JP4609179B2 - 硬質発泡合成樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は硬質発泡合成樹脂の製造方法に関する。
ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを発泡剤等の存在下で反応させて、硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリイソシアヌレートフォーム等の硬質発泡合成樹脂(以下、硬質フォームという。)を製造することは広く行われている。
ところで、発泡剤として従来用いられてきたクロロフルオロカーボン(CClF等のいわゆるCFC化合物)およびハイドロクロロフルオロカーボン(CClFCH等のいわゆるHCFC化合物)は、近年、環境保護の観点から使用が規制されている。
これらの規制対象発泡剤に代わる発泡剤としては、ハイドロフルオロカーボン(以下、HFC化合物ともいう)、ハイドロフルオロエーテル(以下、HFE化合物ともいう)、シクロペンタン等の炭化水素化合物がある。
また、水はポリイソシアネート化合物と反応することによって炭酸ガスを生成するため、上記発泡剤と水を併用したり、発泡剤として水を単独で使用することが行われている。
又、空気、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスを発泡剤として使用することも行われている。
不活性ガスを液化状態、超臨界、亜臨界状態のいずれかの状態で直接添加することも行われている。HFC化合物は地球温暖化係数が高いため、HFC化合物を発泡剤として使用する場合、その使用量を削減するために、発泡剤として水を併用する技術が検討されている。
上記HFC化合物、HFE化合物、炭化水素化合物、水、不活性ガス等を使用して、すなわちCFC化合物やHCFC化合物以外の発泡剤を使用して得られる発泡合成樹脂は、発泡剤として従来のCFC化合物やHCFC化合物を使用して得られる発泡合成樹脂と比較すると、物性の低下が見られる。特にフォーム収縮による寸法安定性の劣化が顕著である。
これに対して、発泡合成樹脂の密度を上げることにより、フォーム収縮を抑えることはできるが、一方で製造コストが増大するという問題が生じる。
下記特許文献1には、フォーム収縮を防止するために、ポリマー分散ポリオールを高水酸基価のポリオールに添加して硬質ポリウレタンフォームを製造する方法が開示されている。ポリマー分散ポリオールとは、分散媒であるポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等のベースポリオール中に、分散質であるポリマー微粒子が安定に分散した分散系をいう。該ポリマー分散ポリオールは、従来から軟質または半硬質のポリウレタンフォームの原料として、該ポリウレタンフォームの物性を向上させるために用いられてきた。下記特許文献1に記載の技術において、ポリマー分散ポリオールを高水酸基価のポリオールに添加することによって寸法安定性が良好な硬質ポリウレタンフォームが得られるのは、ポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子が何らかの作用を及ぼしているためと考えられる。
このようなポリマー分散ポリオールを製造する方法は、重合性不飽和結合を有しない飽和ポリオール中で、場合によっては重合性不飽和結合を有する不飽和ポリオールも存在する条件下で、重合性不飽和結合を有するモノマーの重合を行い、その後未反応分を除去する方法が知られている。ポリマー分散ポリオールを構成するポリオールとしては各種のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールが知られている。
従来のポリマー分散ポリオールは、軟質または半硬質のポリウレタンフォームの原料として使用されている低水酸基価(50mgKOH/g以下)のポリマー分散ポリオールである。したがって、そのような従来のポリマー分散ポリオールを、水酸基価の高い硬質ポリウレタンフォーム用ポリオールと混合しても、相溶性が乏しいため、低水酸基価のポリオールやポリマー微粒子が硬質ポリウレタンフォーム用ポリオールと分離してしまう。またはポリオールの混合物が増粘してしまう。したがって、従来の低水酸基価のポリマー分散ポリオールを硬質ポリウレタンフォーム用原料として使用することは困難であった。
一般に、ポリオール中で重合性不飽和結合を有するモノマーを重合してポリマー分散ポリオールを合成する際、ポリオールの水酸基価が高くなるほど(ポリオールの分子量が低下するほど)ポリオールによる粒子安定化作用が減少する。このため、重合時に粒子が成長する過程での粒子同士の凝集がきわめて起こりやすくなり凝集塊が生成する。
下記特許文献2、3、4では、高水酸基価のポリマー分散ポリオールを使用した提案がされているが、これらの方法でもポリマー微粒子の分散安定性が充分ではない。
さらにポリマー微粒子の安定性が向上したポリマー分散ポリオールが、例えば特許文献5,6,7等に記載されている。
特開昭57−25313号公報 特開平2−240125号公報 特公平6−62797号公報 特公平7−80986号公報 特開平11−060651号公報 特開平11−106447号公報 特開平11−302340号公報
特許文献1〜4に関しては、ポリマー微粒子の分散安定性が充分でないばかりでなく、フォーム収縮に関しても充分な改良効果が見られない。
特許文献5〜7に関しては、分散安定性、フォーム収縮改良のいずれにおいても改善効果は得られる。しかし、発泡剤として水、炭化水素化合物、HFC化合物、HFE化合物、不活性ガスからなる群から選ばれる1種または2種以上を併用して選択した場合、従来のCFC化合物やHCFC化合物を用いた場合と比較して、フォーム収縮による寸法安定性の劣化が顕著である。また、水を発泡剤として併用する場合、特に水使用量が多い場合においてフォーム収縮が顕著となる。水単独、または水と炭酸ガスを併用した場合にフォーム収縮はより顕著となる。このように水、または炭酸ガスを発泡剤として選択した場合に、フォーム収縮が最も顕著となるのは、炭酸ガスが硬質フォームのセル膜を透過し易く、その結果、セル内の内圧が減少し易い為であると考えられる。
一方、コストダウンを目的として、フォームをより軽量化することが求められており、そのためにもフォーム収縮の改良について、より一層の改善が要求されている。
特許文献6、7に関しては、ポリマー分散ポリオールの臭気という新たな問題が生じている。臭気の問題は、スプレー法等、フォームの原料がミストとなって空間中に多く飛散するような工法において、不都合点として指摘されることが多い。又、スプレー法はコストダウン要求の厳しい分野であることから、フォーム軽量化が最も要求されている分野でもある。従ってフォーム収縮に対する改良要求が最も厳しい分野である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ポリマー分散ポリオールの分散安定性を改善し、発泡剤として水、炭化水素化合物、HFC化合物、HFE化合物、または不活性ガス等を用いて、フォーム収縮がほとんどなく、軽量化も可能な硬質フォームが得られる硬質発泡合成樹脂の製造方法を提供する。
前記課題を解決するために、本発明の硬質発泡合成樹脂の製造方法は、ポリオール組成物(V)およびポリイソシアネート化合物を、整泡剤、触媒および発泡剤の存在下に反応させて硬質発泡合成樹脂を製造する方法において、ポリオール組成物(V)のうちの0.1質量%以上が、ベースポリオール(W)中にポリマー微粒子が分散したポリマー分散ポリオール(Z)であり、該ポリマー微粒子が、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含み、前記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種、または前記重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種のいずれでもない、他のモノマーの含有量が20質量%以下であるモノマーを重合して得られるポリマー微粒子であり、前記発泡剤が水のみであるか、または水と炭酸ガスからなることを特徴とする。
