JP4615052B2 - バイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、未利用のバイオマス資源を利用したメタンガスと堆肥の製造方法に関する。さらに詳しくは、稲わらや麦わらなどの未利用の農産有機物質、草木の葉などの未利用の林産有機物質、その他種々の未利用の天然の生物資源を利用して、これらの資源を効果的にメタン発酵させることにより、メタンガスを生産するとともに、同時に発酵堆肥を生産することのできる、バイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法に関する。
従来から、農業においては、稲わらや麦わら、とうもろこし茎、野菜類の茎や葉などさまざまな未利用の農産有機物質が発生している。同様に、林業においても落葉や下草刈り作業等により未利用の林産有機物質が大量に発生している。これらのさまざまな未利用資源は、従来は主としてそのまま放置したり、焼却や埋設するなどの方法によって処理されてきた。さらに食品工業や畜産業などにおいても加工廃水や畜産廃水などさまざまな有機性の廃棄物が発生し、これらが主として設備からの排水中に含まれてくるので、これらの排水を化学処理や活性汚泥処理などによって処理して、有機性廃棄物を除去する必要があった。
一方、近年さまざまな環境問題がクローズアップされるに伴い、できるだけ環境に対して負荷の少ない産業活動が強く要請されるようになり、特に、地球の温暖化防止のために、炭酸ガス等の温室効果ガスの削減が強く求められるようになっている。このような状況においては、上述したような農林業等において発生する種々の廃棄物を単に焼却処理や自然分解により炭酸ガスにすることは好ましくなく、これらの廃棄物をバイオマス資源として有効に再利用し、活用することができれば、資源の有効利用とともに地球の温暖化防止の目的にも合致し、一挙両得である。畜産廃棄物などの有機性廃棄物も、同様にこれを単に焼却や廃棄処理するだけでなく、従来以上の有効活用と合理的・経済的な利用が望まれている(非特許文献1及び非特許文献2参照)。
このような主として自然界のさまざまなバイオマス資源に由来する炭酸ガスの発生量は、種々の産業活動によって発生する温室効果ガスの約2.8倍に達するとの推定値がある。従って、このようなバイオマス資源である種々の未利用有機物質を自然分解や焼却処理することなく有効利用することができれば、温室効果ガスの削減にもきわめて有意義である。
最近になって、上記のような農産廃棄物などの有効利用を目的として、メタン発酵を利用したいくつかの試みが提案されている。例えば、バイオマスよりメタンガスを取り出すためのガレージ式メタン発酵槽であって、生成した堆肥の搬出のためにいくつかの壁とともに気密に閉鎖可能な扉を備え、床面が搬出口と反対側に傾斜したものが提案されている(特許文献1参照)。また、この発酵槽の問題点を改良するためのものとして、床面を水平にするとともに奥に傾斜するメタン液回収溝を備えたバッチ式バイオガス発酵装置を提案している(特許文献2参照)。
しかし、ここで示されている発酵装置は、いずれもその周囲の壁面をコンクリート製或いは鋼鉄製とし、搬出口からショベルローダーなどで搬出入するもので、かなり大掛かりな反応設備である。
特表2004−511311号公報 特開2007−90340号公報
白石皓二、山内敏弘:「公害と対策」、Vol.26 No.12(1990) 吉田隆:「バイオマスからの気体燃料製造とそのエネルギー利用」、2007年10月、(株)エヌ・ティー・エヌ
本発明者は、かかるバイオマス資源を取り巻く現状にかんがみ、自然界で行われている炭素循環サイクル、即ち、「空気中の炭酸ガス → 植物による吸収(炭酸同化作用)→ 植物の枯化 → 微生物による分解 → 炭酸ガスの発生」に注目して、しかもより小規模なかつ簡便な製造装置を用いて簡単にどこにでも設置でき、バイオマス資源をメタン発酵させることにより有効利用する方法を検討した。
即ち、本発明は、未利用のバイオマス資源を利用して、固定層型固液接触方式の発酵反応設備を用いて、バイオマス資源からメタン発酵によりメタンガスを生産するとともに、発酵堆肥を生産する方法を提供することをその目的とするものである。
従来、メタン発酵を利用した廃棄物処理方式としては、家畜等の動物の***物や食品工場等から排出される高濃度有機排水を対象としたものがあるが、いずれも液体やスラリー状態のものをメタン発酵処理するものが主体であり、固形の有機物質を処理する方法は大規模な鋼鉄製やコンクリート製の発酵槽を用いる方式が提案されている程度であった。これに対して、本発明は、柔軟な気密性シート材料によって構成した気密性の発酵反応設備を用いた固定層型固液接触方式の発酵反応方式を採用することにより、簡単な反応設備であっても固形物の状態にある種々のバイオマス資源をそのまま直接メタン発酵させ、これからメタンガスと発酵堆肥を製造することを可能としたものである。
