JP4610706B2

JP4610706B2 - 偏心揺動型減速機

Info

Publication number: JP4610706B2
Application number: JP2000263820A
Authority: JP
Inventors: 洋之三好
Original assignee: Nabtesco Corp
Current assignee: Nabtesco Corp
Priority date: 2000-08-31
Filing date: 2000-08-31
Publication date: 2011-01-12
Anticipated expiration: 2020-08-31
Also published as: JP2002070959A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は偏心揺動型減速機に関し、詳しくは、偏心体が形成された偏心体軸と、偏心体軸が嵌合する外歯歯車と、外歯歯車に噛み合う内歯歯車とを有し、入力軸につながる偏心体軸の回転により外歯歯車を揺動させ、偏心体軸の入力回転を外歯歯車または内歯歯車の出力回転に変換する偏心揺動型減速機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
偏心揺動型減速機は遊星歯車減速機ともいわれ、例えば、特公昭３９−２５３９８号公報に見られるものは、原動軸の回転を２本の偏心体軸に伝え、出力軸に結合された内歯歯車に噛み合い、内歯歯車の歯数より少ない歯数の外歯歯車を揺動させて、偏心体軸の入力回転を内歯歯車の出力回転に変換している。この際、内歯歯車を固定し、外歯歯車を回転できる機構にすれば、偏心体軸の入力回転を外歯歯車の出力回転に変換できる。
【０００３】
このような偏心揺動型減速機の構造としては、特開昭５９−１０６７４４号公報に記載されるように、入力軸に接続された偏心体軸を外歯歯車の揺動回転中心に設け、偏心体軸の入力回転を、固定された内歯歯車に噛み合う回転自在の外歯歯車の回転を内ピンで出力軸に伝達する形式のものがある。このものは、片持ちの内ピンでトルクを伝達するため出力トルクが制約を受け、また、トルク伝達に寄与する内ピンの数が半数程度であるので出力トルクが大きくならない問題があり、トルクを大きくするためには内ピンを大きくする必要があり結果として装置が大きくなる問題がある。
【０００４】
これに対し、特開昭５６−３９３４１号公報に記載のものは、中心の入力軸に取り付けた原動歯車に噛み合う入力歯車を取り付けた３本の偏心体軸を、揺動位相が１８０度ずれた二つの外歯歯車の周囲に等配配置（１２０度間隔）し、且つ、各偏心体軸を両持ち支持し、入力軸の回転を偏心体軸の回転を介して外歯歯車の揺動運動に変え、この揺動運動を内歯歯車の出力回転に変換している。このものは偏心体軸を両持ちにし、複数の偏心体軸で外歯歯車を駆動し、同時にトルクも伝達するので、小型で大きなトルクを出力できる。
【０００５】
なお、特開昭５６−３９３４１号公報に記載のものは、３本の偏心体軸が全て入力軸に接続された駆動偏心体軸であるが、複数の偏心体軸の内、例えば、一の偏心体軸を入力軸に接続し、他の偏心体軸は入力軸との接続を断って自由に運動できる従動偏心体軸として、外歯歯車の回転のみを伝達する伝達軸として使用する装置も提案されている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このように複数の偏心体軸を有するものにあっては、各偏心体軸の偏心位相を一致させねばならず、偏心体軸の加工、組み立てに時間を要するという問題があった。また、複数の揺動位相の異なる外歯歯車に嵌合する位相の異なる複数の偏心体を有する偏心体軸にあっては、軸（回転軸）の加工に加えて、各位相の異なる偏心体をそれぞれ別に加工する必要があり、多くの工程を要している。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであって、入力軸に接続された駆動回転軸と、前記駆動回転軸に形成された偏心体とからなる少なくとも１個の駆動偏心体軸を有し、従動回転軸と、前記従動回転軸に形成された隣接する３個の偏心体とからなる複数の従動偏心体軸を有し、前記隣接する３個の偏心体のうち中央の偏心体は、前記従動回転軸に一体に形成され、前記中央の偏心体を挟む両側の偏心体は、前記従動回転軸に滑り嵌合し、前記駆動偏心体軸に軸受けを介して嵌合するとともに、前記３個の各偏心体に軸受けを介してそれぞれ嵌合する３個の外歯歯車を有し、前記３個の外歯歯車に噛み合う１個の内歯歯車を有し、前記駆動偏心体軸の回転により前記３個の外歯歯車を揺動させ、前記駆動偏心体軸の入力回転を前記外歯歯車または前記内歯歯車の出力回転に変換することを特徴とする。
【０００８】
これにより、従動偏心体軸は、回転軸とこれに滑り嵌合する偏心体からなりこれを組み合わせて偏心体軸とするので、加工がきわめて容易になると共に組み立ても容易となり、装置の構造も簡易なものとなる。また、本発明の偏心体軸の減速機は、外歯歯車の中心駆動方式あるいは周辺駆動方式など任意の機構、構造の偏心揺動型減速機に適用でき、また複数の揺動位相の異なる外歯歯車を有する減速機に用いて特に好適である。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施形態に基づき本発明を詳細に説明する。図１は、本発明の一実施形態の側断面図であり、図２は図１の模式的Ｘ−Ｘ断面図、図３は図１の模式的Ｙ−Ｙ断面図である。この実施形態のものは、駆動偏心体軸を中心に設けたいわゆるセンタークランク形式のもので、また偏心体軸は前述の特開昭５６−３９３４１号公報に記載のものと同様両持ち支持される構造のものである。