前記ポリマー微粒子が、メタクリル酸アルキルエステルと、重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含むモノマー(M)を重合して得られるポリマー微粒子であることが好ましい。
前記メタクリル酸アルキルエステルがメタクリル酸メチルであることが好ましい。
前記ベースポリオール(W)の、平均の水酸基価が200〜800mgKOH/gであり、該ベースポリオール(W)のうちの5質量%以上が、水酸基価84mgKOH/g以下でかつオキシエチレン基含有量40質量%以上のポリエーテルポリオール(X)であることが好ましい。
前記発泡剤としての水の使用量が、ポリオール組成物(V)100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましい。
スプレー法にて反応、発泡させることができる。
本発明によれば、分散安定性が良好で貯蔵安定性に優れたポリマー分散ポリオールが得られ、それを用いて軽量でもフォーム収縮がほとんどない硬質フォームを製造できる。
<ポリオール>
本発明で使用されるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー等があり、特にポリエーテルポリオールのみからなるか、またはそれとポリエステルポリオールや末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー等とを併用するのが好ましい。
・ポリエーテルポリオール
本発明においてポリエーテルポリオールとは、開始剤に環状エーテルを開環付加して得られるポリオールである。この開始剤としては、多価アルコール類、多価フェノール類等のポリヒドロキシ化合物やアミン類等が例示できる。また環状エーテルとしては、アルキレンオキシド、テトラヒドロフラン等が例示できる。
・開始剤
上記開始剤としては下記の化合物およびそれらの環状エーテル付加物、それらの2種以上の混合物が挙げられる。すなわち水、多価アルコール類、多価フェノール類、アミン類が挙げられる。
上記多価アルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、シュークロース(ショ糖)が例示できる。上記多価フェノール類としては、ビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物が例示できる。上記アミン類としては、アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン等のアルカノールアミン類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類;ピペラジン、N−アミノメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン等の脂環族アミン類;フェノール類とホルムアルデヒドとアルカノールアミン類を反応させて得られたマンニッヒ反応縮合物、アニリン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族アミン類が例示できる。
・環状エーテル
開始剤に付加させる環状エーテルとしては環内に1個の酸素原子を有する3〜6員環の環状エーテル化合物があり、具体的には下記の化合物が挙げられる。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、スチレンオキシド、α−メチルスチレンオキシド、エピクロロヒドリン、エピフルオロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドール、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−クロロエチルグリシジルエーテル、ο−クロロフェニルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、ジヒドロナフタレンオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキシド等の3員環状エーテル基を有する化合物;オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の4〜7員環状エーテル基を有する化合物。
中でも3員環状エーテル基を1個有する化合物(モノエポキシド)が好ましく、特に、炭素数2〜4のアルキレンオキシドであるエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシドが好ましい。
これらの環状エーテルは2種以上併用でき、併用する場合は、それらを混合して(ランダムに)反応させたり、順次反応させたりできる。特に好ましい環状エーテルは炭素数2〜4のアルキレンオキシド、特にプロピレンオキシド単独、エチレンオキシド単独、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの組み合わせである。また、ε−カプロラクトン、ラクチド等の環状エステルを併用してもよい。
・ポリエステルポリオール
ポリエステルポリオールとしては、例えば多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合によって得られるポリエステルポリオールがある。そのほか、ヒドロキシカルボン酸の重縮合、環状エステル(ラクトン、ラクチド)の重合、ポリカルボン酸無水物への環状エーテルの重付加、廃ポリエチレンテレフタレートのエステル交換反応によるポリエステルポリオール等がある。
・末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー
末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマーとしては、例えばアクリル共重合体に水酸基を導入したアクリルポリオール、ブタジエンを単独で重合して、またはブタジエンと他のモノマーを共重合して得られる末端に水酸基を有する液状のポリブタジエンポリオール等がある。
<ポリオール組成物(V)>
硬質発泡合成樹脂製造の原料として用いられるポリオール組成物(V)は、以下に示すポリマー分散ポリオール(Z)を0.1質量%以上含むことを特徴とする。
ポリマー分散ポリオール(Z)は、ベースポリオール(W)中に、ポリマー微粒子が安定に分散したものである。該ポリマー微粒子は重合性不飽和結合を有するモノマー(以下、モノマー(M)という)を重合して形成される。
<ポリマー分散ポリオール(Z)>
ポリマー分散ポリオール(Z)の製造に用いられるベースポリオール(W)の平均の水酸基価は200〜800mgKOH/gが好ましく、250〜750mgKOH/gが特に好ましい。ベースポリオール(W)の平均の水酸基価がこの範囲より低い場合、製造したポリマー分散ポリオール(Z)が、硬質ポリウレタンフォームの製造に用いられる他のポリオール(E)との相溶性に乏しく、他のポリオール(E)と併用するとポリオール(ポリマー微粒子)が分離または増粘するため、硬質ポリウレタンフォーム用原料として使用することが困難になる。ポリマー分散ポリオール(Z)の製造に用いられるベースポリオール(W)の平均の水酸基価が高い場合、ポリマー微粒子が安定に分散したポリマー分散ポリオールが得られにくい。
<ベースポリオール(W)>
