JP4631545B2 - 液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、インクジェットプリンタのプリンタヘッド等として用いられる液体吐出ヘッド製造方法に関するものであり、詳しくは、液体の吐出口を形成した被覆層に、割れや剥がれ等の不良が発生しないようにした液体吐出ヘッド製造方法に係るものである。
従来から、液体吐出ヘッドの一例として、サーマル方式のプリンタヘッドが知られている。このプリンタヘッドは、一般的に、基板上に一方向に配列された複数の発熱素子と、各発熱素子と対向する複数の吐出口が配列された被覆層と、インクの共通流路からそれぞれの発熱素子までインクを供給する個別流路とを備えており、発熱素子を駆動してインクを吐出口から吐出し、印画を行うようになっている。
図12は、このような従来のプリンタヘッド30を示す側面の断面図である。
図12に示すように、従来のプリンタヘッド30は、インク供給部材41と、このインク供給部材41の上に接着されたチップ31とを備えている。ここで、チップ31は、半導体基板32上に発熱素子33を配列するとともに、発熱素子33の上部に吐出口34が位置するように被覆層35を設けたものである。そして、発熱素子33上の領域には、インクの個別流路36が形成されており、半導体基板32には、個別流路36と連通する貫通穴37が形成されている。
一方、インク供給部材41は、アルミニウム、ステンレス、又は樹脂等を用いて機械加工によって形成されたものである。そして、図12中、下面側にインク供給口42を有しており、このインク供給口42と連通して、インク供給部材41の基体を貫通するように共通流路43が形成されている。そのため、外部のインクタンク等(図示せず)からインク供給口42を通じて共通流路43内にインクが供給されるとともに、このインクは、チップ31の貫通穴37を通って個別流路36内に入り込み、発熱素子33の領域上を満たすようになる。
そして、この状態で発熱素子33を駆動してインクを急速に加熱すると、発熱素子33上に気泡が発生し、その気泡発生時の圧力変化により、発熱素子33上のインクが吐出口34からインク液滴として吐出される。また、吐出されたインク液滴は、印画紙等に着弾して画素を形成する。
ところで、図12に示す従来のプリンタヘッド30におけるチップ31は、以下のようにして製造される。
すなわち、最初に、半導体製造技術等を用いてシリコン等の基板(半導体基板32)上に発熱素子33を形成する。次に、その上部に、溶解可能な樹脂、例えば、フォトレジスト等の感光性樹脂をフォトリソ技術でパターニング形成し、個別流路36と対応する犠牲層を形成する。さらに、その犠牲層上に、例えば、スピンコート等で樹脂を塗布して構造体となる被覆層35を形成する。
続いて、この被覆層35に、ドライエッチングや、例えば、この被覆層35が感光性樹脂であれば、フォトリソ技術によって吐出口34を形成する。その後、半導体基板32の裏面からウェットエッチング等で貫通穴37を開け、この貫通穴37から犠牲層の溶解液(犠牲層が感光性樹脂であればその現像液)を流し込み、犠牲層を溶解して除去する。これにより、半導体基板32上に個別流路36が形成されたチップ31が製造される(例えば、特許文献1参照)。
特許第3343875号公報
上記の特許文献1に記載の技術では、個別流路36を形成するための犠牲層の溶出に際して、半導体基板32の裏面から貫通穴37を開けている。ここで、半導体基板32に貫通穴37を開ける工程は、一般的に、異方性ウエットエッチング技術やドライエッチング技術のいずれか一方で、又は双方を併用して行われる。
しかし、異方性ウエットエッチング技術やドライエッチング技術を使用して半導体基板32に貫通穴37を開けると、製造工程が複雑化し、製造時間も長くなる。そのため、このようなチップ31を備えるプリンタヘッド30は、歩留まりが悪く、高コストとなるという問題がある。
そこで、半導体基板32に貫通穴37を開けることなく、チップ31を製造することが考えられる。
図13は、貫通穴を開ける必要がないように改善したチップ41の製造方法の一部を示す側面の断面図及び斜視図である。
図13(a)に示すように、改善した製造方法では、発熱素子43を配列した半導体基板42と吐出口44を形成した被覆層45との間の犠牲層48の溶出に際し、半導体基板42を切断するダイシングライン42aの上方に、新たに開口部47を形成する。すなわち、吐出口44に加えて、ダイシングライン42a上の被覆層45も除去して開口部47を形成し、吐出口44と開口部47を利用することにより、半導体基板42に貫通穴を開けることなく犠牲層48を溶出させる。
