JP4617872B2 - ポリ乳酸繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ乳酸繊維に関するものであり、詳しくは短時間熱処理で結晶性を高めることができ、高温での力学特性に優れたポリ乳酸繊維に関するものである。
最近、地球的規模での環境問題に対して、自然環境の中で分解するポリマー素材の開発が切望されており、脂肪族ポリエステル等、様々なポリマーの研究・開発、また実用化の試みが活発化している。そして、微生物により分解されるポリマー、すなわち生分解性ポリマーに注目が集まっている。
一方、従来のポリマーはほとんどが石油資源を原料としているが、石油資源が将来的に枯渇すること、また石油資源を大量消費することにより、地質時代より地中に蓄えられていた二酸化炭素が大気中に放出され、地球温暖化が深刻化することが懸念されている。そこで、二酸化炭素を大気中から取り込み成長する植物資源を原料としたポリマーが合成できれば、カーボンニュートラルにより地球温暖化を抑制できることが期待できるのみならず、資源枯渇の問題も同時に解決できる可能性がある。このため、植物資源を原料とするポリマー、すなわちバイオマス利用ポリマーに注目が集まっている。
上記2つの点から、バイオマス利用による生分解性ポリマーが、石油資源を原料とする従来のポリマーを代替していくことが期待されている。しかしながら、バイオマス利用の生分解性ポリマーは一般に力学特性、耐熱性が低く、また高コストといった課題があった。
これらを解決できるバイオマス利用の生分解性ポリマーとして、現在、最も注目されているのがポリ乳酸である。ポリ乳酸は植物から抽出したでんぷんを発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、バイオマス利用の生分解性ポリマーの中では力学特性、耐熱性、コストのバランスが最も優れている。そして、これを利用した成型品の開発が急ピッチで行われている。
しかしながら、ポリ乳酸はガラス転移温度が60℃前後であり、さらに分子間結合力が小さいため、ガラス転移温度を越えると容易に変形してしまうといった問題があった。そのため、自動車内装材など、車内が80℃にも達するような環境での使用が制限されていた。
ポリ乳酸の耐熱性を上げるために、例えば結晶核剤として無機フィラーを添加することが特許文献1〜5などに開示されている。その中でもタルクが効果的であることが記載されている。しかしながら、汎用のタルクをポリ乳酸繊維に適用した場合、タルクの粒子径が大きいために繊維の強度が極めて低く、実用性のあるポリ乳酸繊維は得られなかった。また、ポリ乳酸の結晶化度を高めるためには、粒子径の大きい汎用タルクの場合では、10%以上添加することが必要であったため、製糸工程でタルク起因の濾圧上昇により、パックライフが数時間と極めて短かかったり、延伸でも毛羽が多発したりと、量産できるものではなかった。
特開平9−278991号公報 特開平11−5849号公報 特開平11−116783号公報 特開2003−327803号公報 特開2003−328779号公報
本発明は、通常のポリ乳酸よりも結晶化しやすく、高温での力学特性に優れたポリ乳酸繊維を提供するものである。
上記目的は、重量平均分子量が12万〜50万であるポリ乳酸からなり、結晶核剤として以下の特性を示すタルクが0.2〜重量%含有された繊維であって、繊維の強伸度積が18以上、DSCにおける降温結晶化ピークTc’が90〜120℃であり、かつ結晶化熱量△Hが10〜50J/gであることを特徴とするポリ乳酸繊維により達成される。
(1)タルクの平均粒子径D50がμm以下
(2)粒子径10μm以上のタルクが、タルク全量に対して0〜体積%
本発明のポリ乳酸繊維は、短時間熱処理により効果的に耐熱性を高めることができるため、衣料用、資材用等、あらゆる用途に好ましく用いることができる。
本発明でいうポリ乳酸とは、−(O-CHCH-CO)n−を繰り返し単位とするポリマーであり、乳酸やラクチド等の乳酸のオリゴマーを重合したものをいう。乳酸には、D−乳酸とL−乳酸の2種類の光学異性体が存在するため、その重合体もD体のみからなるポリ(D−乳酸)とL体のみからなるポリ(L−乳酸)および両者からなるポリ乳酸がある。ポリ乳酸中のD−乳酸、あるいはL−乳酸の光学純度は、それらが低くなるとともに結晶性が低下し、融点降下が大きくなる。そのため、耐熱性を高めるために光学純度は90%以上であることが好ましい。
ただし、上記のように2種類の光学異性体が単純に混合している系とは別に、前記2種類の光学異性体をブレンドして繊維に成形した後、140℃以上の高温熱処理を施してラセミ結晶を形成させたステレオコンプレックスにすると、融点を飛躍的に高めることができるためより好ましい。
