JP4618944B2 - 結晶シートの製造装置、および結晶シートの製造方法 - Google Patents

結晶シートの製造装置、および結晶シートの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4618944B2
JP4618944B2 JP2001238168A JP2001238168A JP4618944B2 JP 4618944 B2 JP4618944 B2 JP 4618944B2 JP 2001238168 A JP2001238168 A JP 2001238168A JP 2001238168 A JP2001238168 A JP 2001238168A JP 4618944 B2 JP4618944 B2 JP 4618944B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
crystal sheet
melt
main surface
manufacturing apparatus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001238168A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003048798A (ja
Inventor
博純 五角
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2001238168A priority Critical patent/JP4618944B2/ja
Publication of JP2003048798A publication Critical patent/JP2003048798A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4618944B2 publication Critical patent/JP4618944B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Liquid Deposition Of Substances Of Which Semiconductor Devices Are Composed (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Silicon Compounds (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属または半導体の融液から直接的に結晶シートを製造する方法およびその製造装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、結晶シート製造工程における液ダレの影響を抑えることにより、低コストの太陽電池用シリコン結晶シートの製造方法に有用な結晶シートを製造する方法およびその製造装置に関する。また、本発明は、前記の製造装置および製造方法を用いて得られる結晶シートおよび太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
第2次世界大戦以降、地球人口の急激な増加、特に発展途上国を中心とした、生活水準、栄養状態、衛生環境、医療水準、などの向上による人***発が大きな問題となっている。1950年から1990年の40年間で、地球の人口は25億人から53億人に倍増し、このままの人口増加が続けば、2040年ごろには地球人口は100億人に達すると推測されている。
【0003】
この間に人類が消費するエネルギーは等比級数的に増加し、最近は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料がその主な担い手となっている。しかし、これらの化石燃料には大きな二つの問題がある。一つは資源の枯渇、もう一つは燃焼排ガスによる地球環境問題である。これらの問題を同時に解決する有力な手段として、太陽エネルギーの活用があり、太陽電池を用いた太陽光発電システムが期待されている。
【0004】
太陽電池は太陽光を直接電気に変えるものである。したがって、半永久的に無尽蔵な太陽光をエネルギー源として使用できる。しかも、石油をはじめとする化石燃料のように燃焼により炭酸ガスを発生して地球温暖化の原因となることもなく、クリーンで地球に優しい技術である。
【0005】
太陽電池の歴史は、1960年代ごろより始まったが、この技術が注目されたのは1973年の第1次オイルショックからである。これを契機に資源には限りがあるという認識が高まり、代替エネルギー源の開発競争が世界規模で行われ始めた。
【0006】
日本では、1973年のオイルショック以来、低コスト太陽電池の開発をテーマに国家プロジェクトが組まれ、開発が推進された。これが、いわゆるサンシャイン計画である。この計画では、2000年における発電コストを100〜170円/Wにすることが目標として設定され、サンシャイン計画に参加した多くの企業ならびに研究機関により、目標達成に向け多大な努力が行われた。その結果、当初は数万円/Wであったものが、現在は1,000円/W程度にまで低減されている。
【0007】
その成果を生かし、太陽電池の実用化は急速に拡大しており、現在では、太陽電池は、主に時計や電卓をはじめとするエレクトロニクス製品などに組み込まれて利用されている。しかし、現在の発電コスト、製造コストでは、太陽電池を代替エネルギー源として本格的に活用することができる水準ではない。
【0008】
太陽電池の発電コスト、製造コストが未だ高止まりしている原因としては、太陽電池に用いられる材料の価格の高さ、特に、発電を行なう中核部品となる太陽電池素子の価格の高さが上げられる。
【0009】
ここで、太陽電池素子を構成する材料としては、主に、シリコンが用いられており、大きく分けて、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンがある。
【0010】
現在も、太陽電池素子の発電効率を高めるための努力は続いているが、太陽電池の発電コスト、製造コストを低減するためには、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンからなるシリコン結晶シートの効率的な製造方法を開発し、製造コストを低減することも同じく重要な課題である。
【0011】
従来、シリコン結晶シートは、チョコラルスキー法またはキャスティング法により作製したインゴットからワイヤーソーなどによりスライスして製造されていた。しかし、これらの製造方法においては、インゴットに切断、研磨などの加工を施してシリコン結晶シートを製造するため、工程の歩留りが非常に低いという欠点があった。そこで、スライス工程を不要とし、加工による歩留りロスを少なくするため、リボン状のシリコン結晶シートの製造方法(シリコンリボン法)が盛んに研究され、数多くの方法が提案されてきた。
【0012】
その中で、製造速度が30m/秒という大きい利点を有する例として、特開昭55−136548号公報では、単ロールにノズルから溶融シリコンを吹き付けシリコンリボンを製造する方法が知られている。しかし、この方法は冷却速度が大きいため結晶粒径が20〜30μmと小さくなり、光から電気への変換効率が低いという欠点がある。この方法のもう一つの欠点は、溶融シリコンと製造したリボンの組成がほぼ同じであり、凝固に伴う精製効果が利用できないことである。
