<<前提条件>>
複数の工程で行われる検査において、後に詳述するが、前の測定で検出された欠陥の座標と誤差範囲を考慮して十分に近い座標の検出を除き、その工程のみの新規欠陥検出のみを抽出する手法(以下、「新規欠陥の抽出」と称す)が考えられる。
しかしながら、新規欠陥の抽出法を用いても歩留まりと途中の工程後の欠陥検出数との相関性が低かった。
相関性が低い主な理由は二つあると考えられる。一つ目の理由は、1つのチップに異常に多くの欠陥が発生する集合欠陥が存在すると、その影響によってウエハ内のチップの不良数に対して欠陥数が多い場合が頻繁に生じる等、欠陥数本来の意味が希薄になる。
二つ目の理由は、その工程のみの新規欠陥検出のみを抽出しても歩留まりは他の工程の影響で低下している場合があり、その場合の新規欠陥数もあまり意味がなさなくなる。
また、RAMの場合は欠陥により一部の素子が破壊された場合にその破壊部分を切り離してチップそのものは良品に救済する冗長回路を有する構造を有しており、その救済可能数にも限りがあるため欠陥の大きさと数の関係においてチップを不良にするか否かは変則的になるため、RAMの場合は上記した2つの理由に加え相関性をさらに低くしてしまう。
このように集合欠陥の影響と各工程ごとの影響の切りわけが不十分であったので相関性が低く、単純に新規欠陥の抽出を行っただけでは、1工程単独の歩留まりに対する影響が定量的にわからないため、さらなる改良が必要となる。
以下に述べる実施の形態1〜12は、複数の工程を経て、ウエハ上の複数のチップにそれぞれ集積回路が形成されるデバイスの欠陥解析方法を示している。
<<実施の形態1>>
<原理>
実施の形態1は複数の製造工程における所定の工程の新規欠陥に着目した欠陥解析方法である。具体的な内容を示すため、実施の形態1ではデバイスがA、B、C、D、E、Fの6工程を経て製造され、A〜F工程後にそれぞれ検査装置を用いて欠陥検査を行っている。
A〜Fの6工程はDRAMを製造する場合、A工程…下地酸化膜パターンの形成工程、B工程…トランジスタ(メモリセルアレイ用,メモリセルアレイ制御用等)の形成工程、C工程…キャパシタ(メモリセル用)の形成工程、D工程…(層間)絶縁膜の形成工程、E工程…(行方向)金属配線の形成工程、F工程…(列方向)金属配線の形成工程という6工程が一例として考えられる。
以下では、A〜Fの6工程のうちD工程を所定の工程として注目し解析する方法を説明する。
まずD工程の新規欠陥を抽出する。この場合、図1に示すように、D工程後のウエハマップ4上には、パターン欠陥、異物、汚染物質付着、傷等の多くの欠陥5が検出される。これらウエハマップ4上の欠陥5のうち、D工程よりも前に実行されるA、B、Cの工程で既に検出されたウエハマップ1〜3上の新規欠陥6〜8の座標と誤差範囲15を考慮した欠陥近傍領域の座標を除いた新規領域上で発生した、D工程のみの欠陥を新規欠陥9と判定する。
すなわち、図2のグラフに示すように、D工程のウエハマップ4上の欠陥4のトータル数からA〜C工程でそれぞれ検出された新規欠陥6〜8とその誤差範囲15と同じ座標にある欠陥を除いた欠陥数が新規欠陥9の個数となる。
次に、A〜F工程終了後に電気的動作の良否を判定する電気テスタによって、ウエハ上の全チップそれぞれに形成された集積回路の良否判定結果を得る。なお、電気テスタはそれぞれが特定の電気的特性の良否を、テストする複数の部分電気テストの総合結果に基づき良否テストを行うのが一般的である。
そして、図3に示すように、抽出されたD工程のみの新規欠陥9の有無が判定された複数のチップと上記良否判定された複数のチップとを、ウエハマップ20上で照合する。図3に示すように、D工程の新規欠陥は52ヶあり、それが45チップに分布している。テスタにより検出された不良は78チップ、良品は57チップのあわせて135チップである。
この135チップをチップ単位で、図4に示すように、(1)欠陥なし・良品48チップ、(2)欠陥なし・不良品42チップ、(3)欠陥有り・良品9チップ、(4)欠陥有り・不良品36チップの4種類に分類する。以下、(1)〜(4)を図面の丸数字1〜4に対応させて説明する。
1つのチップに2ケ以上の新規欠陥のあるものでも、本実施の形態では「欠陥あり」として新規欠陥が1ケしかないものと同じに分類する。2ケ以上のものについて順次重み付け計算をする方法も考えられるが、本実施の形態では重み付けは行わないで計算を進める。以降、欠陥の数は解析手順に登場しなくなり、全て欠陥が存在するチップの数で数える。したがって、集合欠陥が存在するチップも(3)あるいは(4)に分類される1チップとみなすことができるため、集合欠陥の影響を殆ど受けない分類が可能となる。
ここでチップを4分類した意味を考える。(3)と(4)は欠陥があるのでD工程の影響を受けている。これに対して、(1)と(2)はD工程の影響を受けていない領域である。その分(3)と(4)の領域より歩留まりは良い。しかしながら、A、B、C、E、Fの5工程の影響は受けている領域である。したがって、もし、(3)と(4)の領域でD工程の影響を受けていなければ、その歩留まりは(1)と(2)の領域と同じと仮定できる。
(1)と(2)の領域の不良率RB1(=1−良品率=1−歩留まり)は下記(I)式で表される。
RB1=(2)/((1)+(2))=42/(48+42)…(I)
これを(3)と(4)の領域であてはめて、D工程以外のA、B、C、E、Fの5工程の影響による不良数NEを計算すると下記(II)式のようになる。
NE=((3)+(4))×RB1=(9+36)×RB1=21…(II)
ここで(3)と(4)の領域での実際の不良数は(4)であるから、D工程の新規欠陥によってのみ不良となったと推測される新規不良チップ数N1は下記(III)式のように求められる。
N1=(4)−NE=36−21=15…(III)
次にD工程の新規欠陥の致命率RFを計算する。(1)と(2)の領域の不良率RB1と、(3)と(4)の領域での不良率RB3=(4)/((3)+(4))=36/(9+36)との関係からD工程の影響を考える。(3)と(4)の領域においてD工程の欠陥分布が均一であると仮定すれば、(1)と(2)の領域の良品率rg1(=(1)/((1)+(2)))と、(3)と(4)の領域の良品率rg3(=(3)/((3)+(4)))とに基づき、D工程における良品率RGは確率の積の法則により、下記(IV)式のようになる。
RG=rg3/rg1=0.375…(IV)
すなわち、D工程における新規欠陥の致命率RFは下記(V)式で決定する。
RF=1−RG=0.625…(V)
これは検査装置で検出した新規欠陥のあるチップのうち、62.5%が致命になっていたということである。この場合、37.5%は致命になっていない欠陥も検出していることになり検査装置が十分な高感度で測定していることを意味する。このように致命率によって検査装置感度の指標を算出することができる。
なお、ここで用いた仮定は(3)と(4)の領域においてD工程の欠陥分布が均一と見なせれば良く、ウエハ全面135チップに対して均一である必要はない。
次にD工程で発生した不良チップ個数を計算する。検出した新規欠陥のあるチップのうち、62.5%が致命になっていたということから、工程不良チップ数NBは下記(VI)式のように求めることができる。
NB=((3)+(4))×RF=28.1…(VI)
これらの解析結果をベン図にまとめると図5に示すようになる。ウエハ全面における135チップ中、良品は57チップ、不良は78チップである。不良78チップ中、D工程で発生した工程不良チップ数NBは28.1チップであり、そのうちD工程のみで新規に不良になった新規不良チップ数N1は15チップである。すなわち、28.1−15=13.1チップはD工程に関係なくA、B、C、E、Fの5工程のうちひとつあるいは複数の工程で不良になったチップであると推測される。
したがって、不良78チップ中、78−15=63チップがA、B、C、E、Fの5工程のうちひとつあるいは複数で不良になったチップである。すなわち、例えばD工程が原因となる不良を完全に取り除き、D工程で発生した不良チップは28.1チップを0チップにしたとしても不良チップは63チップあり、良品チップは15チップしか増えないことがわかる。このように、D工程の新規不良チップ数N1によって、D工程の不良を完全に対策すると増えると見積もれる良品チップの数を定量的に認識することができる。
これに対して、D工程での致命率に基づく工程不良チップ数NB(=28.1チップ)は、例えA、B、C、E、Fの5工程の歩留まりがl00%になってもなお不良になるチップ数を示している。すなわち、工程不良チップ数NBはD工程単独の歩留まりに対する影響を定量的に示した数字であり、これが高いほど歩留まりには悪影響を与えることを意味している。
ここで整数でないチップ数が算出されているが、これは欠陥分布の均一など仮定条件下で算出されたものであり解析結果として用いるのに問題はない。このように1工程単独の歩留まりに対する影響を定量的に算出することができる。
<方法>
図6はこの発明の実施の形態1である欠陥解析方法を示すフローチャートである。以下、所定の工程を図1,図2で示したD工程として実施の形態1の処理の流れを説明する。
同図を参照して、ステップS1で、検査装置を用いて所定の工程後に所定の工程による新規欠陥の座標及び検出サイズを抽出し、ステップS2で、全工程終了後に電気テスタによる良否判定をチップ単位に行う。そして、ステップS3で、検出されたすべての新規欠陥を有効とする識別条件で新規欠陥の有無をチップ単位に判定する。
次に、ステップS4において、図3に示すように、ステップS3で検出された新規欠陥とステップS2で得た良否判定結果との照合をウエハマップ上で行い、新規欠陥の有無及び良・不良判定に基づき、図4の(1)〜(4)に示すように4つに分類する。
その後、ステップS5において、4つに分類されたチップの数に基づき、(I)〜(III)式に示すように、領域(1),(2)における不良率RB1,所定の工程以外の工程による不良数NE及び所定の工程の新規欠陥によってのみ不良となった新規不良チップ数N1を求める。この新規不良チップ数N1により、所定の工程の改善を図った場合に不良を減らすことが可能なチップ数を定量的に認識することができる。
次に、ステップS6において、(IV),(V)式に示すように、領域(3),(4)の良品率rg3と領域(1),(2)の良品率rg1とに基づく良品率RGと、良品率RGに基づく所定の工程における新規欠陥の致命率RFとを求める。この致命率RFによって、所定の工程後の欠陥検査を行った検査装置の感度を定量的に認識することができる。
最後に、ステップS7において、(VI)式に示すように、致命率RFに基づき、所定の工程で発生した工程不良チップ数NBを求める。この工程不良チップ数NBによって所定の工程単独のデバイスの歩留まりに対する影響を定量的に認識することができる。
<<実施の形態2>>
<原理>