そして、犠牲層48を溶出させた後、図13(b)に示すように、ダイサー50を使用して半導体基板42を切断する。すなわち、高速回転するダイシングブレード51に純水を吹き付けながら、ダイシングライン42aに沿って半導体基板42を切断することにより、個々のチップ41を製造する。したがって、チップ41の製造に際して、半導体基板42に貫通穴を開ける必要はない。
ところが、このような製造方法とすると、今度は、半導体基板42を切断する際に、被覆層45に割れや剥がれ等の不具合が生ずる可能性がある。
図14は、このように改善したチップ41の製造方法における不具合の発生を示す平面図及び側面の断面図である。
図14に示すように、吐出口44を備える被覆層45は、個別流路46の左右の流路壁を構成するとともに、個別流路46の天壁ともなっている。そのため、被覆層45は、切断面に近い先端部分で、ひさしのようになっている(以下、この部分を「ひさし部」という)。
ここで、ダイサー50(図13参照)によって半導体基板42を切断すると、切断面から個別流路46に向かって純水の水流が発生する。すると、被覆層45のひさし部に大きな水圧が作用することとなり、図14(a)に示すように、ひさし部に割れが発生し、吐出口44に向かってひびが入ったり、図14(b)に示すように、水流によってひさし部が押し上げられ、被覆層45に剥がれが発生したりすることが考えられる。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、半導体基板に貫通穴を開けることなく犠牲層を溶出できるようにするとともに、被覆層に割れや剥がれ等の不良が発生しないようにすることで、歩留まりが良く、安価に液体吐出ヘッドを製造できるようにすることである。
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明1つである請求項の発明は、液体を吐出するための複数のエネルギー発生素子が一方向に配列された基板上に、溶解可能な樹脂にて犠牲層を形成する第1工程と、前記犠牲層上に、被覆層を形成する第2工程と、前記第2工程と同時に又は前記第2工程後に行われ、前記被覆層に、各前記エネルギー発生素子と対向する複数の吐出口を形成する第3工程と含む液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記第3工程と同時に又は前記第3工程と相前後して行われ、各前記吐出口と前記個別流路を隔てた反対側の前記被覆層凹部を有するように、前記被覆層に、開口部を形成する開口部形成工程と、前記第3工程及び前記開口部形成工程後に行われ、前記吐出口及び前記開口部から前記犠牲層を溶出して、各前記エネルギー発生素子の配列方向と直交する方向に伸びる個別流路を形成する第4工程と、前記第4工程後に行われ、ダイサーを使用して、回転するダイシングブレードに純水を吹き付けながら前記開口部内の前記基板を切断する切断工程とを含み、前記被覆層の前記凹部は、前記切断工程によって前記基板を切断するダイシングラインの上方から見たときに、前記開口部から前記個別流路に向かって引っ込んだ形状とする。
請求項の発明においては、第1工程から第4工程までを含む工程により、液体吐出ヘッドが製造される。そして、この液体吐出ヘッドの製造工程には、吐出口と個別流路を隔てた反対側の被覆層凹部を有するように、被覆層に開口部を形成する開口部形成工程が含まれている。そのため、溶解液によって犠牲層を溶解し、個別流路を形成するに際して、基板に貫通穴を開けなくても、吐出口及び開口部から犠牲層を溶出させることができる。また、この液体吐出ヘッドの製造工程には、開口部内の基板を切断する切断工程が含まれているが、被覆層は、切断工程によって基板を切断するダイシングラインの上方から見たときに、開口部から個別流路に向かって引っ込んだ形状の凹部を有しているので、被覆層のひさし部に割れや剥がれ等を発生させることなく、基板を切断することができる。
