JP4620846B2 - 光触媒活性を有する金属板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に光触媒活性を付与した金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
Fe2 3 、Cu2 O、In2 3 、WO3 、PbO、V2 5 、Bi2 3 、Nb2 3 、ZnO、SnO2 、ZrO2 等の金属酸化物半導体は、すでに多方面で検討されているTiO2 と同様に、特定波長の光を照射することによって優れた光触媒活性を示し、光触媒作用に由来する強力な酸化反応によって、環境汚染物質の分解除去、防臭、防汚、殺菌作用を発揮する可能性がある。しかし、TiO2 に比べ、その効果の確認や実用材への適用がほとんどされていない。これは、光触媒機能を効果的に発揮するような結晶形態に制御し、基材への密着性を実用レベルに向上した皮膜形成が困難だったためである。
【0003】
素材に柔軟性、加工性がある場合、ユーザー側でも、用途に合わせて曲げたり、切断したり、穿孔したりできるので、適用範囲が飛躍的に拡大する。金属板は、ガラスやセラミック素材に比べ、2次加工が容易であるが、表面に酸化物等の硬質で厚い皮膜が形成されていると、酸化物層は金属板の変形に追従できず、金属板と酸化物層との界面で剥離したり、酸化物層自体が崩壊するのが普通である。
【0004】
さらに、本来、酸化物と金属板は、熱膨張率やヤング率が著しく異なるため、温度や応力等の環境要因が変動すると、界面の剥離が生じやすい問題がある。
金属酸化物半導体層の被覆方法については、金属のアルコキシドの加水分解生成物を塗布する方法、すなわち、ゾル−ゲル法が一般的である。しかし、このゾル- ゲル法では、塗料の粘度や塗布条件によって、形成される皮膜の厚さが変化し易く、皮膜の性能を高めるために厚膜化すると、乾燥時の皮膜の収縮が大きいため皮膜と基材表面との間の密着性が低くなり、剥離し易くなる等の問題点がある。
【0005】
さらに、酸化物半導体層の結晶性を高めるためには、被覆後に乾燥させ、さらに焼成するという3つの工程が必須であり、一般的には、大気中で、焼成温度を500℃以上という高温で焼成を行う必要があった。さらに、一回の塗布で得られる膜厚は、0.1μm 程度の場合が多く、厚い膜にするためには、上記の塗布、乾燥、焼成を数回繰り返す等の複雑な工程を経る必要があった。
【0006】
高温の大気中で何回も焼成した場合、基材からの元素の拡散が避けられず、特に1μm 程度の厚さの皮膜の場合には、皮膜全体に基材中の元素が拡散し、金属酸化物半導体の光触媒活性を低下させる等の問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は,上記のような事情に着目してなされたものであって、金属酸化物半導体の有する光触媒作用に由来する環境汚染物質の分解除去、防臭、防汚、殺菌作用を、より効果的に持続的に発揮しつつ、変形や加工性を兼ね備えた金属板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、金属酸化物半導体皮膜と金属板との界面に、化学組成が傾斜組成となっている中間層を形成することで、物理的特性に連続性を持たせ、密着性を向上させることを見い出し、本発明をなすに至った。
【0009】
即ち、本発明は、表面に0.5〜5.0μmの厚さの皮膜を有する金属板であって、該皮膜が、金属板から表面に向かって、金属層からなる内層と、金属と金属酸化物半導体からなり、化学組成が金属層から金属酸化物半導体層に傾斜組成となっている中間層と、晶相を含む金属酸化物半導体層からなる外層とを、順に形成した皮膜であり、該金属酸化物半導体が、C2O、In23 、PbO、V25、Bi23、Nb23 、SnO2、ZrO2から選ばれる少なくとも一つであり、上記内層の金属層が、上記金属酸化物半導体を構成する金属であり、前記内層の厚さが0.05〜1.0μm、前記中間層の厚さが0.05〜1.0μm 、及び、前記外層の厚さが0.4〜3.0μm であり、前記外層が、結晶相を80体積%以上含有することを特徴とする光触媒活性を有する金属板である。