実施の形態2では、実施の形態1と同様、D工程の新規欠陥に注目して解析する方法である。まず、実施の形態1と同じくD工程ではじめて検出された新規欠陥9のみを抽出する(図1、図2)。次に、図7に示すように、抽出されたD工程のみの新規欠陥9の有無が判定された複数のチップと電気テスタによる良否判定された複数のチップとをウエハマップ上で照合する。
このとき実施の形態1では抽出された新規欠陥9をすべて有効とした識別条件で新規欠陥の有無の判定を行ったが、本実施の形態2では抽出された新規欠陥9のうち所定の検出サイズ以上の欠陥を識別条件として新規欠陥の有無を判定する。例えば1μm以上のものについてのみ採用する。この点が実施の形態1と異なる点であり他の手順は実施の形態1と同様である。
D工程の1μm以上の新規欠陥9は34ヶあり、それが30チップに分布している。実施の形態1と同じく不良は78チップ、良品は57チップのあわせて135チップである。この135チップをチップ単位で、図8に示すように、(1)欠陥なし・良品53チップ、(2)欠陥なし・不良品52チップ、(3)欠陥有り・良品4チップ、(4)欠陥有り・不良品26チップの4種類に分類する。
D工程の1μm以上の新規欠陥によってのみ不良となったと見なせる新規不良チップ数N1を計算する。実施の形態1と同様に、(I)式〜(III)式を用いて、N1=(4)−((3)+(4))×(2)/((1)+(2))=26−(4+26)×52/(53+52)=11.1チップとなる。この11.1チップはD工程の1μm以上新規欠陥によってのみ不良となったと見なせるチップ数である。
次にD工程の検出サイズ1μm以上の新規欠陥の致命率RFを計算する。実施の形態1と同様に、(IV)式及び(V)式を適用して、RF=1−RG=1−(3)/((3)+(4))×((1)+(2))/(1)=1−4/(4+26)×(53+52)/53=0.736となる。これは検査装置で検出した新規欠陥のあるチップのうち、73.6%が致命になっていたということである。実施の形態1よりも大きな欠陥サイズを限定して計算しているので、実施の形態2では実施の形態1よりも新規検出した欠陥のうち致命になっていない欠陥が減少していることがわかる。しかしながら、依然として26.4%は致命になっていない欠陥も検出していることになり検査装置が十分な高感度で測定していることを意味する。このように致命率RFは検査装置の感度の指標となる。
次にD工程の検出サイズ1μm以上の新規欠陥の工程不良チップ数NBを計算する。検出した新規欠陥のあるチップのうち、73.6%が致命になっていたということから、致命率RFを(VI)式に適用して、工程不良チップ数NB=((3)+(4))×RF=(4+26)×0.736=22.1チップとなる。
さらに、検出サイズを2μm以上、3μm以上……と変更して上記処理を同様に行い、新規不良チップ数N1,致命率RF及び工程不良チップ数NBの計算を各検出サイズ毎に行う。これらの解析結果をまとめたのが表1である。
表1に示すように、検出サイズが2μm以上で致命率が1(100%)になっている。これは新規欠陥のうち検出サイズが2μm以上のチップはすべて不良となる完全致命欠陥であるということを意味し、この大きさ以上の欠陥は歩留まりを必ず低下させるものとしてデバイス製造の管理上見逃せないということがわかる。
また、各検出サイズの工程不良チップ数NBの中で検出サイズが全検出欠陥(ALL)の場合が28.1チップと最大値が算出されている。この28.1チップが歩留まりに対するD工程の影響をより正確に示している。致命率RFが低くなって仮定した条件からはずれない限り、工程不良チップ数NBが最大値を示した検出サイズが検査装置の最適な感度であると考えられる。したがって、表1の例では検出サイズを全検出欠陥にして欠陥検出を行うのが最適な感度設定となる。
このように検出サイズごとに新規不良チップ数N1、致命率RF及び工程不良チップ数NBを算出して算出結果を比較することにより、完全致命となる新規欠陥のサイズ、検査装置が最適感度を採る検出サイズを見いだすことができる。
さらに、実施の形態2では常に最適な感度設定(検出サイズ)での工程不良チップ数NBによって、実施の形態1よりも正確な歩留まりに対する影響が定量的に算出することが可能となる。
<方法>
図9はこの発明の実施の形態2である欠陥解析方法を示すフローチャートである。以下、所定の工程を図1,図2で示したD工程として実施の形態2の処理の流れを説明する。
同図を参照して、ステップS11で、所定の工程における新規欠陥の座標を抽出し、ステップS12で、全工程終了後に電気テスタによる良否判定をチップ単位に行う。そして、ステップS13で、設定された検出サイズ以上の識別条件を満足する新規欠陥の有無をチップ単位に判定する。
続いて、ステップS14〜S17によって、所定の工程における設定された検出サイズでの新規不良チップ数N1、致命率RF及び工程不良チップ数NBを解析用データとして得る。なお、ステップS14〜S17の処理内容は図6で示した実施の形態1のステップS4〜S7と同様である。
その後、ステップS18で、設定すべき検出サイズが終了したか否かを判定し、終了していなければステップS19で他の検出サイズに設定変更した後、ステップS13〜S17の処理を行い、新たに設定された検出サイズでの新規不良チップ数N1、致命率RF及び工程不良チップ数NBを解析用データとして得る。以降、ステップS18で、設定すべき検出サイズが終了したと判定されるまでステップS19,S13〜S17の処理は繰り返される。
そして、ステップS18で設定すべき検出サイズが終了したと判定すると、ステップS20で全検出サイズにおける解析用データを比較検証し、致命率RFが1.0となる最小の検出サイズを完全致命欠陥サイズとし、全検出サイズにおける工程不良チップ数NBのうち最大のものを最大工程不良チップ数NBMAXとし、最大工程不良チップ数NBMAXとなる検出サイズを最適感度の検出サイズとして決定する。そして、最大工程不良チップ数NBMAXからD工程のデバイス歩留まりに対する影響を正確に認識することができる。
<その他>
なお、実施の形態2の場合、検出サイズを1μmごとに区切ったが、これはもっと小さくあるいは、必要に応じて不等間隔に区切ってもよい。また、実施の形態2の場合は2μm以上が完全致命サイズであるとわかったが、これは電子顕微鏡等で実測する欠陥の大きさと一致するとは限らない。
この実施の形態2では感度として検出サイズを用いたが検出サイズに正の相関のある指標であれば、他の指標を用いても良い。例えば、μm表示の検出サイズではなく散乱光強度などでもよい。また、連続的に欠陥の大小が表示されずとも大中小の3区分でもその3区分それぞれで実施の形態2のように解析用データを得て解析してもよい。
<<実施の形態3>>
<原理>
実施の形態2では複数の工程のうち所定の工程(D工程)の検出サイズごとに欠陥解析を行った。実施の形態3では、実施の形態2の方法を同じウエハについて全工程それぞれに注目して行う。
実施の形態2と同様に、解析用データから完全致命サイズと、適切な感度設定、それに適切な感度設定での歩留まりに対する工程の影響が各工程毎に認識することが可能となる。ここで導出された各工程の歩留まりに対する影響は、常に最適な感度設定における最大工程不良チップ数NBMAXが用いられるため、各工程ごとに異なる検査装置レシピの感度の違いや、たとえ検出したときは小さい欠陥でも後に成長して上下のレイヤーを突き破る欠陥の有無や、レイヤーごとのデバイスパターンの粗密によって影響を与える欠陥のサイズが異なる場合も含めて認識することができる。
すなわち、単純に各工程の最大工程不良チップ数NBMAXを降順にソーティングすることにより、全工程を改善が望まれる対策重要工程の序列で順位付けすることができる。
加えて、DRAMのようにビット救済があり、欠陥の大きさと個数に変則的な関係のあるものでもよくデバイスの種類や世代を問わず適用できる。なぜなら、解析用データは、電気テスタによる電気的なチップの良否判定結果と新規欠陥の有無とを照合して得られたデータだからである。
<方法>
図10はこの発明の実施の形態3である欠陥解析方法を示すフローチャートである。
同図を参照して、ステップS31で設定された工程による検出サイズ比較検証(実施の形態2の処理)を行う。
次に、ステップS32で検証すべき工程の終了の有無を判断し、終了していなければステップS33で他の工程に設定変更してステップS31に戻る。以降、ステップS32で終了と判定するまて、ステップS33,S31を繰り返す。
そして、ステップS32で検証すべき工程が終了したと判断すると、ステップS34で、各工程の最大工程不良チップ数NBMAXを比較して対策重要工程の順位付けを行う。
<<実施の形態4>>
<原理>
実施の形態3の欠陥解析方法によって、各工程の最適な感度設定における新規不良チップ数N1を、最適感度新規不良チップ数N1BESTとして認識する。例えば、表1の例では検出サイズが全検出欠陥の場合の新規不良チップ数N1(=15ヶ)が最適感度新規不良チップ数N1BESTとなる。
そこで、各工程の最適感度新規不良チップ数N1BESTを合計して新規不良合計チップ数N1TOTALを得る。そして、新規不良合計チップ数N1TOTALと電気テスタにより判定された実際の不良数とを比較し、その比較結果に基づき各工程の欠陥を検出する検査装置による不良原因検出度合いを判定することができる。
例えば、両者が一致あるいは十分に近い値と見なされる場合は、検査装置が不良の原因とある欠陥をほとんどを検出していると言える。逆に新規不良合計チップ数N1TOTALが実際の不良数を大きく下回る場合は、前述した(I)〜(VI)式の前提条件である「(3)と(4)の領域でD工程の影響を受けていなければ、その歩留まりは(1)と(2)の領域と同じである」という仮定から大きくはずれている場合等が考えられる。
また、新規不良合計チップ数N1TOTALと実際の不良数を若干下回る場合は、その差のチップ数だけ不良の原因は、例えば膜質の不良など検査装置で検出できないものであったり、あるいは検査時の感度が低過ぎて未検出のものであることが考えられる。もちろんこれらの原因が複合している場合もある。
このように、新規不良合計チップ数N1TOTALと実際の不良数とを比較検証することにより、各工程の欠陥を検出する検査装置による不良原因検出度合いを定量的に算出できる。
<方法>
図11はこの発明の実施の形態4である欠陥解析方法を示すフローチャートである。
同図を参照して、ステップS41で設定された工程による検出サイズ比較検証(実施の形態2の処理)を行う。
次に、ステップS42で検証すべき工程の終了の有無を判断し、終了していなければステップS43で他の工程に設定変更してステップS41に戻る。以降、ステップS42で終了と判定するまて、ステップS43,S41を繰り返す。
そして、ステップS42で検証すべき工程が終了したと判断すると、ステップS44で、各工程の最適感度新規不良チップ数N1BESTを合計して得られる新規不良合計チップ数N1TOTALと電気テスタの判定による実際の不良数とを比較して不良原因検出度合いを定量的に認識する。
<<実施の形態5>>
<原理>