請求項1の発明によれば、開口部形成工程により、吐出口及び開口部から犠牲層を溶出して個別流路を形成し、液体吐出ヘッドを製造することができる。そのため、基板に貫通穴を形成する工程が不要となり、歩留まりが良く、安価に液体吐出ヘッドを製造することができる。また、被覆層のひさし部に割れや剥がれ等を発生させることなく基板を切断し、液体吐出ヘッドを製造することができる。そのため、歩留まりが良く、安価に液体吐出ヘッドを製造することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明における液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドの製造方法は、以下の実施形態では、液体としてインクを吐出するサーマル方式のインクジェットプリンタヘッド(以下、単に「プリンタヘッド」という。)及びその製造方法を例としている。
(第1実施形態)
図1から図6は、第1実施形態のプリンタヘッド10の製造方法における中間の工程を順に説明する側面の断面図である。また、図7は、図1から図6の工程を含む工程によって製造された第1実施形態のプリンタヘッド10を示す側面の断面図である。
最初に、図1は、半導体基板11(本発明における「基板」に相当するもの)上に、犠牲層13を形成する第1工程(図1(a))と、犠牲層13上に、被覆層14を形成する第2工程(図1(b))とを示す側面の断面図である。
第1実施形態のプリンタヘッド10の製造方法においては、図1(a)に示すように、シリコン、ガラス、又はセラミックス等からなる半導体基板11上に、例えば、半導体や電子デバイス製造技術用の微細加工技術を使用して複数の発熱素子12(本発明における「エネルギー発生素子」に相当するもの)を形成する。ここで、各発熱素子12は、図1(a)中、紙面と垂直な方向において、一方向に連続して所定ピッチで配列されており、例えば、600DPIの解像度を有するプリンタヘッド10の場合には、各発熱素子12間のピッチは、42.3μmとなる。なお、第1実施形態では、半導体基板11として、シリコンウエハーを用いている。
そして、少なくとも各発熱素子12上の液室となる領域、個別流路となる領域、半導体基板11のダイシングライン11aを含む領域に、犠牲層13を形成する(第1工程)。この犠牲層13は、各液室や各個別流路を形成するために、溶解可能な樹脂、例えば、フォトレジスト等の感光性樹脂を半導体基板11及び発熱素子12の上にスピンコート等の方法によって塗布し、フォトリソ技術で各液室及び各個別流路のパターンを形成したものである。すなわち、第1実施形態では、半導体基板11上に、ポジ型フォトレジストであるPMER−LA900(東京応化工業(株)製)を膜厚が10μmになるようにスピンコートで塗布し、マスクアライナーで露光した後、現像液(水酸化テトラメチルアンモニウム3%水溶液)で現像し、純水でリンス処理を行って個別流路等のパターンが形成された犠牲層13としている。そして、この犠牲層13のレジストパターン上にマスクアライナーで全面露光を行い、窒素雰囲気中で24時間自然放置した。
次に、図1(b)に示すように、犠牲層13の上に、例えば、感光性レジストをスピンコート等の方法によって塗布し、犠牲層13が形成された領域を含む領域に、被覆層14を形成する(第2工程)。具体的には、パターニングされた犠牲層13のレジスト上に、光硬化型のネガ型フォトレジストをスピンコートによって膜厚が10μmになるように回転数を調整して塗布し、被覆層14を形成する。なお、この被覆層14は、一般的なノズルシート及びバリア層としての機能を有する層であり、構造体となるものである。
図2は、図1(b)に示す第2工程で形成した被覆層14に、吐出口15を形成する第3工程及び開口部16を形成する開口部形成工程(図2(a))と、犠牲層13を溶出して個別流路18を形成する第4工程(図2(b))とを示す側面の断面図である。なお、第1実施形態では、吐出口15及び開口部16を同時に形成しているが、第4工程の前であれば、別々に形成することもできる。
図2(a)に示すように、吐出口15は、各発熱素子12の真上に位置する被覆層14に形成する(第3工程)。ここで、吐出口15は、例えば、被覆層14が感光性樹脂であれば、犠牲層13まで到達するように、すなわち、被覆層14を貫通するようにして、例えば、フォトリソ技術でパターニング形成される。具体的には、マスクアライナーで被覆層14の露光を行い、現像液(OK73シンナー:東京応化工業(株)製)及びリンス液(IPA)によって現像及びリンスを行い、直径15μmの吐出口15を形成する。
また、同時に、同様にして、半導体基板11を切断するダイシングライン11aの上方に、開口部16を形成する(開口部形成工程)。すなわち、ダイシングライン11a上の被覆層14を除去して下層の犠牲層13を露出させ、開口部16を形成する。そして、この際、開口部16が個別流路となる領域に向かって三角形状の凸型に出っ張るように(被覆層14に三角形状の凹型に引っ込んだ形状の凹部14aが形成されるように)、予めマスクパターンを設計しておく。なお、吐出口15及び開口部16の同時形成に際しては、これらを同時に形成できるフォトマスクを使用すれば良い。