【0013】
そこで、前記の問題を解決するため、凝固時の精製効果を利用でき、結晶粒径の大きなシリコン結晶シートを製造することのできるシリコンリボン法として、特開昭61−275119号公報、特開平10−29895号公報に示されるように、円筒状の回転冷却体の円筒面の一部を溶融シリコン中に浸漬し、この回転冷却体を回転させながらその円筒面に生成するシリコン結晶シートを引き出すことを特徴とする、シリコンリボン製造法が開発されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、円筒形状の回転冷却体を利用する方法では、円筒の外側を覆うようにシリコンが凝固成長するため、成長したシリコン結晶シートは円筒に沿った曲率を持ち、曲がった形状となる。このため、シリコン結晶シートを太陽電池基板として使用する際には、電極のスクリーン印刷、ラミネート、真空チャックなどの、基板が平らであることが要求される工程で不都合が生じる。また、従来の基板トレイなども平坦な形状の基板を想定しているために従来の基板トレイを使用できないという問題があった。そのため、得られたシリコン結晶シートのセル化が困難であり、曲率を除去するための高コストのプロセスを併せて用いねばならなかった。また、成長したシリコン結晶シートの形状自体が反っているために、連続して一定方向に引き出すことが困難であるという問題があった。これらの理由から、シリコン結晶シートの表面に曲率があることが、シリコン結晶シートの製造コストをさらに低減する上で妨げとなっている。
【0015】
上記の現状に基づき、本発明の課題は、曲率を持たない平坦かつ平滑な表面を持つ結晶シートを、効率的に連続して低コストで製造し得る、製造装置を提供することである。
【0016】
また、本発明の他の課題は、前記の製造装置を用いた、曲率を持たない平坦かつ平滑な表面を持つ結晶シートの、効率的で、連続的で、低コストな、製造方法を提供することである。
【0017】
さらに、本発明の別の課題は、前記の製造方法により製造された、曲率を持たない平坦かつ平滑な表面を持つ安価な結晶シート、を提供することである。
【0018】
そして、本発明のもう一つの課題は、前記の結晶シートを用いた、安価で高性能な太陽電池を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するには、回転機構を有する冷却体の外周に沿って平坦な基板を配設すればよいとの着想を得、鋭意検討を重ねた結果、特定の形状の基板を特定の配設方法で配設した製造装置を用いることにより、曲率の発生と液ダレの発生を同時に防ぐことができ、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0020】
すなわち、本発明の結晶シートの製造装置は、回転機構を有する冷却体と、冷却体の外周に配設された、結晶シートが形成されるべき主表面を有する基板と、半導体あるいは金属の融液槽と、を備えた、結晶シートの製造装置であって、基板を半導体あるいは金属の融液から引き上げる際、基板主表面と融液表面との交線が次第に短くなりながら、基板が融液から離れるように、基板を配設したことを特徴とする。
【0021】
ここで、前記の結晶シートの製造装置においては、基板主表面と融液表面との最終接触領域が1点の状態となるように基板を配設することが好ましい。また、前記の結晶シートの製造装置においては、基板主表面と融液表面との最終接触領域に液ダレを集めるための凸領域を設けた基板を有することも好ましい。
【0022】
そして、前記の結晶シートの製造装置においては、基板主表面の輪郭が多角形であることが好ましい。また、前記の結晶シートの製造装置においては、基板主表面の輪郭が四角形であることも好ましい。
【0023】
また、前記の結晶シートの製造装置においては、基板を複数配設したことが好ましい。そして、前記の結晶シートの製造装置においては、隣接する基板の主表面輪郭同士が一点で接触するように基板を配設することが好ましい。さらに、前記の結晶シートの製造装置においては、隣接する基板の主表面輪郭同士がある一定の長さを持って接触するように基板を配設することも好ましい。
【0024】
それから、前記の結晶シートの製造装置においては、基板主表面は完全な平面であることが好ましい。また、前記の結晶シートの製造装置においては、基板主表面に凹凸が形成されていることも好ましい。
【0025】
さらに、前記の結晶シートの製造装置においては、基板主表面から結晶シートを剥離する剥離手段を備えていることが好ましい。
【0026】
また、本発明は、冷却体を回転させて基板を半導体あるいは金属の融液中に浸漬させ、基板上に結晶シートを凝固させる工程と、冷却体を回転させて基板を半導体あるいは金属の融液中から引き上げ、基板上から結晶シートを剥離する工程と、からなる、前記の製造装置を用いた結晶シートの製造方法を含む。ここで、前記の結晶シートの製造方法においては、半導体あるいは金属の融液として、シリコンの融液を好適に使用可能である。
【0027】
さらに、本発明は、前記の結晶シートの製造方法を用いて製造された、結晶シートを含む。そして、本発明は、前記の結晶シートを用いた、太陽電池を含む。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
【0029】
<本発明と同一の出願人による別発明>
ここで、上記に述べた課題のうち、曲率を持たない表面を持つ結晶シートを製造し得る、製造装置あるいは製造方法の提供を課題とする発明としては、特願2000−371147に記載の発明(以下、別発明1という)、特願2000−369846に記載の発明(以下、別発明2という)、特願2001−187747に記載の発明(以下、別発明3という)などが本発明と同一の出願人により、既に出願されている。
【0030】
本発明の製造装置および製造方法は、これらの発明に記載の製造装置あるいは製造方法と一部共通する部分がある。そこで、本発明の理解を容易にするために、まず、これらの発明について説明する。
【0031】
≪別発明の製造装置の説明≫
ここでは、別発明1、別発明2、別発明3について、詳細には述べず、その製造装置の共通する構造について述べることとする。
【0032】
前記の別発明の製造装置に共通する基本的な構造について、詳細に説明するため、図1を用いる。図1に描かれる装置は、前記の別発明の製造装置に共通する技術思想に基づいて設計された製造装置の基本的な構造を示す一例である。本来は、装置の構造の詳細な部分は、別発明1、別発明2、別発明3においてそれぞれ異なるが、ここでは単純化して示している。
【0033】
図1に描かれる装置は、回転機構を有する冷却体(以下、単に回転冷却体という)1、回転軸2、冷却体の外周に配設された、結晶シートが形成されるべき主表面を有する基板(以下、単に基板という)3、半導体あるいは金属の融液槽(以下、単に融液槽という)4、融液槽内に存在する半導体あるいは金属の融液5、融液槽昇降台6、半導体あるいは金属を溶解させるための加熱装置(以下、単に加熱装置という)7、剥離機構8、からなる。
【0034】
図2には、図1に描かれる装置のうち、回転冷却体1、回転軸2、基板3の配設を拡大して示す。本来は、基板3の形状および配設方法は、別発明1、別発明2、別発明3においてそれぞれ異なるが、ここでは単純化して示している。
【0035】
≪別発明の製造方法の説明≫