実施の形態2の欠陥解析方法を全工程に対して行うことにより、全工程それぞれの完全致命欠陥の検出サイズと最適な感度設定を認識することができる。この解析の基となる測定データを異なる検査装置で測定したものとすれば、所定の検出サイズの致命率に基づき各検査装置の感度設定の高低を認識することができる。
そこで、各工程ごとに異なる検査装置レシピの感度の違いを、同一あるいは同じような状態の欠陥を被ったと見なせるウエハを測定することより正確に比較検証したのが実施の形態5の欠陥解析方法である。例えば、異なる検査装置それぞれで表1のような欠陥検出結果を得た場合、検出サイズが1μm以上の場合の致命率RF同士を比較することにより、検査装置レシピの感度の違いを複雑な比較処理を行うことなく簡単に認識することができる。
実施の形態5の欠陥解析方法における比較用検出サイズは以下のように設定すればよい。各検査装置レシピの測定時の感度の設定はパターンその他を欠陥として誤検出しない程度の高感度に設定しておき新規欠陥の抽出を行った後、データを個々に活用する際に適切な感度より小さい検出サイズを切り捨てるようにする。
<方法>
図12はこの発明の実施の形態5である欠陥解析方法を示すフローチャートである。
同図を参照して、ステップS51で選択された検査装置を用いた所定の工程による検出サイズ比較検証(実施の形態2の処理)を行う。
次に、ステップS52で選択すべき検査装置の終了の有無を判断し、終了していなければステップS53で他の検査装置に選択変更してステップS51に戻る。以降、ステップS52で終了と判定するまて、ステップS53,S51を繰り返す。
そして、ステップS52で選択すべき検査装置が終了したと判断すると、ステップS54で、異なる検査装置間における同一の検出レベルでの致命率を比較して、その比較結果に基づき異なる検査装置間の感度の違いを認識する。
なお、図12では所定の工程に固定した処理を示したが、検出サイズ検証を行う工程も適宜変更可能にすることも勿論可能である。
<<実施の形態6>>
<原理>
実施の形態3の欠陥解析方法を用いれば、各工程において、完全致命欠陥となる検出サイズと最適な感度設定及び最適な感度設定での歩留まりに対する当該工程の影響を定量的に認識することができる。
そこで、実施の形態6は、同一のデバイスを同一工程を経て生産する異なる生産ラインそれぞれについて、異なる検査装置で測定したデータに基づく解析用データを得ることにより、異なる生産ラインそれぞれで同一デバイス製造時における各工程ごと優劣を認識する。
実施の形態3に述べたように、それぞれの生産ラインで導出された各工程での影響は、各工程ごとに異なる検査装置レシピの感度の違いや、例え検出したときは小さい欠陥でも後に成長して上下のレイヤーを突き破る欠陥や、レイヤーごとのデバイスパターンの粗密の影響も含めて把握されているため、単純に異なる生産ラインそれぞれの同一工程間における最大工程不良チップ数NBMAXの大小を比較して優劣を認識することができる。
実施の形態6の欠陥解析方法を用いれば、従来、各生産ラインに用いられる検査装置間の感度の相関をとらなければできなかった異なる生産ライン間の同一工程の比較を容易に行うことができる。
<方法>
図13はこの発明の実施の形態6である欠陥解析方法を示すフローチャートである。
同図を参照して、ステップS61で異なる生産ラインそれぞれについて、全工程における検出サイズ検証(実施の形態3のステップS31〜S33の処理)を行う。
次に、ステップS62で異なる生産ライン間における同一工程の最大工程不良チップ数NBMAXを比較して、その比較結果に基づき異なる生産ライン間の優劣を比較する。
<<実施の形態7>>
<原理>
実施の形態1の図3のウエハマップ20上において、さらに特定の分布をしているD工程の欠陥のみについて解析を行うにしたのが実施の形態7の欠陥解析方法である。
実施の形態1では135チップを4種類に分類していた。これに対して実施の形態7では「欠陥あり」の領域(3),(4)をさらに分けて、(5)欠陥あり特定の分布なしの領域(5)を新たに設け、この領域(5)を前述した(I)〜(VI)式の計算に用いないようにした。その他の手順は実施の形態1と同様である。
図14に示すように、抽出されたD工程のみの新規欠陥のうち、右上がりの直線状の特定の分布をしている欠陥を識別条件として新規欠陥が存在するチップと電気テスタによるチップの良否判定結果とを照合する。
そして、図15に示すように、特定分布の新規欠陥は12ヶあり、それが7チップに分布している。135チップをチップ単位で、(1)欠陥なし・良品48チップ、(2)欠陥なし・不良品42チップ、(3)′特定分布欠陥有り・良品1チップ、(4)′特定分布欠陥有り・不良品6チップ、(5)欠陥あり特定の分布なしの5種類に分類する(図12)。
特定分布の新規欠陥によってのみ不良となったと見なせる新規不良チップ数N1′を計算する。(3)→(3)′、(4)→(4)′、N1→N1′に置き換えて、実施の形態1と同様に(I)式〜(III)式を用いて、N1′=(4)′−((3)′+(4)′)×(2)((1)+(2))=6−(1+6)×42/(48+42)=2.7チップとなる。この2.7チップは特定分布の新規欠陥によってのみ不良となったと見なせるチップ数である。
次に特定分布の新規欠陥の致命率RF′を計算する。(3)→(3)′、(4)→(4)′、RF→RF′に置き換えて(IV)式及び(V)式を適用して、RF′=1−RG=1−(3)′/((3)′+(4)′)×((1)+(2))/(1)=1−1/(1+6)×(48+42)/48=0.732となる。これは検査装置で検出した特定分布の新規欠陥のあるチップのうち、73.2%が致命になっていたということである。実施の形態1と比べて高い致命率が算出された。
次に特定分布による工程不良チップ数NB′を計算する。特定分布の新規欠陥のあるチップのうち、73.2%が致命になっていたということから、(3)→(3)′、(4)→(4)′、RF→RF′、NB→NB′に置き換えて(VI)式を適用して、NB′=((3)′+(4)′)×RF′=(1+6)×0.732=5.1チップを求める。
特定分布を考慮しない実施の形態1では28.1チップであったのでこの直線上の分布をしている欠陥はそのうちの5.1/28.1=18.1%を占めていることを認識することができる。
実施の形態7のように、特定分布にある新規欠陥の有無とテスタによる良否とによる分類を行った後、新規不良チップ数N1′、致命率RF′及び工程不良チップ数NB′を求めることにより、所定の工程の特定分布欠陥の改善を図った場合に減らすことが可能なチップ数、所定の工程における特定分布の欠陥検査を行った検査装置の感度認識及び所定の工程における特定分布にある新規欠陥が歩留まりに与える影響をそれぞれ定量的に求めることができる。
特定分布の欠陥がデバイスの歩留まりに大きな影響を与える場合、例えば、生産ラインの他のウエハにも同様の直線状分布が見られるならば、致命率の高さや工程不良チップ数の高さから対策を急ぐ対象とすることができる。
また特定分布を考慮しない新規欠陥の有無とテスタによる良否とによる分類で得られる新規不良チップ数N1、致命率RF及び工程不良チップ数NBと上記新規不良チップ数N1′、致命率RF′及び工程不良チップ数NBとを比較することにより、所定の工程で検出された全欠陥に対する特定分布の欠陥の特性を検証することができる。
実施の形態7で示した欠陥解析方法は、実施の形態2のように検出サイズを変えて行ったり、実施の形態3のように工程間の比較検証を併せて行ったりする等、他の実施の形態と組み合わせて行うこともできる。
なお、実施の形態7での致命率RF′が実施の形態2の検出サイズが1μm以上の場合の致命率RFと近い値となっており、実施の形態7の直線状分布がおよそ1μm以上の欠陥であると推測できる。しかしながら、製造されるデバイスがDRAMで、検出されていない小さな欠陥が直線状分布の中に大量にあり、ビット救済の回路を使いつくしてしまうことにより、直線状分布における致命率RF′が異常に上昇してしまったことも考えられるため、一概に断定することはできない。
また、検査装置による検査はチップの全面を面積比でl00%行われているとは限らないので、検査対象領域からはずれた部分でかつ直線状分布の中に致命欠陥がある場合も考えられる。
<方法>
分類の仕方を実施の形態1の図3,図4から図14,図15に変更して、領域(3),(4)→領域(3)′,(4)′、新規不良チップ数N1→N1′、致命率RF→RF′、工程不良チップ数NB→NB′に置き換えて、実施の形態1で述べた(I)式〜(VI)式を適用することにより、実施の形態7の欠陥解析方法は、図6で示した実施の形態1と同様の処理で実行可能である。ただし、ステップS3の処理は特定分布にある新規欠陥の有無をチップ単位に検出することになる。また、他の実施の形態と併用する場合も該当処理部分を上記のように変更すればよい。
<<実施の形態8>>
<原理>
実施の形態1〜7は、電気テスタによって種々の部分電気テストの総合結果に基づく総合的な電気的特性の良否テストによる良否判定によって良品/不良品を判定していたが、特定の電気的特性の不良を検出する部分電気テストに基づく良否判定を行って欠陥解析を行うのが実施の形態8である。
例えば、配線短絡による過電流不良、特定の条件での動作不良あるいは過電流の値に基づく不良等を検出する部分電気テストに基づき特定の電気的特性に基づく良否判定を行う。
その結果、実施の形態8は、新規欠陥の有無と部分電気テストに基づく良否判定とによる分類を行った後、実施の形態1と同様に、新規不良チップ数N1、致命率RF及び工程不良チップ数NBを求めることにより、所定の工程の改善を図った場合に特定の電気的特性の不良を減らすことが可能なチップ数、特定の電気的特性の不良に対する良否判定における検査装置の感度認識及び所定の工程における新規欠陥が特定の電気的特性の不良に関するデバイス歩留まりに与える影響をそれぞれ定量的に求めることができる。
さらに、実施の形態8の欠陥解析方法により特定の電気的特性の不良に対する新規欠陥の影響を認識できるため、デバイスの断面観察など時間がかかって多くの試料を解析できない他のオフラインでの特定の電気的特性不良に対するテスト方法と実施の形態8の欠陥解析方法を併用して良否判定を行うと、特定の電気的特性の不良が生じる現象がウエハ全体におよぼす影響を認識することができる。
また、実施の形態7にあったような特定の分布の欠陥は特定の電気的特性の不良原因に集中することが多く、実施の形態7に実施の形態8の方法を取り入れることは有効である。
また、実施の形態4で説明したように、新規不良合計チップ数N1TOTALと電気テスタによる総合テストの不良数との比較によって検査装置による不良原因が絞り込めない場合、実施の形態8の欠陥検出方法によって特定の電気的特性の不良原因を絞り込むことにより、時間がかかるオフラインでの複数のテスト法のうち、絞り込んだ不良原因を検証するための方法を適切に選択することができるため、不良原因をより早く発見することができる。
<方法>
