JP4628101B2 - 分岐グラフト装置とその方法 - Google Patents

Description

本発明は、二股に分かれた、すなわち分岐したステントグラフトとこの分岐したステントグラフトを留置する留置装置と、この装置を留置する方法および一時的にステントグラフトを係止するシステムに関する。

本発明は、総腸骨動脈（common iliac srtery）から内側腸骨動脈（internal iliac artery）に、分岐ステントグラフトを留置することを例に議論するが、これに限定されるものではない。本発明は、分岐した血管に留置すること、特に装置が留置される血管がブラインド血管（すなわち主血管から二股に分かれ部分から離れた血管の端部からはアクセスできないような血管）に適用可能である。

米国特許第５，３８７，２３５号 米国特許第５，７２０，７７６号 米国特許第６，２０６，９３１号 ＷＯ第９８／５３７６１号 ＷＯ第９９／２９２６２号 ＷＯ第０３／０３４９４８号 ＷＯ第０３／０５３２８７号

本明細書を通して、患者の脈管系、留置装置あるいはプロテーゼの端部に関し、用語「遠位」とは、心臓から離れ血流の流れる方向にある脈管系留置装置あるいはプロテーゼの端部を意味し、一方用語「近位」とは、心臓に近い側の脈管留置装置あるいはプロテーゼの端部を意味する。人体あるいは動物の体内にある他のルーメンに対しては、それぞれ用語「尾側」と「頭部側」を用いる。

本発明の一態様においては、分岐ステントグラフトのリム(limb)をブラインド血管内に留置するのに適したルーメン内ステントグラフト留置システムにおいて、遠位端と近位端とを有し、近位端に解放可能に保持された分岐ステントグラフトを有する留置装置と、前記留置装置上にスライド可能にかつ同軸状に搭載された内部シースと、前記分岐ステントグラフトは、本体とそこから伸びるリムとを有し、前記リムは、本体内で分岐部分から遠位端方向に伸び、前記分岐ステントグラフトは、留置装置上に搭載され、留置カテーテルが本体を貫通して伸び、前記内部シースは、本体を分岐部の先端部まで包囲し、遠位端部分からリム内に伸びる別個に変形するガイドワイヤとを有する。

好ましくは本発明の脈管内ステントグラフト留置装置は、前記内部シース上にスライド可能かつ同軸状に搭載され、前記ステントグラフト全体を包囲する外部シースを更に有する。

好ましくは本発明の脈管内ステントグラフト留置装置は、前記内部シースと外部シースとの間に伸び、前記分岐部に隣接するステントグラフトの本体まで伸びそこに固定されるアンカーワイヤ装置を更に有する。

アンカーワイヤ装置は、アンカーワイヤとアンカー解放ワイヤとを有し
前記アンカーワイヤ・解放ワイヤは、留置装置の遠位端でアンカーワイヤ解放機構まで伸びて、留置中は患者の体外に配置される。

別個に変形可能なガイドワイヤは、リムを貫通してそこから先端方向に伸び、リムがブラインド血管内に入るのを補助するガイドワイヤ装置を有する。

リムまで伸びる別個に変形可能なガイドワイヤは、ガイドワイヤとガイドワイヤシースとを有し、このガイドワイヤは留置中は、患者の身体外から、ガイドワイヤシース内を移動可能である。

前記留置装置は、留置カテーテル内に同軸状かつ移動可能に搭載されたガイドワイヤカテーテルを有し、このガイドワイヤカテーテルは、ノーズコーンまで伸び、分岐ステントグラフトは、ノーズコーンの先端に解放可能に保持される。

好ましくは本発明の脈管内ステントグラフト留置装置は、前記ステントグラフトの本体の少なくとも一部の上に搭載される外径収縮装置と、前記ステントグラフトのリム上に搭載された外径収縮装置とを有する。

前記各外径収縮装置は、ステントグラフト又はリムの直径を、留置状態の直径から圧縮状態の直径まで小さくする、ステントグラフトの本体又はリムの周囲に配置されたひもと留置状態の直径にステントグラフトの本体又はリムを拡張するよう、ひもを解放するトリガワイヤ機構とを有する。一般的に、解放されたひもは、ステントグラフトに係合している。