本発明者は、大量に未利用のまま放置又は焼却処分されているバイオマス資源を低コストで有効に再利用する方法について鋭意検討した結果、メタン発酵反応を利用したその処理プロセスを開発し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の内容をその要旨とする発明である。
(1)柔軟なガス不透過性シート材料によって内部空間が構成された気密性の発酵反応設備に、バイオマス原料の粗砕物を充填し、原料充填物の上部からスプレーノズルによってメタン発酵菌を含む水を均一に散布し、このメタン発酵菌を含む水を発酵反応設備の底部から抜き出し、外部循環系を通して繰り返し循環して原料充填物上部から散布させることによってメタン発酵反応を進行させ、発生するメタンガスを発酵反応設備の上部空間から抜き出しメタンガスとして回収するとともに、反応終了後の充填物を発酵堆肥として回収することを特徴とする、バイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
(2)発酵反応設備の底部に排水装置を設けたものである、前記(1)に記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
(3)柔軟なガス不透過性シート材料が、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、およびこれらの合成樹脂フィルムの1種又は2種以上とポリエステル布又はナイロン布との複合シートからなる群から選ばれる合成樹脂製シートのいずれかである、前記(1)又は(2)に記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
(4)スプレーノズルが、フルコーンタイプの広角全面放水型スプレーノズルであることを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
(5)発酵反応設備から抜き出したメタンガスをガス吸収装置を通して、混入しているアンモニア、硫化水素ガス及び/又は炭酸ガスの一部を除去することを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
(6)バイオマス原料の粗砕物が、バイオマス原料を粗砕した後、既存のメタン発酵菌を含む発酵液、バイオマス原料を予め野積みして得た発酵堆肥、又は本発明の方法によって得られた発酵液及び/又は発酵堆肥の一部を加えたものであることを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
(7)バイオマス原料の粗砕物が、更に、魚粉、骨粉、米糠、麦のふすま、又は発酵鶏糞から選ばれる発酵菌の栄養源を加えたものであることを特徴とする、前記(6)に記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
本発明の方法を利用することによって、従来土に混ぜたり、野積み放置や焼却処分されていた稲わら、麦わらなどの農業未利用有機物質、落葉や枯草等の林業未利用有機物質の他、食品工業からの廃棄物、家庭廃棄物などさまざまな有機廃棄物をバイオマス資源として利用して、メタン発酵プロセスを活用して、燃料としてのメタンガスを製造し、さらに発酵堆肥を得ることができる。しかも、メタン発酵の反応設備が極めて簡便な、低コストでできる構造をしており、このため上述のようなさまざまな農林産未利用廃棄物が発生する現場近くにローカルに容易に設置することができるという利点を有する。従って、バイオマス資源の有効活用という意味で、地球環境にも優しく、また製造設備も比較的簡単なものであるので、経済的にも有利である。
本発明のメタンガスと堆肥の製造方法のプロセス全体を示す説明図である。 本発明に使用する発酵反応設備の一例を示す一部断面斜視図である。 実施例において使用した実験装置を示す説明図である。
本発明は、以下のような特徴を有する特殊な固定層型固液接触反応設備を用いて、種々の固形のバイオマス資源を粗く砕いたものを原料として、これらのメタン発酵反応を行わせ、発生するメタンガスを回収するとともに、反応終了後残った充填物を発酵堆肥として回収するものである。