実施の形態8の欠陥解析方法は、図6で示した実施の形態1と同様の処理で実行可能である。ただし、ステップS3における良/不良判定を特定の電気的特性の不良原因に基づいてい行う。また、実施の形態7の方法を併用する場合は、ステップS3の処理は所定の検出サイズで特定分布の新規欠陥の有無をチップ単位に検出することになる。他の実施の形態と併用する場合も該当処理部分を上記のように変更すればよい。
<<実施の形態9>>
<原理>
実施の形態1〜8までは、各工程で新規に検出された新規欠陥のみをデータとして用いてきたが、新規欠陥が後の工程に与える影響を考慮して、新規欠陥が後の工程でも現れる再欠陥を検出対象とした欠陥解析方法を行ったのが実施の形態9である。
例えば、図2において、12はD工程で新規に検出された新規欠陥9のうち、E工程で再び検出された再欠陥である。特定工程の新規欠陥の後続工程における再欠陥を検出対象とすることにより、新規検出のときは小さくても後の工程では成長して大きくなるような欠陥の影響を定量的に認識することができる。
また、解析できるのは図2における12のような新規欠陥検出直後の工程における再欠陥ばかりではなく、13のようにさらに後の工程で再検出された再欠陥をデータとして用いることができる。
実施の形態9のように、再欠陥の有無とテスタによる良否とによる分類を行った後、実施の形態1同様、新規不良チップ数N1、致命率RF及び工程不良チップ数NBを求めることにより、所定の工程(対象となる欠陥が図2の再欠陥12の場合はD工程)の新規欠陥の改善を図った場合に減らすことが可能なチップ数、所定の工程における新規欠陥の欠陥検査を行った検査装置の感度認識及び所定の工程における新規欠陥が歩留まりに与える影響をそれぞれ定量的に求めることができる。
また、新規欠陥の有無とテスタによる良否とによる第1の分類による各検出サイズの致命率と当該新規欠陥の再欠陥の有無それぞれとテスタによる良否とによる第2の分類による各検出サイズの致命率とを比較することにより、再欠陥の検出サイズと新規欠陥の検出サイズとの対応関係を認識することができる。例えば、D工程における新規欠陥の検出サイズが1μm以上の致命率とE工程における再欠陥の検出サイズが2μm以上の致命率とが近い値となる場合、D工程で1μm程度あった新規欠陥がE工程で2μm程度に成長したと推測することができる。
<方法>
実施の形態9の欠陥解析方法は、図6で示した実施の形態1と同様の処理で実行可能である。ただし、ステップS3,S4の「新規欠陥」を「再欠陥」に置き換える。また、実施の形態7の方法を併用する場合は、ステップS3の処理は特定分布の再欠陥の有無をチップ単位に検出することになる。他の実施の形態と併用する場合も該当処理部分を上記のように変更すればよい。
<その他>
さらに解析できるの再欠陥は図2における12や13のように図2において単独に分類されているものとは限らない。例えば図2における新規欠陥l0と再欠陥12とを合わせたもの(新規欠陥と前工程の新規欠陥の再欠陥の和)をデータとして用いることもできる。また、所定の検出サイズで検出される新規欠陥のうち、顕微鏡等を用いた観察などによる手動あるいは自動で特定される条件(特定の形状等)を満足する新規欠陥のみをデータとして用いてもよい。
このように所望の分類がなされた欠陥の有無と良否判定に基づき、実施の形態1の図4に示すような4つの種類分け、あるいは、実施の形態7の図12に示されるような4つの種類分けと計算に含めない領域の5つに分類することにより、様々な条件を満足する新規欠陥の欠陥解析を行うことができる。
<<実施の形態l0>>
<原理>
実施の形態1〜9は、1枚のウエハ上にある欠陥のみをデータとして用いてきたが、複数枚のウエハ上にある欠陥をデータとして用いて実施の形態1〜9の欠陥解析方法のうちいずれかの方法を実行したの実施の形態10である。
例えば、ロット内の複数枚のウエハにおけるチップ数の分類を合計し解析することにより、ロット単位での欠陥解析を行う。これは、ロットをさらに束ねた処理バッチ単位などで解析を行っても同様である。
このように、実施の形態10の欠陥解析方法は、複数枚のウエハにおける欠陥の有無と良否判定結果とに基づく分類を行って欠陥解析を行うことにより、統計的な信頼性の高い欠陥解析を行うことができる。
例えば、1枚のウエハにおいて、計算に用いる4つの種類分けのうち、分類された領域に該当するチップ数が極端に少ない場合、ウエハ1枚での欠陥解析での信頼性は低下する恐れがあるが、実施の形態10のよるに複数枚単位で分類して欠陥解析を行うことにより、一度の欠陥解析処理に計算する総チップ数を多くすることができる分、統計的な信頼性が高まるのは明らかである。
<方法>
解析対象とするウエハを複数枚にすることにより、実施の形態1〜9で述べた方法をそのまま採用することができる。
<<実施の形態11>>
<原理>
実施の形態1〜10においては、欠陥の「有る、無し」をもってチップを分類し、1つのチップに存在する欠陥数を1個以上のものを同一種類に分類していたが、これを1つのチップに存在する欠陥個数により分類する。例えば、所望の分類を同一チップに存在する欠陥が1個のもの、あるいは2個以上のもの3個以上のものというようにし分類し、欠陥個数を考慮した欠陥の有無とテスタによる良否とによるって、実施の形態1の図4に示すような4つの種類分け、あるいは、実施の形態7の図14に示されるような4つの種類分けと計算に含めない領域の5つに分類することにより欠陥解析を行う。
実施の形態11のように、欠陥個数を考慮した欠陥の有無とテスタによる良否とによる分類を行った後、実施の形態1同様、新規不良チップ数N1、致命率RF及び工程不良チップ数NBを求めることにより、所定の工程の欠陥の改善を図った場合に減らすことが可能なチップ数、所定の工程における欠陥の欠陥検査を行った検査装置の感度認識及び所定の工程における欠陥が歩留まりに与える影響をそれぞれ定量的に求めることができる。
さらに、実施の形態11の欠陥解析方法は、欠陥個数により分類することにより、欠陥が集合した状態で発生するクラスタとよばれるものと、そうでない通常の分布の欠陥の歩留まりに対する影響をそれぞれ分離して解析することができる。
<方法>
実施の形態11の欠陥解析方法は、図6で示した実施の形態1と同様の処理で実行可能である。ただし、ステップS3〜S6の「新規欠陥」を「欠陥個数を考慮した新規欠陥」に置き換える。また、実施の形態7の方法を併用する場合は、ステップS3の処理は所定の検出サイズで特定分布の欠陥の有無をチップ単位に検出することになる。他の実施の形態と併用する場合も該当処理部分を上記のように変更すればよい。
<<実施の形態12>>
実施の形態1〜11に示したような解析方法をプログラムとしてCDROM等の記録媒体に記憶させて実行させたのが実施の形態12である。
図16はこの発明の実施の形態12である欠陥解析システムの第1の態様の構成を示す説明図である。同図に示すように、制御部31は、実施の形態1〜11に示した解析方法の少なくとも1つを欠陥解析プログラムとして格納したCDROM等の記録媒体32より欠陥解析方法を読み込むことができる。
一方、検査装置41はA工程及びC工程直後における欠陥検出を行い、ウエハ上の欠陥座標位置及び欠陥サイズを検出して欠陥情報を制御部31に出力する。同様に検査装置42はA工程及びD工程直後における上記欠陥情報を制御部31に出力し、検査装置43はB工程、E工程及びF工程直後における上記欠陥情報を制御部31に出力する。
また、電気テスタ33は前工程の最終工程であるF工程後のデバイスに対する電気テストを行い、そのテスト結果である良否判定情報を制御部31に出力する。なお、F工程の終了後は、チップの切断、ボンディング、樹脂封止等の後工程に移る。
そして、制御部31は、検査装置41〜43から得られるA工程〜F工程における欠陥情報と電気テスタ33から得られる良否判定情報とに基づき、記録媒体32より読み込んだ欠陥解析方法を実行する。
例えば、記録媒体32に記録された欠陥解析プログラムが実施の形態1の欠陥解析方法である場合、制御部31は、図6で示した実施の形態1と同様の処理で実行する。すなわち、ステップS1〜S7の処理を制御部31の制御下で行い、特に、ステップS1の処理は検査装置を用いて行い、ステップS2の処理は電気テスタを用いて行うことになる。
なお、ステップS1の新規欠陥の座標を抽出する処理は、欠陥情報が各工程の欠陥座標位置及び欠陥サイズからなる場合、欠陥情報に基づき各工程の新規欠陥の座標を求めることとなる。
なお、制御部31が欠陥情報に基づき各工程の新規欠陥の座標を求める機能を有している場合、欠陥解析プログラムにおけるステップS1の処理は、各工程の新規欠陥の座標を制御部31から取り込む処理となる。
図17はこの発明の実施の形態12である欠陥解析システムの第2の態様の構成を示す説明図である。同図に示すように、検査装置40はA工程〜F工程直後における欠陥検出を行い、その検出結果である欠陥情報を一括して制御部31に出力する。他の構成は図16で示した第1の態様と同様である。
このように、各工程の欠陥検出に際して、第1の態様のように複数の検査装置を用いてもよく、第2の態様のように1つの検査装置を用いてもよい。
このように、実施の形態12の欠陥解析システムは、実施の形態1〜11で述べた欠陥解析方法を記録媒体32に予め記録しておけば、実施の形態1〜11述べた欠陥解析が自動的に行え、製造工程への効果的な対策をより早期行うことができる。
なお、第2の態様においても、制御部31が欠陥情報に基づき各工程の新規欠陥の座標を求める機能を有している場合、欠陥解析プログラムにおけるステップS1の処理は、各工程の新規欠陥の座標を制御部31から取り込む処理となる。
加えて、第2の態様の構成では、検査装置40自体(検査装置40に専用のデータ処理システムが付属される場合を含む)が欠陥情報に基づき各工程の新規欠陥の座標を求める機能を有してもよい。この場合、欠陥解析プログラムにおけるステップS1の処理は、各工程の新規欠陥の座標を検査装置40から取り込む処理となる。
<<製造工程の改善>>
実施の形態1〜11の欠陥解析方法による解析結果を用いて、製造工程の改善を行うことができる。例えば、実施の形態3の欠陥解析方法によって最大工程不良チップ数NBMAXが多く、対策重要工程の上位に順位付けられた工程の製造装置のクリーニング頻度を高める等により、その製造工程の改善を行うことができる。
半導体装置の製造に際して、歩留まりを低下させないために製造装置のクリーニングは重要であるが、クリーニング作業が人手を要したり製造装置の稼働率を低下させるため、クリーニングは必要最小限に抑える必要がある。
したがって、実施の形態3の欠陥解析方法による解析結果に基づき、対策重要工程の上位に順位付けられた工程の製造装置を重点的にクリーニングすることにより、クリーニングを有効に行い過不足のない適正な生産ラインを得ることができる。