また、ポリ乳酸中にはラクチド等の残存モノマーが存在するが、これら低分子量残留物は仮撚加工工程での加熱ヒーター汚れや染色加工工程での染め斑等の染色異常を誘発する原因となる。また、繊維の加水分解性を促進し、耐久性を低下させるため、これら低分子量残留物は好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下である。
また、ポリ乳酸の性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していてもよい。ただし、バイオマス利用、生分解性の観点から、ポリ乳酸繊維中の乳酸モノマー比率は50重量%以上とすることが必要である。乳酸モノマーは好ましくは75重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。また、ポリ乳酸以外の熱可塑性重合体をブレンドしたり、両成分を複合(芯鞘型、バイメタル型)してもよい。さらに改質剤として、粒子、難燃剤、帯電防止剤、抗酸化剤や紫外線吸収剤等の添加物を含有していてもよい。また、ポリ乳酸重合体の分子量は、重量平均分子量で12万〜50万であることが必要である。
ポリ乳酸繊維は、前記した様に末端のカルボキシル基が自己触媒作用を有しており、加水分解を促進する。この加水分解は精練や染色等の製品製造工程は勿論のこと、製品になってからも徐々に進行することが判っている。一方、ポリ乳酸繊維は重量平均分子量が5万以下になると急激に繊維の力学特性、特に強度の低下が著しい。そのため、最終製品としては重量平均分子量12万以上が必要なのである。なお、重量平均分子量は、繊維の耐加水分解性という観点からいえば高い方が好ましいが、分子量が50万を越えると溶融粘度が高すぎるために繊維に成形することが困難になるとともに、分子配向しにくくなるために力学的特性も低下する傾向にある。そのため、好ましい重量平均分子量は12万〜35万であり、より好ましくは12万〜30万である。さらに好ましくは15万〜25万である。
本発明のポリ乳酸の製造方法は、特に限定されない。具体的には、特開平6−65360号公報に開示されている方法が挙げられる。すなわち、乳酸を有機溶媒及び触媒の存在下、そのまま脱水縮合する直接脱水縮合法である。また、特開平7−173266号公報に開示されている少なくとも2種類のホモポリマーを重合触媒の存在下、共重合並びにエステル交換反応させる方法である。さらには、米国特許第2,703,316号明細書に開示されている方法がある。すなわち、乳酸を一旦脱水し、環状二量体とした後に、開環重合する間接重合法である。
本発明のポリ乳酸繊維には以下の特性を有するタルクが0.2〜重量%含有されていることが必要である。
(1)タルクの平均粒子径D50がμm以下
(2)粒子径10μm以上のタルクが、タルク全量に対して0〜体積%
タルクの平均粒子径D50は、結晶化度を高めるとともに、製糸での濾圧上昇や曳糸性、延伸性を確保するためにμm以下であることが必要である。また、後述するようにタルクの粒子径は小さいほど比表面積が大きくなり、結晶核剤としての効果も飛躍的に向上する。そのため、タルクの粒子径は最も好ましくは1.5μm以下である。なお、タルクの平均粒子径D50の下限は特に限定されるものではないが、粒子径が小さくなると凝集性が高くなり、ポリマー中への分散性が悪くなるため0.2μm以上であることが好ましい。
また、タルク中に含まれる粒子径10μm以上のタルクは、タルク全量に対して0〜体積%以下であることが必要である。ポリ乳酸繊維を衣料用、及び産業資材用として用いる場合、その単繊維の繊維直径は15〜50μmのものが汎用グレードとして要求される。我々の検討では、添加するタルクの粒子径に対し、繊維直径が2倍未満になると繊維強度が急激に低下し、強度分布も低強度側にシフトしたブロードなパターンになることがわかった。そのため、粒子径10μmを越えるタルクの含有量はタルク全量に対し0〜体積%以下であることが必要である。好ましくは0〜2重量%、最も好ましくは0重量%である。
なお、上記(1)及び(2)項に記載のタルクの粒子径は(株)島津製作所製SALD−2000Jを用い、レーザー回折法で測定された粒度分布から求めた値である。
タルクは結晶化速度を高くするために0.2〜重量%含有されていることが必要である。重量%を越えるとタルクの凝集により結晶化促進効果の増加がほとんど見られなくなる反面、紡糸での濾圧上昇によりパックライフが短くなるとともに、紡糸、延伸での毛羽立ちや糸切れが多発する。そのため、タルクの添加量は0.5〜4重量%が好ましく、1〜3重量%がより好ましい。