本発明に使用する発酵反応設備1は、図2に示すように、柔軟なガスバリア性のあるガス不透過性シート材料31を用いて発酵反応設備1内に空間部を構成したものである。発酵反応設備1の骨組み33には耐食性ステンレス鋼やプラスチック、木材などの材料を用いるが、側壁部分、床及び天井部分には、これらの骨組み材料33の上から柔軟なガスバリア性のあるガス不透過性シート材料31を用いて発酵反応設備1全体を覆い、これらのシート材料を気密になる状態でつなぎ合わせて全体を気密構造とし、発酵反応設備1の内部空間を形成したものである。ガスバリア性のあるガス不透過性シート材料31の接続は、例えば、熱溶着や高周波ウエルダーで溶着したり、ファスナーや樹脂接着テープを用いて行えばよい。又、配管ノズル取付け部のミシンによる縫い合わせ箇所などは、コーキング剤を塗布して漏洩防止を完璧に行う。
この発酵反応設備1全体を覆い気密状態を維持するための柔軟なガス不透過性シート材料31としては、ガスバリア性のある合成樹脂製シートや繊維強化合成樹脂製シートなどのような、柔軟性で、優れたガスバリア性と気密性とがあり、かつ十分な強度を有し、さらに長期間の風雨にさらされることから耐久性・耐候性および熱接着性の優れたものを使用する必要がある。
このようなガス不透過性のシート材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルムなどの合成樹脂シートや、PVCフィルム/PETフィルム/PVCフィルム/塩化ビニル樹脂含侵ポリエステル帆布を順次積層接着して成る複合シート、PVCフィルム/PETフィルム/PVCフィルム/ポリエステル帆布/PVCコーティングから成る複合シートなどが利用できる。更に、ポリ塩化ビニリデンフィルムを溶着してできた複合シートや、これらの樹脂とナイロン帆布を使用した複合シートも利用できる。
上記のようなガス不透過性の複合シート材料は、本発明のメタン発酵設備用に開発したもので、柔軟性、気密性、強度、耐久性、耐候性を備えており、高周波ウェルダーによる溶着・縫製が可能で、コーキング剤による接着も可能である。
更に具体的には、このようなガス不透過性シート材料31の好ましい一例として、PVCフィルム/接着剤/PETフィルム/接着剤/PVCフィルム/ポリエステル帆布/PVCコーティングから成る複合シートが実用可能である(試作・製造元:丸山工業株式会社)。又、ポリエステル基布にポリウレタン系樹脂をコーティングしたシートは高周波ウエルダーでは均一溶着ができないが、多層複合材シートの一部として使用すれば利用することが可能である。
柔軟な樹脂性のシート材料であっても、例えば、塩化ビニル(PVC)含侵ポリエステル帆布やポリエステル帆布にPVCコーティングしただけのシート単独では強度・耐久性はあっても、ガス不透過性が充分ではなく好ましくない。又、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどは、ガス不透過性(ガスバリヤ性)が充分ではないので、また、複合シートにする場合にフィルム相互の接着性が弱く、コーキング剤や接着剤との接着性も弱いので好ましくない。
この発酵反応設備1は、図1、図2に示すように、その底部に循環水を集めて排出するための排水装置3を有する。バイオマス原料の粗砕物である原料充填物2が充填された発酵反応設備1の中を流下してきた循環水は、その底部で排水装置3によって集められて、再び循環ポンプ11から水の循環ライン12を経由して発酵反応設備1内のバイオマス原料の粗砕物の充填物層2の上部に運ばれ、スプレーノズル4から噴霧して散布される。
ここに使用する排水装置3とは、発酵反応設備1の底部に設置してその上部に充填されているバイオマス原料2の中を流下してくる循環液を集めて、発酵反応設備1の外へ排出する濾過と排水を促進する装置全体を意味する。このような排水装置としては、例えば、プラスチック製の網状パイプ又は多数の小口径の開孔を有するパイプ又はホースを利用した排水改善・促進装置などが挙げられる。これらのパイプ又はホースを、発酵反応設備1の底部を傾斜させそこに敷設すればよい。このようなパイプ又はホースとしては、農地や牧草地などの地盤改良や排水性の改善のために地中に埋め込む排水パイプ(暗渠排水パイプ)として使用されているものをそのまま使用することができる。更には、排水装置3として、発酵反応設備の底部に排水溝を設けたものや、網状の板やシートにて筒状物を作りその中に通水性の良い固形物を入れたものなども使用することができる。
また、この排水装置3の直ぐ上部で原料充填物層の下部には、原料充填物による目詰まりを防止するための2〜5cm程度の大きさにした木材チップ、5〜10cm程度の大きさの竹枝粗砕物、籾殻などの目詰まり防止用の粗充填物を敷き詰めて液の流通性を良好に保つことが好ましい。更に、この粗充填物の上下にそれぞれ強度や耐久性がある合成繊維性の網を敷き詰めて、堆肥の取り出しや粗充填物の入れ替え作業が容易になるようにしておく。