さらに、各製造装置単体で行っている装置発塵の検証方法、例えば、製品でないウエハを装置に通して得られる発塵量や装置配管での発塵量モニタによって検出された発塵量と実施の形態1〜11の欠陥解析方法の解析結果との相関を予め求めておくことにより、将来的には上記解析結果を待たずして、過去の相関から発塵量の増大が歩留まりに影響を与える製造装置を検知し、その製造装置を重点的に改善することもできる。
また、上述したクリーニング頻度の増減以外にも製造装置を改善することができる。例えば、真空装置を用いる工程Xにおいて、発塵を防ぐためにチャンバー内の気圧の増減を意図的に時間をかけて行うと、工程Xのスループットを劣化させることになる。そこで、実施の形態1〜11の欠陥解析方法の解析結果によって、真空装置のチャンバー内の気圧の増減が早すぎると歩留まりに影響があると判定した場合は、スループットを多少犠牲にしても歩留まりを向上させるため工程Xを時間をかけて行うことの価値は十分にあると認識することができる。
また、特定の分布をしている欠陥が成膜装置を用いた工程Yで発見され、実施の形態7の欠陥解析方法によって、工程Yによる特定分布の欠陥が歩留まりに影響を与えたと判定された場合、図18に示すように、チャンバー内の噴出口16からの気体の噴出軌跡と欠陥の分布状態とが一致すれば、その噴出口が不良原因である可能性が高い。そこで、工程Yが用いた成膜装置の噴出口に関する改善策を優先的に実施することにより、かなり高い確率で歩留まりの向上を図ることができる。
なお、成膜装置の噴出口に関する改善策としては、主として噴出口のクリーニングがあるが、他にも噴出するタイミング、噴出する気体の流量の調節、レシピの変更、噴出口の位置,形状の変更等の成膜装置自体の改善等がある。
また、成膜装置を用いる工程Y以外の工程Zで特定分布の欠陥が歩留まりに影響を与えたと判定された場合でも、ウエハを扱うロボットアームの接触やウエハ保持具の不具合等を不良原因として絞り込むこともができるため、工程Zがロボットアームやウエハ保持具を用いる場合、実施の形態7の欠陥解析方法による解析結果によって有効に改善を図ることができる。
また、具体的な不良原因が容易に特定できない場合でも、実施の形態1〜11の解析結果に基づく製造工程の改善はもちろん可能である。例えば、ドライエッチング工程が、実施の形態1〜11の欠陥解析方法によって歩留まりに影響を与えたと判定された場合、ドライエッチング装置の構造、材質、レシピ、使用材料の純度などの検討を集中的に行うことにより、ドライエッチング工程を改善して歩留まりの高い生産ラインを得ることができる。
さらに、実施の形態1〜11の欠陥解析方法を実施の形態12の欠陥解析システムを用いて行うことにより、手作業に比べて解析時間を短時間に抑えながら、大量のデータによって統計的に信頼できる解析結果を得ることができるため、製造工程の改善に大変有効である。
<<実施の形態13>>
<原理>
実施の形態13では実施の形態1と同様、新規欠陥の有無及び良・不良判定に基づき、図4の(1)〜(4)に示すように4つに分類して、過去の解析処理を行い、各工程の致命率RFを求める。
そして、新たなデバイス製造時におけるA工程〜F工程それぞれの推定歩留まりBDA〜BDFを、上記過去の解析処理によって求めた致命率RFと新たに検出した新規欠陥数とによって算出した後、全工程の歩留まりを推定して工程管理を行う。
<方法>
図19はこの発明の実施の形態13である歩留まり推定方法(工程管理方法)を示すフローチャートである。具体的な内容を示すため、実施の形態13では実施の形態1と同様デバイス(集積回路)がA、B、C、D、E、Fの6工程を経て製造され、A〜F工程後にそれぞれ検査装置を用いて欠陥検査を行っている。以下、実施の形態13の歩留まり推定方法の処理手順について説明する。
同図を参照して、ステップS71で、検査装置を用いてA〜F工程それぞれにおける新規欠陥の座標及び検出サイズを抽出し、ステップS72で、全工程終了後に電気テスタによる良否判定をチップ単位に行う。そして、ステップS73で、A〜F工程それぞれにおいて、検出されたすべての新規欠陥を有効とする識別条件で新規欠陥の有無をチップ単位に判定する。
次に、ステップS74において、A〜F工程それぞれにおいて、ステップS73で検出された新規欠陥とステップS72で得た良否判定結果との照合をウエハマップ上で行い、新規欠陥の有無及び良・不良判定に基づき、実施の形態1の図4の(1)〜(4)に示すように4つに分類する。
その後、ステップS75において、4つに分類されたチップの数に基づき、実施の形態1で述べた(IV)式に示すように、(1)と(2)の領域の良品率rg1(=(1)/((1)+(2)))と、(3)と(4)の領域の良品率rg3(=(3)/((3)+(4)))とに基づく良品率RGを求め、(V)式に示すように良品率RGに基づき新規欠陥の致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。
以上、ステップS71〜S75の処理からなる過去の解析処理の解析結果によって所定のデバイスを製造する場合のA〜F工程それぞれの致命率RFを得ることができる。その後、所定のデバイスを同じA〜F工程で新たに製造する場合の歩留まりを推定する現在の推定処理が以下のステップである。
ステップS76において、新たな集積回路の製造時におけるA〜F工程の推定歩留まりBDA〜BDFを求める。その内容は以下の通りである。
まず、過去の解析処理のステップS71と同様に、検査装置を用いて、新たに行うA〜F工程それぞれにおける新規欠陥の座標及び検出サイズを抽出し、過去の解析処理のステップS73と同様に、新たに行うA〜F工程それぞれにおいて、検出されたすべての新規欠陥を有効とする識別条件で新規欠陥の有無をチップ単位に判定する。
そして、新たに検出した新規欠陥チップ数とステップS75の過去の解析処理で求めた致命率RFとに基づき、新たな集積回路の製造時における各工程の推定歩留まりを求める。
例えば、D工程において検査装置で検出した新規欠陥チップNCDが48チップの場合、ステップS75で求めた致命率RF(仮に、62.5%とする。)を用いて、D工程の工程不良チップ数NBDは下記(VII)のように求めることができる。
NBD=NCD×RF=30…(VII)
そして、D工程単独の推定歩留まりBDDは、全チップ数ACとすると下記(VIII)式のように求めることができる。
BDD=(AC−NBD)/AC=0.778…(VIII)
同様に、他の工程であるA工程〜C工程、E工程及びF工程における推定歩留まりBDA〜BDC,BDE及びBDFも求める。
最後に、ステップS77において、(IX)式に示すように、全工程における推定歩留まりBDALLを求める。
BDALL=BDA・BDB・BDC・BDD・BDE・BDF…(IX)
このように、実施の形態13の歩留まり推定方法では、過去の解析結果(ステップS71〜S75)を参照して、最新情報である現在実行中の各工程の新規欠陥チップ数に基づき、最新のデバイス製造時の歩留まりを精度良く推定することができる。
<<実施の形態14>>
<原理>
実施の形態13では実施の形態1と同様、新規欠陥の有無及び良・不良判定に基づき、図4の(1)〜(4)に示すように4つに分類して、過去の解析処理を行ったが、実施の形態14では実施の形態13と異なり、新規欠陥の検出サイズを複数に区分した上で上記4つの分類を行い、サイズ区分毎の致命率RFを求める。
実施の形態14では、新規欠陥の検出サイズが1μm未満の場合、1μm以上2μm未満の場合、及び2μm以上の場合の3通りにサイズ区分している。すなわち、A工程〜F工程それぞれに3通りの致命率RFが求められ、新たなデバイス製造時におけるA工程〜F工程それぞれの推定歩留まりBDA〜BDFは、3通りの検出サイズの新規欠陥チップ数とそれに対応する致命率RFとによって推定される。
<方法>
過去の解析処理は、図19で示したステップS71〜S75とほぼ同様であるが、ステップS74における分類、ステップS75における致命率の算出がそれぞれ新規欠陥の検出サイズ毎に区分される点が異なる。以下、D工程の場合を例を挙げて説明する。
(ステップS74に関連して)
新規欠陥の検出サイズが1μm未満の場合は、135チップをチップ単位で、図20に示すように、(1)欠陥なし・良品48チップ、(2)欠陥なし・不良品42チップ、(3)欠陥有り・良品5チップ、(4)欠陥有り・不良品19チップ、(5)サイズ不適合(1μm未満以外)の欠陥有り30チップの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
新規欠陥のサイズが1μm以上2μm未満の場合は、135チップをチップ単位で、図21に示すように、(1)欠陥なし・良品48チップ、(2)欠陥なし・不良品42チップ、(3)欠陥有り・良品4チップ、(4)欠陥有り・不良品17チップ、(5)サイズ不適合(1μm以上2μm未満以外)の欠陥有り24チップの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
新規欠陥のサイズが2μm以上の場合は、135チップをチップ単位で、図22に示すように、(1)欠陥なし・良品48チップ、(2)欠陥なし・不良品42チップ、(3)欠陥有り・良品0チップ、(4)欠陥有り・不良品9チップ、(5)サイズ不適合(2μm以上以外)の欠陥有り36チップの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
(ステップS75に関連して)
新規欠陥のサイズが1μm未満の場合(図20)は、(IV)式に示すように、(1)と(2)の領域の良品率rg1(=(1)/((1)+(2)))と、(3)と(4)の領域の良品率rg3(=(3)/((3)+(4)))とに基づく良品率RGを求め、(V)式に示すように良品率RGに基づき、新規欠陥のサイズが1μm未満の新規欠陥の致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。なお、図20の例では、致命率RF=0.375となる。
新規欠陥のサイズが1μm以上2μm未満の場合(図21)は、(IV)式に示すように、(1)と(2)の領域の良品率rg1(=(1)/((1)+(2)))と、(3)と(4)の領域の良品率rg3(=(3)/((3)+(4)))とに基づく良品率RGを求め、(V)式に示すように良品率RGに基づき、新規欠陥のサイズが1μm以上2μm未満の新規欠陥の致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。図21の例では、致命率RF=0.786となり、新規欠陥のサイズが1μm未満の新規欠陥の致命率RFより高くなっている。
新規欠陥のサイズが2μm以上の場合(図22)は、(IV)式に示すように、(1)と(2)の領域の良品率rg1(=(1)/((1)+(2)))と、(3)と(4)の領域の良品率rg3(=(3)/((3)+(4)))とに基づく良品率RGを求め、(V)式に示すように良品率RGに基づき、新規欠陥のサイズが2μm以上の新規欠陥の致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。図22の例では、致命率RF=1.0となり、新規欠陥のサイズが1μm以上2μm未満の新規欠陥の致命率RFよりさらに高く完全致死となっている。