ベースポリオール(W)は、水酸基価が異なる2種以上のポリオールからなるポリオール混合物である。ベースポリオール(W)のうち5質量%以上が、下記ポリエーテルポリオール(X)であることが好ましい。
ベースポリオール(W)中のポリエーテルポリオール(X)の割合を5質量%以上とすることで、分散性(貯蔵安定性)のよいポリマー分散ポリオール(Z)が得られ易い。当該割合は10質量%以上であることが特に好ましい。上記割合の上限は、50質量%以下が好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
すなわちベースポリオール(W)は、ポリエーテルポリオール(X)5〜50質量%とポリオール(Y)50〜95質量%との混合物であることが好ましい。ただしポリオール(Y)とは、ベースポリオール(W)を構成するポリエーテルポリオール(X)以外のポリオールである。ベースポリオール(W)は、ポリエーテルポリオール(X)10〜45質量%とポリオール(Y)55〜90質量%との混合物であることが特に好ましい。
<ポリエーテルポリオール(X)>
本発明におけるポリエーテルポリオール(X)とは、水酸基価が84mgKOH/g以下であって、かつオキシエチレン基含有量が40質量%以上であるポリエーテルポリオールである。
ポリエーテルポリオール(X)は、開始剤として多価アルコール類を使用し、エチレンオキシドまたはエチレンオキシドと他の環状エーテルを付加して得られるものが好ましい。上記多価アルコール類としては特に、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類が好ましい。他の環状エーテルとしてはプロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドが特に好ましい。すなわちポリエーテルポリオール(X)としては、トリオール類にエチレンオキシドのみ、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとを開環付加させて得られるポリエーテルポリオールであることが好ましい。
ポリエーテルポリオール(X)の水酸基価は84mgKOH/g以下であるが、67mgKOH/g以下が好ましく、60mgKOH/g以下がより好ましい。ポリエーテルポリオール(X)の水酸基価の下限としては、5mgKOH/g以上が好ましく、8mgKOH/g以上がより好ましい。
ポリエーテルポリオール(X)において、オキシエチレン基含有量は40質量%以上である。ただし本発明において、ポリエーテルポリオールのオキシエチレン基含有量とは、ポリエーテルポリオール分子におけるエチレンオキシド由来のオキシエチレン基の割合であり、具体的には開始剤を含めてポリオール分子内のエチレンオキシドの割合(質量%)で表す。オキシエチレン基含有量がこれより低い場合、ポリマー微粒子が安定に分散したポリマー分散ポリオールが得られにくい。ポリエーテルポリオール(X)におけるオキシエチレン基含有量は、50質量%以上が好ましく、55質量%以上が特に好ましい。オキシエチレン基含有量の上限は約100質量%が好ましく、90質量%がより好ましい。
<ポリオール(Y)>
上記ポリオール(Y)とは、ベースポリオール(W)を構成するポリエーテルポリオール(X)以外のポリオールである。ポリオール(Y)は1種のみであっても、2種以上を併用してもよい。ここでポリオール(Y)は窒素原子を有していないことが、ポリマー分散ポリオール(Z)の安定性のため好ましい。ポリオール(Y)が窒素原子を有していると、ポリマー分散ポリオール(Z)の粘度が高くなる場合がある。またポリオール(Y)はポリエーテルポリオールであることが好ましい。特にポリオール(Y)が、窒素原子を有していない多価アルコール類を開始剤として環状エーテルを開環付加させて得られるポリエーテルポリオールであることが好ましい。ポリオール(Y)を製造するための環状エーテルとしは、プロピレンオキシドのみ、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの組み合わせが好ましい。上記ポリオール(Y)の水酸基価は400〜850mgKOH/gが好ましく、400〜750mgKOH/gがより好ましい。
<モノマー(M)>
本発明において使用される、モノマー(M)には、重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が含まれる。重合性不飽和結合含有ニトリルと、メタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステルとの質量比(重合性不飽和結合含有ニトリル:メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルの合計)は95:5〜5:95が好ましく、80:20〜40:60がより好ましく、60:40〜46:54が最も好ましい。特に上記質量比が60:40〜45:55であれば、硬質フォーム製造時の臭気が充分に抑制され、製造された硬質フォームの寸法安定性が優れ、かつ、ポリマー分散ポリオール(Z)の粘度も低く取り扱いが容易であるという優れた特性を有する。
重合性不飽和結合含有ニトリルとしてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、1,4−ジシアノ−2−ブテン、2,4−ジシアノ−1−ブテン等が例示される。このうちポリマー微粒子の安定性が良いことから、アクリロニトリルが好ましい。メタクリル酸アルキルエステルとしてはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが好ましく、アクリル酸アルキルエステルとしてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
本発明においてモノマー(M)としては、アクリロニトリルとメタクリル酸メチルとの組合せが特に好ましい。
モノマー(M)として、上記重合性不飽和結合含有ニトリル、アクリル酸アルキルエステル、またはメタクリル酸アルキルエステル以外の他のモノマーを併用してもよい。
該他のモノマーとして、重合性不飽和結合を1個有するモノマーを使用することができるが、これに限らない。具体的な例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド等の(アルキルエステル以外の)アクリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、その他のジエン系モノマー;マレイン酸ジエステル、イタコン酸ジエステル等の不飽和脂肪酸エステル系モノマー;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル系モノマー;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;およびこれら以外のオレフィン、ハロゲン化オレフィン等が挙げられる。
上記モノマー(M)の使用量は特に限定されないが、最終的に得られるポリマー分散ポリオール(Z)におけるポリマー濃度(ポリマー微粒子の含有量)が1〜50質量%となる量であることが好ましく、特に2〜45質量%が好ましく、10〜30質量%が最も好ましい。
上記重合性不飽和結合含有ニトリル、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選ばれるモノマー(M)と、上記他のモノマーを併用する場合、他のモノマーの使用量が、モノマー(M)の全使用量のうち50質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下がより好ましい。酢酸ビニルのような臭気の原因となるモノマーの使用量は少ない方が好ましく、使用しないことが好ましい。