次に、半導体基板11、犠牲層13、及び被覆層14を、犠牲層13が溶解する溶解液が充填された液槽内に浸漬することにより、図2(b)の矢印で示すように、吐出口15及び開口部16からそれぞれ犠牲層13を溶出する。すなわち、ポジ型フォトレジストに対して溶解性を有する有機溶剤(PGMEA)に超音波振動を加えながら、ポジ型フォトレジストが完全に溶解・溶出するまで浸漬し続ける。そして、各発熱素子12の配列方向(図2中、紙面と垂直な方向)と直交する方向(図2中、紙面と平行な方向)に伸びる被覆層14を流路壁とした個別流路18を形成する(第4工程)。
このように、半導体基板11、犠牲層13、及び被覆層14を溶解液に浸漬すると、犠牲層13が溶解液によって溶解され、流動体となって、図2(b)に示すように、吐出口15及び開口部16から被覆層14の外部に溶出する。その一方で、半導体基板11及び被覆層14は、溶解液による浸漬の前後で形状等の変化はない。これにより、犠牲層13が存在していた部分が空隙となり、この部分が個別流路18及び液室19となる。そのため、犠牲層13の溶出後は、被覆層14が構造体となり、被覆層14に形成された吐出口15が個別流路18と連通する。また、発熱素子12が液室19の内部に存在するようになる。さらに、吐出口15と個別流路18を隔てた反対側の被覆層14に、個別流路18に向かって三角形状の凹型に引っ込んだ形状の凹部14aが形成される。
図3は、このような第4工程まで終了した状態を示す平面図である。
図3に示すように、犠牲層13(図2参照)の溶出後は、個別流路18の側面が被覆層14によって区画されるとともに、個別流路18の天面が被覆層14によって覆われる。また、被覆層14には、発熱素子12と対向するように、吐出口15が形成されている。さらに、開口部16側では、被覆層14に、個別流路18に向かう三角形状の凹部14aが形成されている。すなわち、被覆層14のひさし部は、三角形状の凹部14aとなっている。
図4は、半導体基板11を切断し、1つのチップ20とする切断工程を示す斜視図及び側面の断面図である。また、図5は、このような切断工程を示す平面図及び側面の断面図である。
図4(a)に示すように、この切断工程では、ダイサー50を使用し、高速回転するダイシングブレード51に純水を吹き付けながら半導体基板11を切断する。すなわち、図4(b)に示すように、被覆層14の開口部16によって露出した半導体基板11のダイシングライン11aに沿って半導体基板11を切断し、1つのチップ20とする。
この際、ダイシングブレード51に吹き付けられた純水は、図5に示すように、個別流路18に向かって流れる水流となるが、上記した通り、被覆層14には、三角形状の凹部14aが形成されており、個別流路18に向かって引っ込んだ形状となっている。そのため、被覆層14に作用する水圧(ひさし部を下から押し上げるように作用する水流)は、三角形状の凹部14aによって逃がされる。すなわち、被覆層14は、個別流路18の幅方向の中央部が強度的に一番弱くなっているが、その中央部において、一番水圧が低くなる。したがって、図5に示すチップ20は、被覆層14に、割れや剥がれ等の不良がないものとなっている。
図6は、このようにして製造された1つのチップ20を、インク供給部材21(本発明における「液体供給部材」に相当するもの)に接着する第5工程を示す側面の断面図である。
ここで、インク供給部材21は、チップ20の製造とは別に、機械加工等によって製作された、例えば、アルミニウム、ステンレス、セラミックス、又は樹脂等からなるものであり、図6中、上下方向に基体を貫通する貫通穴が形成されたものである。そして、この貫通穴の下面側がインク供給口22となり、その内部が共通流路23となっている。
このようなインク供給部材21とチップ20との接着は、チップ20における個別流路18の開口面が共通流路23側を向くようにして、シリコーン系接着剤を用いて行う(第5工程)。すると、チップ20の個別流路18とインク供給部材21の共通流路23とが連通する。なお、接着条件は、常温で1時間の自然放置である。