ここでは、別発明1、別発明2、別発明3について、詳細には述べず、その製造方法の共通する技術思想の有する特徴について述べることとする。本来は、製造方法の詳細な工程は、別発明1、別発明2、別発明3においてそれぞれ異なるが、ここでは単純化して示している。
【0036】
別発明の製造方法は、回転冷却体を回転させて基板を半導体あるいは金属の融液中に浸漬させ、基板上に結晶シートを凝固させる工程と、回転冷却体を回転させて基板を半導体あるいは金属の融液中から引き上げ、基板上から結晶シートを剥離する工程と、からなる。
【0037】
≪別発明における未解決の課題の説明≫
別発明の製造装置において得られる結晶シートは、従来公知の回転冷却体を用いた結晶シート製造装置で得られる結晶シートと異なり、表面に曲率を持たない。そのため、曲率を取り除くための高コストプロセスを必要とせず、従来公知の製造方法に比べ低コストでの製造が可能である。
【0038】
しかし、別発明の製造装置における基板の配設方法では、図3に示すように、金属あるいは半導体の融液5に基板3を浸漬させ、基板上に結晶シートを凝固させた後、基板を融液中から引き出す際に、融液の表面張力により、基板3上に融液が残り、それが液ダレ10となり結晶シート上に残ってしまう。そして、そのまま冷却されるため結晶シートの端部に突起ができる。このため結晶シートの平滑性は損なわれ、もしこの結晶シートを用い太陽電池を作製しようとすれば、突起を除去するため、別途に機械的な研磨、切断などが必要となる。
【0039】
ここで、別発明1においては、液ダレを防ぐための基板の形状あるいは配設方法の工夫は特に行なわれていない。しかし、別発明2においては、基板主表面に周縁V溝を設けることにより、バリやタレなどによる品質および外観の低下を排除するための工夫をしている。前記の工夫により、別発明2においては、基板上のバリやタレが著しく減少し、製造コストの大幅低減に成功したが、周縁V溝の外側に商品価値のない結晶シートが残存するため、これら周縁V溝の外側の結晶シートの製造コスト分だけ、未だ製造コストの削減余地があることになる。
【0040】
また、別発明3においては、基板の主表面が全体的に同じ浸漬深さで融液中に浸漬するような工夫をしている。しかし、前記の工夫によっても、やはり液ダレの発生による結晶シート端部の突起の生成は防ぎ得ない。
【0041】
よって、このような基板の配設方法を有する、別発明の製造装置において得られる結晶シートは、表面に曲率を持たないという点では、従来公知の回転冷却体を用いた製造装置で得られる結晶シートに比べ十分に優れていると言えるが、液ダレを防ぎ、さらに製造コストを低減するためのさらなる改善が必要なこともまた事実である。
【0042】
<本発明の説明>
そこで、本発明では、基板3の形状あるいは配設方法に工夫を凝らして、液ダレの発生を防ぎ、端部に突起をもたない平坦かつ平滑な結晶シートをさらに低コストで製造することを可能ならしめるものである。
【0043】
以下、本発明の結晶シートの製造装置、結晶シートの製造方法、それを用いて得られる結晶シートおよび太陽電池について詳細に説明する。
【0044】
≪本発明の製造装置の説明≫
本発明においても、基板の配設方法を除く、製造装置の構造は、図1に示される製造装置と同様である。そこで、本発明の製造装置を詳細に説明するにあたっても、図1を用いることとする。図1に描かれる装置は、本発明の製造装置の基本的な構造を示す一例である。なお、本願の各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表わしているものとする。
【0045】
すなわち、図1に示すように、本発明の製造装置は、回転冷却体1、回転軸2、基板3、融液槽4、融液槽内に存在する半導体あるいは金属の融液5、融液槽昇降台6、加熱装置7、剥離機構8、からなる。
【0046】
[回転冷却体の説明]
まず、回転冷却体1について説明する。図8は回転冷却体1の代表的な一例を示す略断面図である。回転冷却体1は、中空のドラム形状の内部冷却体(以下、単に内部冷却体という)11の外側に、表面部材15を取り付け、さらに、表面部材15の外周に配設された基板3a,3bなどを有する。回転冷却体1の中心には、冷却ノズル13a,13bがあり、窒素などの冷却ガスまたは水などの冷却液からなる冷媒が流される。両端にはフランジ12a,12bがあり、回転軸2に接続している。
【0047】
回転冷却体の形状としては、図1に示されるような8角柱に限定されるものではなく、回転機構を有しており、配設した基板が順次融液に浸漬する構造であればよい。たとえば、6角柱、12角柱などの多角柱あるいは円柱などの形状の回転冷却体を好適に使用可能である。
【0048】
ここで、内部水冷体11の素材としては、特に限定されず、一定の強度を有し、熱伝導性がよい素材を用いることができる。具体的には、鉄、ステンレス、銅などが好適に用いられる。
【0049】
また、回転冷却体1の表面部材15の素材としては、特に限定されず、熱伝導性、耐熱性に優れ、融液に対して耐性が有ればよい。具体的には、融液と反応などを起こしにくい窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、石英、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、黒鉛といった材質を、使用する融液に応じて適したものを選択すればよい。特に、シリコン融液は高温であり、反応性に富むため、部材の選択は極めて難しく、熱伝導率、コスト、加工性などの多くの観点から、いずれの部材にも黒鉛が極めて優れている。黒鉛としては、高密度グラファイト(東洋炭素IG−110)などが好適に用いられる。
【0050】
回転冷却体1の側面は、内部冷却体11と表面部材15の間に隙間17を設け、側面凝固を起こさせない構造とすることが好ましい。隙間17の内部は空洞になっていてもよいし、断熱性物質を詰めてもよい。
【0051】
冷却ノズル13a,13b、およびフランジ12a,12bの素材は、特に限定されるものではなく、一定の強度および耐久性を有する素材を用いることができるが、ステンレス素材でできたものを好適に用いることができる。
【0052】
[基板の説明]
次に、基板3の材質について説明する。基板3の材質としては、特に限定されず、熱伝導性、耐熱性に優れ、融液に対して耐性が有ればよい。具体的には、融液と反応などを起こしにくい窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、石英、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、黒鉛といった材質を、使用する融液に応じて適したものを選択すればよい。特に、シリコン融液は高温であり、反応性に富むため、部材の選択は極めて難しく、熱伝導率、コスト、加工性などの多くの観点から、いずれの部材にも黒鉛が極めて優れている。黒鉛としては、高密度グラファイト(東洋炭素IG−110)などが好適に用いられる。すなわち、基板3の材質については、工業的に低コストかどうか、成長する結晶シートの品質、特性などを考慮して選択され、成長する結晶シートの組成と基板3の材質の幅広い組み合わせが可能である。
【0053】
ここで、太陽電池用シリコン結晶シートを製造する場合には、窒化ホウ素、炭化ホウ素などを用いることにより、生成するシリコン結晶シート中にホウ素が微量に含有され、P型太陽電池に使用する際に特に有利となる。