モノマー(M)の重合には、通常遊離基を生成して重合を開始させるタイプの重合開始剤が用いられる。具体的には例えば2,2−アゾビス−イソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(AMBN)、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、アセチルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、過硫酸塩等がある。このうち特にAIBN、AMBNが好ましい。
重合反応は重合開始剤の分解温度以上、通常は80〜160℃で行われ、90〜150℃が好ましく、100〜130℃が特に好ましい。
<ポリマー分散ポリオール(Z)の製造方法>
ベースポリオール(W)を用いてポリマー分散ポリオール(Z)を製造する方法は、例えば2通り挙げられる。第1の方法は必要に応じて溶媒、グラフト剤の存在下、ベースポリオール(W)中で重合性不飽和結合を有するモノマー(M)を重合させ直接粒子をベースポリオール(W)中に析出させる方法である。第2の方法は必要に応じて粒子を安定化させるグラフト化剤の存在下、溶媒中で重合性不飽和結合を有するモノマー(M)を重合させ粒子を析出させた後、ベースポリオール(W)と溶媒を置換して安定な分散体を得る方法である。本発明ではどちらの方法も採用でき、前者第1の方法が特に好ましい。
前記第1の方法でポリマー分散ポリオール(Z)を製造する場合、(ア)反応器にベースポリオール(W)の一部を仕込み、撹拌下、この反応器に残りのベースポリオール(W)、モノマー(M)、重合開始剤等の混合物を徐々にフィードして重合を行うバッチ法と、(イ)ベースポリオール(W)、モノマー(M)、重合開始剤等の混合物を撹拌下反応器に連続的にフィードし、同時に生成したポリマー分散ポリオール組成物を連続的に反応器から排出する連続法があり、本発明はこのどちらの方法でも製造できる。
一般にポリマー濃度が高くなればなるほど、モノマー(M)の重合時粒子が成長する過程での粒子同士の凝集が起こり凝集塊が生成しやすい。これを防ぐため前記第1の方法において、溶媒の存在下でポリマー分散ポリオール(Z)の製造を行うことが好ましい。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘキセン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンジルエチルエーテル、アセタール、アニソール、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル類;クロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ニトロベンゼン等のニトロ化合物類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアニリン等のアミン類;N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物類等が挙げられる。
本発明ではこれら溶媒を単独または混合して使用できる。重合性不飽和結合を有するモノマー(M)の重合が終了した後、溶媒は除去される。溶媒除去は、通常減圧加熱により行われる。しかし、常圧加熱または減圧常温下に行うこともできる。この際、溶媒とともに未反応モノマーも除去される。
上記のような製造方法でポリマー微粒子が安定に分散したポリマー分散ポリオール(Z)が得られるが、使用するモノマー(M)によっては安定な分散体が得にくいことがある。さらに粒子の分散安定性を良くするために、安定化剤またはグラフト化剤を使用できる。
安定化剤またはグラフト化剤としては分子内に重合性の不飽和結合を有するポリエーテル化合物が好ましい。開始剤としてビニル基、アリル基、イソプロピル基等の不飽和結合含有基を有する活性水素化合物にアルキレンオキシドを反応させて得られた高分子量のポリエーテルポリオールまたはモノオール;ポリエーテルポリオールに無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸またはその酸無水物を反応させた後、必要に応じてプロピレンオキシド、エチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加して得られた高分子量のポリエーテルポリオールまたはモノオール;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブテンジオール等の不飽和アルコールとポリエーテルポリオールとポリイソシアネート化合物との反応物;アリルグリシジルエーテル等不飽和エポキシ化合物とポリエーテルポリオールとの反応物;等が挙げられる。これらの化合物は水酸基を有することが好ましいがそれに限定されない。
<ポリマー分散ポリオール(Z)の特性>
ポリマー分散ポリオール(Z)の水酸基価は200〜800mgKOH/gであることが好ましく、200〜750mgKOH/gであることがより好ましく、250〜750mgKOH/gであることが特に好ましい。ポリマー分散ポリオール(Z)の水酸基価は、ベースとして使用するベースポリオール(W)に比較して、低くなるのが通常である。
以上により得られるポリマー分散ポリオール(Z)は静置状態で1ケ月間以上、特に2ケ月間以上、より好ましくは3ヶ月以上分離を起すことがない分散安定性(貯蔵安定性)を実現できる。ポリマー分散ポリオール(Z)がこのように分散安定性に優れる理由としては、ポリマー微粒子の大きさが微細かつ均一であるためと推定できる。ポリマー微粒子の大きさ(平均粒径)は0.3μm以下が好ましい。
<ポリオール組成物(V)の組成>
ポリオール組成物(V)およびポリイソシアネート化合物を整泡剤、触媒および発泡剤の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する際、ポリオール組成物(V)のうち0.1質量%以上が上記のポリマー分散ポリオール(Z)である。該ポリオール組成物(V)のうち、0.8質量%以上がポリマー分散ポリオール(Z)であることが好ましく、特に1.0質量%以上がポリマー分散ポリオール(Z)であることが好ましい。
ポリマー分散ポリオール(Z)は単独で硬質ポリウレタンフォームの原料として使用できる。すなわちポリオール組成物(V)の100質量%が上記ポリマー分散ポリオール(Z)であってもよいが、通常硬質ポリウレタンフォームの原料として使用されているポリオール(E)と混合して使用することが原料の粘度が比較的低く製造時の操作性が高いことから好ましい。例えばポリマー微粒子の含有量が25質量%であるポリマー分散ポリオール(Z)を用いる場合に、ポリオール組成物(V)のうちのポリマー分散ポリオール(Z)の割合は、0.1〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
該ポリオール組成物(V)の平均の水酸基価は250〜800mgKOH/gであることが好ましく、300〜750mgKOH/gが特に好ましい。
さらにポリオール組成物(V)における上記ポリマー微粒子の割合(含有量)が該ポリオール組成物(V)の全質量に対して0.01質量%以上であることが好ましい。ポリマー微粒子の割合がこれより少ない場合、低温および高温の寸法安定性に優れた硬質ポリウレタンフォームは得られにくい。上記ポリマー微粒子の割合は、ポリオール組成物(V)の全質量に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。