【００１０】
入力軸である駆動偏心体軸１０は、円形の基体１と、この基体１に形成された三つの突起柱部１ａに当接し、ボルトで固定される円形の蓋体２とにそれぞれ固定された二つの玉軸受け１１ａ、１１ｂにより回転自在に支持されている。駆動偏心体軸１０は、玉軸受け１１ａ、１１ｂに支承される回転軸１０ｄと、回転軸軸１０ｄに偏心的に且つ一体的に形成された隣接する３個の偏心体１０ａ、１０ｂ、１０ｃとからなり、軸１０ｄの入力側には原動軸（図示せず）の回転を受けるためのスプラインが刻まれ、スプライン軸としている。偏心体１０ｂと、この偏心体１０ｂを挟むように位置する両側の偏心体１０ａ、１０cとは偏心位相が１８０度異なる。偏心体１０ａ、１０ｃの偏心位相は同一である。
【００１１】
偏心体軸１０すなわち各偏心体１０ａ,１０ｂ、１０ｃは軸受け１２ａ、１２ｂ、１２ｃを介してそれぞれ外歯歯車３ａ、３ｂ、３ｃのセンタ穴に嵌合し、駆動偏心体軸１０の回転により、外歯歯車３ａ、３ｂ、３ｃを揺動させる。中央の幅広の外歯歯車３ｂと、両側の外歯歯車３ａ、３ｃとは位相が１８０度ずれた揺動運動を行う。
【００１２】
各外歯歯車３ａ、３ｂ、３ｃの周辺には、等配的に３個の穴が形成され、各穴に従動偏心体軸２０が嵌合している。従動偏心体軸２０は駆動偏心体軸１０と同様に、基体１と蓋体２とにそれぞれ固定された二つの玉軸受け２１ａ、２１ｂにより回転可能に支持される軸２０ｄと、３個の偏心体２０ａ、２０ｂ、２０ｃとからなり、各偏心体２０ａ、２０ｂ、２０ｃは、それぞれ外歯歯車３ａ、３ｂ、３ｃに軸受け２２ａ、２２ｂ、２２ｃを介して嵌合している。偏心体２０ａ、２０ｃは同一の偏心位相であり、駆動偏心体１０ａ、１０ｃと同一の偏心位相であり、偏心体２０ｂは、駆動偏心体１０ｂの偏心位相と同一である。
【００１３】
この従動偏心軸２０の偏心体のうち、偏心体２０ｂは軸２０ｄと一体的に形成されているが、偏心体２０ａ、２０ｃは、偏心軸穴を形成した円板を軸２０ｄに滑り嵌合したものである。なお、滑り嵌合とは、組み立て時軸に嵌合できる程度の隙間を持ったものを言う。
【００１４】
各外歯歯車３ａ、３ｂ、３ｃは、筒状ケーシングの内面に取り付けられたピンからなる内歯歯車４のピン４ａすなわち内歯に噛み合っている。内歯歯車４は、基体１及び蓋体２に取り付けられた軸受け５ａ、５ｂにより回転自在に支承され、駆動偏心体軸１０の回転により揺動する各外歯歯車３ａ、３ｂ、３ｃにより回転され、その回転を出力部材（図示せず）に伝達する。
【００１５】
本発明においては、駆動偏心体軸であるセンタークランクを除く周辺等配配置の従動偏心体軸は、一の偏心体を除いて他の偏心体は滑り嵌合した偏心体となしているので、先ず、偏心体軸の加工が容易であり、また、組み立ても、滑り嵌合なので、偏心体部はならって位相が合うため簡易なものとなるのである。
【００１６】
如上の実施形態のものにおいては、センタークランク式のものを示したが、本発明はセンタークランク機構、構造のものに限らず、周辺駆動機構、構造のものにも適用できる。図４は、本発明の他の実施形態の減速機の側断面図であり、周辺に等配配置された１個の駆動偏心体軸と２個の従動偏心体軸を有する減速機の駆動偏心体軸部の断面（駆動部）と、従動偏心体軸部の断面図（従動部）とを合わせて示した図である。この実施形態においては、形状、構造が図１の実施形態と異なるものの減速機構は同一であるので、機能の同一のものは、図１と同一の符号を付し新たな説明は省略する。
【００１７】
このものは周辺等配配置した偏心体軸の内一の偏心体軸１００を、スプラインを形成した入力軸である駆動偏心体軸とし、軸受け１１０ａ、１１０ｂで回転自在に支承するとともに、図１の実施形態のものと同様、中央の偏心体を挟むように２個の偏心体を設け、３個の偏心体１００ａ、１００ｂ、１００ｃを軸に一体に形成したものであり、また、他の２つの従動偏心体軸２００は軸受け２１０ａ、２１０ｂで支承するとともに、軸と一体に偏心体２００ｂを形成し、偏心穴円板の偏心体２００ａ、２００ｃを滑り嵌合したものである。このものにあっても図１の実施形態のものと同様の作用効果が得られることは明らかである。
【００１８】
以上の実施形態においては、一の駆動偏心体軸を除き、他は全て従動偏心体軸となしたが、減速機の構造、機能によっては、駆動偏心体軸を複数設け、従動偏心体軸の数を減ずることもできる。また、従動偏心体軸にあっては、一の偏心体を軸と一体に形成したものを例示したが、偏心体を全て滑り嵌合してもよく、構造、仕様などによっては、一体形成の偏心体の数を増やすこともできる。滑り嵌合の偏心体が有ることにより本発明の効果は達成できるのである。
【００１９】
【発明の効果】
本発明によれば、偏心体が形成され入力軸に接続された駆動偏心体軸と、偏心体が形成され入力軸に接続されない従動偏心体軸と、該各偏心体軸が嵌合する外歯歯車と、該外歯歯車に噛み合う内歯歯車とを有し、前記駆動偏心体軸の回転により前記外歯歯車を揺動させ、前記駆動偏心体軸の入力回転を前記外歯歯車または前記内歯歯車の出力回転に変換する偏心揺動型減速機において、前記従動偏心体軸の軸に偏心体を滑り嵌合したので、加工がきわめて容易になると共に組み立ても容易となり、装置の構造も簡易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態の側断面図
【図２】図１の模式的Ｘ−Ｘ断面図
【図３】図１の模式的Ｙ−Ｙ断面図
【図４】本発明の他の実施形態の側断面図
【符号の説明】
３ａ、３ｂ、３ｃ外歯歯車
４内歯歯車
４ａピン
１０駆動偏心体軸
１０ａ、１０ｂ、１０ｃ偏心体
２０従動偏心体軸
２０ａ、２０ｂ、２０ｃ偏心体
１００駆動偏心体軸
１００ａ、１００ｂ、１００ｃ偏心体
２００従動偏心体軸
２００ａ、２００ｂ、２００ｃ偏心体