前記トリガワイヤ機構は、留置装置の遠位端に、留置中は患者の体内外に配置されるトリガワイヤ解放機構を有する。

本発明の一形態においては、前記分岐ステントグラフトは、管状本体と、本体の近位端と遠位端の少なくとも一方の端と、リムの遠位端とに自己拡張型ステントを有する。更に自己拡張型ステントは、リムと本体の上に具備される。このステントは、ステンレス製又はニチノール製のジグザグＺステントである。

好ましくはリムは、その外側表面に血管への接着性を改良する繊維組織を有する。

アンカーワイヤ装置は、アンカーワイヤとアンカーワイヤ・解放ワイヤとを有し、アンカーワイヤ・解放ワイヤは、留置装置の遠位端でアンカーワイヤ解放機構まで伸びて留置中は患者の体外に配置される。アンカーワイヤとアンカーワイヤ・解放ワイヤとは、内側シースと外側シースとの間に配置されるアンカーワイヤカテーテルを貫通してのびる。

本発明の他の形態の分岐ステントグラフトのリムを人間又は動物のブラインド血管に留置する方法において、前記分岐ステントグラフトは、留置装置上に搭載され、前記分岐ステントグラフトは、本体とそこから伸びるリムとを有し、前記リムは、本体内の分岐部分から遠位方向に伸び、
（Ａ） 留置装置をブラインド血管が伸びる血管内に留置するステップと、
（Ｂ） リムが横方向かつ先端方向に伸びるように、分岐ステントグラフトの本体のリムを留置装置から解放するステップと、
（Ｃ） ガイドワイヤをリムからブラインド血管内に伸ばすステップと
（Ｄ） 留置装置を引くことによりリムがガイドワイヤに関連するブラインド血管内に入るよう留置装置を操作するステップと
（Ｅ） 分岐ステントグラフトを留置装置から解放するステップと
を有する。

前記（Ｄ）ステップは、アンカーワイヤの手段により分岐ステントグラフトの本体を留置装置の上に保持するステップを含み、前記（Ｅ）ステップは、アンカーワイヤを解放するステップを含む。

前記（Ｅ）ステップは、分岐ステントグラフトのリムと本体の上の外径収縮ひもを解放するステップを含む。

前記（Ａ）ステップは、同軸に配置された外部シースと内部シースの手段により留置装置の上に分岐ステントグラフトを解放可能に保持するステップを有し、前記外部シースは分岐ステントグラフトの全体を保持し、前記内部シースは分岐部の分岐ステントグラフトの本体の一部を保持する。

本発明の他の形態の、分岐ステントグラフトのリムをブラインド血管内に留置するのに適したルーメン内ステントグラフト留置システムにおいて、遠位端と近位端とを有し、近位端に解放可能に保持された分岐ステントグラフトを有する留置装置と、前記留置装置上にスライド可能にかつ同軸状に搭載された内部シースと、前記内部シース上にスライド可能かつ同軸状に搭載された外部シースと、前記内部シースと外部シースとの間に伸び、前記分岐部に隣接するステントグラフトの本体まで伸びそこに固定されるアンカーワイヤ装置とを有し、前記分岐ステントグラフトは、本体とそこから伸びるリムとを有し、前記リムは、本体内に分岐部分から先端方向に伸び、前記分岐ステントグラフトは、前記留置装置上の環状リセスに搭載され、留置カテーテルが本体を貫通して伸び、前記内部シースは、本体を分岐部の先端部まで包囲し、前記外部シースは、ステントグラフト全体を包囲し、前記環状リセスの近位端方向に伸びる。

好ましくは本発明の脈管内ステントグラフト留置装置は、リムを貫通して伸びそこから先端方向に伸び、リムがブラインド血管内に入るのを補助するガイドワイヤ装置を更に有する。

前記留置装置は、留置カテーテル内に同軸状かつ移動可能に搭載されたガイドワイヤカテーテルを有し、前記ガイドワイヤカテーテルは、ノーズコーンまで伸び、前記前記環状リセスは、ノーズコーンと留置カテーテルとの間にある。