発酵反応設備1は、その上部空間に多数のスプレーノズル4を取り付け、ここに水の循環ライン12を接続し、発酵反応設備1の底部からの循環水を導入して、原料充填物層2全体にできるだけ均一に散布する。この目的のためには、できるだけ噴射角度が大きく、噴射角の内部全体に循環水の液滴粒子を噴霧することができる形式のスプレーノズル4、即ち、フルコーンタイプの広角全面放水型スプレーノズルを使用する。このようなスプレーノズルとしては、具体的には、例えば、スプレーイングシステム社製のフルジェット広角スプレーノズルなどが好ましく使用することができる。
発酵反応設備1は、その天井部分を取り外すことが可能な構造となっており、ここから原料のバイオマス資源の搬入・充填や得られた堆肥の搬出を行なう。例えば、運転開始前に、このシート状天板32を取り外して、ここから原料として粗砕したバイオマス原料を投入して、発酵反応設備1の内部空間にこれを充填する。或いは、天井部分を覆っているガス不透過性シート材料31を接合しているファスナーを開いて、ガス不透過性シート材料を取り除き、ここから原料のバイオマス資源の搬入・充填や得られた堆肥の搬出を行なう。この原料のバイオマス資源の搬入・充填や得られた堆肥の搬出は、例えば走行式クレーンなどを用いて行なう。
粗砕したバイオマス原料の充填に際しては、原料充填物層中の空隙を十分に保持して、循環水の均一な流下が図れるように配慮しつつ充填する。運転中は、この天井部分のシート32を再び取り付けて、気密状態が保持できるように、シート状天板32の取付けのファスナーなどの取付け具を閉めて気密構造とする。ファスナーの場合は接続部からの洩れを完全に無くすために接着剤テープを上から貼り付けて漏洩を防止する。また、必要な場合はコーキング剤や接着剤などを使用して漏洩防止を完璧にする。
又、天板のシート32や側壁のシート31が風などにより動いたり緩むのを防止するために、農業用ビニールハウスのシート固定用に使用されている、本体がポリエチレン製で外装フィルムがポリプロピレン製のバンドやその他の合成樹脂又は合成繊維からなるロープ等のシート固定用バンド38でシートを上から押さえて固定することが好ましい。具体的には、例えば、商品名「強力マイカ線」(製造元:石本マオライン株式会社)や商品名「高強度ハウスバンド」(製造元:東京戸張株式会社)などとして入手できる。
発酵反応が終了した時点で、再び天井部分のシート32を取り外して、ここから発酵反応の結果得られた発酵堆肥を取り出す。
発酵反応設備1では、原料として種々のバイオマス原料を粗砕したものを上部から投入して原料充填物層2を形成する。ここに循環水を散布してメタン発酵を行わせるが、この際散布された循環水が、目詰まりしたりすることなく、容易に原料充填物層2の内部を均一に流下し、充填されたバイオマス原料の粗砕物全体の表面を濡らすことが重要である。そのため使用するバイオマス原料は5〜10cm程度の大きさに粗く砕いたものを用いることが好ましい。充填するバイオマス原料として厨芥、生草、野菜くず、食品廃棄物などのような軟弱物を使用する場合には、これらのものを全体の30%以下程度の量にして、これらとともに2〜10cm程度の大きさに粗砕された大豆の豆がら、葦、樹木の小枝など等を混合して充填することが望ましい。
また、バイオマス原料として藁を使用する場合には、経時的に含水率の増大と発酵分解によって軟弱化が進み、発酵槽の下部に沈下してくる。その結果、充填物層2の空隙率の低下により液が滞留して流動性が悪化したり、発生したガスの滞留ポケットが発生しやすくなる。そのために充填物層2で場所による偏流が生じやすくなったり、液の流下に伴う固液混合効果が低下したり、発生したガスの分離不良が生じたりして、発酵反応の速度が低下してくる。この傾向を防止するために、生葉や稲藁などの閉塞しやすい軟弱原料を使用する場合は、茎が硬い大豆の豆幹(柄)、葦、樹木の小枝などを2〜10cm程度にした粗砕物を10〜30%程度混ぜて充填することが好ましい。
本発明の方法においては、上述のように発酵反応設備1の底部と側壁部及び天井部を柔軟なガス不透過性シート材料31を用いて形成するという点に特徴を有する。従来のメタン発酵槽などの発酵反応設備では、腐食や内容物の圧力から発酵反応設備を守り、形状を保持するために、ステンレス鋼などの金属材料やコンクリート壁によって発酵反応槽を形成している。このため、処理設備の建設工事が大がかりなものとなり、設備費が大きくなることが避けられなかった。しかし、本発明の方法による柔軟なシート材料31を用いた発酵反応設備1は極めて簡単な構造ですむため、発酵設備の作製と設置が容易であると共に、大型設備の建設工事も容易で、簡便であるために設備費も大幅に削減できるというメリットを有する。
次に、本発明のバイオマス資源を利用するメタンガスの製造プロセスについて説明する。図1に、本発明のメタンガスの製造プロセスの全体の概略を示す。