【0010】
た、本発明は、前記金属板が、ステンレス鋼、又は、チタン又はチタン基合金であることを特徴とする光触媒活性を有する金属板である。
【0012】
【発明の実施の形態】
皮膜の構成、及び、中間層の化学組成についての概念図を図1に示す。金属板表面には、金属(M)からなる内層が形成される。Mは、外層の酸化物半導体がFe23 、Cu2 O、In23 、WO3 、PbO、V25 、Bi23 、Nb23 、ZnO、SnO2 、ZrO2 の場合、それぞれに対応して、Fe、Cu、In、W、Pb、V、Bi、Nb、Zn、Sn、Zrである。つまり、外層の酸化物半導体が、例えば、Fe23 の場合、金属(M)はFeであり、中間層は、FeからFe23 までの化学組成が傾斜組成になっていて、FeとFe23 の混合体、又は、固溶体である。ただし、Fe 2 3 、WO 3 、ZnOの場合については、参考例である。
【0013】
この場合、鉄と酸素以外の元素は、図1の関係を崩さない限度で含有されていてもよい。不純物を含まない場合には、内層は、化学式でFeと表記され、Fe含有量は、100質量%となる。内層が、金属Mの場合、外層は、図1に表記したように、金属Mの酸化物MOxである。xは、上記それぞれの金属酸化物半導体に応じて、一定の値を持つ。
【0014】
例えば、Fe2 3 の場合、xは1.5となる。内層と外層に、同種の金属Mを含有させるのは、後述するPVD法での成膜形成のし易さ、金属と金属酸化物間の物理特性の近似性からである。
外層は、光触媒活性を十分発揮するために、結晶性の優れた金属酸化物半導体で構成されるのが望ましい。結晶相を80体積%以上含有すると、効果的である。
【0015】
中間層は、金属とその金属酸化物で構成され、それぞれの結晶粒が分散混合していても、あるいは固溶体を形成していてもよい。結晶質であっても、非晶質であってもよい。また、複合酸化物や、それぞれの結晶相の混合層で形成されていてもよい。
化学組成の不連続性を無くすことで、熱膨張率やヤング率等の物理特性の不連続性を最小限に抑えることができる。光触媒活性を有する金属板は、様々な環境で、長期にわたって使用される可能性がある。温度変化が大きかったり、外力がかかったりする場合もあり、これらの環境要因に対して、皮膜の密着性や光触媒活性等の長期耐久性が求められる。このためには、皮膜と金属板基材との物理特性の連続性が必要であり、この点で中間層は重要である。
【0016】
例えば、熱膨張率の不連続があると、ここに応力が集中し、皮膜の剥離の起点になる。この応力は、金属酸化物半導体皮膜と金属基板との間に集中し、界面の残留応力と外力とが複合した力が、両者の密着力を越えると皮膜が剥離する。つまり、皮膜と基板との密着力以下の外力でも、界面に残留応力があると皮膜が容易に剥離することになる。
【0017】
このように、線膨張係数の差が、界面の残留応力の大きさと相関するので、それぞれの界面での線膨張係数の差を少なくすることが、応力集中を避ける上で重要である。
特に、外層の金属酸化物半導体皮膜層は、皮膜形成法によっては応力が残留することがあり、中間層は応力の緩和層としても意味がある。上記機能を効果的に発揮するには、中間層の厚さは、0.05〜1.0μm であることが望ましい。0.05μm 未満では、効果が少なく、1.0μm より厚くても、その効果は変わらない。
【0018】
外層の金属酸化半導体層は、0.4μm 以上の膜厚が好ましく、光を効率的に吸収し、光触媒として機能する。最も効率的な光吸収には、1.0μm 以上がさらに望ましい。外層の膜厚は、3.0μm を越えると、変形や曲げ加工性が劣るので、3.0μm 以下が好ましい。最も望ましくは、2.0μm 以下である。
外層は、光触媒活性という観点から、結晶相主体であることが望ましい。最も好ましくは、結晶相の外層中の含有率を80体積%以上とすると、高い光触媒活性が得られる。目的に応じて、上記外層の表面に、白金族金属を担持させ、さらに触媒活性を高めてもよい。この際、担持させる金属層は、上記皮膜の厚さの一割以下であることが望ましく、この範囲であれば、変形や曲げ加工性を損なわない。