好ましくは本発明の脈管内ステントグラフト留置装置は、前記ステントグラフトの本体の少なくとも一部の上に搭載される外径収縮装置を更に有する。

好ましくは本発明の脈管内ステントグラフト留置装置は、前記ステントグラフトのリム上に搭載される外径収縮装置を更に有する。

外径収縮装置は、ステントグラフト本体の直径を、留置状態の直径から圧縮状態の直径まで小さくするためにステントグラフト本体の周囲に配置された「ひも」と、
留置状態の直径にステントグラフト本体を拡張するよう、「ひも」を解放するトリガワイヤ機構とを有する。

前記トリガワイヤ機構は、留置装置の遠位端に、留置中は患者の身体外に配置されるトリガワイヤ解放機構を有する。

前記分岐ステントグラフトは、管状本体と、本体の近位端と遠位端の少なくとも一方とリムの遠位端に自己拡張型ステントを有する。

前記リムに伸びるガイドワイヤ装置は、ガイドワイヤとガイドワイヤカテーテルとを有し、前記ガイドワイヤは、ガイドワイヤカテーテル内を、留置中は患者の外側から、移動可能である。

前記アンカーワイヤ装置は、アンカーワイヤとアンカー解放ワイヤとを有し、
前記アンカー解放ワイヤは、留置装置の遠位端でアンカーワイヤ解放機構まで伸びて、留置中は患者の体外に配置される。

本発明の他の形態の、ステントグラフトを脈管内に留置するに適した脈管内ステントグラフト留置システムにおいて、前記留置システムは、遠位端と近位端とを有しその近位端に解放可能にステントグラフトを有する留置装置を有し、前記留置装置の遠位端から伸び、ステントグラフトに係合する解放可能なアンカーワイヤ装置を有し、これにより、留置装置の操作中ステントグラフトを係止する、あるいは前記ステントグラフトを介して別の留置装置を係止する。

好ましくは、アンカーワイヤ装置は、アンカーワイヤとアンカー解放ワイヤとを有し、前記アンカー解放ワイヤは、留置装置の遠位端でアンカーワイヤ解放機構まで伸びて、留置中は患者の体外に配置される
ことを特徴とする請求項３０記載の脈管内ステントグラフト留置システム。

前記留置装置は、内側シースと、外側シースと、アンカーワイヤと、アンカーワイヤカテーテル内の内側シースと外側シースとの間に伸びるアンカー解放ワイヤとを有する。

「瘤を治療するための拡張可能なルーメン内グラフトプロテーゼ」と題する特許文献１は、グラフトを留置装置の上に保持する装置と方法を開示している。特許文献１に開示された特徴及び他の特徴は本発明で使用され、特許文献１はその全体を本明細書に挿入する。

「胸部イントロデューサと拡張可能なルーメン内とかえし」と題する特許文献２は、ステントへの様々な形態の機械的取り付け方法を有するかえしの改良を開示している。特許文献２に開示された特徴及び他の特徴は本発明で使用され、特許文献２はその全体を本明細書に挿入する。

「グラフトプロテーゼ材料」と題する特許文献３は、グラフトプロテーゼ材料と、患者の一部に移植する置換する治療する方法と、特に粘膜下組織源から取り出した精製したコラーゲンベースのマトリック構造の使用方法を開示している。特許文献３に開示された特徴及び他の特徴は本発明で使用され、特許文献３はその全体を本明細書に挿入する。

「プロテーゼとプロテーゼを留置する方法と手段」と題する特許文献４は、各端部を個別に移動することが出来るようにプロテーゼを保持するプロテーゼの導入装置を開示している。特許文献４に開示された特徴及び他の特徴は本発明で使用され、特許文献４はその全体を本明細書に挿入する。

「ルーメン内の大動脈ステント」と題する特許文献５は、二股に分かれる動脈瘤が存在する場所で置換するような開口したプロテーゼを開示している。特許文献５に開示された特徴及び他の特徴は本発明で使用され、特許文献５はその全体を本明細書に挿入する。

「湾曲したルーメン用のプロテーゼ」と題する特許文献６は、湾曲したルーメン内に配置するよう曲がる構造を具備するプロテーゼを開示している。特許文献６に開示された特徴及び他の特徴は本発明で使用され、特許文献６はその全体を本明細書に挿入する。

「トリガワイヤ」と題するオーストラリア仮特許出願第ＰＳ３２４４号は、導入装置上に保持されるステントグラフトを解放する解放ワイヤーシステムを開示している。オーストラリア仮特許出願第ＰＳ３２４４号に開示されたこれらの特徴あるいは他の特徴は本発明と共に用いられ、オーストラリア仮特許出願第ＰＳ３２４４号の開示はその全体を本明細書に挿入する。