本発明のポリ乳酸繊維は、引張り試験において測定される強度及び伸度から求められる強伸度積が18以上であることが必要である。強伸度積とは、伸度(%)の平方根と強度(cN/dtex)との積によって求められる値であり、繊維のタフネスを示す指標のひとつである。この値が高いほど実用性が高い繊維であることを指し、高いほど好ましい。ポリ乳酸に汎用のタルクを添加して繊維化した場合、この強伸度積は10以下になってしまうが、本発明のポリ乳酸繊維の強伸度積は18以上であり、衣料用、産業資材用としても十分実用性のあるレベルである。この強伸度積は好ましくは21以上である。なお、この強伸度積はタルク未添加の場合でも最大27程度であり、本発明の超微粒タルクを添加した系においても25程度が限界である。
また、本発明のポリ乳酸繊維はDSCにおける降温結晶化ピークTc’が90〜120℃であり、かつ結晶化熱量△Hが10〜50J/gであることが必要である。前記降温結晶化ピークTc’及び結晶化熱量△Hは、結晶化速度を計るパラメーターであり、Tc’は高いほど結晶化速度が速く、△Hが大きいほど到達結晶化度が高いことを示す。したがって、Tc’は高いほど、△Hは大きいほど結晶化速度が速く、到達結晶化度も高いので、短時間の熱処理でも高温での力学特性が向上するのである。Tc’は好ましくは95〜120℃であり、より好ましくは100〜120℃、最も好ましくは105〜120℃である。また、△Hは高いほどよいが、現状では50J/gが上限に近い。したがって、△Hは好ましくは15〜50J/g、より好ましくは20〜50J/g、最も好ましくは25〜50J/gである。ポリ乳酸の結晶化特性を前記の範囲とするためには、本発明で用いる超微粒タルクができるだけ凝集しないように制御する必要がある。そのためには2軸の混練機を用いて高剪断(剪断速度1000sec−1以上)で混練した後、連続して紡糸機にて紡糸を行い、さらに紡糸パック内でのタルクの凝集を抑えるため、口金直上で金属不織布フィルターや金属焼結体(ポーラスメタル)を用いて剪断力を高め、分散性を上げることが好ましい。このときの金属不織布フィルターや金属焼結体の絶対濾過径は、好ましくは40μm以下、より好ましくは20μm以下である。
なお、DSCでの降温結晶化速度Tc’及びその結晶化熱量△Hは、Perkin elmer社製DSC−7を用い、試料重量を約10mgとして200℃で5分間ホールドした後、降温速度16℃/分で測定した。
また、本発明のポリ乳酸繊維をバインダー繊維として用いる場合、減粘剤を添加することで成型品の力学特性を向上させることができるため好ましい。つまり、ポリ乳酸の溶融粘度を減粘剤により低下させることで、成型品を作成する際のポリマーの流動性が高くなるため、成型品の密度を高くすることができる。そのため、成型品の密度に応じて力学特性を向上させることができるのである。
使用する減粘剤としては、樹脂で汎用的に用いられている滑剤等を用いてもよいが、ポリ乳酸の減粘に最も効果的なものとして、ラクタムおよび/またはラクタムオリゴマーが好ましい。なお、本発明でいうラクタムとは、環式アミド化合物およびその誘導体のことをいい、例えばβ−ブチロラクタム、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、1,1−ジメチル−γ−ブチロラクタム等が挙げられるが、ε−カプロラクタムがコスト、性能の両面でバランスがとれていて最も好ましい。また、アミド結合は1つのみならず2つ以上を分子の中に有していてもよい。また、ラクタムオリゴマーとはラクタムが開環重合したもののことをいい、ポリ乳酸との相溶性を良好に保つためには、重量平均分子量としては5,000以下であることが好ましい。また、ラクタムはアミド結合が1ヶ所であると、鎖連結のような副反応が無く、好ましい。また、ラクタムは他の分子と結合した形でもよく、例えばイソシアネートにε−カプロラクタムが結合したもの(ラクタムブロックイソシアネート)等が挙げられる。ε−カプロラクタム単体は潮解性があるため、乾燥や窒素雰囲気下でハンドリングする装置が必要であるが、このラクタムブロックイソシアネートは吸湿性がほとんど無いため、乾燥工程、窒素雰囲気下とする装置が必要ないという利点がある。
なお、ラクタムおよび/またはラクタムオリゴマーはポリ乳酸とは相溶しているが、共重合はほとんどしていないことが好ましい。ラクタムおよび/またはラクタムオリゴマーがポリ乳酸に共重合されると、融点が低下して耐熱性が低下してしまう。融点の低下は、バージンポリ乳酸のものから0〜3℃の範囲にすることが好ましい。