ポリオール組成物(V)において、ポリマー分散ポリオール(Z)以外のポリオールをポリオール(E)とする。このポリオール(E)としては、前述のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー等を使用できる。これらは1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。また前記ベースポリオール(W)で用いたものと同じポリオールを用いてもよい。ここでポリオール(E)としては、ポリエーテルポリオールのみ、またはポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールとの組み合わせが好ましい。またポリオール(E)の一部として、分子内に窒素原子を有するポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。特にポリエーテルポリオールの開始剤の項で記載したアミン類を開始剤として用いて得られたアミン系ポリエーテルポリオールが好ましい。また上記アミン系ポリエーテルポリオールとして脂環族アミン類を開始剤として用いて得られたポリエーテルポリオールを使用すると速いキュア性が得られ好ましい。
ポリオール組成物(V)の組成のより具体的な例(ポリオール組成物(V)の全体で100質量部とする)としては、発泡剤として水のみを用いてスプレー法で硬質フォームを製造する場合には、(1)ポリマー微粒子含有量が20〜30質量%のポリマー分散ポリオール(Z)を1〜10質量部、(2)ポリオール(E)として(2a)ポリエステルポリオールを50〜80質量部、(2b)アミン系ポリエーテルを10〜40質量部、(2c)窒素原子を有していないポリエーテルポリオールを0〜10質量部という組成が、難燃性、比較的速いキュア性、接着性、寸法安定性等の点から好適である。
ポリオール(E)の水酸基価は250〜800mgKOH/gが好ましく、300〜750mgKOH/gがより好ましい。
<発泡剤>
本発明においては、発泡剤として、水、炭素数2〜8の炭化水素化合物、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、不活性ガスからなる群から選ばれる1種または2種以上を併用して使用する。
前記の炭化水素化合物としては、炭素数4〜6がより好ましく、例としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を併用して使用できる。発泡剤として用いるこれらの炭化水素化合物の使用量としては、ポリオール100質量部に対して、炭化水素化合物の合計が5〜40質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。
前記のハイドロフルオロカーボンとしては炭素数1〜8が好ましく、炭素数2〜4が特に好ましく、例としては1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)等が挙げられる。このうち、HFC−245faの単独使用、HFC−245faとHFC−365mfcとの併用、HFC−134aとHFC−245faとの併用、HFC−134aとHFC−365mfcとの併用、およびHFC−134aとHFC−245faとHFC−365mfcとの併用が好ましい。これらハイドロフルオロカーボンの使用量は、ポリオール100質量部に対してハイドロフルオロカーボンの合計が5〜100質量部となる割合が好ましく、5〜75質量部がより好ましい。ハイドロフルオロカーボンを2種以上併用する場合、各ハイドロフルオロカーボンの使用量は、ポリオール100質量部に対して各々0.1〜70質量部が好ましい。
ハイドロフルオロエーテルとしては炭素数2〜8が好ましく、炭素数2〜4が特に好ましく、例としては1,1,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(HFE−236pc)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(HFE−254pc)、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロピルメチルエーテル(HFE−347mcc)等が挙げられる。
ハイドロフルオロエーテルの使用量は、ポリオール100質量部に対してハイドロフルオロエーテルの合計が1〜100質量部となる割合が好ましく、5〜75質量部がより好ましい。ハイドロフルオロエーテルを2種以上併用する場合、各ハイドロフルオロエーテルの使用量は、ポリオール100質量部に対して各々0.1〜70質量部が好ましい。
炭素数2〜8の炭化水素化合物、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテルは、各々水なしで使用することもできるが、水と併用して使用するのが好ましい。
また前記の不活性ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガス等が挙げられる。中でも炭酸ガスが好ましい。不活性ガスの添加状態は液状態、超臨界状態、亜臨界状態のいずれでも構わない。不活性ガスは水なしで使用することもできるが、水と併用して使用するのが好ましい。不活性ガスの使用量は、ポリオール100質量部に対して1〜100質量部が好ましい。
本発明においては、特に、発泡剤として、水を単独で使用するか、水と不活性ガスを併用することが好ましい。水と併用する不活性ガスは炭酸ガスがより好ましい。発泡剤として水を単独で使用するか、水と不活性ガスとを併用した場合に、本発明における特定のポリオール組成物(V)を用いると、寸法安定性が良好となり好ましい。
発泡剤として水を使用する場合、その使用量は、ポリオール組成物(V)100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜10質量部が特に好ましい。水の使用量が1質量部未満であると、得られた硬質フォームが軽くなりにくく好ましくない。また使用量が20質量部を超えて多いと、水とポリオール組成物(V)との混合性が悪くなりやすく好ましくない。
<ポリイソシアネート化合物>
本発明において、ポリイソシアネート化合物としては、特に制限はないが、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系等のポリイソシアネート;前記ポリイソシアネートの2種類以上の混合物;これらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等のポリイソシアネートまたはこれらのプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。このうち、TDI、MDI、クルードMDI、またはこれらの変性体が好ましい。
ポリイソシアネート化合物の使用量は、ポリオール組成物(V)およびその他の活性水素化合物の活性水素の合計数に対するイソシアネート基の数の100倍で表して(通常この100倍で表した数値をイソシアネート指数という)、50〜300が好ましい。
ここで、触媒としてウレタン化触媒を主に用いるウレタン処方においては、ポリイソシアネート化合物の使用量はイソシアネート指数で、50〜140が好ましく、60〜130がより好ましい。また触媒としてイソシアネート基の三量化反応を促進させる触媒を主に用いるイソシアヌレート処方においては、ポリイソシアネート化合物の使用量はイソシアネート指数で、120〜300が好ましく、150〜250がより好ましい。
<触媒>
本発明において用いられる触媒としては、ウレタン化反応を促進する触媒であれば特に制限はない。例えば、トリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等の3級アミン類;ジブチルスズジラウレート等の有機金属化合物が挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、2種以上を併用してもよい。