「治療用留置装置」と題するオーストラリア仮特許出願第ＰＳ３２４３号は、特に胸部弓内にステントを留置するのに適した導入装置（イントロデューサ）を開示している。オーストラリア仮特許出願第ＰＳ３２３４号に開示されたこれらの特徴あるいは他の特徴は本発明と共に用いられ、オーストラリア仮特許出願第ＰＳ３２３４号の開示はその全体を本明細書に挿入する。

「ステントグラフト固定装置」と題するオーストラリア仮特許出願第ＰＳ３２１５号は、特に露出したステント用にグラフト上にステントを固定する構成を開示している。オーストラリア仮特許出願第ＰＳ３２１５号に開示されたこれらの特徴あるいは他の特徴は本発明と共に用いられ、オーストラリア仮特許出願第ＰＳ３２１５号の開示はその全体を本明細書に挿入する。

「グラフトの接着の改良」と題する特許文献６は、ステントグラフトをそれらが留置される血管の壁への接着を強化するステントグラフト上の装置を開示している。特許文献６に開示された特徴及び他の特徴は本発明で使用され、特許文献１はその全体を本明細書に挿入する。

「合成プロテーゼ」と題するオーストラリア仮特許出願第２００２９５０９５０号は、脈管内に留置するのに適したプロテーゼあるいはステントグラフトを開示している。オーストラリア仮特許出願第２００２９５０９５０号に開示されたこれらの特徴あるいは他の特徴は本発明と共に用いられ、オーストラリア仮特許出願第２００２９５０９５０号の開示はその全体を本明細書に挿入する。

図１、２Ａ、２Ｂを参照すると、本発明の留置装置は、その上にスライド可能に搭載された外部シース３と内部シース４とを有する留置カテーテル１を含む。外部シース３は、外部シース・マニュピュレータ６から操作され、内部シース４は、内部シース・マニュピュレータ７から操作される。ノーズコーン８を越えて留置カテーテル１を貫通してガイドワイヤカテーテル９が延びる。ガイドワイヤカテーテル９は、留置カテーテル１に対し移動可能なようにピンバイス１０により固定される。ピンバイス１０を解放することにより、留置カテーテル１に対しノーズコーン８が移動可能となる。

ステントグラフト１６（図２Ａ）は、留置装置の領域１１にノーズコーン８の先端に保持される（図２Ａ）。ステントグラフト１６は、外部シース３により包囲され、拘束状態に維持される近位体部分１７と、内部シース４により包囲され拘束状態に保持される遠位体部分１８とを有する。ステントグラフト１６の近位体部分１７と遠位体部分１８との間を分岐部１５からリム１９が延びる。近位体部分１７は、外径収縮ひも２０により圧縮状態に保持され、リム１９は外径収縮ひも２１により圧縮状態に保持される。これらの外径収縮ひもを解放する方法は後述する。

図１の留置装置上の変形可能なガイドワイヤ装置１２は、その中にガイドワイヤ１４を具備したガイドワイヤカテーテル１３を有する。

また別の変形可能なガイドワイヤカテーテル１３は、留置カテーテル１からＹ字型ピース４０の場所で延びる。

変形可能なガイドワイヤカテーテル１３は、使用中は患者の体外に保持される留置装置の一部から外部シース３を介して延び、曲げられてリム１９内に入る。リム１９が以下に説明するように解放された時には、変形可能なガイドワイヤは、リムがステントグラフトの本体から横方向に変形するよう補助する。

アンカーワイヤ構成が、参照番号２４の場所で分岐部１５に隣接するステントグラフト１６の本体に搭載される。アンカーワイヤ構成は、アンカーワイヤカテーテル２５と、アンカーワイヤカテーテル２５を貫通するアンカーワイヤ２６と、アンカーワイヤカテーテル２５を同じく貫通するアンカーワイヤ・解放ワイヤ２７とを有する。アンカーワイヤ２６は、その近位端でビーズ２９を有する。その結果縫合糸３０が分岐部１５に隣接するステントグラフト本体を貫通して固定され、その後、アンカーワイヤ２６の周囲を回り、ノット２８により保持される。このノット２８は、アンカーワイヤ・解放ワイヤ２７によりロックされる。アンカーワイヤカテーテル２５は、外部シース３と内部シース４の間を通過して、外部シース・マニュピュレータ６の後部から外に延びる。キャップ３２を取り外してアンカーワイヤ・解放ワイヤ２７の解放を可能にして、それをアンカーワイヤカテーテル２５を介して引く。キャップ３１を解放してアンカーワイヤ２６を後方に引く。アンカーワイヤ・解放ワイヤ２７が引かれると、ノット２８のロックが解除されて、縫合糸３０が解放され、アンカーワイヤ２６がステントグラフト１６から解放される。