また、ラクタムおよび/またはラクタムオリゴマーの含有率は、製糸工程や、精練、製織工程、バインダー繊維として用いた場合の溶融成形工程等、各々の工程でのブリードアウトを抑制するため、繊維成形ポリマー全体に対し0.1〜5重量%とすることが好ましい。特にラクタムの単量体を用いる場合は、ブレンド比は0.1〜4重量%とすることが好ましい。含有率は、より好ましくは0.2〜3重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。ラクタムおよび/またはラクタムオリゴマーの減粘効果は極めて顕著であり、含有量1〜2重量%で溶融粘度は約1/2に低下する。そのため、ポリ乳酸の分子量を保持したままポリマーの流動性が著しく向上し、成型品の密度を高くすることができるのである。
また、溶融粘度を低下させられるということは、ステレオコンプレックスポリ乳酸の溶融成形において、溶融成形温度を低下させられるという利点もある。
また、同一の紡糸速度で得た未延伸糸を使用した場合、従来のバージンのポリ乳酸を用いたものに比べ延伸倍率を高く設定することが可能である。すなわち、同一繊度で比較すると、本発明では紡糸での単位時間当たりのポリマーの吐出量を増大させることができるため、生産性を大きく向上させることができ、製糸プロセスでのコストダウンも可能となる。
また、バインダー繊維に適用した場合には溶融粘度が低下する分、成型温度を下げたり、成形時間を短縮することが可能となり、成形タイムサイクルの短縮化によるコストダウンが可能となる。
ラクタムおよび/またはラクタムオリゴマーをポリ乳酸に添加・混合する方法は、ポリ乳酸重合中にラクタムおよび/またはラクタムオリゴマーを添加することも可能であるが、共重合を極力抑制する観点から、重合終了したポリ乳酸、すなわち一旦ペレット化されたポリ乳酸に混合することが好ましい。混合方法としては、ポリ乳酸のペレットにラクタムおよび/またはラクタムオリゴマーを固体で混合した後、押出混練機や静止混練機にて溶融混合してもよいし、ポリ乳酸とラクタムおよび/またはラクタムオリゴマーを別々に溶融した後、押出混練機や静止混練機にて溶融混合してもよい。
また、ポリ乳酸は加水分解しやすいという欠点を有する。前記したように、ポリ乳酸繊維の力学特性を高くするためには分子量をできるだけ高く保持することが必要であるが、これは製品となっても同様である。ポリ乳酸の耐加水分解性を高めて分子量低下を抑制するためには、自己触媒作用を有するカルボキシル基の末端濃度を下げることが有効に作用する。トータルカルボキシル基末端濃度は低い方がよいため、好ましくは10当量/ton以下であり、より好ましくは6当量/ton以下、さらに好ましくは0〜3当量/tonである。トータルカルボキシル基末端濃度を下げる方策としては、ラクチドや低分子量オリゴマー等をポリマーの段階で予め除去したり、COOH末端を封鎖する薬剤、例えばエポキシ基を有するコポリマーや、ポリカルボジイミド等が挙げられる。これら末端封鎖剤としては、ポリカルボジイミド化合物を添加・反応させることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるカルボジイミド化合物とは、分子内に少なくともひとつの(−N=C=N−)で表されるカルボジイミド基を有する化合物であり、例えば適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱し、脱炭酸反応で製造できる。
カルボジイミド化合物の例としては、ジフェニルカルボジイミド、ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジオクチルデシルカルボジイミド、ジ−o−トルイルカルボジイミド、ジ−p−トルイルカルボジイミド、ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、ジ−p−クロルフェニルカルボジイミド、ジ−o−クロルフェニルカルボジイミド、ジ−3,4−ジクロルフェニルカルボジイミド、ジ−2,5−ジクロルフェニルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−o−トルイルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−p−クロルフェニルカルボジイミド、2,6,2′,6′−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−シクロヘキシルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジイミド、エチレン−ビス−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert −ブチルフェニルカルボジイミド、N−トルイル−N´−フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−トルイルカルボジイミド、N,N′−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−フェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−トリルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N′−トリルカルボジイミド、N−フェニル−N′−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−トリルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミドなどのモノ又はジカルボジイミド化合物、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4′−メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(4,4′−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)などのポリカルボジイミドなどが挙げられる。中でもN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、2,6,2′,6′−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミドが好ましく、また、ポリカルボジイミドが好ましい。
上記のカルボキシル基封鎖剤は1種または2種以上の化合物を任意に選択して使用することができる。
末端封鎖剤を添加する場合、添加する成分のカルボキシル基末端量に対して決めることが重要である。さらに、ラクチド等の残存オリゴマーも加水分解によりカルボキシル基末端を生じることから、ポリマーのカルボキシル基末端だけでなく残存オリゴマーやモノマー由来のものも併せたトータルカルボキシル末端量が重要である。例えば、末端封鎖剤としてポリカルボジイミドを用いる場合、ポリカルボジイミドのカルボジイミド基当量としてトータルカルボキシル末端量の1〜5倍当量添加することで、フリーのポリカルボジイミド化合物を減じることができる。ポリカルボジイミド化合物の添加量は、より好ましくはトータルカルボキシル末端量の1.2〜3倍当量であり、さらに好ましくは1.3〜2.5倍当量である。
ポリ乳酸に末端封鎖剤を添加・混合する方法は、ポリ乳酸のペレットと末端封鎖剤を固体状態で混合した後、押出混練機にて溶融混合してもよいし、高濃度の末端封鎖剤入りポリ乳酸ペレットを予め作成しておき、ポリ乳酸のペレットと前記の高濃度マスターペレットを固体状態でブレンドした後、溶融紡糸にて静止混練器やポーラスメタルやサンド中で溶融混合させてもよい。ただし、ポリ乳酸のカルボキシル末端と末端封鎖剤とを効率よく反応させ、安定して製糸するためには、2軸押出混練機付き紡糸機を用い、混練機内での溶融滞留時間を2分以上に設定し、溶融混練と溶融紡糸を連続して行うことが好ましい。
また、製造コストを抑制するためにはタルク、ラクタム(および/またはラクタムオリゴマー)、末端封鎖剤の3者を高濃度で混練した1種のマスターペレットを作成しておき、2軸押出混練機付き紡糸機にて所望の濃度に薄めながら紡糸することがより好ましい。
本発明において、ポリ乳酸繊維の紡糸については、ポリ乳酸の熱分解による重合度低下を極力抑えるため、紡糸温度200〜220℃で行うことが好ましい。また、紡糸速度は1000〜3000m/分程度の巻取速度で未延伸糸を得た後、1.5〜3倍程度で延撚する方法、紡糸−延撚工程を直結した直延法(スピンドロー法)、巻取速度4000m/分以上の高速紡糸法(スピンテイクアップ法)等、いずれの方法を採用してもよい。
繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状は、丸型、三角、T型、Y型、W型、多葉型、偏平型、中空等、最終製品の特性に合わせて適宜選択すればよい。
さらに糸条の形態としては、原糸、原綿、仮撚加工糸、先撚仮撚糸、中〜強撚糸、流体噴射加工糸、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸やマルチフィラメント原糸、混繊糸等が挙げられる。
また、本発明のポリ乳酸繊維は他の繊維と混合(混繊や混紡等)をしてもよく、ポリ乳酸の特徴を活かすため、少なくとも10重量%以上含んでいることが好ましい。より好ましくは30重量%以上であり、さらに好ましくは50重量%以上である。ポリ乳酸繊維が20重量%以上含まれていることで、寸法安定性に優れるとともに、しなやかでドライな触感の織編物とすることができる。一方、ポリ乳酸繊維の比率が90重量%を越えると、その他の繊維の特徴が失われるため、他繊維との混合では上限を90重量%にすることが好ましい。