まず、トラックなどで輸送されてきた原料となる種々のバイオマス資源は、粗砕機5によって粗く粉砕されて粗砕物ホッパー6に貯留される。原料の種類によっては、メタン発酵反応がより効率よく進行するために、別途メタン発酵によって調製された既存のメタン発酵液を、そのホルダー7から導入して、この粗砕物に添加し混合してもよい。又、既に本発明の方法によってメタン発酵設備で得られた発酵液や発酵堆肥の一部、及びバイオマス原料を前もって野積みで堆肥化したものを発酵補助菌体源として加えて混合することが好ましい。
更に、メタン発酵に係る各種菌体の増殖や発酵活動を増進させるための栄養源として魚粉、骨粉、米糠、麦のフスマ、及び発酵鶏糞粉末などを同時に主原料に均一混合することが好ましい。
原料として使用するバイオマス資源としては、稲わら、麦わら、とうもろこしの茎、穀物くず、野菜くずなどの他種々の農業生産に伴う未利用の有機生産物質、樹木の葉や小枝、落葉、枯れ草など、更には牛や豚などの糞尿などの畜産***物などが使用することができる。また、家庭の生ごみや、食品工場の廃棄食品なども使用することができる。
原料に添加するメタン発酵液は、別途バイオマス資源を用いてメタン発酵を行い、ここから得られたメタン発酵菌を含む発酵液を使用する。或いは、一旦本発明のプロセスを運転してバイオマス資源のメタン発酵反応を行えば、ここで得られた発酵液や発酵堆肥を戻して原料に添加して使用すればよい。
このようにして本発明の発酵反応設備1では、メタン発酵菌として種々の通性嫌気性細菌や絶対嫌気性細菌が増殖して作用する。このようなメタン発酵菌としては、例えば、通性嫌気性細菌として、クロストリジウム属(Clostridium)、バチルス属(Bacillus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)などの炭化水素分解菌、プレクリジウム スプマルム(Plecridium spumarum)、カズセウス セロセヒドロゲニカス(Caduceus cellosaehydrogenicus)のような繊維分解菌、クロストリジウム属(Clostridium)、プロテウス属(Proteus)、バクテリウム属(Bacterium)、バチルス属(Bacillus)などのタンパク質分解菌、クロストリジウム クルベリ(Clostridium kluyveri)などの脂肪分解菌が挙げられる。また、絶対嫌気性細菌としては、メタノコッカス属(Methanococcus)、メタノバクテリウム属(Methanobacterium)、メタノサルシナ属(Methanosarcina)などが挙げられる。
上述したように本発明の方法でメタン発酵反応を続けることによって、その環境に応じてこれらのうちのさまざまなメタン発酵菌が作用して、反応が進行する。
このようにして調製されたバイオマス資源とメタン発酵液の混合物は、その原料ホルダー8から例えばクレーン9などによって、発酵反応設備1の内部に投入される。発酵反応設備1の内部に所定量が充填されたら、シート状天板32を取り付けて密封固定する。
発酵反応設備1では、水道水などを循環水として循環水導入口19から導入し、発酵反応設備1の内部に取り付けたスプレーノズル4から、原料となる種々のバイオマス資源の粗砕物が充填された原料充填物層2の上部に均一に散布する。原料充填物層2の中を流下した循環水は、発酵反応設備1の底部に設けられた排水装置3に集められて、発酵液中継槽10に貯留され、再び循環ポンプ11、循環ライン12を通って、スプレーノズル4から原料充填物層2の上部に散布される。
この循環液の循環と散布を繰り返して続けることによって、発酵反応設備1の内部でバイオマス原料の発酵反応が徐々に進行する。反応の初期には、発酵反応設備1の内部に酸素が存在するため好気性発酵と通性嫌気性発酵が起こり、分解反応と炭酸ガスが発生する。そのまま循環水の循環と発酵反応を継続することによって、発酵反応設備1の内部の酸素が消費し尽くされて、自然に絶対嫌気性発酵に切り替わる。この嫌気発酵によって、メタンガスと炭酸ガスが発生し、発酵反応設備1の上部にたまる。
発酵が進むに従い、まだ酸素が存在する状態では好気性発酵が進み温度が上昇するが、酸素が消費され嫌気性発酵へ進むにつれて発熱はほとんどなくなり、外気温度に支配される程のわずかな発熱となる。
嫌気性メタン発酵は、22℃以上の温度でメタンガスを発生させ、35〜40℃と50〜55℃の領域に発酵速度の極大値が存在する。従って、この温度範囲になるように外部循環ライン12に熱交換器を設置して温度制御すれば、メタンガスの発生速度をコントロールすることが可能である。
この発酵反応の進行している間、発酵反応設備1は気密状態に保たれ、わずかに加圧された状態になるように調節しつつ、発生したメタンガス、炭酸ガス、アンモニア等を発酵反応設備1の上部空間のガス出口37から抜き出して、ガス吸収装置13に導入する。
また、絶対嫌気性菌であるメタン発酵菌はpHが6.5以上、好ましくはpH7.0〜7.5の状態で高い活性を示し、pHが6.5以下になるとその活性が急激に低下する。従って、発酵反応中の発酵反応設備1内のpHを7.0〜7.5の範囲にコントロールすることが好ましい。具体的には、pHの低下に応じて循環液の中に苛性ソーダやアンモニア溶液などのアルカリ剤を注入して、この循環液を充填層の上部からスプレーしてpHを調節すればよい。
燃料メタンガス中にアンモニアや硫化水素が存在すると燃焼した時にNoxやSoxが発生して大気汚染や燃焼装置を腐食させる原因となるので、除去する必要がある。ガス吸収装置13では、発酵反応設備1で発生したガスに吸収液を接触させて、アンモニアガスを吸収液に吸収させ、メタンガスと分離する。ガス吸収装置13としては、ガスと液体が効率よく接触して吸収することのできる気液接触装置であれば特に制限されない。このような気液接触装置の中では、特にジェットスクラバー14とデミスター15からなるガス吸収装置(ジェットスクラバー式ガス吸収装置)が、小型で効率よくアンモニアと硫化水素を吸収するとともに、ガスを吸引して増圧させる働きがあるので好ましい。
吸収液としては20℃以下程度の低温度の水を使用してアンモニアを吸収させ、これに硫化水素を硫化アンモニウムや硫化水素アンモニウムの形で吸収除去させる。発生するガスはメタンと炭酸ガスがほぼ同量でこれらが大部分であり、アンモニアと硫化水素は原料組成や温度などの発酵条件によっても影響されるが微量である。アンモニアガスは低温度の水には吸収されやすく溶解度も大きくアルカリ性を示すので、弱酸性の性質をもつ硫化水素や炭酸ガスとは低温度で吸収反応が進む。酸性がより強い硫化水素は炭酸ガスよりも吸収されやすく選択的に吸収される。場合によってはアルカリ剤として水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液などを使用して硫化水素ガスを吸収除去した後に、別のガス吸収装置にてリン酸水溶液でアンモニアガスを吸収させて除去分離をより確実にすることも可能である。
発酵反応は、バイオマス資源の種類と組成、温度、その他の条件によって異なるが、一般的に半年から2年の間、循環液の循環・散布を行い発酵反応を継続させることによって完結する。
発生したメタンガスはメタンガスホルダー20に貯留される。このようにして未利用のバイオマス資源から回収されたメタンガスは燃料として使用される。また、アンモニアと硫化水素及び炭酸ガスの一部を吸収した吸収液は貯槽21に貯留され、これは液体肥料などへの用途が期待できる。
発酵反応の終了後、発酵反応設備1のシート状天板32を取り外して、内部に充填されていた反応物を取り出す。これはバイオマス資源のメタン発酵が進行したものであって、そのまま発酵堆肥として、有機肥料として使用することができる。
次に、本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
本発明の方法を実施するための実験装置として、図3に示すような発酵反応装置41を作製した。主な機器としては、発酵反応槽42、中継槽47、ガスホルダー50、液循環ライン48、液循環ポンプ49からなっている。発酵反応槽42は、直径60cm×高さ230cmの円筒形にステンレス鋼と木材で骨組みを作り、底部と側壁部及び天井部の全体をポリエステル帆布に塩ビ樹脂を含侵加工した柔軟なシート又は軟質塩ビシートとの複合シート46で覆い、全体を密閉構造とした。この底部には排水装置45としてポリエチレン製の2インチ暗渠排水パイプ45を設け、天井部にフルコーンタイプの1/8インチスプレーノズル44を1個取り付けた。発酵反応槽42の内容積は0.65mであった。発酵反応槽42の底部の液抜き出し口から配管を中継槽47につなぎ、中継槽47の液出口から循環ポンプ49によって、液循環ライン48を通って発酵反応槽42の天井部に取り付けたスプレーノズル44に接続し、発酵反応槽42から抜き出した液が循環して、発酵反応槽42上部のスプレーノズル44から噴霧できるようにした。発酵反応槽42天井部のガス抜き出し口からの配管をガスホルダー50に接続し、発生したガスをガスホルダー50に貯留して計量できるようにした。
この実験装置41を用いて、次のように本発明の実証実験を行った。
原料のバイオマス資源としては、乾燥稲藁11kg、乾燥麦藁11kg、乾燥した雑草(青草)2.2kgの計24.2kgを用いた。これらを5〜10cm程度の大きさに切断したものの混合物を使用した。これに発酵補助菌体兼栄養源として、野積み藁堆肥(湿)2.2kg、発酵鶏糞0.9kg、発酵牛糞0.6kg、計3.7kgを加え、更に菌体栄養源として、米糠2.2kg、魚粉0.9kg、骨粉入り発酵油粕0.9kg、計4.0kgを加えた。メタン発酵菌体源としては、養豚***物の中温メタン発酵の硝化汚泥(低濃度固形物スラリー液)40kgを加えた。これらを均一に混合して実験装置の発酵反応槽42の上部から投入した。