リム１９上の外径収縮ひも２１は、留置カテーテル１上のトリガワイヤ機構３５を解放することにより動かされる。近位体部分１７上の外径収縮ひも２０は、トリガワイヤ解放機構３６の手段により解放される。トリガワイヤ３８は、外径収縮ひも２０からトリガワイヤ解放機構３６に延びる。一方トリガワイヤ３９は、外径収縮ひも２１からトリガワイヤ機構３５に延びる。

次に、図２Ａ−２Ｉを参照して、図１で議論した留置装置を用いてステントグラフトを留置するさまざまな段階を説明する。

図２Ａには、ステントグラフト１６は、外部シース３と内部シース４内に上記したように保持される。リム１９は、内部シース４外側で且つ外部シース３の内側にある。

図２Ｂにおいて、外部シース３を引くことによりリム１９が側面方向に曲がる。

図面を明瞭にするために、留置装置が本発明により留置される腸骨分岐部分は、図２Ａ、Ｂには示していないが、以下の図面では点線で示している。

図２Ｃを参照すると、本発明の留置装置は、総腸骨動脈（common iliac artery）５０が内腸骨動脈（intenal iliac artery）５１と外腸骨動脈（external iliac artery）５２に分岐する腸骨動脈（iliac artery）内に留置される。留置装置は、外腸骨動脈５２を介して留置される。総腸骨動脈５０は、瘤の袋の形態に変形して、本発明の留置装置が留置される瘤をブリッジするルーメン内に留置装置のレグの留置に都合の良い場所を提供する。

図２Ｃを参照すると、外部シース３は、リム１９が外部シース３により保持されている状態が解放される場所まで引き戻され、ガイドワイヤ１４は、それ自身が内腸骨動脈５１内に入るまで前進する。当業者に明らかなように、放射線技術を用いて、ガイドワイヤ１４が内腸骨動脈５１内に入る前に適切な整合を確保している。適宜の放射線不透過マーカが、必要に応じて本体の上に配置され、本体とリムの上に配置されるのを補助する。蛍光流体が留置装置を介して提供されて動脈構造を視覚化するのを補助している。

図２Ｄを参照すると、ガイドワイヤ１４が内腸骨動脈５１内に留置されると、装置全体を患者の体外から若干引くことにより操作される。その結果リム１９が内腸骨動脈５１内に入る。これはすでに配置されたガイドワイヤ１４によりガイドされながら行われる。

十分な長さのリムが内腸骨動脈５１内に留置される（これは適宜の放射線技術を用いて観測されるが）と、リム１９上の外径収縮ひも２１はトリガワイヤ機構３５を取り除くことにより解放される。リム１９は、自己拡張ステントの効果により拡張して、内腸骨動脈５１の壁に係合する（図２Ｅ）。繊維組織５５をリム１９に配置して、内部成長を促進することにより内腸骨動脈５１の壁への接着性を改善できる。

図２Ｆを参照すると、リム１９上の外径収縮ひも２０は、縫合糸３０を取り除くことにより解放される。その結果近位体部分は自己拡張ステントの影響下でフルサイズまで拡張する。しかし、この段階において、近位体部分は必ずしも総腸骨動脈５０の壁とは係合／接触しないが、その理由は、瘤の袋が総腸骨動脈５０内にあるからである。