またイソシアネート基の三量化反応を促進させる触媒を併用してもよく、酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等のカルボン酸金属塩や、アミン触媒としては4級アンモニウム類、トリアジン類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、2種以上を併用してもよい。
また硬質フォームの製造方法としてスプレー法(以下、スプレー発泡ということもある)を採用する場合には、反応を短時間で完結させるために、2−エチルヘキサン酸鉛等の有機金属触媒を併用してもよい。該有機金属触媒の使用量は、ポリオール組成物(V)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
<整泡剤>
本発明においては良好な気泡を形成するため整泡剤を用いる。整泡剤としては例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤が挙げられる。整泡剤の使用量は、適宜選定すればよいが、ポリオール組成物(V)100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
<その他の配合剤>
本発明では、上述したポリオール組成物(V)、ポリイソシアネート化合物、発泡剤、触媒、整泡剤の他に、任意の配合剤が使用できる。配合剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤;難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤、破泡剤、分散剤、変色防止剤等が挙げられる。
<硬質フォームの製造方法>
本発明において、硬質フォームを製造する手法としては、発泡装置を用いる方法でもよく、発泡装置を用いずに通常の手発泡で行う方法でもよい。発泡装置としては、高圧発泡装置、低圧発泡装置のいずれでも使用できる。また反応条件は適宜選定すればよいが、反応温度としては、0〜50℃が好ましく、15〜45℃がより好ましい。
本発明の硬質フォームの製造方法は、限定される訳ではないが、スプレー発泡が特に好ましい。これはスプレー発泡において、軽量化、および、臭気改良の要求が特に強く、本発明による改善効果が特に大きいためである。スプレー発泡による製造方法は種々の方法が知られているが、このうち、特に配合液をミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡が好ましい。ここでスプレー発泡とは、ポリオール組成物(V)を含有するポリオール組成物とポリイソシアネート化合物とを吹き付けながら反応させる発泡方法であり、触媒等の選定により反応を短時間で完結させることを特徴とする。ポリイソシアネート化合物以外の配合物は、ポリオール組成物に含有させることができる。
スプレー発泡は、建築現場において壁、天井等に硬質フォームの断熱材を施工する際に採用されることが多い。スプレー発泡は、工事現場にて直接硬質フォームを製造することから、工事コストを抑制できる、凹凸のある施工面にも隙間なく施工できる等の長所を有する。具体的な施工例としては、マンション、オフィスビル、プレハブ冷凍倉庫等の断熱材が挙げられ、また近年は高気密用戸建住宅の断熱材としても採用されつつある。
<硬質フォームの特性>
本発明により製造される硬質フォームは、軽量であっても、フォームの収縮がほとんどなく、寸法安定性に優れるという特徴を有する。本発明により製造される硬質フォームの密度はコア密度で15〜40kg/mが好ましく、18〜30kg/mが特に好ましい。これらの軽量の硬質フォームで本発明の硬質フォームの製造方法は特徴的に効果(特に寸法安定性)を発現する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお以下の例のうち、例1〜12はポリマー分散ポリオールの製造例(例1〜4は比較例に相当する製造例、例5〜12は実施例に相当する製造例)である。例13〜44はポリマー分散ポリオールと他のポリオールをブレンドした時の分散安定性と臭気を評価した例(例13〜19は比較例に相当する製造例、例20〜44は実施例に相当する製造例)である。例45〜95は硬質ポリウレタンフォームの製造例である。例96〜144は硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームの製造例である。
またこれらの硬質フォームの製造例のうち、例45〜48、例62〜65、例80〜82、例96〜97、例112〜113および例129〜130は比較例であり、例49〜61および例98〜111、は実施例である。例66〜79、例83〜95、例114〜128および例131〜144は参考例である。
表中で処方を表した部分の数値の単位は質量部である。実施例および比較例で用いた原料は、各表に示したとおりであるが、その詳細は以下のとおりである。また略号として、ANはアクリロニトリル、STはスチレン、Vacは酢酸ビニル、MMAはメタクリル酸メチル、EMAはメタクリル酸エチル、MAはアクリル酸メチル、POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシド、EO基含有量はオキシエチレン基含有量をそれぞれ表す。AMBNは2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリルを表し、重合開始剤である。
(発泡剤)
発泡剤1:HFC−245fa。
発泡剤2:HFC−365mfc。
発泡剤3:HFC−134a。
発泡剤4:シクロペンタン。
(ベースポリオール(W))
ベースポリオール(W)として、下記ポリオールX1とY1との混合物、またはX1とY1とY2との混合物を用いた。
・ポリオールX1:グリセリンにPOとEOとをランダムに付加して得られる水酸基価が50mgKOH/g、EO基含有量70質量%のポリエーテルポリオール
・ポリオールY1:グリセリンにPOのみを付加して得られる水酸基価が650mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・ポリオールY2:エチレンジアミンにPOのみを付加して得られる水酸基価が760mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
(他のポリオール(E))
ポリマー分散ポリオール(Z)と他のポリオール(E)をブレンドする際に用いられる、他のポリオール(E)は以下の通りである。
・ポリオールE1:シュークロースとグリセリンの混合物(質量比で5:4)にPOのみを付加させて得られた、水酸基価が380mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・ポリオールE2:トリレンジアミンにEO、PO、EOをこの順で付加させて得られた、水酸基価が350mgKOH/g、EO基含有量が25質量%のポリエーテルポリオール。
・ポリオールE3:N−(2−アミノエチル)ピペラジンにEOを付加させて得られた、水酸基価が350mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・ポリオールE4:ペンタエリスリトールにPOを付加させて得られた、水酸基価が400mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・ポリオールE5:モノエタノールアミンにPOを付加させて得られた、水酸基価が350mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・ポリオールE6:ノニルフェノール、ホルムアルデヒドおよびジエタノールアミンをモル比1.0対1.4対2.1で反応させて得られたマンニッヒ縮合物にPO、EOをこの順で付加して得られた水酸基価が450mgKOH/g、EO基含有量が30質量%のポリエーテルポリオール。