本発明のポリ乳酸繊維と混合(混繊、混紡等)する他の繊維としては、ウール、綿、絹、ヘンプ、ケナフ、カポック、バンブー、月桃、イグサ等に代表される天然繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維が好ましく用いられる。より好ましくは、セルロース系繊維である。ポリ乳酸は寸法安定性に優れるとともに、低温染色性にも優れるため、セルロース繊維との混合による相乗効果が大きい。ポリ乳酸繊維が混用された糸条を得る方法としては、例えば、ポリ乳酸繊維とセルロース系繊維を合撚する方法、ポリ乳酸繊維を芯にして、セルロース系繊維を巻き付ける様にカバリングする方法、芯糸にポリ乳酸繊維、鞘糸にセルロース系繊維として流体噴射加工する方法、ポリ乳酸繊維とセルロース系繊維を引き揃えて仮撚する方法、更に、仮撚加工の前もしくは後にインターレースノズルを用いて交絡させる方法がある。また、セルロース繊維やウール繊維等の短繊維との混合の場合には、紡績工程の中の精紡時点で、ポリ乳酸繊維を複合した精紡交撚糸としたり、それぞれの原綿を混ぜ合わせてウェブとし、熱圧着する方法が挙げられる。
本発明のポリ乳酸繊維は、各種織物(タフタ、ツイル、サテン等)や編物(経編、丸編、横編等)に使用することができ、また、カーペットの表面(立毛部)にも使用することができる。編物の組織としては、天竺、天竺かのこ、ゴム、パール、両面、ポンチローマ、ミラノリブ等が挙げられ、製品の目的に応じて適宜選定すればよい。
また、綿、絹、ヘンプ、ケナフ、カポック、バンブー、月桃、イグサ等と混合してウェブとし、ポリ乳酸繊維の融点以上の温度で熱圧着してシートやカップ、ボード等にすることも好ましく用いられる。
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.重量平均分子量
Waters社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー2690を用い、ポリスチレンを標準として測定した。
B.トータルカルボキシル基末端濃度
精秤した試料をo−クレゾール(水分5%)に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより求めた。この時、乳酸の環状2量体であるラクチド等のオリゴマーが加水分解し、カルボキシル基末端を生じるため、ポリマーのカルボキシル基末端およびモノマー由来のカルボキシル基末端、オリゴマー由来のカルボキシル基末端の全てを合計したカルボキシル基末端濃度が求まる。
C.残存ラクチド量
試料1gをジクロロメタン20mlに溶解し、この溶液にアセトン5mlを添加する。さらにシクロヘキサンで定容して析出させ、島津社製GC17Aを用いて液体クロマトグラフにより分析し、絶対検量線にてラクチド量を求めた。
D.タルクの平均粒子径D50及び10μm以上のタルクの含有率
島津製作所製SALD−2000Jを用い、レーザー回折法によりタルクの平均粒子径D50(μm)を測定した。また、得られた粒度分布から10μm以上のタルクの体積%を求めた。
E.強度及び伸度
試料をオリエンテック(株)社製テンシロン(TENSILON)UCT-100でJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、1998年)に示される定速伸長条件で測定した。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、強伸度積は伸度(%)の平方根と強度(cN/dtex)との積によって求めた(下式参照)。
強伸度積=強度(cN/dtex)×{伸度(%)}0.5
F.降温結晶化ピーク温度Tc’及び結晶化熱量△H
Perkin elmer社製DSC−7を用い、試料を200℃まで昇温させてそのまま5分間保持した後、降温速度16℃/分にて50℃まで降温させてTc’を測定した。また、このときのピーク面積から結晶化熱量△Hを求めた。この時の試料重量は約10mgとした。
G.紡糸パック圧力
紡糸の際のパック内圧を長野計器製圧力計により測定した。
H.紡糸性
紡糸により約25kgのサンプリングを行い、4段階で評価を行った。糸切れゼロを◎、糸切れ1〜2回を○、糸切れ3〜4回を△、糸切れ5回以上を×とした。
ポリ乳酸の製造