【0054】
[その他の構成要素の説明]
また、本発明の製造装置は、融液槽4を備えている必要がある。融液槽4は、回転冷却体1、基板3と同様に高温下での耐久性が要求されるため、通常は回転冷却体1、基板3と同様の材質を用いることが好ましい。具体的には、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、石英、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、黒鉛、などの耐熱性に優れた材質を好適に使用可能である。
【0055】
さらに、本発明の製造装置を用いて結晶シートを製造するには、融液槽4内に、融液5が存在している必要がある。融液5として好適に使用可能な金属および半導体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、シリコン(Si)以外に、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、砒素(As)、インジウム(In)、リン(P)、ボロン(B)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、などを主成分とするものを使用可能である。なお、これらの金属および半導体は、一種あるいは二種以上を同時に使用可能である。
【0056】
そして、本発明の製造装置の融液槽4には融液槽昇降台6が備えられていることが望ましい。その理由は、基板3の主表面で結晶シートを成長させるには、常に回転冷却体1が融液5に対して同じ深さで浸漬していることが必要だからである。このような融液槽昇降台6によって、融液槽4を昇降させて浸漬時の深さを一定に保つことができる。これは、原料融液または原料粉末などを融液5に順次追加していくことによっても実現できる。このような装置構成とすることで、連続的に結晶シートを製造することが可能となる。融液槽昇降台6としては、融液槽を支えるだけの強度と、高さ調節機能があればよく、高さの自動調節機能があればなおよい。
【0057】
また、本発明の製造装置には、温度分布を精度よく制御するために、複数の加熱装置を設置することが望ましい。加熱装置を設けることにより、融液槽4内の融液5の温度分布を精度よく制御することができ、より再現性よく結晶シートを製造することが可能となる。加熱装置7の取り付け位置は、融液槽4の側面であってもよく、底面であってもよい。加熱装置7としては、高周波加熱コイルなどを好適に用いることができる。なお、回転冷却体1が融液5に接した際には、急激に融液5の温度が下がるため、融液5の温度が凝固点近傍であると回転冷却体1の浸漬時に融液5が凝固してしまうことがある。そのため、融液5の温度はその融点より数十度以上高いことが望ましい。
【0058】
また、本発明の製造装置には、生産性の面などから剥離機構8を設けることが望ましい。剥離機構8としては、真空チャッキングなどの従来公知の回収冶具を用いることができる。剥離機構8は、回転冷却体1の回転を止めてから剥離および回収を行なう機構であってもよいが、生産性を考慮すると、回転冷却体が回転している状態で連続的に剥離および回収ができる機構が好ましい。
【0059】
また、本発明の製造装置は、製造される結晶シートの品質劣化を避けるため、密閉可能なチャンバ(図示せず)内に設置されていることが望ましい。この場合、結晶シートの製造開始前には、チャンバ内を排気して真空にした後に不活性ガスをチャンバ内に充填してガスの置換を行なう。その場合の不活性ガスには、融液5と反応しないという条件が必要であり、アルゴンやヘリウムなどを用いることができるが、コストの面において、アルゴンがより望ましい。
【0060】
≪結晶シートの成長機構≫
ここで、本発明の製造装置においては、いずれの金属あるいは半導体の融液5を用いる場合でも、その融点よりも融液が十分に過冷却となって基板3主表面に初晶が生成されるよう基板3主表面の温度を制御することで、結晶シートを製造することが可能となる。
【0061】
たとえば、基板3の材質として耐熱性の黒鉛を用い、金属あるいは半導体の融液5としてシリコン融液を用いた場合には、基板3主表面の温度が十分に低くない場合には、シリコン融液が燒結体である黒鉛の気孔に浸透し、あるいは基板3主表面がシリコン融液と化学反応を起こして強固なSiC層を形成する。その結果、基板3主表面とシリコン層が浸漬したSiあるいはSiCによって強固に結合するため、基板3主表面にシリコン層が固着する。そのため、得られたシリコン結晶シートを剥離、回収することが困難となる。
【0062】
これに対し、基板3主表面をシリコンの融点よりもさらに200℃程度低い温度まで冷却している場合には、シリコン融液が黒鉛に浸透する前に凝固して基板3主表面がシリコン層で覆われる。その後、さらにシリコン層の厚みを増加するようにシリコンが成長する。次に、基板3が融液より引き上げられた際には、急速にシリコン層の温度低下が進行する。シリコンの場合、温度500℃程度まで冷却されると黒鉛との熱膨張係数の差により機械的な力をほとんど加えることなしにシリコン層は基板から剥離して板状のシリコン結晶シートを回収することができる。
【0063】
≪基板の基本的形状および枚数≫
次に、基板の基本的形状および枚数について説明する。
【0064】
基板3の形状は、特に限定されず、形状が全体として平坦であればよく、結晶シートが形成されるべき主表面を有していればよい。基板3の主表面の輪郭としては、曲線を含んでいてもよい。ただし、生産性および製造される結晶シートの利用価値を考慮すれば、基板3の主表面の輪郭は、多角形であることが好ましく、四角形であればさらに好ましく、長方形または正方形であることが最も好ましい。
【0065】
基板3の主表面は、完全な平面であってもよいが、平坦な主表面に凹凸部が形成されたものでもよい。凸部は点状または線状あるいは台形状であってもよい。基板3の主表面に凹凸部を設けることで、結晶シートの主表面で結晶核の発生する起点を容易に制御することが可能となる。基板3の主表面が完全な平面であると、結晶核の起点を制御するのが困難なために、他の成長条件(たとえば設定温度、冷却速度など)で結晶核の起点を制御する必要がある。再現性という観点からは、凸部を設けることで、結晶成長の制御が非常に容易となる。これは、基板3の主表面が完全な平面であると、結晶核が発生する位置が不規則であるためデンドライト成長が支配的となり、成長する結晶シートの凹凸が大きくなる傾向があるためである。線状の凸部や点状の凸部あるいは台形状の凸部を形成することで、デンドライト成長を抑制できるようになり、平滑性が良好となる。さらには、得られる結晶シートと基板3主表面とが線接触または点接触あるいは限られた面接触をすることにより、剥離性が向上する。
【0066】
また、冷却体の外周に沿って配設される基板の枚数は、特に限定されず、一枚または二枚以上であってよい。ただし、生産性を考慮すれば、複数枚であることが好ましく、結晶シートの品質に影響を与えない範囲で最大限の枚数であればさらに好ましい。
【0067】
また、回転冷却体1が多角柱の形状の場合には、平坦な形状の基板3は、回転冷却体1に面接触するため、回転冷却体1と基板3の接触面積が広くなる。その結果、基板の冷却効率を高めることができる。
【0068】
