっても高い凝集性能を発揮させるために、第2凝集剤溶液を所定量よりも多く供給している。この実施の形態11の汚泥脱水システムでは、凝集剤溶解機8が過撹拌状態となることを防止できるので、凝集剤溶液を所定量よりも多く供給する必要がなく、ランニングコストの低減を図ることができる効果がある。
(5)粘度計30と制御器23で凝集剤溶解機8の運転を最適な状態で維持することができることから、従来、手動で凝集剤溶解機8の運転を調整していた場合で、安全を見て最適状態よりも過剰気味に調整してしまっていたときに比べて、消費電力を低減することができ、部品の磨耗も低減させることができる効果がある。
(6)凝集剤溶液タンク6で第2凝集剤と溶解水を撹拌混合させて生成された第2凝集剤溶液を、凝集剤溶解機8の筒状容器80内に導入して円筒スクリーン85でろ過処理し、円筒スクリーン85内面に付着した第2凝集剤の未溶解粒を押圧部材86で押圧して溶解処理する構成としたことにより、未溶解粒が残存したままの第2凝集剤溶液が第1凝集剤溶液に供給されてしまうことを防止でき、かつ未溶解粒を確実に溶解させることができる効果がある。
(7)制御器23は、粘度計30が測定する凝第2集剤溶液の粘度測定値に応じて、凝集剤溶解機8の駆動機88の回転を制御する構成としたことにより、駆動機88が保持部材87A,87Bを介して移動力を付与している押圧部材86の円筒スクリーン85内面に沿って移動する速度を調整することができ、即応性に優れた溶解処理を行うことができる効果がある。
なお、実施の形態3に示したような第1凝集剤供給工程に凝集剤溶解機8Bを適用した場合においても、粘度計30と制御器23による構成で凝集剤溶解機8Bの駆動機88の回転を制御することで、この実施の形態11と同様の効果を得られる。
実施の形態12.
図15は、実施の形態12における汚泥脱水システムを示すフロー図であり、図14と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。また、凝集剤溶解機8に関しては、実施の形態1のものと同様の構造であるので、図2のA−A線方向断面図と、図3のB−B線方向断面図を援用する。この実施の形態12の汚泥脱水システムは、実施の形態4と同様、第1の凝集剤溶液供給管5と第2の凝集剤溶液供給管9を汚泥供給管2に対して個々に接続した点、そして汚泥供給管2の第1の凝集剤溶液供給管5の接続箇所よりも下流側に第2の凝集剤溶液供給管9を接続した点が前記実施の形態11と大きく異なる。その他の構造は前記実施の形態11と同一構造である。
以上のように、この実施の形態12の汚泥脱水システムによれば、実施の形態3で示した効果に加えて、前記実施の形態11の構成特有の効果も得られる。なお、実施の形態5の場合と同様、第2の凝集剤溶液供給管9を、第1の凝集剤溶液供給管5が汚泥供給管2に接続している位置よりも上流側で接続した構成とすることも可能であり、この場合は、実施の形態5で示された効果に加えて、この実施の形態11での構成特有の効果も得られる。また、実施の形態6に示したような第1凝集剤供給工程に凝集剤溶解機8Bを適用した場合においても、粘度計30と制御器23による構成で凝集剤溶解機8Bの駆動機88の回転を制御することで、この実施の形態12と同様の効果を得られる。
実施の形態1に示した汚泥脱水システムの構成を用いて、実際に汚泥を脱水処理したときの結果について、以下に示す。この実施例1は、以下の実施条件で行われた。
〔実施条件〕
○第1凝集剤供給工程
・凝集剤溶液槽4A,4B 容量:各60m3
・攪拌機14A,14B:15.0kW
・溶解水:汚水処理施設での処理水
・第1凝集剤:カチオン系高分子凝集剤 主成分:アクリル酸ジメチルアミノエチル
・第1凝集剤溶液:溶液濃度 0.3%
・溶液圧送ポンプ17:一軸ねじポンプ 吐出流量 最大330L/min,
動力 7.5kW
○第2凝集剤供給工程
・凝集剤溶液タンク6 容量:1.4m3
・攪拌機21:2.2kW
・溶解水:汚水処理施設での処理水,供給量 183L/min
・第2凝集剤:カチオン系高分子凝集剤(主成分:アミジン) ,供給量 最大360g/min
・第2凝集剤溶液:溶液濃度 0.2%
・圧送ポンプ22:一軸ねじポンプ 吐出流量 最大180L/min,
動力 3.7kW
・凝集剤溶解機8:駆動機88 電動機を使用、インバータで回転数制御
(制御周波数範囲 17〜42Hz)
○汚泥脱水工程
・汚泥脱水機1:遠心型脱水機 設定差速 5min-1
・汚泥脱水機1への汚泥供給量:80m3/h
・汚泥脱水機1への汚泥の総供給量:2000m3
・混合凝集剤溶液の薬注量:180L/min
・混合凝集剤溶液の薬注率:1.0%/TS
この実施例1では、第1凝集剤に適用範囲が広い比較的安価な粒状カチオン系高分子凝集剤を使用し、第2凝集剤に凝集効果は高いが高価なカチオン系高分子凝集剤(主成分:アミジン)を使用した。また、第1凝集剤溶液と第2凝集剤溶液を混合した混合凝集剤溶液の被処理汚泥への供給量(薬注量)を180L/minとした。そして、第2凝集剤溶液の比率が0%,30%,50%,70%,100%の5種類の混合凝集剤溶液を生成して、それぞれ被処理汚泥に供給し、汚泥脱水機1で脱水処理を行った。これらの結果を図16に示す。
これによると、汚泥脱水機1で脱水処理された脱水汚泥の含水率は、第2凝集剤溶液の混合比率が0%のとき77.5%であるのに対し、混合比率が100%のとき76.1%であり、第2凝集剤溶液の混合比率を増やしていくに従い、脱水汚泥の含水率は低下していく傾向にある。また、汚泥処分費に関しても、混合比率0%のとき2,667千円であるのに対し、混合比率100%のとき2,515千円にまで低減される。しかし、高価なPVAの混合比率を増やしていくため、薬剤費の合計額は、混合比率0%のとき180千円であるのに対し、混合比率100%のとき300千円まで増加してしまう。よって、脱水汚泥の汚泥処分費と薬剤費のトータルコストで、最適な混合比率を見つける必要がある。そうすると、この実施例1の場合では、第2凝集剤溶液の混合比率を50%としたとき、トータルコストが2,799千円と最も低く、第1凝集剤溶液のみを被処理汚泥に供給(すなわち、第2凝集剤溶液の混合比率0%)して脱水処理した場合に比べ、848千円もの大幅なコストダウンを図ることができることが判明した。以上の結果から、本発明の汚泥脱水システムを適用し、第2凝集剤溶液の最適な混合比率を見つけることにより、ランニングコストの大幅な低減を図ることができることが証明されたといえる。