・ポリオールE7:ジエチレングリコールとテレフタル酸とを重縮合して得られた、水酸基価が250mgKOH/gのポリエステルポリオール。
・ポリオールE8:エチレンジアミンにPOのみを付加して得られる水酸基価が500mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・ポリオールE9:エチレンジアミンにPO、EOをこの順で付加させて得られた水酸基価が450mgKOH/g、EO基含有量が41質量%のポリエーテルポリオール。
・ポリオールE10:ノニルフェノール、ホルムアルデヒドおよびジエタノールアミンをモル比1対1.4対2.1で反応させて得られたマンニッヒ縮合物にPO、EOをこの順で付加して得られた水酸基価が300mgKOH/g、EO基含有量が60質量%のポリエーテルポリオール。
(例1〜4:ポリマー分散ポリオールの製造例)
5L加圧反応槽に表1に示したポリオール、モノマーおよびAMBNを全て仕込んだ後、撹拌しながら昇温を開始し、反応液を80℃に保ちながら10時間反応させた。すべての例においてモノマーの反応率は80%以上を示した。反応終了後、110℃、20Paで2時間加熱減圧脱気して未反応モノマーを除去し、ポリマー分散ポリオールを製造した。
これらの例で得られたポリマー分散ポリオールは、モノマーとしてメタクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエステルを含んでいないため、本発明におけるポリマー分散ポリオール(Z)に該当しない。
(例5〜12:ポリマー分散ポリオール(Z)の製造例)
5L加圧反応槽に表1に示したポリオール混合物のうち70質量%を仕込み、120℃に保ちながら残りのポリオール混合物、表1に示したモノマーおよびAMBNの混合物を撹拌しながら2時間かけてフィードし、全フィード終了後同温度下で約0.5時間撹拌を続けた。反応終了後、120℃、20Paで2時間加熱減圧脱気して未反応モノマーを除去し、ポリマー分散ポリオール(Z)を製造した。
それぞれの例において製造したポリマー分散ポリオールの水酸基価(単位:mgKOH/g)、25℃における粘度(単位:mPa・s)、および臭気の評価を表1に示す。臭気に関しては臭気の激しいものを×、無いまたは極めて少ないものを○として評価した(以下、同様)。また、製造したポリマー分散ポリオール自体の分散安定性を表1に示す。分散安定性は25℃条件3ヶ月および70℃条件1ヶ月の2条件でそれぞれ評価し、分離、沈殿、固化のいずれかが発生すれば×、いずれも発生しなければ○として評価した。
またポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子の粒径の測定結果を示す。平均粒径1(単位:μm)とは、マイクロトラック粒度分布測定装置(レーザー回折散乱式粒度分布測定装置 FRA−9220;日機装社製)にて、分散溶媒としてメタノールを用いて測定した値である。平均粒径2(単位:μm)とは、メタノールで希釈したポリマー分散ポリオール(希釈率;50倍〜400倍)を、走査型電子顕微鏡(SEMEDX3 typeN;日立製作所社製)を用いて観察し、その後コンピューターによる画像解析(画像解析ソフト;WinRoof ver.3.6)を行なって得られた値である。
例7で得られたポリマー分散ポリオール中の微粒子の電子顕微鏡写真を図1に示す。
Figure 0004609179
例1〜12で製造したポリマー分散ポリオールを、以下の表では、各々順番に次の通りに表記する。
例1〜4:ポリオールNZ1〜NZ4。
例5〜12:ポリオールZ1〜Z8。
(例13〜44貯蔵安定性、臭気の評価例)
ポリマー分散ポリオール(NZ1〜NZ4およびZ1〜Z8)と他のポリオールを表2および表3に示す割合でブレンド混合し、得られたポリオール混合物について分散安定性と臭気を評価した。分散安定性は25℃条件3ヶ月および70℃条件1ヶ月の2条件でそれぞれ評価し、分離、沈殿、固化のいずれかがでも発生すれば×、いずれも発生しなければ○として評価した。
例20〜44で得られたポリオール混合物は、本発明におけるポリオール組成物(V)に該当する。
Figure 0004609179
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(例45〜95:硬質ポリウレタンフォームの製造例)
表4〜9に示す処方で、ポリオール混合物(ポリマー分散ポリオールと他のポリオールの混合物)および発泡剤を用いた。表中の水は発泡剤に該当する(以下、同様)。
ポリオール混合物、発泡剤、および以下の触媒、整泡剤、難燃剤を添加、混合してポリオール組成物を調製した。
触媒としてはN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン(商品名:TOYOCAT MR、東ソー社製)を用いた。その使用量は、ゲルタイムが25秒となる量とした。
整泡剤としては、シリコーン整泡剤(商品名:SZ−1646、日本ユニカー社製)を2質量部用いた。難燃剤としては、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート(商品名:TMCPP、大八化学社製)を10質量部用いた。
調製したポリオール組成物とポリイソシアネート化合物とを液温20℃で混合し、縦200mm×横200mm×高さ200mmの木製の箱内に投入し、硬質ポリウレタンフォームを発泡、製造した。
ポリイソシアネート化合物としては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:MR−200、日本ポリウレタン工業社製)を用いた。ポリイソシアネート化合物の使用量は、イソシアネート指数で110となるようにした。
(硬質フォームの物性評価)
例45〜95の各例で得られた硬質フォーム(硬質ポリウレタンフォーム)の、コア密度(単位:kg/m)、および高温高湿収縮度(単位:%)を評価した。その結果を表4〜9に示す。高温高湿収縮度は、70℃/95%、24時間経過後の発泡方向に対して垂直方向の寸法変化率を示す。
表4〜9に示されるように、本発明の硬質フォームの製造方法により製造された硬質フォーム(例49〜61、例66〜79、例83〜95)はいずれも密度が低く、かつ、良好な寸法安定性を示した。
Figure 0004609179
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(例96〜144:硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームの製造例)
表10〜15に示す処方で、ポリオール混合物(ポリマー分散ポリオールとポリオールの混合物)および発泡剤を用いた。ポリオール混合物、発泡剤、および以下の触媒、整泡剤、難燃剤を添加、混合してポリオール組成物を調製した。
触媒として、例96〜111ではアミン触媒である1、2−ジメチルイミダゾールのエチレングリコール溶液(商品名:トヨキャットDM−70、東ソー社製)、商品名トヨキャットTT(東ソー社製)、4級アンモニウム触媒として商品名トヨキャットTRX(東ソー社製)を質量比3/1/3で混合した混合物を、ゲルタイムを20秒になる量で用いた。
例112〜144では、N,N’,N”−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン(商品名:ポリキャット41、エアプロダクツ社製)と、2−エチルヘキサン酸カリウムのジエチレングリコール溶液(カリウム濃度15%、商品名:プキャット15G、日本化学産業社製)とを、質量比2/3で混合して用いた。その使用量は、ゲルタイムが20秒となる量とした。
整泡剤としては、SH−193を1.5質量部用いた。難燃剤としては、TMCPPを20質量部用いた。