さらに、回転冷却体1と基板3の接触面に凹凸構造を設けることにより、回転冷却体1と基板3が凹凸形状で嵌合し会う構造とすることにより、平面接触の場合よりも接触面積が増え、冷却効率をさらに高めることができる。
【0069】
≪基板の基本的な配設方法≫
ここで、液ダレを防ぐための基板の形状あるいは配設方法について、特に工夫を行なわない場合には、前記の別発明の場合において述べたように、液ダレの問題が生じる。つまり、図3に示すように、金属あるいは半導体の融液5に基板3を浸漬させ、基板上に結晶シート9を凝固させた後、基板3を融液5中から引き出す際に、融液の表面張力により、基板3上に融液が残り、それが液ダレ10となり結晶シート9上に残ってしまう。そして、そのまま冷却されるため結晶シート9の端部に突起ができる。このため結晶シートの平滑性は損なわれ、もしこの結晶シートを用い太陽電池を作製しようとすれば、突起を除去するため、別途に機械的な研磨、切断などが必要となる。
【0070】
前記の液ダレにより生じる、結晶シート端部の突起は、基板が融液から引き出される際の基板主表面と融液表面の最終接触領域(以下、単に最終接触領域という)が大きければ融液の表面張力により基板上に残る融液量も増えるため、突起の領域も大きくなる。すなわち、結晶シート端部の突起の生成を防ぐためには、最終接触領域を可能な限り小さくし、表面張力による液ダレを少なくすることが重要である。
【0071】
このため、基板の取付けを、基板を融液から引き上げる際、基板主表面と融液表面との交線が次第に短くなりながら、基板が融液から離れるように、基板を配設することが効果的である。このようにすることにより、最終接触領域が小さくなるため、液ダレを低減し、平滑な結晶シートを得ることが可能となる。
【0072】
具体的には、図4に示すように、最終接触領域が一点となるように、基板3Aを回転冷却体1の外周に配設することが効果的である。このように配設することにより、最終接触領域が線から点となるため、液ダレを最小限とし、より平滑な結晶シートを得ることが可能となる。
【0073】
また、この場合、基板3Aの形状については、最終接触領域を切欠形状、あるいは円弧形状としてもよい。なぜなら、融液の表面張力によって、基板3Aと融液5とは最終接触領域で実効的には一点で離れるため、同様の効果を得ることができるからである。
【0074】
≪基板のさらに改善された配設方法≫
また、結晶シート上の突起を低減するための別の対策としては、隣接して配設された基板の主表面輪郭同士が一点で接触するように配設する方法がある。このように配設することにより、基板上に残った融液が凝固する前に融液状態で次の基板へと移動するため、結晶シートの突起が小さくなることが確認されている。
【0075】
このため、図5のように、最終接触領域が一点となるように取り付けられた基板3Bを、隣接して配設された基板の主表面輪郭同士が一点で接触するように配設することが効果的である。このようにすることにより、基板3B上に残った融液が隣接した基板に移動し、液ダレが低減し、さらに平滑な結晶シートを得ることができる。
【0076】
さらに、結晶シート上の突起を低減するための他の対策としては、隣接して配設された基板間の主表面輪郭同士がある一定の長さを持って接触するように配設する方法がある。このように配設することによっても、基板上に残った融液が凝固する前に融液状態で次の基板へと移動するため、結晶シートの突起が小さくなることが確認されている。
【0077】
このため、図6のように、最終接触領域が一点となるように取り付けられた基板3Cを、隣接して配設された基板間の主表面輪郭同士がある一定の長さを持って接触するように配設することが効果的である。このようにすることにより、基板3C上に残った融液が隣接した基板に移動し、液ダレが低減し、より一層平滑な結晶シートを得ることができる。
【0078】
≪最終接触領域の形状変更方法≫
上記の方法により、基板上に残る液ダレを最小限としても、結晶シートには若干突起が残る場合がある。この場合にも機械的な研磨、切断が必要となるが、低コスト化を考慮した場合この研磨、切断をできる限り少なくする必要がある。
【0079】
ここで、図7に示すように、最終接触領域にあらかじめ液ダレを集めるための凸領域(以下、末端受皿領域という)18を別に設けた基板3Dを回転冷却体1の外周に配設することが有効である。なぜなら、結晶シートを作製後に凸領域のみを簡単な方法を用いて切断することにより、容易に平滑な結晶シートを得ることができるからである。
【0080】
また、別発明についての説明で述べたような、基板の配設方法、最終接触領域の形状、などになんらの工夫を施さない基板の配設方法を有する結晶シートの製造装置を用いて製造された結晶シートでは、突起切断を考慮し、得ようとするシートサイズより大きくシートを作製する必要があるため、材料ロスが多くなる。しかし、基板3Dのように末端受皿領域18を設ければ、目的のシートサイズにて製造し、最小限の材料を切断するため材料ロスが少なくて済む。
【0081】
これらの基板の配設方法、あるいは、基板に末端受皿領域18を設ける方法、を用いることにより、より一層平滑な半導体あるいは金属の結晶シートを得ることが可能となり、低コストなウエハを提供することができる。
【0082】
<結晶シートの製造方法の説明>
次に、本発明の結晶シートの製造方法(以下、本発明の製造方法という)について説明する。
【0083】
本発明の製造方法において原材料として用いる半導体あるいは金属(以下、単に原材料という)の種類は、特に限定されず、たとえば、シリコン(Si)以外に、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、砒素(As)、インジウム(In)、リン(P)、ボロン(B)、アンチモン(Sb)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、などを主成分とするものを使用可能である。
【0084】
なお、これらの原材料は、一種あるいは二種以上を同時に使用可能である。また、これらの原材料は、融液槽の中で溶融して融液としてもよく、予め溶融した融液を融液槽の中に入れてもよい。さらに、原材料としてシリコンを用いる場合には、高純度多結晶シリコン原料が好ましく、純度は99.999999999%以上であればさらに好ましい。
【0085】
本発明の製造方法は、いずれの製造方法においても、製造方法を構成するステップが、冷却体を回転させて基板を半導体あるいは金属の融液中に浸漬させ、基板上に結晶シートを凝固させるステップと、冷却体を回転させて基板を半導体あるいは金属の融液中から引き上げ、基板上から結晶シートを剥離するステップと、からなるという点においては共通する。
【0086】
しかし、本発明の製造方法においては、用いる原材料の種類、あるいは製造する結晶シートの品質および特性により、融液の温度、基板主表面の温度、回転冷却体の温度、回転冷却体の回転速度、などの条件は異なってくる。
【0087】
ここでは、結晶シートを製造する場合の製造工程について、用いる原材料の種類、あるいは製造する結晶シートの品質および特性によらず、共通する面を有する一例を用いて説明する。説明に用いる製造装置としては、代表例として、図4に示すように配設された基板を有し、図8に示す構造の回転冷却体を有する、図1に示す製造装置を採用する。
【0088】
以下、本発明の製造方法の一例について順を追って説明する。