あらかじめ発酵反応槽42の底部には1mm目のスクリーンを敷き、その上に籾殻を約10cmの厚さに敷き詰めておいた。籾殻の重量は1.94kgで、その容量は28.3リットルであった。上記のバイオマス原料の充填高さは160cmで、その容量は452リットルであった。全ての原料を充填した後、1日経過した後に蓋部を取り付けて密封状態とした。
まず、循環ポンプ49を使用して、原料充填物層43の上部から、液散布用パイプを通して水をフルコーンスプレイノズル44を通して散布した。原料充填物層43を流下した循環水は、発酵反応槽42の底部排水装置45で集められて、中継槽47に集められた。中継槽47に集められた循環水は、循環ポンプ49と液循環ライン48を通して、再び液散布用ノズル44から充填物層43の表面に散布した。循環水の循環量はおよそ1.6L/分、充填物層表面当り5.7L/m・分であった。実験は6月中旬から9月下旬までの外気温度の高い夏場を中心に行なった。運転期間は通算して105日間で、発酵反応槽内の温度は、外気温度と同じで22℃〜32℃であった。温度コントロールは行わず、自然の外気温度による成り行きで行なった。そのため発酵温度は1日のうちでも夜と昼で変動したり、日々の天候によってかなり変動したが、データ測定は9時前後若しくは17時前後の比較的その日の平均温度に近い時間帯に、1日に1回行なった。
このようにして原料充填物層43への循環水の散布を繰り返して行い、全体で約4ヶ月間運転を行った。そのうちの105日間は平均気温が22℃以上で、メタンガスが発生する温度であった。
実験開始当初は、発酵反応槽42を形成する被覆材としてポリエステル帆布に塩ビ樹脂を含侵加工した柔軟なシートを用いて行なったが、発酵反応槽42からガスや液の漏出があり、メタン発酵反応が十分に進行せず、満足なメタンガスの発生は見られなかった。
次に、被覆材として塩化ビニル(PVC)フィルム/ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/塩化ビニル(PVC)フィルム/ポリエステル帆布/塩化ビニル(PVC)コーティングからなる複合シートを用いて運転を行なった。この場合はガスや液の漏出は起こらず、メタン発酵反応が順調に進行し、メタンガスの発生が見られた。
原料仕込み直後から好気性発酵が進行し、発酵反応槽42内部での発熱による温度上昇が見られ、仕込から1日経過後には槽内温度は40℃になった。1日経過後に発酵反応槽42の上部の蓋を取り付けて反応槽内を気密状態にしたところ、温度上昇により反応槽内の圧力の増大が認められたが、次第に発熱が減少した。中継槽47から水を入れて、循環ポンプ49を作動させて運転を開始した。乾燥原料が吸水し中継槽の水位が低下するので、循環ポンプがキャビテーションを生じないように系内に水を補給して水位を一定に保つようにした。
運転開始直後は系内に酸素が存在しているので、各種の好気発酵菌から通性嫌気性発酵菌への活動が進み、セルロースから酸への分解反応が進行した。このため運転開始初期に、酸が蓄積することに伴うと考えられるpHの低下が見られた。反応が進行して系内の酸素が消費されるとともに絶対嫌気性発酵であるメタン発酵に自然に切り替わり、メタン発酵が進行した。pHが6.5以下となると発酵反応速度が低下するので、pH6.5以上になるようにpHを調整する必要がある。発酵反応槽42内にアルカリ剤を添加する方法が一般的であるが、ここでは系内に蓄積された酸性循環水を系外に抜き出し、メタン発酵菌を含む新しい水を補充する方法を採用した。
メタン発酵の進行に伴いガスが発生し、発酵反応槽42の上部空間に集まってくるので、ガスホルダー50に導き発生ガス量を蓄積し、ほぼ1日に1回の間隔でメタンガスの量を計量した。発酵反応槽42を含む系内は常に6mm水柱以下の微弱な加圧状態でバランスして保たれていた。又、系内から抜出したガスを外部分析機関にてガスクロ分析で、メタンガスの濃度測定を行うとともに燃焼実験によりメタンガスの存在を確認した。
このようにして6月中旬から9月下旬までの105日間運転し、9月下旬に気温の低下によりメタンガスの発生が低下してきたので運転を停止した。この間に生産された発酵メタンガスの容量は4.7mで、主成分のメタンガスは55.7vol%であった。このことは純メタンガストしては2.62m生産されたことになる。セルロースのメタン発酵による分解反応式から計算すれば、6.3kgのセルロースが分解されたこととなり、原料のバイオマス資源のセルロース量24.2kgに対して26%が分解されたことになる。実験は気温低下に伴うメタンガス発生量の低下のために運転を停止したが、発酵温度を35℃前後にコントロールしたり、装置からのガスの漏洩防止を完全にしたり、菌体を含む原料組成や充填層の固液接触状態を改良することにより、分解率を更に向上させることは可能である。