また、インク供給部材21は、図6に示すように、共通流路23を隔ててチップ20が接着される側の上面が反対側の上面よりも低く形成されている。そして、チップ20が接着されると、チップ20の被覆層14の上面とインク供給部材21のチップ20が接着されない側の上面とがほぼ面一となる。そのため、チップ20の被覆層14の上面とインク供給部材21の上面とをまたぐようにして、凹部14a及び共通流路23の上部を塞ぐ天板(図示せず)を接着することができる(封止工程)。
図7は、天板24を接着し、第1実施形態のプリンタヘッド10とした状態を示す側面の断面図である。なお、被覆層14における凹部14aの部分は、矢印の方向の平面図を部分的に示してある。
図7に示すように、第1実施形態のプリンタヘッド10は、1つのチップ20がインク供給部材21に接着されており、チップ20の上面とインク供給部材21の上面とをまたぐようにして、天板24が貼り付けられている。
この天板24は、例えば、ポリイミドやPET等の樹脂フィルム、又はニッケル、アルミニウム、ステンレス等の金属箔から形成されたシート状の部材であり、予め所望の形状にカットされ、被覆層14上の天板接着シロ領域に貼り付けられる。なお、天板24を貼り付ける接着剤は、天板24の下面、又は被覆層14の天板接着シロ領域及びインク供給部材21の上面に予め塗布等されており、第1実施形態のプリンタヘッド10では、厚み25μmのポリイミドフィルムを天板24とし、天板24に予めフィルム状の接着剤を貼り付けて、熱圧着等することによって接着している。
そして、天板接着シロ領域の長さ(天板24によって塞がれる長さ)は300μmであり、三角形状の凹部14aにおける最深部(三角形の頂点)は、天板接着シロ領域の長さの5〜20%の範囲で引っ込んでいる。そのため、天板24の接着により、共通流路23の上部だけでなく、凹部14aにも蓋がされることとなる。ここで、凹部14aの最深部の引っ込み程度が20%を越えると、天板接着シロ領域が不十分となり、接着力が不足する場合がある。一方、凹部14aの最深部の引っ込み程度が5%未満であると、上記の切断工程において、被覆層14に作用する水圧を十分に逃がすことができなくなり、被覆層14のひさし部に、割れや剥がれ等の不良が発生する場合がある。
なお、プリンタヘッド10には、チップ20を駆動するためのプリント基板がワイヤーボンディングで接続され、チップの端子(PAD)やプリント基板の端子を含む部分は、インクに触れないように、封止剤(エポキシ系接着剤)によって封止されている。
このように、図1から図6に示す各工程を経て、図7に示す第1実施形態のプリンタヘッド10が製造される。そして、このプリンタヘッド10を構成するチップ20は、図7に示すように、半導体基板11上に、一方向に配列された複数の発熱素子12と、各発熱素子12と対向する複数の吐出口15が形成された被覆層14と、各発熱素子12の配列方向と直交する方向に伸びる個別流路18とを備えており、個別流路18と連通する発熱素子12上の領域は、液室19となっている。また、インク供給部材21は、インク供給口22と、共通流路23とが形成されたものであり、共通流路23は、個別流路18と連通している。さらに、天板24により、インク供給部材21の共通流路23を形成するために貫通した部分が封止されるとともに、被覆層14に形成された凹部14aが塞がれている。
したがって、インク供給口22からインク供給部材21の内部にインクが入り込むと、そのインクは、共通流路23を通って、チップ20の個別流路18及び液室19内に入り込むようになる。次に、この状態で発熱素子12が加熱されると、発熱素子12上のインクに気泡が発生し、その気泡発生時の圧力変化(気泡の膨張及び収縮)により、インクの一部がインク液滴として吐出口15から吐出される。
そして、図7に示す第1実施形態のプリンタヘッド10においては、被覆層14の割れや剥がれが原因と思われるインクの漏れ、インクの吐出不良等の問題は発生しなかった。すなわち、第1実施形態のプリンタヘッド10は、被覆層14に形成された凹部14aにより、被覆層14が割れたり剥がれたりすることがないので、歩留まりが高く、品質的に安定したプリンタヘッド10となっている。
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態のプリンタヘッド10aの製造方法における切断工程を示す平面図及び側面の断面図である。また、図9は、第2実施形態のプリンタヘッド10aを示す側面の断面図である。
第2実施形態のプリンタヘッド10aは、第1実施形態と同様にして製造したものであるが、図8及び図9に示すように、被覆層14における凹部14aの形状が第1実施形態と異なっている。すなわち、第1実施形態(図5参照)では、凹部14aの形状を三角形状の凹型に引っ込んだ形状としているが、第2実施形態では、凹部14aの形状を半円形状の凹型に引っ込んだ形状としたものである。