まず、原材料を融液槽4の中に投入し、チャンバ(図示せず)内を減圧する。次に、チャンバ内に不活性ガスを導入して常圧にし、以後、一定の流量でチャンバ内に不活性ガスを流しつづける。
【0089】
続いて、加熱装置7を用いてチャンバ内を原材料の融点以上に昇温して、原材料を完全に溶融する。さらに新たに原材料を投入して融液5の表面位置を所定の位置に設定する。このとき、パイロメータまたは熱電対などの温度計により融液の温度を測定して、しばらくの間融液5の温度を原材料の融点よりも高く保持し、チャンバ内部および融液5の温度が安定するまで待つ。融液5の温度が低すぎると、原材料の溶融が十分でない場合があるため、原材料の融点よりも数十度以上高いことが望ましい。
【0090】
次に、回転冷却体1を一定の速度で回転させながら、回転冷却体1の内部冷却体11に冷媒16として一定の温度の冷水を一定の流量で導入し、内部から回転冷却体1および基板3Aを冷却する。その後、融液槽昇降台6を用いて融液槽4を徐々に上昇させて回転冷却体1を融液5に浸漬し、基板3Aの主表面に結晶シートを成長させる。このとき、基板3A主表面の融液内での温度が一定に保たれるように、冷媒の温度、流量を調整する。そして、基板3A主表面に成長した結晶シートを、剥離機構8を用いて剥離、回収して結晶シートを得る。
【0091】
<太陽電池の説明>
次に、本発明の製造方法を用いて製造された結晶シートを用いた太陽電池(以下、本発明の太陽電池という)について説明する。
【0092】
本発明の太陽電池の製造方法は、特に限定されず、結晶シートから太陽電池を製造する従来公知の方法を用いることができる。また、製造される太陽電池は、pn接合型であってもよく、または、pin接合型、へテロ接合型、金属−半導体接触型であっても、多重接合型であってもよい。
【0093】
ここで、一例として、ボロンなどのドーパントが添加されたシリコン結晶シートからpn接合型太陽電池を製造する具体的なプロセスを示す。まず、本発明の製造方法を用いて得られたシリコン結晶シートの末端の突起をYAGレーザーを用いて切断し、シリコン結晶シートを洗浄する。続いて、シリコン結晶シートをアルカリエッチングし、シリコン結晶シートにn+層を拡散して形成する。それから、シリコン結晶シートの表面に反射防止膜を形成し、シリコン結晶シートの裏面をエッチングする。さらに、シリコン結晶シートの裏面にアルミニウムペーストを印刷した後焼成し、受光面には銀ペーストを印刷した後焼成し、pn接合型太陽電池を製造する。
【0094】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0095】
<比較例1>
まず、基板の配設方法、最終接触領域の形状、などになんらの工夫を施さない基板の配設方法を有する結晶シートの製造装置を用いて製造された結晶シートを得るため、比較例1に示す実験を行なった。
【0096】
本比較例における結晶シート製造装置としては、図1に示すように回転冷却体1、回転軸2、基板3、融液槽4、融液5、融液槽昇降台6、加熱装置7、剥離機構8で構成されている製造装置を用いた。本比較例では、基板3の形状を一辺が75mmの四角形とし、材質には黒鉛を使用した。
【0097】
融液5には比抵抗が2Ω・cmとなるようにボロンの濃度を調製したシリコン融液を使用し、また回転冷却体は水冷された銅製のドラムを用いた。この装置において、図2に示すように回転冷却体1、回転軸2、基板3を融液5から引き上げる際、基板と融液との最終接触領域が1辺の状態となるように配設した。前記の構成部品は、本発明の製造装置のチャンバの外壁内に収納されており、装置外壁内は不活性ガス雰囲気に保持されている。本装置を用いて、以下の製造方法により、シリコン結晶シートを製造した。
【0098】
装置外壁内をアルゴン置換後、融液槽4に原料であるシリコンを投入し、加熱装置7にてシリコンの融点(約1420℃)よりも高い1500℃に加熱することによりシリコンを溶融した。シリコン溶融後、融液槽昇降台6を基板3が5mm融液に浸漬する位置まで上昇させ、その状態にて回転冷却体1を一定速度にて1回転させることにより基板上に結晶シートを凝固させた。その後、融液槽昇降台6を下降させ、加熱装置を切り、装置が室温まで下がったところで剥離機構8を用いてシートを回収した。
【0099】
回収されたシリコン結晶シートを確認したところ、シリコン結晶シートの表面の曲率は0であった。しかし、シリコン結晶シートの表面を目視により観察したところ、液ダレによる突起が最終接触領域である一辺に沿って存在していることがわかった。ただし、その他の部分は非常に平滑であった。
【0100】
ここで、本発明において、シリコン結晶シートの曲率は、段差計を用いて、結晶シート表裏の両面をそれぞれ縦方向、横方向に1ラインずつ計測し、そのデータから求めた。
【0101】
<実施例1>
本実施例の製造装置と比較例1の製造装置の異なる点は、図4に示すように回転冷却体1、回転軸2、基板3Aを融液5から引き上げる際、最終接触領域が1点の状態となるように基板3Aを配設したことである。
【0102】
本実施例の製造装置を用い、比較例1と同様のプロセスでシリコン結晶シートを製造し、回収されたシリコン結晶シートを確認したところ、シリコン結晶シートの表面の曲率は0であった。また、シリコン結晶シートの表面を目視により観察したところ、液ダレによる突起が最終接触領域の一点のみであり、その突起も非常に小さな平滑なシートであった。
【0103】
また、本実施例において、基板3Aの形状において、最終接触領域である基板3の主表面の輪郭の頂点を、0.1〜10mmの切欠形状、あるいは円弧形状にした場合においても、融液5の表面張力によって、基板3Aと融液5は実効的には最終接触領域の一点で離れるため、同様の効果を得ることができることを併せて確認した。
【0104】
<実施例2>
本実施例の製造装置と比較例1の製造装置の異なる点は、図5に示すように回転冷却体1、回転軸2、基板3Bを融液から引き上げる際、隣接する基板3Bの主表面の輪郭同士が一点で接触するように基板3Bを配設したことである。
【0105】
本実施例の製造装置を用い、比較例1と同様のプロセスでシリコン結晶シートを製造し、回収されたシリコン結晶シートを確認したところ、シリコン結晶シートの表面の曲率は0であった。また、浸漬中に基板3B上の融液が凝固する様子を目視にて観察したところ、基板の項点に液ダレはほとんど確認されなかった。さらに、回収したシリコン結晶シートの表面を目視にて観察した結果、実施例1によって得られたシリコン結晶シートよりも突起高さが1〜2割しかない非常に平滑なシリコン結晶シートであることが確認できた。
【0106】
<実施例3>
本実施例の製造装置と比較例1の製造装置の異なる点は、図6に示すように回転冷却体1、回転軸2、基板3Cを融液から引き上げる際、隣接する基板3Cの主表面の輪郭同士がある一定の長さを持って接触するように基板3Cを配設したことである。このように配設することにより実施例2に比べ同じ直径の冷却体に約2倍の数の基板を取り付けることができ、シリコン結晶シート製造の効率が良くなった。本実施例では回転冷却体1の幅が比較例1と同じものを用いているが、この幅を広げることにより、より多くの基板を取り付けることが可能となり製造効率がさらに高くなる。
【0107】
