JP4620215B2 - 隔膜式センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ本体と気液分離膜で、内部に検知極、対極、電解液(内部液)などを保持した構造の隔膜式センサに関する。さらに詳しくは、塩素の漏洩ガス等、低濃度ガスの検知に適し、かつ微小に製作が可能な隔膜式センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
塩素ガス等の毒性ガス検知用センサとしては、従来からセンチメートルサイズの電量式及び定電位電解式センサが実用化されている。漏洩ガス検知警報器などに広く用いられており、許容濃度(ACGIH又は日本産業衛生学会の勧告値)付近の低濃度ガスに対しても迅速に応答する性能を有したセンサとなっている。
【0003】
これらの電量式及び定電位電解式塩素ガスセンサは、気液分離膜(隔膜)とセンサ本体等の内部に、作用極(検知極)・対極などとともに内部液(電解液)などを保持した構造となっている。両方式は、作用極一対極間に適当な電圧を印加しながらセンサ出力としての電流を測定するなど類似点も多く、最近では測定原理上の区分にかかわりなく、他の類似した測定方式をも含めてアンペロメトリックセンサや電流測定式センサ、或いは電気化学センサやEC(Electrochemical)センサと呼ばれるケースが多くなってきている。
【0004】
図9に上記従来技術に係るECセンサの一例を示す。図9のECセンサは、筒状のセンサ本体51と、中央に多孔質の隔膜52を保持した隔膜保持体53とを備えている。そして、ナット54をセンサ本体51と螺合することにより、隔膜保持体53がOリング55を介してセンサ本体51の先端に装着されている。また、電極本体51の中央空間に、センサ上部(図示せず)から電極支持体56が垂下されており、電極支持体56の先端には検知電極57が、中間の凹部には対極58が各々支持されている。そして、これら各部材の間に形成される空間に電解液59が充填されている。このECセンサ全体の大きさは、例えば、26mmΦ×58mmである。
【0005】
一方、微小ガスセンサの研究開発はこれまでにも多くの研究者によって行われてきており、報告も多数となっている。しかし、微小ECセンサに関する報告の殆どは、酸素センサ又はバイオセンサに関する内容である。このことは、これらの微小センサのニーズが医療などの分野に存在していることや、また、測定対象物質となる酸素が高濃度(%オーダー)であるためにポアサイズや気孔率が小さい気液分離膜で使用可能であり、ふっ素化合物やシリコーンなどのフィルムも使用できるために比較的簡単に気液分離構造を構築できること、及び酸素センサの内部液はほぼ塩化カリウム溶液に近い組成であるために周囲のセンサ部材等を侵食したりすることも殆どないこと、などが大きく関与し、研究報告も多数に及んでいると考えられる。
【0006】
図10に、上記微小センサの一例として、特公平6−1254号公報に記載された酸素電極を示す。図10において、シリコン基板71は、異方性エッチングにより作成された溝を有すると共に、その全面に絶縁膜72を被着せしめられている。シリコン基板71の溝には、2本の金電極73A及び73Bが対をなして接着せしめられている。金電極73A及び73Bは、それぞれの先端が溝の外側まで延在している。また、シリコン基板71の溝には、電解液を含ませたゲル74が満たされている。さらに、溝の上部には、シリコン基板71の上部の全面を覆う形で、液体状の材料を塗布することにより形成されたガス透過性膜75が被覆されている。このセンサの大きさは、幅4mm×長さ15mm×厚さ350μmである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図9に示す従来のECセンサにおいても、発生源となり得る箇所の近傍の狭い場所への設置を可能としたり、低コスト化を促進する観点から微小化が望まれている。また、省エネルギーや、電解液をはじめとする廃棄物の少量化という環境上の配慮からも微小化が望まれている。
【0008】