光学純度99.5%のL乳酸から製造したラクチドを、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触媒モル比=10000:1)を存在させて窒素雰囲気下180℃でそれぞれ200分、270分、410分重合時間を変え、分子量の異なる3種類のポリ乳酸を得た。引き続いて180℃減圧下で脱ラクチド処理した。なお、重合時に安定剤としてGE社製“Ultranox 626”をラクチド対比0.2重量%加えた。得られたポリ乳酸の重量平均分子量は、それぞれ11万、15万、23万、トータルカルボキシル基末端濃度(当量/ton)は18、20、19、残存ラクチド量(ppm)は240、250、270であった。
実施例1
ポリ乳酸の製造で得られた重量平均分子量15万のポリ乳酸に、結晶核剤として平均粒子径D50が0.98μmのタルク(粒子径10μm以上の含有量はタルク全量に対して0体積%)を2重量%、(株)日清紡製のポリカルボジイミド化合物「LA−1」(カルボジイミド1当量/カルボジイミド化合物247g)を0.7重量%(トータルカルボキシル基末端量に対し1.4倍当量)をそれぞれ添加して2軸押出混練機にて溶融混合し、ペレタイズした。該ペレットをホッパー1に仕込み、1軸押出混練機2に導き、溶融温度T1:220℃で溶融混練し、引き続き紡糸温度T2:220℃に加温された紡糸ブロック3にて溶融ポリマーを計量・排出し、内蔵された紡糸パック4に溶融ポリマーを導き、吐出孔径0.3mm、孔深度1.0mm、孔数300孔の口金5から紡出した(図1参照)。このとき、口金下10cmの位置に吸引装置6を設置し、吸引速度25m/分にて昇華するモノマー及びオリゴマーを取り除いた。紡糸時の紡糸パックの内圧は15.5MPaであり、安定して紡出することができた。
紡出した糸条は冷却チムニー7により風速25m/分で冷却固化させた後、口金下2mに設置された給油装置9により給油した。紡糸油剤には、平滑剤として脂肪酸エステルを70重量%、その他の添加剤(乳化剤、制電剤、抗酸化剤、防錆剤)を30重量%の比率で調整し、さらにこの油剤を濃度10重量%になるように水エマルジョンとして調整し、繊維に対して5重量%付着した(純油分として0.5重量%付着)。さらに周速度1500m/分の第1ゴデットロール及び第2ゴデットロールで引き取り、2640デシテックス、300フィラメントの未延伸糸を得た。該未延伸ドラムを38本サンプリングして、約10万デシテックスのトウに引き揃えた後、約90℃の液浴にて2.2倍の延伸を行い、連続して捲縮付与、カットを行い、単繊維繊度4デシテックス(繊維直径約20μm)、繊維長75mmの原綿を得た。実施例1の試料は紡糸、延伸工程で糸切れや毛羽の発生もなく、安定して約20kgの原綿を得ることができた。得られた原綿の物性を表1に示す。
実施例1の試料は強度3.5cN/dtex、伸度41%(強伸度積:22.4)と十分実用性のある力学特性を示した。また、結晶化特性を評価したところ、Tc’103℃、結晶化熱量△H33.5J/gであり、結晶化速度が高く熱セット性に優れるとともに、熱圧成型用のバインダー繊維としても最適な特性を示した。
比較例6,実施例
原料のポリ乳酸の重量平均分子量を変更した以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。重量平均分子量11万のポリ乳酸原料を用いた比較例6は強度が2.5cN/dtex、伸度38%(強伸度積15.4)とやや低いものであり、用途が限定されるものであった。また、重量平均分子量19万のポリ乳酸原料を用いた実施例3は実施例1よりも優れた力学特性を示したが、Tc’97℃、△H28.8J/gであり、実施例1よりもやや結晶化特性が劣るものであった。
比較例1
重量平均分子量11万のポリ乳酸原料を用い、1軸押出混練機2の溶融温度T1を240℃、スピンブロック温度T2を240℃にした以外は実施例2と同様に実施した。比較例1の繊維の重量平均分子量は8.8万であった。また、このポリ乳酸繊維の強度は2cN/dtex、伸度は35%(強伸度積11.8)と力学特性の低いものであり、実用性に欠けるものであった。
Figure 0004617872
実施例4〜6,比較例7
タルクの含有量を変更した以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示す。タルクの添加量を多くすることでTc’が高く、△Hも大きくなり、結晶化速度の向上度合いが大きくなるが、一方でタルク含有量を高くすることで紡糸、延伸での糸切れや毛羽立ちが多くなる傾向にあるとともに、力学特性も低下するものであった。
比較例2
タルクの含有量を6.0重量%とした以外は実施例1と同様に実施した。比較例2は紡糸での糸切れが多く、安定して未延伸糸を巻くことができなかった。また、延伸後の強度及び伸度のバラツキが大きいものであった。
比較例3
タルクを未添加とした以外は実施例1と同様に実施した。比較例3はDSCでの降温結晶化ピークが観測されず、結晶化速度が極めて遅いものであった。