この発酵反応の残渣である充填物層43は、高さが63cmとなり、容積は約180リットルで、当初仕込み容積の40%となっていた。この充填物層43は、底部から炭酸ガスを吹き込むことにより、系内に残るメタンガスを置換して追い出した後、空気を吹き込んで、好気発酵に転換させることにより堆肥の脱水率を更に上げて農業用堆肥として使用することができた。
本発明は、これまで未利用であったバイオマス資源である農産有機物質、林産有機物質、厨芥、食品工場有機固形廃棄物、畜産固形廃棄物等の大規模メタン発酵によるメタンガスの生産と有機肥料としての堆肥を生産する製造技術である。
本発明の方法によって、従来未利用で放置され、或いは廃棄や焼却されていたさまざまなバイオマス資源を有効に利用することができるとともに、生産されるメタンガスが燃料として、発酵堆肥が肥料として有効に利用することができる。このため、従来の放置や廃棄、焼却することにより発生していた多くの炭酸ガスの発生量を低減することができ、地球温暖化の防止にも役立つ、有用な技術である。
1.発酵反応設備、 2.原料充填物、 3.排水装置、 4.スプレーノズル、 5.粗砕機、 6.粗砕物ホッパー、7.メタン発酵液ホルダー、 8.原料ホルダー、 9.クレーン、 10.発酵液中継槽、 11.循環ポンプ、 12.循環ライン、 13.ガス吸収装置、 14.ジェットスクラバー、 15.デミスター、 16.熱交換器、 17.循環ポンプ、 18.吸収液循環ライン、 19.水注入口、 20.メタンガスホルダー、 21.吸収液貯槽、

31.ガス不透過性シート材料、 32.天井部シート、 33.骨組み材料、 34.粗充填物、 35.循環水入り口、 36.循環水抜出口、 37.ガス出口、 38.シート固定用バンド、 39.基礎、

41.発酵反応装置、 42.発酵反応槽、 43.原料充填物、 44.スプレーノズル、 45.排水装置、 46.気密性シート材料、 47.中継槽、 48.液循環ライン、 49.循環ポンプ、 50.ガスホルダー、

Claims (6)

  1. 柔軟なガス不透過性シート材料によって内部空間が構成された気密性の発酵反応設備に、一年生植物由来の固形バイオマス原料の粗砕物を充填し、原料充填物の上部からスプレーノズルによってメタン発酵菌を含む水を均一に散布し、このメタン発酵菌を含む水を発酵反応設備の底部の排水装置によって発酵反応設備の底部から抜き出し、外部循環系を通して繰り返し循環して原料充填物上部から散布させることによってメタン発酵反応を進行させ、発生するメタンガスを発酵反応設備の上部空間から抜き出しメタンガスとして回収するとともに、反応終了後の充填物を発酵堆肥として回収することを特徴とする、バイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
  2. 柔軟なガス不透過性シート材料が、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、およびこれらの合成樹脂フィルムの1種又は2種以上とポリエステル布又はナイロン布との複合シートからなる群から選ばれる合成樹脂製シートのいずれかである、請求項1に記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
  3. スプレーノズルが、フルコーンタイプの広角全面放水型スプレーノズルであることを特徴とする、請求項1または2に記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
  4. 発酵反応設備から抜き出したメタンガスをガス吸収装置を通して、混入しているアンモニア、硫化水素ガス及び/又は炭酸ガスの一部を除去することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
  5. バイオマス原料の粗砕物が、バイオマス原料を粗砕した後、既存のメタン発酵菌を含む発酵液、バイオマス原料を予め野積みして得た発酵堆肥、又は本発明の方法によって得られた発酵液及び/又は発酵堆肥の一部を加えたものであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。
  6. バイオマス原料の粗砕物が、更に、魚粉、骨粉、米糠、麦のふすま、又は発酵鶏糞から選ばれる発酵菌の栄養源を加えたものであることを特徴とする、請求項5に記載のバイオマス資源を利用するメタンガスと堆肥の製造方法。

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