【0019】
内層の金属層は、金属板と金属酸化物半導体層の密着性向上に重要である。厚さは、0.05〜1.0μm であることが効果的である。0.05μm 未満では、効果が少なく、1.0μm より厚くても、その効果は変わらない。
上記のような光触媒活性を有する金属板は、皮膜をPVD(Physical VaporDeposition) 法等により、金属板表面に形成することで製造できる。PVD法は、基材への温度による負荷が少なく、緻密で微細粒からなる結晶質皮膜が形成できる特徴がある。上記皮膜形成に適しているPVD法として、具体的には、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングの各種手法が適している。
【0020】
金属板基材の熱による変形や、金属板基材から皮膜への元素拡散等による光触媒活性の劣化等の問題が生じないように、皮膜形成時の基材温度は500℃以下とする。上記3手法は、何れも、基材の温度が500℃以下で皮膜形成が可能であり、十分な皮膜密着性と皮膜の結晶性が得られるものであり、金属板基材の熱による変形や、金属板基材から皮膜への元素拡散等による光触媒活性の劣化等の問題は発生しにくい。また、上記3手法は、成膜速度が毎分0.02〜0.2μm 程度で、例えば、1μm の皮膜を得るのに5〜50分と実用的である。
【0021】
PVD法を上記皮膜の形成に適用する場合、減圧下で金属を蒸発させ、反応ガスとして酸素を導入する方法が、金属酸化物半導体の組成の制御性に優れ、適している。上記皮膜の中間層の傾斜組成も、蒸発させる金属量と、反応ガスの酸素分圧又は流量の比を、連続的に変化させることで、形成される。
つまり、内層の形成には、酸素ガスを導入せず、金属蒸気のみで成膜するが、中間層の形成には、酸素ガスを反応チャンバー中に少しづつ導入し、その導入量を時間とともに次第に増やし、外層の形成時に導入する酸素ガス量まで増やすといった工程で形成できる。
【0022】
このプロセスは、内層、中間層、外層までを、一度も大気開放せず、同一チャンバー内で連続的に行うことができる。しかも、結晶相を直接成膜できるので、後熱処理等は必要ない。例えば、成膜時の基材温度が490℃で、金属ニオブを蒸発させる電子ビームの電流を300mA(加速電圧20kV) 、酸素圧力を4×10-4Torr(0.05Pa)として、アーク放電活性化イオンプレーテイング装置で、イオン化を40V、2Aで行った場合において、ニオブ蒸発源から45cm上部に設置させたステンレス鋼SUS304試料を基板とし、20分間の成膜をおこなった場合、1.4μm の結晶質Nb2 3 主体の皮膜を生成することができる。
【0023】
これに対して、同じ装置、試料で、基材温度100℃で10分間の成膜をした場合、約0.6μm の非晶質皮膜となる。成膜速度も早いので、同様のプロセスを繰り返す必要もなく、従来のゾル−ゲル法と比べると、簡便かつ短時間で、管理しやすく、製造コストも低くできる。
減圧下での成膜は、金属酸化物半導体の形成反応を進める上で重要である。また、成膜中に、500℃以下で金属板基材を加熱すると、基材の温度による劣化を抑えつつ、皮膜の密着性、結晶性が向上するので好ましい。基材の加熱は、減圧下で行うので、大気中で焼成する場合より、基材表面の酸化は少ない。減圧にすることで、金属の蒸発を効率良く行うことができる。
【0024】
真空蒸着は、真空下で、金属を電子ビーム等の熱源を用いて溶解し、金属の蒸気を発生させ、これを基材に蒸着する方法である。装置構成が比較的簡単で、皮膜形成コストは上記3手法の内で最も安い。
スパッタリングは、イオン化したアルゴン等のガス成分をターゲットである金属に照射し、このターゲットからたたき出された金属成分を基材に成膜する方法である。
【0025】
イオンプレーティングは、電子ビーム等の熱源を用いて溶解し、金属の蒸気を発生させ、プラズマでイオン化された金属成分を基材上で反応させ成膜する方法で、基材に電荷をかけることでイオンを呼び寄せ、緻密な皮膜形成に有利で、基材温度が低くても高い密着性が得られる。