しかし、これをそのままの構造で微小化して製作することはできない。すなわち、電解液59を確実に内部に保持するために使用されているOリング55やナット54等は、サイズを小さくしようとしても限界がある。また、検知電極57と隔膜52との位置関係は、隔膜52を透過した被測定ガスが溶解する電解液59の層の厚さや、被測定ガスが検知電極57に到達するまでの距離等のセンサの感度に影響を及ぼす事項に直接かかわるので、厳密な管理が必要である。しかしながら、たとえOリング55等を微小化できたとしても、ナットの締め付けという方法で検知電極57と隔膜52との位置関係を微小サイズにおいて厳密に管理することは困難である。
【0009】
一方、図10に示した酸素電極のような構成は、毒性ガス測定用の微小ECセンサには応用されていない。なぜなら、上記構成では、以下の理由により測定対象ガスがppb〜ppmオーダーと低濃度ガスであり、しかも迅速な応答や長期安定性などが要求されるという仕様を達成することが困難だからである。
【0010】
すなわち、低濃度測定の場合には、十分なガス透過性が確保されつつも、内部液を確実に保持できる気液分離膜を用いなければならない。しかしながら、上記酸素電極における液体状の材料の塗布により形成された膜は非多孔質膜である。この場合、気体は連続膜を構成する分子間を通って透過することになるので、膜に接した気体の極一部しか透過できない。酸素のように、20%前後のガスを測定するのであればこれで構わないが、ppb〜ppmオーダーの低濃度ガスを対象とする場合には、充分な透過量を確保できない。
【0011】
また、図10の酸素電極では、電解液を非液体としてある程度の機械的強度を持たせ、これにより気液分離膜を形成する液体状材料の塗布を可能としている。そのため、気液分離膜と検知電極との位置関係を一定にしにくく、低濃度測定の場合、精度上問題が生じる。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、微小化した場合にも、低濃度ガスの測定にも対応できる充分なガス透過性を確保できると共に、内部液も確実に保持でき、しかも、検知電極と気液分離膜の位置関係を一定する等の精密な加工が可能なことにより良好な測定精度が得られる隔膜式センサを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を検討した結果、請求項1の発明として、センサ本体と、気液分離膜と、センサ本体と気液分離膜との間に充填された電解液と、電解液に接触する検知電極及び対極とを備える隔膜式センサにおいて、気液分離膜が、シリコンウエハーに孔あけ加工した膜材又はアルミナを陽極酸化して多孔質化した膜材により構成され、センサ本体が、同一平面に設けられて気液分離膜が接合される一以上の膜接合面と、膜接合面に囲まれる位置に設けられた電解液収容溝と、電解液収容溝底面から膜接合面と離間して突設され先端が膜接合面と同一平面上の近傍にまで伸張する検知電極台とを有すると共に、このセンサ本体の検知電極台の先端には検知電極が、電解液収容溝の底面には対極が各々設けられ、検知電極は、膜接合面と同一平面上よりも電解液収容溝の底面方向に位置し、気液分離膜と検知電極との位置関係が膜接合面と検知電極台の位置関係によって安定した関係に保持されるように構成されていることを特徴とする隔膜式センサを提供する。
【0014】
本発明における気液分離膜は一般に隔膜とも称される。また、電解液は内部液とも称される。また、検知電極及び対極は、各々、電流測定式センサにおいて作用極及び対極とも称されるものである。また両極は、電子授受の方向性を考慮して、何れかをアノード、何れかをカソードと称される場合もある。さらに、電圧測定式センサにおいて、検知極及び対極は、各々感応電極(膜)及び参照電極とも称されるものである。本発明における隔膜式センサは、これら種々の測定原理や代替の名称の有無を問わず、検知極と対極との間において、気液分離膜を通過して電解液に入る測定対象ガスに対応して得られる電気信号を何らかの方式で検知する隔膜式センサを総て対象とするものである。
【0015】
本発明において、電解液としては、液体状の他、加粘性物質を加えたゾル状や、ゲル形成物質や樹脂等にしみ込ませた半固体状や固体状等、非液体状のものも採用できる。膜接合面は、ドーナツ状や四角枠等、内部に電解液収容溝を囲む単一の面として形成しても良いし、2以上の膜接合面を、電解液収容溝を囲むように、同一平面上に配置しても良い。