本発明の実施の形態1における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態1における凝集剤溶解機のA−A線断面図である。 本発明の実施の形態1における凝集剤溶解機のB−B線断面図である。 本発明の実施の形態1における汚泥脱水システムの被処理汚泥のタイムチャート図である。 本発明の実施の形態2における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態3における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態4における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態5における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態6における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態7における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態8における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態9における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態10における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態11における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 本発明の実施の形態12における汚泥脱水システムを示すフロー図である。 実施例1における第2凝集剤溶液の混合比率を変化させたときの脱水汚泥の含水率、脱水汚泥処分費および薬剤費の変化を示す相関図である。
符号の説明
1,1A,1B,1C,1D 汚泥脱水機
2 汚泥供給管
2A,2B,2C 分岐供給管部
3,3A,3B,3C 汚泥供給ポンプ
4A,4B 凝集剤溶液槽
5 凝集剤溶液供給管
5A,5B 分岐管部
5C,5D,5E 分岐供給管部
6,6B 凝集剤溶液タンク
7 凝集剤溶液移送管
8,8B 凝集剤溶解機
9 凝集剤溶液供給管
10A,10B 凝集剤供給機
12A,12B 溶解水供給管
13A,13B 制御弁
14A,14B 撹拌機
15,16 開閉制御弁
17,17A,17B,17C 溶液圧送ポンプ
18,18B 凝集剤供給機
19,19B 溶解水供給管
20,20B 制御弁
21,21B 撹拌機
22,22B 圧送ポンプ
23,23B 制御器
24 凝集剤溶液供給管
25 凝集剤溶液供給タンク
26 凝集剤溶液供給管
26A,26B,26C 分岐供給管部
27A,27B,27C 溶液圧送ポンプ
30 粘度計
80 筒状容器
80A,80B フランジ部
80C 凝集剤溶液流出口
81A,81B フランジ蓋
81C 凝集剤溶液流入口
82A,82B ボルト・ナット
83A,83B 仕切部材
84A 一次室
84B 二次室
85 円筒スクリーン
86 押圧部材
87A,87B 保持部材
88 駆動機
88A 駆動軸
88B 減速機
89 ベアリング
101A,101B ホッパー状容器
102A,102B 凝集剤供給口
103A,103B 供給口開閉器
180 ホッパー状容器
181 凝集剤投入口
182 供給口開閉器

Claims (3)

  1. 被処理汚泥を分離液と脱水汚泥に分離する汚泥脱水機
    および
    該汚泥脱水機へ被処理汚泥を供給する汚泥供給管
    を備えた汚泥脱水工程と、
    凝集剤および溶解水から生成した凝集剤溶液を
    凝集剤溶液供給管で前記被処理汚泥に供給する
    第1凝集剤供給工程と、
    第1凝集剤供給工程の凝集剤とは異なる凝集剤と溶解水を撹拌混合して
    凝集剤溶液を生成する凝集剤溶液タンク、
    筒状容器と、該筒状容器内に配設された円筒スクリーンと、該円筒スクリーン内に配設された一つまたは二つ以上の押圧部材と、該押圧部材を保持する保持部材と、該保持部材を介して前記押圧部材を前記円筒スクリーンの内面に沿って移動させる駆動機とを備え、前記凝集剤溶液タンクから導入した凝集剤溶液をスクリーンろ過すると共に、凝集剤溶液中の凝集剤を溶解する凝集剤溶解機
    および
    該凝集剤溶解機から流出する凝集剤溶液を前記被処理汚泥に供給する凝集剤溶液供給管
    を備えた第2凝集剤供給工程と
    からなり、
    被処理汚泥に第1凝集剤供給工程または第1凝集剤供給工程と第2凝集剤供給工程の両方で凝集剤溶液を供給することを特徴とする汚泥脱水システム。
  2. 第1凝集剤供給工程の凝集剤溶液供給管と第2凝集剤供給工程の凝集剤溶液供給管とは、
    合流接続している
    ことを特徴とする請求項1記載の汚泥脱水システム。
  3. 凝集剤溶解機から流出した凝集剤溶液の粘度を測定する粘度計と、
    該粘度計の測定値に応じて、低速で起動して上昇させる前記駆動機回転
    制御する制御器と
    を備えた
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥脱水システム。
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