本実施例の製造装置を用い、比較例1と同様のプロセスでシリコン結晶シートを製造し、回収されたシリコン結晶シートを確認したところ、シリコン結晶シートの表面の曲率は0であった。また、浸漬中に基板3C上の融液が凝固する様子を目視にて観察したところ、基板3Cの項点に液ダレはほとんど確認されなかった。さらに、回収したシリコン結晶シートの表面を目視にて観察した結果、実施例2と同様の非常に平滑なシリコン結晶シートを得る事ができた。
【0108】
<実施例4>
本実施例の製造装置と比較例1の製造装置の異なる点は、図7に示すように最終接触領域に末端受皿領域18を設けた、比較例1の基板とは形状の異なる基板3Dを、実施例1と同様の配設方法にて配設したことである。
【0109】
本実施例の製造装置を用い、比較例1と同様のプロセスでシリコン結晶シートを製造し、回収されたシリコン結晶シートを確認したところ、シリコン結晶シートの表面の曲率は0であった。また、回収したシリコン結晶シートの表面を目視にて観察した結果、末端受皿領域18にのみ液ダレによる突起が見られ、その他の四角形の基板部には突起は全く見られなかった。
【0110】
回収されたシリコン結晶シートの末端受皿領域18を切断装置により切断を行ったところ、切断が非常に容易であり、短時間にて行うことが可能であった。切断後の最終的に得ようとするシリコン結晶シート表面を目視にて観察したところ、突起の全く無い、非常に平滑なものであった。
【0111】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0112】
【発明の効果】
本発明の結晶シート製造装置により、曲率を持たない平坦かつ平滑な表面を持つ結晶シートを、効率的に連続して低コストで製造することができる。
【0113】
本発明の結晶シートの製造装置のうち、結晶が凝固するための基板の配列に工夫を凝らした製造装置は、液ダレの発生による基板主表面の末端における突起の生成を抑制でき、曲率を持たない平坦かつ平滑な表面を持つ結晶シートを、効率的に連続してさらに低コストで製造することができる。
【0114】
本発明の結晶シートの製造装置のうち、結晶が凝固するための基板の形状に工夫を凝らし他製造装置は、液ダレを特定の領域に集め、その切断を容易にし、原料の廃棄ロスを著しく低減することができるため、曲率を持たない平坦かつ平滑な表面を持つ結晶シートを、効率的に連続してさらに低コストで製造することができる。
【0115】
その結果、本発明の結晶シート製造装置を用いて製造した結晶シートは、曲率を持たない平坦かつ平滑な表面を有し、かつ、安価である。また、本発明の結晶シートを用いることにより太陽電池の製造コストをさらに低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の比較例1および実施例1〜4における結晶シート製造装置の全体構成を示す側面図である。
【図2】 本発明の比較例1における基板の配設方法を示す斜視図である。
【図3】 本発明の比較例1における結晶シートの製造方法を示す側面図である。
【図4】 本発明の実施例1における基板の配設方法を示す斜視図である。
【図5】 本発明の実施例2における基板の配設方法を示す斜視図である。
【図6】 本発明の実施例3における基板の配設方法を示す斜視図である。
【図7】 本発明の実施例4における基板の形状および配設方法を示す斜視図である。
【図8】 本発明の比較例1および実施例1〜4における回転冷却体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 回転冷却体、2 回転軸、3,3a,3b,3A,3B,3C,3D 基板、4 融液槽、5 シリコン融液、6 融液槽昇降台、7 加熱装置、8 剥離機構、9 結晶シート、10 液ダレ、11 内部冷却体、12a,12b フランジ、13a,13b 冷却ノズル、15 表面部材、16 冷媒、17 隙間、18 末端受皿領域。

Claims (13)

  1. 回転機構を有する冷却体と、冷却体の外周に配設された、結晶シートが形成されるべき主表面を有する基板と、半導体あるいは金属の融液槽と、を備えた、結晶シートの製造装置であって、基板を半導体あるいは金属の融液から引き上げる際、基板主表面と融液表面との交線が次第に短くなりながら、基板が融液から離れるように、基板を配設したことを特徴とする、結晶シートの製造装置。
  2. 基板主表面と融液表面との最終接触領域が1点の状態となるように基板を配設したことを特徴とする、請求項1に記載の結晶シートの製造装置。
  3. 基板主表面と融液表面との最終接触領域に液ダレを集めるための凸領域を設けた基板を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の結晶シートの製造装置。
  4. 基板主表面の輪郭が多角形であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の結晶シートの製造装置。
  5. 基板主表面の輪郭が四角形であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の結晶シートの製造装置。
  6. 基板を複数配設したことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の結晶シートの製造装置。
  7. 隣接する基板の主表面輪郭同士が一点で接触するように基板を配設したことを特徴とする、請求項6に記載の結晶シートの製造装置。
  8. 隣接する基板の主表面輪郭同士がある一定の長さを持って接触するように基板を配設したことを特徴とする、請求項6に記載の結晶シートの製造装置。
  9. 基板主表面は完全な平面であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の結晶シートの製造装置。
  10. 基板主表面に凹凸が形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の結晶シートの製造装置。
  11. 基板主表面から結晶シートを剥離する剥離手段を備えたことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の結晶シートの製造装置。
  12. 冷却体を回転させて基板を半導体あるいは金属の融液中に浸漬させ、基板上に結晶シートを凝固させる工程と、冷却体を回転させて基板を半導体あるいは金属の融液中から引き上げ、基板上から結晶シートを剥離する工程と、からなる、請求項1〜11のいずれかに記載の製造装置を用いた結晶シートの製造方法。
  13. 半導体あるいは金属の融液は、シリコンの融液であることを特徴とする、請求項12に記載の結晶シートの製造方法。
JP2001238168A 2001-08-06 2001-08-06 結晶シートの製造装置、および結晶シートの製造方法 Expired - Fee Related JP4618944B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001238168A JP4618944B2 (ja) 2001-08-06 2001-08-06 結晶シートの製造装置、および結晶シートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001238168A JP4618944B2 (ja) 2001-08-06 2001-08-06 結晶シートの製造装置、および結晶シートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003048798A JP2003048798A (ja) 2003-02-21
