JP4617379B2 - 脂肪酸アルキルエステルの製造方法、並びにその製造システム - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸アルキルエステル(「脂肪酸エステル」とも言う。)の製造方法に関する。より詳しくは、バイオディーゼル燃料として使用する脂肪酸アルキルエステルの製造方法、並びにその製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
軽油を燃料とするディーゼル機関(車両、船舶、機械等)は燃費が良好である反面、その排ガス等が環境に悪影響を及ぼすため近年問題となっている。これに対して、ディーゼル機関に利用できる代替燃料としてバイオディーゼル燃料(Bio Diesel Fuel)が注目されている。
【0003】
バイオディーゼル燃料とは、植物性油脂、動物性油脂またはこれらの廃油脂の主成分である脂肪酸トリグリセリド(「脂肪酸グリセリド」ともいう。)を低級アルコールとエステル交換する方法や、前記脂肪酸トリグリセリドの加水分解により生成する遊離脂肪酸を低級アルコールでエステル化する方法等により得られる脂肪酸アルキルエステルからなる燃料である。
【0004】
バイオディーゼル燃料から発生する二酸化炭素は、もともとの油脂原料である大豆や菜種等の植物が大気中から吸収した二酸化炭素である。従って、バイオディーゼル燃料はカーボンニュートラルである燃料のため地球上の炭素バランスを崩すこともないこと等から、化石燃料の代替燃料として有望である。
【0005】
そして、バイオディーゼル燃料である脂肪酸アルキルエステルの工業的製法としてアルカリ触媒法がある。アルカリ触媒法とは、脂肪酸トリグリセリドをアルカリ金属触媒存在下でアルコールの沸点近傍または常温においてエステル交換反応を行なう方法である。この方法は、超臨界メタノール法のように高温・高圧下で行なう必要がないことや、エステル交換反応における触媒活性が酸触媒法等に比べて高いこと等から、比較的、より経済的かつ容易にエステル交換反応を行うことできる。従って、アルカリ触媒法はバイオディーゼル燃料の工業的製法として重要である。
【0006】
しかし、前記アルカリ触媒法にも種々の問題がある。まず、バイオディーゼル燃料として使用するには不純物残量が極めて少ない高品質な脂肪酸アルキルエステルでなければならない。特に、アルカリ触媒法で問題となるのは、アルカリセッケンが副生することや、該アルカリセッケンにより脂肪酸アルキルエステル相とグリセリン相との分離が困難になることや、反応溶液を中和するために添加する活性白土やアルカリ金属触媒の金属アルコラート等の分離が困難であること等である。
【0007】
加えて、廃油等の油脂原料にはエステル類を加水分解する水分等の不純物が多く含まれているため、反応前には油脂原料の水分除去を行うことも重要である。これら分離に関する問題を解決する方法として、特許文献1には、脂肪酸低級アルコールエステルの製造方法において、エステル化混合物に水を添加してかきまぜる調整工程を行う技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭56−65097号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、高純度の脂肪酸アルキルエステルを得るために水分等を添加することは、結果として前記反応を阻害したりする不純物を脂肪酸アルキルエステルに添加することになるため、バイオディーゼル燃料として使用できる高純度の脂肪酸アルキルエステルの製造方法としては好ましくない。更に、添加した水分やグリセリン等を除去するための分離操作が別途必要となるため好ましくない。
【0010】
これに対して、エステル交換反応の前に前記油脂原料を真空ポンプで減圧して所定温度に加熱することで水分を除去することも行なわれているが、大掛かりな真空装置が必要になることや、この工程のために大量の熱エネルギーが必要になること等について改善する余地がある。
【0011】
そこで、本発明は、反応を阻害する不純物である水分等を効果的に除去し、高収率であり反応効率も高い脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者は、脂肪酸アルキルエステルの製造技術の主流である前記アルカリ触媒法に特に注目して、脂肪酸アルキルエステルの工業的生産を効率よく行う製造方法について鋭意研究を行った。その結果、水分等の不純物を反応系から極力除去するだけでなく、水分を極力使用しない大スケールのエステル交換反応を行いうる製造方法を見出した。