Claims

入力軸に接続された駆動回転軸と、前記駆動回転軸に形成された偏心体とからなる少なくとも１個の駆動偏心体軸を有し、
従動回転軸と、前記従動回転軸に形成された隣接する３個の偏心体とからなる複数の従動偏心体軸を有し、前記隣接する３個の偏心体のうち中央の偏心体は、前記従動回転軸に一体に形成され、前記中央の偏心体を挟む両側の偏心体は、前記従動回転軸に滑り嵌合し、
前記駆動偏心体軸に軸受けを介して嵌合するとともに、前記３個の各偏心体に軸受けを介してそれぞれ嵌合する３個の外歯歯車を有し、
前記３個の外歯歯車に噛み合う１個の内歯歯車を有し、
前記駆動偏心体軸の回転により前記３個の外歯歯車を揺動させ、前記駆動偏心体軸の入力回転を前記外歯歯車または前記内歯歯車の出力回転に変換する偏心揺動型減速機。
前記駆動偏心体軸が１個であり、前記１個の駆動偏心体軸が前記３個の外歯歯車の回転中心に設けられ、前記１個の駆動偏心体軸の周囲に前記従動偏心体軸が等配配置された請求項１に記載の偏心揺動型減速機。
前記駆動偏心体軸と前記従動偏心体軸とが、前記３個の外歯歯車の回転中心の周囲に等配配置された請求項１に記載の偏心揺動型減速機。