JP4618944B2 true JP4618944B2 (ja) 2011-01-26

Family

ID=19069132

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001238168A Expired - Fee Related JP4618944B2 (ja) 2001-08-06 2001-08-06 結晶シートの製造装置、および結晶シートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4618944B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NO326797B1 (no) * 2005-06-10 2009-02-16 Elkem As Fremgangsmate og apparat for raffinering av smeltet materiale
DE102015114177A1 (de) * 2015-08-26 2017-03-02 Infineon Technologies Ag Halbleitervorrichtung, Siliziumwafer und Verfahren zum Herstellen eines Siliziumwafers

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001039793A (ja) * 1999-07-29 2001-02-13 Fujitsu Ltd 液相エピタキシャル成長装置及び成長方法
JP2001151505A (ja) * 1999-09-14 2001-06-05 Sharp Corp 多結晶シリコンシートの製造装置及び製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5021221B1 (ja) * 1970-03-20 1975-07-21
JPS5344310B2 (ja) * 1974-01-26 1978-11-28
JPH0278233A (ja) * 1988-09-13 1990-03-19 Fujitsu Ltd 液相エピタキシャル成長方法およびその成長装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001039793A (ja) * 1999-07-29 2001-02-13 Fujitsu Ltd 液相エピタキシャル成長装置及び成長方法
JP2001151505A (ja) * 1999-09-14 2001-06-05 Sharp Corp 多結晶シリコンシートの製造装置及び製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003048798A (ja) 2003-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3616785B2 (ja) 太陽電池の製造方法
US4594229A (en) Apparatus for melt growth of crystalline semiconductor sheets
US20150013591A1 (en) Methods and apparatuses for manufacturing cast silicon from seed crystals
US9637391B2 (en) Crystalline silicon ingot including nucleation promotion layer
KR101594474B1 (ko) 폴리결정질 실리콘 잉곳, 이에 의해 제조된 실리콘 웨이퍼 및 폴리결정질 실리콘 잉곳의 제조방법
JP2003128411A (ja) 板状シリコン、板状シリコンの製造方法および太陽電池
JP2004296598A (ja) 太陽電池
JP4618944B2 (ja) 結晶シートの製造装置、および結晶シートの製造方法
Belouet Growth of silicon ribbons by the RAD process
EP1485956B2 (en) Process of producing multicrystalline silicon substrate
JP4674327B2 (ja) Si多結晶インゴット、Si多結晶インゴットの製造方法およびSi多結晶ウェハー
JP2004140087A (ja) 太陽電池用多結晶シリコン基板とその製造法、及びこの基板を用いた太陽電池の製造法
JP2003095630A (ja) シリコンシートとそれを含む太陽電池
US10087080B2 (en) Methods of fabricating a poly-crystalline silcon ingot from a nucleation promotion layer comprised of chips and chunks of silicon-containing particles
WO2005016821A1 (ja) Gaドープ結晶シリコン、その製造方法及びその製造方法に用いるGaドープ結晶シリコン製造装置、並びにGaドープ結晶シリコン基板を用いた太陽電池及びその製造方法
JP4467392B2 (ja) 結晶シートの製造方法
JP5131860B2 (ja) シリコンシートおよび太陽電池
JP2000264618A (ja) 板状シリコン多結晶の製造方法
JP2003112252A (ja) 半導体基体の製造方法、半導体基体、及び太陽電池、並びに半導体基体製造用鋳型
JP2007184496A (ja) 結晶半導体粒子の製造方法および光電変換装置
AU2012203668A1 (en) Methods and apparatuses for manufacturing cast silicon from seed crystals
JP2002280582A (ja) 多結晶太陽電池及び多結晶膜
JP2007173528A (ja) 結晶半導体粒子の製造方法および光電変換装置ならびに光発電装置
JP2007281445A (ja) 粒状結晶の製造方法および光電変換装置ならびに光発電装置
JP2006086255A (ja) 結晶半導体粒子の製造方法および光電変換装置ならびに光発電装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080602

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100427

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100602

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101019

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101026

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131105

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees