JP4612207B2 - 炭素繊維織物およびこれを用いたプリプレグ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維強化複合材料の強化材として使用される炭素繊維織物に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維強化複合材料の強化材として、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等が使用されている。中でも、炭素繊維は、比強度、比弾性率、耐熱性、耐薬品性等に優れ、航空機用途、ゴルフシャフト、釣り竿等のスポーツ用途、一般産業用途の繊維強化複合材料に使用されている。
また、炭素繊維は強化材として用いられる場合、炭素繊維を縦糸および横糸に用いた織物の形態で利用されることが多い。炭素繊維織物を用いた繊維強化複合材料は、例えば、以下のようにして製造される。
【0003】
まず、ポリアクリロニトリル系重合体の単繊維を数千から数万本束ねた前駆体繊維束を、耐炎化工程(焼成工程)にて空気などの酸化性気体中、200〜300℃の温度で焼成して耐炎繊維束を得る。次いで、炭素化工程(焼成工程)にて、不活性雰囲気中、300〜2000℃の温度で耐炎繊維束を炭素化して炭素繊維束を得る。そして、この炭素繊維束を縦糸および横糸として製織し、織物とした後、これに合成樹脂を含浸させ、所定形状に成形することにより繊維強化複合材料を得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
炭素繊維束の製造に用いられる前駆体繊維束には、焼成工程において繊維束がばらけて、繊維束を構成する単繊維が隣接する繊維束に絡まったり、ローラに巻き付いたりしないように、高い集束性が要求される。
しかし、集束性の高い前駆体繊維束から得られる炭素繊維束は、同様に集束性が高い。そのため、このような炭素繊維束を製織して得られた炭素繊維織物においては、炭素繊維束の集束性が高いため単繊維が均一にばらけにくく、縦糸および横糸である炭素繊維束の幅にむらが生じやすかった。炭素繊維束の幅にむらがあると、織物の外観が劣るとともに開口率が大きくなり、樹脂が均一に含浸しにくくボイドを発生しやすいという問題、すなわち樹脂含浸性に劣るという問題があった。
【0005】
よって、本発明の目的は、縦糸および横糸である炭素繊維束の幅にむらがなく、低開口率で、樹脂含浸性に優れ、織物の外観品位も良好な炭素繊維織物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の炭素繊維織物は、複数の炭素繊維の単繊維が集束した炭素繊維束からなる縦糸と横糸が製織された炭素繊維織物であり、縦糸および横糸それぞれの任意のn箇所で糸幅を測定し、得られた糸幅の測定値a、…、aと、これら測定値の平均値xとから下記式(1)を用いて算出した縦糸および横糸の糸幅変動率CV(%)が、いずれも10%以下であり、単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.05〜1.6であり、炭素繊維束は、単繊維の表面に単繊維の長手方向に延びる複数の皺を有し、単繊維の円周長さ2μmの範囲で最高部と最低部の高低差が80nm以上であることを特徴とする。
【数2】
Figure 0004612207
素繊維束のSi量は500ppm以下が好ましい。
また、JIS−L1013に準拠して測定される炭素繊維束の引掛強さにおいて、断面積1mmとして換算した強さが450N以上であることが好ましい。
また、炭素繊維束のフィラメント数は1000〜12000本であることが好ましい。
また、開口率は10%以下であることが好ましい。
本発明のプリプレグは、上記の炭素繊維織物に対して、30〜60重量%の樹脂が含浸されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の炭素繊維織物は、炭素繊維束からなる縦糸と横糸が製織された、平織、朱子織、綾織等の織物である。炭素繊維束は複数の炭素繊維の単繊維が集束したものであり、通常、アクリロニトリル系重合体、ピッチ等の単繊維を束ねた前駆体繊維束(トウ)を焼成して製造される。
そして、本発明の炭素繊維織物においては、下記式(1)で表される縦糸および横糸の糸幅変動率CV(%)が、いずれも10%以下である。
【0008】
【数3】
Figure 0004612207
【0009】
糸幅変動率CV(%)は、縦糸および横糸それぞれについて、任意のn箇所で糸幅を測定し、得られた糸幅の測定値a1、…、anと、これら測定値の平均値xとから上記式(1)を用いて算出した値であり、縦糸および横糸それぞれについて求められる。
ここで、糸幅を測定する場合、通常、織物の中央部の縦糸および横糸を100本ずつ選択し、1本の糸について1箇所の糸幅を測定する。つまり、縦糸および横糸それぞれについて100箇所の糸幅を測定し、得られたa1〜a100の100個のデータから平均値xを求め、縦糸および横糸それぞれの糸幅変動率CV(%)を算出する。
【0010】
このように縦糸および横糸についてそれぞれ算出された糸幅変動率CV(%)の少なくとも一方が10%を超えると、開口率が増加し、炭素繊維織物の外観が劣るとともに、プリプレグ製造時の樹脂含浸性が低下し、繊維強化複合材料の強化材として適さない。糸幅変動率CV(%)のより好ましい範囲は7%以下である。
【0011】
炭素繊維織物の縦糸および横糸である炭素繊維束は、複数の炭素繊維の単繊維が集束したものである。この単繊維の繊維断面の形状には特に制限はないが、繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)が、1.05〜1.6であることが好ましく、さらに好ましくは、1.10〜1.4であり、より好ましくは1.15〜1.30である。長径/短径比がこの範囲内にあれば、炭素繊維束の集束性が優れ、炭素繊維織物の外観も優れるとともに樹脂含浸性がさらに向上し、かつ強度も高くなる。長径/短径比が1.05未満では、単繊維間の空隙が減少し、炭素繊維織物の樹脂含浸性が低下する場合がある。長径/短径比が1.6を超えると、繊維束の集束性が低下し、炭素繊維束を製造する際の焼成工程通過性が悪化し、炭素繊維束が安定に得られない場合がある、また、繊維断面が不均一化するため、炭素繊維束のストランド強度および引掛強さが低下し、炭素繊維織物の強度が不十分となる場合がある。さらに、毛羽などが多発し、その結果炭素繊維織物の外観も劣る場合がある。
【0012】
ここで、単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)は、以下のようにして決定される。
内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に測定用の炭素繊維束を通した後、これをナイフで輪切りにして試料を準備する。ついで、該試料を繊維断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、さらにAuを約10nmの厚さにスパッタリングしてから、PHILIPS社製XL20走査型電子顕微鏡により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で繊維断面を観察し、単繊維の繊維断面の長径および短径を測定し、長径÷短径で長径/短径比率が決定される。
【0013】
また、使用する炭素繊維束のSi量は、500ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは300ppm以下であり、より好ましくは200ppm以下である。Si量がこの範囲内にあれば、炭素繊維織物の樹脂含浸性がさらに優れ、かつ外観品位が高い炭素繊維織物となる。Si量が500ppmより多くなりすぎると、得られる炭素繊維束がばらけにくくなり、炭素繊維織物のドレープ性等の織物品位が悪くなる傾向にある。また、炭素繊維束製造工程における焼成時にシリカが多く飛散して焼成安定性が悪くなり、炭素繊維束を安定して得ることができなくなるおそれがある。
【0014】
このSi量は、前駆体繊維束を製造する際に使用されるシリコン系油剤に由来するものである。ここで、Si量は、ICP発光分析装置によって測定することができる。測定は以下のように実施される。
試料を風袋既知の白金るつぼに入れ600〜700℃マッフル炉で灰化し、その重量を測定して灰分を求める。次に炭酸ナトリウムを規定量加え、バーナーで溶融し、DI水で溶解しながら50mlポリメスフラスコに定容する。本試料をICP発光分析法によりSiの定量を行う。
【0015】
また、本発明の炭素繊維織物に使用する炭素繊維束を構成している単繊維は、その表面に単繊維の長手方向に延びる複数の皺を有していることが好ましい。このような皺の存在により、炭素繊維束の集束性が優れるとともに炭素繊維織物の樹脂含浸性がさらに向上する。
このような皺の深さは、単繊維の円周長さ2μmの範囲で最高部と最低部の高低差によって規定される。高低差は、走査型原子間力顕微鏡(AFM)や走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて単繊維の表面を走査して表面形状を測定することができる。具体的には以下の通りである。
【0016】
炭素繊維の単繊維を数本試料台上にのせ、両端を固定し、さらに周囲にドータイトを塗り測定サンプルとする。原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ製、SPI3700/SPA−300)によりシリコンナイトライド製のカンチレバーを使用してAFMモードにて測定を行う。単繊維の2〜7μmの範囲を走査して得られた測定画像を二次元フーリエ変換にて低周波成分をカットしたのち逆変換を行い繊維の曲率を除去する。このようにして得られた平面画像の断面より、皺の深さを定量する。
【0017】
本発明の炭素繊維束における単繊維の表面の皺の深さは、好ましくは80nm以上であり、より好ましくは100nm以上であり、さらに好ましくは150nm以上である。皺の深さが80nm未満では、単繊維間の空隙が減少し、樹脂含浸性が悪くなる。また、単繊維が均一にばらけにくくなり、織布の外観品位が悪化する。一方、皺の深さが深くなりすぎると繊維束の集束性が低下し、炭素繊維束を製造する際の焼成工程通過性が悪化し、炭素繊維束を安定して得ることができなくなる。また、炭素繊維束の表面欠陥が増え、ストランド強度が低下する。さらに、単繊維間の摩擦が増加して、引掛強さが低下する傾向にある。
【0018】
本発明の炭素繊維束の引掛強さは、断面積1mm2 として換算した強さが450N以上であることが望ましい。より好ましくは500N以上であり、さらに好ましくは550N以上である。引掛強さが450N未満では、糸切れしやすくなるため、炭素繊維束を製造する際の焼成工程通過性が悪化し、炭素繊維束を安定して得ることができなくなる。
【0019】
ここで、引掛強さは、JIS−L 1013に記載された試験法に準拠して測定される。以下の測定方法について詳しく説明する。
図1のように、U字状の炭素繊維束1に、炭素繊維束2を引っ掛け、これをU字状にし、これら炭素繊維束1,2の交差部分から100mmの位置に、長さ25mmの掴み部3,4を取り付けて、試験体とする。試験体の作製の際、0.1×10-3N/デニールの荷重を掛けて炭素繊維束の引き揃えを行う。引張時のクロスヘッド速度は100mm/minで実施する。
【0020】
本発明の炭素繊維織物に使用する炭素繊維束は、フィラメント数が1000〜12000本であることが好ましい。フィラメント数が1000本未満では、織布にする際に必要な炭素繊維本数が多くになりコスト高となる。また,フィラメント数12000本以上では開口率10%以下の炭素繊維織物を得るには開繊処理が必須となり、しかも取扱い性が極めて悪い織物となる場合がある。好ましくは、1000〜9000本である。
【0021】
また、本発明で使用される炭素繊維束のストランド強度は、好ましくは380kgf/mm2 以上であり、より好ましくは400kgf/mm2 以上であり、さらに好ましくは420kgf/mm2 以上である。ストランド強度が380kgf/mm2 未満では、糸切れしやすくなるため、炭素繊維束を製造する際の焼成工程通過性が悪化し、炭素繊維束を安定して得られない場合がある。また、この炭素繊維束からなる炭素繊維織物を用いた繊維強化複合材料のコンポジット特性、例えば、繊維の直角方向の曲げ強度(FS0゜)などが低下する場合がある。
ここで、ストランド強度強度は、JIS R 7601に記載された試験法に準拠して測定される。
【0022】
炭素繊維織物の開口率は10%以下であることが好ましい。開口率が10%を超えると織物外観が劣るとともに、樹脂含浸性が低下したり、強化材として使用した場合に炭素繊維の有する強度等の機械的特性が十分に発現しない場合がある。
ここでいう開口率とは、織物において、100mm×100mmの単位面積における、縦糸または横糸のいずれもが存在しない開口部の合計面積の比率である。開口部の面積測定は、(株)キーエンス製、CV−100等の市販の画像処理センサーを使用し、下記の計算式により求めることができる。
開口率(%)=開口部の面積の和(mm2)×100/10000(mm2
また、本発明の炭素繊維織物は、織物密度(1インチあたりの炭素繊維束の本数)が5〜40本/吋であることが好ましい。5本/吋未満では、織物密度が粗すぎて開口率が増大し、繊維強化複合材料としての機能が薄れ、40本/吋を超えると高密度になりすぎて製織性不良となり、樹脂含浸性が悪く,強度発現性が低下する場合がある。
【0023】
次に、本発明の炭素繊維織物の製造方法について説明する。
本発明の炭素繊維束は、例えば前駆体繊維束としてアクリロニトリル系重合体の繊維束を用いた場合、以下のようにして製造することができる。
まず、湿式紡糸などによってアクリロニトリル系重合体の単繊維からなる前駆体繊維束を紡糸する。
ついで、複数の前駆体繊維束を平行に揃えた状態で耐炎化炉に導入し、200〜300℃に加熱された空気などの酸化性気体を前駆体繊維束に吹き付けることによって、前駆体繊維束を耐炎化して耐炎繊維束を得る。
ついで、この耐炎繊維束を炭素化炉に導入し、不活性雰囲気中、1200〜2000℃の温度で炭素化して炭素繊維束を得る。さらに、2000〜2800℃の温度で黒鉛化して高弾性炭素繊維束を得る。
【0024】
得られた炭素繊維束に、マトリックス樹脂との親和性を向上させる目的で表面酸化処理を施す。表面酸化処理法は、特に制限はなく気相酸化処理、溶剤酸化処理、あるいは電解酸化処理などにより実施される。
続いて、繊維の保護およびマトリックス樹脂との親和性向上の目的でサイジング処理を施す。サイジング処理は、ローラー浸漬法、ローラー接触法など一般に工業的に用いられている方法などによって行われる。
サイジング剤を付着した炭素繊維は、続いて乾燥処理され、サイジング剤を付着させる際に同時に付着したサイジング剤溶液に含まれていた水、あるいは有機溶媒などの除去が行われる。ここでの乾燥処理は、熱風、熱板、ローラー、各種赤外線ヒーターなどを熱媒として利用した方法などによって行われる。
【0025】
そして得られた炭素繊維束を縦糸および横糸として、レピア織機、シャトル織機、グリッパ織機、ジェット織機等の織機を用いて、平織、朱子織、綾織等の炭素繊維織物を製織する。
【0026】
このようにして製造された炭素繊維織物は、樹脂が溶解している樹脂溶液に浸漬されるラッカー法(溶剤法)や、樹脂フィルムを熱圧着させるホットメルト法等の公知の方法でプリプレグとされ、繊維強化複合材料の強化材として使用される。この場合、必要に応じて、炭素繊維織物の開繊処理を行ってもよい。
プリプレグに使用される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の他、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
プリプレグ中においては炭素繊維織物の重量を100重量%とした場合、この炭素繊維織物に対して30〜60重量%の樹脂が含浸されていることが好ましい。含浸量が30重量%未満では、ボイドが発生しやすく、強度低下を招く場合があり、60重量%を超えると樹脂フローが起こり所定の厚みが得られない場合がある。
【0027】
このような炭素繊維織物は、複数の炭素繊維の単繊維が集束した炭素繊維束からなる縦糸と横糸が製織された炭素繊維織物であり、縦糸および横糸それぞれの任意のn箇所で糸幅を測定し、得られた糸幅の測定値a1、…、anと、これら測定値の平均値xとから上記式(1)を用いて算出した縦糸および横糸の糸幅変動率(%)が、いずれも10%以下であるので、縦糸および横糸の糸幅にむらがなく均一で、低開口率で、樹脂含浸性に優れ、織物の外観品位も良好である。このような炭素繊維織物はプリプレグとして、繊維強化複合材料とするのに最適である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
炭素繊維前駆体繊維束は、アクリルニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解し紡糸原液を調製し、湿式紡糸にて作製した。紡糸原液は、濃度50〜70重量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第一凝固浴中に吐出させて凝固糸とした。次いで該凝固糸を濃度50〜70重量%、温度30〜50℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて所定量の延伸を施し、さらに4倍以上の湿熱延伸を行い、炭素繊維前駆体繊維束を得た。炭素繊維前駆体繊維束の断面の長径と短径との比、皺の深さは、凝固浴濃度および温度、さらに延伸条件を変更することにより調整した。
【0029】
[実施例1]
フィラメント数3000本(繊度1980dtex)の炭素繊維を縦糸および横糸として使用して、レピア織機で平織し、織物目付けが200g/mの炭素繊維織物を製造した。
なお、使用した炭素繊維束は、単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.20で、皺の深さが210nmで、Si量は160ppm、ストランド強度は4680MPa、引掛強さは760Nであった。
得られた織物の縦糸および横糸の糸幅変動率(%)、開口率(%)を測定し、織物外観品位を下記の方法で評価した結果を表1に示す。
また、得られた炭素繊維織物にホットメルト法でエポキシ樹脂を含浸させたところ、樹脂含浸性が優れていた。
【0030】
(1)糸幅変動率CV(%)
得られた織物の中央部の縦糸および横糸を100本ずつ選択し、1本の糸について1箇所の糸幅を測定した。そして得られた測定値a1〜a100から平均値xを求め、上記式(1)を使用して糸幅変動率CV(%)を算出した。
(2)開口率(%)
100mm×100mmの単位面積における、縦糸または横糸のいずれもが存在しない開口部の合計面積の比率である。開口部の面積測定は、(株)キーエンス製、CV−100等の市販の画像処理センサーを使用し、下記の計算式により求めた。
開口率(%)=開口部の面積の和(mm2)×100/10000(mm2
(3)織物外観品位
目視で評価した。
【0031】
[比較例1]
フィラメント数3000本(繊度1980dtex)の炭素繊維を縦糸および横糸として使用して、レピア織機で平織し、織物目付けが200g/mの炭素繊維織物を製造した。
なお、使用した炭素繊維束は、単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.0で、皺の深さが50nmで、Si量は250ppm、ストランド強度は4800MPa、引掛強さは950Nであった。
実施例1と同様にして、得られた織物の糸幅変動率(%)、開口率(%)を測定し、織物外観品位を評価した結果を表1に示す。
また、得られた炭素繊維織物にホットメルト法でエポキシ樹脂を含浸させたところ、ピンホールが多発し樹脂含浸性が劣っていた
【0032】
【表1】
Figure 0004612207
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の炭素繊維織物は、縦糸および横糸の糸幅にむらがなく均一で、低開口率で、樹脂含浸性に優れ、織物の外観品位も良好である。このような炭素繊維織物は、プリプレグとして繊維強化複合材料を製造するのに最適であり、炭素繊維の有する強度等の機械的特性が発現した繊維強化複合材料を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】引掛強さの測定方法を説明する説明図である。

Claims (6)

  1. 複数の炭素繊維の単繊維が集束した炭素繊維束からなる縦糸と横糸が製織された炭素繊維織物であり、
    縦糸および横糸それぞれの任意のn箇所で糸幅を測定し、得られた糸幅の測定値a1、…、anと、これら測定値の平均値xとから下記式(1)を用いて算出した縦糸および横糸の糸幅変動率CV(%)が、いずれも10%以下であり、
    単繊維の繊維断面の長径と短径との比(長径/短径)が1.05〜1.6であり、
    炭素繊維束は、単繊維の表面に単繊維の長手方向に延びる複数の皺を有し、単繊維の円周長さ2μmの範囲で最高部と最低部の高低差が80nm以上であることを特徴とする炭素繊維織物。
    Figure 0004612207
  2. ICP発光分析法によって測定される炭素繊維束のSi量が500ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維織物。
  3. JIS L 1013に準拠して測定される炭素繊維束の引掛強さにおいて、断面積1mmとして換算した強さが450N以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素繊維織物。
  4. 炭素繊維束のフィラメント数が1000〜12000本であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の炭素繊維織物。
  5. 開口率が10%以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の炭素繊維織物。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の炭素繊維織物に対して、30〜60重量%の樹脂が含浸されていることを特徴とするプリプレグ。
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