Figure 0004617872
実施例8,比較例8〜9
タルクの平均粒子径の異なるものを添加した以外は実施例1と同様に実施した。タルクの平均粒子径D50が1.98μmの実施例8は紡糸、延伸で若干糸切れ、毛羽が発生するものの、結晶化速度も速く、実用性に優れた特性を示した。タルクの平均粒子径D50が3.79μmである比較例8は紡糸、延伸での糸切れ、毛羽が発生しやすいものの、実用性のある力学特性及び結晶化特性を示した。また、タルクの平均粒子径D50が4.30μm、かつ10μm以上のタルク含有量が4.5体積%である比較例9は、比較例8よりも強伸度積が低いものであった。
比較例4,5
タルクの平均粒子径の異なるものを添加した以外は実施例1と同様に実施した。タルクの平均粒子径D50が4.60μmであり、かつ10μm以上のタルク含有量がタルク全量に対し4.8体積%である比較例4は、紡糸での糸切れが多発するとともに、濾圧上昇が大きく量産に適応しにくいものであった。
また、タルクの平均粒子径D50が5.40μmである比較例5は、比較例4と同様、濾圧上昇の大きいものであった。また、得られた繊維の強度及び伸度が低く(強伸度積10.8)実用性に欠ける力学特性であった。
Figure 0004617872
実施例11
ポリ乳酸の製造で得られた重量平均分子量15万のポリ乳酸に、結晶核剤として平均粒子径D50が0.98μmのタルク(粒子径10μm以上の含有量はタルク全量に対して0体積%)を1重量%、(株)日清紡製のポリカルボジイミド化合物「LA−1」(カルボジイミド1当量/カルボジイミド化合物247g)を0.7重量%(トータルカルボキシル基末端量に対し1.4倍当量)、ε−カプロラクタムを1重量%をそれぞれ添加して2軸押出混練機にて溶融混合し、ペレタイズした以外は実施例1と同様に実施した。実施例11の紡糸時の紡糸パックの内圧は9.3MPaであり、実施例1よりも40%圧力損失を低減することができた。さらに得られたポリ乳酸の原綿をヘンプ繊維と1:1の割合で混合して厚さ5mmのウェブを作成した。得られたウェブを210℃で熱圧成形した後、110℃で1分間熱処理し、厚さ1mmのポリ乳酸/ヘンプのボードを作成した。得られたボードは引っ張り強度、曲げ強度ともに極めて優れたものであり、資材用途に好適に用いられるものであった。
実施例12
ε−カプロラクタムの添加量を4.0重量%とした以外は実施例11と同様に実施した。
実施例12は紡糸での発煙がやや多かったが、紡糸性、延伸性は良好であった。また、紡糸時の紡糸パックの内圧は6.3MPaであり、実施例1よりも60%圧力損失を低減することができた。さらに得られたポリ乳酸/ヘンプのボードは引っ張り強度、曲げ強度ともに実施例11よりもさらに優れたものであった。
実施例13
(株)日清紡製のポリカルボジイミド化合物「LA−1」を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。実施例13の原綿は力学特性、結晶化特性ともに実施例1と同等レベルであった。しかしながら、該原綿を紡績糸とし、さらに布帛にした後80℃で精練、120℃で染色したところ、加水分解により重量平均分子量が65,000まで低下してしまった。そのため、実施例12は染色しない用途に限定されるものであった。
Figure 0004617872
本発明で好ましく用いられる紡糸装置の概略図である。
符号の説明
1:ホッパー
2:1軸押出混練機
3:紡糸ブロック
4:紡糸パック
5:口金
6:吸引装置
7:冷却チムニー
8:糸条
9:給油装置
10:第1ゴデットロール
11:第2ゴデットロール
12:巻取機
13:巻取糸の糸条パッケージ

Claims (3)

  1. 重量平均分子量が12万〜50万であるポリ乳酸からなり、結晶核剤として以下の特性を示すタルクが0.2〜重量%含有された繊維であって、繊維の強伸度積が18以上、DSCにおける降温結晶化ピークTc’が90〜120℃であり、かつ結晶化熱量△Hが10〜50J/gであることを特徴とするポリ乳酸繊維。
    (1)タルクの平均粒子径D50がμm以下
    (2)粒子径10μm以上のタルクが、タルク全量に対して0〜体積%
  2. ラクタムおよび/またはラクタムオリゴマーを0.1〜5重量%含有していることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸繊維。
  3. トータルカルボキシル基末端濃度が10当量/ton以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のポリ乳酸繊維。
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