イオンプレーティング法では、微細粒の結晶よりなる皮膜形成が容易で、例えば、イオンプレーティング法の一種であるアーク放電活性化イオンプレーティング法を使い、基材の温度400℃で、酸素圧力0.05Paで成膜した厚さ1μm のZnO皮膜では、結晶粒が約0.02μm 程度の微細粒となる。
【0026】
このように、目的とする皮膜の特性に応じて、成膜法を選ぶことができる。上記3方法の内、スパッタリング及びイオンプレーティング法は、プラズマによって金属蒸気をイオン化あるいは励起活性化させるので、反応性に富み、基材の温度が低くても、高い皮膜の結晶性、密着性が得られ、皮膜も緻密で微細粒から構成される。成膜速度の点からは、電子銃蒸発源を使った、真空蒸着やイオンプレーティング法が有利である。
【0027】
さらに、結晶相主体の皮膜を実用的な成膜速度で形成するには、基材の温度を金属酸化物半導体の融点の1/5以上とするのが好ましく、基材の金属板の熱による劣化や金属板からの元素の拡散等を防ぐ上で、500℃以下の基板温度で生成する必要がある。具体的には、基材の温度を200℃〜450℃とし、金属の蒸発速度が毎分0.03〜0.18μm 、酸素雰囲気で圧力が0.1〜0.8Paで、成膜することが好ましい。
【0028】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び比較例を示す。
工業用純チタン板及びステンレス鋼板(SUS304)を金属板基材とし、PVD法等で皮膜形成を行って、得られた試料について、皮膜の性状(構成、膜厚、結晶相、密着性) を調べ、さらにそれぞれの試料について、光触媒活性(ヨウ化カリウム分解度、脱臭効果)を評価した。評価結果を、皮膜形成の諸条件も含め、表1に示す。
【0029】
皮膜の構成、膜厚、結晶相含有量は、オージェ電子分光法、X線光電子分光法、グロー放電発光分析法、ラマン散乱分析法、及びX線回折法によって求めた。
密着性は、90°曲げ試験によって評価した。密着性評価用の基材は、SUS304のφ30mm、厚さ0.3mmの円盤状基材を使い、この表面に皮膜を形成した。この試料を曲げ角90°に加工変形し、最も変形の大きい部分(折れ曲がった部分) を、肉眼で観察した。皮膜が完全に剥離した場合を、密着性×、部分的に皮膜が付着している場合、あるいは、剥離が認められない場合を、密着性○とした。
【0030】
光触媒活性の評価は、以下に示すゾル−ゲル法で酸化チタン膜をSUS304ステンレス鋼鈑(40mm角、厚さ1mm) に生成し、この光触媒活性との相対評価で行った。ゾル−ゲル法による作成は、作花(ゾル−ゲル法の科学、アグネ承風社、1988) の方法によった。具体的には、チタンテトライソプロポキシドを100mlの無水エタノールで濃度284g/lに希釈し、攪拌しながら、2N塩酸2mlを100mlの無水エタノールで希釈した溶液に滴下、透明なゾルを調整した。次に、ディップコーティング−乾燥(100℃) の処理を繰り返し、基板上にゲル状化合物を生成させ、電気炉内600℃で5時間焼成を行った。4回繰り返し、生成した皮膜の厚さは、0.5μm であった。
【0031】
ヨウ化カリウム分解度は、ヨウ化カリウム水溶液に各試料を浸漬し、紫外線強度の高いブラックライト(3mW/cm2)を照射することによって、生成するヨウ素の生成量を測定することによって、評価した。上記ゾル−ゲル法で生成した皮膜による前記方法で試験したヨウ素の生成量を基準に、各試料で試験したヨウ素生成量が、基準量の0.5倍未満の場合を評価×、0.5倍以上を評価○とした。
【0032】
脱臭効果については、各試料を置いた石英管の外部から一定速度の紫外線(ブラックライト:3W/cm2)を照射しつつ、一定流量のアルデヒドを流し、出口部でのアルデヒド残存濃度を測定することによって、評価した。上記ゾル−ゲル法で生成した皮膜による前記方法で試験したアルデヒド残存濃度を基準に、各試料で試験した残存濃度が、基準濃度の2倍以上の場合を評価×、2倍未満を評価○とした。
【0033】
【表1】
Figure 0004620846
【0034】