【0016】
本発明においては、センサ本体が簡単な構造のため、微小なサイズ・形状が精度良く加工できる。そして、その膜接合面に気液分離膜を接合するので、充分なガス透過性を確保できる気液分離膜を選択して装着可能である。気液分離膜と検知電極とは、膜接合面と検知電極台によって安定した位置関係を保持できる。従って、微小サイズであっても、精度良い測定が可能となる。また、内部液も液体、非液体にかかわらず確実に保持できる。
【0017】
請求項1の発明は、センサ本体の形状をより特定することにより、さらに加工が容易となる。すなわち、請求項2に記載した発明の如く、センサ本体と、気液分離膜と、センサ本体と気液分離膜との間に充填された電解液と、電解液に接触する検知電極及び対極とを備える隔膜式センサにおいて、気液分離膜が、シリコンウエハーに孔あけ加工した膜材又はアルミナを陽極酸化して多孔質化した膜材により構成され、センサ本体が、同一平面に平行して設けられて気液分離膜が接合される一対の膜接合面と、膜接合面に挟まれる位置に設けられた底面が長方形の電解液収容溝と、電解液収容溝底面から突設され先端が膜接合面と同一平面上の近傍にまで伸張する先端面が膜接合面と平行する長方形の検知電極台とを有すると共に、このセンサ本体の検知電極台の先端面には検知電極が、電解液収容溝の底面には対極が各々設けられ、検知電極は、膜接合面と同一平面上よりも電解液収容溝の底面方向に位置し、気液分離膜と検知電極との位置関係が膜接合面と検知電極台の位置関係によって安定した関係に保持されるように構成されていることを特徴とする隔膜式センサとすることができる。
【0018】
本発明によれば、電解液収容溝や検知電極台を、直線加工により設けることができるので、製作が容易である。なお、センサ本体全体の形状は特に限定されず、例えば円柱等としてもよいが、直方体の如く直線で囲まれた形状にすれば、より製作が容易となる。
【0019】
センサ本体の材質に特に限定はないが、請求項3に記載した如く、石英等のガラス製とすることにより、安価な材料で、精度良い加工を迅速に行うことができる。また、電解液による腐食を受けにくく、種々の測定原理の隔膜電極に対応できる。センサ本体の材質としては、この他、樹脂材等を適宜使用できる。
【0020】
気液分離膜は、請求項4に記載の如く、電解液に面する内面が親水性で、試料ガスに面する外面が撥水性の多孔質膜とすることができる。本発明によれば、外面を撥水性としたので、外部に電解液が漏出しにくい。そのため、充分なガス透過を確保できる気孔率の高い多孔質膜を採用できる。また、外部からの汚れの影響も受けにくくなる。さらに、電解液に接する内面を親水性としたので、電解液とのなじみが良い。そのため、検知電極と気液分離膜との距離を極限まで狭くしても検知電極が電解液に接することができる。したがって、センサ全体をより小さく形成することができる。
【0021】
本発明は、請求項5に記載の如く、検知電極と対極との間に電圧を印加し、気液分離膜を透過した測定対象ガスによって、両極間の分極が解除された際に流れる電流を検知する方式、すなわち電量式とすることができる。電量式の場合、化学的浸食性のほとんどない中性付近の電解液を用いることができる。そのため、ガラス等に限らず、種々の材質を用いることができるので、半導体加工技術を用いてのセンサの微小化にも適応できる。
【0022】
電量式ガスセンサは、請求項6に記載の如く、例えば塩素ガスセンサとして構成できる。この場合、電解液としては臭化物イオン溶液を用いる。なお、検知電極及び対極の材質としては、白金、銀、金、プラセオジム、パラジウム、イリジウム、ロジウム等種々の貴金属が選択できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。図1は本発明に係る隔膜式センサの1実施形態を示す分解斜視図である。図1の隔膜式センサは、センサ本体1と、センサ本体1に設けられた検知電極2及び対極3と、気液分離膜4とから構成されている。
【0024】
図1の隔膜式センサについて、図2〜図7を適宜参照しながらさらに詳しく説明する。なお、図2は平面図、図3は気液分離膜4を除いた平面図、図3〜図7は、各々図2におけるIV〜VII断面図である。