現在の推定処理は、図19で示したステップS76,S77とほぼ同様であるが、ステップS76における分類、A〜F工程それぞれの推定歩留まりの算出が新規欠陥の検出サイズによって区分されて得られた値の和となる点が異なる。以下、D工程の場合を例を挙げて説明する。
(ステップS76に関連して)
新たなデバイスの製造時にD工程において発生した新規欠陥チップ数を、1μm未満の場合、1μm以上2μm未満の場合、及び2μm以上の場合の3通りに区別して行う。但し、1チップの2ヶ以上の欠陥があるものについてはその中で一番大きな欠陥サイズを採用して分類する。
例えば、1μm未満の新規欠陥が23チップ、1μm以上2μm未満の新規欠陥が10チップ、2μm以上の新規欠陥が15チップに分布したことを検知された場合、1μm未満の新規欠陥の不良チップ個数=23×0.375=8.6チップ、1μm以上2μm未満の新規欠陥の不良チップ個数=10×0.786=7.9チップ、2μm以上の新規欠陥の不良チップ個数=15×1.0=15チップとなる。
その結果、D工程の工程不良チップ数NB=8.6+7.9+15.0=31.5チップとなる。したがって、D工程単独の推定歩留まりBDDは(VIII)式で求めることができる。
このように、実施の形態14の歩留まり推定方法では、新規欠陥の検出サイズ毎に区別された致命率RFに基づき、各工程の推定歩留まりを算出するため、過去の解析時のウエハの粒度分布と現在の推定時のウエハの粒度分布とが異なっていても精度よく歩留まりを推定することができる。例えば、D工程が成膜工程であって、材料ガスの噴出口のクリーニングが十分でなく、粒径の揃った3μm以上の異物が発生した場合にも精度よく推定することができる。
従来、JIS規格B9920に示されるように、粒径と累積頻度の関係は図23に示すような単純なべき上の関係で近似されていたにすぎなかったが、実施の形態14では新規欠陥の検出サイズ毎に独立した致命率が求められているため、図24に示すような単純な関係にない新規欠陥がウエハ上に発生した場合にも対応することができる。
実施の形態14のステップS75で算出された、各工程における新規欠陥の検出サイズ毎の致命率は、実際の過去の結果に基づいて算出されているため、たとえ検出したときは小さいサイズの欠陥でも後に成長して上下のレイヤーを突き破る欠陥の有無や、レイヤーごとのデバイスパターンの粗密によってデバイスに影響を与える欠陥のサイズが異なる場合も考慮した値となるため、ステップS76,S77で精度良く推定歩留まりを算出することができる。
なお、実施の形態14では、新規欠陥のサイズを1μm単位で3種類に区別したがが、区別する大きさ、区別する数は任意に設定することができる。
また、実施の形態14では、D工程の新規欠陥が2μm以上の場合は完全致死であることが判明したが、必ずしも電子顕微鏡等で実測されるサイズに対応させる必要はない。新規欠陥のサイズの大小関係が明確な区別が可能であれば十分である。実施の形態14のように連続的な欠陥サイズので区別されずとも、大中小の3区分でその3区分それぞれの致命率に基づいて推定歩留まりを算出することもできる。
<<実施の形態15>>
<原理>
実施の形態13では実施の形態1と同様、新規欠陥の有無及び良・不良判定に基づき、図4の(1)〜(4)に示すように4つに分類して、過去の解析処理を行ったが、実施の形態15では実施の形態13と異なり、同一チップに存在する新規欠陥の個数によって複数に区分した上で上記4つの分類を行い、個数区分毎の致命率RFを求める。
実施の形態15では、新規欠陥の個数が1ヶ所単独の場合、2カ所存在の場合、及び3ヶ所以上の場合の3通りに区分している。すなわち、A工程〜F工程それぞれに3通りの致命率RFが求められ、新たなデバイス製造時におけるA工程〜F工程それぞれの推定歩留まりBDA〜BDFは、3通りの個数の新規欠陥チップ数とそれに対応する致命率RFとによって推定される。
<方法>
過去の解析処理は、図19で示したステップS71〜S75とほぼ同様であるが、ステップS74における分類、ステップS75における致命率の算出がそれぞれ新規欠陥の個数によって区分される点が異なる。以下、D工程の場合を例を挙げて説明する。
(ステップS74に関連して)
新規欠陥のサイズが1ヶ所単独の場合は、135チップをチップ単位で、図24に示すように、(1)欠陥なし・良品48チップ、(2)欠陥なし・不良品42チップ、(3)欠陥有り・良品8チップ、(4)欠陥有り・不良品31チップ、(5)個数不適合(1ヶ所単独以外)の欠陥有り6チップの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
新規欠陥のサイズが2カ所存在の場合は、135チップをチップ単位で、図25に示すように、(1)欠陥なし・良品48チップ、(2)欠陥なし・不良品42チップ、(3)欠陥有り・良品1チップ、(4)欠陥有り・不良品4チップ、(5)個数不適合(2カ所存在以外)の欠陥有り40チップの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
新規欠陥のサイズが3ヶ所以上の場合は、135チップをチップ単位で、図26に示すように、(1)欠陥なし・良品48チップ、(2)欠陥なし・不良品42チップ、(3)欠陥有り・良品0チップ、(4)欠陥有り・不良品1チップ、(5)個数不適合(3ヶ所以上以外)の欠陥有り44チップの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
(ステップS75に関連して)
新規欠陥のサイズが1ヶ所単独の場合(図24)は、(IV)式に示すように、(1)と(2)の領域の良品率rg1(=(1)/((1)+(2)))と、(3)と(4)の領域の良品率rg3(=(3)/((3)+(4)))とに基づく良品率RGを求め、(V)式に示すように良品率RGに基づき、新規欠陥の個数が1ヶ所単独の新規欠陥の致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。なお、図24の例では、致命率RF=0.615となる。
新規欠陥の個数が2カ所存在の場合(図25)は、(IV)式に示すように、(1)と(2)の領域の良品率rg1(=(1)/((1)+(2)))と、(3)と(4)の領域の良品率rg3(=(3)/((3)+(4)))とに基づく良品率RGを求め、(V)式に示すように良品率RGに基づき、新規欠陥の個数が2カ所存在の新規欠陥の致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。図25の例では、致命率RF=0.625となり、新規欠陥の個数が1ヶ所単独の新規欠陥の致命率RFより高くなっている。
新規欠陥の個数が3ヶ所以上の場合(図26)は、(IV)式に示すように、(1)と(2)の領域の良品率rg1(=(1)/((1)+(2)))と、(3)と(4)の領域の良品率rg3(=(3)/((3)+(4)))とに基づく良品率RGを求め、(V)式に示すように良品率RGに基づき、新規欠陥の個数が3ヶ所以上の新規欠陥の致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。図26の例では、致命率RF=1.0となり、新規欠陥の個数が2カ所存在の新規欠陥の致命率RFよりさらに高く完全致死となっている。
このように、同一チップに存在する新規欠陥数が多くなるほど致命率RFが高くなっている。以下、その理由を考える。欠陥検査は対象とするチップの面積を100%測定しているとは限らず、領域によっては感度が低下していたり全く測定されていない場合もある。このような場合、特定の原因により1チップに集中して欠陥が発生していたとしても、全欠陥数が検出されていない場合がある。
一方、欠陥はチップ内の位置によって、パターンの粗密や冗長回路の多少で致命になる場合とならない場合がある。これは検出されている欠陥はもちろん検出されていない欠陥にも当てはまる。すなわち、同一チップで検出されている欠陥数が多いほど、実際に存在する欠陥数が多く致命になっている可能性が高いと考えられる。
現在の推定処理は、図19で示したステップS76,S77とほぼ同様であるが、ステップS76における分類、A〜F工程それぞれの推定歩留まりの算出が新規欠陥の個数によって区分されて得られた値の和となる点が異なる。以下、D工程の場合を例を挙げて説明する。
(ステップS76に関連して)
新たなデバイスの製造時にD工程において発生した新規欠陥チップ数を、1ヶ所単独の場合、2カ所存在の場合、及び3ヶ所以上の場合の3通りに区別して行う。
例えば、1ヶ所単独の新規欠陥が33チップ、2カ所存在の新規欠陥が2チップ、3ヶ所以上の新規欠陥が13チップに分布したことを検知された場合、1ヶ所単独の新規欠陥の不良チップ個数=33×0.615=20.3チップ、2カ所存在の新規欠陥の不良チップ個数=2×0.625=1。3チップ、3ヶ所以上の新規欠陥の不良チップ個数=13×1.0=13チップとなる。
その結果、D工程の工程不良チップ数NB=20.3+1.3+13.0=34.6チップとなる。したがって、D工程単独の推定歩留まりBDDは(VIII)式で求めることができる。
このように、実施の形態15の歩留まり推定方法では、新規欠陥の個数毎に区別された致命率RFに基づき、各工程の推定歩留まりを算出するため、図27に示すように、過去の解析時のウエハの集合分布(L1)と現在の推定時のウエハの集合分布(L2)とが異なっていても精度よく歩留まりを推定することができる。例えば、D工程が成膜工程であって、材料ガスの噴出口のクリーニングが十分でなく、噴出口付近のチップに異物が集中して発生した場合でも精度よく推定することができる。
単純に無作為に欠陥が分布しているとして解析すれば、推定歩留まりの精度は劣化するが、新規欠陥の個数別に区別された致命率RFが求められているため、異物が集中する等、解析時と異なる集合分布の新規欠陥がウエハ上に発生した場合にも対応することができる。
なお、実施の形態15では、新規欠陥の個数を1個単位で3種類に区分したがが、さらに多い種類で区分しても良い。ただし、存在数の上限は概ね10個で良い。例えば、1つのウエハに100チップ存在し、新規欠陥が無作為に500個あった場合、1〜10個で分類すれば98%のチップが含まれ、1〜11個で分類すれば99%以上のチップが確実に含まれるため、実用上、10個程度で十分である。
10個を上回る新規欠陥が1チップに存在する場合は、特定の原因によって特定の分布をしていると見なせることが大部分であるため、「区分した最大存在数以上」に分類すれば十分である。したがって、実用上十分な精度の範囲で個数の上限を設定することにより、過去の解析及び現在の推定の簡便化を図ることができる。
<<実施の形態16>>
<原理>