まず、本発明は、(A)油脂原料から少なくとも水分を除去する工程と、(B)微粒子分散混合によって、前記油脂原料に含まれる脂肪酸グリセリドを脂肪酸アルキルエステルに変換し、得られる脂肪酸アルキルエステル中のトリグリセリド含有量を0.1重量%以下とする工程と、(C)前記脂肪酸アルキルエステルが含まれる混合物から少なくともグリセリンを分離する工程と、を行なう脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供する。これにより、高純度の脂肪酸アルキルエステルを得ることができる。
続いて、本発明は、前記(B)工程は、前記油脂原料1モルに対してアルコールを5モル以下の条件で用いる脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供する。使用するアルコールの量が少ないながら、効率よく(B)工程を行うことができる。
そして、本発明は、前記(B)工程の微粒子分散混合を静的混合手段により行う脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供する。静的混合手段を用いることで、効率よく脂肪酸グリセリドを脂肪酸アルキルエステルに変換できる。さらに、本発明は、前記静的混合手段を、線速度1.4m/秒以上で行う脂肪酸アルキルエステルの製造方法を提供する。これにより、効率よく速やかに脂肪酸グリセリドを脂肪酸アルキルエステルに変換できる。
また、本発明では、脂肪酸グリセリドを含む油脂原料から少なくとも水分を除去する前処理部と、微粒子分散混合によって、前記脂肪酸グリセリドを脂肪酸アルキルエステルに変換し、得られる脂肪酸アルキルエステル中のトリグリセリド含有量を0.1重量%以下とする反応部と、前記脂肪酸アルキルエステルが含まれる混合物から不純物を除去する分離装置と、を少なくとも備える脂肪酸アルキルエステルの製造システムを提供する。これにより高純度の脂肪酸アルキルエステルを効率よく製造できる。
なお、本発明において、「脂肪酸グリセリド」とは、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸モノグリセリドも含まれる。そして、「油脂原料」とは、前記脂肪酸グリセリドを含有しているものをいい、あらゆる植物性油脂や動物性油脂、またはこれらの廃油脂等も含まれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造方法によれば、水分等の不純物を効率的に除去できる。そして、前記水分等の不純物によって引き起こされるエステル交換反応やエステル化反応等の副反応も抑制できる。従って、高純度の脂肪酸アルキルエステルを高収率かつ高反応効率で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための好適な形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面に示された各実施形態は本発明における代表的な実施形態例を示したものであり、これにより本発明が狭く解釈されることはない。
【0015】
図1は、本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造方法の一例のフロー図である。
【0016】
まず、油脂原料から少なくとも水分を除去する前処理工程を行う(A工程)。次に、前処理された前記油脂原料に含まれる脂肪酸グリセリドを脂肪酸アルキルエステルに変換する工程(B工程)を行う。その後、前記混合物から不純物を除去する工程を行う。最後に、得られた脂肪酸アルキルエステルをバイオディーゼル燃料として最終製品化して貯蔵する工程を行う。
【0017】
ここで、本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造方法に用いられる反応例を下記式(1)に示す。油脂原料に含まれる脂肪酸グリセリドとメタノール(アルコール)とがエステル交換反応により、脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル燃料)とグリセリンとに変換される反応である。また、この反応はアルカリ触媒である水酸化カリウム存在下で進行する。
【0018】
【化1】
Figure 0004617379
【0019】
なお、式(1)のRは炭化水素基または水素原子(H)を意味しており、その種類については限定されない。具体的には、炭素数も限定されず、炭素−炭素不飽和結合を有していてもよく、アルコキシ基等の他の官能基が結合していてもよい。
【0020】
そして、本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造方法に用いられるアルコールは、メタノールに限定されない。即ち、アルコールの炭素数も限定されず、炭素−炭素不飽和結合を有するものや、他の官能基が結合しているものでもよい。また、本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造方法に用いられるアルカリ触媒は、水酸化カリウム(KOH)に限定されない。即ち、水酸化ナトリウム(NaOH)であってもよいし、他のアルカリ触媒であってもよい。
【0021】
前記エステル交換反応において副反応を引き起こす不純物としては、水分(HO)、遊離脂肪酸(RCOOH)、アルカリセッケン(RCOOK)等が挙げられる。前記遊離脂肪酸(RCOOH)は、脂肪酸アルキルエステルの加水分解や、油脂原料に含まれる脂肪酸グリセリドの酸化により発生する。水分は、脂肪酸グリセリドを含む油脂原料由来の植物(大豆、菜種等)に含まれていることや、反応開始後に外部から混入することや、エステル交換反応(式(1)参照)の副反応等により発生する。この水分は脂肪酸アルキルエステルの加水分解等を引き起こす点からも問題となる。
【0022】
A工程は、脂肪酸グリセリドを含む油脂原料から少なくとも水分を除去する前処理工程である(図1参照)。例えば、脂肪酸アルキルエステルへの変換工程(B工程)の前に、前記油脂原料中に含まれる不純物(水分等)を前処理工程(A工程)により効果的に除去することで、前記エステル交換反応の反応効率や収率を向上させることができる。
【0023】
本発明では、A工程の水分等の除去方法については限定されず、例えば、油脂原料に電圧を印加して水分等を除去する方法によってもよいし、水分を低沸点成分として油脂原料から除去する方法(低沸点除去)によってもよい。より好適には、効率よく脱水を行うことができる等の観点から、真空脱気によることが望ましい。
【0024】
B工程は、A工程で前処理された油脂原料に含まれる脂肪酸グリセリドを脂肪酸アルキルエステルに変換する工程である(図1参照)。より詳しくは、微粒子分散混合によって、前記油脂原料に含まれる脂肪酸グリセリドを脂肪酸アルキルエステルに変換し、得られる脂肪酸アルキルエステル中のトリグリセリド含有量を0.1重量%以下とする工程である。脂肪酸アルキルエステルに変換する反応により得られる反応物を分層した場合、得られる脂肪酸アルキルエステル相中のトリグリセリド含有量を0.1重量%以下とするものである。
【0025】
本発明では、B工程で行われる反応については限定されず、複数の反応により脂肪酸アルキルエステルに変換されていてもよい。好適には、脂肪酸グリセリドのエステル交換反応を主反応として脂肪酸アルキルエステルを得ることが望ましい。脂肪酸グリセリドは油脂原料に多く含まれることや、脂肪酸グリセリドから直接脂肪酸アルキルエステルに変換できるため効率が良いからである(式(1)参照)。これにより、脂肪酸アルキルエステルが含まれる混合物を得ることができる。
【0026】
本発明では、前記脂肪酸グリセリドのエステル交換反応についても限定されない。例えば、酸触媒を用いた酸触媒法によってもよいし、無触媒条件下の超臨界メタノール法等によっても良いが、好適には、脂肪酸グリセリドとアルコールとをアルカリ触媒によりエステル交換させることが望ましい(アルカリ触媒法)。また、前記酸触媒法等とアルカリ触媒法とを併用する反応であってもよい。
【0027】
前記アルカリ触媒法によるエステル交換反応を行う際は、まず、アルコールとアルカリ金属とを反応させて金属アルコラートとして、該金属アルコラートを脂肪酸グリセリドに加えることが望ましい。例えば、金属アルコラートを準備層で調整して、前記金属アルコラートを原料油脂が入っている反応槽に投入するようにしてもよい。
【0028】
また、従来のように前処理工程が不十分であれば水分や遊離脂肪酸等が脂肪酸グリセリド(油脂原料)と混在しているため、エステル交換反応を反応槽で複数回繰り返す必要がある。しかし、本発明における前処理工程(A工程)では充分に水分等を除去しているため、エステル交換反応の反応回数等を短縮できるため、より効率的であり経済的である。
【0029】
本発明では、B工程で微粒子分散混合を行う。脂肪酸グリセリドと金属アルコラート等の反応系において、反応物を微粒子化し、これを分散混合することで、より接触効率を向上させることができる。特に、固液系の不均一系反応である場合には、微粒子化させて分散混合させることで、接触表面が増大する等の効果が得られるため、効率よく反応させることができると考えられる。
【0030】
微粒子分散混合の手段としては、前記反応物を微粒子化して混合できるものであればよく、例えば、超音波や静電誘導等が挙げられるが、好適には静的分散混合によって行うことが望ましい。静的分散混合としては、例えば、スタティックミキサー等を用いることが挙げられる。
【0031】
そして、前記B工程において、1価アルコールを用いて脂肪酸アルキルエステルを得る場合には、油脂原料1モルに対して、5モル以下の1価アルコールで反応させることが望ましい。より好適には4モル以下であることが望ましい。たとえば、式1では、脂肪酸グリセリド1モルに対して、理論上必要な1価アルコールは3倍モルである。しかし、BDF等の実用生産に際して、エステル交換反応を進行させるために多量のアルコールを必要とするのが現状であった。即ち、原料である油脂原料1モルに対し、多量のアルコールを必要としていた。これに関して、本発明では、少量のアルコールで効率よくB工程の反応を進行させることができるため、より経済的であり、生産ラインの安全性の向上にも貢献できる。
【0032】
なお、各種油脂原料の分子量としては、例えば、「Biodiesel: The Comprehensive Handbook Martin Mittelbach, Claudia Remschmidt, publisher: Martine Mittelbach Paperback, 2004」に示される数値を用いることができる。一例として、表1に、各種油脂原料とその分子量を示す。なお、本発明で用いることができる油脂原料は、ここに列挙する油脂類に限定されないことは勿論である。
【0033】
【表1】
Figure 0004617379
【0034】
従来では、BDF等の実用生産に際して、エステル交換反応を十分に進行させるために反応を複数回繰り返す必要があった。例えば、反応槽でエステル化反応を1回行って反応物を得て、この反応物を粗精製して再度反応槽に投入すること等が行われている。しかし、反応を複数回繰り返すことは、製造時間が長くなるだけでなく、処理操作の煩雑化や、装置構造の複雑化、更にはエネルギー効率の低下を引き起こす等の観点から望ましくない。
【0035】
本発明では、1価アルコールを用いて脂肪酸アルキルエステルを得る場合には、油脂原料1モルに対して、5モル以下の1価アルコールで反応させることが好ましい。
【0036】
このように、本発明によれば、効率よく速やかに脂肪酸アルキルエステルを得ることができる。特に、BDF燃料として大規模な製造システムとして実用化することができる。
【0037】
さらに、静的分散混合においては、線速度1.4m/秒以上で(B)工程を行うことが望ましい。例えば、前記スタティックミキサーを用いる場合であれば、スタティックミキサー内を線速度1.4m/秒以上で反応物を通過させることが望ましい。より好適には、線速度1.5m/秒以上であることが望ましい。このような線速度であることで、より効率よくかつ速やかに反応を進行させることができる。
【0038】
また、前記微粒子分散混合を行なった後に、別途の延長管等を接続することもできる。前記延長管の構造等は限定されず、適宜好適な構造の延長管を接続することができる。
【0039】
前記B工程の後に、少なくともグリセリンを除去するC工程を行う。B工程では、脂肪酸アルキルエステルが生成される一方、副反応物であるグリセリンも同時に生成する。このグリセリンを除去する工程を行う。また、C工程では、グリセリン以外の不純物をも分離させてもよい。さらには、複数の分離生成工程を行ってもよい。C工程の方法は、特に限定されず、従来公知の手法を採用してもよい。好適には、静置分離工程によることが望ましい。
【0040】
前記混合物に中和吸着剤を添加して静置分離する工程を行うこともできる。この静置分離する工程とは、具体的には、脂肪酸アルキルエステルが含まれる混合物に中和吸着剤を添加して静置分離を行う液液分離工程である。これにより、前記混合物中に残存するグリセリンだけでなく、未反応の微量の脂肪酸グリセリド(トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドを含む)、アルコール、遊離脂肪酸、水分等の不純物をも脂肪酸アルキルエステルから分離できる。
【0041】
前記中和吸着剤を静置分離工程に用いることにより、例えばアルカリ触媒法によるエステル交換反応を行う場合等に前記混合物を中和する中和剤と、前記静置分離の際に不純物を凝集沈降させる凝集剤とを兼ねることができる。即ち、別途中和剤等を添加する必要もなく、中和と静置分離とを併せて行うことができるため、効率的であり簡便に脂肪酸アルキルエステルを得ることができる。従って、好適には、前記混合物に中和吸着剤を添加して撹拌した後に静置分離することが望ましい。
【0042】
前記混合物に中和吸着剤を添加することで、前記混合物中の不純物の粒子を凝集してフロック化する。そして、フロック化した不純物が沈降して分離することができる。即ち、静置による比重分離効果と、中和吸着剤添加による吸着分離効果とによって、効果的に前記不純物を沈降除去できる。そして、本発明では、本工程で使用する静置分離槽についても限定されないが、好適には撹拌機つき静置分離槽であることが望ましい。あるいは、反応溶液を撹拌してエステル交換反応を進行させた後に、引き続き前記中和吸着剤等を投入して撹拌できる一体型のスタティックミキサーを用いることもできる。前記混合物に中和吸着剤を添加した後に撹拌することでこれらを充分に混合できるため、効果的に不純物を吸着凝集できるからである。
【0043】
そして、前記混合物と前記中和吸着剤とを混合撹拌して所定時間静置すると、脂肪酸メチルエステル相とその他の不純物相とに分離する。その際、前記脂肪酸メチルエステル相は比重が軽いため上層に、前記不純物相は比重が重いため下層に位置する。従って、前記静置分離槽の下部に廃ドレン等を設けることで、前記不純物相を容易に排出できる。
【0044】
また、エステル交換反応では脂肪酸アルキルエステルと併せてグリセリンも生成するため、前記不純物相にはグリセリンが多量に存在する(式(1)参照)。従って、前記廃ドレンにより排出された前記不純物相から前記グリセリンを取り出して他の用途に再利用してもよい。
【0045】
さらに、本発明では、前記中和吸着剤の種類等については限定されず、例えば、粘土、モンモリロナイト等であってもよいが、好適には活性白土を主成分とすることが望ましい。即ち、前記活性白土を単独で使用してもよいし、他の中和吸着剤と組み合わせて使用してもよい。前記活性白土は、アルカリ金属触媒を含む反応溶液を中和する機能と同時に、前記不純物に吸着して前記不純物を凝集させる機能を発揮するため、前記エステル交換反応において好適である。従って、反応終了直後に活性白土を加えることは、反応溶液の中和作用と不純物の沈降除去作用を発揮できる点で経済的であり簡便である。
【0046】
また、本発明では、前記活性白土の形状等については限定されず、粒状でもよいし、粉状であってもよい。本工程では、前記活性白土が不純物等に接触することで中和作用と吸着作用を発揮するためには、前記活性白土の表面積が大きいことが望ましい。また、比重による凝集沈殿効果や機器類等の目詰まり防止のためには、前記活性白土は一定の大きさを有することが望ましい。従って、これらの点を考慮して、使用する装置や原料等に応じて、適宜、好適な大きさの活性白土を選択することができる。
【0047】
また、C工程として、脂肪酸アルキルエステルが含まれる前記混合物に電圧を印加することで不純物を除去する工程も別途行ってもよい。前記静置分離工程により分離されなかった微量の水分や遊離脂肪酸等も脂肪酸アルキルエステルから除去できる。具体的には、前記混合物が入っている不純物除去装置内に配置された陽極と陰極とに電圧を印加することにより、その電気浸透作用で電極に集まる水分等の不純物を回収し分離できる。
【0048】
このように前記混合物に電圧を印加することで、水分や遊離脂肪酸等やその他の不純物も電極に集まるため、これら不純物も併せて除去できる点で効率がよい。また、脂肪酸アルキルエステルを含む前記混合物を高温で加熱すれば遊離脂肪酸等が発生してしまうが、電圧を印加する方法であればそのような問題もない。従って、蒸留脱水による不純物除去方法等よりも効率よく高純度の脂肪酸アルキルエステルを得ることができる。
【0049】
また、C工程として、前記混合物から不純物を除去する工程も別途行うことで、特に固体である中和吸着剤等の不純物を効率的に除去できる。そして、本発明では、前記混合物から不純物を除去する方法については限定されず、ろ過装置を用いてもよいし、遠心分離機等によってもよい。更に、本発明では、前記ろ過装置のろ過方法についても限定されないが、好適にはフィルターによりろ過する方法が望ましい。分離できなかった微量の中和吸着剤等を容易かつ効果的に前記フィルターによりろ過できる。
【0050】
なお、フィルターとは、分離能を有する材料をいう。そして、前記材料として、例えば、合成樹脂や紙等があげられるが、その材質や形状等については限定されず、好適には、薬品耐性が高いポリスルホンやポリアミドやセラッミック等からなる精密ろ過フィルターであることが望ましい。また、限外ろ過を行うプレフィルター等を設けて分離効率を更に向上させてもよい。なお、前記分離能は、前記静置分離工程で使用する前記中和吸着剤の種類や形状等を考慮して決定することができる。
【0051】
また、今まで述べた、前記混合物から不純物を除去する工程は、前記B工程の後に行われればよく、複数の工程を行う場合の工程順序については適宜好適な順序とすることができる。従って、前記混合物から不純物を除去する工程の方法に応じて工程順序を決定できる。例えば、前記フィルターにより前記混合物から不純物を除去する場合等には、高電圧不純物除去装置の内壁等に前記フィルターを設けて一体化することで、各装置の軽量化や生産ラインの管理容易化に寄与できる。
【0052】
あるいは、別途、フィルター等を用いた分離装置を、静置分離槽と前記高電圧不純物除去装置の間に設置しても良い。前記静置分離槽と前記高電圧不純物除去装置の間に前記フィルター等を用いた分離装置を設置することで、まず、前記フィルターによって不純物を凝集した活性白土等を効果的に除去でき、その後、前記高電圧不純物除去装置により残存する微量の水や遊離脂肪酸等も除去できる。従って、前記高電圧不純物除去装置等にも負担がかからず効率的に不純物を除去できる。
【0053】
以上の各工程について、まずA工程を行うことで、特に水分や遊離脂肪酸等を効率的に除去できる。加えて、中和吸着剤を添加する静置分離工程も行うことで、グリセリン等のその他の不純物も効果的に除去できる。更に、前記フィルターによる分離工程も行うことで、残存する中和吸着剤や該中和吸着剤に凝集された不純物も効率的に除去できる。
【0054】
また、本発明では、使用する油脂原料やアルコール等に応じて、前記得られる脂肪酸アルキルエステルや副生成物等の物性や生成量を考慮して、必要な工程を組み合わせたり、繰り返し行ったりしてもよい。これにより、更に効率的に高純度の脂肪酸アルキルエステルを製造できる。
【0055】
このようにして精製された脂肪酸アルキルエステルは、最終製品化工程に送られてバイオディーゼル燃料として製品化される。例えば、前記脂肪酸アルキルエステルに燃料性状向上剤等を添加してバイオディーゼル燃料として製品化した後、バイオディーゼル燃料貯蔵槽に送られて貯蔵する。本発明では、使用する燃料性状向上剤について限定されない。例えば、バイオディーゼル燃料の酸化防止や低温流動性向上を目的とする添加剤であってもよい。
【0056】
なお、バイオディーゼル燃料として使用するには高純度の脂肪酸アルキルエステルでなければならないため、該脂肪酸アルキルエステルが高純度の状態を維持できる貯蔵槽であることが重要である。特に、前記脂肪酸アルキルエステルは親水性であるため水分と混和しやすい。従って、本発明では、バイオディーゼル燃料貯蔵槽の種類等について限定されないが、好適には完全脱水されている貯蔵槽や、外気を遮断できる貯蔵槽であることが望ましい。また、前記脂肪酸アルキルエステルに少量の軽油を混合させて貯蔵してもよい。
【0057】
更に、バイオディーゼル燃料貯蔵槽内で保存されている脂肪酸アルキルエステルの品質維持のために、貯蔵槽に高電圧不純物除去装置等を再度接続してもよい。即ち、前処理工程(A工程)〜最終製品化処理工程を行った後に、再度高電圧不純物除去装置を行うことにより、バイオディーゼル燃料貯蔵槽内の脂肪酸アルキルエステルに混在する水分等を適宜除去できる。これにより、脂肪酸アルキルエステルを高純度の状態で長期間保存できる。
【0058】
本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造方法では、反応処理に水分を使用せず、水分を極力生産ラインから排除している。従って、バイオディーゼル燃料製造にあたって水インフラが不要であるため、乾燥地帯等でもバイオディーゼル燃料を効率よく生産できる。更に、各工程で使用する装置が安価で簡便であることや、各工程に必要なエネルギー等も少量であることから、ライフサイクルアセスメント(LCA;Life Cycle Assessment)の点からも好ましい製造方法である。
【0059】
図2は、本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造システムの一実施形態を説明する概念図である。
【0060】
図2に示された符号1は、脂肪酸アルキルエステルの製造システムを示している。以下、該脂肪酸アルキルエステルの製造システム1について前記各工程にそって説明する。油脂原料は前処理部111に送られて高電圧不純物除去により水分や遊離脂肪酸等を除去する。続いて、フィルターによるろ過装置113をポンプ114の前に設置し、油脂原料中の不純物を前記ろ過装置113でろ過してから送液される(図1;A工程参照)。このように、前記ろ過装置113を設置することで、より効果的に原料の不純物を除去できる。特に、前記ろ過装置113を前記ポンプ114の前に設置することで、前記ポンプ114に不純物が混入することによる故障も防止できる。
【0061】
続いて、前記原料は、インラインヒーター121により所望の反応温度まで加熱された後、スタティックミキサーの反応部122に送られてエステル交換反応等を行なう(図1;B工程参照)。その際、アルコールとアルカリ金属とを反応させて金属アルコラートをあらかじめ生成しておき、前記金属アルコラートの適量を反応部122へ添加して、前記油脂原料と撹拌させてエステル交換反応を進行させることができる。
【0062】
そして、前記反応部122においてエステル交換反応が終了した後、引き続きスタティックミキサーの中和吸着剤混合部131で反応溶液に活性白土を添加して撹拌する。この中和吸着剤混合部131をスタティックミキサの後続に設けることが望ましい。静的混合した後、所定時間静置させながら後続の静置分離槽132に送ることで、より収率を向上させることができる。前記中和吸着剤混合部131での保持時間(反応物が中和吸着剤混合部131に存在する時間)は、反応条件や装置設置環境等を考慮して適宜決定することができる。
【0063】
このように、エステル交換反応の反応物に連続して前記活性白土を添加・撹拌するため、簡便にかつ効果的に、前記反応溶液の中和と、前記反応溶液中の不純物への吸着を行うことができる。そして、撹拌後、前記反応溶液は静置分離槽132に送られて静置分離する。その際、適宜、静置分離槽132の下部に沈降した不純物相は廃ドレン133から外部へ排出される。
【0064】
また、前記スタティックミキサーの反応部122の長さL1(図2参照)と、前記中和吸着剤混合部131の長さL2(図2参照)は、本発明では限定されず、使用する原料油脂量や反応時間等を考慮して設計できる。長さL1は、スタティックミキサーの反応部122で行う反応の反応時間を考慮して決定することができる。例えば、反応部122の反応時間は、長さL1とスタティックミキサーの線速度を考慮して決定できる。
【0065】
また、必要に応じ、スタティックミキサーに投入された原料や金属アルコラートや活性白土等の投入量を計測する計量器123,124,134をそれぞれ設置し、各投入量に基づいて反応を自動制御することで、前記スタティックミキサーでの各工程を効率よく行うこともできる。
【0066】
前記静置分離により取り出された脂肪酸メチルエステル相は、フィルターによるろ過装置150に送られて、残存する活性白土や該活性白土に吸着された不純物を分離する(図1参照)。続いて、高電圧不純物除去装置140へ送られて、前記脂肪酸メチルエステル相に混在する微量の水分や遊離脂肪酸等を廃ドレン141より除去する。このように、本発明では、前記静置分離槽と前記高電圧不純物除去装置の間にろ過装置を設置してもよい。なお、本発明では、高電圧不純物除去装置は、必要に応じ設けることができ、製造システムとして使用する環境や実施する反応等を考慮して設置しなくてもよい。
【0067】
続いて、精製された脂肪酸メチルエステルはスタティックミキサー161に送られて、前記脂肪酸メチルエステルに燃料性状向上剤等を添加してバイオディーゼル燃料として製品化される。(図1参照)。そして、軽油等と混合して前記バイオディーゼル燃料貯蔵槽162で保存される。また、図示はしないが、前記バイオディーゼル燃料貯蔵槽162に高電圧不純物除去装置を接続して適宜脱水処理等を行うことができるようにしてもよい。なお、図2に示す製造システムは例示であり、本発明では、油脂原料や反応条件等に応じて好適な反応装置を選択したり、複数回同じ処理を行なったりすることで更に分離能を向上させてもよい。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の効果を検証する実験を行った。なお、以下に示す実施例は例示であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0069】
<1.前処理脱水と微粒子分散混合の効果の検証>
前処理脱水(A工程)と、脂肪酸アルキルエステルへの変換を行う微粒子分散混合(B工程)のそれぞれを実施する場合と実施しない場合について検証した。
【0070】
[実施例1]
原料油脂として、BDF製造に汎用される菜種油(脱色油、水分含有量2.0重量%)を用いた。アルコールとして、メタノールを用いた。触媒として、水酸化カリウムを用いた。原料油脂:メタノール:水酸化カリウム=100:13:1.3(重量比)である。
まず、原料油脂を真空脱気により前処理脱水した。そして、エステル交換反応は、微粒子分散混合としてスタティックミキサーを用いた。スタティックミキサー内で0.8秒間反応させた。反応は、メタノールと水酸化カリウムの金属アルコキシド42gを製造して、原料油脂300gと反応させた。
【0071】
[比較例1,2]
前処理脱水を行うが、微粒子分散混合を行わない場合について検証した。
具体的な反応条件としては、エステル交換反応を、スタティックミキサーで行なわずに通常の攪拌装置によって3秒間(比較例1)、60分間(比較例2)行った点以外は実施例1と同様にして行った。
【0072】
[比較例3]
前処理脱水も微粒子分散混合も行わない場合について検証した。
具体的な反応条件としては、原料油脂の前処理脱水を行わなず、さらに、エステル交換反応を、スタティックミキサーで行なわずに、通常の攪拌装置によって3秒間で反応させた点以外は実施例1と同様にして行った。
【0073】
[評価方法]
前処理脱水の評価として、前処理脱水後の原料油脂の含有水分量を測定した(実施例1、比較例1)。含有水分量の測定は、カールフィッシャー式容量滴定法によって行った。
【0074】
反応収率の評価には、未反応成分であるトリグリセリド(TG)と、一部未反応成分であるジグリセリド(DG)、モノグリセリド(MG)の含有量を測定した。具体的には、反応終了後の反応混合物を24時間静置分離させて、メチルエステル相を得た。このメチルエステル相中のTG、DG、MGの含有量をGC/MS(EN1410に準拠)により測定した。そして、TG、DG、MGのそれぞれについて、メチルエステル相全体に対する含有量を算出した。これらの結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
Figure 0004617379
【0076】
[考察]