【0025】
図3及び図4に示すように、センサ本体1は膜接合面5a,5bとを備えている。膜接合面5a,5bは長方形で、同一平面上に互いに平行して設けられている。また、膜接合面5a,5bに挟まれる位置に底面が長方形の電解液収容溝6が設けられており、電解液7が収容されるようになっている。また、電解液収容溝6の中央部分に、検知電極台8が突設されている。この検知電極台8の先端は、膜接合面5a,5bと同一平面上の近傍にまで伸張しており、その先端面は、膜接合面5a,5bと平行する長方形となっている。
【0026】
検知電極2は、検知電極台8の先端面に設けられている。また、対極3は、電解液収容溝6の検知電極台8が設けられていない残りの底面部分に、検知電極台8を挟むように設けられている。検知電極2からは、図5にも示すようにリード線9が導出されている。また、対極3からは図6にも示すようにリード線10が導出されている。なお、図1においては、これらリード線9,10の図示を省略してある。
【0027】
気液分離膜4は、図7に示すように膜接合面5b(及び5a)に接合され、図2に示すようにリード線9,10の導出を妨げない位置までセンサ本体1を覆っている。また、センサ本体1自身にも、リード線9,10を導出しやすくするために気液分離膜4で覆われていない部分に切り込みが設けられている。また、センサ本体1には、検知極2と対極3との間の電気的絶縁を図ることを目的として、薄い切り込みが各部分に適宜設けられている。
【0028】
本実施形態において、センサ本体1は石英ガラス製で、精密ダイシングソーにより、所望の寸法形状に、精密に加工されている。なお、センサ本体の加工方法としては、この他、レーザー加工等を用いてもよく、エッチング等、半導体加工技術を適宜採用してもよい。検知電極及び対極は、蒸着、スバッタ、イオン蒸着(I−BAD)等公知の方法により、センサ本体上に膜状に形成されている。両極からのリード線9,10には、極細の金線等が用いられる。
【0029】
気液分離膜4としては、図9の従来技術に係る電極ではテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物製の多孔質メンプレン等が用いられているが、緩みやすいため、微小電極として作成するには適していない。検討の結果、シリコンウエハーをDeepRIE(反応性イオンエッチング)により孔あけ加工した膜材や、アルミナを陽極酸化して多孔質化した膜材等が好適に使用できた。例えば、厚さ160μmのシリコンウェハーに、DeepRIEにより、ポアサイズがφ30μmからφ100μm程度の貫通孔をあけることができる。また、厚さ10μmのアルミナに陽極酸化法によって、ポアサイズφ0.08μm程度の貫通口をあけることができる。
【0030】
また、気液分離膜4の撥水化には、シラン化処理やプラズマCVD(化学的気相堆積)法が好適に使用できる。撥水化の処理は、膜の両面に行ってもよいが、試料ガスに接する外側片面のみとする方が、気液分離膜4と検知電極2との間を極限まで近接させることができるので、より微細な電極とすることが可能となる。
【0031】
気液分離膜4のセンサ本体1への接合方法は、接着、陽極接合、ふっ化酸接合、水ガラス結合等の接合方法が適宜採用できる。なお、気液分離膜4と検知電極2との位置関係をより安定させるために、検知電極台8の先端面に適当なスペーサを設けて、このスペーサと膜接合面5a,5bで気液分離膜4を支えるようにしても差し支えない。
【0032】
電解液7は、気液分離膜4をセンサ本体1に接合した後に、細いシリンジやチューブ等を介して電解液収容溝6内に注入される。なお、電解液7は、センサ本体を小さく形成することにより、そのままでも毛細管現象により、気液分離膜4に接する位置まで充分に保持されるが、電解液7の露出部分に接着剤等をコーティングすることにより、蒸発や漏出が的確に防止でき、扱いがより容易となる。
【0033】
本実施形態によれば、センサ本体1の加工が容易であり、全体を5mm×5mm×3mm程度のミリメートルサイズで精度良く製作できる。また、このセンサ本体1の膜接合面5a,5bに気液分離膜を接合することにより、気液分離膜4と検知電極2の位置関係を良好に安定させることができる。さらに、気液分離膜4は、低濃度ガスの測定にも対応できる充分なガス透過性を確保できると共に、内部液も確実に保持できる。すなわち、本実施形態によれば、毒性ガス等の低濃度ガスの測定が可能な微小電極を提供できるものである。
【0034】
【実施例】
本発明の一実施例として、実施形態として図1〜図7に示した構造で、塩素センサを作成した。本実施例において、センサ本体1は、精密ダイシングソーにより、5mm×5mm×3mmの石英ガラスブロックを加工することにより製作した。具体的には、両サイドに膜接合面5a,5bを略1mm幅ずつ残し、電解液収容溝6を、石英ガラスブロックの中央部に幅3mmで、さらにその中央に検知電極台8の基台部分を幅1mmで設けた。検知電極台8の先端面と、膜接合面5a,5bが存在する平面との距離は、約0.1mmとした。
【0035】
検知電極2及び対極3は白金製で、電解液7としては、濃厚な臭化物イオン溶液を用いた。検知電極2及び対極3は、膜接合面5a,5bを予めレジストしておいてから、ECRスパッタにより設けた。具体的には、レジストは、石英ガラスブロックに密着強化剤をスピンコートした上に、ポジタイプのレジストをスピンコートすることにより行った。また、ECRスパッタは、エリオニクス社製EIS−200ER装置を用いて、チタンをバインダーとして行った。この後、エタノールを使用して超音波洗浄を行い、レジストを除去し、膜接合面4にスパッタされたチタン及び白金を除去した。これにより、チタン層が12nm程度、白金層が120nm程度の電極が成膜できた。検知電極2は、表面積が0.1mm×3.3mmとなるよう、検知電極台8ごと、両端をダイシングソーによりカットした。対極3は、電解液収容溝6の底面の検知電極台8を挟む位置に、1mm×5mmの表面積のものが各々形成された。両極には、リード線9,10として、φ25μmの金線をワイヤボンディングした。
【0036】
気液分離膜4としては、厚さ160μmのシリコンウエハーにDeepRIEによりポアサイズがφ30μmの貫通孔をあけたものを、シラン化処理により撥水化して用いた。シラン化処理は、処理剤として1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンの入ったデシケータ中にDeepRIE加工後の膜を24時間放置することにより行った。気液分離膜4のセンサ本体1への接合は、シリコーン接着剤を薄く塗布した後に貼り合わせ、24時間以上放置して接着硬化させることにより行った。
【0037】
以上のように製作したセンサの両電極間に電圧(250〜300mV)を印加すると、対極3で次反応が起こり分極し、一旦電流は停止する。
2H+2e→H (1)
そこに、電解液7に気液分離膜4を透過してきた塩素ガスが入ると、ハロゲン交換反応が起こり、検知電極2で臭素ガスが発生する。
2Br+Cl→Br+2Cl (2)
そして、これらの臭素と水素が反応して分極が解除(復極)し、電流が流れる。
Br+H→2Br+2H (3)
この電流を検知することにより、試料ガス中の塩素濃度を求められるものである。
【0038】
図8に、上記実施例の塩素センサにより得られたデータを示す。図8に示すように、得られる電流Iと塩素濃度Cとの関係は、I=−15.35C−1.033(nA)、相関係数=0.999となり、良好な直線性が得られた。繰り返し性・応答速度などでも図9に示す従来センサーと同等の良好な特性が得られ、毒性ガスとしての許容濃度付近の低濃度測定にも対応可能な性能を有していることが確認された。
【0039】
なお、電流値は、検知する塩素ガス濃度に比例するので、本実施例のセンサによって得られる電流はnAレベルで、図9の従来センサによって得られるμAレベルよりも著しく小さい。このことにより、アンプの消費電流が低減されるので、装置全体の消費電力を著しく減少させることができる。すなわち、センサの微小化は、単に小さいサイズによる取扱いの便利さだけでなく、消費電力低減という効果をもたらし、装置全体の電池駆動等も可能とするものである。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、微小化した場合にも、低濃度ガスの測定にも対応できる充分なガス透過性を確保できると共に、内部液も確実に保持でき、しかも、検知電極と気液分離膜の位置関係を一定する等の精密な加工が可能なことにより良好な測定精度が得られる隔膜式センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る隔膜式センサの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る隔膜式センサの平面図である。