実施の形態13では実施の形態1と同様、新規欠陥の有無及び良・不良判定に基づき、図4の(1)〜(4)に示すように4つに分類して、過去の解析処理を行ったが、実施の形態16では実施の形態13と異なり、同一チップに存在する新規欠陥の特定分布によって複数に区別した上で上記4つの分類を行い、特定分布区分毎の致命率RFを求める。
実施の形態16では、図28に示すようなウエハ20上の特定分布にある新規欠陥9と、特定分布以外の新規欠陥との2通りに区別している。すなわち、A工程〜F工程それぞれに2通りの致命率RFが求められ、新たなデバイス製造時におけるA工程〜F工程それぞれの推定歩留まりBDA〜BDFは、2通りの新規欠陥チップ数とそれに対応する致命率RFとによって推定される。
<方法>
過去の解析処理は、図19で示したステップS71〜S75とほぼ同様であるが、ステップS74における分類、ステップS75における致命率の算出がそれぞれ新規欠陥が特定分布に存在するか否かで区分される点が異なる。以下、D工程の場合を例を挙げて説明する。
(ステップS74に関連して)
新規欠陥が特定分布に存在する場合について。(1)欠陥なし・良品、(2)欠陥なし・不良品、(3)欠陥有り・良品、(4)欠陥有り・不良品、(5)特定分布不適合(特定分布以外の欠陥有り)の欠陥有りの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
新規欠陥が特定分布以外に存在する場合について。(1)欠陥なし・良品、(2)欠陥なし・不良品、(3)欠陥有り・良品、(4)欠陥有り・不良品、(5)特定分布不適合(特定分布の欠陥有り)の欠陥有りの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
(ステップS75に関連して)
新規欠陥が特定分布に存在する場合について、(V)式に示すように良品率RGに基づき致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。
新規欠陥が特定分布以外に存在する場合それぞれについて、(V)式に示すように良品率RGに基づき致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。
現在の推定処理は、図19で示したステップS76,S77とほぼ同様であるが、ステップS76における分類、A〜F工程それぞれの推定歩留まりの算出が特定分布での存在の有無によって区分されて得られた値の和となる点が異なる。以下、D工程の場合を例を挙げて説明する。
(ステップS76に関連して)
新たなデバイスの製造時にD工程において発生した新規欠陥チップ数を、新規欠陥が特定分布に存在する場合、及び新規欠陥が特定分布以外に存在する場合の2通りに区別して行う。
そして、新規欠陥が特定分布に存在するチップ数にその致命率を掛け合わせることにより、新規欠陥が特定分布に存在する場合の不良チップ個数を算出するとともに、新規欠陥が特定分布以外に存在するチップ数にその致命率を掛け合わせることにより、新規欠陥以外が特定分布に存在する場合の不良チップ個数を算出する。
そして、新規欠陥が特定分布に存在する場合の不良チップ個数と新規欠陥が特定分布以外に存在する場合の不良チップ個数とを足し合わせることにより、D工程の工程不良チップ数NBを得る。したがって、D工程単独の推定歩留まりBDDは(VIII)式で求めることができる。
このように、実施の形態16の歩留まり推定方法では、新規欠陥が特定分布への存在の有無で区別された致命率RFに基づき、各工程の推定歩留まりを算出するため、過去の解析時のウエハの特定分布と現在の推定時のウエハの特定分布との状態が異なっていても精度よく歩留まりを推定することができる。
なお、実施の形態16では、特定分布を1種類のみ示したが、複数種の特定分布を用いても良いことは勿論である。例えば、特定分布が3種類ある場合、新規欠陥が3種類の特定分布のそれぞれに存在する場合の3通りと、3種類の特定分布以外に存在する場合の1通りの計4通りに分類して、致命率の解析、不良チップ個数の推定を行うことになる。
<<実施の形態17>>
<原理>
実施の形態13では実施の形態1と同様、新規欠陥の有無及び良・不良判定に基づき、図4の(1)〜(4)に示すように4つに分類して、過去の解析処理を行ったが、実施の形態17では実施の形態13と異なり、同一チップに存在する新規欠陥の形状種別によって複数に区別した上で上記4つの分類を行い、形状区分毎の致命率RFを求める。
なお、新規欠陥の形状種別は光学顕微鏡や電子顕微鏡等で観察することにより認識することができる。欠陥形状種別としては、パターン欠陥、異物、汚染物質(シミ)付着、傷等が有る。
実施の形態17では、特定形状の新規欠陥と、特定形状以外の新規欠陥との2通りに区分している。すなわち、A工程〜F工程それぞれに2通りの致命率RFが求められ、新たなデバイス製造時におけるA工程〜F工程それぞれの推定歩留まりBDA〜BDFは、2通りの新規欠陥チップ数とそれに対応する致命率RFとによって推定される。
<方法>
過去の解析処理は、図19で示したステップS71〜S75とほぼ同様であるが、ステップS74における分類、ステップS75における致命率の算出がそれぞれ特定形状の新規欠陥が存在するか否かで区分される点が異なる。以下、D工程の場合を例を挙げて説明する。
(ステップS74に関連して)
特定形状の新規欠陥が存在する場合について、(1)欠陥なし・良品、(2)欠陥なし・不良品、(3)欠陥有り・良品、(4)欠陥有り・不良品、(5)特定形状不適合(特定形状以外の欠陥有り)の欠陥有りの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
特定形状以外の新規欠陥が存在する場合について。(1)欠陥なし・良品、(2)欠陥なし・不良品、(3)欠陥有り・良品、(4)欠陥有り・不良品、(5)特定形状不適合(特定形状の欠陥有り)の欠陥有りの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
(ステップS75に関連して)
特定形状の新規欠陥が存在する場合について、(V)式に示すように良品率RGに基づき致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。
特定形状以外の新規欠陥が存在する場合それぞれについて、(V)式に示すように良品率RGに基づき致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。
現在の推定処理は、図19で示したステップS76,S77とほぼ同様であるが、ステップS76における分類、A〜F工程それぞれの推定歩留まりの算出が特定形状の有無によって区分されて得られた値の和となる点が異なる。以下、D工程の場合を例を挙げて説明する。
(ステップS76に関連して)
新たなデバイスの製造時にD工程において発生した新規欠陥チップ数を、特定形状の新規欠陥が存在する場合、及び特定形状以外の新規欠陥が存在する場合の2通りに区別して行う。
そして、特定形状の新規欠陥が存在するチップ数にその致命率を掛け合わせることにより、特定形状の新規欠陥が存在する場合の不良チップ個数を算出するとともに、特定形状以外の新規欠陥が存在するチップ数にその致命率を掛け合わせることにより、新規欠陥以外が特定分布に存在する場合の不良チップ個数を算出する。
そして、特定形状の新規欠陥が存在する場合の不良チップ個数と特定形状以外の新規欠陥が存在する場合の不良チップ個数とを足し合わせることにより、D工程の工程不良チップ数NBを得る。したがって、D工程単独の推定歩留まりBDDは(VIII)式で求めることができる。
特定形状の原因となる欠陥種別としては、パターン欠陥、異物、汚染物質(シミ)付着、傷等が有る。パターン欠陥としては、ショート(本来分離すべき2つの配線あるいは層がショートしている)、断線(本来接続されるべき配線あるいは層が分離されている)、形状異常(パターンの形状が異常になっている)等がある。ショート、断線については異物をマスクとしたパターニング等が原因として考えられる。異物としては付着異物、エッチング残査等があり、汚染物質付着としてはウエット漕の汚染物付着等があり、傷としては例えばハンドリングミスによってウエハを引っ掻いた場合に生じる傷が考えられる。
このような欠陥種別によって特定形状の欠陥が形成されるため、特定形状の新規欠陥は発生原因と密接に関連する場合が多い。したがって、実施の形態17の歩留まり推定方法では、特定形状の新規欠陥が存在するか否か区別された致命率RFに基づき、各工程の推定歩留まりを算出するため、歩留まりを高精度に推定することができる。
なお、実施の形態17では、特定形状が1種類の場合を示したが、複数種の特定形状を用いても良いことは勿論である。例えば、特定形状が3種類ある場合、3種類の特定形状の新規欠陥がそれぞれに存在する場合の3通りと、3種類の特定形状以外の新規欠陥が存在する場合の1通りの計4通りに分類して、致命率の解析、不良チップ個数の推定を行うことになる。
<<実施の形態18>>
<原理>
実施の形態13では実施の形態1と同様、新規欠陥の有無及び良・不良判定に基づき、図4の(1)〜(4)に示すように4つに分類して、過去の解析処理を行ったが、実施の形態18では実施の形態13と異なり、同一チップに存在する新規欠陥の検出サイズ、検出個数、特定分布上での新規欠陥の存在性、特定形状の有無等の種々の条件のうち、少なくとも2つの組合せによって複数に区分した上で上記4つの分類を行い、組合せ条件区分毎の致命率RFを求める。
実施の形態18では、表2に示すように、新規欠陥の検出サイズ(4通り)と同一チップに存在する新規欠陥数(11通り)との44通りに区別している。すなわち、A工程〜F工程それぞれに44通りの致命率RFが求められ、新たなデバイス製造時におけるA工程〜F工程それぞれの推定歩留まりBDA〜BDFは、44通りの新規欠陥チップ数とそれに対応する致命率RFとによって推定される。
<方法>
過去の解析処理は、図19で示したステップS71〜S75とほぼ同様であるが、ステップS74における分類、ステップS75における致命率の算出がそれぞれ条件区分される点が異なる。以下、D工程の場合を例を挙げて説明する。
(ステップS74に関連して)
組合せ条件区分それぞれについて、(1)欠陥なし・良品、(2)欠陥なし・不良品、(3)欠陥有り・良品、(4)欠陥有り・不良品、(5)条件不適合の欠陥有りの5種類に分類され、(1)〜(4)が本来の分類対象となる。
(ステップS75に関連して)
組合せ条件区分それぞれについて、(V)式に示すように良品率RGに基づき、表2に示すように、致命率RFをA〜F工程それぞれについて求める。なお、表2において、「不明」と記されている箇所は該当欠陥が存在せず致命率が算出できなかった場合を意味する。
現在の推定処理は、図19で示したステップS76,S77とほぼ同様であるが、ステップS76における分類、A〜F工程それぞれの推定歩留まりの算出が表2の区分されて得られた値の和となる点が異なる。以下、D工程の場合を例を挙げて説明する。
(ステップS76に関連して)