表1中、No.1〜8が比較例で、No.9、11〜13、15〜17が実施例であり、10、14、18は参考例である。実施例では、ゾル−ゲル法で生成した試料に比べ、密着性が優れ、十分な光触媒活性がみられた。No.1は、皮膜形成をしていないブランクの基材そのものの評価結果である。皮膜生成法で、スパッタリング法として以下の2法を試みた。SPは、ターゲットに金属を使い、酸素ガスを反応ガスとして導入した。SP2では、ターゲットに金属酸化物(外層生成用) と金属(内層生成用) を使い、アルゴンガスでプラズマの活性化を行った。SP2では、中間層生成時には、金属酸化物と金属を同時にターゲットに用いて成膜したが、金属蒸気と酸素ガス分圧を個別に制御できていないために、中間層が傾斜組成にできなかった。SP、SP2いずれも、ガス圧は2.7Paとした。
【0035】
真空蒸着及びイオンプレーテイングによる外層の形成は、いずれも、酸素雰囲気、圧力0.5Paの下で、電子銃による金属の蒸発によって行った。内層の形成は、酸素ガスを導入せず、圧力0.1Pa以下で行い、中間層の形成は、金属の蒸発速度を一定にして、酸素ガス流量を次第に増やすことによって制御した。内層、中間層、外層の膜厚の制御は、蒸着時間を変化させることで行った。膜厚は、蒸着時間が長くなると増加する。蒸着速度は、例えば、No.17のイオンプレーテイングでは、0.05μm /分であった。
【0036】
溶射は、金属酸化粒子をプラズマ照射した。基板の温度の上昇を避けるために、圧縮空気によって、基板の後部から冷却しながら、手早く溶射した。溶射法では、傾斜組成の制御性よく試料を作成するのには限界がある(No.3)ので、十分な密着性が得られなかった。表1の実施例(No.9、11〜13、15〜17)から明らかなように、表面の皮膜を0.5〜5.0μm の厚さとし、金属層からなる内層と、金属と金属酸化物からなり、化学組成が金属層から金属酸化物層に傾斜組成となっている中間層と、金属酸化物層からなる外層とを、目的に応じた組成に形成することで、密着性及び光触媒活性に優れた金属板を得ることができる。これらは、金属蒸気又はイオン化した金属蒸気と、酸素の分圧を別々に制御するPVD法によって、効率的かつ有効に製造できることがわかる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、光触媒活性を有する金属板の広範囲な実用化が可能になる。
皮膜内に傾斜組成の中間層を設けることにより、密着性に優れた皮膜となり、変形や加工も可能で、長時間の使用においても触媒活性の持続性を有する金属板を提供することができる。また、皮膜形成を単一プロセスでできるので、工程管理をし易く、製造コストの削減、及び、作業効率の向上に有利である。さらに、皮膜形成時の金属板基材の温度も低いので、熱による金属板の変形や意匠性の変化、皮膜の光触媒活性の低下等を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮膜構造及び中間層の化学組成を示す概念図である。

Claims (2)

  1. 表面に0.5〜5.0μm の厚さの皮膜を有する金属板であって、該皮膜が、金属板から表面に向かって、金属層からなる内層と、金属と金属酸化物半導体からなり、化学組成が金属層から金属酸化物半導体層に傾斜組成となっている中間層と、結晶相を含む金属酸化物半導体層からなる外層とを、順に形成した皮膜であり、該金属酸化物半導体が、C2O、In23 、PbO、V25、Bi23、Nb23 、SnO2、ZrO2から選ばれる少なくとも一つであり、上記内層の金属層が、上記金属酸化物半導体を構成する金属であり、前記内層の厚さが0.05〜1.0μm、前記中間層の厚さが0.05〜1.0μm 、及び、前記外層の厚さが0.4〜3.0μm であり、前記外層が、結晶相を80体積%以上含有することを特徴とする光触媒活性を有する金属板。
  2. 前記金属板が、ステンレス鋼、又は、チタン又はチタン基合金であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒活性を有する金属板。
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