【図3】図2の平面図から、気液分離膜4を除いた平面図である。
【図4】図2の平面図のIV−IV断面図である。
【図5】図2の平面図のV−V断面図である。
【図6】図2の平面図のVI一VI断面図である。
【図7】図2の平面図のVII−VII断面図である。
【図8】本発明の一実施例に係る塩素センサにより得られたデータである。
【図9】従来技術に係るECセンサの一例である。
【図10】従来技術に係る微小酸素電極である。
【符号の説明】
1 センサ本体
2 検知電極
3 対極
4 気液分離膜
5a,5b 膜接合面
6 電解液収容溝
7 電解液
8 検知電極台
9,10 リード線

Claims (6)

  1. センサ本体と、気液分離膜と、センサ本体と気液分離膜との間に充填された電解液と、電解液に接触する検知電極及び対極とを備える隔膜式センサにおいて、
    気液分離膜が、シリコンウエハーに孔あけ加工した膜材又はアルミナを陽極酸化して多孔質化した膜材により構成され、
    センサ本体が、同一平面に設けられて気液分離膜が接合される一以上の膜接合面と、膜接合面に囲まれる位置に設けられた電解液収容溝と、電解液収容溝底面から膜接合面と離間して突設され先端が膜接合面と同一平面上の近傍にまで伸張する検知電極台とを有すると共に、このセンサ本体の検知電極台の先端には検知電極が、電解液収容溝の底面には対極が各々設けられ、検知電極は、膜接合面と同一平面上よりも電解液収容溝の底面方向に位置し、気液分離膜と検知電極との位置関係が膜接合面と検知電極台の位置関係によって安定した関係に保持されるように構成されていることを特徴とする隔膜式センサ。
  2. センサ本体と、気液分離膜と、センサ本体と気液分離膜との間に充填された電解液と、電解液に接触する検知電極及び対極とを備える隔膜式センサにおいて、
    気液分離膜が、シリコンウエハーに孔あけ加工した膜材又はアルミナを陽極酸化して多孔質化した膜材により構成され、
    センサ本体が、同一平面に平行して設けられて気液分離膜が接合される一対の膜接合面と、膜接合面に挟まれる位置に設けられた底面が長方形の電解液収容溝と、電解液収容溝底面から突設され先端が膜接合面と同一平面上の近傍にまで伸張する先端面が膜接合面と平行する長方形の検知電極台とを有すると共に、このセンサ本体の検知電極台の先端面には検知電極が、電解液収容溝の底面には対極が各々設けられ、検知電極は、膜接合面と同一平面上よりも電解液収容溝の底面方向に位置し、気液分離膜と検知電極との位置関係が膜接合面と検知電極台の位置関係によって安定した関係に保持されるように構成されていることを特徴とする隔膜式センサ。
  3. センサ本体がガラス製であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の隔膜式センサ。
  4. 気液分離膜が、電解液に面する内面が親水性で、試料ガスに面する外面が撥水性の多孔質膜であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の隔膜式センサ。
  5. 検知電極と対極との間に電圧を印加し、気液分離膜を透過した測定対象ガスによって、両極間の分極が解除された際に流れる電流を検知することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の隔膜式センサ。
  6. 測定対象ガスが塩素ガスであり、電解液として臭化物イオン溶液を用いたことを特徴とする請求項5に記載の隔膜式センサ。
JP2000132990A 2000-03-28 2000-03-28 隔膜式センサ Expired - Fee Related JP4620215B2 (ja)

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