新たなデバイスの製造時にD工程において発生した新規欠陥チップ数を、表2に沿った区別をして行う。但し、1チップの2ヶ以上の欠陥があるものについてはその中で一番大きな検出サイズを採用して分類する。また、上記以外でも所定の条件を予め設定しておき、1チップの2ヶ以上の欠陥があるものについては所定の条件によって検出サイズを採用しても良い。
そして、区分されたそれぞれの新規欠陥のチップ数に対応の致命率を掛け合わせることにより、区別されたそれぞれ新規欠陥による不良チップ個数を算出する。
そして、区別されたそれぞれ新規欠陥による不良チップ個数のすべてを合計することにより、D工程の工程不良チップ数NBを得る。したがって、D工程単独の推定歩留まりBDDは(VIII)式で求めることができる。
このように、実施の形態18の歩留まり推定方法では、同一チップに存在する新規欠陥の検出サイズ、検出個数、特定分布上での存在、特定形状の有無等の種々の条件の組合せによって複数に区分した致命率RFに基づき、各工程の推定歩留まりを算出するため、過去の解析時のウエハの種々の状態と現在の推定時のウエハの種々の状態とが異なっていてもかなり精度よく歩留まりを推定することができる。
<<実施の形態19>>
<原理>
実施の形態13〜18は、1枚のウエハ上にある欠陥のみを過去の解析データとして用いてきたが、複数枚のウエハ上にある欠陥を過去の解析データとして用いて実施の形態13〜18の歩留まり推定方法のうちいずれかの方法を実行したの実施の形態19である。
例えば、ロット内の複数枚のウエハにおけるチップ数の分類を合計し解析することにより、ロット単位での過去の欠陥解析を行う。これは、ロットをさらに束ねた処理バッチ単位などで解析を行っても同様である。
このように、実施の形態19の歩留まり推定方法は、複数枚のウエハにおける欠陥の有無と良否判定結果とに基づく分類を行って過去の欠陥解析を行うことにより、統計的な信頼性の高い解析結果に基づき高精度に歩留まりを推定することができる。
例えば、1枚のウエハにおいて、計算に用いる4つの種類分けのうち、分類された領域に該当するチップ数が極端に少ない場合、ウエハ1枚での欠陥解析での信頼性は低下する恐れがあるが、実施の形態19のよるに複数枚単位で分類して欠陥解析を行うことにより、一度の欠陥解析処理に計算する総チップ数を多くすることができる分、統計的な信頼性が高まるのは明らかである。
特に、実施の形態18のように、区分される項目数が多い場合に、実施の形態19は有効な方法となる。なお、過去の解析対象となる複数のウエハは粒度分布や集合分布等が同じものである必要はない。
<方法>
過去の解析対象とするウエハを複数枚にすることにより、実施の形態13〜18で述べた方法をそのまま採用することができる。
<<実施の形態20>>
<原理>
過去の解析の結果、例えば、検出サイズが0.5μm未満の新規欠陥が歩留まりに全く影響を与えないことが判明した場合、検出サイズが0.5μm未満の新規欠陥をチップを、欠陥なしのチップとみなし、新たに図4の(1)あるいは(2)に分類し直して再解析と行うのが実施の形態20である。
このように、実施の形態20の歩留まり推定方法は、歩留まりに対する影響に即した新規欠陥の有無の判定を行いながら、ウエハにおける欠陥の有無と良否判定結果とに基づく分類を行って過去の欠陥解析を行うことにより、歩留まりに対する統計的な信頼性の高い解析結果に基づき高精度に歩留まりを推定することができる。
<方法>
歩留まりの影響に基づき再解析を行う以外は、実施の形態13〜18で述べた方法をそのまま採用することができる。
<<実施の形態21>>
<原理>
実施の形態13〜20では、全工程における歩留まりを推定することを最終目的としたが、工程途中までの歩留まり推定結果を活用することを主眼としたのが実施の形態21である。
A〜F工程の欠陥検査が終了する前に、例えば、D工程の欠陥検査の段階でD工程の工程不良チップ数NBを推定計算し、D工程を行う半導体製造装置の管理に利用する。
従来でも、製品の欠陥検査を行って、その欠陥数の多少から半導体製造装置の異常を検知して、致命にならず歩留まりにほとんど影響を与えない小さな粒径の欠陥が増えたときに当該製造装置が異常であると誤判定したり、致命率の高い歩留まりに大きな影響を与える重大欠陥が存在しても、これらの重大欠陥を含む欠陥総数が所定の基準以下の場合は異常を見逃してしまったりして実用的ではなかった。
しかしながら、実施の形態13〜20の歩留まり推定方法は、新規欠陥の有無及び良・不良判定に基づき、解析を行い各工程の致命率RFを求め、上記過去の解析処理によって求めた致命率RFと新たに検出した新規欠陥数とによって各工程の歩留まりを推定しているため、その精度は高い。
したがって、異常を見逃して半導体製品の歩留まりを通常時よりも低下させたり、異常であると誤判定して不必要な製造装置のクリーニング等のために製造装置の稼働率を低下させることもない。
一方、D工程までの歩留まり総計を計算することによって、後の工程を経ても経済的に十分な歩留まりが期待できないウエハの脱落や、また、十分な歩留まりが期待できない状態がロット全体に及んでいる場合はロットの脱落等を判断することができる。さらに、全工程が終了する前に良品の数がある程度予想できるため、納期と必要出荷数を確保するために必要とする新たなウエハ投入量の調整を正確に行うことができる。
<方法>
図29はこの発明の実施の形態21である歩留まり推定方法を示すフローチャートである。具体的な内容を示すため、実施の形態21では実施の形態1と同様デバイス(集積回路)がA、B、C、D、E、Fの6工程を経て製造され、A〜F工程後にそれぞれ検査装置を用いて欠陥検査を行っている。以下、実施の形態20処理の流れについて説明する。
過去の解析処理であるステップS81〜85は、図19で示したステップS71〜S75と全く同様である。
以上、ステップS81〜S85の処理によって、過去の解析結果によって所定のデバイスを製造する場合のA〜F工程それぞれの致命率RFを得ることができる。その後、所定のデバイスを同じA〜F工程で新たに製造する場合のステップが以下のステップである。
まず、ステップS86において、新たな集積回路の製造時におけ現工程の推定歩留まりを求める。例えば、現工程がD工程の場合、D工程の検査装置で検出した、新規欠陥検出結果に基づきD工程単独の推定歩留まりBDDを求める。
そして、D工程の歩留まりBDDが所定の基準以下である場合、D工程の製造装置に異常があると判定する。
最後に、ステップS87において、現工程までにおける中途推定歩留まりBDMIDを求める。例えば、現工程がD工程の場合、BDMID=BDA・BDB・BDC・BDDとなる。
そして、中途推定歩留まりBDMIDが所定の最低基準以下である場合、E工程、F工程を経ても経済的に十分な歩留まりが期待できないと判定する。
このように、実施の形態21の歩留まり推定方法では、過去の解析結果(ステップS81〜S85)を参照して、最新情報である現在実行中の工程の新規欠陥検出結果に基づき、デバイス製造時の中途歩留まりを推定することにより、現在稼働中の生産ラインの運営を効率的に行うことができる。
<<実施の形態22>>
<原理>
実施の形態13では、算出した全工程における推定歩留まりをそのまま採用したが、推定歩留まりと実際の歩留まりとの過去の解析結果に基づき、推定歩留まりを補正したの実施の形態22である。
図30は、過去に製造した5枚のウエハの実際の歩留まりBDREALと、実施の形態13の歩留まり推定方法で求めた全工程における推定歩留まりBDALLとの関係を示したグラフである。同図の直線L3に示すように、実際の歩留まりBDREALと推定歩留まりBDALLとは一致していない。
この原因として、欠陥検査が全ての歩留まり低下の要因を捕らえているとは限らないことや、チップ単位での均一分布の仮定と現実の分布とが完全に一致していない等が考えられる。
そこで、これらの原因によるずれを考慮して、実際の歩留まりBDREALと推定歩留まりBDALLとの過去の比較結果に基づき、新たに算出した推定歩留まりBDALLを補正する。例えば、図30のような関係に実際の歩留まりBDREALと推定歩留まりBDALLとがある場合、次の(X)式で補正推定歩留まりCBDALLを求める。
CBDALL=BDALL−0.05…(X)
<方法>
過去の解析処理は、図19で示したステップS71〜S75と全く同様である。現在の推定処理は、図19で示したステップS76,S77とほぼ同様であるが、ステップS77において、推定歩留まりBDALLの代わりに、補正推定歩留まりCBDALLを用いる点のみ異なる。
このように、実施の形態22の歩留まり推定方法では、推定歩留まりBDALLと実際の歩留まりBDREALとの過去の比較結果に基づき、デバイス製造時の全工程における補正歩留まりを推定することにより、より精度の高い歩留まり推定が行える。
なお、実施の形態22では推定歩留まりBDALLの推定を実施の形態13の歩留まり推定方法を用いて行ったが、実施の形態14〜20の歩留まり推定方法のうちいずれの推定方法を用いても良いのは勿論である。
<<実施の形態23>>
実施の形態13〜22に示したような歩留まり推定方法をプログラムとしてCDROM等の記録媒体に記憶させて実行させたのが実施の形態23である。
なお、実施の形態23である欠陥解析システムの構成としては、図16あるいは図17で示した構成が考えられる。図16において、制御部31は、実施の形態13〜22に示した推定方法の少なくとも1つを歩留まり推定プログラムとして格納したCDROM等の記録媒体32より欠陥解析方法を読み込むことができる。
制御部31は、検査装置41〜43から得られるA工程〜F工程における過去の欠陥情報と電気テスタ33から得られる良否判定情報とに基づき、記録媒体32より読み込んだ歩留まり推定プログラムのうち過去の解析処理を実行する。さらに、制御部31は、検査装置41〜43から得られるA工程〜F工程における現在実行中の欠陥情報に基づき、記録媒体32より読み込んだ歩留まり推定プログラムのうち現在の推定処理を実行する。
例えば、記録媒体32に記録された歩留まり推定プログラムが実施の形態13の歩留まり推定方法である場合、制御部31は、図19で示した実施の形態13と同様の処理で実行する。すなわち、ステップS71〜S77の処理を制御部31の制御下で行い、特に、ステップS71の処理は検査装置を用いて行い、ステップS72の処理は電気テスタを用いて行うことになる。
なお、ステップS71の新規欠陥の座標を抽出する処理は、欠陥情報が各工程の欠陥座標位置及び欠陥サイズからなる場合、欠陥情報に基づき各工程の新規欠陥の座標を求めることとなる。
なお、制御部31が欠陥情報に基づき各工程の新規欠陥の座標を求める機能を有している場合、歩留まり推定プログラムにおけるステップS71の処理は、各工程の新規欠陥の座標を制御部31から取り込む処理となる。
このように、実施の形態23の欠陥解析システムは、実施の形態13〜22で述べた欠陥解析方法を記録媒体32に予め記録しておけば、実施の形態13〜22述べた欠陥解析が自動的に行え、製造工程への効果的な対策をより早期行うことができる。