図２Ｇに示す次の段階において、内部シース４が引かれて遠位体部分１８を解放する。この遠位体部分１８は自己拡張ステントの影響で外腸骨動脈の壁と係合／接触する。この段階において、腸骨分岐ステントグラフトの留置はほぼ完了する。ノーズコーン８と、ガイドワイヤカテーテル９と、ガイドワイヤカテーテル１３と、ガイドワイヤ１４に沿った内部シース４とが引かれて外部シース３をその場所に残し、必要によってステントグラフト１６を介して他の装置を留置し易くする。しかしこの段階に置いて、アンカーワイヤ構成は、依然としてその場所に保持され、さらなる装置を介しての留置が行われる。

後続の装置の留置は、ガイドワイヤ５７上を介して行われるが、このガイドワイヤ５７は、腸骨分岐ステントグラフト留置装置が取り除かれた後もその場所に保持される。

図２Ｈは、近位体部分１７の近位端内に留置されるステントグラフトのレグ５６を示す。

さらなる留置ステントが必要に応じて留置された後、アンカーワイヤ構成は、ノット２８を解放するアンカーワイヤ解放ワイヤ２７を引くことにより引き抜かれる。その結果アンカーワイヤ２６とアンカーワイヤカテーテル２５はその後引き抜かれ、図２Ｉに示す状態になる。

本発明によれば、ステントグラフトは、内腸骨動脈のようなブラインド状態にある血管内に留置され、その後さらなるステントグラフトの留置が行われるまでステントグラフトは係止される。

アンカーワイヤカテーテルと、アンカーワイヤと、アンカーワイヤ解放機構とを用いたアンカ（係止）システムの使用は、このアプリケーションに限定されるものではなく、他の状況例えばステントグラフトの一時的な係止が望ましいような他の状況でも用いることができる。

本明細書を通してさまざまな示唆が本発明の範囲に対し行われたが、本発明はこれらの１つのみに限定されるものではなく、これらの組み合わせにも及ぶ。本発明の実施例は単なる例示のためであり、発明を制限するよう開示されたものではない。

以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。

本発明の一実施例による留置装置を表す概略図。 図１の留置装置を用いてステントグラフトを留置する第１段階を表す図。 図１の留置装置を用いてステントグラフトを留置する第２段階を表す図。 図１の留置装置を用いてステントグラフトを留置する第３段階を表す図。 図１の留置装置を用いてステントグラフトを留置する第４段階を表す図。 図１の留置装置を用いてステントグラフトを留置する第５段階を表す図。 図１の留置装置を用いてステントグラフトを留置する第６段階を表す図。 図１の留置装置を用いてステントグラフトを留置する第７段階を表す図。 図１の留置装置を用いてステントグラフトを留置する第８段階を表す図。 図１の留置装置を用いてステントグラフトを留置する第９段階を表す図。

１ 留置カテーテル
３ 外部シース
４ 内部シース
６ 外部シース・マニュピュレータ
７ 内部シース・マニュピュレータ
８ ノーズコーン
９ ガイドワイヤカテーテル
１０ ピンバイス
１１ 領域
１２ ガイドワイヤ装置
１３ ガイドワイヤカテーテル
１４ ガイドワイヤ
１５ 分岐部
１６ ステントグラフト
１７ 近位体部分
１８ 遠位体部分
１９ リム
２０ 外径収縮ひも
２１ 外径収縮ひも
２５ アンカーワイヤカテーテル
２６ アンカーワイヤ
２７ アンカーワイヤ解放ワイヤ
２８ ノット（結び目）
２９ ビーズ
３０ 縫合糸
３１ キャップ
３２ キャップ
３５ トリガワイヤ機構
３６ トリガワイヤ解放機構
３８ トリガワイヤ
３９ トリガワイヤ
４０ Ｙ字型ピース
５０ 総腸骨動脈
５１ 内腸骨動脈
５２ 外腸骨動脈
５５ 繊維組織
５６ レグ
５７ ガイドワイヤ

Claims (13)