前処理脱水を行わない比較例3は、TGの含有量は62.3%(重量比)と最も高い結果となった。そして、前処理脱水は行ったが、微粒子分散混合は行わなかった比較例1,2では、TGの含有量は22.8%(重量比)、10.9%(重量比)であり、比較例3に比してやや改善はされたものの十分とはいえない。
これに対して、前処理脱水を行い、かつ微粒子分散混合を行った実施例1では、TGの含有量が0.1%以下と大幅に軽減することができた。また、DG、MGについても大幅に軽減することができた。実施例1により、エステル交換反応を複数回行う必要がなく、高純度の脂肪酸アルキルエステルが短時間で得られたことが示唆された。
【0077】
<2.微粒子分散混合の検証>
微粒子分散混合の条件が与える影響について検証した。具体的には、微粒子分散混合として静的混合手段としてスタティックミキサーを用い、原料油脂に対するメタノールの使用量等について検証した。
【0078】
[実施例2〜5]
原料油脂:メタノールのモル比を表2に示す条件で変化させて、それぞれ反応させた。そして、スタティックミキサーの線速度と、反応物の通過時間については、表2に示す条件で行い、これら以外の点は、実施例1と同様の条件で行った。なお、菜種油の分子量は883、メタノールの分子量は32.04として換算した。
[0079]
TGの含有量の評価についても実施例1と同様にして行った。実施例2〜6の結果について表3に示す。
[0080]
[表3]
Figure 0004617379
[0081]
[考察]
実施例2〜5では、いずれもメタノールの使用量が5モル以下でありながら、TGの残留がいずれも0.1重量%以下であった。また、いずれも線速度が1.4m/s以上で反応をほぼ完了させることができた。そして、実施例2〜5の通過時間は、約1秒であった。以上より、本実施例によれば、少量のアルコールで短時間でありながら効率よく反応を進行させることが示された。
産業上の利用可能性
[0082]
本発明は、バイオディーゼル燃料として使用可能な高品質な脂肪酸アルキルエステルを高反応効率かつ高収率で製造する技術として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
[0083]
[図1]本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造方法の一例のフロー図である。
[図2]本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造システムの一実施形態を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0084】
1 脂肪酸メチルエステルの製造システム
110 前処理部
122 反応部
132 静置分離槽
140 高電圧不純物除去装置
113,150 フィルターによるろ過装置
162 バイオディーゼル燃料貯蔵槽

Claims (5)

  1. (A)油脂原料から少なくとも水分を除去することで、カールフィッシャー式容量滴定法で測定した前記油脂原料の水分含有量を0.03重量%以下にする工程と、
    (B)線速度1.4m/秒以上である静的混合手段によって、前記油脂原料に含まれる脂肪酸グリセリドを、アルカリ触媒存在下で、脂肪酸アルキルエステルに変換し、得られる脂肪酸アルキルエステル中のトリグリセリド含有量を0.1重量%以下とする工程と、を少なくとも行う脂肪酸アルキルエステルの製造方法。
  2. 前記(A)工程と前記(B)工程の後に、下記(C)工程を少なくとも行うことを特徴とする請求項1記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法。
    (C)前記脂肪酸アルキルエステルが含まれる混合物から少なくともグリセリンを分離する工程。
  3. 前記(B)工程は、前記油脂原料に対しアルコールを5モル以下の条件で用いることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法。
  4. 油脂原料から少なくとも水分を除去することで、カールフィッシャー式容量滴定法で測定した前記油脂原料の水分含有量を0.03重量%以下にする前処理部と、
    線速度1.4m/秒以上である静的混合手段によって、前記油脂原料に含まれる脂肪酸グリセリドを、アルカリ触媒存在下で、脂肪酸アルキルエステルに変換し、得られる脂肪酸アルキルエステル中のトリグリセリド含有量を0.1重量%以下とする反応部と、を少なくとも備える脂肪酸アルキルエステルの製造システム。
  5. 更に、前記脂肪酸アルキルエステルが含まれる混合物から不純物を除去する分離装置を、少なくとも備えることを特徴とする請求項4記載の脂肪酸アルキルエステルの製造システム。
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