このような第2実施形態のプリンタヘッド10aも、第1実施形態と同様に、切断工程において高速回転するダイシングブレード51(図4参照)に吹き付けられた純水の水流は、半円形状の凹部14aによって逃がされることとなり、被覆層14に作用する水圧が順次減少する。そのため、切断工程で被覆層14が割れたり剥がれたりすることはない。また、歩留まりが高く、品質的に安定したプリンタヘッド10aとなる。
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態のプリンタヘッド10bの製造方法において、第4工程まで終了した状態を示す平面図である。また、図11は、第3実施形態のプリンタヘッド10bを示す側面の断面図である。
図10に示すように、第3実施形態では、開口部16の両側に三角形状の凹部14aを形成している点が第1実施形態と異なっている。すなわち、第1実施形態(図3参照)では、開口部16の左側のみに、発熱素子12、被覆層14、凹部14a、吐出口15、及び個別流路18を形成しているが、第3実施形態では、開口部16を中心として左右対称に、それぞれ発熱素子12、被覆層14、凹部14a、吐出口15、及び個別流路18を形成したものである。
このような第3実施形態の製造方法も、第1実施形態と同様に、切断工程で高速回転するダイシングブレード51(図4参照)に吹き付けられた純水の水流は、開口部16の左右両側の凹部14aによって逃がされることとなるので、左右両側の被覆層14は、ともに割れたり剥がれたりすることがない。そして、切断工程では、開口部16の左右両側からそれぞれチップ20を切り出すことができる。
また、第3実施形態のプリンタヘッド10bは、図11に示すように、チップ20の数及びインク供給部材21の形状が第1実施形態と異なっている。すなわち、第1実施形態(図7参照)では、共通流路23を隔ててインク供給部材21の左側のみに、チップ20を接着している。これに対し、図11に示す第3実施形態では、インク供給部材21の上面をフラットにし、共通流路23を隔ててインク供給部材21の左右対称に、それぞれチップ20を接着したものである。
したがって、第3実施形態では、2つのチップ20の個別流路18の開口面側が互いに共通流路23側に向くとともに、各チップ20が共通流路23を隔てて対向して配置される。ここで、対向する各チップ20が接着されるインク供給部材21の上面の高さは等しいので、2つのチップ20がそれぞれ接着されても、両チップ20の被覆層14の上面高さは等しくなる。そして、両チップ20におけるそれぞれの被覆層14をまたぐようにして、天板24が取り付けられる。
このような第3実施形態のプリンタヘッド10bであっても、第1実施形態と同様に、被覆層14の割れや剥がれが原因と思われるインクの漏れ、インクの吐出不良等の問題は発生しない。すなわち、第3実施形態のプリンタヘッド10bも、被覆層14に形成された凹部14aにより、被覆層14が割れたり剥がれたりすることがないので、歩留まりが高く、品質的に安定したプリンタヘッド10bとなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、例えば、次のような変形等が可能である。すなわち、本実施形態では、被覆層14に、三角形状又は半円形状の凹型に引っ込んだ形状の凹部14aを形成している。しかし、凹部14aは、このような形状に限らず、切断工程において、被覆層14に作用する水圧(ひさし部を下から押し上げるように作用する水流)を逃がすことができる形状であれば何でも良い。
第1実施形態のプリンタヘッドの製造方法における中間の工程を順に説明する側面の断面図である。 図1の工程に続く工程を説明する側面の断面図である。 図2の工程まで終了した状態を示す平面図である。 図2の工程に続く工程を説明する斜視図及び側面の断面図である。 図4の工程を示す平面図及び側面の断面図である。 図4の工程に続く工程を説明する側面の断面図である。 第1実施形態のプリンタヘッドを示す側面の断面図である。 第2実施形態のプリンタヘッドの製造方法における中間の工程を説明する平面図及び側面の断面図である。 第2実施形態のプリンタヘッドを示す側面の断面図である。 第3実施形態のプリンタヘッドの製造方法における中間の工程まで終了した状態を示す平面図である。 第3実施形態のプリンタヘッドを示す側面の断面図である。 従来のプリンタヘッドを示す側面の断面図である。 改善したチップの製造方法の一部を示す側面の断面図及び斜視図である。 改善したチップの製造方法における不具合の発生を示す平面図及び側面の断面図である。