調製したポリオール組成物とポリイソシアネート化合物とを液温20℃で混合し、縦200mm×横200mm×高さ200mmの木製の箱内に投入し、硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームを発泡、製造した。
ポリイソシアネート化合物としては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:C−1130、日本ポリウレタン工業社製)を用いた。ポリイソシアネート化合物の使用量は、イソシアネート指数で160となるようにした。
(硬質フォームの物性評価)
例96〜144の各例で得られた硬質フォーム(硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォーム)について、上記と同様にして、コア密度(単位:kg/m)、および高温高湿収縮度(単位:%)を評価した。その結果を表10〜15に示す。
表10〜15に示されるように、本発明の硬質フォームの製造方法により製造された硬質フォーム(例98〜111、例114〜128、例131〜144)はいずれも密度が低く、かつ、良好な寸法安定性を示した。
Figure 0004609179
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(スプレー法による硬質フォーム製造例1)
次に例49〜61、例66〜79、例114〜128で調製したポリオール組成物に、有機金属触媒として2−エチルヘキサン酸鉛のミネラルスピリット溶液(鉛濃度:20%、商品名:ニッカオクチックス鉛20%、日本化学産業社製)を1.0質量部さらに添加した。
また例98〜111で調製したポリオール組成物に、有機金属触媒として2−エチルヘキサン酸鉛のミネラルスピリット溶液(鉛濃度:20%、商品名:ニッカオクチックス鉛20%、日本化学産業社製)を3.0質量部さらに添加した。
それぞれにおいて得られた液と、ポリイソシアネート化合物としてポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名:C−1155、日本ポリウレタン工業社製)とを用い、液温35℃、室温10℃にて、ガスマー社発泡機を用いてスプレー発泡にて、壁面に吹きつけ施工を実施した。
その結果得られたフォームは、室温10℃と冬場を想定した低温下で製造したにもかかわらず、良好な発泡経過を示し、得られた硬質フォームの密度は、コア密度が29kg/m以下と充分低く、良好なセル外観、初期接着性、自己消火性を示した。
さらに、硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームの製造例である例98〜111および例114〜128で調製したポリオール組成物を用いて、上記のスプレー発泡により得られた硬質フォームについて、そのコア部分を厚さ15mmに切り出し、コーンカロリーメーター(東洋精機製作所社製)にてISO5600Part1に準拠した燃焼試験を実施したところ、所定の難燃性能を満足することがわかった。
(スプレー法による硬質フォーム製造例2)
本例では、発泡剤として、さらに超臨界状態の炭酸ガスを用いた。
すなわち、例49〜61で使用したポリオール組成物に、有機金属触媒として2−エチルヘキサン酸鉛のミネラルスピリット溶液(鉛濃度:20%、商品名:ニッカオクチックス鉛20%、日本化学産業社製)を1.0質量部さらに添加した。
また例98〜111で使用したポリオール組成物に、有機金属触媒として2−エチルヘキサン酸鉛のミネラルスピリット溶液(鉛濃度:20%、商品名:ニッカオクチックス鉛20%、日本化学産業社製)を3.0質量部をさらに添加した。
それぞれにおいて得られた液と、ポリイソシアネート化合物として前記C−1155を用いるとともに、ポリオール100質量%に対し2質量%の炭酸ガスを液温40℃、圧力70kg/cmの超臨界状態で使用し、ガスマー社発泡機を用いてスプレー発泡にて、室温10℃の条件下で壁面に吹きつけ施工を実施した。
その結果得られたフォームは、室温10℃と冬場を想定した低温下で製造したにもかかわらず、良好な発泡経過を示し、得られた硬質フォームの密度は、コア密度が28kg/m以下と充分低く、良好なセル外観、初期接着性、自己消火性を示した。
さらに、硬質ウレタン変性ポリイソシアヌレートフォームの製造例である例98〜111で調製したポリオール組成物を用いて、上記のスプレー発泡により得られた硬質フォームについて、そのコア部分を厚さ15mmに切り出し、コーンカロリーメーター(東洋精機製作所社製)にてISO5600Part1に準拠した燃焼試験を実施したところ、所定の難燃性能を満足することがわかった。
本発明の硬質発泡合成樹脂の製造方法によれば、フォーム収縮がほとんどなく、軽量化も可能な硬質フォームが得られる。特に本発明の製造方法は、発泡剤として比較的多量の水を用いた場合であってもフォーム収縮がほとんどなく、フォーム製造時の臭気もなく、製造時の取り扱いが容易である。
本発明にかかる製造例で得られたポリマー分散ポリオール中のポリマー微粒子の電子顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. ポリオール組成物(V)およびポリイソシアネート化合物を、整泡剤、触媒および発泡剤の存在下に反応させて硬質発泡合成樹脂を製造する方法において、
    ポリオール組成物(V)のうちの0.1質量%以上が、ベースポリオール(W)中にポリマー微粒子が分散したポリマー分散ポリオール(Z)であり、
    該ポリマー微粒子が、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含み、
    前記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種、または前記重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種のいずれでもない、他のモノマーの含有量が20質量%以下であるモノマー(M)を重合して得られるポリマー微粒子であり、
    前記発泡剤が水のみであるか、または水と炭酸ガスからなることを特徴とする硬質発泡合成樹脂の製造方法。
  2. 前記ポリマー微粒子が、メタクリル酸アルキルエステルと、重合性不飽和結合含有ニトリルからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含むモノマー(M)を重合して得られるポリマー微粒子である、請求項1に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
  3. 前記メタクリル酸アルキルエステルがメタクリル酸メチルである、請求項2に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
  4. 前記ベースポリオール(W)の平均の水酸基価が200〜800mgKOH/gであり、該ベースポリオール(W)のうちの5質量%以上が、水酸基価84mgKOH/g以下でかつオキシエチレン基含有量40質量%以上のポリエーテルポリオール(X)である請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
  5. 前記発泡剤としての水の使用量が、ポリオール組成物(V)100質量部に対して、1〜20質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
  6. スプレー法にて反応、発泡させる請求項1〜のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
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