1. 本体と前記本体から伸びるリム（１９）とから構成される分岐ステントグラフト（１６）のリム（１９）を、ブラインド血管（５１）内に留置するのに適した脈管内ステントグラフト留置システムにおいて
   （Ａ）遠位端と近位端とを有し、前記近位端に離脱可能に保持された前記分岐ステントグラフト（１６）を搭載した留置カテーテル（１）と、
   （Ｂ）前記留置カテーテル（１）にスライド可能に且つ同軸上に取り付けられた内部シース（４）と、
   （Ｃ）前記留置カテーテル（１）の遠位端を通り、前記分岐ステントグラフト（１６）の本体内にその遠位端から入り、更にリム（１９）内に伸び、該リムの遠位端から伸びる変形可能なガイドワイヤ（１４）と、
   を有し、
   前記リム（１９）は、前記分岐ステントグラフト（１６）の本体の分岐部分（１５）から前記留置カテーテル（１）の遠位端方向に伸び、
   前記分岐ステントグラフト（１６）は、
   留置カテーテル（１）が前記分岐ステントグラフト（１６）の本体内を貫通して伸びた状態で、前記留置カテーテルに搭載され、
   前記内部シース（４）は、前記分岐ステントグラフト（１６）の本体を分岐部分（１５）から該本体の遠位端側の部分を包囲している
   ことを特徴とする脈管内ステントグラフト留置システム。
2. （Ｄ）前記内部シース（４）上にスライド可能且つ同軸上に搭載され前記分岐ステントグラフト（１６）の全体を包囲する外部シース（３）を更に有することを特徴とする請求項１記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
3. （Ｅ）前記内部シース（４）と前記外部シース（３）との間に伸び、前記分岐部（１５）に隣接する前記分岐ステントグラフト（１６）の本体まで伸び、前記分岐部（１５）に隣接する前記分岐ステントグラフト（１６）の本体に固定される解放可能なアンカーワイヤ装置を更に有することを特徴とする請求項２記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
4. 前記ガイドワイヤ（１４）は、前記リム（１９）を貫通して、前記リム（１９）から遠位端方向に伸び、前記リム（１９）がブラインド血管（５１）内に入るのを補助するガイドワイヤ装置（１２）を有することを特徴とする請求項１記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
5. 前記留置カテーテル（１）内に同軸状かつ移動可能に搭載されたガイドワイヤカテーテル（９）を有し、
   前記ガイドワイヤカテーテル（９）は、ノーズコーン（８）まで伸び、
   前記分岐ステントグラフト（１６）は、前記ノーズコーン（８）の遠位端側に解放可能に保持される
   ことを特徴とする請求項1記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
6. （Ｆ）前記分岐ステントグラフト（１６）の本体の少なくとも一部の上に搭載された外径収縮装置を更に有することを特徴とする請求項１記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
7. （Ｇ）前記分岐ステントグラフト（１６）の前記リム（１９）上に搭載された外径収縮装置
   を更に有することを特徴とする請求項1記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
8. 前記外径収縮装置は、
   前記分岐ステントグラフト（１６）の本体又は前記リム（１９）の直径を、留置状態の直径から圧縮状態の直径まで小さくする、前記分岐ステントグラフト（１６）の本体又は前記リム（１９）の周囲に配置されたひも（２０，２１）と
   留置状態の直径まで前記分岐ステントグラフト（１６）又は前記リム（１９）が拡張するよう、前記ひも（２０，２１）を解放するトリガーワイヤ機構（３５）と
   を有する
   ことを特徴とする請求項６または７記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
9. 前記トリガワイヤ機構（３５）は、前記留置カテーテルの遠位端に、留置中は患者の体外に配置されるトリガワイヤ解放機構（３６）を有することを特徴とする請求項８記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
10. 前記分岐ステントグラフト（１６）は、前記分岐ステントグラフト（１６）の本体の近位端と遠位端の少なくとも一方及び前記リム（１９）の遠位端に自己拡張型ステントを有することを特徴とする請求項１記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
11. 前記リム（１９）に伸びる変形可能なガイドワイヤカテーテル（１３）は、前記ガイドワイヤ（１４）とガイドワイヤシースとを有し
    前記ガイドワイヤ（１４）は、留置中は患者の体外から前記ガイドワイヤシース内で移動可能である
    ことを特徴とする請求項１記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
12. 前記リム（１９）は、外側表面に血管への接着性を改良する繊維組織を有する
    ことを特徴とする請求項１記載の脈管内ステントグラフト留置システム。
13. 前記アンカーワイヤ装置は、アンカーワイヤ（２６）とアンカー解放ワイヤ（２７）とを有し
    前記アンカー解放ワイヤ（２７）は、前記留置カテーテルの遠位端で留置中は患者の体外に配置されるアンカーワイヤ解放機構まで伸びている
    ことを特徴とする請求項３記載の脈管内ステントグラフト留置システム。

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