符号の説明
10,10a,10b プリンタヘッド(液体吐出ヘッド)
11 半導体基板(基板)
12 発熱素子(エネルギー発生素子)
13 犠牲層
14 被覆層
14a 凹部
15 吐出口
16 開口部
18 個別流路
21 インク供給部材(液体供給部材)
23 共通流路
24 天板

Claims (4)

  1. 液体を吐出するための複数のエネルギー発生素子が一方向に配列された基板上に、溶解可能な樹脂にて犠牲層を形成する第1工程と、
    前記犠牲層上に、被覆層を形成する第2工程と、
    前記第2工程と同時に又は前記第2工程後に行われ、前記被覆層に、各前記エネルギー発生素子と対向する複数の吐出口を形成する第3工程と
    を含む液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記第3工程と同時に又は前記第3工程と相前後して行われ、各前記吐出口と前記個別流路を隔てた反対側の前記被覆層が凹部を有するように、前記被覆層に、開口部を形成する開口部形成工程と、
    前記第3工程及び前記開口部形成工程後に行われ、前記吐出口及び前記開口部から前記犠牲層を溶出して、各前記エネルギー発生素子の配列方向と直交する方向に伸びる個別流路を形成する第4工程と、
    前記第4工程後に行われ、ダイサーを使用して、回転するダイシングブレードに純水を吹き付けながら前記開口部内の前記基板を切断する切断工程と
    を含み、
    前記被覆層の前記凹部は、前記切断工程によって前記基板を切断するダイシングラインの上方から見たときに、前記開口部から前記個別流路に向かって引っ込んだ形状とする
    液体吐出ヘッドの製造方法
  2. 請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記被覆層の前記凹部は、前記切断工程によって前記基板を切断するダイシングラインの上方から見たときに、前記開口部から前記個別流路に向かって三角形状又は半円形状の凹型に引っ込んだ形状とする
    液体吐出ヘッドの製造方法
  3. 液体を吐出するための複数のエネルギー発生素子が一方向に配列された基板上に、溶解可能な樹脂にて犠牲層を形成する第1工程と、
    前記犠牲層上に、被覆層を形成する第2工程と、
    前記第2工程と同時に又は前記第2工程後に行われ、前記被覆層に、各前記エネルギー発生素子と対向する複数の吐出口を形成する第3工程と
    を含む液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記第3工程と同時に又は前記第3工程と相前後して行われ、各前記吐出口と前記個別流路を隔てた反対側の前記被覆層が凹部を有するように、前記被覆層に、開口部を形成する開口部形成工程と、
    前記第3工程及び前記開口部形成工程後に行われ、前記吐出口及び前記開口部から前記犠牲層を溶出して、各前記エネルギー発生素子の配列方向と直交する方向に伸びる個別流路を形成する第4工程と、
    前記第4工程後に行われ、ダイサーを使用して、回転するダイシングブレードに純水を吹き付けながら前記開口部内の前記基板を切断する切断工程と、
    前記切断工程後に行われ、基体を貫通した共通流路が形成された液体供給部材に対し、前記共通流路と前記個別流路とが連通するように前記基板を接着する第5工程と、
    前記第5工程後に行われ、前記共通流路を形成するために貫通した部分をまたいで封止するとともに、前記被覆層の前記凹部を塞ぐ天板を前記個別流路上の前記被覆層に取り付ける封止工程と
    を含み、
    前記被覆層の前記凹部は、前記切断工程によって前記基板を切断するダイシングラインの上方から見たときに、前記開口部から前記個別流路に向かって引っ込んだ形状とする
    液体吐出ヘッドの製造方法
  4. 請求項3に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記封止工程は、前記被覆層の前記凹部における最深部前記天板によって塞がれる長さの5〜20%の範囲となるように、前記天板を前記被覆層に取り付ける
    液体吐出ヘッドの製造方法
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